2023年6月議会:かしばふみ 一般質問

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2023年6月9日
日本共産党議員団 かしばふみ 

 ただいま、議長より発言の許可を得ましたので、私は、日本共産党議員団を代表して通告に従い、質問を行いますのでよろしくお願いします。

1.新型コロナウイルス感染拡大について

 私は長年、医療従事者として働いてまいりました。その思いでこの質問を行いたいと思っております。

 今回の新型コロナ感染症拡大を通して、地域医療における、公的病院の重要性が浮き彫りになりました。2023年5月8日から、新型コロナウイルスの扱いが5類移行となり、感染が収束したとも思われるような風潮が現在ありますが、季節性のインフルエンザと違い、ワクチンによる予防、以外の治療がしっかりと確立されていないことから、引き続き、感染対策を行っていく必要があると思っています。

 第8波感染拡大時、発熱外来を行なっているクリニックなどが見つからず、見つかっても予約が一杯で直ぐに見てもらえない、高熱があっても自宅で様子を見るしかない等(年末、年始に重なったこともあって)大きな不安を抱えて、危険な状況の中で年末年始を過ごした方が沢山いらっしゃいました。

 今後、コロナの感染拡大に備えての、伊丹市の医療体制について質問します。

 国の方針では、9月末までに幅広い医療機関による、自立的な通常対応を、コロナを理由に診療を断ってはいけない、どの医療機関でも診察を受けられる体制に、との方向ではありますが、発熱など、コロナ感染が疑わしい方が検査や診察を受けられる医療体制は本当に整うのかということです。

 特に私が、一番に危惧しているのは、長期休暇(お盆、正月など)の際の対応について、市民は、きちんと医療が受けられるか、本当に大丈夫か、ということです。

 また、国の方針では、10月に公費支援が完全に廃止されれば、窓口負担やワクチンの負担など自己負担の方向であります。伊丹市の対応は今後どうなっていきますか? 検査や、ワクチン接種の費用負担などについても改めて教えていただきたいと思います。

答弁後 2回目の発言

 新型コロナウイルスの扱いが5類移行後、メディアでもコロナに関する報道は明らかに少なくなりました。伊丹市においては、広報やホームページなどで、コロナ感染に対する予防喚起を引き続き有効に行っていただくようお願いいたします。

2.市立伊丹病院と近畿中央病院(近中)統合再編についいて

 2021年8月1日に伊丹市と公立学校共済組合間で締結された、「公立学校共済組合近畿中央病院跡地活用に関する覚書」が基本になる、ということは変わっていないとのことですが、伊丹市と公立学校共済組合との合意の中で(「近中」の跡地は伊丹市の土地ではない)ことを前提に、病院の誘致は両者が協力して進める方向であるとお聞きしています。

 「近中」の跡地は、取り壊し後は、(土壌汚染なども想定され、)すぐには建設に着手できません。この間、取り壊し後から建設に取り掛かるまで、最低2~3年は必要と想定されると伺っております。この期間は医療空白となると考えます。伊丹市の南部は今後、マンションの建設の動きもあり、人口増加の可能性があります。地域医療の重要性を鑑み、伊丹市の南部を医療空白としないために、次の4点をお願いいたします。

 これは地域住民の方々から出された切実な要望ですのでよろしくお願いします。

  ① (市長の)回答にあった回復期病院の誘致と、複数の診療科を持つ民間医療機関の誘致を、地域の実情に配慮し地域住民が望む形で実現してください。

  ② 医療機関の誘致状況、及び、建築計画を明確に、市民に公表してください。

  ③ 近畿中央病院の閉院後の医療空白を防ぐ手立てを市は責任をもって行い、医療活動を継続してください。

  ④ 市は地域住民に対して、状況説明会を開くとともに住民の声をもっと聴いてください。

以上の要望に対する伊丹市としての見解をお聞かせください。

答弁後 2回目発言

 2つの病院の統合再編により、病床数が、200床以上も減ってしまうということは、地域住民にとっては、入院できるベッドが減ってしまうという思いがとても強いのです。この思いを市の当局にお伝えしておきたいと思います。

 次に、病院統合再編により、新病院は、救命救急センターを備えた、高度急性期医療を提供する病院としては、更なる在院日数の短縮が期待されると思いますが、地域住民の方たちにとりましては、在院日数の短縮は、退院後の受け皿として、次の病院が見つかるか、自宅に戻ることができるのかといった、不安要素でもあります。

 ① 市内の回復期医療施設に移れるのか?医療施設の整備等が、現在進んでいるのか充足しているのかどうか。

 ② 新しい市立伊丹病院が稼働を始めた時、回復期の医療体制はどのように想定されているのか等住民の不安は尽きません。

 市立伊丹病院も、近畿中央病院も現在は伊丹市に於いて、診療活動を継続中で、地域住民にとっては、大切な命の砦です。地域医療を担ってきた総合病院が、地域から無くなってしまうということは、地域住民にとりましては不安でしかありません。答弁にもありましたように、地域住民の声に耳を傾けていただき、説明の機会をぜひ設けていただきたい。そのことをお願いいたしまして、病院の統合再編に関する質問は終わります。

3.高校生世代までの子供の医療費を所得制限撤廃し通院も含めての無料化と、学校給食の無償化を希望します。市の見解を伺います。

 まず、子供の医療費の無料化についてです。

 今年の7月から、伊丹市では、高校生世代までの子供の医療費が、所得制限無しで入院費の無料化が実現することは承知しています。中学卒業までの入院、通院の無料化実施から、わずか1年足らずで今回の経過に至ったことは、子育て中の市民にとっては、大変喜ばれております。伊丹市に於いては、高校生までの入院日無料化に対して約3億円、更に通院も無料化とするのに約2億円の予算が必要とのことであります。

 少子化の中、全国どこに住んでいても、安心して医療が受けられる体制作りが必要であると思っています。引き続き高校世代までの子供の医療費(通院も含めて)の完全無料化を希望いたします。また、学校給食の無償化を求めるものです、

 これについて、市の見解を伺います。

答弁後 2回目の発言

 子供の医療費や学校給食の問題は、社会全体で考えていくべき問題であり、予算の上でも継続した財源が必要となります。

 子どもの医療費窓口無料に対する国のペナルティー(国民健康保険の減額調整処置)について、試案ではありますが、廃止するとの方向が、国から示されていると聞いております。大変喜ばしいことだと思っております。

 また、学校給食の無償化についても、物価高騰の中、伊丹市は食材の費用を補助する等、給食費の値上げをストップ出来ていることなど、対応していただいております。引き続き子育てに係る支援の強化をお願いいたしまして、私の質問を終わります。

2023年3月議会:上原秀樹 代表質問

2023年3月議会 代表質問

2023年3月1日
日本共産党議員団 上原秀樹

 日本共産党議員団を代表して質問をします。私にとっては議会での最後の質問となります。誠意ある答弁をお願いします。

1 市長の情勢認識を問う

(1) 伊丹市にも影響が及ぶ「安全保障3文書」閣議決定について

 市長は提案説明の中で「令和4年は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まったことで、世界中が衝撃を受けると同時に、社会経済構造が大きく変わり、混迷を極めた1年となりました。多くの尊い命が失われていることに深く憂慮し、強い憤りを覚えます。一日も早く穏やかな日々が訪れることを願ってやみません」と述べられました。同感です。ただ、軍事侵攻というより「侵略」です。

 一方、ロシアによるウクライナ侵略を契機に、岸田文雄政権は5年間で43兆円もの大軍拡による「戦争する国づくり」に向かっていることには強い危機感を感じます。伊丹市には二つの陸上自衛隊駐屯地があり、多くの自衛官が居住されています。自衛隊が米軍と肩を並べて戦争する体制が取られようとしている中、伊丹市にとって人ごとではありません。

 岸田内閣が閣議決定した「安全保障3文書」における最大の新たな踏み込みは、「反撃能力」=敵基地攻撃能力の保有ですが、これは歴代政府の憲法解釈に照らして憲法違反です。岸田首相は「3文書」が「専守防衛に徹し、他国に脅威を与える軍事大国にならない」としながら、「抑止力」を高めるとして、他国に脅威を与える敵基地攻撃能力保有に踏み出すのは全くの自己矛盾です。また、敵基地攻撃能力保有は、「日本を守る」ためのものではなく、世界のどこかで米国が行う戦争に、集団的自衛権を発動して、自衛隊が肩を並べてたたかうというのが正体です。すなわち、「日本を守る」どころか日本を全面戦争に巻き込むものとなります。これは国会の答弁でも、浜田防衛省が報復攻撃で日本に「大規模な被害が生ずる可能性がある」とされたことや、核攻撃被害も想定して自衛隊伊丹駐屯地や千僧駐屯地など全国300の自衛隊基地の地下化を進めているところから明白です。

 そこでお聞きいたします。一番リアルな問題として、台湾有事において集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行うことで、伊丹市が、昨年伊丹駐屯地で訓練が行われたPAC3等の先制攻撃の最前線となるとともに、相手国からの報復攻撃の対象になる危険があることを、伊丹市民の安心・安全を守る責任がある市長として、どう認識されていますか。

