2014年9月議会:かしば優美 一般会計決算についての討論

報告第6号「平成25年度伊丹市一般会計歳入歳出決算」に対する討論

2014年10月9日

かしば優美議員

 ただいま議長より発言の許可をえましたので、はじめに御嶽山(おんたけさん)噴火によって犠牲になられた方々及びこの夏、広島の土砂災害をはじめ、台風や大雨によって犠牲になられた方々への深い哀悼とともに、被害を受けられた方々に心からのお見舞い申し上げます。

 それでは私は日本共産党議員団を代表して報告第6号「平成25年度伊丹市一般会計歳入歳出決算」の認定に同意できない立場から討論を行います。

 2012年に行われた総選挙によって第2次安倍政権が発足しました。この政権は「アベノミクス」と称して、無制限の金融緩和策と200兆円もの大型公共事業を進めてきましたが、しかしこれは過去において失敗済みの経済対策でしかなく、見せかけの「経済成長」を演出し、消費税大増税を予定通り強行。また社会保障政策では、民・自・公3党合意による「社会保障と税の一体改革」を進め、国民の生存権の保障をないがしろにしてきました。

 このような中で伊丹市政に求められるのは、市民のくらし、福祉、営業を守り充実することにありました。この視点で決算の内容に触れていきます。

 2013年度一般会計決算規模は、歳入が対前年対比1.1%増の661億9848万円、歳出は対前年対比0.6%減の645億1348万円となっています。

 歳入の根幹となるべき市税については、大阪国際空港民営化にともない固定資産税等で約2億円の増加となり、個人市民税は約4180万円の微減にとどまったものの、リ-マンショック以降の5年間で、給与所得者一人当たりの所得は17万4千円、営業所得者等一人当たりの所得は4万円それぞれ減少するなど、市民にとって依然として厳しい状況を反映しています。法人市民税は「ゆるやかな景気回復基調」といわれているものの、法人税の引き下げ等の影響もうけて2700万円の微減となり、リ-マンショック直前の2008年度(平成20年度)の29億円と比べると69%という水準であります。今後消費税の相次ぐ増税が市民のくらしや中小企業・零細業者の営業を直撃することが予想されるだけに、伊丹市はいっそう市民のくらしと安全を守る施策が求められていることを強調しておきます。

 次に普通交付税と臨時財政対策債の合計は、前年対比で1億7千万円、率にして約2%の減となっています。特に国において、地方財政計画に国家公務員の特例措置に伴う地方公務員の給与削減を盛り込み、一方的に地方交付税を削減してきたことはまったく異例であります。全国市長会の緊急アピ-ルの通り、こうした行為は地方の財政自主権を根底から侵すものであり、断じて許されるものではありません。

 以下咋年度決算の問題点を述べていきます。

 第一は、職員給与の削減・引き下げです。国家公務員の給与減額に端を発し、本市においても一般職職員の給与について7.8%もの大幅減額が実施されました。その内容は、一般職の定昇見送りと課長級以上の給与カットにより平均2.2%の給与削減、市長等特別職の5%給与カットであります。伊丹市はこれまでも職員給与に関して、「給与構造改革」の名の下に4.8%削減し、さらに地域手当も下げてきました。それらの結果単純に比較できないものの、本市一般行政職の平均給与月額は阪神間で最低クラスとなっています。先に述べた減額分に関して、給与カット分約4500万円については今年10月から復元するとしていますが、一般職員の定期昇給見送り分約1億8千万円については明言されていません。いち早い復元を強く求めるものです。

 第二は、医療費助成制度にかかる問題点です。

 特定疾患医療費助成制度について、2015年10月廃止を決定し、昨年10月から段階的に上限額を引き下げています。廃止に向けて「新規申請は受け付ける」とか「所得制限、対象疾病の見直しはしない」等の経過措置を設けていますが、難病がゆえに多額の医療費負担に苦しむ市民には冷たい仕打ちとなるものです。

 またこども医療費については、県制度にあわせて昨年7月から通院について小学4年から中学3年までの自己負担分1/3の助成が始まっています。子育て支援策拡充への市民からの要望は大きく、さらに通院についても中学校卒業まで無料にすることを求めておきます。

