伊丹市会報告2012年秋季号 中学校完全給食の実現に全力

2012_10_report_ski_1
伊丹市会報告2012年秋季号はこちら(画像PDFファイル13.7MB)

 【1面】

中学校完全給食の実現に全力 日本共産党議員団

 日本共産党伊丹市議員団は、以前から中学校完全給食の実施を強く求めてきました。周辺他都市でも実施されており、芦屋市でも本格的検討に入っています。

 今議会では他会派も実施を要求し、市長と市当局がはじめて「検討を開始する」と答弁、従来の「実施しない」立場から微妙に変化しました。

教育と子育ての支援を要求

認可保育所増設で待機児童解消を

 10月1日現在、緊急を要する保育所待機児童は149人(前年同月比53人増)。昨年の年度末には250人を超えるとともに、各保育所では定員を超え、すし詰め状態です。党議員団の要求と市民の声に、来年度は新設保育所を含めて115人の定員増となりますが、安心して預けることができるよう、更なる増設を求めました。

子どもの医療費は中学3年まで無料に

 中学生の通院・入院は小学生低学年と比べて大幅に少なく、中学生の医療費無料化はわずかの予算措置で実現できます。さらに、所得制限はやめ、すべての子どもの医療費を無料にするよう求めています。

いじめ解決のためにゆとりを持てる学校運営を

 学校でのいじめが全国的な話題になっています。

 伊丹では3年前に中学生の暴行死事件が発生し、学校でのいじめや暴力への取り組みが強化されてきました。今年度実施のアンケートでは、「いじめが継続している」と回答した生徒数は小中あわせて771人ありました。

 教育委員会はスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを配置して対応を強化しています。しかし根本的には教員がゆとりを持って子どもと接することができる体制が必要であり、少人数学級の拡充と教員の増員を求めました。

早期に「発達支援センター」の整備を

 市内の障がい児施設は、設置場所が分散していることに加え、つつじ学園などが老朽化し、以前から施設の建替え・集約化が課題となっています。市は「来年3月までには場所や集約のあり方、事業費などを示し、2015年度には発達支援センターを建設する」としていますが、未だなんの説明もありません。重ねて早期の整備を強く求めました。

2012_10_report_ski_2【2面】

日本共産党伊丹市議団

 高すぎる国保税引き下げを 特養ホームの増設を

国保税 高くて払いたくても払えない

 国保加入世帯の約73%が所得200万円以下。所得200万円3人世帯の国保税は約32万円で、とても払いきれません。一般会計からの繰り入れ増額を今後も維持し、高すぎる国保税を引き下げることを求めました。

介護施設 いつまで待てば入所できる?

6月現在で特別養護老人ホームの待機者は178名。現在も小規模特養設置への新規事業者の応募はなく、介護保険計画を達成しても待機者はなくなりません。党議員団は、国に補助金の拡充を求め、介護施設増設を急げと要求しました。

後期高齢者保険料 市独自の減免制度を要求

今年度から後期高齢者保険料が6%引き上げられ、平均で年間7万5千円となり、年金支給額が減少する中、「高くて払えない」と悲鳴が上がっています。党議員団は、市独自の保険料減免制度の創設を強く要求しました。

「(仮称)農を活かしたまちづくり基本条例」の制定を

 都市農業振興計画で条例化が明記されました。都市における農地は、安全な旬の農産物の提供、災害時の避難場所、遊水機能など多面的な役割があります。農業者市民と議論する場を設置し、条例化を急げと求めました。