(2) 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの5類引き下げと伊丹市民への影響について

 市長は提案説明の中で「国では、新型コロナの感染症法上の位置づけについて、季節性インフルエンザと同じ5類への引き下げを決定し、この難局の先を見据えた社会経済活動の再生に取り組もうとしています」とされました。

 5類になると季節性インフルエンザなどと同じ扱いになり、行政の役割は国民や医療関係者への情報提供などに限定されるようになるとともに、感染者の全数把握も、5類化後は季節性インフルと同じように指定された医療機関での把握へと切り替えていく方向です。

 しかし、第5類になると言っても、新型コロナウイルスの性質が変わるわけではありません。新型コロナの感染力は季節性インフルよりはるかに高く、後遺症の重さや死者数の多さも際立っています。季節性インフルの流行が冬季に現れやすいのに対し、新型コロナは2022年も季節を問わず3度も感染拡大の大波(6~8波)を記録し、高齢者を中心に1日当たりの死者数も最多更新が続きました。

 岸田首相は、入院・外来の診療報酬の特例加算や病床確保料など、医療機関向けのさまざまな支援措置についても、段階的に見直すと表明。また、現在は医療費の患者負担分は感染症法や予算措置によって全額公費で賄われ、検査も、医師が必要と判断すれば全額公費負担ですが、5類化後はこうした公費支援を「期限を区切って継続する」とし、一定期間後に廃止する方針を明確にしました。

 日本医療法人協会は1月20日付の意見書で、病床確保料などの支援が全て廃止されれば病床確保が難しくなると表明。公的支援が縮小すれば担い手が減ることは医療関係者の共通認識になっています。尾身茂・政府新型コロナウイルス感染症対策分科会会長も、1月27日の会見で、「5類にしたからといって感染がゼロになるわけではないし、多くの医療機関が自動的に参入するわけではない」と語っています。

 結局5類化によって、医療費負担が増えれば医療にかかりにくくなるとともに、医療機関も担い手不足でひっ迫する可能性が出るということになります。5類化する前に、まず保健・医療体制の強化こそするべきと考えます。

 そこでお聞きします。新型コロナウイルス感染症を5類とすることによる影響を、市民の命、くらしを守る立場にある市長はどのように認識されるのでしょうか。また、市立伊丹病院への影響はどうなるでしょうか。

 また、党議員団が行ったアンケートでは、入院病床の確保、休業補償、有症者を置き去りにしない、PCR検査の充実が上位に上がっています。特に伊丹市においては、市長が提案説明で言及いただいた近畿中央病院跡地への医療機関誘致では、コロナ感染というかつてない感染症の拡大を教訓に、兵庫県に地域医療構想の見直しを求め、急性期病床も含めた医療機関の誘致を求めるものです。見解お聞きします。

(3) 2023年度の経済見通しと岸田政権の経済対策、伊丹市の対応について

 市長は提案説明で、日本の実質GDP成長率の低下等、経済見通しに言及されました。日本は先進国と言われる国の中で経済成長が止まる唯一の国になっています。そこにはGDPの約6割を占める消費購買力が大きく落ち込んでいることにあると考えます。

 厚生労働省が2月7日発表した2022年の毎月勤労統計調査(速報値)によりますと、実質賃金は、前年比0.9%減となりました。物価上昇に賃金の伸びが追い付かず、2年ぶりに前年を下回りました。長期的に見ても、実質賃金は2012年の404.6万円から2021年の384.4万円と、20年間で20万円も減少しています。賃金と経済の長期低迷の上に物価高騰が襲い掛かる、戦後かつてない深刻な事態となっています。

 市長は日本の経済の、この「ゆがみ」の原因はどこにあるとお考えでしょうか。
 私は、アベノミクスがもたらした「ゆがみ」があると思います。一つは、「異次元の金融緩和」の無残な失敗です。非正規雇用の拡大や消費税増税で消費や投資を冷え込ませながら金融を緩和しても、貨幣は実体経済に回らず、経済の好循環は実現しませんでした。二つは、構造的な貿易赤字です。本来円安ならば貿易収支には有利なはずが赤字となるのは、大企業が生産拠点を海外に移転したことにあります。その結果日本の製造業は「空洞化」してしまいました。三つは、「賃金が上がらない国」になっていることです。

 物価高騰で国民の暮らしと中小企業の営業が困難に陥っている原因は、ロシアのウクライナ侵略などの外的要因だけに求められません。市長のお考えをお聞きします。

 岸田政権の物価高騰から国民の暮らしを守る施策が大変不十分な中、市民の暮らしを守るための防波堤になることが伊丹市には求められます。

 党議員団が行ったアンケートでは、国保税・介護保険料引き下げ、公共料金の軽減が上位を占めています。上下水道使用料の基本料金減免は大変喜ばれました。また、小規模事業者への賃料支援も助かったという声を聞いています。再度このような施策を行ってはどうでしょうか。

 以上に対する見解をお聞きします。

2 子育て・若者支援について

 子ども施策において、医療費助成における所得制限撤廃と高校生世代の入院医療費無料化や保育料の軽減、児童くらぶでの昼食提供等の前進面は評価をするものです。医療費無料化ではさらに高校生世代の通院も含めた無料化を求めます。見解をお聞きします。

 子どもたちはこの間、コロナ感染による休校や学級閉鎖、グループ行動の制限、学校行事の中止や延期、制限などのもとに置かれてきました。7人に1人の子どもが「貧困ライン」を下回る状況に加え、コロナ感染と物価高騰が、子どもや保護者の生活、仕事、家計、心身に大きな影響を与えています。

 岸田政権のもとで、この4月には「こども家庭庁」が設置されますが、「子育て倍増予算」と言いながら、倍増されるのは軍事費だけ。掛け声ばかりで具体策は何も明らかにされていません。今まで国は子ども・子育ての予算を低水準のまま放置し続け、GDP比でOECD加盟国の平均以下のまま、高学費、多人数学級、劣悪な保育条件、子どもの貧困などが改善されないままとなっています。この政治を転換し、コロナ感染と物価高騰から子ども・子育て、若者支援を強めていくことが求められています。

 党議員団のアンケートでは、子育て・若者世代では、トップが給食費無償化で、保育料軽減、保育所待機児童解消、医療費無料化とともに高等教育の無償化、給付型奨学金制度の創設、最低賃金引き上げ・時間短縮など働き方改革などが上位に上がっています。高等教育の無償化、すなわち高校授業料の無償化、大学・専門学校学費の半額、入学金の廃止、最低賃金引き上げ等は国・県で実現することを求めていただくことを求めておきます。

 学校給食の無償化は市民の多くの要求となっています。議会において全会一致で国に対して学校給食の無償化を求めるとともに、教育長も国に対して無償化を求められました。全国的な無償化、もしくは負担軽減自治体は以前にも紹介したとおり、83.2%に広がっています。伊丹市もその一つに入っていますが、保護者の負担を軽減するに至っていません。多くの自治体が「臨時交付金」を活用しているようですが、この制度の延長を求めるとともに、独自の財源を含めて伊丹市でも無償化、最低でも負担軽減を改めて求めます。見解をお聞きします。

 さらに、日本は子どもの権利の保障を怠ってきました。日本政府は、国連子どもの権利委員会から、子どもの権利の保障が不十分だという勧告を繰り返し受けています。伊丹市教育委員会は、昨年子どもの権利条約の子ども向けリーフレットを作成されました。長年にわたり要求してきたことがやっと実現されたことは評価します。問題はこれらを活用して子どもも保護者も教師も、子どもにはどんな権利が保障されているのか、学習とともに実践の中でより深い理解を広げていくことが必要です。今年度、作成されて配布されたとのことでしたが、各校ともかなりあやふやな印象がありました。本気になって取り組もうとされましたでしょうか。そして来年度はどのような取り組みを考えておられるのでしょうか。お聞きします。

 また、給付型奨学金の創設、就学援助制度における対象と支給額の拡大も求めるものです。この点でもお考えをお聞きします。

3 安心できる介護保険制度…岸田政権による大改悪の意向について

 介護保険制度は「社会で支える介護」をかかげて導入されましたが、実際には、要介護度に応じてサービス内容や支給額が制限されるなど、スタート当初から「保険あって介護なし」と言われてきました。さらに、自公政権による毎年の社会保障費削減のもと、5年ごとの法改正で、サービス取り上げや負担増の改悪が繰り返され、「介護保険だけで在宅生活を維持できない」状況はますます深刻化しています。給付削減の改悪は、利用者・家族を苦しめるとともに、国民の不信を高め、制度の存立基盤を危うくするだけです。

 そして岸田政権は、今後介護保険制度をさらに改悪しようとしています。
厚労省の審議部会が2024年度の介護保険改定に向け、昨年12月に見直しに関する意見をまとめました。その内容は、①介護保険サービスの利用料2~3割負担の対象を拡大する②要介護1・2の訪問介護、通所介護を保険給付から外す③ケアプランの有料化④老健施設などの相部屋(多床室)の有料化⑤保険料の納付年齢の引き下げ⑥補足給付の資産要件に不動産を追加する⑦高所得者の保険料引き上げなど、負担増と給付削減の7項目があがっていました。しかし、短期間で13万7千筆の介護保険制度改悪中止を求める署名が、厚労省に提出され、今国会では一部結論が見送られました。厚労省は要介護1・2などについては4年先の2027年度改定に先送りするとし、2割負担の対象拡大は、来年度夏までに結論を出すとしています。