第三に、人権教育・啓発及び同和問題に関連する点であります。

 昨年度市の学校・職場・地域での人権教育研修会では、主として同和、男女共生、セクシュアルハラスメント、外国人等の問題をテ-マに行なったと報告がありました。問題なのは人権教育・啓発の中心が「市民相互における人権侵害」に特化し、歴史的にも今日的にも、人権とは国をはじめとする公権力によって侵されることのない永久の権利であるとの視点と実践が極端に弱いことです。福島原発事故により多くの人々が、居住権や財産権など生存権そのものを奪われている現状は人権侵害の最たるものであります。今学校生徒や市民がどのような人権に関心をもっているのかを把握し、それに沿った教育・啓発が必要と考えます。同時に同和問題に関して、その認識において現状から大きく乖離している「差別を許さない都市宣言」はただちに撤廃し、同和行政・同和教育の終結宣言を行うことを強く求めておきます。

第四に、生活保護の引き下げについてであります。

 安倍内閣のもと生活保護費のうち生活費に当たる生活扶助が3年間で段階的に6.5%
引き下げられることになり、昨年8月から削減が始まっています。その結果96%の世帯が引き下げられ、世帯類型ごとに現在と2015年度以降とを比較すると、都市部に住む70代以上の夫婦で5.3%、40代夫婦と小中学生の子ども2人の場合(都市部に住む)で9.0%それぞれ減額となります。なかでも子どもの数の多い世帯が一番の打撃を受けることになります。貧困に陥った人の「生きる権利」侵害する重大な内容です。前年度決算には生活保護費削減が反映しており、憲法第25条にうたう生存権をおびやかす内容を認めることはできません。文字通り憲法を市政にいかす立場から、国に対して生活保護費削減撤回を強く求めるべきであります。

 第五に、学習到達度調査についてです。

 市教育委員会は昨年4月、全国学力・学習到達度調査と市学習到達度調査を小学校6年と3年生を対象に悉皆(しっかい)調査を行いました。党議員団は以前から指摘しているように、全国一斉学力テストは子どもたちと教育に対するいっそうの競争と管理を強め、教育の格差づくりを進めるものです。同時に、子どもの学力実態を客観的に明らかにする調査も必要な場合があり、その際には調査目的を限定して、無作為による最小限の抽出で行い、数年に1回行うことでも、その後の学力保障に向けた具体的な施策に反映できるものです。以上の理由から、全員参加による学力調査は必要なく中止を求めるものです。同時にテスト結果の公表は今後とも行なうべきではありません。

 次に今後に向けた具体的要望です。

 第一は、中学校給食実施における運営方式です。

  市は、中学校給食の運営方式を「原則として民間事業者による運営を採用する」としています。

 しかし給食は教育の一環であること、また給食調理業務はあくまで栄養士の指示に従い、その指揮監督の下で行うべきものであり、業務の委託にはなじまないと考えます。同時に経費節減のために働く従業員の給料が抑えられ、また入札により事業者も変わることで安定した調理業務に支障をきたす恐れがあり、中学校給食はあくまでも直営で行なうことを求めます。

 第二は、ルネサス北伊丹事業所の移転問題についてであります。なによりも伊丹市が誘致した企業が事業所を閉鎖し、労働者、地域、住民にしわ寄せする身勝手な行動は許さるものでないことを重ねて指摘するものです。国、兵庫県、伊丹市は、住民に就業と生活を保障する自らの責任とともに、大企業に雇用と地域経済を守るという社会的責任を果たさせていく責任があります。同事業所から関東への移転は年明けから本格化します。伊丹市は労働局や県と連携し、障害者、家族の介護など家庭の事情で転勤できない社員を調査し、雇用の受け入れを三菱電機等に求めるなど必要な対応を求めます。

 第三に、就学援助についてですが、2013年度は小学生1740人(15.4%)、中学生1100人(20%)が利用しています。改めてクラブ活動費や生徒会費など支給項目の拡大を求めるとともに、かなり「前向きの答弁」をしていただいた新入学児童生徒学用品費の入学前支給についてはただちに実施されるよう要望しておきます。