消費税大増税が市立伊丹病院の経営を圧迫

市立伊丹病院は3年連続黒字となり、医師の増員や地域医療の充実にも力を入れています。

 民・自・公三党による消費税大増税は、医薬品、医療器具などの価格を引き上げ、医療費に消費税がかからないため病院経営をおびやかします。

 病院が消費税負担しなくてよい制度に改善が求められています。

経常収支比率が高いことは問題なのか

 経常収支比率とは、財政構造の弾力性を表すもので、伊丹市は99.8%と、「硬直化」しています。しかし、暮らしを守る施策を行うほど比率は高くなるもので、比率が高いこと自体が問題ではありません。他会派議員が、改善のために公共料金値上げや市バス敬老パス有料化などを主張することはくらし破壊につながるだけです。市艮の暮らしを守る財源を確保するため、国に地方財源の増額を強く求めることが急務です。

2012年9月議会:上原ひでき 伊丹市立伊丹高等学校普通科の通学区域のあり方について

2012年9月21日
日本共産党議員団 上原ひでき

1.1)産業活性化策、2)伊丹市産業振興ビジョンについて はこちら

1.3)伊丹市 農を活かしたまちづくり基本条例の制定について はこちら

2.伊丹市立伊丹高等学校普通科の通学区域のあり方について

 伊丹市学校教育審議会は、9 月12 日、「伊丹市立伊丹高等学校普通科の今後の通学区域のあり方について」答申書を提出されました。答申では、その通学区域は、県立高校普通科の通学区域に準じて設定することが望ましい、との結論を出しています。その理由は、県立高校と通学区域や選抜制度が異なれば、生徒の志望選択がより複雑化し、混乱を招くことが懸念されるとのことです。しかし、志望選択を複雑化させたのは、複数志願選抜制度を導入したことで、生徒の混乱を招き、さらに県立高校の通学区域を拡大させようとしていることが大きな原因ではないでしょうか。

 その答申書に主な意見が上げられています。「市校にいきたいという気持ちを持ってきている生徒が多くなったと感じる。学区の拡大は、それぞれ自分が行きたい学校に行く選択の幅が広がる」「伊丹の子どもたちが市校に行きにくくなるのではという不安があるが、県と一緒に選抜制度を実施してきた経緯は大切にしなければならない」などの意見が列挙されています。

 そこで、教育委員会はこの答申をどう受け止めておられるのかの視点でお伺いします。

①市立伊丹高校普通科の学区を現在のままにした場合、生徒にとって学校選択がどのように複雑になるとお考えでしょうか。

(答弁)

 現在の学区にした場合、市立伊丹高校だけが単独選抜になり、受験生にとって第2志望、「その他校」志望ができなくなり、志望校決定の際に迷い、混乱するとの意見が審議会の中で多数を占めた。教育委員会としても、単独選抜と複数志願選抜が並存することになり、より複雑化し、進路の選択の幅も狭まると考える。

②高校学区の拡大に関しては、様々な問題があることを指摘してきましたが、その中で、地域に根ざした学校という点で問題が生じるということも指摘してきました。市立伊丹高校は地域に根ざした学校を目指し、商店街の活性化等一定の役割を果たしています。伊丹の生徒が市校に行きにくくなるということと、県立高校の学区にあわせるということ、この二つを天秤にかけて、県といっしょに選抜制度を実施してきた経緯を大切にしたいとの結論になったことに対する見解をお伺いします。

(答弁)

 市立高校の在籍生徒が本市の住民であるかどうかにかかわらず、地域との交流を大切にする教育を展開していく。受験生の選択の幅を狭めることがないようにするため。

③商業科の学区が県内全域なのに伊丹の生徒の割合は変わらないことから、伊丹市内の生徒の入学する割合が減少することを心配する必要はない、との意見がありますが、それならなぜ、学区を拡大する必要性が出てくるのでしょうか、この件に関する見解もお伺いします。

(答弁)

 審議会で、学区が広がることによって市校で学びたいという生徒が市内外から多く集まれば、市校の活性化にもつながるという意見があった。市立伊丹高校が学び隊学校として、より多くの生徒が第1志望校に選択する学校になるよう、更なる特色化・活性化に取り組んでまいる。

(2回目の要望・意見)