 要介護1・2の方から訪問介護やデイサービスをはずしたら、介護を必要としている人も家族も苦難は増すばかりです。現役世代の介護離職は年間10万人にのぼると言われています。家族の介護で、重い負担を抱え自分の夢を諦めざるを得ないヤングケアラーも問題になってきているところです。
 また、利用料が1割から2割に増えたら、利用者の半数以上が「利用を見直さざるを得ない」と言う調査報告があります。介護保険の度重なる制度改悪で、介護家族者がいないと在宅での生活はますます不可能になり、低所得の人ほどサービスが利用できない状況になるばかりです。

 保険料の引き上げについても、介護給付費に連動して保険料が上昇し続ける仕組みのもとで、「年金が下げられた上に、これ以上の保険料値上げで生活できない」との声が出るとおり、高齢者の保険料負担はすでに限界に来ています。しかも来年度は介護保険財政安定化基金からの借り入れで、次期介護保険計画における保険料にその分が上乗せされることになります。つまるところ、介護保険に於ける国庫負担の割合を大幅に引き上げ、保険料割合を引き下げるなど、抜本的に見直す以外にないと考えます。

 そこでお聞きします。

 1つは、これら介護保険制度の改定をどのように受け止めておられるのか、また、国に対する要望・意見は上げておられるのでしょうか。

 2つは、岸田政権は、先延ばしされますが、介護給付から要介護1,2を外す考えです。現在要支援1,2の人に対する「介護予防・生活支援サービス事業」は基本的に地域の支え合いとされており、その担い手が問題となっています。介護給付から外れるため介護報酬が引き下げられ、介護施設にとっても担い手にとっても、介護を受ける人にとってもマイナス面は大きいと考えます。要介護1,2まで拡大された場合の影響をどう予測されるのでしょうか。

 3つは、利用料の負担増に関しても、負担が増すために介護控えが増えるのではないかと危惧するものです。現在要支援1,2、要介護1から5までの介護サービス利用状況で、支給限度額に対する平均利用率はどのようになっており、利用料が増えることによる影響をどう予測されるのでしょうか。

4 生活保護の問題について

 生活保護費の基準額引き下げが2013~15年にかけて安倍晋三政権が段階的に強行されました。生活保護費のうち食費や光熱水費にあてる生活扶助の基準額を平均6・5%、世帯や地域によっては最大10%の引き下げです。これは総額約650億円という、過去最大規模の引き下げとなり、生活保護の利用世帯の約9割に深刻な影響を与えたとされます。

 基準額引き下げは憲法25条に反すると取り消しを求め、全国29都道府県で裁判が起こされ、1000人近くが原告となっています。

 これら裁判に対する判決では、2023年2月10日に宮崎地裁でも下され、裁判長は原告の請求を認め、違法だとして減額処分を取り消しました。減額処分の取り消しを認めた判決は、大阪、熊本、東京、横浜各地裁に続き5件目となりました。

 判決は、2008年以降の物価下落(デフレ)を考慮した「デフレ調整」では、生活保護世帯の消費支出を占める割合が低いパソコンなどの価格下落の影響を「過大に評価した可能性がある」と指摘。それに関する厚労相の判断には「統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を欠く」と述べました。そのうえで判決は、平均で6・5%もの基準引き下げはこれまでになく、約96%の生活保護利用世帯が減額されたため、「その影響は重大」だとしています。

 生活保護費の基準額は、就学援助など暮らしの多くの制度に連動しています。そのため伊丹市でも2013~15年の引き下げで一時期、小中学生のいる世帯などへの支援にも大きく影響しかねない事態となりました。違法な引き下げで多くの国民に苦難をもたらした当時の安倍自公政権の姿勢が厳しく問われます。

 コロナ禍で職を失う人が相次ぐ中で、「最後のセーフティーネット」としての生活保護の役割はますます重要になっています。制度の改善・拡充を急ぐとともに、国民が使いやすい生活保障の仕組みへと抜本的に改定する必要があります。

 そこでお聞きします。

 1つは、生活保護制度は国の機関委任事務なので、一自治体では改善に限界があります。国に対して①最大15%に削減された生活扶助基準を緊急に復元し、物価上昇や生活実態を反映させながら、生存権保障にふさわしい水準に引き上げること、また削減された期末一時扶助や住宅扶助も復元・改善を図ること。②廃止された老齢加算の復活、削減された冬季加算の復元・改善、夏季加算の導入などを進めること。③「保護を利用しながらの大学進学は原則認めない」という行政の対応を見直し、生活保護世帯の子どもが世帯分離なしで大学に通えるようにしたり、虐待などの被害者が制度を利用しながら大学に進学できるよう制度の改善を進めることを求めていただきたいと思います。

 2つには、生活保護は権利であることを市民に知らせることです。何度か要望を行い、「生活保護のしおり」とホームページには「生活保護の申請は国民の権利です」と明記していただきました。しかしこの「しおり」は保護の相談等に来庁された人にしかわかりません。依然として生活保護に対するスティグマが存在する中、他の自治体が行っているようにポスター等によって広く市民に周知することです。

 一方、一昨年までの「しおり」にある「扶養義務者の扶養」の文章に関して、久村議員の質問で国の通知に基づいて改善を要望したところ、さっそく改善をしていただいたことは評価したいと思います。

 以上2点に対する見解をお聞きします。

5 教育に関する問題について

(1) 中学校の部活の地域移行について

 教育長は「伊丹市教育基本方針」の中で、中学校の部活の地域移行について、様々な課題がありますが、子どもたちが将来にわたり、安定してスポーツ活動や文化芸術活動に携わることができる体制を築くために、「休日の部活動の地域移行」に段階的に取り組むとされました。

 スポーツ庁・文化庁は昨年12月、「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」(以下、「ガイドライン」)を発表しました。様々なパブリックコメントが寄せられ、中には部活動の地域移行そのものに批判的な意見が少なくありませんでした。このことは、部活動の地域移行に対する理解や共感の広がりが不十分であることの現れであり、ガイドライン案の「改革集中期間」が「改革推進期間」と修正され、「地域の実情に応じ、関係者の理解の下、できるところから取組を進めていくことが望ましい」と書き込まれることになりました。

 教育長は教育方針の中で「主体性」の育成、「自尊感情」の育成、「子どもの最善の利益」を視野に入れた教育の推進の重要性に言及されましたが、このことを踏まえ、今後も、地域移行を進めるのあたって、教職員、保護者、関係者、何よりも子どもたちの合意形成を大切にしながら、子どものスポーツ・文化要求の実現と教職員の働き方の改善の両方を基本に据えた部活動改革の推進が求められます。そしてそのために、部活動の地域移行にあたってそれぞれの主体にとって展望の持てるビジョンを示すことも大切と考えます。

 そこでお聞きします。

 1つは、「新たな地域クラブ活動」が創設された場合であっても、学校部活動の多くが残ることは明らかです。ここでは、子どもたちの自主的・自発的な活動を中心すえた学校の部活動改革、部活動の顧問のあり方と働き方改革が問題となります。

 2つには、「新たな地域クラブ活動」のあり方に関して、保護者の負担はどうなるのか、指導者の育成をどうするのか、地域クラブ活動への教員の兼職と負担軽減の問題など検討すべき問題があります。

 以上のような課題があると思われますが、今後「伊丹市中学校部活動の地域移行に関する協議会」において進めていくとされますが、今までこれらの課題に関して伊丹市教育委員会がどこでどんな議論をされてこられたのでしょうか。そこには子どもたちの声は反映されているのでしょうか。今後の「協議会」では子どもたちの参加があるのでしょうか。また、子どもたちのスポーツ・文化要求にこたえ、その成長・発達を支えるためには、地方自治体と国が財政的な支援も含めてそれぞれの役割を果たしていくことが重要です。このことも含めた議論のあり方についてお聞きします。

(2) 人権教育の中での憲法学習の位置づけ

 教育長は教育方針の中で、人権教育・学習の推進については、令和4年に改訂した『伊丹市人権教育・啓発推進に関する基本方針』に基づき、切れ目のない人権教育の推進と主体的な学びの場の提供に努めてまいります」と述べられました。

 その「基本方針」には人権の定義として憲法を引用した説明があります。例えば、日本国憲法第11条で、国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられないとされていますが、人権が保障されるのは国籍を有する日本国民だけなのかという問題があります。この解釈の通例は、日本国憲法で保障される基本的人権は、人が人である限りすべての人に保障されるという自然権的思想を基礎としています。すなわち、人権が「人が生まれながらにして持つ自然権」であることから、その人権は「憲法によって国民に与えられる権利」ではなく、「人が生まれながらにして与えられる権利」ということになります。従って、外国人が日本国籍を有していないということをもって人権の保障が及ばないと解釈することはできません。国籍は、国家権力の及ぶ範囲を区別するために便宜上利用している法律上の制度に過ぎず、人権の及ぶ範囲を区別するために作られた制度ではないからです。ですから、憲法における「教育を受ける権利」など、基本的人権の享有主体としての「国民」には日本国籍を有していない「外国人」も含まれるという結論になるのです。ただし、憲法で規定されるすべての人権が日本国籍を有していない外国人に保障されるということではなく、最高裁判決は「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべき」とされています。一方では「国民」の定義は「日本国籍を有する」ということに限るという議論もあります。