 第四に、来年度施行予定の子ども・子育て支援新制度に関して、保育所待機児童の解消は急務であり、認可保育所の増設による解消を求めます。さらに公立幼稚園の問題では、統廃合はやめ、3年保育と預かり保育の実現を要望するものです。

 その他本会議、委員会で多くのことを要望しましたが、十分に検討していただき来年度予算に反映していただきますよう要望しておきます。全体として、国の経済対策を受けた補正予算、元気交付金を活用しての、学校園施設の改修・耐震化や市営住宅・プ-ルの改修など暮らしに密着した公共事業の推進については評価するものの、先に述べたとおり、多くの問題点を含んだ決算内容になっており認定できないことを述べ討論とします。 

2013年3月議会:かしば優美議員 「平成25年度伊丹市一般会計予算」反対討論

議案第12号「平成25年度伊丹市一般会計予算」の討論

2013年3月24日
日本共産党議員団 かしば優美

 ただいま議長より発言の許可をえましたので、私は日本共産党議員団を代表して議案第12号「平成25年度伊丹市一般会計予算」に反対し、修正案にも反対する立場から討論を行います。

 昨年行われた総選挙によって第2次安倍政権がつくられました。この政権は「アベノミクス」と称して、無制限の金融緩和策と200兆円もの大型公共事業を進めるとしています。しかしこれは過去において失敗済みの経済対策でしかなく、見せかけの「経済成長」を演出し、消費税大増税を予定通り強行しようとするものです。また社会保障政策では、民・自・公3党合意による「社会保障と税の一体改革」を進め、国民の生存権の保障をないがしろにしようとしています。

 こうした中で伊丹市政に求められるのは、市民のくらし、福祉、営業を守り充実することであります。こうした視点で本予算の内容に触れていきます。

 2013年度の一般会計予算は、歳入・歳出規模で対前年対比4.8%減の628億円とするものです。

 歳入の根幹となるべき市税については、大阪国際空港民営化にともない固定資産税等で約2億円の増加となったものの、個人市民税は約6700万円減少し、依然として厳しい状況を反映しています。法人市民税は7000万円の微増となっていますが、5年前(平成20年度)の29億円と比べると59%という水準であります。今後も市民のくらしや中小企業・零細業者の営業は厳しい状況が続くことが予想されるだけに、伊丹市はいっそう市民のくらしと安全を守る施策が求められていることを強調しておきます。

 次に普通交付税と臨時財政対策債の合計は、前年対比で1億3千万円、率にして1.5%の減となっています。特に今回国においては、地方財政計画に国家公務員の特例措置に伴う地方公務員の給与削減を盛り込み、一方的に地方交付税を削減していることはまったく異例であります。全国市長会の緊急アピ-ルの通り、こうした行為は地方の財政自主権を根底から侵すものであり、断じて許されるものではありません。

 以下今年度予算の問題点を述べていきます。

 第一は、職員給与の削減・引き下げです

 国家公務員の給与減額に端を発し、本市においても一般職職員の給与について7.8%もの大幅減額への対応が問われています。伊丹市はこれまでも職員給与に関して、「給与構造改革」の名の下に4.8%削減し、さらに地域手当も下げてきました。

 7.8%給与引き下げについて当局は、「今回の地方交付税の削減に伴う給与削減措置については、人事院勧告にもとづく視点とは異なったものであると認識しており、・・・・慎重に検討していきたい」と答弁しています。

 今年度予算において財源対策を措置されている通り、財政基金からの繰り入れによって給与の引き下げを行わないことを強く求めておきます。

 第二は、医療福祉にかかる問題点です。

 特定疾患医療費助成制度について、2015年10月廃止を決定し、今年10月から段階的に上限額を引き下げていくことです。廃止に向けて「新規申請は受け付ける」とか「所得制限、対象疾病の見直しはしない」等の経過措置を設けるとしていますが、難病がゆえに多額の医療費負担に苦しむ市民には冷たい仕打ちとなるものです。

