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2014年6月議会一般質問:上原ひでき 生活困窮者自立支援法に伴う諸問題

2014年6月11日

日本共産党議員団 上原秀樹

1.生活困窮者自立支援法の施行に伴う諸問題について

 2013年12月臨時国会で、生活困窮者自立支援法が成立し、来年4月1日に施行されます。この法律によるとその目的は、「生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、生活困窮者に対し、自立相談支援事業の実施、住居確保給付金の支給その他の支援を行うため所要の措置を講ずる」とされ、その概要は、必須事業として、自立相談支援事業の実施並びに住居確保給付金の支給を行い、任意事業として、就労準備支援事業、一時生活支援事業、家計相談支援事業、学習支援事業等を実施するとされ、それぞれ国庫負担金並びに国庫補助金が措置されることになります。

 この法律の背景となったのは、現在、生活保護の受給者は200万人を越え、支給総額も3兆円以上になっており、そこでは高齢者世帯のほか病気や障害で働くことができない人や母子家庭だけではなく、失業や非正規雇用などの現役世代の受給者が増え、これらの人たちの生活を立て直し就職に結びつけることが求められていることにあります。しかし一方では、この法律によって、生活保護からの追い出し、新たな「水際作戦」につながるのではないかとの危惧もあります。

 そこで次の点に関して質問をいたします。

1) 自立相談支援事業について

 相談支援はこの事業の要であり、相談を受けて相談者の抱える多様な問題を理解し、支援計画を立てることになることから、相談員となる人は、行政組織や支援施策に精通した職員が担当しなければなりません。衆参厚生労働委員会の付帯決議でも、「訪問支援にも積極的に取り組む」「ケースワーカーや民生委員等、関係者間の連携と協力のもと、生活困窮者に対して漏れのない支援を行うこと」「そのために社会福祉士等の支援業務に精通する人員を十分に配置する」などとされているところです。

 さらに、この事業の実施主体は福祉事務所設置自治体ですが、民間団体への委託も可能とされている点についてです。しかし、市営住宅や上下水道、学校教育、国保・年金、保育、介護保険、税等のあらゆる部署からの情報収集とともに連携が必要なことから、相談事業は直営とし、法律の専門家を含めた民間等の他団体との連携を強化することで、これを機に生活困窮者を真に支援できる仕組みをつくることが必要と考えます。

 担当部署をどうするのか、他の部署との連携、職員の配置、相談事業を直営とすることに関しての見解を伺います。

2) 生活保護申請の「水際作戦」を助長することにならないように

 自立相談事業には、生活保護申請への助言や適用の義務は明記されていません。モデル事業の就労支援センターを開設したある市の市長が、「この事業によって安易に生活保護を受給する方を水際で止める」と記者会見で語っておられましたが、このような不適切な運用があってはなりません。

 そこで、この支援法の様々な事業は、生活保護法第4条の第1項で「要件」とされている「その他あらゆるもの」、また、第2項の「他の法律に定める扶助」に含まれるのかどうか、すなわちあらたな制度ができても、生活保護の要件を満たしている人については、この制度に基く支給を受けているかどうかにかかわらず、保護を受給できるのかどうかについて見解を伺います。

【2回目】

1.生活困窮者自立支援法の施行に伴う諸問題について

1) 自立相談支援事業について

○生活困窮者を真に支援できる仕組みをどうつくるのか。

・生活保護に陥る前の人をどのようにしてキャッチするか…伊丹市や社会福祉協議会、様々な民間福祉団体、民生委員等とのネットワークの構築

・相談窓口にどう行き着くか…新たに生活困窮者の相談窓口を広げること、「気軽に相談にのってもらえる」市民への広報の仕方→現在は生活支援管理課が所管されて準備をされているが、法施行後もここに総合相談窓口を設置するとなると、あまりにも生活保護の相談というイメージが強く、生活保護に至らない場合の新たな支援ができるという利点はあるものの、総合相談窓口として適切なのかどうかは市民相談課との関係も含めて検討していただきたい。

・庁内の連携の中で総合的に支援する仕組みをどうつくるのか…公共料金、税等の各種滞納問題等から

○法施行前のモデル事業を行っている滋賀県・野洲市

・相談支援事業の考え方

・社会福祉協議会、ハローワークとの連携はこの事業を所管する市民生活相談課に隣りあわせで机が置かれている。

・不動産管理業者、ガス会社との連携で家賃滞納から

・国民健康保険からの生活困窮者発見プロジェクト

2) 生活保護申請の「水際作戦」を助長することにならないように

「2.ルネサスエレクトロニクスのリストラから雇用と地域経済を守るために」はこちら
「3.公共施設の再配置計画-保健センターと職員会館機能について」はこちら

2014年6月議会一般質問:上原ひでき ルネサスエレクトロニクスのリストラから雇用と地域経済を守るために

2014年6月11日

日本共産党議員団 上原秀樹

「1.生活困窮者自立支援法に伴う諸問題」はこちら

2.ルネサスエレクトロニクスのリストラから雇用と地域経済を守るために

1)リストラの内容、働く人たちの生活と雇用・地域経済への影響に対する見解を伺う。

 半導体大手メーカーであるルネサスエレクトロニクスは、これまで毎年のようにリストラを行い、2万人に超える人員削減を強行してきました。そして今年1月に新に大リストラ計画を発表しました。その内容は、「国際競争力強化」を理由に、2015年度末までに、社員5400人を削減、賃金制度改定で人件費100億円削減するというものです。

 人員削減は、早期退職の募集、社外への転籍などとしていますが、2015年9月に北伊丹事業所を閉鎖するとして、関東の事業所に関連企業も含めて1600人もの大量転勤を命じ、応じられない人を退職に追い込もうというものであります。

 このことが実施されるならば、転勤できない人の生活に対する多大な影響だけではなく、周辺地域の経済にも重大な悪影響を与えます。職場からは、子育てや親の介護などで移動できないなどの声が上がるとともに、「いくら会社の説明を聞いても武蔵に集約する合理性が見えない」「これまで懸命に積み上げてきた技術はどうなるのか」「転勤しても、行った先でまたリストラになる、信用できない」と、厳しい批判の声が上がりました。

 一方、ルネサス北伊丹事業所の前身である三菱電機は、瑞ヶ池を埋め立てて建設した、伊丹市の誘致企業です。様々な優遇を受けてきた企業が「国際競争力強化」を理由に、事業所閉鎖などで労働者と地域、住民にしわ寄せすることが許されるのでしょうか。労働者、地域住民の雇用と生活を守ることは、最も基本的な企業の社会的責任です。ルネサスの設立母体である三菱電機の社会的責任も問われなければなりません。

 そこで、伊丹市としてのルネサスの今回のリストラの内容、働く人たちの生活と雇用・地域経済への影響に対する見解、並びに、伊丹市として誘致した企業が撤退することに対する行政の考え方、空港を「売り」にして企業誘致を行っている立場からこの事態をどう見るのかについての見解をお伺いします。