 これは憲法解釈の一例ですが、そのほか「選択夫婦別姓」「LGBTQ」など新しい問題にも柔軟に対応できるのが憲法です。それは、日本国憲法が長い間の自由と民主議、基本的人権の発展の上に築かれたものだからです。従って、あらゆる問題を学習する際に、常に憲法の立場に立ち返って考えることが必要と考えます。来年度の人権教育の中心にしたらどうでしょうか、見解をお聞きします。

(3) 改めて「水平社創立100年」の上にたった部落問題解決について考える

 私は昨年の一般会計予算への討論で、「水平社創立」は、封建的身分差別の残滓である部落差別の屈辱と呻吟から人間の誇りを取り戻し、自らを解放しようとしたものです。創立大会では「人間を尊敬することによって自ら解放せん」「人の世に熱あれ、人間に光あれ」とうたいあげました。先人たちは屈辱の歴史に終止符をうとうと挑戦し、戦後民主主義と部落解放運動を背景に「社会問題としての部落問題」の最終段階を見通せる段階に到達しています。ここに100周年を記念する最大の意義があります」と述べました。

 現在は「社会問題としての部落問題」の最終段階にあるというのが私たちの考えです。しかし、差別観念や意識が社会的に通用しなくなってきているほど市民の常識が成熟しているにもかかわらず、そのことが共有されていないのが問題です。過去に確かに存在した差別に固執したり、問題探しをしたりするより、解決の過程と変化の事実を確認・共有することが必要と考えます。
 私たちはもう必要ないと思っていますが、教育委員会が「同和教育」を続けるとするならば、この立場に立つことが求められます。見解をお聞きします。

(4) 特別支援教育の推進について

 教育長は「教育基本方針」の中で、「文部科学省通知において、特別支援学級に在籍している児童生徒特別支援学級に在籍している児童生徒は、原則として週の授業時数の半分以上を目安として、特別支援学級において授業を受けることが示されました。国の方針を原則としつつ、インクルーシブ教育システムの理念に基づき、個別の指導計画を踏まえた指導・支援を行ってまいります」とされました。

 昨年9月、国連障害者権利委員会は、障害者権利条約締約国である日本政府への勧告を示しました。全体で9項目に及びますが、その中に分離された特別な教育をやめるために、障がいのある子どものインクルーシブ教育を受ける権利を認めること、十分な予算を含め、すべての障がいのある生徒が、あらゆる段階の教育において、合理的配慮を必要とする個別の支援を受けられるようにすることなどを指摘されたことによるものと思います。

 障害者権利条約によりますと、インクルーシブ教育とは、単に、障がいのある子が通常学級に在籍する教育を示すのではなく、一人ひとりの発達を最大限保障することを前提にして、誰ひとり排除されない教育ととらえることができます。さらに「他の者との平等を基礎」とすることにおいても、障害のない子どもたちと同じ空間で一緒にいることが「平等」なのではなく、個々の発達の課題に応じた、質の高い教育を受けることが実質的な「平等」であるととらえ直すことができるとされています。

 私はこの間、伊丹市での特別支援学級と通常学級との「交流及び共同学習」において、2人の方から「共同学習」により一時期登校ができなくなった子どもがいることを聞かされました。このような事態が起こった問題点はどこにあったのでしょうか。私は、通常学級の条件整備が不十分であることが一つの原因ではないかと思います。1学級の子どもの人数を20人程度の少人数学級にし、複数担任制にすることで、教員の目がゆきとどき障がいのある子どもへの合理的配慮をおこなうことができます。

 伊丹市として、20人程度の少人数学級の促進を国・県に要望するとともに、市単独で加配教員の配置を行うことも必要ではないでしょうか。なによりも、一人ひとりの発達を最大限保障することを前提にして、誰ひとり排除されない教育を行う最適な支援を追求していただきたいと思います。
 以上に対する見解をお聞きし、1回目の発言とします。

(代表質問2回目の発言)
 答弁をいただいたが、2回目の質問をしたい。

5 教育に関する問題について

(1) 中学校の部活の地域移行について

○「部活動の地域移行」の「地域」について。
○伊丹市としての地域移行の運営形態・主体は伊丹市ということ。今までの「協議会」等での議論の中で、地域スポーツ団体等で地域に受け皿があるかもしくはその可能性があるとされる条件は見受けられたのか。
・休日の地域移行による指導を受けることになるが、平日に指導を受けている教師と地域の指導者の連携はどうされるのか。
○「子どもの声の反映」について
・時期を見定めて、適切な時期にアンケートを実施するとされた。幅広く生徒の意見を聞いてニーズ調査をすることも大切だが、適切な時期に話し合いの場を持つことも必要ではないか。意見交換、話し合いをすることで、子どもにとっても新たな気づきがあるとともに、大人には気づかないことも出てくるのではないか。

(2) 人権教育の中での憲法学習の位置づけ

○憲法を学ぶ、憲法について話し合うことの大切さについて、一つの例を挙げて質問をした。
憲法について学んだことはあるけど、「国民」とは何?と聞かれたら戸惑う人が多いのではないか。
・教育長の答弁では、教育と憲法は切っても切り離せないものであり、人権にかかる学習等に常に憲法がかかわっているとされ、子どもたちが学んだことを実践に移すことの必要性などが述べられた。重要な答弁。

○そこで、改めて「人権教育・啓発の推進に案する基本方針」について
・「人権とは何か」の定義で、「人権は、多くの人々の努力により獲得されてきたものであり、公権力によっても、市民相互によっても、決して侵されてはならないものです」とされています。教育長も答弁で触れられた。しかし、「基本理念」のところを見ると、「公権力」による人権侵害は出てこない。「自己と他者との人権」、人権問題は「全ての構成員の問題」などとされている。これでは、国・県・伊丹市等の公権力が引き起こす人権侵害から目を背けることにならないか、人権侵害や差別を市民間の問題に矮小化させる役割になっているのではないかと思います。これでは真に憲法を学ぶことができないのではないかと考えるが、見解を聞く。

(代表質問3回目の発言)

1 市長の情勢認識を問う

 私は毎回の代表質問で、市長の情勢認識を問うという質問をしてきました。それには理由があります。憲法92条では「地方自治の本旨の確保」という項目があります。それは住民自治と団体自治のことです。すなわち住民自治とは、文字通り住民が地域の政治・政策決定に参加するという意味で、最終的にはその議会が決定するとなっています。団体自治とは、地方政府や地方議会など、国から独立した団体に地方自治がゆだねられ、団体自らの意思と責任の下でなされるという意味を有しています。地方自治体と国は対等平等の関係にあることです。一方、地方自治法では第1条の2で、地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本とするとされています。では、住民の福祉の増進が図れなくなるような事態になったらどうするか、それは国に対して、住民の命や暮らしを守るために、意見を言うということになるわけで、これは市長の大事な仕事ではないかと思います。

 もちろん市長は、全国市長会で意見を出しているとか、場合によっては国に直談判に出かけるとかやられていることは承知としています。

 この立場から、以下意見を述べます。

(1) 伊丹市にも影響が及ぶ「安全保障3文書」閣議決定について

○「国の専管事項」とのいつもの答弁だが、答弁にあるように、市長はロシアのウクライナ侵略から、「市民の命や財産、くらしを守」ることが何より大切と実感されたとされた。このロシアによるウクライナ侵略からどんな教訓を引き出すか、が問題で、結局ロシア対NATOという軍事ブロックのたたかいだということではないか。日本がロシアを抜いて世界第3位、43兆円もの軍事費を持ち日米同盟が中国に対するとしたら、ロシアのウクライナ侵略と同じことをやろうとしていることになってしまう。

 1回目の質問でも述べたが、防衛相の内部文書「自衛隊基地の強靭化に向けて」などによって、伊丹駐屯地、千僧駐屯地等の司令機能の地下化が進められていることは、すでに他国による反撃で伊丹が戦場になることを想定していることになる。そこまで国は考えているのかと驚かざるを得ない。「国の専管事項」などとのんびりしている事態なのか。「市民の命や財産、くらしを守」るために、国に対して市民の命を守る立場から、きっぱりと戦争する国になるなと言っていただきたい。

(2) 新型コロナウイルス感染症、5類引き下げ

 私は、季節性インフルエンザと同じ5類とするのは拙速と考える。それは、依然としてウイルスの感染力は強く、1日100人前後の死者が出ている状況は深刻で、季節性インフルエンザと同じ扱いにできるまで改善されていないから。5類にするとすれば、例えば「医療提供体制はこう整える」などといった政府による具体的な方針と説明が必要です。国民が5類で安心だと思える状況をつくることが先。
 市立伊丹病院にとっては、答弁のとおり、院内感染対策は継続してとり組まざるを得ない。しかし5類化して今まで通りの病床確保等への補助金があるかどうかも不明。

