市長に2015年度予算編成に当たっての重点要望を手交

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11月14日、日本共産党伊丹市会議員団は2015年度予算にあたって重要要望項目を市長に手渡しました。提出した内容は次のとおりです。

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2014年11月14日

伊丹市長 藤原保幸様

日本共産党伊丹市議会議員団
団長 上原秀樹 
議員 加柴優美 
議員 久村真知子

2015年度予算編成に当たっての重点要望

はじめに

 国会で多数を占める安倍自公政権は、「亡国」とも言える暴走をしています。とりわけ安倍政権は、二つの点で民主主義と相容れない体質を持っていることがあらわになっています。一つは、集団的自衛権、消費税増税、原発再稼働、沖縄新基地建設一どれも国民の5割から7割が反対していることに、一切耳を貸さない強権的体質です。二つには、新に大臣に就任した二人が政治とカネ」の問題でそろって辞任に追い込まれ、後任の大臣も同様の疑惑が広がっているように、カネの力で政治をゆがめる古い金権体質があることです。

 この政権の下で、国民の暮らしと経済は大変な危機に陥っています。消費税増税によって、4月から6月期のGDPは年率7.1%の減少、特に消費支出はマイナス19.5%と年来最大の落ち込みです。働く人の実質賃金は前年対比で15ヶ月連続マイナス、円安による物価高、消費税増税と、「アベノミクス」が悪循環になっています。

 日本共産党は、くらしと経済を立て直すためには、消費税10%増税をキッパリ中止し、285億円に膨れ上がった内部留保の一部を活用して大幅賃上げと安定した雇用を増やすこと、社会保障の切捨てから充実へと抜本的転換を図ること、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革によって財源を確保することを提案しています。

 このような安倍政権の暴走と市民をめぐる状況を踏まえ、目本共産党市会議員団は、伊丹市が自治体本来の役割を果たし、市民の暮らしや福祉、教育を最優先にした予算編成をされること強く求めます。

1.地方財源の保障を国に求め、医療・介護の充実、障害者・子育て支援など、市民の暮らしを守る仕事を最優先にすること。

 伊丹市が、市民の暮らしを守る「防波堤」としての役割を果たすため、国の社会保障制度改悪に反対し、国に財源を求め、以下のことを求めます。

1) 地方財政の重要な柱である地方交付税に関して、制度本来の財源の保障・調整機能の充実により、住民の福祉と教育、くらしを保障する総額の確保を国に求めること、消費税10%増税をストップすることを国に主張されることを求めます。

2) 子育て一番の伊丹市にするために

① 子どもの医療費は通院も中学卒業まで無料にすること。

② 保育の市場化に反対し、安心して子育てができるよう公的責任で保育を行うこと。保育所待機児童解消は認可保育所増設で行うこと。

③ 経済的理由で妊婦健診を受けられないことがないよう、全国平均(14回、11万円)を上回る補助をすること。

3) 医療・介護の充実で安心できる伊丹市を

① 国民健康保険に関して、2013年度に「予算はがし」をした法定外繰り入れと剰余金で高すぎる国保税を引き下げること。

② 国保税における多子世帯・母子世帯・障害者など困難な世帯に対する条例減免を拡充しホームページや広報で周知すること。

③ 国保滞納者は生活困窮の場合が多いことから、生活支援課とは常時連携をとるとともに、滞納処分に関わる諸通知等情報を共有すること。

④ 後期高齢者医療制度の保険料の独自減免を設けるとともに、短期保険証・資格証明書は発行しないこと。また、後期高齢者医療制度に加入しなかった70歳から74歳までの方で、福祉医療を利用した場合の償還払いをやめ、現物給付にすること。

⑤ 介護保険に関して、直近の要支援者の訪問介護・通所介護利用者数及び実態を明らかにし、これらの利用者のサービスを第6期以降においても継続すること。要支援者の訪問介護・通所介護については、希望するすべての現行のサービスを提供できるようにすること。

