2015年9月議会:かしば優美 代表質問

9月定例市議会 14年度決算ふまえて、市民のくらし・福祉の充実を

日本共産党議員団 かしば優美 議員

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して質問を行ないます。市長・当局におかれましては誠意ある答弁よろしくお願いします。

 第一に、明日明後日にも政府・与党が強行採決を狙ういわゆる「安全保障関連法案」に関してうかがいます。

 同法案はこの三ヶ月あまりの衆議院参議院の審議を通して、三つの点が明確となりました。

 第一には、「安全保障関連法案」が憲法違反だということです。「戦闘地域での兵站、戦乱が続いている地域での治安活動、集団的自衛権そのどれもが海外での武力行使そのものであり、憲法を踏みにじるものであることが明らかになりました。圧倒的多数の憲法学者、元内閣法制局長官、元最高裁判所長官も憲法違反と断じています。

 第二は、安倍政権が最後まで国民の理解を得ることができなかったことです。自民党の高村副総裁は「安全保障関連法案」を「国民の理解が得られなくても成立」させるといい放ちました。究極の居直り発言です。国民の6割以上が「今国会での成立反対」としている法案を強行することは、憲法の平和主義と国民主権の大原則を踏みにじるものであり断じて許されるものではありません。

 第三は、自衛隊の暴走という大きな問題です。自衛隊の河野(かわの)統合幕僚長が昨年12月に訪米し米軍幹部と会談した時に、何と昨年12月の段階で、「安全保障関連法案」は「来年の夏までには終了する」と米軍側に約束していたことが明らかになりました。大変な自衛隊の暴走であります。併行して米軍と自衛隊との一体化が国民の知らないうちに急速に進んでいます。伊丹においても今年11月下旬から12月中旬にかけて伊丹駐屯地等で日米共同方面隊指揮所演習が計画され、自衛隊中部方面隊と米軍側から第3海兵機動展開部隊、在日米陸軍司令部等が参加するとしています。

 様々な面から道理のなさが指摘されている法案は廃案しかありませんが、少なくとも拙速な採決は避け慎重に審議することが必要だと考えます。市長の見解をうかがっておきます。

2回目「安全保障関連法案」について

 最近ではこの「安全保障関連法案」ほど国民的関心・議論の高まりを示しているものはない。それは今後の国のあり方に根本的に関わる中身であり、全国民市民に重大な影響を与えることになるため、「賛成」・「反対」も含めてかってない状況になっていると思う。ですから「国防」「国の安全保障」問題は決して国の専決事項ではなく、客観的には一人ひとりに判断が求められていると思います。とりわけ市長は公人であること。自衛隊員が多数住む伊丹の市長として多くの市民が注目していると思います。「安全保障関連法案」への考え方を発信すべきではないでしょうか。再度見解をうかがいます。

第2に、地方交付税において決算一般財源と基準財政需要額との乖離についてであります。

 2014年度決算の説明の中で扶助費は過去最高を更新との見出しで、「増加を続ける扶助費は、障害者(児)福祉サ-ビス費、生活保護費の増、私立保育所保育委託料の増等により過去最高を更新。歳出全体に占める割合は1/4以上と高い水準になっています。」としています。さらに「扶助費がこの20年間で約3倍、(国県補助や利用者負担金等)特定財源を除く一般財源(いわゆる市の負担)は約2.5倍まで増加しています。」と表記。こうした状況から当局は「社会保障関係費などの増加などにより、厳しい財政状況は続くものとみられる。」と説明しています。

 はたしてこれが真実なのかどうか。地方交付税の側面から考察したいと思います。

 地方交付税(普通交付税)は地方全体および個別自治体のいずれのレベルにおいても、基準財政需要額と基準財政収入額の差額によって配分額が決定されています。この基準財政需要額とは、歳出の中でも使途が自由な一般財源によってまかなわれる部分です。つまり、一般財源でまかなわれるべき基準財政需要額に対して自治体の自主的一般財源である地方税(の75%分)が不足をする場合に、同じ一般財源としての地方交付税が交付されます。この不足分つまり基準財政需要額と基準財政収入額の差額が100%地方自治体に交付されれば何の問題もありません。しかし実際にはかなりの市の持ち出し(超過負担といわれるもの)が存在するといわれています。そこで生活保護費については、「制度上は国庫負担金と地方交付税によって財源が保障される仕組みとなっており、基本的には、生活保護費の増加は自治体財政の増加を導くものではない。」とされていますが、本市の実態についてうかがいます。

 障害者(児)福祉サ-ビス費、保育所費について、地方交付税における決算一般財源と基準財政需要額との乖離についてどのように分析されているのでしょうか。

 地方交付税の算定にあたっては、基準財政需要額の算出根拠となる「単位費用」や「補正係数」に関して実態に合うよう国に改善を求めていると思いますが、当局の現状認識、見解をうかがっておきます。

第3に、人件費・職員給与等についてです。

 ご承知のように2013年度、本来地方自治体が条例にもとづき自主的に決定すべき地方公務員の給与に対して国が干渉し、地方固有の財源である地方交付税を用いて人件費の削減を強制。市はそれに従い職員の給与減額を実施しました。その内容は地方交付税減額分3.6億円を捻出するために、市長等特別職と課長級以上について給与カット1年、職員全体に定期昇給見送り1年以上とするものです。今般その経過をお聞きしますと、給与カットについては予定通り昨年9月末に終了していました。2013年度の昇給見送りによる給料の号給の影響については、副主幹以下は今年度7月に復元しているものの課長級以上は今も復元されていません。すでに地方交付税減額分3.6億円は捻出されておりその趣旨から考えても速やかに復元すべきではありませんか。当局の見解をうかがいます。

2回目人件費・職員給与等について

 「課長級以上の昇給見送りについて速やかに復元すべき」と求めましたが、「現時点においては実施すべきでない。」との答弁でした。この関係する議案は2013年9月議会で日本共産党議員団は質疑も行ないました。その時に当局は、当初「国が地方公務員の給与削減を強制することは地方自治の根幹にかかわる問題で……このようなことは断じて行なうべきでない。」と国のやり方の不当性を指摘しました。しかし最終的には「苦渋の決断」をし、先に述べたとおり給与カット、定期昇給見送りを実施したわけです。

 当初の説明でも「定期昇給見送りは、削減効果が継続する措置であり、給与カットとあわせ複数年で地方交付税減額分3.6億円を捻出する」というものでした。今でも国のやり方はおかしい、不当だと考えておられるなら、すでに地方交付税減額分3.6億円は捻出されているわけですから、課長級以上についても「あれこれ総合的に勘案する」のではなくきちんと筋を通すべきでありませんか。再度答弁を求めておきます。

第4に、人事評価制度の「本格的導入」に関してうかがいます。

 昨年5月の地方公務員法改正により、来年度から全自治体で、従来の勤務評定に変わる、「発揮した能力とあげた業績による人事評価制度」の全面的導入が義務付けられました。 今年度は、各自治体で制度の規定と運用の細目が検討されます。なお国家公務員は2009年度から実施されています。

 伊丹市ではすでに管理職についてはこの人事評価制度を2007年(平成19年頃)から導入し、評価にもとづき人事配置等に活用しており、今年度から一般職に対して試行的導入をしています。こうした経過・内容をふまえて数点うかがいます。

 1点目、基本的に地方公務員の仕事に「成果主義」はなじまないということです。

 総務省の説明によると人事評価のねらいは、(1)能力・実績にもとづく人事管理の徹底によってより高い能力を持った公務員の育成、(2)組織全体の士気高揚、公務能率の向上により住民サ-ビスの向上であるとしています。そして人事評価とは、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び業績を把握した上で行われる勤務成績の評価であるとしています。そしてそれを任用(役目につけて使うこと)、給与、分限(地位・資格)その他の人事管理の基礎として活用するものとし、より具体的には能力本位の任用、勤務成績を反映した給与、厳正公正な分限処分、効果的な人材育成等の措置となっています。

 さらに今回の法改正で人事評価と人事及び処遇に関する一切が任命権者に権限が集中していくのではないか。それは全体の奉仕者としての公務員が首長への奉仕者に変わって行くのではと危惧するものであります。基本的に地方公務員の仕事に「成果主義」はなじまないと考えますが、当局の見解を求めておきます。

2点目は、人事評価の基本的なしくみと改善方向についてです。

 総務省では人事評価の基本的なしくみを例示していますが、これをどのように改善していくのかが大事だと考えます。(1)評価項目と評価基準の明示については仕事要因を重視して、主観性の入りやすい項目や人格・性格などは排除すること。(2)評価の客観性、納得性、公平性を担保する仕組みとして、評価内容と評価結果に関する情報開示と協議および修正権の確立、評価者の訓練・研修の強化、記述方式を併用した絶対評価を基本ル―ルとすること、(3)異議申し立て制度(苦情処理制度)の強化と救済機関の設置等の制度化などが必要であると考えますが当局の見解をうかがいます。