 またこども医療費については、県制度にあわせて今年7月から通院について中学1年から3年まで自己負担の1/3を助成するとしています。子育て支援策拡充への市民からの要望は大きく、さらに通院についても所得制限をなくし中学校卒業まで無料にすることを求めておきます。

 第三に市民特別賃貸住宅における若年世帯等家賃補助にかかる問題であります。

 若年世帯等への家賃補助を開始した翌年から基準を逸脱していたことについて、市は「誰が指示したのか書類も残っていないのでわからない」としていますが、管理上あまりにもずさんであります。また当局が「家賃支援要綱」に問題があると認識したのが、2011年1月会計検査院による検査を受けた時であり、市長自身同年10月に知りえたと答弁しています。問題があるとわかった時点で、議会に説明がなかったこと、また要綱を見直しなど即座に対応してこなかったことなど市長の責任は重大です。

 次に修正案について意見を述べます。修正案は要綱の第3条=支援の用件にある政令月額下限153,000円、上限322,000円以外の世帯についてすべて支援対象からはずす内容となっています。しかしもともと今回の要綱からの逸脱について市民には何の責任もありません。加えて特に下限額以下の世帯を支援対象から除外することは生活に即著しい影響を与えることになりかねません。したがって日本共産党議員団は修正案には賛成できません。

 第四に、同和問題であります。

 市の同和・啓発の問題点は、その出発点として「いまだに差別意識が根深い」という認識にあることです。「差別意識が根深い」ことを強調することは、旧関係住民の気持ちも逆なですることになります。堀池、中曽根、緑の各市営住宅の地域を限定した入居条件はただちに撤廃し、同和行政・同和教育の終結宣言を行うことを強く求めておきます。

 第五に、生活保護の引き下げについてであります。

 安倍内閣のもと生活保護費のうち生活費に当たる生活扶助を3年間で段階的に引き下げられます。その結果96%の世帯が引き下げられ、世帯類型ごとに現在と2015年度以降とを比較すると、都市部に住む70代以上の夫婦で5.3%、40代夫婦と小中学生の子ども2人の場合(都市部に住む)で9.0%それぞれ減額となります。なかでも子どもの数の多い世帯が一番の打撃を受けることになります。貧困に陥った人の「生きる権利」侵害する重大な内容です。また生活保護の相談者に対して、「まず就労」を優先させることや、扶養能力のある親族が受給者の扶養を拒否する場合の親族の説明責任の強化など、本来、法律上申請要件に入っていないものを持ち出し、生活保護を受けにくくすることは大きな問題です。伊丹市の予算には生活保護費削減が反映しており、憲法第25条にうたう生存権をおびやかす内容を認めることはできません。文字通り憲法を市政に活かす立場から、国に対して生活保護費削減撤回を強く求めるべきであります。

 第六に、昆虫館職員の人件費削減についてであります。

 公園緑化協会の解散にともない伊丹市所有となった昆虫館は、4月から伊丹市文化振興財団による管理運営が行われることになります。その中で昆虫館に働く職員は公園緑化協会から文化振興財団に身分を移すことによって、職務内容はまったく変わらないのに給与が減額することを当局は認めました。

 指定管理者制度のもとに給与削減を押し付けるのではなく、伊丹市は従前の給与を保障するために、昆虫館に対する運営委託料を増やすべきです。

 第七に、学習到達度調査についてです。

 市教育委員会は今年度(平成25年度)全国学力・学習到達度調査と市学習到達度調査を4月に小学校6年と3年生を対象に悉皆調査を行うとしています。党議員団は以前から指摘しているように、全国一斉学力テストは子どもたちと教育に対するいっそうの競争と管理を強め、教育の格差づくりを進めるものです。同時に、子どもの学力実態を客観的に明らかにする調査も必要な場合があり、その際には調査目的を限定して、無作為による最小限の抽出で行い、数年に1回行うことでも、その後の学力保障に向けた具体的な施策に反映できるものです。以上の理由から、全員参加による学力調査は必要なく中止を求めるものです。

