6月議会 「子ども誰でも通園制度」についてのかしば議員の質疑・市側答弁
2:子ども誰でも通園制度試行を経ての本格実施進捗状況と今後の対応
子ども誰でも通園制度は、2025年度の制度化、2026年度から本格実施にむけた「子ども ・子育て支援法」改正法によって2024年6月5日に成立しました。
財政面では「子ども子育て支援特別会計の設置」で、新たに医療保険料に上乗せして徴収する支援金制度が財源となります。
親の就労の有無に関わらず、保育所などを時間単位で利用できる(概ね月10時間、1日2時間)仕組みで、0~3歳未満の未就園児の親の育児負担軽減や孤立を防ぐこと、全ての子どもの育ちを応援し、子どもの良質な生育環境や遊び、生活の場を与えることが目的の施策です。子どもは未就学であることが条件とされ、国の事業、支援給付として公的制度に位置つけられました。
統計局のホームページ2025年4月1日では、国内の0~2歳児(未就学の乳幼児)は約222万人。
この年代の約5割53.5% は保育所や幼稚園に通わず、主に家庭で子育て、在宅育児の状況にあるとされ、3歳以上では、幼稚園、保育所などの施設に通う子供が8~9割。 低年齢になるほど、親が自宅で子どもと向き合い続けて育児に疲れたり、孤立を深める(弧育て)状況であると指摘されています。
家庭内の問題はなかなか把握しづらく虐待や、子どもが障害を抱えていても発見が遅れがちになるなどの特長があります。
子ども誰でも通園制度は、親のリフレッシュに繋がり、保育所などで子供が他児と関わる機会が持てる、保育士から助言を受けたりできるなど、孤立化の防止にもつながることが期待され、事業内容は①子どもに適切な遊び場と生活の場を与える、②保護者と面談して子どもと保護者の心身の状況や養育環境を把握すること、③保護者に対して子育てについての情報、助言、その他の援助を行う。とされています。
事業の概要では、実施の対象となる施設は、保育所、認定こども園、小規模保育事業所、家庭的保育事業所「、幼稚園、子育て支援センター、企業主導型保育事業所、認可外保育施設、児童発達支援センター等が想定されていますが市長村の条例を満たす必要があるとされています。
この制度の予約方法は施設に於いて、受け入れる子どもの年齢、人数、障害児の受け入れは可能か、医療的ケア児の受け入れは可能か、アレルギーのある子供の受け入れは可能か、申し込み期限はいつまでとするか、親子通園は可能か、等、双方が確認、納得の上での契約になります。
今回、市内で子ども誰でも通園制度を実施している4施設のいくつかに電話でのインタビューをさせていただきました。
その中で、「保育士不足の中、シフト上、保育士が少ない曜日等は受け入れできないため、曜日を限定して受け入れ枠としている。」「1日に1~2人の枠で受け入れている。(それ以上の受け入れは、在園児の対応に支障を来たす為)。保育所在園児の空き枠での対応となる。」「おおよそ、1日2時間、月に10時間と短期間の利用では、子供との関係性を築くのは難しく、泣きっぱなしの子も多く、親の同伴をお願いしている。」「昼食の提供、食事の介助に関しては、対応していない施設もあり、多くは、保育士が対応できないので付き添ってもらっている家族に依頼している。」「新年度を迎え、新しく入園した子ども達の対応で、4~5月は子ども誰でも通園制度に対応できていないが、6月から始める予定である。」等のお返事でした。
繰り返しになりますが、「本来の保育園の、入園時は、慣らし保育を経て園の友達や保育士、雰囲気に慣れて行く過程を経ていく中、子ども誰でも通園制度は一回、2時間という短い時間と、月10時間の限られた中で、面談や、親子同伴を依頼したりしながら、慣れてもらえるよう対応している。」と共通していました。
「定期で利用していても、制度上、利用途中で3歳になれば利用が出来なくなるので、やめざる負えない状況の利用者もあり、また、現場では、一時預かり保育との区別がつきにくく、スタッフの中で一部混乱もあります。」等、貴重なお話を聞かせていただきました。
しかし、見えてきたのは、子どもに適切な遊びと生活の場の提供、保護者への子育て情報や助言、保護者のリフレッシュの場、養育環境の把握支援等、本来の目的とはかけ離れた現状であり、障害のある子どもや医療的ケア児を受け入れる余裕はなく、保育士不足等マンパワー不足が事業を進めていく上での大きなネックになっている事。施設側の努力では限界があるということではないでしょうか。
実際、試行期間を経て、本格実施が始まった現在まで、伊丹市での「子ども誰でも通園制度」の進捗状況や今後の見通し、対応はどのようにお考えでしょうか
以下7点、質問を行います。
① 試行期間の状況(利用延べ件数)
② 本格実施後の利用状況、
③ 保育士育不足の中での施設の状況
④ 今後、(実施する保育施設を増やす計画はあるか等)の市の対応について
⑤ 子どもの視点で取り組まれている施策なのか