2)兵庫県、伊丹市、県労働局との協議の内容について

 「ルネサスのリストラから雇用と地域経済を守る連絡会」は、4月30日、兵庫県と伊丹市に対して「雇用と地域経済を守るための要請書」を手渡して懇談しました。石井孝一・県産業労働部長は、「雇用問題については、影響を少なくしていくために、市と労働局と連携をとりながら最善の努力をしたい」とされるとともに、松村隆・伊丹市都市活力部長も、県と連携するとして5月中に話し合いを持ちたいとされていました。

伊丹市として、県、労働局と連携をして雇用と地域経済を守るためにどのような最善の努力をされようとされているのでしょうか、お伺いします。

【2回目】

2.ルネサスエレクトロニクスのリストラから雇用と地域経済を守るために

1)リストラの内容、働く人たちの生活と雇用・地域経済への影響に対する見解。

・答弁では、「市としては到底受け入れがたく、説明を聞いて、はいわかりましたといえることではない」と答えたとされている。これは当然のことで、「国際競争力強化」の名のもとに事業所閉鎖で、関連企業を含めた1500人をリストラするものだから。

・ルネサス自体は売り上げも営業利益も伸ばしている。

・産業革新機構が約70%の株を所有し、リストラの先導役を果たしている。

2)兵庫県、伊丹市、労働局との協議

・国も含めて、兵庫県と伊丹市は、住民に就業と生活を保障する自らの責任とともに、大企業にその社会的責任を果たさせていく政治的指導責任も、自覚的に取り組む必要がある。その対象は、ルネサスだけではなく三菱電機も。

① 従って、今回のリストラに関しては、リストラによって被害をこうむるであろう地域住民や業者、自治体に対して、十分な説明責任と補償責任を取るよう要求するとともに、地域経済への影響について当該企業が積極的に協力するよう求めていく必要がある。

 この点についての見解を伺う。

② 家族の事情等で転勤できない人に対して、「工場閉鎖のための従業者の出向・移籍による労働移動の支援」を県とも協力して進めると答弁。もともと企業には、従業員の雇用と家族の生活を守る責務があり、それこそが企業の社会的責任の核心をなす問題。

・そもそもルネサスは、答弁でもあったとおり、半導体産業の国内での規模縮小の中、三菱電機等がその部分を切り離して設立したもの。方や三菱電機は、売り上げも営業利益も内部留保も大きく伸ばしている。労働移動の支援に関して、その設立母体の三菱電機の社会的責任も問われなければならない。

・そこで、先ほどの答弁に関して、「出向・移籍による労働移動の支援」という点では、三菱電機に対する働きかけも必要と考えるが、見解を伺う。

「3.公共施設の再配置計画-保健センターと職員会館機能について」はこちら

2014年6月議会一般質問:上原ひでき 公共施設の再配置計画-保健センターと職員会館機能について

2014年6月11日

日本共産党議員団 上原秀樹

「1.生活困窮者自立支援法に伴う諸問題」はこちら

「2.ルネサスエレクトロニクスのリストラから雇用と地域経済を守るために」はこちら

3.市役所南館の解体を目前にして公共施設の再配置計画での残された課題整理を-保健センターと職員会館機能について

 2007年5月に示された「公共施設再配置計画」に関しては、様々な議論を経ながらも、(仮称)児童発達支援センターの建設のための市役所南館の解体が間近に迫り、「計画」の実現に向けて後残された課題もわずかとなってきました。

 現在の南館は、保健センター機能とともに、児童発達支援センターの一部機能、職員会館機能として活用されており、その機能の移転先の決定が急がれています。

 そこで、

1) 保健センターの事務所をどう確保されようとしているのかお伺いします。

2) 職員会館機能については、防災センターを旧図書館に設置する際に議論があり、新たにできる防災センター内に入ることも踏まえて検討するとされていました。そこで、そもそもどんな機能を残すことを想定していたのか、また、現在はどんな機能が必要と考えるのか、さらに、もともと防災センターの場所にその機能を持ってくる計画であったのに今の防災センターが完成した後、なぜそこに移転しなかったのか、防災センター以外の別の場所を想定されているのかについて見解をお伺いします。

【2回目】

3.公共施設再配置

○昼食時の休憩室機能

・現在本庁舎地下と南館に確保していると。しかし南館の3室は机とイスが置かれているだけ、地下は一般の来庁舎の目に止まる場所でもあり、休憩室として十分とはいいがたいと感じた。

・答弁で、労働安全衛生法の規定を引用され、職員の健康確保と疲労回復のための施設、設備の整備は雇用主の責務と考えていると。ならば、監査委員会からの指摘があるとおり、十分休憩ができ、リラックスできるスペースを確保することが大切。

このことが精神面での疲労回復やメンタルヘルス対策の重要な要素となる。

・答弁ではこの趣旨を踏まえ、検討されているとのことなので、検討結果を待ちたい。

いずれにしても、行政需要の変化と施設再配置によって庁舎内全体の見直しも必要になっていると思うので、効率的な配置に勤めていただきたい。

2014年6月議会一般質問:かしば優美「 医療・介護総合確保推進法(案)」の問題点について

「医療・介護総合確保推進法(案)」の問題点について

2014.6.11. かしば優美議員

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して通告通り質問します。

【第1回目の質問】

 今年4月、安倍内閣が国会に提出した「地域における医療および介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」いわゆる「医療・介護総合確保推進法案」が今国会で審議されています。この法案は、多くの高齢者を介護サービスの対象から除外し、入院患者の“追い出し”をさらに強化するものとして大きな問題となっています。

 この内容はご承知のように、2015年度(第6期)から要支援1、2認定者の訪問介護と通所介護を給付からはずし総合事業に移行する、在宅でも施設でも利用料の大幅な負担増、特別養護老人ホームの入所を「要介護3」以上に限定するなど重大な制度後退となるものです。本法案の改正内容等を踏まえて概括的に2点うかがいます。

 第一に、「介護保険制度の持続可能性の確保」が意味するものについて、今年3月議会代表質問でわが党の上原議員の質問に対し当局の答弁は次のようなものでした。「今回の介護保険制度の見直しは、今後2025年に向けて75歳以上の高齢者数が急増するとともに、単身や夫婦のみの高齢者世帯が増加する中で、できる限り住み慣れた地域で暮らせるよう地域包括システムの構築を推進するとともに、介護費用の増加にともなって介護保険料の上昇が見込まれる中、低所得者の保険料の軽減拡大や給付の重点化、効率化により介護保険制度の持続可能性の確保をしようとするものとされています。」これは国の言い分と同じです。

 具体的な改正内容を見ると、給付の重点化とは対象を限定することであり、効率化とは費用の削減であることは明らかです。また「介護保険制度の持続可能性の確保」とはさまざまな困難を抱える利用者や介護現場に視点をあてた見直しでなく、保険財政の事情を何より優先させた考え方ではありませんか。当局の見解をうかがいます。