 国の経済対策を受けた補正予算、元気交付金を活用しての、学校園施設の改修・耐震化や市営住宅・プ-ルの改修など暮らしに密着した公共事業の推進については評価するものの、先に述べたとおり、多くの問題点を含んだ予算内容になっており反対するものです。

 次に議案第48号「伊丹市職員退職手当支給条例の一部を改正する条例等の一部を改正する条例の制定について」反対の立場から意見を述べます。

 本議案は、官民の支給水準の均衡をはかるため、一般職職員の退職手当制度上もうけている「調整率」を段階的に引き下げ、併せて、退職理由および勤続年数にかかわらずすべての退職者に適用し、退職手当の支給水準の引き下げを実施しようとするものです。

 市職員への具体的影響については、勤続35年以上の定年退職者で、退職時給料月額が40万円の場合、2015年度(平成27年度)に退職する場合、現行より9.69月分、387万6千円の減額になるとしています。

 今回の退職手当支給水準の引き下げは、2015年度(平成27年度)から共済年金と厚生年金が統合されるにあたり、制度的な格差解消を目的とし、国家公務員の退職手当を大幅に引き下げたことに端を発しています。しかも国が「要請」という形で地方に押し付けてきていることも問題であります。

 同時に市職員や地域に与える影響です。

 第一は、退職手当は、長期の勤続に対するものであり、退職後の生活保障の性格を持つものであります。

 また退職近い職員は既に現行水準による退職手当を見込んだ生活設計を行っており、退職手当の大幅減額は職員の家計や生涯設計に大きな影響を与えるものです。

 第二に、今回のような大幅な引き下げは、将来も急激な変化が突然起こりかねないとの不安を与え、中堅・若手職員の士気にも影響をもたらすものです。

 第三に、退職手当削減を通じて人件費を減らすことが民間の退職金引き下げにもつながり、「官民での労働条件悪化の悪循環にさらに拍車をかけるものです。

 以上のような問題点があり、よって議案第48号には反対するものです。
 議員各位のご賛同をお願いし討論とします。

2012年3月議会:上原ひでき 一般会計予算等に対する討論

(一般会計予算・市税条例改正・福祉医療改悪に反対、土地信託に関する議案に賛成

(2012.3.23)
日本共産党伊丹市会議員団 上原秀樹

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、議案第28号「平成24年度伊丹市一般会計予算」、議案第52号「市税条例の一部を改正する条例の制定について」、並びに議案第57号「伊丹市老人等医療費の助成に関する条例および伊丹市子育て支援のための医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例の制定について」に反対、議案第70号「市有地の信託の変更について」に対しては賛成の立場から意見を述べます。

平成24年度伊丹市一般会計予算

 はじめに、議案第28号「平成24年度伊丹市一般会計予算」についてであります。

 来年度を迎えるにあたっての国民・市民のくらしに関しては、政府の統計でも、2011年の雇用者報酬が10年前に比べて約20兆円も減少、労働者賃金は年平均50万円減少し、家計消費も前年比1.1%減という苦しい状況が続いています。伊丹市においても、今年の所得状況では、給与が2.3%、事業所得が1.98%と対前年比で減少し、法人市民税でも均等割り、法人税割とも前年を下回っています。

 このように景気が落ち込み、格差が拡大する中、民主党の野田政権は、「社会保障と税の一体改革」と称して、消費税を2015年に10%に増税する法案を成立させようとしていますが、国民の暮らしを大きく圧迫し、景気を冷え込ませ、日本経済をどん底に突き落とすとともに、財政破綻も一層ひどくするものとなることは間違いありません。

 提案されています2012年度の伊丹市一般会計予算は、歳入・歳出660億円で、前年対比6.1%の増とするものです。しかし、借換債や第3セクター関係費用を除くと601億円で、3.4%の減となります。個人市民税では市民に対して年少扶養控除の廃止等によって約3億4,500万円の増税をするものですが、法人市民税と償却資産税とともに、リーマンショック前と比べて約29億円の減少のままとなるとされており、市民のくらしや中小零細業者の営業は依然として厳しい状況が続くことが予想され、このことから伊丹市においては、一層暮らしを守る施策が求められることになります。