 3月上旬には具体的な方針が出るとのことだが、仮に市民にとって不利益になることが出たなら、市民の命を守る立場からきちんと国に意見は言ってほしい。
 
(3) 経済見通し、岸田政権の経済対策、伊丹市の対応

 市長の答弁と私たちの考えが一致しているのは、物価高騰を上回る賃金の引き上げ。今まで岸田政権の前から、国は企業に対して賃上げを要請してきたが、先の質問でも述べましたが、実質賃金は10年間で年間20万円減少。これがアベノミクスの実態。今まで通りの対策では打開できない。4月からも相次いだ値上げが予定されているが一時的な生活困難世帯等への給付は一定必要だが、根本的な対策にはならない。

 日本共産党が提案している、大企業がアベノミクスの10年間でため込んだ約100兆円の内部留保に一定の課税をし、中小企業への支援で最低賃金を1500円にする等の賃上げ対策、消費税5%への減税が必要と考え、その実現に頑張っていきたい。ご支援を。

3 安心できる介護保険制度

○要介護1,2の介護保険給付はずし

 答弁では、この見直しに積極的な人の意見は、人材や財源に限りがあることを上げている。この問題は、ヘルパー等の報酬が低く、総合事業に移行した場合のヘルパー等の報酬はさらに低く設定されていることにあるとともに、国が財源を増やさないことにある。低賃金・長時間労働、仕事がきつい、などから退職され、介護職を希望する人が減っている。岸田政権は、ケア労働者の賃金を月9,000円の引き上げを行ったが、全産業平均よりも賃金で月7~8万円も低い水準。ケア労働は、専門的知識を身につけた専門職であり、人の命や健康・くらしをサポ-トする重要な役割を持っているのです。もっと評価されるべきと考える。国に対して処遇改善を強く求めていただきたい。

 答弁では、総合事業開始前と開始後の給付の審査件数と給付総額の比較で、利用件数の増加と給付額の減少がみられたのこと。給付額の減少は国の意図するところ。問題は基準緩和サービスで要支援者の状態はどうなったかにある。このために介護度が高くなるというケースはないのか、危惧するところ。時期を見て国に対する要望・意見を上げていただきたい。

○利用料の負担増

 答弁で述べられた要支援者と要介護区分ごとの支援限度額に対する平均利用率をみて、介護度が高くなることで利用率が上がるというのは当然のことながら、意外と利用率は低いと感じた。ただ、2割負担になったことによる利用単位の減少が多少あることは、重い負担のためにサービスを削るということに繋がっている可能性がある。この調査で所得区分ごとの状況がわかればと考えるが、今後調査をしていただきたい。

5 教育に関する問題について

(3) 改めて「水平社創立100年」の上にたった部落問題解決について考える

○答弁は相変わらずのもの。いまだに結婚差別があるとか、インターネット上の差別的な書き込みがあるとか。もちろん全くなくなったとは言ってない。
・最初の発言でも言ったが、差別観念や意識が社会的に通用しなくなってきているほど市民の常識が成熟している中で、過去に確かに存在した差別に固執したり、問題探しをしたりするより、解決の過程と変化の事実を確認・共有することが必要と。
・そもそも答弁にあった「同和問題を身近な人権問題の一つとして掲げ」については、どれだけの市民が身近な問題と感じているとお考えなのか。日常生活の中ではほとんど部落差別がみられなくなっている現在、行政が無理やり身近な問題としているのではないか。こういう考えで同和問題に関する人権教育を進めたら、いつまでたっても差別はなくならないという結論にしかならない。ぜひ考え直していただきたい。

日本共産党伊丹市議団ニュース 水道・下水道料金 1月分まで減免実現

水道・下水道料金の基本使用料
8月から来年1月分まで減免実現

 6月議会で可決された上下水道料金の基本使用料8月から9月分の減免に引き続き、10月から来年の1月分まで減免されることになりました。

 日本共産党伊丹市議団ニュース 2022年8月23日(PDF)

感染と物価高騰から市民の暮らしと営業を守るための要望書を提出しました

 5月20日、「新型コロナウイルス感染と物価高騰から市民の暮らしと営業を守るための要望書」を提出しました。

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2022年5月20日

伊丹市長 藤原保幸 様

新型コロナウイルス感染と物価高騰から市民の暮らしと営業を守るための要望書

 日本共産党伊丹市議会議員団
 上原秀樹 久村真知子

  藤原市長におかれては、新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、市民の暮らしと営業を守るためにご尽力されていることに敬意を表します。

 さて、新型コロナウイルス感染状況は第6波時に比べて一定落ち着いていますが、予断を許さない状況には変わりません。一方、ロシアによるウクライナ侵略等の影響に加え、自公政権の経済政策「アベノミクス」のもとでの「異次元の金融緩和」による異常円安が原材料や燃料などの価格を吊り上げ、食料品などの物価高騰によって新型コロナウイルス感染症の不安に加えて市民の暮らしと営業に追い打ちをかけています。

 よって、市長におかれては、下記の点での緊急対応を行うとともに、6月補正予算において国の臨時交付金と財政調整基金などを活用し、市民の暮らしと営業を守る対策を取られることを要望します。

1.原材料・事業用燃油等の価格引き下げのための助成、もしくは価格高騰に対する中小事業者への助成を行うこと。

2.中小事業者に対する家賃補助など、直接的な支援を行うこと。

3.上下水道料金等公共料金の減額、免除を行うこと。

4.給食費の値上げを抑制するため、食材等の高騰による学校給食への影響を軽減するため助成を行うこと。学校給食費における保護者負担の減額、免除等を行うこと。

5.5月補正(専決)における子育て世帯生活支援特別給付金、非課税世帯等に対する臨時特別給付金に対して、対象の拡大等、伊丹市として上乗せをするなど低所得者世帯への支援を行うこと。

6.総務省による「公立病院経営強化プラン」では、病院統廃合から「経営強化」に重点を移し、コロナ禍で公立病院と急性期病床の役割が重要となったこと等が指摘されている。従って、近畿中央病院の跡地への医療機関誘致に関して、改めて急性期病床を含む医療機関の誘致を検討すること。

7.国に対して次の点を要望すること。

 ①消費税の5%への減税とインボイス制度の中止。
 ②中小企業への支援を行なうことと合わせ、最低賃金を1,500円に引き上げる。
 ③年金の減額中止、後期高齢者医療での2割負担の中止。
 ④男女における生涯賃金1億円の格差を是正するための対策。
 ⑤学校給食の無償化。

2022年3月議会:上原秀樹 代表質問

2022年3月議会 最終日議案質疑

2022年3月
日本共産党伊丹市議会議員団 上原秀樹

ロシアによるウクライナに対する侵略行為に関して

 質問の前に、ロシアによるウクライナに対する侵略行為に関して一言申し上げます。ロシアは24日、一方的にウクライナに侵攻し、すでに同国民に多大な犠牲者が出ています。 これはウクライナの主権と領土を侵し、国連憲章、国際法を踏みにじる、侵略行為です。同時にプーチン大統領が核兵器の使用を示唆するなど断じて容認できません。日本共産党は、ロシア、アメリカ、中国などどんな国であれ覇権主義を許さない立場から、この侵略行為を断固糾弾するとともに、ただちに軍事行動をやめ、撤退させることを強く求めるものです。

 また、一部の政治家が「核兵器の共有」を論じるなどは、唯一の戦争被爆国の政治家の発言としてあるまじき発言であり、世界の核兵器廃絶の流れに背くとともに、ロシア大統領と同類の発想であり、絶対に容認できません。

1.市長の情勢認識について

1)市長の提案説明「国内外の情勢認識」について

 市長は提案説明の中で国内経済について述べられました。

 日本経済に関しては、岸田首相が通常国会の所信で「新しい資本主義」とか「新自由主義の弊害を取り除く」などと述べました。今の日本経済は岸田首相の言う「新自由主義の弊害」によって、経済が成長しない国、賃金が上がらない国、国際競争力が低下した国になりました。「新自由主義」的政策のもとでの働く人の貧困と格差が拡大は、非正規雇用の増大等、低賃金で「使い捨て」労働の拡大をはじめコスト削減を最優先の賃金抑制や無法なリストラがもたらしたものです。その結果、2000年を100とした平均賃金指数は、アメリカが124、スウェーデンが138、韓国が143となっているにもかかわらず、日本の場合は100で賃金は上がっていません。2012年対比でみると、実質賃金は年収22万円減少し、その一方で資本金10億円以上の大企業の内部留保は130兆円増やして466兆円にもなりました。自公政権が行っている「賃上げ減税」は、安倍政権以来2兆円以上の賃上げ減税を行っていますが、その間実質賃金は下がっています。

 さらに、新自由主義のもと、社会保障を削減し続け、「社会保障の自然増」部分を来年度予算では2200億円も削減することになっています。このことによって診療報酬の削減、高齢者医療の自己負担の倍増、年金の削減が行われています。そして消費税のあいつぐ増税が国民に大きな負担を押し付けています。

 その結果、GDP実質成長率では、日本経済の成長が止まった国になりました。2000年を100とした場合の名目成長指数が、日本は2020年が100で成長が止まり、アメリカ、ユーロ圏ともに200で倍になっています。さらに競争力も、1991年には1位だったのが、2021年には31位に下がりました。

 すなわち、新自由主義による、貧困と格差の拡大という人に冷たい経済政策が日本経済を停滞に押しやったと言えます。日本共産党は、人にやさしい経済の方が結局は経済成長もするし、パンデミックにも強い経済になると考えるものです。そのために、正規雇用が当たり前の労働法制に変え、中小企業に支援をして最低賃金を時給1500円以上にして賃金を引き上げる、社会保障の抜本的拡充、消費税の減税を提案しています。