三点目、人事評価と賃金のリンクについて

 年功的な給与制度の修正と給与面でのインセンティブによる士気向上を、本制度の効果としています。しかし多くの場合、集団・組織で仕事をしている公務員の職場。そこに個人の人事評価を導入し賃金にリンクさせることは、職場に不要な混乱を招きかねません。よって人事評価と賃金をリンクさせるべきでないと考えますが見解を求めます。

第5は、国民健康保険事業会計についてですが、

 この国民健康保険事業ほど予算と決算の乖離が大きい会計も大変珍しいでしょう。2012年度は療養給付費等医療費が前年度比で1.0%減少する中、会計全体で4億円の赤字を一挙に解消し約1億3千万円の黒字となりました。2013年度は一般会計の繰り入れ基準の見直しにより、当初予算には歳入に計上していた一般会計その他繰入金約5億4800万円を全額財政調整基金に積み立てる措置(いわゆる「予算はがし」)が講じられた年でした。ところがそれにもかかわらず約3億2千万円の黒字となりました。そして2014年度はどうでしょうか。

 決算を見ますと、繰越金が3億1600万円あったとはいえ、一般会計その他繰入金が1.1億円減となる中、4億6800万円の黒字を計上しています。(単年度収支も1.5億円の黒字でした。)

 当局は2018年度からの国保事業都道府県化に向けて「2017年度までの国保会計の収支均衡を図らなければならない」としています。

 しかし今年6月議会質問に対する当局答弁にもあったように都道府県化の動向は、都道府県移管後もすべての市町で一律の保険料とはせずに、都道府県が市町の集めるべき保険料の総額を納付金(分賦金)として割り当て、市町は割り当てられた分賦金をふまえて加入者から保険税を徴収する。また都道府県は人口、年齢構成、医療費、所得水準などを考慮して市町ごとの保険料の目安を示すことになっています。

 一方で今後引き続き市町の法定外繰り入れが可能となるのかどうか、また国保に対する国の財政支援がどうなるのか不明な点もあります。しかし、都道府県化に対して国も当初示されたような一律的な対応ではなく、各保険の実態をふまえた対応へと変わらざるをえない状況です。

 今後のあり方に関して市長は先日の文教福祉常任委員会で、「これ以上国保税を引き上げることは非常にしんどいこと」と言われ、「国保の県単位化までは被保険者の国保税負担は据え置く」といわれました。現時点での財政調整基金(国保分)4.3億円あまりを活用して、少なくとも2013年度税値上げ分2億9千万円については16年度国保税を引き下げすべきではありませんか。見解をうかがっておきます。

2回目国民健康保険事業会計について市長に答弁を求めます。

 先ほどの私の質問に対して、9月10日に開かれた文教福祉常任委員会での市長答弁の考え方についての答弁がありました。市長が「国保の県単位化までは被保険者の国保税負担は据え置く」と言われたことに対して、「平成30年度の都道府県単位化までの間、何とか国保税率等を維持していきたいという思いを表明されたものです。都道府県単位化前の平成29年度の保険税率については、その時点での国保会計の収支状況や都道府県単位化の影響等をふまえた財政運営と被保険者の負担のあり方に関して、国保運営協議会で審議いただき、その答申をふまえて慎重に判断すべきものとの認識です。」との説明であります。

 常任委員会の答弁と今の答弁に重大なくい違いがあります。市長は常任委員会で、「国保の県単位化までは私の責任で、仮に会計が赤字になっても値上げせず、一般会計から税を投入して被保険者の国保税負担は据え置く」と明確におっしゃいました。

 (1) なぜ答弁に食い違いが生じるのか説明を求めます。

 (2) 市長自身も「これ以上国保税を引き上げることは非常にしんどいこと」と認識されているのですから、改めて国保の県単位化までは被保険者の国保税負担は据え置く決断していただきたい。

第六、介護保険事業について

 はじめに、今年八月からの新たな利用者負担の影響についてうかがいます。

(1) 一定額以上の所得がある高齢者のサ-ビス利用料負担が1割から2割に引き上げられたことについては、一定額以上の所得がある高齢者のサ-ビス利用料負担が1割から2割に倍増となり、今回の負担増の対象は一人世帯で年金収入だけなら年280万円以上の人たちなどです。

 当局にお聞きしますと、要介護認定者約7,900人中利用料2割負担になる人は約1,100人、率にして約14%となるとのことです。決算資料によると利用者一人あたりの月額介護給付費は居宅サ-ビスで約104千円、地域密着型サ-ビス214千円、施設サ-ビス269千円であり、よって自己負担2割の人は居宅サ-ビスで約2.1万円、地域密着型サ-ビス約4.3万円、施設サ-ビス約5.4万円と大きな負担増となります。結果として諸サ-ビスを中止するまたは抑制する利用者も出てくるのではと推察しますがどうお考えでしょうか。

(2) 特別養護老人ホ-ムなど介護施設の入所者に対して、食費・居住費を補助する「補足給付」に資産要件が導入されたことについて、非課税の低所得の人で特別養護老人ホ-ムなどの利用者は、利用料が1割負担のままでも食費や部屋代の補助が8月から打ち切られる人があると聞いています。一定の資産(単身で預貯金1000万円超など)がある人たちが補助からはずされるためです。本市ではどの程度の影響があるのかお聞きしておきます。

○「補足給付」1,512人中 →5月に1239人に申請書(更新)を送付した

(2)次に介護給付費等準備基金積立金を活用して保険料負担の軽減を求めたいと思います。

 第5期事業計画(2012~14年度)では五割基金取り崩しを予定して、介護保険料等を決めました。しかし結果として基金の取り崩しはありませんでした。

 もともと基金の原資には1号被保険者の保険料が含まれています。また今年度6月議会補正予算で、低所得者の介護保険料の軽減を目的として第一段階保険料の軽減措置を議決しました。11億円を超える介護給付費等準備基金積立金の一部を取り崩し、例えば第二段階の保険料負担を少しでも軽減することも可能ではないかと考えますか見解をうかがいます。

2回目介護保険事業について

○新たな利用者負担について、特にサ-ビス利用料が2割になることによる負担について、さきほど「一方で高額介護サ-ビス費の一ヶ月あたりの負担額の上限が適用されますことから、一ヶ月あたりの負担額は最大でも4万4400円となっています。」と言われました。これはおそらく「倍の2割負担になっても上限の歯止めがかかっているから大きな負担増にはならない」と言いたかったのではないかと思います。しかし対象となる年金収入が280万円前後の人は月収では23万円あまりで、この階層の人がサ-ビス利用負担が倍になり毎月1~2万円支払いが増えるとしたら、その影響はかなり深刻であり、答弁とは逆に「利用者にとって必要なサ-ビスの抑制や中止につながる危険性があることを重ねて指摘しておきます。

○)介護給付費等準備基金積立金を活用して保険料負担の軽減を求めました。
 第5期の介護保険事業計画における介護給付費の実績が事業計画で予定していた額の約90%にとどまり、基金残高が2014年度末で11億4千万円あまりとなった、そして今年度から始まった第6期計画で基金の半分約5億円を計画期間中に取り崩す予定であるとの答弁でした。残った基金の一部を使って例えば第二段階の保険料負担を少しでも軽減することができないかと質問しました。

 低所得者に対する介護保険料の軽減が必要であるとの認識は私だけではありません。答弁の最後にあったように国も必要だと考えています。ただその財源を消費税率の引き上げに頼っている点は認めることができませんが……。介護給付費の財源は保険料50%公費50%で、保険料の約20%は65歳以上の方の保険料となっています。五億円の準備基金の20%程度を活用した軽減対策は十分に可能だと考えますが、再度答弁を求めるものです。

第7は生活保護についてです。

(1つ)は今年7月1日施行となった住宅扶助額の引き下げの影響について、
 伊丹市の場合の家賃基準が、単身世帯の場合4.25万円が4.0万円に、2人世帯の場合は5.54万円が4.8万円にそれぞれ引き下げられます。厚生労働省は、「経過措置を含めて3年間で引き下げによって転居を迫られる恐れのある世帯は44万世帯となる」と答弁しています。現在の利用者の三世帯から四世帯に一世帯の割合で、引き下げの影響を受けることになります。七月からの新規申請は、引き下げ額になりますが、伊丹市における影響についてうかがいます。

(2つは)住宅扶助基準額を検討するときにもっとも大事な点は、国が決めている「最低居住面積水準」が保障できる基準になっているかどうかです。「最低居住面積水準」は、2011年3月に閣議決定したもので、専用台所水洗トイレ、浴室、洗面所などの条件を充たしたうえで、「健康で文化的な生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準」で、単身で25平方㍍、2人で30平方㍍、3人で40平方㍍、4人で50平方㍍といったように、世帯人数に応じて決められています。現在の住宅扶助基準では、多くの生活保護利用者がこの水準を充たす住宅には住んでいないと言われています。本市の現状と当局の見解を求めるものです。