 現在は答申の段階で、教育委員会で決定されたものではないことから、質問ではなく、意見を一言。

・もともと通学区域の拡大には反対の立場・・・学区拡大の目的は、拡大された学区における高等学校の序列化を進めることになり、そのことで学校選択の競争を激化させるとともに、通学困難・経済的負担の増大や他の県に見られるとおり統廃合の進行という問題が生じることになる。すなわち、よくできる子と経済的に余裕のある子どもは選択肢が広がるが、ほとんどの子どもの教育にとってメリットは見出せない。

・では市立伊丹高校はどうするのか。「複雑・混乱」というけど、県立伊丹北校が単独選抜になっていることで、混乱しているわけではない。第2志望、その他校の選択がなく、高校にとって定員割れの可能性と、子どもの選択に幅がなくなるというデメリットがあるということ。

・選択肢は、県の通学区域に合わせて、高校の序列化の進行に身を投じ、子どもと高校の競争を激化させるのか、それとも、市立西宮のように、わが町の子どもはわが町で育てるという立場に立って、思い切って単独選抜を選択し、市立伊丹高校の教育改革を行うのか。

・いずれにしても、教育委員会で十分議論をしていただきたい

2012年9月議会代表質問:ひさ村真知子 子どもの権利を保障し守るために

2012年9月19日
日本共産党伊丹市会議員団  ひさ村真知子

2012年9月議会 代表質問

 

■4、子どもの権利を保障し守るために

①伊丹でも子ども権利条例を制定すべきではないか。

 毎日のように子どもの命が犠牲になっている事件が報道されています。伊丹でも様々な対策を推進されていますが、残念な事件も起きています。

 日本の子どもたちのおかれている現状にかんしては、子どもの権利の保障がされているのかの検証が必要と感じます。子どもの権利に関しては、1989年11月国際連合総会において「子どもの権利に関する条約」が採択され、1994年4月、日本政府は、同条約に批准しています。この条約に沿って子どもの権利を守る施策がとられています。

 各市町村では、子どもの権利条例を設置し様々な施策を行っています。伊丹市議会で何度かこの条例の設置の検討にかんして、質問しておりますが、伊丹ではいまだ設置の検討はされていません。

 すでにお隣の宝塚市は2007年に、「宝塚市子ども条例」尼崎市も2009年12月「尼崎市子どもの育ち支援条例」川西市「子どもの人権オンブズパーソン条例」を1998年12月に制定されています。全国でも名称は様々ですが、すでに多くの自治体が条例制定しています。

 このことを見ましても

①伊丹市でも子どもの権利をきちんと守るために「子どもの権利条例の制定」を考えるべきと思いますがいかがでしょうか。

 条例を策定した、新潟県上越市では、子どもの権利に関しての認識度を調査されています。小学生の保護者44%、就学前の児童の保護者28,4%、中学生の保護者、23,5%、高校生26,7%とであり広く認知されていないことが分かりました。

 その調査の結果、条例を制定し、その位置づけとして「誰もが子どもの権利を真に大切にするためには、他者の権利を実際に尊重し守ることができる行動力を身につけなければならない。権利の主体である子どもが虐待やいじめなどの権利侵害から自分を守り、また他者の権利を尊重するためには、子ども期に子どもの権利を学習することが重要です。さらにすべての人が子どもの権利を大切にできるよう大人に対しても積極的に学習の機会を提供していく必要があります。現在子どもの権利について学習する機会が少ないことから、権利学習を推進する必要があります。」と権利条例を制定されています。

②伊丹市でも子どもの権利に関しての認識を市民・保護者・子ども自身がしっかり持つことが必要と思いますが、子どもの権利に関しての認識がどれくらいあるのかの調査が必要ではないでしょうか。いかがお考えか御伺い致します。