 日本経済における「新自由主義の弊害」と市長に渡しています日本共産党の政策に対する見解をお聞きします。

2)9条改憲、「敵基地攻撃能力」「反撃力」と伊丹の自衛隊基地について

 岸田政権は戦後初めて、「敵基地攻撃」能力の保有について検討を進めるとともに、岸防衛相が他国領空内に自衛隊機が侵入して爆撃することも「排除しない」と答弁、また相手の基地に限らず、指揮統制施設や通信施設などへの攻撃を含む「反撃能力」=戦争遂行能力の保有にも言及するなど、憲法が禁じた戦争につながる危険なたくらみが浮き彫りになっています。そして憲法との矛盾を突破するため、9条改憲で名実ともに「戦争する国」に日本をつくりかえようとしているのが、自公政権とカッコつきの「野党」の人たちです。

 今、台湾をめぐる米中の緊張が激化しています。日本は日米同盟にとって死活的問題だなどと言って、アメリカの対中国戦略に積極的に加担し、そのための実働演習などを頻繁に行っています。その一つが昨年12月に伊丹駐屯地で行われた日米方面隊共同指揮所演習=ヤマサクラ81でした。すべて米軍が指揮を執り、米軍の対中戦略に自衛隊を巻き込む訓練です。そしてその場合の反撃対象は米軍基地であり伊丹駐屯地のような自衛隊基地ということになります。

 日本共産党は、この問題で最も抑制すべきことは、軍事対軍事の対立と軍備拡張競争の悪循環であり、最も推進すべき道は、どんな国であれ覇権主義は許さないという立場にたって、平和手段による問題解決を図ることであると考えます。注目すべきことは、2011年にインドネシアのバリで開催された東アジアサミットで「バリ原則」という政治宣言が調印されていることです。ここには武力行使の放棄、紛争の平和的解決などの諸原則が入り、アセアン諸国10カ国とともに日本、中国、韓国、米国、ロシア、インド、オーストラリア、ニュージーランドが参加してすべての国が賛成しています。この宣言を条約にするため、憲法9条を持つ日本がその先頭に立つことが求められています。

 ロシアのウクライナ侵略という事態の中で、日本が他人ごとではなく、「戦争する国」にまい進するのではなく、この時期にこそ「バリ宣言」の報告に向かう努力をすべきと考えます。

 市長の見解をお聞きします。

2.新型コロナウイルス感染症対策について

 市長は提案説明の中で「新型コロナウイルス感染症対策を最優先事項として、…今できる最善の取り組みを迅速かつ的確に実施してまいります」と述べられました。

 今、高齢者を中心として第4波、第5波を上回る死者数など、コロナ危機は始まって以来の深刻な事態にあります。全国知事会の2月15日「緊急提言」の通り、オミクロン株の特性に応じた保健医療体制の構築や社会活動の継続への対応を検討し、その全体像の見直しも含め、全般的な対応方針を明確にすること、一部地域で深刻な医療ひっ迫を招いている現状を踏まえて、危機的状況が国民に正しく認識されるよう、国として強く発信することが求められます。

1)PCR検査体制について

 今まで議会の度に「いつでも、誰でも、無料で検査を受けることができる体制」を求めてきました。市内10か所の薬局で無料検査を行っていますが、検査キットがなくて検査が受けられない人がおられます。検査キットは十分届いているのでしょうか。また、「濃厚接触者かもしれないから」という人も来られるそうですが、防護もマスクのみという不十分な状態で、立会人という役割を果たさなければなりません。通常業務に手が回らないときもあるとお聞きします。今の状態で薬局が検査を担うことに無理が生じているのではないか、県の管轄ですが当局はどのように認識されているのでしょうか。実態を聞いて改善すべきことは改善をするよう県に求めるべきですが、見解をお聞きします。

2)子どもとその関連施設、保護者への対応について

 就学前施設や学校での学級閉鎖、学年閉鎖、休校が相次いでいます。

○ その場合、一つは、様々な職種の会計年度職員への連絡も休校等の連絡がされると思いますが、学校等への出勤の有無はどのように連絡されるのでしょうか。仮に出勤の有無が不明確の場合、賃金はきちんと補償されているのでしょうか。また、会計年度職員が濃厚接触者となった場合や感染の疑いがある場合、感染が確認された場合、また小学校、幼稚園、保育所、特別支援学校の休校等に伴い会計年度職員が子どもの世話を行うため勤務することができない場合の休暇の扱いと賃金の補償についてもお聞きします。

○ 二つには、厚生労働省が2月8日、新型コロナウイルス感染の影響で保育所が休所となった子どもを他の園や公民館などで預かる「代替保育」を確保するために新たな財政支援策を発表したことについてです。医療や福祉、介護といったエッセンシャルワーカーの確保のためにも、代替保育の拡充が、急務となっています。厚労省は利用者負担についても財政支援で負担がないようにするとしています。ぜひ伊丹市でも早急に実現をしていただきたいと思いますが、見解をお聞きします。

3.気候変動危機の打開に向けて

 この問題では12月議会で岸田政権の温暖化対策の問題点を指摘するとともに、日本共産党の気候変動危機打開の2030戦略を紹介しました。同時に、伊丹市として「気候非常事態宣言」「2050年ゼロカーボンシティ宣言」をすることを求めました。答弁では、脱炭素社会の実現に向けた環境施策を積極的に推進し、その基盤を築いてまいりたいとされましたが、環境基本計画の見直しとともに検討するとのことでした。

 一方環境省の資料によりますと、2月28日現在で「2050年ゼロカーボンシティ宣言」を何らかの形で表明した自治体が598自治体、日本の総人口に占める割合は90.7%に達しています。阪神7市1町の中では5自治体が宣言をしています。

 環境基本計画の見直しの中で、着実に計画として具体化することは否定するものではありませんが、計画の見直しにあたって「2050年にカーボンゼロをめざす」ことを宣言することで、市民に対しても伊丹市の姿勢が伝わり、市民ぐるみでカーボンゼロをめざす機運も生まれてきます。

 改めて「気候非常事態宣言」「2050年ゼロカーボンシティ宣言」をすることを求めるものですが、見解をお聞きします。

4.教育行政について

1)改正民法施行により成年年齢が18歳に引き下げにかかわって

 今年4月から改正民法施行により成年年齢が18歳に引き下げられます。既に18歳投票権が付与されていることも踏まえ、改めて中学・高校における主権者としての教育や自己決定権の拡大に伴う法的・社会的教育が求められてきました。18歳になったら親などの同意を得なくてもクレジットカードやローンなどの契約をすることが可能になります。しかし、人間は18歳の誕生日を迎えたら突然何もかもが成熟して「子ども」から「大人」になるわけではなく、年齢で画一的に扱う法律のほうが、人間の実態に即さない不合理な存在ともいえます。

 年齢引き下げは自己決定権を拡大する積極的な意義がありますが、成人年齢の引き下げにともなって若者の消費者被害の拡大や、罪を犯した少年の立ち直りへの影響などを懸念する声もあり、これまでより早く“大人”になることについて、親世代も含めたすべての世代で意識を高めていくことが課題となるとともに、教育の果たす役割は大きいと言えます。

 そこで、伊丹市の特に高校の教育では、今までどのような金融教育や消費者教育などを行ってこられたのか、その成果をどう認識されているのかお聞きします。

2)次に主権者教育はどのように進んでいるのかについてです。

 18歳選挙権を実現する改正公職選挙法は、2015年6月19日に公布され、2016年6月19日に施行、同年6月22日から適用されました。以降、様々な選挙が行われてきましたが、その投票率を調べたところ、前回2019年県会選挙では、全体の投票率が40.14%に対して、10歳代が28.01%、20歳代が21.84%、同市議会議員選挙では、全体が40.39%に対して、10歳代が24.74%、20歳代が19.82%、同年参議院選挙では、全体が48.12%、10歳代が31.13%、20歳代が31.74%となっています。
 なぜ投票率が低いままなのか、なぜ政治に関心がわかないのか。もちろん教育だけではなく、様々な要因はあると思いますが、教育委員会としてこの投票率の結果を見て、この6年から7年間、18歳選挙権が施行される公職選挙法改正以降の主権者教育をどのように評価されているのでしょうか、お聞きします。

 いくら投票の方法を学んでも、政治に関心が湧かなければ投票行動には結び付かないのは言うまでもありません。

 このような中で、若者たちはどのような社会意識を持っているのでしょうか。日本財団「18歳意識調査」の2019年11月「第20回社会や国に対する社会意識調査」は、インド、インドネシア、韓国、ベトナム、中国、イギリス、アメリカ、ドイツと日本の17~19歳各1,000人を対象に国や社会に対する意識を聞いたものです。この結果、「自分を大人」、「責任ある社会の一員」と考える日本の若者は約30~40%と他国の3分の1から半数近くにとどまり、「将来の夢を持っている」、「国に解決したい社会課題がある」との回答も他国に比べ30%近く低い数字となっています。さらに「自分で国や社会を変えられると思う」人は5人に1人、残る8カ国で最も低い韓国の半数以下にとどまり、国の将来像に関しても「良くなる」という答えはトップの中国(96.2%)の10分の1。全体に途上国、欧米先進国のいずれと比べても数字の低さが際立つ調査結果となっています。