 一方、普通交付税と臨時財政対策債の合計は、市税が約2億4000万円減少し、扶助費が約3億円増となっているにもかかわらず、実質前年とほぼ同額となっています。この点では地方財政計画においても、社会保障関係費の自然増における地方負担分を、給与関係費と投資的経費の削減によってつじつまを合わせただけのもので、その反映といえます。給与関係費に関しては、政府の「集中プラン」で大幅削減を誘導し、地方ではこれ以上減らすことができないところにあります。このような財政計画を見る限り、一般財源は総額確保したとはいえ、実際には歳出削減路線を伴っており、小泉内閣による地方交付税の大幅削減はいまだに回復できていません。

 国に対して、自治体が「住民の福祉増進」という役割を十分発揮できるだけの一般財源の保障を強く求めていただきたいと思います。

 本予算の問題点について述べます。

 第1に、同和問題についてです。伊丹市は同和教育・啓発を推進していますが、その理由として、「人権に関する意識調査」から、「居住の敬遠」と「結婚問題」で20%台から30%台の人が同和問題に関する人権問題が起きていると思うとされたこと、またのその原因を「社会全体に残る差別意識」とする回答が40%近くあったことから、同和問題は解決されていないためとされています。しかし、そのような差別の実態はほとんどありません。にもかかわらず、「意識調査」でそのような結果が出ることにこそ、いまの同和教育・啓発の問題があります。かつての部落問題に関して、正しい知識を得るための学習が必要なこともあります。問題は、伊丹市の同和教育・啓発の出発点が「いまだに差別意識が根深い」という認識にあることです。「差別意識は根深い」ことを強調することは、市民が正しい認識を持つことができなくなるとともに、旧関係住民の気持ちも逆なですることになります。このことは、人権教育指導員に、同和問題に関して、部落解放同盟のメンバーが4人入っていることにも起因します。ただちに同和問題の解決の展望を市民に示し、同和教育を終了することを求めます。また、かつてのいわゆる「同和住宅」の一般対策化に関しても同様です。早期に解決することを求めます。

 第2に、福祉医療助成において、助成対象者を削減する問題です。予算の上でも、重度の身体・知的・精神障がい者に対する医療費助成では、2%の60人が、また子育て支援のための医療費の助成おいては、22,463人のうち4.8%の1,070人が対象から外れることになります。伊丹市は、他市に先駆けて子どもの医療費助成を充実してこられました。このことは評価をするものですが、他市においては、県の改悪に従わず、現行を維持する自治体があるとともに、保護者の経済的理由により子どもが医療を受けることができない事態をなくし、安心して子育てができるように、入院、通院とも中学校卒業まで無料化が広がっています。福祉医療助成対象者の削減は、その流れに逆行するものです。

 第3に、PPP(官民共同)基本方針策定の問題です。伊丹市は、公共施設の効率化・効果的な整備や維持運営に資するため、PFI事業に関して、その導入基準や手続き、体制などを取りまとめるとされるとともに、さらに市場化テストなども検討するとされました。しかし、PFIに関しては、近江八幡市立総合医療センター等の破綻で明らかになったとおり、民間事業者の利益が優先され、高金利負担となり、いつ発生するか分からない修繕費用の前倒し支払い、中間業者が介在するというPFIの制度的欠陥性などが問題となっています。一時的な費用負担軽減のため、市民のための公共財産を安易に民間にゆだねる手法はやめるべきです。

 第4に、伊丹市立高校(定時制)の阪神昆陽高等学校校舎への移転並びに、定時制高校統合負担金9,000万円の問題です。来年度はその初年度に当たるため、改めて問題点を述べておきます。定時制の移転に関しては、多くの反対の声や不安がありながらも、移転の決定を急いだこと、すでに施設整備費に約3,000万円支出し、来年度、施設使用料932万円、送迎業務委託料1,150万円など新たな負担をしなければならなかったこと、そして生徒の通学時間の調整や今後の留年生徒への対応策など様々な困難を抱えた生徒に精神的な負担を押し付けることなどです。また、統合負担金に関しては、来年度から4年間合計3億6,000万円支出するもので、学校教育法や地方財政法に違反する可能性もあるとともに、違反しないとすれば何のための負担金か不明のまま負担するという性格のものです。

