2014年3月議会代表質問:上原ひでき 公立幼稚園の統廃合について

2014.3.7. 上原ひでき議員

5.子ども・子育て支援新制度について

来年度予算で、地方版子ども・子育て会議の開催及び子ども・子育て支援事業計画の策定を計上され、教育、保育及び子育て支援事業の供給体制の確保等を主なものとする5年を1期とする事業計画を策定しようとされています。この新制度に関し、幼児教育について質問をします。

幼児教育については、今まで、公立幼稚園の1小学校区1幼稚園を守ることの意義や公立幼稚園における3年保育と預かり保育を実現することについて、また公立幼稚園を幼稚園型認定こども園とすることを視野に入れることも提案してきました。

そこで現在、今後の幼児教育のあり方について学校教育審議会で審議がなされており、その素案も明らかになってきていることから、改めて教育長に見解をお聞きします。

第1に、1クラスの人数は20人以上が望ましいとの議論がなされていることについてです。

この根拠を社団法人全国幼児教育研究会による研究結果に求めておられ、そこでは、教員が望む1学級の幼児数は、3歳児が20人以下、4,5歳児は20人以上とされています。しかし、その結論に到る研究の中で、「個に応じた援助」と「協同性の援助」のそれぞれの得点の平均値を求めていますが、それによると、3歳児は11人から20人、4,5歳児は16人から25人の間がそれぞれの特性が拮抗することになっています。これらの特性がどのような形で調和されるのかは、調査においてもかなりの幅があり、地域性によって異なることや、調査結果はあくまでも一つの傾向であり、絶対化できるものではありません。また、発達や学びの状況に関しては、おおむね学級の人数がすくないほうが肯定的に捉えていると書かれています。したがって、このことを持って統廃合の基準とすることには、無理があるのではないでしょうか。

第2に、4,5歳児とも複数の学級があることが望ましいとの議論についてです。

しかし、さきほどの研究では、複数学級に関してはまったく問題になってはいません。審議会で議論のあった「集団内での子どもの役割の固定化」などの懸念は、先ほどの研究結果での「協同性の育ち」を重視した場合の得点を見ると、3歳児で16人から20人も、36人以上もほぼ変わらず、4,5歳児でも同様の結果です。したがって、幼児教育における「協同性の育ち」ということを考えた場合、単学級が続くことを持って統廃合の基準とすることも無理があります。

第3に、3歳児保育を実施することは難しいという議論についてです。

今まで私立幼稚園との役割分担として、3歳児保育は私立が担ってきました。しかし、新制度では、どの子も等しく受けられる権利として幼稚園の三歳児保育が位置づけられました。全国的には、3歳児で保育所にも幼稚園にも行っていない子どもは、20.2%となっており、伊丹市では約40%と比較的高くなっています。伊丹市の場合、認可外保育所等も含まれている可能性があるので、若干低くなりますが、今後は3歳児の利用率は上がると見込まれます。今後増加する需要をすべて私立が担うのか、3歳以上のすべての子どもに幼児教育を保障する観点からみた場合、公立が受け入れをしなくてもいいのか、疑問が残ります。さらに、公立で3歳児を受け入れた場合、施設不足の可能性があるとの議論がありますが、定員をどうするのかは議論の余地はあります。

第4に、預かり保育を実施することは望ましいとの議論は評価できます。

預かり保育は、議論でも出されている通り、「家庭や地域における幼児期の教育の支援となる」ものです。一方で、子どもの育ちを保障する上で、保育内容を充実させるため、給食室整備等が必要になりますが、幼稚園型認定こども園を展望する議論にはならないのでしょうか。

第5に、2010年(平成22年)の答申に基づいて、すずはら幼稚園を民間による幼保連携型認定こども園とする方針が出されながら、公立幼稚園への信頼性等の議論がなされ、結果として地域や保護者の理解が得られないまま、整備計画の一部修正を行ったという問題に関して、その教訓をどう汲み取るのかについても十分議論したうえで、統廃合の議論がなされなければ、単に公立幼稚園を減らすだけの結論となり、関係者から反発されるのは目に見えています。

以上5点に関しての教育長の見解を伺います。