 (3つは)今回の改正に際し、伊丹市は当事者の個別の事情や住居の安定を十分に配慮した慎重な対応を求めたいと思います。
 15.4.14社会・援護局長通知「生活保護法に基づき厚生労働大臣が別に定める住宅扶助の限度額の設定について」の積極的運用を求めたいと思います。個別の事情によるもので、

  • 車椅子使用の障害者等で特に通常より広い居室を必要とする場合
  • 高齢者等で従前からの生活状況からみて転居が困難と認められる場合
  • 地域において住宅扶助上限額の範囲内では賃貸される実態がない場合

などは旧基準を適用すること。

〈住居の安定に配慮した経過措置等〉については、

  • 住宅扶助上限額の減額の適用を契約更新時まで猶予する。 
  • 住宅扶助上限額の範囲内の住宅への転居が必要となる場合は、転居費用を支給する。 
  • 転居が困難なやむを得ない理由がある場合は、見直し前の額を適用する等であります。

また生活保護利用当事者に十分に周知すること強く求めるものです、見解をうかがいます。

8、伊丹市都市計画道路網の見直し(案)について

 都市計画道路網見直し検証結果(案)によると、今年3月議会で「都市計画道路見直しについて」の質問に対して、当局は「議員のご案内のとおり、都市計画決定後の自治体の財政的な理由や地元調整による理由などから長期未整備・未着手の区間が多く存在し、その区域の地権者に対して建築制限等の土地の利用制限を続けることの妥当性を問われるようになりました。一方ライフスタイルや物流における道路交通の役割などが大きく変化し、また今後少子高齢化による人口の減少とともに自動車交通量や保有台数の減少が想定され、時間の経過とともに都市計画道路としての必要性そのものや、機能について見直しが求められているところです。このような状況から、県は2010年度に「兵庫県都市計画道路網見直しガイドライン」を作成し、そのガイドラインにもとづき2011年度から県とともに各市町が足並みをそろえて具体的な道路網の見直し・検証作業を進めています。今回本市での見直し対象路線は幹線道路の13路線、延長にして約11キロ㍍があり、県が道路機能について客観的な判断による指標により検証を行い、現在第二段階として地域固有の要素を踏まえた市の視点による検証を行い、対象路線の存廃の選定作業を行っている最中です。」との答弁でした。

それをふまえて3点うかがいます。

(1)ガイドラインに基づく検証の結果について 

 今年6月に「伊丹市都市計画道路網の見なおし(案)が示され、それによると未整備区間13路線のうち存続候補路線11、廃止候補路線2となっている。「検証の流れ」によると、「県の視点にもとづく検証」「市の視点にもとづく検証」を経ての結果となっているが、存続候補路線と廃止候補路線の違いは何かうかがいます。

(2)計画幅員について―道路構造令に照らして

 同じ補助幹線に分類されていますが、計画幅員について西野中野線や口酒井森本線は16㍍、野間御願塚線や東野山本線は12㍍としている理由について。また計画幅員について、車線幅員については、設計速度・交通量・大型車混入率を想定し定めている道路構造令に照らして計画されているのかどうかうかがいます。

(3)財源の確保に関して

 今回の案では未整備区間13路線のうち存続候補路線11としていますが、仮にすべてを完成させるとすれば概算で270億円の費用がかかると聞きました。仮に毎年の事業費を3億円とすると90年かかる計算となります。個別事業費で見ても主要幹線に分類されている塚口長尾線で69億円、宝塚池田線で20億円と試算されています。財源は無制限にあるものではなく、この面での検証を行なう必要があると考えますが、見解を求めておきます。

2回目伊丹市都市計画道路網の見直し(案)について

 伊丹市都市計画道路網の見直しについて、財源について質問しましたが、県負担や補助金を除く11路線約270億円の事業費に対し市の実質負担額は約100億円と試算しているとのことでした。ただ現時点での試算ですから将来どうなるのか予想が難しいとも思います。

 今第五次総合計画後期5ヶ年の行財政プランが審議会で論議されています。その中で健全な財政運営の実現に向けた取り組みの方向性について政策的・投資的事業の方針についても議論されているところですが全体として厳しい状況を反映していると感じます。ですから都市計画道路にしても複数以上の路線を同時整備することは非常に困難なわけで、どうしても優先順位を考慮する必要があると考えますが、どのようにお考えなのか見解を求めるものです。

9、最後に教育問題として、

(1)スク-ルソ-シャルワ-カ-の増員を強く求めたいと思います。

 行政評価報告書(2014年度事後評価)では、前年度「伊丹市いじめ防止等対策審議会の開催など、実効性のある取り組みができた。また、スク-ルソ-シャルワ-カ-等の効果的な活用により、生徒指導上の課題についてきめ細かい対応が図れた。」とし、これをふまえて今年度は「スク-ルソ-シャルワ-カ-の増員などにより、いじめ、不登校、問題行動等の生徒指導上の課題に対して、学校への多面的な支援を図るとともに、未然防止、早期発見、早期対応に向けた効果的な取り組みを推進する。」としています。

 午前中教育長の答弁にあったように現在市は独自に2人のスク-ルソ-シャルワ-カ-を配置して、学校、家庭、関係機関へ訪問など問題解決にあたっておられますが、市民からは「なかなか順番がまわってこない」などの声も耳にします。また市は「国のスク-ルソ-シャルワ-カ-活用事業の対象を市へ拡充する制度見直しの支援」を県政要望の重点項目に挙げています。

そこで

(1) 市内全体の状況からニ-ズをどのように把握しているのか

(2) 県教育事務所に設置されている学校支援チ―ムに現行9名のスク-ルソ-シャルワ-カ-が配置されていると聞いています。県と相談してより有効に活用できないものかと考えますが見解をうかがいます。

 

2015年3月議会:ひさ村真知子 障がい者の参政権行使/中学校給食調理の民間委託

日本共産党議員団 ひさ村真知子 議員

1、「障がい者の参政権行使は保障されているか」について

 ただいま議長の発言の許可をいただきましたので、私は共産党議員団を代表して質問いたします。

 障害者の参政権行使は保障されているか、に関してですが、参政権は、政策形成過程に参加する権利,つまり,国民が主権者として直接あるいは代表を通じて,国の政治に参加する権利です。日本では,原則として,国民の代表者によって国政が運営されることになっているので,国民の意見を忠実に国政に反映させて,国民の人権を守り、実現するために,「参政権」の保障はとても重要なことだと思います。なかなか投票率が上がらない現状がありますが、身体的事情により行きたくても行けない等の事情もあります。しかしそのような方も含め、すべての国民に憲法で保障されている参政権の行使にたいして、行政は責任を持たなければなりません。

・私は、この立場から、障がい者の参政権、投票権の行使に関してお伺いいたします。

 「障害者基本法の一部を改正する法律」が、2011年8月に公布,施行され、障害者の定義が見直されて,新たな規定が追加されました。障がい者の定義については、身体障害,知的障害,精神障害(発達障害を含む。)という点です。

 当然このような障がい者の方々が選挙に参加できるようにしなくてはなりません。そのためにこの法には、選挙時における配慮として新たに、国及び地方公共団体は,法律又は条例の定めるところにより行われる選挙,国民審査又は投票において,障害者が円滑に投票できるようにするため,投票所の施設又は設備の整備その他必要な施策を講じなければならない。とされています。この法に関連してお伺いいたします。

 伊丹市としては「改正、障がい者基本法」をうけて、投票に関してどのような施策を行っているのでしょう。

① 今日まで、重度の障害や要介護5等の認定者で、投票所に行くことが困難なかたを対象にした郵送による不在者投票制度がありますが、皆さんにどれだけ周知しているのでしょうか。対象者の方がどれだけこの制度を利用しているのでしょうか。お伺いいたします。

② 次に投票所ですが、すべての投票所は、バリアフリーとなっているのでしょうか。
 毎回投票に行っている人が、「体が弱ってきているので、会場までは歩いていけなくなったし、階段もあるので、今回はあきらめるわ」といわれた高齢の方、このことは今後高齢化社会の中で誰にでも起こることです。私も自分のこととして不安を感じました。その方も熱心に投票に行かれていた方ですので大変残念な思いをされているだろうと感じました。

 また車イスの方が、何回も投票しなければならないのに投票所が狭くて動きにくかったという声も有りました。

 このような状況は急いで改善されなければならないと思いますが市内の投票所のバリアフリーの状況はどうでしょうか。お伺いいたします。

③ また、高齢者等移動が困難になってきている方への対応が必要ですが、現状をどのように把握されているのでしょうかお伺いいたします。

④ 知的障がい者の支援に関しては、いかがでしょうか。現状ではその権利が十分に守られているとは思えないのですが。対象となる方の投票率はどうでしょうか、また、どのように本人の意思確認を行われているのでしょうか。