③子どもが「子どもの権利」を学習するために

 上越市の前文には、「現在、子どもの権利について学習する機会が少ないことから、権利学習を推進する必要があります。」と書かれています。まさしくその通りだと思います。他市の条例も同じような目的となっています。大人に言われての行動するのでなく自らが考え行動する、また自尊心をきちんと持てるような教育が必要と大震災の経験からそのようなプログラムでの教育を進めているところもあることも報道もされています。自らが考え自ら行動するそのためにも子どもの権利学習のために、「子どもの権利に関する条約」の内容を子どもに分かりやすく理解できるような資料があれば、学習することができます。

 そのような資料を作り子どもが読めるように各所に配布することを求めますがいかがでしょうかお聞きいたします。

 次に④いじめ対策についてですが

 毎日のように子どものいじめ、自殺や虐待が報道され心が痛みます。このような問題に関しての対策が大変難しいとも思いますが、「子どもの権利」についての学びが普及すれば、自らが困っていることを人に聞いてもらおう、相談しようと動くことが今以上に活発になるのではないかと期待します。そのような状況を作り出さなければとも思います。

 子どもたちの気持ちを受け止めるためにも、電話相談の充実を要望したいと思います。現在も少年愛護センターはじめ様々に電話相談を行っても頂いていますが、決算報告書では、少年愛護センターへの電話相談は、22年度は228件、23年度は144件で、半分に減少しています。またセンターに来所面接相談は、22年37件23年7件です。電話のほうが、相談しやすいということが分かります。気軽に利用して悩み相談の糸口になればと思います。

 相談内容としていじめに関しては来所相談は22年も、23年のゼロ件ですが、問題によってはいかに来所しにくいかということだと思います。電話では、いじめに関しても数件ですが、がかかっています。

 以前命の電話をボランティアでされていた方の話では、多くの電話がかかってきますよとお聞きしました。いじめに関しては、子どもたちは親には中々心配かけるという気持ちからもいえない。先生にも難しいという点もあると思います。

 報告の数字からも電話のほうが、利用しやすいようですので、誰もが利用できるということをより一層工夫してアピールしていただくこと。またセンターに関しては、子どもたちの悩みの解決の居場所として来所しやすくなるように工夫していただければと思いますので要望とさせていただきます。

2012年9月議会代表質問:ひさ村真知子 子ども・子育て新システムについて

2012年9月19日
日本共産党伊丹市会議員団 ひさ村真知子

2012年9月議会 代表質問

  1. 「税と社会保障の一体改革」は市民生活に何をもたらすのか
  2. 原発再稼動に関しての市長の見解を。
  3. 介護保険施設の充実について
  4. 子どもの権利を保障し守るために
  5. 男女共同参画計画の推進のために
  6. 子ども・子育て新システムについて(このページ)

6、子ども・子育て新システムについて

 「子ども・子育て新システム」関連法案は、民主、自民、公明3党により修正され、衆議院本会議で賛成多数で可決されました。新システム関連法は、「子ども子育て支援法」「関係整備法」、「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部改正」(認定子ども園法)の三法案です。「新システム」関連法で子どもたちの保育はどう変わるのでしょうか。

 修正案の内容として大まかには1、幼保連携型認定子ども園を単一の施設として認可し、株式会社の参入は認めない。保育園、幼稚園の移行は義務付けない。2、子ども、子育て支援法については、現金給付及び、子どものための教育・保育給付の創設、民間保育所に関しては現行通り、大都市の保育需要の増大に対応するため認可制度の見直しをされたほか、多様な保育として、やむをえない事由がある場合は過度的緊急的な措置として、家庭的保育、小規模保育等が位置付けられています。

 子どものための現金給付、保育給付の対象となる施設の利用については、保護者の直接契約となり市町村は認可保育所と並列におくことは大変な保育の後退です。「修正案」による「認可制度」は、待機児がいる状況なら基本的に認可しなければならないとするもので、このような認可制度の緩和では、「保育の質の確保」ができるのかが問われます。特に認可基準は、保育所、認定子ども園、それぞれに異なる基準が設けられます。国が定める基準をもとに市町村が条例で定めますが、まだその基準は明らかになっていません。しかし自治体の判断で引き下げが可能で、子どもの安全が守れないとの批判がありましたが、修正されていません。