 第二に、「地域包括ケアシステムの実現」に関してですが、地域包括ケアシステムの実現は、主として提供体制にかかわる課題として打ち出されています。

 国の第6期介護保険制度改正の概要によると、地域包括ケアシステムの実現に向けて、①生活支援サービス事業の充実②在宅医療と介護の連携の推進③認知症施策の推進④地域ケア会議の推進などが地域支援事業の課題として盛り込まれています。特に今回の改正は、「病院や介護施設から在宅」へシフトを強めようとしているのが特徴です。

 例えば医療法の改正により「病院病床の再編」として、病床機能の見直しとそれによる病床数の削減、入院日数短縮があげられて、「入院から在宅へ」の流れを進める。また近年社会的にも大問題になっている認知症について、その原因や有効な治療方法もないにもかかわらず国は、「認知症の人は、精神科病院や施設を利用せざるを得ない」という考え方を改め、「認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会」の実現をめざすとして介護保険の地域支援事業に位置づけるとしています。

 しかし高齢化の進展、貧困・社会的孤立の広がりのもとで、地域の「自助」「互助」の機能そのものが弱体化し、住み慣れた地域で暮らし続けることそのものが困難になっている中、「医療と介護の連携」等といっても本当に地域での受け入れが可能なのかどうか危惧するものであります。高齢者・住民本位の地域包括ケアは、医療・介護、社会保障の公的な充実があってこそ実現すると考えますが、当局の見解を求めるものです。

 2回目以降は一問一答方式で質問を行います。

【以下一問一答方式】

1.要支援1、2認定者の訪問介護と通所介護を給付からはずし総合事業に移行することについて数点うかがいます。

【2・3月議会本会議答弁】
 「事業移行前から既にサービスを受けている人については、その状態像などを踏まえ、ケアマネジメントで必要性が認められれば、事業移行後でも必要に応じて既存サービス相当のサービスの利用が可能となる仕組みが検討されていり、一方事業移行後に新たに要支援認定を受けた者についても、住民が担い手として積極的に参加する取り組みなど多様なサービスの利用を促していく…。」

(1) 今後の要支援1、2の認定そのものがどうなっていくのかという点です。

 現在の介護保険のしくみは、軽度であっても認定と給付が一体のものとして扱われています。ところが「要支援者」を給付からはずし総合事業に移行するとなれば、要支援認定者という存在自体が大幅に減っていくことになるのか。また現在、要支援1、2認定であるが、訪問介護とディサービスしか利用しない人は認定そのものから外れることになるのではないか。今後の要支援1、2の認定に関して当局の見解をうかがいます。

(2) 今回の要支援1、2認定者の訪問介護と通所介護を給付からはずし総合事業に移行することに関して、「今後は人員や運営等にかかる細かな基準は国として一律に定めず、事業の大枠をしばるガイドラインを作成し、その範囲内で市町村による柔軟で効率的な対応を可能とする。」としています。

 ここで問題の一つとなるのが介護サービスの基準です。現制度では介護予防訪問介護の費用単位が全国一律で週一回程度一月額1,226単位、週二回程度一月額2,452単位と決まっています。また介護予防通所介護は全国一律で要支援1-2,115単位、要支援2-4,236単位と定額制となっています。利用できる上限額も要支援1で5,003単位、要支援2で10,473単位と定められており、多くの認定者は上限額の範囲内で各サービスを組み合わせして利用しています。今回仮に利用できる上限額が下げられることになればその分サービスを削らざるを得ないことになってきます。これら介護サービスの基準に関して当局の見解を求めておきます。

(3) 医療・介護団体の調査によると、要支援者の多数が訪問介護、通所介護(ディサービス)を利用しており、訪問介護は一人暮らし要支援者の生活支援、通所介護へは家族介護者の支援において、なくてはならないサービスとして重要な役割を果たしています。

紹介すべきケース

  • 73歳・女性・一人ぐらし
  • 介護認定一要支援2(介護サービスは訪問介護週1回・1hのみ、部屋や風呂掃除、買い物訪問看護週2回-もく浴)
  • 状態像-身体左麻痺している。足は人工股関節いれ何とか歩ける状態(買い物はバスに
    乗って)
  • 今後の希望-せめて週1回通所介護で入浴したい

 サービスの縮小・打ち切りは、在宅生活を困難にし、病状や要介護度の悪化、家族の介護負担の増大をもたらすことになるのではと考えますがいかがでしょうか。

(4) 事業所への影響についてであります。

 今回の改正では事業者を指定(または委託・補助)する場合、訪問型・通所型サービスについては、現在の要支援1、2にかかる訪問介護、通所介護の報酬以下の単価を市町村が独自に設定するしくみとされています。

 その結果、とくに小規模事業所では、「新しい総合事業」を受託できない、受託しても事業単価の切り下げによって収益が大幅に減少することで事業の存続そのものが困難になる恐れがある。また職員にとっては処遇条件の切り下げにつながり、場合によっては事業所の縮小や休止によって失職することにもなりかねないことが指摘されていますが、当局はどのように受け止めているのかうかがいます。

次に、特別養護老人ホームの入所を「要介護3」以上に限定することについてうかがいます。

3月議会本会議で当局は、

 「認知高齢者で常時適切な見守りや介護が必要な場合等のやむを得ない事情により特例的に入所認める方向で検討されている。」「今後も引き続き要介護になっても住み慣れた地域でできる限り安心して生活できるように、小規模特別養護老人ホーム等の地域密着型の施設やサービス付き高齢者向け住宅等の整備に計画的に取り組んでいく。」

と答弁されました。

これに関して

①現在特別養護老人ホームに入所している要介護1、2の入所理由を掌握しているのか?

(注)現在特別養護老人ホームに入所している要介護1、2の入所理由の6割が「介護者不在、介護困難、住居問題等」、二割が「認知症のBPSDその他の理由による判断力の低下、喪失」という調査結果。

②入所定員数とほぼ同数の待機者がある中、「やむを得ない事情」があると認められてもすぐに入所できる保障があるのか?

③「サービス付き高齢者向け住宅」は、そのすべてで必要な医療・介護が提供され、最後まで暮らし続けられる実態なのか?