 なぜ日本の若者の政治・社会意識が他国と比べて低いのでしょうか。日本の政治・社会状況とも関係していると思われますが、民主主義を前進させ、主権者としてその担い手を育てる教育の課題とは何か。今の教育にかけているものは何かについて、次の点を踏まえてお聞きしたいと思います。

 教育長の「伊丹市教育基本方針」では、確かな学力の育成について「これまでの取組により、全国学力・学習状況調査での…一定の成果は上がっているものの、思考力や表現力、学びに向かう力、多様な教育的ニーズのある児童生徒への対応に課題があります」とされました。このようなことから、これまでも実践されてきた学びとして「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に推進するとのことです。これらは全国学力・学習状況調査、いわゆる「全国学力テスト」の結果を重視することから出発していますが、PISA学力論を経由しての「資質・能力」論とそれと結びついた「コンピテンシー」論は、経済協力開発機構が行う国際学力調査の枠組みの基本であり、人間形成の視点から、学力と人格を、政治と経済の戦略に沿って管理・方向付けるものではないか、「コンピテンシー」に関しても、将来の労働力=人材に求められる能力を設定し、その達成のスキルを課するという性格となっているのではないかと思います。もちろん、社会に出て働く上での能力形成は必要なことですが、先ほど述べたPISA学力論が中心になることによって、民主主義を前進させ、主権者としてその担い手を育てる教育、地球環境問題や社会の格差・貧困問題、コロナ禍のもとでの生存権保障、ジェンダー平等、世界の紛争や戦争阻止などの課題にどう対処するのかの集団による知恵の探求が後景に押しやられることになっているのではないか、このことの積み重ねが若年層の投票率低下につながっている一つの要因ではないかと考えます。

 見解をお聞きします。

3)保育環境評価スケールについて

 保育の実践的指導力の向上に関して教育長は、「保育環境の指標を示す『環境評価スケール』を完成させ、全ての幼児教育・保育施設において環境を通した幼児教育のあり方を共有してまいります」と述べられました。保育環境評価スケール研究会のホームページでは、「保育環境評価スケールとは、どんな集団保育の場(幼稚園、保育所、子ども園)であっても共通する、こどもの基本的なニーズに注目し、それらがどの程度満たされているかを測定する『尺度=物差し』」であり、保育の質の向上のための一つのツールであるとの説明がされています。「かわにしひよし保育園」の実例が掲載されていますが、ここでは3歳以上の評価スケールは35項目で、12人の評価者が評価シートを使って1項目ずつ、二人の保育士と22人の3歳児を観察・評価するやり方です。そこでお聞きします。

○ 伊丹市は評価シートをこれから作成・完成させるとされていますが、40項目前後の評価項目で評価し、そのことを通して幼児教育のあり方を共有することは大変な労力が必要になります。評価を受けた保育士が次には評価する側になり、次々と評価をする施設を増やすということになろうかと思いますが、今の保育士体制でそのような余裕があるのでしょうか。

○ 全ての幼児教育・保育施設が対象とされていますが、保育所の場合、そもそも保育士配置と面積等の保育基準は満たしているものの、約70年前の基準であり、4,5歳児30人に1名の保育士配置という条件下での評価で、一人ひとりの子どもにどれだけ寄り添えるのかという前提が成り立ちにくいのではないか。この環境評価を行う中でこそ、保育士配置基準の見直しの必要性が明らかになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○ 障がい児への特別支援教育、統合保育の視点はどのようにされるのでしょうか。特別支援教育というのは決して特別な子どものための教育ではなく、どの子どもにも必ず発達の凸凹があります。学習や社会生活に支障が出る子ども、大きな凸凹がある子どもに関しては発達障害という診断名が付くかと思いますが、小学校に上がって初めて診断名が付いたけど、実は幼児期から困っているということもあります。どのようにされるのでしょうか。

 以上、3点についてお聞きします。 

5.病院統合再編、地域医療体制の整備について

 市長は、近畿中央病院の跡地への医療機関誘致に関して、「兵庫県地域医療構想では、回復期病床の確保も重要な課題と位置付けられていることから、回復期機能を有する民間医療機関が誘致できるよう、昨年8月、公立学校共済組合と近畿中央病院跡地の活用に関する覚書を締結し」たことに触れられました。今後、共済組合や兵庫県、医師会等関係機関との協議を急ぎ、近畿中央病院閉院後、医療空白をできる限りなくす方向での誘致にご尽力いただくことを改めて求めておきます。

 兵庫県地域医療構想に関してですが、新型コロナウイルス感染症パンデミックを通じて見直すべきではないかと思います。新たな感染症がコロナウイルスで終わるとは限りません。感染患者を受け入れたのは高度急性期、急性期病床を持つ病院です。その病院では感染病床を確保するためにあらかじめ空床として確保するとともに、そのために感染患者以外の入院を制限せざるをえませんでした。そのため医療がひっ迫する事態を招きました。

 一方、地域医療構想では、急性期病床を減らし、高度急性期と回復期病床を増やすものとなっています。阪神北準圏域においては、2014年の高度急性期と急性期病床の合計が3,486床、2025年のその必要病床数は合計2,387床で、1,099床も減少させる計画です。ところが2040年の必要病床数は合計2,550床で、逆に2025年対比で163床増やすものとなっています。短期間に急激に減少させた上に次には増床を図ることなど、莫大な経費が必要な病院の病床数をコントロールすることは困難です。コロナ感染パンデミックを経験していることから、これ以上高度急性期、急性期病床を減らさず、それに見合った医師・看護師などの病院職員を増員する方向に転換すべきと考えます。その上に立って、近畿中央病院の跡地への医療機関の誘致は、回復期だけにこだわらない医療機関を誘致する方向で、関係機関と協議を進めていただきたいと思います。見解をお聞きします。

6.条例の制定に対して

1)議案第24号 伊丹市教育に関する事務の職務権限の特例に関する条例等の一部を改正する条例の制定について

 本条例は、昨年9月議会での条例制定において博物館の管理を教育委員会から市長に権限を委譲したことに続き、今回、文化財の保護に関する権限も教育委員会から市長に委譲しようとするものです。同時に、伊丹市にぎわい創出基金条例を改正し、その条例に「文化財の保護及び活用」を加えようとするものです。その基金条例の目的は、「文化の振興,良好な景観づくり、地域経済の活性化等による、まちのにぎわいの創出を図る」こととされています。

 博物館の権限移譲に関しては、博物館を含むミュージアム全体が社会教育施設の位置づけがなされ、社会教育の適切な実施を担保することができるとの答弁をもって賛成をしました。

 一方、文化財保護に関しては、第3次教育振興基本計画の中でも「関係団体と連携・協力し、郷土の歴史や民俗に関する資料の収集・保存に取り組み、調査研究を推進します」とされ、このことから博物館の権限を市長に委譲する際、教育委員会の職務権限のうち「文化財の保護に関すること」は教育委員会の管理として残したものでした。今回、にぎわい創出基金条例の改正とも相まって、文化財の保護における資料の収集・保存、調査研究部門が観光・にぎわいの後景に退いてしまうのではないかと危惧するところです。教育委員会の見解をお聞きします。

2)議案第28号 一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の制定について

 本条例は、昨年の人事院勧告に基づく国家公務員の給与改定に基づき、第1条において一般職員の6月12月期の一時金を、年間4.45月を4.3月に、0.15月減額するとともに、再任用職員も年間2.35月を2.25月に、0.1月減額しようとするものです。これは昨年の人事院勧告そのままの数字となっています。

 職員のみなさんは新型コロナウイルス感染症対策で奮闘されている最中にあり、その奮闘にふさわしい賃上げを求めているのではないでしょうか。原油価格の高騰によるガソリン等の物価の値上がりも生活に大きな影響を与えています。この時期に職員の給与を減額することに疑問を感じざるをえません。

 なぜこの時期に給与減額なのか、また具体的に一般職員と再任用職員において平均して年間いくらの賃下げとなるのか、さらに一般会計全体での減額はいくらになるのかお聞きします。

(2回目の質問)

4.教育行政について
2)主権者教育はどのように進んでいるのかについてです。

○ 伊丹市教育委員会が子どもたちに身につけようとしている学力と、伊丹市などの身近な社会及び国内外の社会問題に目を向け、主権者として社会に働きかけ、民主主義の担い手となる教育について、選挙における若者の投票率の低さに注目して、教育のあり方について質問をしました。

 先ほど紹介した調査や統計で、伊丹市をはじめ日本の若者の投票率が低いことも、政治・社会意識が低いことも統計上事実である以上、教育に限らず、どこかに原因があると思います。

 では教育には問題がないのでしょうか。答弁では、様々取り組みが述べられましたが、その教育が先ほど述べた地球環境問題や社会の格差・貧困問題などの課題に対する社会・政治的意識と結びついていないのではないか。学校教育の場でも、他の場所でも日常的に話し合う文化が育っていないことがあり、それがまた、社会・政治意識を間近にとらえて、深めさせえない悪循環があるように思います。