①おたずねしますが。この新システムでの施設の面積基準は、国の参酌基準となっていますが、「保育の安全のために質の基準はきっちりと確保されなければなりません。現状の基準を守っていただくことを要望いたしますが、どのような見解をお持ちか御伺い致します。

②また新システムでは、施設整備費などの国の補助金の扱いが児童福祉法の現行の施設補助の規定がなくなります。これでは施設の新設や建て替えもできません。伊丹市としての見解をお聞きします

③保育所申し込みの規定に関しては、窓口は伊丹市でしょうか

④認定こども園の幼保連携子ども園には「株式会社の参入は認めない」としているが、他の子ども園は株式会社も参入可能で、認可外施設も「認定」することが可能となっていますが、伊丹市としてはこのような方法を可能とするのかお伺いします。以上で一回目の質問といたします。

日本共産党伊丹市議団ニュース(第264号)を発行しました

日本共産党の個人質問は21日(金)です。傍聴お願いします。

日本共産党伊丹市議団ニュース(第264号)はこちら(画像PDFファイル)

上原議員の質問 10時40分から

1、活力ある地域産業の進行と創出について

(1) 地域内経済循環に視点を置いた産業活性化策について(質問の全文はこちら)

① 専門的、学術的な産業関連分析が必要である、

② 産業界や個々の事業者の方、市民の方々の声を聞きながら具体的な検討を進めていく、と答弁されているが、この二つの点でどのように進められてきたのか伺う。

(2) 伊丹市産業振興ビジョンについて(質問の全文はこちら)

① 事業所訪問による支援活動の推進…具体的にどんな調査で、今後の施策にどう反映させるのか、また市職員も調査に参加すべきと考えるが見解を問う。

② 計画の検証と推進管理の体制…産業振興ビジョン策定委員会、中小企業対策委員会等で行うべきと考えるが見解を問う。

(3) 伊丹市都市農業振興計画における、(仮称)農を活かしたまちづくり基本条例の策定について(質問の全文はこちら)

① 都市農業振興計画に条例化を明記してありながら、2012年3月議会、予算審査特別委員会で「そう簡単にはいかない」と答弁された件について。

② 今後の条例制定に至るスケジュールについて。

2、伊丹市立伊丹高等掌校普通科の通学区域のあり方について(質問の全文はこちら)

伊丹市学校教育審議会の9月12日答申「伊丹市立伊丹高等学校普通科の通学区域のあり方について」に対して、教育委員がこの答申をどう受け止めておられるのかという視点で、見解を問う。

① 市立伊丹高校普通科の学区を現在のままにした場合、生徒にとって学校選択がどう複雑になると考えるのか。

② 伊丹の生徒が市立伊丹高校普通科に行きにくくなることと、県の選抜制度に合致させることに関して。

③ 「伊丹市内の生徒の入学する割合が減少することはない」との意見がありながら、なぜ学区を拡大するのか。

かしば議員質問 午後1時40分から(質問の全文はこちら)

1、障がい者制度改革のゆくえと障がい児通園施設について

(1) 「改正」自立支援法と児童福祉法の一部改正により、つつじ学園、きぼう学園、カルミア園はどのような影響を受けるのか。

(2) 障がい児通所施設にかかる給付費激変緩和措置の動向について

-来年度から激変緩和補助金が廃止されるといわれているが。

(3) つつじ学園の施設改善について

-老朽化に加え通園児童数の増加により、保育室や言語指導室の確保に支障をきたしているのでは?