 それぞれうかがいます。

3.在宅医療と介護の連携の推進についてうかがいます。

 最初の質問の中で、特に今回の改正は、「病院や介護施設から在宅」へシフトを強めよ
うとしているのが特徴であり、地域包括ケアの受け皿として「在宅医療と介護の連携の推
進」などが地域支援事業の課題として盛り込まれていると述べました。ところが実際の訪
問看護等の提供体制はどうなのかであります。

 今年4月更新版による伊丹市介護保険サービス事業所一覧表によりますと、小規模多機能型居宅介護のサービスに加え、必要に応じて訪問看護を一体的に提供する「複合型サービス事業所」わずか1箇所のみ。訪問看護事業所は市内に17事業所があるものの、零細事業所が多く、24定期時間対応巡回型サービスも絶対的不足している現状であること。慢性的な看護師不足という状況。今回の診療報酬改定による在宅訪問診療の診療報酬が減額させられたことにより、病院や診療所が訪問・往診から撤退する動きがでているなど、厳しい状況をどのように認識・改善されようとしているのか。見解をお聞きするものです。

【終わりにあたって意見を述べる】

 介護保険制度は14年前、「家族介護から社会で支える介護へ」というスローガンを掲げて導入されましたが、実際には要介護度に応じてサービス内容や支給額が制限され、スタート当初から「保険あって介護なし」といわれてきました。

 そして現在さまざまな面で「介護の危機」が言われています。介護問題は現在の高齢者だけの問題ではない。年間十万人を超える人が家族の介護のために離職・転職を余儀なくされている中でいまや現役世代をふくめた国民的な課題になっている。

 日本共産党は緊急策として、①特養の抜本的増設に国策を転換すること②現役世代が安心できるために介護の保障と負担軽減③介護労働者の労働条件の改善で、提供体制を強化する④虐待・貧困などへの対応は措置制度で

●具体的例

(1)ケースI

  • 八十歳前後の夫婦と息子の3人暮らし、
  • 介護認定一夫は要支援1(手が少し麻痺している。歩行はOKの状態)
  • 妻は要介護3(重度の認知症で、トイレ・風呂自力では無理、睡眠が不規則
     ↓ 介護サービスは訪問介護週2回、通所介護週3回)
  • 今後の家族介護はますます厳しくなる

(2)ケースII

  • 73歳・女性・一人ぐらし
  • 介護認定一要支援2(介護サービスは訪問介護週1回・1hのみ、部屋や風呂掃除、買い物
  • 訪問看護週2回-もく浴)
  • 状態像-身体左麻痺している。足は人工股関節いれ何とか歩ける状態(買い物はバスに乗って)
  • 今後の希望-せめて週1回通所介護で入浴したい

 この「医療・介護総合確保推進法案」は医療・介護の一体改悪といえるもので、「病院病床の再編」では病床機能の見直しとそれによる病床数の削減、入院日数の短縮があげられています。「入院から在宅へ」の流し込みを強力に推進して、全体として“できるだけ国にとって「安上がり」で効率的な医療・介護提供体制に再編していく構想”であり、市町村が担う地域包括ケア(システムの構築)はその受け皿として位置づけられています。

(3)ボランティアへの代替による専門職の切捨てになる。

○ヘルパーの生活援助は、単に掃除や調理をすることではありません。状態変化の早期発見と対処、リスクの回避、認知症への対応、利用者との時間をかけた関係づくり、信頼の構築や相談援助など、一連の家事を通して生活を総合的にささえる点にその専門性があります。これをボランティアで代替することはできません。「ボランティアでも可能」というのは、介護の専門性を真っ向から否定するものです。

1、予防給付費の伸びを半分に抑えるという大幅な削減目標をかかげ、この目標を達成するため、市町村が新事業を実施する予算には、「介護給付費×○%」などの上限がかけられることについて→諸説明しているが結局介護給付費の押さえ込みが目的でないか。

2、看護師の配置が厚い「7対1病床」については、2014~2015年度の2ヵ年で9万床を減らそうとしていることについて→在宅医療と介護の連携を推進

2、在宅でも施設でも利用料の大幅な負担増

【2・3月議会本会議答弁】

 負担割合が2割になったとしても、高額介護サービス費の仕組みにもとづき利用者負担には月額上限額が設けられていることから、見直しの対象者とする利用者全員の負担が必ず2倍になるものではないとされています。

①年収280万円以上の単身高齢者などのサービス利用料を1割負担から2割負担に引き上げる

○実施された場合、伊丹市内で対象者はどの程度なのか(被保険者と利用者それぞれ)

②施設利用者の食費・居住費を補填する「補足給付」要件に資産を追加

○保険料を支払うことで給付が受けられる社会保険制度に資産要件を導入することがはたして妥当なのかどうか?

日本共産党伊丹市議団ニュース(第280号)を発行しました

日本共産党伊丹市議団ニュース(第280号)はこちら(画像PDFファイル)

 6月議会の日本共産党議員団の質問日程(予定)が決まりました。ぜひ傍聴にお越しください。

  • かしば優美  6月11日(水)
  • 上原ひでき  6月11日(水)
  • ひさ村真知子 6月13日(金)

2014年度兵庫県・阪神地域合同防災訓練への米軍参加の中止を求める申し入れ

2014年5月14日

伊丹市長藤原保幸様

日本共産党伊丹市議会議員団
団長 上原秀樹 
議員 加柴優美 
議員 久村真知子
事務局長 服部好廣 

2014年度兵庫県・阪神地域合同防災訓練への米軍参加の中止を求める申し入れ

 8月31日に南芦屋浜を中心に兵庫県と阪神8市町の主催で実施する合同防災訓練に、米軍の参加を兵庫県が要請していることが明らかとなっています。

 そもそも防災訓練は、甚大な被害をもたらした阪神淡路大震災や東日本大震災の教訓を生かし、今後想定される南海トラフ巨大地震・津波などから住民の生命と安全、財産を守る取り組みの一環としてきわめて重要なものです。

 ところが、兵庫県は、今年度の防災訓練に自衛隊姫路基地を通じ、在日米軍の参加を要請しています。また、去る4月23日付神戸新聞は「在日米軍が始めて参加することが取材でわかった」「オスプレイの投入も調整中だが、今回は見送られる見通し」と報じています。兵庫県は、米軍の参加の理由を、南海トラフ巨大地震では広域災害が想定され、多方面からの応援が必要としています。

 しかし、これは、日本政府と米軍の意向に沿ったものです。すなわち、2013年7月6日付沖縄タイムスは、小野寺五典防衛相が、在日米海兵隊を統括するグラック海兵隊中隊と会談し、「今週にも南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震を想定した日米合同の防災実動訓練を実施することで一致した。MVオスプレイも始めて投入する」と報じていること、また、今年10月の防災訓練への在日米軍の参加を受け入れた和歌山県知事は、「防衛省から在日米軍の協力を得てよいかという打診があり」、オスプレイの活用の打診もあったことを述べていることからも明らかです。先の神戸新聞でも、東日本大震災での米軍による「トモダチ作戦」を踏まえて、米軍は自治体との関係構築をさらに広げる狙いがあると指摘しています。

 兵庫県が必要としていることよりも、震災支援を利用して日米同盟の「深化」を図ろうとする米軍と日本政府の意向に沿ったものといわざるを得ません。

 さらに、どんな被害想定でどんな訓練を行うかも明確になっていない段階で、参加要請の形を取っているのは「米軍参加ありき」と指摘せざるを得ません。

 このような米軍の防災訓練への参加は、県民・市民の厳しい批判をまねがれないものです。

よって、以下のことを強く申し入れるものです。

1.2014年度の県・阪神地域の合同防災訓練への米軍参加は取りやめること。

2.兵庫県、阪神8市町が行うべきは、自治体と住民、消防、警察など関係機関が協力して、震災発生直後の人命の救出と救助、消防等の訓練を積み上げることであり、関係機関や住民の意向も踏まえた防災訓練とすること。
以上