 いつもと違う環境におかれるのは、誰しも同じではじめての選挙は大変緊張するものです。会場に入れば、緊張もしますのでなれない若い人が行かないという気持ちも少しはわかるような気もしますが、このような中での知的障害の方の受ける緊張感というのは計り知れないかもしれません。何とか緊張をほぐして投票を行うようにもって行くのは大変ではないかと思います。しかし家族の方も周りの方も、権利の行使を願っていると思います。あるお母さんは「周りの事を気にして連れて行かないようにしてしまう」ということを言われていました。このような状況を変革していかなければなりませんが、どのような手立てを伊丹市として行っておられますか、お伺いいたします。ある方は子どもが数字を少し書けるので候補者名のところに数字を打ってほしい。また写真を見せての意思確認を行ってくれれば投票に連れて行けるのにともいわれていました。 

 このような問題で様々な要望が障がい者や家族から出ていると思います。様々な障害により要望もそれぞれに違っていると思いますが、きめ細やかな施策を行うためにはそのような声を施策に取り入れ、障害者の権利をしっかりと守っていただきたいと思います。

⑤ 病院、施設に入所されている方は投票がそこで出来ますが、投票を書くところを見られているので書きにくかったなど耳にしたこともありますが、投票が厳格に行われているのでしょうか。また選挙情報、広報などはすべての対象者に行き届いているのでしょうか。

 病状も様々でしょうが、投票の仕方も政党名を書く、また個人名を書く、○や×等もありますので、きちんとした説明が行き届かないと大変難しいことになってしまい正しく投票が出来ないという状況も生まれてきます。どの程度理解できる手立てが行われているのでしょうかお伺いいたします。

2、中学校給食の調理部門の民間委託に関して

 市民の皆さんは、安全でおいしい給食をと願われやっと実現することを大変喜ばれています。

 しかし調理部門の民間i委託に関しては不安の声もあります。市民団体でこの問題を街頭で「中学校給食は市の直営で」の署名のお願いをしましたら結構反応はありますので、やはり伊丹市への信頼や、食の安全に関しての関心が高いのだと感じます。伊丹市の中学校給食をセンター方式で調理部門を民間委託で始めることに関して、伊丹市として市民への説明をしっかりと、しなければならないと思います。

 今回私たち共産党伊丹議員団が、アンケート活動を行い、給食の民間委託に関してもお聞きいたしました。その答えは、小学校のように直営に、賛成の方、312人わからないが、277人。安全性に関しての「不安だ」という意見の書き込みが多くありました。

 「メリット・デメリットがわからない。民間委託で給食が業者の儲けの対象になっては困る。親が作るべきだ」など様々な意見が書かれています。このような状況から見て市民の理解はまだ半分にも達していないと感じますし、「わからない」と言ってる方が、正直このままわからないで終わってしまうこともいいとは思いません。

① 伊丹市としてのこの施策に関して市民の理解はどうなのか考えるべきだと思いますが、どれだけの理解がされているとお考えなのかお伺いいたします。

次に② 給食を実施すれば大なり小なりの様々な問題が起こるかもしれません。

 民間委託の一番の問題は議会でも何度も上原議員、加柴議員も質しておりますが、偽装請負の問題があります。伊丹市の管理栄養士が、現場で直接民間の調理員に指導をしてはならないのが鉄則ですから、現場で注意せざる得ないことや緊急な問題などがあれば誰が指揮をして動くのかと不安があります。

 ですから民間会社に対しての作業に関しての検証などが必要と思います。たとえば、東京の小金井市で9校の小学校のうち5校での民間委託が行われていますが、委託で、「質は落ちていない」という教育委員会は言われているということですが、同委員会がその根拠としているのが毎年度実施している、「検証」作業と、その結果をまとめた「学校給食調理業務等委託評価報告」があります。

 検証委員会は、教育委員会事務局、学校調理員、栄養士代表らで構成され、最近では毎年1回、中学校5校と小学校1校に出向き、給食内容、衛生面などの6項目について評価を行っている。

 報告に中で、食器や釜の洗浄方法が不適切(第1中)、じゃがいもの水のさらしが不十分(第2中)、ドライ運用の床が濡れていた(東中)、白衣を脱いで仕事をしていた/異物混入の可能性があり好ましくない(緑中)、すすぎが不十分なまま食器を食器洗浄に投入していた(南中)など各校ごとに調理員らの厳しい指摘がなされている。ということですが。このような検証は伊丹でも必要なのではないでしょうか。民間委託の一番の問題は、管理栄養士が現場で直接調理員には指示できないということです。この問題をどうカバーするのかが問題ではないでしょうか。作業の仕方などに対して誰が検証するのか、小金井市のように評価する機関が必要だと思います。

 おいしさに関してもこのような問題や先ほどの例の細かい問題に関しても、現場での対処が必要でしょうが、どのように誰がきちんと行うのかなどの、対処の仕方や、緊急時には、その指揮命令が誰がきちんと行うのかなどに関しては、市民の方も関心と不安を持たれているのではないでしょうか。

 問題が起こって生徒に影響が出てからでは遅すぎます。どのようにお考えでしょうか。楽しく給食を食べることが食育に大きく関係します。先ほどの検証例は他市のものですが、やはり民間委託では市民から見て責任の所在が明らかでは有りません、学校給食法には、給食は教育の一環と位置づけられていますから、やはり伊丹市教育委員会が直営で行うことが市民から見れば一番安心です。

 民間委託に関しての考えはしっかり市民の説明も行い、意見も聞き新たな方向を探ることも必要ではないかと思いますが、いかがお考えかお伺いいたします。

2015年3月議会 ひさ村議員、かしば議員が個人質問

ひさ村 真知子 議員 
【3月11日(水)午後1時40分~ 】

〔質問項目〕

1、障がい者の参政権行使は保障されているか

 障がい者基本法の一部を改正する法律では、障がい者の定義が見直されています。また障がい者が投票を円滑に出来るよう支援策を講じなければならないとされていますが、伊丹市としてこの法を受けどのような施策を行っているのか