(4) (仮称)発達支援センターの整備について進捗状況については先の6月議会でも答弁がありましたが、新たに施設の一元化や新しい支援も加わる中で、施設集約の可能性や設置場所などについてどの程度まで検討されているのか。

2、サービス付き高齢者向け住宅について

 この制度は昨年10月にスタート。伊丹市の第5期「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」では、民間サービス等の活用によって市内に整備を進めるとしています。

 しかし最大の問題は低所得者高齢者の入居が困難だということ。

2012年9月議会:上原議員 損害賠償事件に係る和解について

議案第121号 損害賠償事件に係る和解について

 議案となっている傷害事件とは、2009年10月4日、北中学校の生徒が暴行を受けて死亡した事件。被害者の原告らが、伊丹市に対しては、暴行事件を未 然に防止するための適切な措置を講じてこなかったとして、損害賠償を求めたもので、その損害賠償事件にう関して、和解案が示されたものです。

 その和解案では、伊丹市に対する損害賠償を放棄すること、伊丹市は、原告に対し、哀悼の意を表すこと、このような事件が2度と起きないように、生徒の安全確保に最善を尽くすこと、心の教育や生徒指導体制の充実を図るとされています。

 質疑では、伊丹市、教育委員会の今後の対策について伺います。

--------------------------------

2012年9月11日
日本共産党議員団 上原ひでき

 

2.議案第121号 損害賠償請求事件に係る和解について

 本損害賠償請求事件は、2009年10月4日、北中学校の男子生徒が、生徒から暴行を受けて死亡した事件に関して、被害者の両親らが、伊丹市については、暴行事件の発生を未然に防止するための適切な措置を講じなかったとして、損害賠償を求めたもので、本議案においてその和解案が示されています。この事件は決して忘れることのできないものであり、改めて二度とこのようなことが起こらないよう対策をとることが求められています。そこで次の点をお聞きします。

 1)和解案(3)においては、このような事件が二度と起きないようするため、学校の教育活動における取り組みについて、生徒の安全確保に最善を尽くすとともに、心の教育の推進、生徒指導体制の充実を図るとされています。短い言葉で意を尽くしていない点もあるのではないか、と考え、具体的取り組みにについてお聞きしたいと思います。

①このような問題を考える場合、問題行動を起こす生徒の要因のもっと奥にある子供をめぐる状況を見ることが必要です。子供が問題行動起こしたり不登校になったりする背景には、社会のひずみによって抱え切れないほどのストレスと生きづらさがあるという問題です。この件については、2010年の代表質問で見解を伺い、答弁で、家庭においては核家族化や少子化、リストラや派遣切り、離婚やDVなどの家庭問題、学校においては、人とコミュニケーション不足などをあげ、子どもの姿はある意味において大人社会を反映しているとして、教育委員会と学校、家庭、地域がそれぞれの責任を果たしていくことが肝要であるとされました。

 それでは教育委員会と学校が責任を果たすとは何であると考え、これまでどのような取り組みを行い、今後何を改善、強化されようとしているのかお伺いします。

答弁

 教育委員会と学校が果たす役割は、未然防止と早期発見・早期対応と取り組みが重要。

 学校は問題を隠すことなく、教職員が一体となって対応し、教育委員会は、必要な指導・助言を行ないながら学校が適切に対応できるようサポートする体制を整備すること。

 事件10日後に「伊丹市少年非行防止対策プロジェクトチーム」を立ち上げ、問題点を整理、今後の課題を明確にして取り組んでいる。

②次に、和解案に書かれている、「生徒の安全確保に最善を尽くす」ために何が必要かという問題です。その一つが教員の多忙化を解消して子どもに向き合う時間を増やすことにあると考えます。生きづらさを抱える子供、困難な家庭がふえ、さまざまな子供の問題行動が出てくる中で、教員のやるべき仕事は一段とふえています。教員がゆとりを確保することこそが子供の健やかな発達・成長に必要であることは言うまでもありません。そのためには教員の増員、少人数学級の拡充が求められています。