2014年3月議会 本会議 平成26年度一般会計予算・老人等医療費の助成縮減に反対

議案第20号「平成26年度一般会計予算」、議案第51号「伊丹市老人等医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例の制定について」に対する反対討論

2014年3月27日

日本共産党伊丹市議会議員団

日本共産党議員団を代表して、議案第20号「平成26年度一般会計予算」並びに議案第51号「伊丹市老人等医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例の制定について」に対して反対の立場から討論します。

はじめに、議案第20号「平成26年度一般会計予算」についてです。

2014年度の市民をめぐる情勢は、働いている人の賃金が20ヶ月連続で前年同月比マイナスとなるとともに、アベノミクスの金融緩和で、レギュラーガソリンや灯油、ガス・電気代、生鮮野菜、マーガリンや乳製品など生活必需品の価格高騰が続き、2013年の消費者物価指数が前年比0.4%上昇するなど、生活がより悪化する中で迎えようとしています。

その上、国の予算で、70歳から74歳の医療費窓口負担を1割から2割に倍増し、生活保護の生活扶助費を2.5%削減、年金支給額も1%削減など、社会保障の負担増と給付減で国民負担は約2兆円、消費税増税と合わせて10兆円もの国民の負担が増えることになります。兵庫県も、老人医療費・母子家庭等医療費の助成を削減しようとしています。
このように市民の暮らしは深刻になっているとき、伊丹市は市民生活を守る防波堤としての役割を果たさなければなりません。

以下、意見を述べます。

はじめに歳入についてです。市税においては、法人市民税は若干の増とするものの、個人市民税は復興税と給与所得控除の上限設定による増税による増収を見込む一方、個人給与所得や年金所得等では減少するとし、アベノミクスによる市民への悪影響があらわとなっています。

地方交付税では、国は一般財源について、前年度水準を相当程度上回る額を確保したとしていますが、約6000億円の増に過ぎず、新たな社会保障関係費や給与削減分の復活等による1.3兆円の増額を満たさず、総額を抑制するための経費削減を行っており、引き続き「抑制基調」であることには変わりません。伊丹市として、小泉内閣によって大幅削減した地方交付税を以前の水準まで復元することを、引き続き要望していただきたいと思います。

次に問題点について述べます。

第1に、全国緊急防災・減災事業の財源確保の名目に、個人市民税の均等割を500円引き上げ、約9万人に対して4500万円の増税を行いました。国は、法人税に対してはいち早くこの復興税は廃止をする一方、消費税増税と物価の値上がり、所得減少に苦しむ市民だけへの増税は納得できません。

第2に、兵庫県の「第3次行財政改革プラン」に基づく老人・母子家庭等に対する福祉医療助成制度縮減により、伊丹市もこれに従い、それぞれの生活困窮者に対して、合計約17240万円の負担を押し付けようとすることです。丹波市では母子家庭等に対する医療助成は、全額自治体の負担で市民への負担を回避する措置をとりますが、伊丹市としてもそうするべきです。

第3に、中学校給食では、長年の市民の願いが実現することとなり、評価するものです。

しかし、自校調理方式ではなくセンター方式とすること、並びに調理部門等を民間に委託するという「基本計画」を策定されたことは問題といわざるをえません。今後の課題として、一つには、自校方式のメリットを取り入れたセンター方式とするといわれていますが、生徒と栄養士・調理員との交流ができ、給食をつくる人への感謝の心をはぐくむことができる体制を取られること、野菜等の食材の地産地消によって学校と地域をつなぎ、都市農業の発展に寄与できるようにすること、アレルギー対策等安全・安心で、バランスの取れた給食の提供と同時に、生徒の意見を聞いて残食を減らす努力をすることなどを求めるものです。また、調理業務の民間委託に関しては、偽装請負が常態化せざるをえないこと、民間業者の経費削減のために従業員の給料が抑制されることや入札によって事業者が変わることで、安定した調理業務に支障をきたすことから、直営で運営することを強く求めるものです。

また、小学校給食に関して、2時間喫食、二重食缶、栄養士・調理員との交流による食育の推進等充実されることをもめるものです。

第4に、学校教育審議会で議論されている公立幼稚園のあり方に関して、教育委員会の見解をただしたところ、今後引き続き議論がなされるとしながらも、一つには、幼稚園の規模としてⅠ学級20人以上、並びに複数学級が望ましいとして、神津認定こども園を除いた16園を10園に統廃合されようとしていること、また3歳児保育を実施することは難しいとされていることです。幼稚園教育のあり方の問題が十分議論されておらず、10園に統廃合する根拠も3年保育が困難であるという理由も明らかではありません。今までの答申にこだわらず、改めて、今後伊丹市全体の3歳以上の幼稚園教育のあり方を十分議論をしていただき、3年保育を実現するとともに公立幼稚園の統廃合はしないことを、伊丹市子ども・子育て支援事業計画に反映していただきたいと思います。

第5に、国民健康保険事業に対する「法定外繰り出し」の見直しをされたことです。すなわち、従来通りの繰り出し基準による予算化をし、国保会計が黒字の場合、黒字分を一般会計に繰り戻して基金に積み立てる、赤字が生じたときに基金を取り崩して国保会計に繰り入れをするというものです。この場合、赤字になっても国保税は値上げをしないという側面があるものの、高すぎて払えないという国保税の引き下げはしないということにもなります。

2017年度の「都道府県単位化」に向けて国保会計の赤字は生じさせないということを目的としたものですが、たとえば、2013年度に関しては、当年度の値上げ分2億9千万円のうち、2億5,200万円は黒字となる見込みであり、一般会計に繰り戻すのではなく引き下げに使うべきでした。

次に、来年度予算で評価すべき点についてです。

第1に、国の補正予算等の有利な財源を活用して、学校施設大規模改修やプール整備、市営住宅管理工事等公共施設の保全・改修を実施することです。ただ、入札における不調が昨年多発しており、来年度の公正・公平な入札が実施できるのかどうか心配をするものであり、改善を求めるものです。

第2に、(仮称)児童発達支援センター整備事業を予算化されるとともに、荻野保育所の新築移転による耐震化、私立保育所等の施設整備によって275名の認可保育所定員増員をはかるなど、子育て支援策を充実されることです。認可保育所に関しては、2017年度から始まる「子ども・子育て支援新制度」に向け、保育所の待機児童は認可保育所で充足できるように、ニーズ調査の結果を踏まえて必要な増員をはかっていただくこと、小規模保育事業の基準は認可保育所と同基準とすること等、委員会で要求したことの実現を求めるものです。