・重度心身障害の方が利用できる郵送による投票の利用の現状は

・投票所のバリアフリーはされているのか

・高齢者等移動が困難な人への対応が必要だが、現状をどのように把握しているか

・知的障害の方に対する意思確認の工夫がいるがどのようにしているか

・病院・施設での投票は適切に行われているか、また情報は行き届いているか

2、中学校校給食の調理部門の民間委託は再度考えるべき

 ・調理部門への民間委託は、市民へどれだけ理解されていると考えるのか

 ・給食への問題などが起こった場合はどのような指揮命令になるのか

かしば 優美 議員
【3月12日(木)午前10時~ 】

 〔質問項目〕

1、総合交通計画の策定検討にあたって

(1)「総合交通計画」の目的は何か

(2)都市計画道路網の見直しについて

(3)幹線道路未整備区間の安全対策について

―県道「塚口長尾線(札場の辻以南)」の歩道等整備が急がれている

2、災害援護資金返済免除要件の拡大を国に求めること

阪神淡路大震災から20年、伊丹市では返済残252件金額で2.6億円余り

3、公営住宅入居者の地位の承継承認基準について

3月6日から代表質問が始まります

日本共産党議員団は、3月9日(月)午前10時より、上原ひでき議員が行います。

是非傍聴にお越しください。

質問の趣旨は下記の通りです。

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1.市長・教育長の情勢認識を問う

1)安倍内閣がすすめる経済政策について

 市長は、安倍内閣の経済政策「アベノミクス」と消費税増税が、日本経済の成長を止め、国民の間で格差と貧困を広げているという認識は持っておられるか。

2)戦後70年という節目にあたり、安倍内閣がすすめる戦争する国づくりに反対し、憲法を守る決意を

① 集団的自衛権行使、アメリカの先制攻撃への自衛権発動、邦人救出のため自衛隊出動等戦争する国づくりに対し、自衛隊のあるまちの市長として憲法の立場から反対を。

② 第2次世界大戦終結70年という節目にあたり、「村山談話」と「河野談話」の核心的内容を継承することが大事。市長と教育長の歴史認識を問う。

2.真の「地方創生」「伊丹創生」—地域で生活する人々の人権を守り、社会福祉政策の充実により、地域で安心した暮らしを保障するために

1)子育て一番の伊丹市に

① 新しい子育て支援制度に関し、1 待機児童の解消と小規模保育事業、2 支給認定の問題、3 民間の保育士確保と給与等待遇改善について伺う。

② 公立幼稚園のあり方について、改めて統廃合をやめ、3年保育と預かり保育を実施することを求める。見解を問う。

③ 中学卒業までの無料化に向け、子どもの医療費助成の拡大について見解を問う。

2)国民健康保険税の引き下げを求める

3)介護保険について

① 介護予防・生活支援サービス事業(新総合事業)を導入することについて、現在要支援1・2の人のサービス水準を切り崩さないことを約束できるのでしょうか。

② 介護報酬2.27%引き下げによって、市内介護施設・サービスはどう影響を受けると考えておられるのか。

③ 地域包括ケアシステム構築に当たり、基幹型地域包括支援センターのあり方、並びに包括支援センター、自治体の役割について伺う。

4)住宅問題について

① 市営住宅について、若年層や高齢者の間で住宅困難者が増加する中、民間住宅借り上げ等の活用で安定した住まいを提供する積極的な施策を。

② 民間賃貸住宅の活用について、空き家が増加する中、家賃補助制度等の創設を求める。

5)生活困窮者自立支援法について

 生活に困窮するすべての人を対象にした相談体制、自立支援策を構築するための施策について伺う。

6)雇用を守る問題について

① 安倍内閣が提出しようとしている労働法制に関する法案は、「残業代ゼロ」と労働者派遣法改悪案。働く市民への影響をどう考えるのか、市長の見解を伺う。

② ルネサスエレクトロニクス北伊丹事業所の閉鎖というリストラから雇用と地域経済を守るため、県・労働局と連携した立地自治体としての対策を伺う。

3.教育に関する問題—道徳教育の教科化について

 子どもの道徳を評価する問題、道徳の検定教科書を導入するとされるが道徳が教科としての成立要件はあるのかという問題等をどう考え、道徳教育をするのか。

2014年9月議会:かしば優美 一般会計決算についての討論

報告第6号「平成25年度伊丹市一般会計歳入歳出決算」に対する討論

2014年10月9日

かしば優美議員

 ただいま議長より発言の許可をえましたので、はじめに御嶽山(おんたけさん)噴火によって犠牲になられた方々及びこの夏、広島の土砂災害をはじめ、台風や大雨によって犠牲になられた方々への深い哀悼とともに、被害を受けられた方々に心からのお見舞い申し上げます。

 それでは私は日本共産党議員団を代表して報告第6号「平成25年度伊丹市一般会計歳入歳出決算」の認定に同意できない立場から討論を行います。

 2012年に行われた総選挙によって第2次安倍政権が発足しました。この政権は「アベノミクス」と称して、無制限の金融緩和策と200兆円もの大型公共事業を進めてきましたが、しかしこれは過去において失敗済みの経済対策でしかなく、見せかけの「経済成長」を演出し、消費税大増税を予定通り強行。また社会保障政策では、民・自・公3党合意による「社会保障と税の一体改革」を進め、国民の生存権の保障をないがしろにしてきました。

 このような中で伊丹市政に求められるのは、市民のくらし、福祉、営業を守り充実することにありました。この視点で決算の内容に触れていきます。

 2013年度一般会計決算規模は、歳入が対前年対比1.1%増の661億9848万円、歳出は対前年対比0.6%減の645億1348万円となっています。

 歳入の根幹となるべき市税については、大阪国際空港民営化にともない固定資産税等で約2億円の増加となり、個人市民税は約4180万円の微減にとどまったものの、リ-マンショック以降の5年間で、給与所得者一人当たりの所得は17万4千円、営業所得者等一人当たりの所得は4万円それぞれ減少するなど、市民にとって依然として厳しい状況を反映しています。法人市民税は「ゆるやかな景気回復基調」といわれているものの、法人税の引き下げ等の影響もうけて2700万円の微減となり、リ-マンショック直前の2008年度(平成20年度)の29億円と比べると69%という水準であります。今後消費税の相次ぐ増税が市民のくらしや中小企業・零細業者の営業を直撃することが予想されるだけに、伊丹市はいっそう市民のくらしと安全を守る施策が求められていることを強調しておきます。

 次に普通交付税と臨時財政対策債の合計は、前年対比で1億7千万円、率にして約2%の減となっています。特に国において、地方財政計画に国家公務員の特例措置に伴う地方公務員の給与削減を盛り込み、一方的に地方交付税を削減してきたことはまったく異例であります。全国市長会の緊急アピ-ルの通り、こうした行為は地方の財政自主権を根底から侵すものであり、断じて許されるものではありません。

 以下咋年度決算の問題点を述べていきます。

 第一は、職員給与の削減・引き下げです。国家公務員の給与減額に端を発し、本市においても一般職職員の給与について7.8%もの大幅減額が実施されました。その内容は、一般職の定昇見送りと課長級以上の給与カットにより平均2.2%の給与削減、市長等特別職の5%給与カットであります。伊丹市はこれまでも職員給与に関して、「給与構造改革」の名の下に4.8%削減し、さらに地域手当も下げてきました。それらの結果単純に比較できないものの、本市一般行政職の平均給与月額は阪神間で最低クラスとなっています。先に述べた減額分に関して、給与カット分約4500万円については今年10月から復元するとしていますが、一般職員の定期昇給見送り分約1億8千万円については明言されていません。いち早い復元を強く求めるものです。

 第二は、医療費助成制度にかかる問題点です。

 特定疾患医療費助成制度について、2015年10月廃止を決定し、昨年10月から段階的に上限額を引き下げています。廃止に向けて「新規申請は受け付ける」とか「所得制限、対象疾病の見直しはしない」等の経過措置を設けていますが、難病がゆえに多額の医療費負担に苦しむ市民には冷たい仕打ちとなるものです。

 またこども医療費については、県制度にあわせて昨年7月から通院について小学4年から中学3年までの自己負担分1/3の助成が始まっています。子育て支援策拡充への市民からの要望は大きく、さらに通院についても中学校卒業まで無料にすることを求めておきます。

第三に、人権教育・啓発及び同和問題に関連する点であります。

 昨年度市の学校・職場・地域での人権教育研修会では、主として同和、男女共生、セクシュアルハラスメント、外国人等の問題をテ-マに行なったと報告がありました。問題なのは人権教育・啓発の中心が「市民相互における人権侵害」に特化し、歴史的にも今日的にも、人権とは国をはじめとする公権力によって侵されることのない永久の権利であるとの視点と実践が極端に弱いことです。福島原発事故により多くの人々が、居住権や財産権など生存権そのものを奪われている現状は人権侵害の最たるものであります。今学校生徒や市民がどのような人権に関心をもっているのかを把握し、それに沿った教育・啓発が必要と考えます。同時に同和問題に関して、その認識において現状から大きく乖離している「差別を許さない都市宣言」はただちに撤廃し、同和行政・同和教育の終結宣言を行うことを強く求めておきます。

第四に、生活保護の引き下げについてであります。

 安倍内閣のもと生活保護費のうち生活費に当たる生活扶助が3年間で段階的に6.5%
引き下げられることになり、昨年8月から削減が始まっています。その結果96%の世帯が引き下げられ、世帯類型ごとに現在と2015年度以降とを比較すると、都市部に住む70代以上の夫婦で5.3%、40代夫婦と小中学生の子ども2人の場合(都市部に住む)で9.0%それぞれ減額となります。なかでも子どもの数の多い世帯が一番の打撃を受けることになります。貧困に陥った人の「生きる権利」侵害する重大な内容です。前年度決算には生活保護費削減が反映しており、憲法第25条にうたう生存権をおびやかす内容を認めることはできません。文字通り憲法を市政にいかす立場から、国に対して生活保護費削減撤回を強く求めるべきであります。

 第五に、学習到達度調査についてです。

 市教育委員会は昨年4月、全国学力・学習到達度調査と市学習到達度調査を小学校6年と3年生を対象に悉皆(しっかい)調査を行いました。党議員団は以前から指摘しているように、全国一斉学力テストは子どもたちと教育に対するいっそうの競争と管理を強め、教育の格差づくりを進めるものです。同時に、子どもの学力実態を客観的に明らかにする調査も必要な場合があり、その際には調査目的を限定して、無作為による最小限の抽出で行い、数年に1回行うことでも、その後の学力保障に向けた具体的な施策に反映できるものです。以上の理由から、全員参加による学力調査は必要なく中止を求めるものです。同時にテスト結果の公表は今後とも行なうべきではありません。

 次に今後に向けた具体的要望です。

 第一は、中学校給食実施における運営方式です。

  市は、中学校給食の運営方式を「原則として民間事業者による運営を採用する」としています。

 しかし給食は教育の一環であること、また給食調理業務はあくまで栄養士の指示に従い、その指揮監督の下で行うべきものであり、業務の委託にはなじまないと考えます。同時に経費節減のために働く従業員の給料が抑えられ、また入札により事業者も変わることで安定した調理業務に支障をきたす恐れがあり、中学校給食はあくまでも直営で行なうことを求めます。

 第二は、ルネサス北伊丹事業所の移転問題についてであります。なによりも伊丹市が誘致した企業が事業所を閉鎖し、労働者、地域、住民にしわ寄せする身勝手な行動は許さるものでないことを重ねて指摘するものです。国、兵庫県、伊丹市は、住民に就業と生活を保障する自らの責任とともに、大企業に雇用と地域経済を守るという社会的責任を果たさせていく責任があります。同事業所から関東への移転は年明けから本格化します。伊丹市は労働局や県と連携し、障害者、家族の介護など家庭の事情で転勤できない社員を調査し、雇用の受け入れを三菱電機等に求めるなど必要な対応を求めます。