⑥ 利用者サイドのメリットを市はどのようにとらえるのか
⑦ 他の保育施策への影響
【市側答弁】
2.こども誰でも通園制度試行を経ての本格実施、進捗状況と今後の対応への答弁
(こども未来部長)
「こども誰でも通園制度」についてですが、子ども・子育て支援法に基づき、全てのこどもの健やかな成長を保障する観点から創設された制度であり、在宅で子育てをしている家庭を含め、子どもの育ちを支援する新たな子育て支援策であります。特に、子どもの誕生前から幼児期までのいわゆる「はじめの100カ月」と言われるものは、人の生涯にわたるウェルビーイングの基盤となる最も重要な時期であると言われています。保護者の就労や子どもの就園の有無など、子どもの置かれた環境にかかわらず、全ての子どもの「はじめの100カ月」の育ちを等しく切れ目なく保障することが重要であり、子どもは大人との「アタッチメント(愛着)」を土台として、「遊びと体験」を繰り返しながら成長していくことを社会全体で支援・応援していくことが必要だと認識しております。本制度は、令和8年度から新たな給付制度として全国の自治体で実施されるものでございますが、本市におきましては、本格実施に先行し、令和7年7月より試行的に実施してまいりました。
①「こども誰でも通園制度試行期間の状況と実施施設数」について
令和7年7月よりいずみ幼稚園、トレジャーキッズ伊丹保育園、アートチャイルドケア伊丹の3施設で受入を開始し、同年9月には伊丹おうち保育園が加わり、合計4施設で受入をしているところです。令和7年度の試行期間中における利用延べ人数につきましては、44人となっております。
②「本格実施後の利用状況」について
新規入所希望者が最も多い年度当初の保育施設では、多くの新入園児を同時期に受け入れるため、子ども一人ひとりの生活状況、発達状況、家庭での様子などを把握するため、保護者との面談や情報共有、個々の子どもの状態に応じた保育計画の調整など、通常の保育に加えた対応が発生します。こうした状況のなか、子ども誰でも通園制度を安全に実施していくためには、配置基準を上回る保育士の確保や受入体制の準備などが必要となります。保育所入所児や誰でも通園利用者、また施設の職員に過度な負担が生じないよう、現場の状況を踏まえた対応で実施してきた結果、令和8年4月及び5月の市内施設利用延べ利用者数は6人となっております。
③「保育士不足の中での施設の状況と市の支援」について
全ての施設で保育士の配置基準を満たしてはいるものの、常時、それを上回る保育士を確保することは困難な状況です。保育の実施を目的とする保育所では、こども誰でも通園制度の子どもが通園することで、通常の保育に支障が生じないよう対応する必要があります。そのため、職員の休日等も考慮しますと、現在のところ、一つの施設で常時、受入枠を設定することは困難な状況にあります。こうした状況の中、国においては、安定的な事業運営を可能とするため、乳児等のための支援給付費の1時間あたりの基本分単価を0歳児は1,700円、1・2歳児は1,400円に設定し、令和7年度単価より増額したことに加え、面談時等における加算分単価を新たに設けるなどの予算措置がなされたところです。本市におきましては、国が定める公定価格に基づき、実施施設に対し乳児等支援給付費として適切にお支払いすることで、運営に係る経費を支援してまいります。また、こども誰でも通園制度においては、子どもによって在園時間や利用頻度が違うこと、日々利用する子どもの顔ぶれが異なること、また保育所に慣れる時期が分散すること等、保育所等における通常保育とは状況が異なっております。こうした状況を踏まえ、国においても動画による研修の実施や「子ども誰でも通園制度の実施に関する手引き」を本年3月に改定し、通園初期の対応や年齢ごとの関わり方等について具体的な方法等を示しているところです。本市もこうした情報を施設にお示しするなど、施設の運営を支援してまいります。
④「今後、実施する施設を増やす計画はあるか等の市の計画」について
現在の実施施設のみで受入枠を増やすことは困難であり、実施施設数を増やしていくことで受入枠の確保を図っていきたいと考えております。現在、民間保育事業者等の意向を確認しながら、実施に向けて複数の施設と調整しておりますが、「すべての子どもの育ちを支える」という観点を踏まえながら、利用ニーズと受入体制のバランスを見極め、より多くの家庭が利用できる環境整備に努めてまいります。
⑤「子どもの視点で取り組まれている施策なのか」について
子どもにとりましては、家庭とは異なる経験や、地域に初めて出て行って家族以外の人と関わる機会が得られることで、子どもの育ちの機会が広がるメリットがあるものと捉えております。実施施設においては、利用前の面談を通じて、親子の様子を確認しながら、個々の子どもの特性等を可能な限り把握してこどもの理解を深めるとともに、通園初期においては、子どもが新しい環境に慣れるまでに時間がかかることも想定されることから、保護者と子どもが一緒に施設を利用する「親子通園」を取り入れることで、子どもの不安を軽減させるなど、子どもにとって安心できる環境整備に努めているところです。