第3に、自転車安全条例の制定と自転車等対策審議会の設置によって、自転車安全対策を市民と専門家の力を借りて行うこととされたことです。

次に、次年度に向けて主な要望をします。

一つは、安倍内閣による地方交付税の一方的な削減に対して、一般職の給与定昇停止と課長級以上の職員の給与削減を行っていますが、その復元を急ぐことです。

二つには、子ども医療費助成は、通院も含めて中学校卒業までの無料化を検討すること。

三つには、障害福祉に関しては、障害者権利条約の批准に伴い、条約を誠実に履行する立場からの障害福祉計画の策定を求めます。

四つには、農業振興基本条例に関しては、農業も含む産業振興基本条例の策定を求めます。

五つには、小中学校における就学援助では、新入学児童生徒学用品費等は入学前に支給できるように改善を求めます。

以上、主なものに限って問題点と評価すべき点、次年度への要望を述べました。そのほか、本会議・委員会で多くのことを要望しましたが、来年度に十分検討され、実施できる事業等から補正予算等に反映していただきますよう求めるものです。

次に議案第51号「伊丹市老人等医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例の制定について」です。

本議案は、兵庫県の「第3次行財政改革プラン」に基づき、老人・母子家庭等に対する福祉医療助成を縮減しようとするもので、この改正によって、アベノミクスによる生活必需品の高騰、年金と給与引き下げの中で、低所得者層に対する一層の困難をもたらすことになります。よって反対とするものです。

以上、議案第20号並びに第51号に対する反対討論とします。議員各位のご賛同よろしくお願いします。

2014年3月議会:上原ひでき 意見書に対する討論

 3月27日(木)、日本共産党伊丹市会議員団の2014年3月議会に提案した意見書に対する討論は以下の通りです。

 介護保険制度改正に関する意見書、「ブラック企業」根絶へ実効ある施策を求める意見書、集団的自衛権に道を開く憲法解釈は 行わないことを求める意見書、原発の再稼働はやめ、再生可能エネルギー政策に転換することを求める意見書(以上は賛成)、

 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた環境整備及び地域における取り組みへの支援を求める意見書(反対)

2014年3月議会 本会議 意見書討論

日本共産党議員団 上原秀樹

上程となりました意見書案のうち、意見書案第2号から5号までは賛成の立場から、意見書案第6号には反対の立場から意見を述べます。

はじめに意見書案第2号「介護保険制度改正に関する意見書(案)」に対してです。

安倍内閣がすすめる介護保険改定の一つが、「要支援1・2」と認定された人が受ける訪問・通所介護サービスを、ボランティアなどを活用して市町村が行う「総合事業」に移すとともに、要介護認定を省こうとしている問題です。要支援者が受けているサービスは、「訪問介護」と「通所介護」が6割を占め、これらのサービスが市町村の事業になれば、自治体の財政状況によって左右され、どこでも平等に介護サービスを受けられる権利を奪うものです。二つには、年金収入280万円以上の単身高齢者などのサービス利用料を1割負担から2割負担に引き上げることです。三つには、特別養護老人ホームの入所を「要介護3」以上に限定することです。伊丹市でも、昨年8月現在で111名が待機されており、入所を待ち続ける高齢者・家族にとってあまりにも過酷です。このことで、安倍内閣が自ら「介護難民」を増やすことになるものです。

この改定の狙いは、「軽度者」の利用を削減・抑制して、公的介護保険にかかるお金を押さえ込むことにあり、しかしその結果、サービスから締め出された「軽度者」の重度化は、公的費用を更に膨張させることになります。

よって、本意見書案が、拙速な介護保険制度改正を行わないよう求めていることから、賛成とするものです。

次に意見書案第3号「『ブラック企業』根絶へ実効ある施策を求める意見書(案)」についてです。

本意見書案は、不当な雇用管理を行う「ブラック企業」が社会問題となっている現在、労働者や若者を使い捨てにする雇用のあり方を改めるため、相談窓口の設置・拡充と若者への就労支援拡充、「ブラック企業」名の公表、労働行政における監視・指導体制の強化を国に求めるものです。

日本共産党は、国会に「ブラック企業」規制法案を提出しました。その理由は、一つに、若者を「使い捨て」「使いつぶす」働かせ方を放置することはできないからです。いわゆるブラック企業では、採用した労働者を過重な労働に駆り立て、次々に離職に追い込むという、大量採用、大量離職・解雇を前提にした経営が行われ、多くの若者が心と身体の健康を壊して退職に追い込まれていきます。どんな企業であれ、そこで働く人たちの生活と権利、人間としての尊厳が踏みにじられているときに、それを是正することは政治の責任です。二つには、ブラック企業を放置すれば、日本全体の労働条件の悪化をもたらし、日本の企業経営とそこで働くすべての人たちの生活に、大きな被害をもたらすものであり、その規制は日本社会と経済にとっても急務となっています。

よって本意見書案に賛成とするものです。

次に意見書案第4号「集団的自衛権行使に道をひらく憲法解釈は行わないことを求める意見書(案)」についてです。

安倍政権が狙っている「戦争する国づくり」の核心部分が、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認です。政府の「安保法制懇」は、4月にも報告書を提出して6月中にも閣議決定する考えです。

しかし、第1次安倍政権を含む歴代政権は「自衛のための必要最小限を超えるので集団的自衛権を行使できない」との立場を堅持してきました。今の安倍政権がこれを否定すれば自己否定になってしまいます。このため安倍首相は、集団的自衛権行使に関して、自衛権には必要最小限の実力行使の制約があり、その中に入るものがあるかどうか検討しているとしています。しかし内閣法制局は「集団的自衛権は、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処するものではなく、他国に加えられた武力攻撃を武力で阻止することを内容とする」もので、「国民の生命等が危機に直面している状況下で個別的自衛権を行使する場合とは異なる」と説明している通り、集団的自衛権はどう考えても、海外での戦闘参加を可能にするもので、現憲法の下では行使できません。

また、安倍首相は、中国との尖閣諸島の領有権問題や北朝鮮の核・ミサイル開発などを念頭に、解釈改憲の必要性を強調しています。日本が個別的自衛権を行使できることは自明のことです。「安保法制懇」で示された集団的自衛権行使の事例はいずれも「個別的自衛権で対応できる」、米国向けミサイル迎撃は「技術的に不可能」、「政府が自由に憲法解釈を変更できる性質のものではない」との批判が相次いでいます。

では、なぜ、何のための集団自衛権行使容認なのか。安倍首相は何一つ合理的な理由を示していません。

日本政府は1981年5月の政府答弁書で、集団的自衛権の定義を「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力を持って阻止する権利」と規定、いわば「他衛権」といわれ、戦後米国の発案でソ連も賛成して、国連憲章第51条に書き込まれたものです。しかし、国際的には国内法が優先することは常識となっています。

そしてその後、米国、旧ソ連などの軍事大国は、他国に軍事介入するときに「集団的自衛権」の行使を主張してきました。たとえば、2001年からの米国によるアフガニスタン・対テロ戦争には、NATO諸国が集団的自衛権の行使で参戦、79年から89年の旧ソ連によるアフガニスタン侵攻、アメリカのベトナム戦争では、集団的自衛権行使で参戦した韓国は5000人近い死者を出しています。

すなわち、日本政府が集団的自衛権を行使すれば、自国への攻撃がなくても、米国の要請があれば海外で武力行使できることになります。自衛隊が海外で人を殺し、殺されることにもなります。