⑥ 第6期介護保険事業計画策定に当たっては「日常生活圏域部会」を設置し、中学校区ごとの調査を踏まえて日常圏域ごとの計画を策定すること。また、地域包括支援センターも日常生活圏域に1ヵ所設置すること。

⑦ 施設入所待機者をなくすために、特別養護老人ホームなど施設・居住系サービスを大幅に拡充すること。

4)障害者福祉の充実を

① 障害者の自立と社会参加を保障するために、地域生活事業である移動支援(重度視覚障害者は同行援護)の利用量の上限をなくすこと。入院時、緊急時にもホームヘルパー・ガイドヘルパー、手話通訳等が利用できるようにし、通学・通所にガイドヘルパーを利用できるようにすること。

② 窓口負担のない重度障害者医療費助成制度にもどすとともに、重度障害者医療費助成制度の対象を身体障害者3級までとするなど対象者を拡大すること。

2.すべての子供に基礎学力を保障し、一人ひとりが大切にされる教育を進め、教育環境の整備に力を尽くすこと。

 子どもにかかわる問題では、格差と貧困の拡大のもとで希望を失いかけている子どもたちに必要なのは、人をばらばらにする競争教育ではなく、人と人との間で生きる連帯です。そのために教育委員会に対して以下のことを求めます。

1) 教育条件の整備でどの子も伸びる教育を

① 中学3年生まで35人学級を実現するため、県教育委員会に要望するとともに、市独自に小学校5年生以上に拡大すること。

② 中学校給食は調理部門を直営で行い、安心・安全でおいしい給食を提供すること。

③ 公立幼稚園の統廃合はやめ、3年保育と預かり保育を実施すること。

2) 子どもの貧困対策の充実を

① 生活保護基準の引き下げにより、今まで就学援助を受給していた世帯が対象からはずされないようにし、さらに拡大すること。すべての児童・生徒が義務教育を円滑に受けることができるよう、所得が認定基準額を超える場合でも生活実態を考慮して判断すること。国が財政措置している「生徒会会費」「PTA会費」「クラブ活動」を項目に追加すること。新入学児童生徒に対する学用品費は、入学前に支給すること。

3) 学力の一部に過ぎない「学力テスト」の結果そのものを目標とすることが、教育をゆがめることになっていることから、「全国学力テスト」への参加も伊丹市独自の「学力テスト」もやめること。全国的な傾向を知るためには、数年に一度抽出調査に限定すべき。

3.中小・零細業者への支援を強め、人間らしく暮らせる地域社会・経済を築くこと。

1) 地域経済の主役は中小企業であることを深く認識し、「農業基本条例」だけではなく、農業振興策も含めた地域産業活性化のための基本条例を策定することを求めます。

2) 住宅リフォーム助成制度の創設並びに公契約条例を制定すること。

3) 伊丹市では二つの超大型店とともに、数店の大型商業施設が建設されました。このことで市内の商店・商店街が廃業に追い込まれ、歩いて買い物ができる住みよい住環境を破壊するとともに、地域経済も大きな打撃を被っています。伊丹市はそのためのあらゆる対策を講じることを求めます。

4) 労働法制の「規制緩和」で、特に若者の非正規社員、ワーキングプアが大きな開題となっています。この不安定雇用、低賃金の急速な広がりに対して、伊丹市としても若者の雇用対策に力を尽くすとともに、ブラック企業・ブラックバイトなど不法・不当な格差や差別をなくすなど非正規雇用の問題に積極的に取り組むことを求めます。

5) ルネサスエレクトロニクス(株)北伊丹事業所閉鎖に伴う労働者の関東移転に関して、12月から面談が始まり本格化します。移転できない労働者の雇用を守るため、県・労働局と連携して雇用確保に努めるとともに、県内の三菱電機(株)などに「受け入れ」の要請を行うことを求めます。