 もちろん全面的に否定的な面だけではなく、かつての安保法制の時には多くの若者が国会前に集まったり、今では気候変動危機に対して立ち上がったり、女性への性暴力に対する「#Me Too運動」など少なくない若者が行動に参加されているのも事実です。直接国会前での集会に参加するなどの行動に結びつくかどうかは別として、何かのきっかけによって社会的・政治的に目覚める場面がある一方で、それが日常化できていないのは、やはり今の教育に足らないものがあると思いますが、教育長の見解をお聞きします。

6.条例の制定に対して
1)議案第24号 伊丹市教育に関する事務の職務権限の特例に関する条例等の一部を改正する条例の制定について

 今まで教育委員会が所管していた文化財保護に関する事業について、文化財保護法を引用して、その事業内容を答弁されました。なかでも専門職員による地域や学校で向いた学びあいの場の提供は、調査・研究・保存という社会教育活動として大変重要な事業です。

 問題は、文化財保護に関する権限が市長に委譲されるにあたって、今までの文化保護行政の位置づけが担保され、発展させられるのかどうかです。文化財保護における権限は、とりわけ収集・保管・展示・教育・調査・研究という基本的な機能は市長の権限とは分離され、市長の権限に束縛されない、自由で自律的な学芸活動として展開されてきました。保管や展示は博物館とともに行われてきましたが、これらは明確な教育活動であり、教育委員会の権限とされてきた由縁です。このことが市長の権限に委譲することで担保できるのでしょうか。

 また、このことと関連して、一昨年5月に施行された「文化観光推進法」による博物館事業への「文化観光」概念の導入で、博物館、文化財保護に関する事業が観光を目的とするものにシフトされる危険性がありますが、どうでしょうか。

 さらに、文化保護行政には、調査・研究等に携わることのできる正規職員としての学芸員等の十分な専門家及び事務担当者が必要であり、そのための財政措置は行われるのでしょうか。

 以上に対して、市長若しくは市長部局担当部長に対してお聞きします。

 

日本共産党伊丹市議団ニュース 第393号 身近な人から「新型コロナウィルス感染症と診断された」と連絡あったら

日本共産党伊丹市議団ニュース 第393 号 2021年2月1日

新型コロナ・「オミクロン株」感染拡大関連情報を提供。

 日本共産党伊丹市議団ニュース 第393号 1・2面(PDF)

[1面]

日本共産党伊丹市議団ニュース 第393号 1面

 日本共産党伊丹市議団ニュース 第393号 1面(PDF)

[2面]

日本共産党伊丹市議団ニュース 第393号 2面

 日本共産党伊丹市議団ニュース 第393号 2面(PDF)

日本共産党伊丹市議団ニュース 第392号 「オミクロン株」対応で市長に緊急申し入れ

日本共産党伊丹市議団ニュース 第392号 2021年1月17日

新型コロナ・「オミクロン株」陽性者急増に対し
党議員団が市長に緊急申し入れ

 日本共産党伊丹市議団ニュース 第392号 ダウンロードはこちら(PDF)

新型コロナ・「オミクロン株」陽性者急増に対し
党議員団が市長に緊急申し入れ

1月17日、党市議団は市長に対し、以下の申し入れを行いました。

伊丹市長 藤原保幸 様

新型コロナウイルス感染症・オミクロン株陽性者の急増に関して
市民の命と健康、暮らしを守るための緊急申し入れ

日本共産党伊丹市議会議員団
上原秀樹 久村真知子

 日頃からの新型コロナ感染症対策のご尽力に感謝します。

 新型コロナウイルスのオミクロン株が、世界各国で急速な感染拡大を引き起こし、日本国内でも感染急拡大中です。伊丹市においてもここ数日急速に陽性者が増加しています。

 日本共産党伊丹市議会議員団としては昨年11月、2022年度予算要望の中で、第6波に備えてワクチン接種を安全で迅速に行うとともに、PCR検査を拡大すること、医療・保健体制の強化、中小業者に対する補償の充実などを申し入れていました。

 第6波の状況を呈していることから、改めて以下の点を緊急に申し入れるものです。

1.3回目のワクチン接種に関しては、当初の「2回目接種以降8カ月の経過後接種」を前倒しして接種が行われています。改めて、慢性疾患を患っている人や高齢者・障がい者(児)施設、学校、保育所・幼稚園・認定こども園など子ども関連施設等の職員・従事者を優先して接種するとともに、若い人も含めた64歳以下の市民も可能な限り前倒しして行うこと。国に対してそのために必要なワクチンを求めること。

2.オミクロン株が急速に感染を広げていること、無症状の感染者が多数存在することから、感染の根を断つためにPCR検査を高齢者・障がい者(児)施設、学校等子ども関連施設における定期的な検査を行うこと。兵庫県が行っている「感染拡大傾向時の一般検査事業」抗原定性検査の実施期間を2月以降も延長するとともに検査場所を増やし、「いつでも、誰でも、無料で」受けることができるように県に要望すること。伊丹市としても無料で検査キットを希望者に配布するなど、独自の施策を行うこと。

3.感染者は入院か宿泊療養を原則とすることを国に求めることとともに、国や県、医師会とも連携してコロナ病床と宿泊療養所を大幅に確保すること。また、急速な感染拡大に対応するために職員の増員等保健所体制を強化することを県に求めること。

4.住民税非課税世帯等への臨時特別給付金に関して、家計急変で申請の可能性のある市民に対して、丁寧な周知と申請への積極的な奨励と支援を行うこと。生活保護世帯における均等割り課税世帯に対しても申請が可能となるよう援助を行うこと。

5.飲食店等への入店制限やイベント制限等、今後の感染防止措置等によって影響を受ける飲食店や事業者に対して、市独自の補償や支援を検討すること。

 

伊丹市の新型コロナワクチンの3回目接種について

(詳細は市のホームページを確認ください)

  新型コロナワクチンは、接種後の時間経過とともに、ワクチンの有効性や免疫原生が低下することから、2回目接種から原則8か月以上経過した18歳以上の方を対象に3回目接種を行います。

 ただし、医療従事者等や高齢者施設等の入所者及び従事者は6か月後、その他の65歳以上の高齢者は7か月後から接種可能です。
※高齢者の方は、本年2月以降に2回目接種から7 か月以上経過した後に追加接種を実施することが可能です。

 上記前倒しに伴い、昨年12月24日から高齢者施設での接種を開始しています。
また、下記のとおり2月1日から集団接種会場での接種を開始します。

2月1日から集団接種会場での3回目接種を開始します

 国の高齢者等の前倒し接種方針を踏まえ、武田/モデルナ社製ワクチンを使用して3回目接種を行う集団接種会場を伊丹市立産業振興センター4・6階(伊丹市宮ノ前2丁目2-2)に開設します。

 また、2月1日~6日については、前倒し接種を希望する65歳以上の方を対象に接種を実施します。前倒し接種を希望する方は、1月17日9時からWEB予約または電話予約をしてください。(すでに割当予約を申し込んでいる方も予約可能です。※後日、伊丹市から送付される案内はがきの破棄をお願いします。)

2月8日以降の接種については、1月下旬から予約を開始します。

予約方法

伊丹市新型コロナワクチン接種予約サイトからWEB予約
伊丹市新型コロナワクチンコールセンターへ電話予約 電話番号:072-764-7835

1月11日に3回目接種時期が2月下旬頃の方の接種券を発送しています

1月11日に3回目接種時期が2月下旬頃(2回目接種日が6月24日~6月30日)の方の接種券を発送しています。

65歳以上(昭和32年4月1日以前生まれ)の方には返信はがきを同封していますので、伊丹市が接種日時と接種会場を指定する割当予約を希望される方は返信はがき(切手不要)で申し込んでください。
また、3回目接種には必ず接種券が必要となります。

兵庫県 抗原定性検査の無料実施について

感染拡大傾向時の一般検査事業 (詳細は県のホームページを確認ください)

実施期間  2021年12月29日(水)~当面の間(約1ヶ月を想定 感染状況により変更有)

対象者  感染不安を感じる兵庫県民(ワクチン接種の有無は問わない)※無症状の方に限ります。

持参品  身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード等の公的証明書)または、
健康保険証や学生証など氏名・住所等がわかるもの

※ウエルシア薬局各店舗でのPCR検査についてはスマホが必要となります。

判定時間 約15~30分後 有効期限 検体採取日+1日

検体採取方法 本人が鼻腔ぬぐい液を採取

伊丹市内の実施事業者(1月17日現在) 各店舗とも予約不要

伊丹市内の実施事業者(1月17日現在) 各店舗とも予約不要

ウエルシア薬局伊丹昆陽店  伊丹市昆陽南1-2-7  2021年12月27日~実施

ウエルシア薬局伊丹桜台店  伊丹市中野北3-6-6  2021年12月27日~実施

ウエルシア薬局イオンモール伊丹店   伊丹市藤ノ木1-1-1  2021年12月27日~実施

ウエルシア薬局伊丹野間店  伊丹市野間7-1-3  2021年12月27日~実施

イオン薬局伊丹昆陽店  伊丹市池尻4-1-1   2022年1月22日~

イオン薬局伊丹店  伊丹市藤ノ木1-1-1  2022年2月1日~(日曜・祝日のみ)