したがって、集団的自衛権行使容認は、憲法のもとでは許されるものではなく、ましてや、解釈によって憲法を変えることなどできるものではなく、立憲主義を否定するものです。

よって本意見書案に賛成するものです。

次に、意見書案第5号「原発の再稼働はやめ、再生可能エネルギー推進政策に転換することを求める意見書(案)」についてです。

本意見書案は、福島第1原子力発電所の事故によって、いまだに多数の人が避難生活を余儀なくされ、放射能被害が広がっている現状から、安倍政権による原発再稼働をやめ、再生可能エネルギー政策に転換することを求めています。

一方、安倍内閣は、財界と一体になって、原発の再稼働への暴走を開始し、原発輸出の「トップセールス」に奔走し、「成長戦略」に「原発の活用」を明記、そして「エネルギー基本計画案」では、原発を重要なベースロード電源と位置づけ、原子力規制委員会の「規制基準」の7月施行を受けて、泊、柏崎刈羽、高浜、大飯などの各原発の再稼働をねらっています。しかし、どの世論調査でも再稼働反対が多数で、国民の願いを無視して、危険な原発の再稼働を強行することは許されません。

原発による低レベル放射性廃棄物に関しても、すべての原発を今廃炉にした場合にも、49万6000㎥以上になることが明らかにされ、その処分地さえ決まっていません。また、高レベル廃棄物でも、技術自体が確立されておらず、政府が計画する「地層処分」も、めどが立っていません。まさに「トイレなきマンション」といわれるとおりで、原発の再稼働はさらにこれらを増やすことになり、無謀でしかありません。莫大な費用が必要にもなります。

原発事故から3年間の体験は、原発と人類は両立できないことを示しました。原発の危険から国民と地球環境を守るという点からも、国民合意という点からも、どの原発も再稼働する条件はありません。すべての原発の稼働がストップしている今、「即時原発ゼロ」を決断し、ただちに廃炉のプロセスに入ることが、最も現実的な道です。

原発にたよらず、省エネ・節電の徹底と、再生可能エネルギーの大幅導入への抜本的転換の計画を立てて、実行していくことです。エネルギー確保のためには、当面、5~10年程度の期間は、過渡的な措置として、火力による電力の確保が必要になりますが、その間に、再生可能エネルギーの大規模な普及と低エネルギー社会への移行をすすめます。原発推進派は「自然エネルギーは供給が不安定」などとしますが、多様なエネルギーである太陽光・熱、小水力、風力、バイオマス、地熱、潮力などを組み合わせて普及すれば、安定します。

よって、本意見書案に賛成とするものです。

次に、意見書案第6号「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた環境整備及び地域における取り組みへの支援を求める意見書(案)」についてです。

日本共産党は、もともと、オリンピックの東京への招致に関して、石原都政以来、オリンピックを利用して大規模な開発を進めようとしてきた経過があり招致に反対してきました。

しかし、IOCの総会で決まった以上、これを尊重し、スポーツを通じて国際平和と友好を促進するというオリンピック精神の実現に努めるという立場を明らかにしています。同時に、東京招致には内外から様々な不安と疑問の声が出されており、無条件の信任ではありません。

したがって、国立競技場の建て替えに3000億円かけるという話もありますが、オリンピックを口実とした大規模開発はやめるべきであり、今後もしっかりとした監視が必要と考えます。あくまでも、国民生活の向上を図りながら、東京大会を成功させるという見地が大切であり、国民・都民の生活や環境と調和の取れた簡素で無理のない取り組みにすることが大事です。

一方、本意見書案では、国に要望する項目のうち、4項目目に「国際空港機能拡充やアクセス強化に向けた交通インフラの整備」など、「社会基盤整備」を促進する項目があります。このことは、国会の「東京五輪成功決議」にもない項目であり、大規模開発に道をひらくものと言わざるをえません。

したがって本意見書案には反対とするものです。

なお、バリアフリー環境の促進やスポーツ基本法に基づく国民のスポーツ権を保障するための環境整備は、オリンピックに関係なく進められるべきであることはいうまでもありません。今後、オリンピックの準備に向けて、オリンピック憲章の精神と国民・都民の利益を守り、スポーツの民主的発展を促進するために、力をつくしていきたいと思います。

以上、それぞれの意見書案に対する意見とします。議員各位のご賛同をお願いし、討論を終わります。

2014年3月議会 本会議:上原ひでき 特定秘密保護法に関する請願書に対する賛成討論

請願第2号 国に対して「「特定秘密の保護に関する法律」を改めて慎重に審議することを求める意見書」を提出することを求める請願書 に対する賛成討論

2014年3月27日

日本共産党議員団 上原秀樹

 日本共産党議員団を代表して、請願第2号 国に対して「『特定秘密の保護に関する法律』を改めて慎重に審議することを求める意見書」を提出することを求める請願書 に対して賛成の立場から討論を行います。

 この法律は、政府が勝手に特定秘密を指定し、その漏洩に厳罰を科すもので、国民の知る権利を侵害し、言論・表現の自由など国民の基本的人権を破壊し、国家安全保障会議設立と一体で戦争への道を推し進める稀代の悪法です。何よりも、国民主権、基本的人権、平和主義という憲法の基本原則を踏みにじる点で、明らかに憲法違反です。

 この法律に反対する声は、わずか1ヶ月の審議期間でしたが大きく盛り上がり、今も広がっています。呼びかけ人に山田洋次監督ら5人が名を連ねた「反対する映画人の会」には、映画監督の宮崎駿さんや女優の大竹しのぶさん、脚本家の山田太一さんらが名を連ねています。また、ノーベル賞を受賞した白川英樹さん、益川敏英さんなど著名な学者が呼びかけた「反対する学者の会」は、賛同者が約4000人となり、さらに広がっています。

 安全保障上、秘密保護法は必要という声があります。しかし、国家・国民の安全を守るためにはスパイ防止法のようなものがあっていいと主張する小林節慶応大学教授は、「第三チェックをかたくなに拒むところに言い知れぬ不安を感じる。法のつくり方を見ても秘密の対象を列挙した後、その他がついてくるのは対象を恣意的に広げられる」と批判しています。

 情報の漏洩の脅威が高まっているともいわれますが、それには、憲法違反の法律をつくることで対応することではありません。情報漏えいの脅威は、「高度情報通信ネットワーク社会の発展」に起因するもので、これに対処するためには、公的情報の管理の合理化と、情報保全システムの適正化で対応すべきであって、処罰で対応する問題ではありません。伊丹市民にも大いに関係があります。特定秘密を取り扱う自衛隊などの公務員や軍事産業関係の民間事業所で働く従業員は、適正審査が行われ、本人だけではなく家族、親戚友人まで及び、プライバシーが侵害されます。