4.同和行政終結宣言を行い、憲法と「まちづくり基本条例」を生かした民主主義の発展と平和、基本的人権が保障される市政を行うこと。

1) 来年度こそ、「同和住宅」募集枠の制限を撤廃し、すべての同和行政を終結し、改めて同和行政終結宣言を行うことを求めます。

2) 「まちづくり基本条例」に基づき、「住民こそ主人公」の立場で、徹底した情報公開と民主主義の発展を保障する条件整備を行い、市民の知恵と力が行政に積極的に生かされるようにすることを求めます。

3) 安倍自公政権は、「戦争する国づくり」を進めていますが、市民の生命と財産を守るため、憲法9条を守り、あらゆる戦争準備の策動に反対するとともに、伊丹市として「平和条例」(仮称)を制定することを求めます。

5.「大阪国際空港撤去宣言」の精神を堅持し、環境基準の達成に向けた不断の努力と安全性を確保すること。

 大阪空港に関しては、空港の機能のフル活用としてジェット枠の拡大が実施されるとともに、近距離国際便の就航等が議論されています。また、コンセッション実施に向けた具体かも進められています。

 航空機に係る環境基準が達成されていないもとで、空港近隣住民の立場に立ち、ジェット枠拡大等の空港運用規制緩和はやめ、存続協定を守り、国の責任で安全性の確保と環境基準達成への不断の努力を、国と新関西国際空港株式会社に要望することを求めます。

6.公的部門の民営化はやめ、市民本位で効率的な行政を行い、伊丹市が責任を持って市民の暮らしと人権を守ること。

 公的部門の民営化路線は、自治体の本来の役割である「住民の福祉の増進」(地方自治法第1条)という役割と住民の権利保障を形骸化させ、住民福祉の後退やサービス水準の低下、安全性の低下をまねくことになります。また、この「路線」は全体の奉仕者としての公務員の役割をも形骸化し、公務員削減を進めました。目本共産党は、「民営化万能論」の押しつけ・推進でなく、市民の安全と利益を最優先にした市民本位の効率的な行政の努力を求めます。

7.「地域主権改革」の名による国の責任放棄に反対し、憲法と地方自治法に基づき、福祉・教育充実のための地方財政を保障することを国に求めるとともに、「道州制」に反対すること。

 いま進めている「地域主権改革」は、福祉などの最低基準を定めた「義務付け・枠付け」の見直しによって、国の社会保障などへの責任を放棄し、地方自治体としての機能と役割をさらに弱めるとともに、「道州制1を視野に入れたさらなる自治体の広域化の推進や「地方政府基本法の制定」による「二元代表制」の否定で地方議会の形骸化、住民自治の破壊・縮小に導くものです。

 このような動きに対して、伊丹市として、憲法と地方自治法の精神に立って社会保障等に関する最低基準は国が責任を持って定めること、その財源を国が保障することを求めることが必要です。

8.いますぐ原発をゼロにすることを決断し、自然エネルギーに転換することを国に求めること。

 東日本大震災から3年9ヶ月が経過しようとしています。しかし福島県では、今も県内外への避難者は12万6千人に及び、放射能も拡散し続けています。原発事故でひとたび放射能物質が大量に放出されると、人類はその被害を防止する手段を持っていません。さらに、使用済み核燃料=「核のゴミ」を安全に処理する技術もありません。したがって、再稼動すれば、処理方法のない「核のゴミ」は増え続けます。

 このような現状を踏まえ、市長は国に対して次の点を主張されることを求めます。

1) すべての原発からただちに撤退する政治決断を行い、「即時原発ゼロ」の実現を図ること。

2) 原発再稼動方針を撤回し、すべての原発を停止したままで、廃炉のプロセスに入ること。

3) 福島第一原発において、きわめて危険な事態に至っている放射能汚染水の危機打開を図るために全力をつくすこと。

4) 原発から再生可能エネルギーへの転換で、日本経済の持続可能な成長を図ること。