 今回の大津市のいじめ自殺事件に関する国会での質問に対して、平野文部科学大臣は「教員が多忙であるのは否定できない」と認め、「子どもと向き合う時間を大きく取れるようにするため、定数の改善をしていかなければならない」と述べています。

 伊丹市行政において、生徒の安全確保に最善を尽くすための基盤整備対策として、国・県に対しても、さらには伊丹市独自にも、この立場が必要ではないかと考えますが、その認識を伺います。

 また、現状の中でも教員が子どもと向き合う時間を増やす取り組みをどのようにしようとされているのかについても伺うものです。

答弁

 教員の定数改善については、兵庫県都市教育長協議会において改善要望をしている。
 国に対しても少人数学級の推進を申し入れている。
 伊丹市としては、学力向上や特別支援教育、生徒指導等、それぞれの目的に応じて市費による加配教員を配置している(スクールカウンセラー、生徒指導ふれあい相談員、スクールソーシャルワーカーなど)。教職員の多忙化解消に向けて、ノー残業デイやノー部活デイの実施、公務のIT化、PTA等外部人材の活用などに取り組んでいる。

2回目の発言メモ

2.損害賠償請求事件に係る和解について

①教育委員会、学校にできること

・二度とあのような痛ましい事件によって命を落とすことがあってはならない、と様々な取り組みをやってこられている。

・2010年3月議会での教育長答弁…社会現象のひずみが形となって青少年の問題行動に現れている。そのため子どもたちは、心の悩みや不安、多くのストレスを抱え、ストレスのはけ口として安易な行動に走っている。社会のひずみを嘆いていても・・・

・「ならぬことは、ならぬものです」といってみても、子どもたちが抱えているストレスから逃れることはできず、かえってストレスを感じる社会状況にある。大人の毅然とした態度は、もちろん必要だが、このことばがこころに響くような、子どもと他者との関係づくりが、学校、家庭、地域でつくれるのかどうか、そのために教育委員会、学校に何ができるのか。
 子どもにとってもストレスの多い社会の中で、そのストレスを解消できる場をつくること。
②子どもと向き合う時間の確保
・市独自にでも、スクールソーシャルワーカーの配置や、加配教員を配置されていることには、評価したい。

・しかし、学級の人数を減らすこと、すなわち教員の定数改善がもっとも大事。

・教職員の多忙化解消、勤務時間の適正化には一定の努力はされていると思うが、実際には仕事があれば残らざるを得ないし、家に持って帰ってでもやらざるを得ないのが現状でしょう。やらなければならない仕事が減ったわけではなく、逆に授業時間が増えたためにその準備の時間が増えているのでは。

・答弁では、問題行動への対応では「未然防止と早期発見・早期対応」が重要と。それには教員が余裕を持て子どもに接すること。そのために教育委員会と伊丹市行政がその条件をつくること。

2012年6月市議会:上原ひでき  学校へのクレーム対策、特別支援学級「介助員」について

2012年6月18日
日本共産党伊丹市会議員団 上原ひでき

  1. 「伊丹市地域防災計画」について はこちら
  2. 保護者からの学校へのクレーム対策について(このページ)
  3. 特別支援学級における「介助員」について(このページ)

2.保護者等からのクレーム対策について

 小野田正利・大阪大学大学院教授が代表を務める「新・学校保護者研究会」が、昨年10月から12月にかけ、全国の教員・管理職約1800人を対象に、保護者クレームに関する調査を行い、その結果が新聞等で報道されていました。その内容は、保護者から学校にクレームなどが寄せられたときに、教員の多くは、丁寧な姿勢を心がけ、悩んだときは周囲に相談するようになった半面、保護者よりの管理者の対応に不満を抱き、今後も「理不尽な要求」は増え続け、「精神疾患・病欠になる同僚は他人事ではない」と感じているということです。小野田教授は、「マスコミで報道される機会が減り、沈静化しているように見えるが、依然として深刻。兵庫教育大学が卒業生を対象に行った調査でも、仕事上最も困難を感じたのは「保護者対応」であった」と述べておられます。