 第三に、就学援助についてですが、2013年度は小学生1740人(15.4%)、中学生1100人(20%)が利用しています。改めてクラブ活動費や生徒会費など支給項目の拡大を求めるとともに、かなり「前向きの答弁」をしていただいた新入学児童生徒学用品費の入学前支給についてはただちに実施されるよう要望しておきます。

 第四に、来年度施行予定の子ども・子育て支援新制度に関して、保育所待機児童の解消は急務であり、認可保育所の増設による解消を求めます。さらに公立幼稚園の問題では、統廃合はやめ、3年保育と預かり保育の実現を要望するものです。

 その他本会議、委員会で多くのことを要望しましたが、十分に検討していただき来年度予算に反映していただきますよう要望しておきます。全体として、国の経済対策を受けた補正予算、元気交付金を活用しての、学校園施設の改修・耐震化や市営住宅・プ-ルの改修など暮らしに密着した公共事業の推進については評価するものの、先に述べたとおり、多くの問題点を含んだ決算内容になっており認定できないことを述べ討論とします。 

2014年9月議会:上原ひでき 本会議 家庭的保育事業・放課後児童健全育成事業条例 討論

2014年9月26日

日本共産党議員団 上原秀樹

 議長より発言の許可を得ましたので、日本共産党議員団を代表して、議案第98号並びに議案第99号に対して、修正案に賛成し、原案に反対する立場から討論します。

 はじめに、議案第98号 伊丹市家庭的保育事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定についてです。本条例案は、子ども・子育て支援新制度施行に伴い、家庭的保育事業並びに小規模保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業の設備、運営に関する基準を定めるものです。

 保育事業において重要な要素である家庭的保育事業等における保育従業者の配置基準については、現在の保育水準を低下させない、保育に格差はつくらないという観点が必要です。この点では、第23条以下で、家庭的保育事業並びに小規模保育事業C型、居宅訪問型保育事業における保育士の配置に関しては、国の基準に上乗せし、家庭的保育事業並びに小規模保育事業C型は2分の1以上、居宅訪問型保育事業は保育士とする提案がされていることは評価するものです。しかし、認可保育所と同様に認可される小規模保育事業B型並びにC型において保育士の配置を半数以上としたことは問題があるといわざるを得ません。

 修正案において、小規模保育事業を行う者は、原則として小規模保育事業A型とすることで、現在の認可保育所と同様に保育従業者すべてを保育士とすることができ、保育に格差をつくらせないこととすることができます。

 よって、議案第98号は、修正案に賛成、原案に反対とするものです。

  次に議案第99号 伊丹市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定についてです。本条例案は、子ども・子育て支援新制度施行に伴い、放課後児童健全育成事業に関して、国のガイドラインに基づき事業の設備、運営に関する基準を条例で定めるものです。

 本条例においても、現在の「児童くらぶ」の水準を低下させないことが求められます。一方、「放課後児童支援員」の配置数は、第11条第2項において、支援の単位ごとに2人を配置するとされていますが、「ただし書」において、そのうち1人を除き「支援員」の資格要件のない「補助員」に代えることができるとされています。このことは現在の「児童くらぶ」の指導員がすべて資格を有する人によるとされていることから、その水準が低下することになりかねません。

 なお、委員会の中で当局は、「経過措置」の中で、支援員はこの条例の施行の日から平成32年3月31日までの間、知事が行う研修を終了するとされていることから、研修の間の代替に資格のない「補助員」が必要と説明されています。しかし現在でも指導員以外に資格を有する待機指導員が60名おられ、指導員に欠員が出た場合に代替としての役割を果たしています。したがって伊丹市においては資格のない「補助員」は必要ありません。

 修正案において、この「補助員」の項目を削除するとしていますが、このことが現在の水準を低下させないことになります。

 よって、議案第99号は、修正案に賛成、原案に反対とするものです。

2014年9月議会:ひさむら真知子 家庭的保育事業・放課後児童健全育成事業の修正案を提案

2014年9月26日本会議 修正案の提案

日本共産党議員団 久村真知子

 議長より発言の許可を得ましたので、日本共産党議員団を代表して、議案第98号並びに議案第99号対する修正案並びにその理由を提案します。

はじめに議案第98号 伊丹市家庭的保育事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定についてです。

本条例案に対し、小規模保育事業における保育士の配置基準によって保育に格差をもちこませないため、第28条に次の1項を加えようとするものです。

第2項 小規模保育事業を行う者は、小規模保育事業A型の基準を満たすものとする。ただし、やむをえない理由により小規模保育事業A型の基準によることができないと市長が認める場合は、小規模事業B型又は小規模事業C型の基準によることができる。

次に議案第99号 伊丹市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定についてです。

本条例案に対し、「放課後児童支援員」の数は支援の単位ごとに2人を配置するが、そのうち1人を除き「支援員」の資格要件のない「補助員」に代えることができるとされていることが、現在の「児童くらぶ」の水準を低下させることになることから、その部分を削除するため、第11条第2項ただし書を削り、同条第5項中「及び補助員」及び「又は補助員」を削ろうとするものです。

以上、議案第98号並びに99号に対する修正案の提案とします。

2014年9月議会:上原ひでき 子ども・子育て支援新制度に関する議案質疑

日本共産党議員団 上原秀樹

 議案第96号から99号の4議案に対して質疑を行います。これらの議案は、来年4月から始まる子ども・子育て支援新制度に関する議案であり、保育所、幼稚園、児童くらぶなど子育てに関わる制度を根幹から変えるものです。私は昨年12月議会でこの問題を取り上げ、子ども・子育ての基本理念は、子どもの権利条約第3条「子どもの最善の利益が第一次的に考慮される」こと、また児童福祉法第2条「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」、そして第3条で「この原理は、すべての児童に関する法令の施行にあたっては、常に尊重されなければならない」との規定に基づいて行うべきであると主張し、この立場からの実施を求めました。 今回、実施主体である伊丹市が定める教育・保育施設と運営基準が提案されていますので、以下の点でお聞きします。

1.議案第96号 伊丹市子ども・子育て支援法施行条例の制定について

○ 第2条は、子ども・子育て支援法第19条第1項第2号の内閣府令で定める事由、すなわち支給認定における保育の必要性の認定にかかる事由のうち、小学校就学前子どもの保護者の就労時間の下限を定めるもので、64時間が提案されています。

 一方、国の施行規則では、48時間から64時間の範囲内で月を単位に市町村が定めるとされています。下限時間を定めるに当たっては、伊丹市における保護者の就労状況や待機児童数等様々な観点から、子どもの最善の利益第一に検討がされていると思いますが、64時間を提案された理由についてお聞きします。また、現在の就労時間の下限を何時間とされているのか、この下限時間が変わることで、待機児童数にどのような影響が出ると考えておられるのかお尋ねします。

2.議案第97号 伊丹市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例の制定について

○ 第7条第1項では、特定教育・保育施設は、保護者から申し込みを受けたときには、正当な事由がなければ、これを拒んではならない、とされています。この規定は当然ですが、一方で、第3項では、認定こども園と保育所は、利用定員の総数を超える利用申し込みがあった場合、「選考する」と規定されています。しかし、保育所の場合、児童福祉法第24条第1項により、市が申し込みを受けて選考し、保育所に委託することになっており、保育所が「選考する」ことにはならないのではないかと思いますが、第3項を規定された理由をお聞きします。

○ 第14条では「利用者負担額の受領」が規定されています。その第3項では、特定教育・保育施設は、特定教育・保育の質の向上を図る上で必要と認められる対価について、保護者から支払いを受けることができる、とされていますが、どういうものを想定されているのでしょうか。さらに、第4項では、日用品、文具等5項目に渡って費用の額の支払いを受けることができるとされています。

  これら上乗せ徴収や実費徴収に関しては、現在どのようにされているのか。また、保育所の場合、その入所先は保護者の希望も出せるが主に空きのある保育所において市が決定しているという現状があることから、保護者には選択の余地があまりなく、低所得者にとって負担がより重くなる可能性も出てくると考えられます。自治体がこれらを助成する制度が新設されたと聞いていますが、その活用をどう考えておられるのか、お尋ねします。

3.議案第98号 伊丹市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定について

◎ 今回、待機児童の多い3歳未満児の保育を増やすことを目的として、家庭的保育事業等の地域型保育が新設されました。これら地域型保育は、定員20人未満の小規模保育やいわゆる保育ママなどのことで、認可外保育施設からの移行やビルの1室などでの保育が想定されています。小規模保育事業C型や家庭的保育事業では、保育士がゼロでも運営ができ、国は企業などの参入を見込んでいるといわれています。