⑥「利用者サイドのメリットを市はどのようにとらえるのか」について
本制度は、就労要件を問わず利用できるため、在宅で子育てをしている家庭も利用できることから、育児の不安や孤立感を軽減し、子育てを家庭だけで抱え込まないための支援になるとともに、子どもへの保護者の接し方を見ることにより、子どもの成長過程等を客観的に捉えることができます。また、親子通園の期間が終了して以降は、短時間でも子どもを預けることで、休息、用事など、保護者自身の時間を確保でき、子どもと向き合う余力にもつながるものと認識しております。
⑦「他の保育施策への影響」について
本制度の実施にあたっては、既存の子育て支援施策との役割分担や連携が重要であると認識しております。例えば、主に保護者支援の観点から実施する一時預かり事業や地域子育て支援拠点事業については、目的や利用形態、対象者、支援内容が異なりますことから、こども誰でも通園制度が単純に置き換わる施策ではないものと認識しており、これらの施策とは相互に連携を図りながら、持続可能な制度運用に努めていくことが必要と考えております。こども誰でも通園制度をはじめとした子育て支援施策により、全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整えてまいりたいと考えております。
3.保育所の待機児童に対する今後の施策と保育ニーズに対する答弁
(こども未来部長)
①「待機児童と入所できなかった児童の定義上の違いについて」
保育所等への利用を申し込まれた児童が保育所等を利用できない場合には、「待機児童」として取り扱っております。ただし、利用を希望する保育所等以外に利用可能な保育所等の情報を市が提供したにもかかわらず、特定の保育所等を希望し、待機している場合などには、国の基準に基づき「待機児童」に含めず、「入所保留児童」として取り扱っております。具体的に申し上げますと、各年度4月の利用調整につきましては、年度替わりには利用可能な枠が増加することや、入所申し込みを11月頃に締め切ることで、利用調整に時間をかけることが出来ますことから、空き状況を保護者へ個別に情報提供するなど丁寧に利用調整を行っております。その結果、国の基準に基づき、特定の保育所を希望する等により入所が決まらなかった児童については「入所保留児童」として取り扱っております。なお、年度途中につきましては、入所利用の可能な枠が少なくなり、また、保護者のニーズに対応するため利用申し込み期限を利用月の前月10日としておりますことから、利用を希望する保育所等以外で利用可能な保育所等を保護者へ個別に情報提供することが出来ない状況となっています。そのため、待機児童と入所保留児童を区別することなく、保育所等を利用できないすべての児童を「待機児童」として取り扱っております。
②今後の保育所誘致予定について
令和9年4月の開所を目指して、南小学校区で60名定員の保育所1か所の整備を進めているところです。これは大規模マンション開発等により急激なニーズの増加が見られる市南部地域において対策を講じようとするものであります。その後の民間保育所誘致については、伊丹市子ども・子育て支援事業計画におけるニーズ量の見込み等も踏まえ、適切に判断してまいります。
③未就学児童数の推移と本市における保育ニーズの見通しについて
本市の0歳から5歳の人口は、令和4年は10,289人であったものが、令和5年は9,990人、令和6年は9,598人、令和7年は9,308人、令和8年は9,253人、と減少傾向にあります。近年、児童数の減少がやや鈍化していることも踏まえ、短期的には、本市における保育ニーズは引き続き高い水準で推移することが見込まれますが、中長期的には、全国的な少子化傾向の中、本市においも保育ニーズが減少する状況が想定されます。
④年度途中の保育所入所への対応について
昨年度における年度途中の入所申請件数は、概ねひと月あたり70件から110件の間で推移しております。年度途中につきましては、可能な枠が少なくなり、実際に入所できる件数は月平均で25人程度となっております。こうした年度途中の入所希望に対しましては、新たな保育定員の拡充は見込めないことから、私立保育所等を中心に既存施設のなかで弾力的な受入れなどについてご協力をいただくため、保育士等宿舎借上支援事業、保育人材就職促進事業、保育士等奨学金等返済支援事業などにより、私立保育所等における保育人材の確保を支援し、年度途中における保育ニーズに対応しております。今後も、すべての子どもが質の高い幼児教育・保育を受けることができるよう、引き続き、良好な教育保育環境の構築に努めてまいります。
