 このような法律が成立したことで、国連人権高等弁務官事務所は、日本の特定秘密保護法に関して深刻な懸念を表明しました。たとえば「ジャーナリストや市民社会の代表を含め、それが公益にかなうという信念から機密情報を受け取った場合、差し迫った状況に個人が陥ることがない限り、法的制裁から守られるべき」とするとともに、「当局が秘密保護の必要性を確認できる例外的な場合でも、当局の決定を独立機関が審査することは不可欠」としています。日本の場合、特定秘密の指定・監視・検証の機関はすべて内閣総理大臣のもとに置かれており、自分で秘密をきめて自分でチェックするというというものです。

 また、国家の秘密保護には、安全保障と情報へのアクセス権とを調和させた国際的にきめられたガイドライン、すなわち「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」通称ツワネ原則が存在しますが、その作成を率いた財団が「日本の秘密保護法は国際基準を大きく下回る。米国からの圧力は理由にならない」と緊急声明を発表しています。まさに国際的に見ても異常な法律であることがわかります。

 そもそも特定秘密保護法を繰り返し求めてきたのは国民ではなく、米国です。2005年には、日米両国の部隊から首脳レベルまであらゆる範囲で軍事戦略や情報を共有することを日本は約束しました。その際、「秘密保護の追加的措置」、つまり米国の情報が日本から漏れないよう、対策強化を要求されています。

 そして、安倍首相がオバマ米大統領との会談で、特定秘密保護法案は「日米同盟強化を見据えたもの」と説明したとおり、海外で米国と一体に「軍事行動をする国」へ日本を作り変える構想との一環として出てきたものです。日本の国土を守ることとはまったく関係のない集団的自衛権行使の具体的要件等を定める国家安全保障基本法のもとに、国家安全保障会議設置法と特定秘密保護法が位置づけられていることからも、この法律の目的は明らかです。このような憲法にかかわる重大な法律を、わずかな期間で、しかも審議を打ち切って急いで強行採決したことは、異常という以外にありません。法案が可決された後も、請願書に書かれているとおり、共同通信社の世論調査で「廃止する」「修正する」は74.8%を占めており、このまま施行すべきではありません。

 日本共産党はこの特定秘密保護法を廃止することを求めています。しかし、多くの国民が不安に思っている法律を改めて慎重に審議することは、国民に改めてその全容を明らかにすることで、法律の是非も含めた判断を問うことにつながります。よって本請願の願意は妥当と考え、賛成とするものです。

日本共産党伊丹市議団ニュース(第278号)を発行しました

3月議会本日(3/27)最終日10時~

来年度予算案の討論・採決を実施

日本共産党は予算案等に反対

日本共産党伊丹市議団ニュース(第280号)はこちら(画像PDFファイル)

「平成26年度一般会計予算」等に対する反対討論

 日本共産党議員団は「平成26年度一般会計予算」「伊丹市老人等医療費の助成に関する条例一部改正」に反対します。

 2014年度は、勤労者の賃金が22ヶ月連続で前年同月比マイナスとなるとともに、アベノミクスにより生活必需品の価格高騰が続き、生活悪化の中で迎えようとしています。その上、国による医療・生活保護・年金などの社会保障の負担増と給付減で、消費税増税と合わせて10兆円も国民負担が増えます。兵庫県も、老人医療費・母子家庭等医療費の助成を削減しようとしています。

 このようなときこそ、伊丹市は深刻な市民生活を守る防波堤としての役割を果たさなければなりません。

問題点

1、全国緊急防災・減災事業の財源確保の名目で、個人市民税の均等割を500円引き上げる一方、法人税に対しては復興税を廃止し、市民だけに増税をおしつけること。

2、兵庫県の「第3次行財政改革プラン」に基づく老人・母子家庭等に対する福祉医療助成制度縮減に従い、生活困窮者に対して、合計約1740万円の負担をふやすこと。

3、中学校給食実現は評価するが、①自校調理方式ではなくセンター方式とすること②調理部門等を民間委託する「基本計画」を策定したこと。

4、学校教育審議会で①公立幼稚園16園を10園に統廃合しようとしていること②3歳児保育実施困難としていること。

5、国民健康保険事業に対する「その他繰り出し」(法定外繰り出し)の見直しをして、高すぎて払えない国保税の引き下げをしない制度としたこと。

評価すべき点

1、国の補正予算等の有利な財源を活用して、学校施設大規模改修やプール整備、市営住宅管理工事等公共施設の保全・改修を実施すること。

2、(仮称)児童発達支援センター整備事業の予算化と、荻野保育所の新築移転による耐震化、私立保育所等の施設整備によって275名の認可保育所定員増員をはかるなど、子育て支援策を充実したこと。

3、自転車安全条例の制定と自転車等対策審議会の設置によって、自転車安全対策を市民と専門家の力を借りて行うこと。

後期高齢者医療事業特別会計予算に反対

 後期高齢者医療保険料は、2014年度と2015年度の保険料を現行7万5869円から7万6702円(+833円)としました。

 また、厚生年金保険料も平均的受給者で2624円増の年額6万1362円となります。消費税増税と年金引き下げ、医療・社会保険料負担増が高齢者に大きな不安を与えています。

 こういう中で、「後期高齢者負担率」を2012、13年度の10.51%に続き、2014、15年度でさらに10.73%に引き上げ、保険料を引き上げることは高齢者の受診抑制をもたらすことにもなり、反対します。

3月議会に提出されている請願

○特定秘密法の慎重審議を求める意見書提出を求める請願

  • 請願者 「特定秘密保護法」廃止を求める伊丹連絡会
  • 紹介議員 上原秀樹
  • 我党の態度 採択に賛成

○ウィルス性肝炎患者に対する医療費助成拡充を求める請願

  • 請願者肝炎友の会兵庫支部
  • 紹介議員 全会派代表者
  • 我党の態度 採択に賛成

3月議会に提出されている意見書

○ブラック企業根絶を求める意見書

  • 我党の態度 採択に賛成

○原発再稼働をやめ再生可能エネルギー推進を求める意見書

  • 我党の態度 採択に賛成

○集団的自衛権行使を容認する憲法解釈は行わないことを求める意見書

  • 我党の態度 採択に賛成

○介護保険制度改正に関する意見書

  • 我党の態度 採択に賛成

○ウィルス性肝炎患者に対する医療費助成拡充を求める意見書

  • 我党の態度 採択に賛成

○2020年東京オリンピック・パラリンピックにおける環境整備及び地域支援を求める意見書

  • 我党の態度 採択に反対
  • 反対理由 開催自体には反対しないが、それによる大型公共事業誘致等に伴う環境破壊に反対する

次年度に向けての党議員団の要望

1.安倍内閣による地方交付税の一方的な削減に伴い、一般職の給与定昇停止と課長級以上の職員の給与削減を行っているが、その復元を急ぐこと

2.子ども医療費助成は、通院も含めて中学校卒業までの無料化を検討すること

3.障害福祉に関して、障害者権利条約の批准に伴い、条約を誠実に履行する立場からの障害福祉計画の策定をすること

4.農業振興基本条例に関して、農業も含む産業振興基本条例の策定をすること

5.小中学校における就学援助に関し、新入学児童生徒学用品費等は入学前に支給できるように改善すること