 この点では、昨年12月議会で、伊丹市としての基本的な考えとして、一つは、保育が必要な子どもの保育は認可保育所の整備で行うこと、認可保育所の整備が追いつかない場合、地域型保育事業で対応せざるを得ない場合も保育条件は認可保育所と同等の基準で行うなど保育の「多様化」によって伊丹市の保育実施責任が形骸化したり、保育の格差を生み出したりするような実施計画にならないようにするべきと求めました。

 条例の提案に当たっていくつか質疑を行いたいと思います。

○ 第7条「保育所等との連携」についてです。国は新制度で認可外保育施設を認可へ移行させることを基本として、これら地域型保育事業を新設しました。

 その移行の際、3歳未満児の保育が終了した後、満3歳以上の児童に対する継続的な教育・保育を提供するため、集団保育の体験や事業者に対する相談等の支援、代替保育などを行う連携施設を適切に確保しなければならないとされています。確保できなければ認可へ移行することが困難になりかねません。その確保は各施設任せで可能と考えるのでしょうか。

 また連携施設の確保における公立保育所と市の役割は重要と思いますが、どう考えておられるのかお聞きします。

○ 第16条、17条「食事の提供」についてです。

 食事の提供は、第16条で施設内での調理により行わなければならないとされています。一方、第17条では、その特例として搬入する方法により行うことができるとされています。保育に格差をつくらないという観点から、自園調理と調理員の配置が基本と考えますが、認可保育所や小規模保育事業等への移行対象である現在の認可外保育所では、施設内で調理を行っているところ、施設整備可能なところ、不可能なところ等、どのような実態にあるのでしょうか。

○ 第23条以下、家庭的保育事業等における保育従業者の配置基準についてです。

 家庭的保育事業並びに小規模保育事業C型、居宅訪問型保育事業における保育士の配置に関しては、国の基準に上乗せし、家庭的保育事業並びに小規模保育事業C型は2分の1以上、居宅訪問型保育事業は保育士とする提案がされていることは評価するものです。しかし、保育に格差をつくらないという観点からするならば、認可保育所と同様に認可される小規模保育事業B型並びにC型、家庭的保育事業、事業所内保育事業において保育士の配置を半数以上としたことは保育に格差をつくることになるといわざるを得ません。

 なぜすべて保育士を配置するとしなかったのか、また、現在の認可外保育施設の保育士配置の実態についてお尋ねします。

4.議案第99号 伊丹市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定について

◎ 放課後児童健全育成事業は、新制度において、地域子ども・子育て支援事業の一つに位置づけられ、対象児童を小学校6年まで拡大するとともに、国のガイドラインに基づき事業の設備、運営に関する基準を条例で定めることになりました。

 この基準についても、第1条「心身ともに健やかに育成されることを保障する」、第5条「発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能となるよう、当該児童の自主性、社会性及び創造性の向上、基本的な生活習慣の確立等を図」るための条件整備が必要であるとともに、保育と同様、現在の伊丹市で実施されている「児童くらぶ」の水準を下回らない条例の制定が求められています。

○ 第5条、第1項において「家庭地域との連携の下」、第3項「地域社会との交流及び連携を図り」とされた意図はどこにあるのでしょうか。また現状ではどのようにされているのかお尋ねします。

○ 第10条「設備の基準」についてです。

 第2項の専用区画面積に関しては、小学校6年まで拡大するに当たって、そもそも児童一人当たり1.65平方メートルでは狭すぎるのではないでしょうか。この面積で、第1項中の「遊びおよび生活の場としての機能ならびに静養するための機能を備えた区画」の設置は可能なのかどうか、また、現状において、専用区画要件も含めて、本条例の規定に違反することとなる「児童くらぶ」はどの程度生じるのでしょうか。さらに来年度から毎年1学年ずつ増えることになりますが、その年度ごとの状況についてもお尋ねします。

○ 第11条「職員」についてです。

 現在伊丹市にける指導員の資格要件は、保育士の資格若しくは教員となる資格を有する人となっています。しかし今回提案されている「放課後児童支援員」の要件は、第3項の各号の通り、現在の要件を大幅に緩和するものとなっています。さらに、第2項では、「放課後児童支援員」の数を、支援の単位ごとに2人を配置するが、そのうち1人を除き「支援員」の資格要件のない「補助員」に代えることができると、ここでも緩和されています。なぜ現在の水準を下げる条例提案をされたのか、その理由をお聞きします。

 次に、第4項「一の支援の単位を構成する児童の数は、おおむね40人以下とする」としている点についてですが、現在の配置基準との差はないのでしょうか。また、付則において、3年を経過するまでの間は、「60人」とするとされていますが、その間、第1条並びに第5条に規定された事業の目的を達成することは可能と考えるのか、3年後、どのような解消が考えられるのかお尋ねします。

(2回目)

議案第98号 伊丹市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定について

○第16条、17条の「食事の提供」については、現在14園中6園が自園調理であると。認可外保育所が家庭的保育事業等として認定しようとする場合、さらに調理設備が可能なところがあるとするならば、約半数は自園調理という条件にしたとしても問題は生じないことになる。

○第23条以降の家庭保育事業等における保育士の配置基準に関しては、現在の認可外保育所において、3分の2以上が保育士であると。さらに100%保育士を配置しているところもあるとのこと。とすれば、保育士配置の基準をすべて100%とした場合でも認可の条件はあるということに。

○保育士の配置基準をなぜ100%にしなかったのかとの質問に、待機児童の早期解消、保育士の確保が困難であることの答弁。待機児童の早期解消は重要な課題であることは事実だが、かといって現在の認可保育所の基準を低下させていいわけではない。

 認可外保育所が、認可保育所か、小規模保育所か、また家庭的保育所かに移行するかどうかは、その事業所の判断であり、自園調理も含めて現在の認可保育所と同じ条件で、同じ水準で保育を受けることができるという条件とすることが必要であり、それは可能ではないでしょうか。

議案第99号 伊丹市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定について

○第11条の職員の資格基準について、民間の事業者が参入することを前提として、省令の基準どおりにしたと。

 では、伊丹市で行っている公立の「児童くらぶ」事業における職員の資格基準関しては、条例どおり緩和されるのか、今後どうされようとしているのでしょうか。

 また、民間の事業者が参入してくる場合でも、どの事業所に児童が通っても、同じ条件・水準で児童の放課後の生活の場が保障されることが必要ではないでしょうか。

2014年9月議会:上原ひでき 教育委制度、子どもの貧困対策

2014年9月議会 個人質問

日本共産党議員団 上原秀樹

1.教育委員会制度改定に伴う問題について

「教育再生」を掲げる安倍政権が提出した、教育委員会改革法である「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案」は、6月13日成立、来年4月1日に施行されます。

この問題では今年3月議会で、国会での法案審議の途中ではありましたが、その内容で危惧する問題に対する見解をお聞きしました。

法律が来年4月1日施行ということもあり、改めて次の問題における見解をお聞きします。

1)教育長の権限の拡大とチェック機能について

教育長と教育委員長を統合した、新教育長の職務は、法第13条第1項で教育委員会の会務を総理し、教育委員会を代表するとされています。会務を総理するとは、現教育委員長の職務である教育委員会の会議を主宰するとともに、現在の教育長の職務である、教育委員会の権限のすべてをつかさどり、事務局の事務を統括し、所属の職員を指揮監督することを意味するものとされているとおり、教育行政に大きな権限と責任を有することになります。

一方、改正前の教育長は、教育委員会の指揮監督のもとに教育委員会の事務を取り扱うとされていたところ、改正法では指揮監督権は規定されていません。教育長の権限に対するチェック機能を強化することが国会で議論されましたが、改正法では、教育委員会への事務の執行状況に関する報告をしなければならないとされただけです。どのようなチェック機能体制が取られるのでしょうか。

2)「大綱」の策定と首長の政治介入について

今まで教育長は教育委員会が任命していましたが、新法では議会の同意の下に市長が任命することになります。新教育長は教育委員会の構成員ではあるが、教育委員ではなく、教育委員会による罷免もできなくなります。このことによって、新教育長が市長の意向で独走できる体制ができるのではないかと危惧が広がりました。

さらにこの体制の下で、首長が「教育、学術及び文化の振興に関する総合的な大綱」をつくることが義務付けられました。その策定の際、教育委員会と「協議」「調整」するため総合教育会議が設けられますが、「調整」がつかない項目も首長は書き込むことができます。そして教育長と教育委員会はその「大綱」に即して教育行政を行わなければならない仕組みとなります(法第11条第8項)。

このような「大綱」作成の仕組みが、首長の政治介入に対する危惧となっていますが、そうならないと言う保障は法整備の中でつくられたのでしょうか。

3)来年4月からの法施行と伊丹市の場合の過渡期の問題について

新法は来年4月1日に施行されます。しかし、伊丹市の場合、教育長の教育委員としての任期も教育委員長の任期も残ることになりますので、法律が変わっても教育長と教育委員長は並存することになり、現行法の規定が効力を有することになります。