 来年度、困難を抱えながらのスタートになると考えますが、定時制は、小・中学校時代に不登校経験のある生徒や中途退学者など、さまざまな入学動機や学習暦のある生徒が学んでおり、伊丹市教育委員会がその生徒の教育を受ける権利を保障する上で、来年度からの3年間、全力で支援をしていただきたいと思います。

 また、統廃合完了後の問題では、県立高校に移管した以上県教育委員会の方針で運営されるもので、答弁にあったとおり、教育内容を伊丹市教育委員会と県教育委員会で協議できるものではありません。伊丹市立定時制高校の伝統を市内外に発信する上では、「定時制教育の記録」などの冊子をつくることを提案します。検討をお願いします。

 次に評価すべき点、並びに要望すべき点について述べます。

 第1に、国民健康保険事業に対して、来年度も4億2,500万円を補助するとともに、国の制度ではありますが、後期高齢者医療制度における人間ドッグ助成事業が行われることです。本会議でも求めましたが、国保への一般会計からの補助に関しては、次年度以降、新たな仕組みをつくり、増額していただきたいと思います。

 第2に、子育て支援に関して、神津認定子ども園整備事業では、神津まちづくり協議会や幼稚園・保育所関係者との協議を積み重ねた設計に基づき、建設工事が始まります。認定子ども園にはさまざまな解決すべき問題は残されていますが、伊丹市が責任を持つ公立園であることから、子どもの立場に立って打開していただき、神津地区のまちづくりの核となり、子育て支援の拠点となるよう努めていただきたいと思います。また、「詰め込み」保育の解消、待機児童解消に向けて認可保育所誘致に全力をあげていただきたいと思います。

 第3に、「協働の指針」の策定については、新たに市民が主体となったまちづくりを実現するものとして期待するものです。地域には、孤独死や貧困の広がりによる困難など様々な地域問題がありますが、それらの問題を協働で解決できる力量を高めていくことが求められています。地域には自治会などの地縁組織をはじめ、様々な団体・組織があります。これらの多様なまちづくりの主体が、行政の公共性を前提として、行政と対等な関係の中で、それぞれの特徴を活かしながら、連携・協力して共通の目標を達成するために力をつくす仕組みをつくることは、住みよい地域づくりに大きく貢献するものと考えます。地域問題解決の手段として必要な協働関係を構築することができるような指針となることを要望します。

 以上、主なものしか触れることはできませんでしたが、これ以外に様々な要望を本会議、委員会で行いました。早期に実現することを求め、反対の立場からの意見とします。

市税条例の一部を改正する条例

 次に、議案第52号「市税条例の一部を改正する条例の制定について」であります。

 本条例案の問題の第1は、付則第9条において、2013年1月1日以降支給の退職所得に関して、個人市民税の10%税額控除を廃止しようとしていることです。廃止によって約1000万円の増税となるものです。

 問題の第2は、付則第24条を新設することで、全国緊急防災・減災事業の財源確保を名目に、個人市民税の均等割を500円引き上げようとしていることです。このことによって、86,000人に対して、4,300万円の増税となるものです。個人市民税の均等割は、就業者数に照らしてそのほとんどが納税義務者となっており、所得の低い人にも負担を課すものです。応能負担こそ税制の基本であり、低所得者に負担を強いる個人市民税の均等割引上げに財源を求めるべきではありません。しかも、引上げ期間は10年間であり、恒久的な増税措置になりかねないものであります。さらに、全国レベルでいえば、住民税均等割の引上げによる地方税の増税は被災自治体の住民にも及ぶものであり、被災者支援に反するものと言わなければなりません。
 よって本条例案に反対するものです。

伊丹市老人等医療費の助成、子育て支援のための医療費の助成

 次に、議案第57号「伊丹市老人等医療費の助成に関する条例および伊丹市子育て支援のための医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例の制定について」です。

 本条例案は、重度の身体・知的・精神障がい者に対する医療費助成に関して、また、子ども医療費助成制度における乳児以外の医療費助成に関して、助成を受ける保護者等の所得要件を、主たる生計維持者から世帯合算に変更しようとするものです。このことによって、先ほど一般会計予算で述べたとおり、多くの助成対象者が削減されます。

 伊丹市は、所得制限に関しては、県の制度に合わせていくということが方針であるとされていますが、神戸市や明石市、芦屋市、宝塚市においては今回の県の制度見直しに合せず、いままでどおりの所得制限として対象者を削減しない方針です。もともと伊丹市も県の行革による医療費助成削減に反対していたことから、削減しない方針を貫くべきです。

 主たる生計維持者の所得と世帯合算の場合の矛盾を解消に関しては、所得制限の上限を引き上げることなどによって矛盾解消による助成対象者削減をしない措置を考えるべきです。さらに、入院医療費助成等県の制度に上乗せしている制度に関しては、県の所得制限に合せる必要はありません。

 よって、本条例案に反対するものです。

市有地の信託の変更

 次に、議案第70号「市有地の信託の変更について」です。

 本議案は、信託の目的に「処分」を加えることで処分型の信託に変更し、処分に対する信託報酬を、売却代金収入に1000分の30を乗じてえた額に100分の105を乗じて得た額にしようとするものです。

 旧伊丹市役所で、後に社会経済会館となった伊丹市中央3丁目406番8の土地に関して、伊丹市は、1989年(平成元年)3月24日に、当時の三菱信託銀行株式会社(現 三菱UFJ信託銀行株式会社)と土地信託契約を締結し、現在に到りました。

 当時の「市有地の信託について」の議案に対する党議員団としての態度は、国の信託に関する法律改定は民間活力導入政策の一環として行われたものであること、公共財産は住民全体の公共的利益のために使われるべきもので、民活の名による民間企業の営利の具にしてはならないこと、将来の担保も不明確なものであることから反対しました。

 1989年度予算審議における党議員団の委員会質疑の中で、当時の市長は「リスクはあろうとも、挑戦していくことが必要」「危険ばかり感じておっては、発展はありえない」と答弁され、将来の破綻の危険性を承知の上で土地信託の契約に踏み切っています。当初予定した伊丹市に対する信託配当累計は、34億2,400万円、固定資産税・都市計画税の累計10億7,100万円と合せて、約45億円が30年間で伊丹市に入ってくるというものでした。一方、信託報酬は3億1,100万円、銀行利息は約20億円とされ、民間企業の営利も保障していました。

 ところが、右肩上がりのバブル期が30年も続くはずはなく、危惧していたとおりの事態となりました。この間、伊丹市が受け取った信託配当と固定資産・都市計画税の合計は、2010年度末で12億3,470万円にとどまり、一方で、銀行に対する利息は12億5,400万円、信託銀行への信託報酬は1億3,300万円で、合計13億8,700万円となり、伊丹市が受け取った金額より多く、民間企業の営利の具とされてきたことはいうまでもありません。

 いま、明らかに信託事業は破綻しました。このことは、リスクを見込んだ上での信託事業決行に対して、また、「官から民へ」「民間活力の導入」「民間のノウハウを活かす」などと、公が果たすべき「住民の福祉向上」を民間にゆだねてきた路線そのものに対して、その問題点と限界が明らかになったといえます。
 今回提案されている処分型信託への変更によって、何よりも市民の大切な財産を失うことになります。信託の出発点と今日までの経過における当局の責任は重大といわざるを得ません。この件に関して、本会議・委員会の中で様々な議論が交わされました。しかし、このまま継続すると、空いている床が埋まる保障はなく、たとえ埋まったとしても終了時までのリスクは背負い続けなければならず、さらに家賃の引き上げの展望もないまま推移することとなり、傷口は広がり、最終的に受益者である伊丹市が、その債務を負担することになります。

 したがって、党議員団としては、本議案における処分型信託への変更を是とするものであります。

 なお、信託銀行が行う入札に当たっては、伊丹市として、透明性が確保されるあらゆる手段を指示されることを求めて、賛成の立場からの意見とします。

 議員各位のご賛同をお願いしまして、討論とします。