では現行法の効力はどこまで残されるのでしょうか。現在教育長は教育委員会の指揮監督のもとにありますが、この規定も残されるのかどうか、仮に残るとすれば、「大綱」作成における教育長と市長の関係はどうなるのでしょうか。

2.子どもの貧困対策について

日本では近年の社会状況を反映して、貧困問題が深刻化しています。政府の統計では、2012年における子どもの貧困率が過去最悪の16.3%に達し、OECD35か国中9番目、GDPの高い20か国中4番目に貧困率が高い国となりました。そのことが、就学援助の増加、学校納付金の未納、給食だけがまともな食事の子ども、病気になっても病院に行けない子どもなどの問題として顕在化しています。

この背景には、政府と財界が一体に進めてきた「雇用の弾力化・流動化」政策があり、この結果、非正規労働者が全体の4割に迫るとともに、ブラック企業の増加や精神障害の労災請求件数が過去最多を更新するなど、雇用の劣化と親の労働・生活問題の深刻化が強い関連性を持って現れています。

こうした中で、昨年6月、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が議員立法として提出され、全会一致で成立しました。法律の第1条では、「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることがないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図る」ことを目的とするとしています。そのためには、何よりも安倍政権が進める労働法制の改悪はやめ、安定した雇用を確保するとともに、教育行政の分野で、実質的平等をいかに保障するか、子育て支援をいかに充実していくのかが重要であることは言うまでもありません。

そこで、次の二つの問題で見解を伺います。

1)就学援助制度について

就学援助制度は、学校教育法に基づき、小・中学生のいる家庭で、親の収入によって「教育の機会均等」が損なわれないためにと、入学準備、学用品、給食、修学旅行などの費用を補助する制度です。 2012年度は、全国で約155万人が利用しました。伊丹市においても、「決算に関する報告書」によると、2013年度、小学生1740人(15.41%)、中学生1100人(19.96%)が利用し、保護者の低賃金や失業などで貧困が拡大する中、子どもの教育を支える大切な役割を果たしています。

ところが、安倍政権による生活保護基準の引き下げが昨年8月から始まったことにより、今年の4月から複数の自治体で、就学援助の対象を縮小する動きがありました。安倍政権は3年かけて保護費の支給基準を6.5%削減する計画であり、多くの自治体が要保護基準を生活保護基準の1.3%未満と定めているため、これに連動する動きが出てきているものです。このようなことが進むと、収入が増えないのに基準が下げられたため、前年まで使えた就学援助の対象からはずされてしまう世帯が続出することも避けられません。消費税増税によって必要最低限の学用品をそろえるだけでも負担は増えるのに、頼みにしていた就学援助が受けられなくなる・・・こんな理不尽なことはありません。逆に、子どもの貧困が大きな問題となっている今、対象の拡大と充実こそ必要と考えますが、伊丹市教育委員会の見解をお伺いします。

また、保護基準引き下げに反対する国民の声が広がる中、安倍政権の閣僚は「他制度に影響させない仕組みをつくる」と繰り返していました。しかし、地方自治体に財政的な裏づけもない「要請」しかしていないため、このような就学援助縮小という動きをもたらしています。準用保護の費用は一般財源化されていることから、国による「他制度に影響させない仕組みをつくる」ための財政措置が必要と考えますが、その動きに関してもお伺いします。

2)子どもの医療費助成の拡大について

子どもの医療費助成に関しては、伊丹市として一定の努力をされてきましたが、県下の自治体では中学校卒業まで、入院も通院も無料とする制度が広がってきました。伊丹市では、決算の報告書によると、2013年度は28万3千件に対して4億7千万円の助成をされ、子どもの命と健康を守る上で大きな貢献をしています。

私は、歯科医療現場から見える子どもの貧困について話を聞く機会がありました。そこでは、経済的事情から医療機関にかかれず、口の中がぼろぼろになっている状態、すなわち「口腔崩壊」の事例が紹介され、格差と貧困の「見える化」として問題が顕在化している様子が明らかになりました。堤未果氏は、歯と貧困には深い関係があるとして、「他の病気と違い、歯には自然治癒と言うものがな」く「放置すればするほど虫歯は悪化し、口内で他の健康も侵食していく」と述べています。貧困であるが故に歯の治療が行われず、健康を損なう、また、貧困が親から子へと引き継がれる要因も指摘されています。歯の治療に関しては、別立ての助成が必要と考えますが、今回は歯に関わらず、お金の心配なく医療を受けることができるように、医療費助成全般に関してその拡充を求めたいと思います。

一つは、現在入院医療費は中学卒業まで無料とされていますが、この制度に上乗せして中学校卒業まで通院の医療費を無料にするにはどれだけの費用が必要なのでしょうか。

二つには、伊丹市におけるこどもの医療費助成の拡充を求めるものですが、見解をお伺いします。

2014年3月議会代表質問:上原ひでき 公立幼稚園の統廃合について

2014.3.7. 上原ひでき議員

5.子ども・子育て支援新制度について

来年度予算で、地方版子ども・子育て会議の開催及び子ども・子育て支援事業計画の策定を計上され、教育、保育及び子育て支援事業の供給体制の確保等を主なものとする5年を1期とする事業計画を策定しようとされています。この新制度に関し、幼児教育について質問をします。

幼児教育については、今まで、公立幼稚園の1小学校区1幼稚園を守ることの意義や公立幼稚園における3年保育と預かり保育を実現することについて、また公立幼稚園を幼稚園型認定こども園とすることを視野に入れることも提案してきました。

そこで現在、今後の幼児教育のあり方について学校教育審議会で審議がなされており、その素案も明らかになってきていることから、改めて教育長に見解をお聞きします。

第1に、1クラスの人数は20人以上が望ましいとの議論がなされていることについてです。

この根拠を社団法人全国幼児教育研究会による研究結果に求めておられ、そこでは、教員が望む1学級の幼児数は、3歳児が20人以下、4,5歳児は20人以上とされています。しかし、その結論に到る研究の中で、「個に応じた援助」と「協同性の援助」のそれぞれの得点の平均値を求めていますが、それによると、3歳児は11人から20人、4,5歳児は16人から25人の間がそれぞれの特性が拮抗することになっています。これらの特性がどのような形で調和されるのかは、調査においてもかなりの幅があり、地域性によって異なることや、調査結果はあくまでも一つの傾向であり、絶対化できるものではありません。また、発達や学びの状況に関しては、おおむね学級の人数がすくないほうが肯定的に捉えていると書かれています。したがって、このことを持って統廃合の基準とすることには、無理があるのではないでしょうか。

第2に、4,5歳児とも複数の学級があることが望ましいとの議論についてです。

しかし、さきほどの研究では、複数学級に関してはまったく問題になってはいません。審議会で議論のあった「集団内での子どもの役割の固定化」などの懸念は、先ほどの研究結果での「協同性の育ち」を重視した場合の得点を見ると、3歳児で16人から20人も、36人以上もほぼ変わらず、4,5歳児でも同様の結果です。したがって、幼児教育における「協同性の育ち」ということを考えた場合、単学級が続くことを持って統廃合の基準とすることも無理があります。

第3に、3歳児保育を実施することは難しいという議論についてです。

今まで私立幼稚園との役割分担として、3歳児保育は私立が担ってきました。しかし、新制度では、どの子も等しく受けられる権利として幼稚園の三歳児保育が位置づけられました。全国的には、3歳児で保育所にも幼稚園にも行っていない子どもは、20.2%となっており、伊丹市では約40%と比較的高くなっています。伊丹市の場合、認可外保育所等も含まれている可能性があるので、若干低くなりますが、今後は3歳児の利用率は上がると見込まれます。今後増加する需要をすべて私立が担うのか、3歳以上のすべての子どもに幼児教育を保障する観点からみた場合、公立が受け入れをしなくてもいいのか、疑問が残ります。さらに、公立で3歳児を受け入れた場合、施設不足の可能性があるとの議論がありますが、定員をどうするのかは議論の余地はあります。

第4に、預かり保育を実施することは望ましいとの議論は評価できます。

預かり保育は、議論でも出されている通り、「家庭や地域における幼児期の教育の支援となる」ものです。一方で、子どもの育ちを保障する上で、保育内容を充実させるため、給食室整備等が必要になりますが、幼稚園型認定こども園を展望する議論にはならないのでしょうか。

第5に、2010年(平成22年)の答申に基づいて、すずはら幼稚園を民間による幼保連携型認定こども園とする方針が出されながら、公立幼稚園への信頼性等の議論がなされ、結果として地域や保護者の理解が得られないまま、整備計画の一部修正を行ったという問題に関して、その教訓をどう汲み取るのかについても十分議論したうえで、統廃合の議論がなされなければ、単に公立幼稚園を減らすだけの結論となり、関係者から反発されるのは目に見えています。

以上5点に関しての教育長の見解を伺います。