 伊丹市教育委員会の取り組みは、一昨年12月議会の本会議で、「兵庫県教育委員会が高等学校問題解決サポートチームを設置した」こと、伊丹市教育委員会としては「モンスターペアレント対応専用チームの設置、対応マニュアルの作成について県教育委員会の取り組みを参考に、研究を進めたい」「いずれにしても、保護者との信頼関係づくりが大切」などと答弁されています。

 「学校問題解決サポートチーム」のような専用チームに関しては、このアンケートでは学校側が教育委員会に求める支援内容として、「大いにそう思う」28%、「ややそう思う」50%と、約8割弱がその設置を求めています。しかし、2007年に尾木直樹氏が行ったアンケートの自由記述欄には、「専用チーム」に関して、「その場では解決するかもしれないが、親とのコミュニケーションが薄れ、かえって逆効果になる可能性がある」、「専門的な助言が、かえって混乱を生む可能性がある」など、外部の人間が学校に入ったとしても問題の実態を正確に把握できるとは思えないという否定的な意見が少なからず見られました。これらの人たちは、問題の解決は「教師の仕事」「学校の仕事という意識を持っている場合が強いと思われます。また、「チームをつくったら逆に教員の負担が増える」「丸投げできるわけではないから、調整のために忙殺されそう」との意見もあります。

 私は、これらのアンケート等を見る限り、「専用チーム」の設置は必ずしも有効な対応策ではないと考えます。答弁にもあったように「保護者との信頼関係づくりが大切」ということが大原則になるかと思います。しかし、小野田教授の調査の中で、職場の人や職場以外の人に相談できる人がいるかどうかを問う設問に大きなばらつきがあったとされ、全体的な対応力が強まる一方で、教師の孤立も進んでいるのではないかとの見解が示されており、学校園としての組織的対応のあり方も問われています。また専門的な相談に対応できる体制も必要です。

 教育委員会は一昨年の答弁以降、どのような取り組みをされ、研究されてきたのでしょうか。さらに専用チームに対する見解、今後の方向性について見解を伺います。

答弁趣旨

 小野田教授に寄れば、保護者への対応もさることながら、日常の教育活動における児童生徒との関係作り、それにもとづく保護者との関係づくりが大事。このような考えの下に、スクールソーシャルワーカー、学校教育指導員、学校問題支援チームによる学校支援を行っている。支援チームは、最終的に、学校と児童生徒、保護者の間で課題解決できるよう支援するもの。

3.特別支援学級における「介助員」について

 特別支援教育に関しては、特別支援教育コーディネーターを中心に、県費による学校生活支援教員や市費による特別支援教育支援員を中心に進められています。そして、特別支援学級においては、身辺処理、多動など、生活介助が必要な場合に、介助員を市内小中学校全体で26名配置されています。

 特別支援学級においては、近年その対象児童・生徒が増加するとともに、重度化する傾向にあり、介助員を増員してほしいという保護者や教員からの意見も上がっているところです。そこで、

  • 近年5年間、小・中学校における特別支援学級に在籍するこどもの推移は。
  • 近年5年間の小中学校の特別支援学級への介助員の配置数。
  • 児童・生徒の増加に伴い、増員を求めるが、その考え方。
  • 修学旅行等、宿泊を伴う学校行事の場合の配置も求める。

についてお伺いします。

答弁趣旨

            08年   09年   10年  11年  12年
小学校対象児童数(人) 200    218   227   239   250
中学校対象生徒数(人)  60     63    59    66    71
介助員(人)       24     25    26    26    26

 介助員については、特別支援学級在籍児童生徒の中で、担任を中心とした校内指導体制において、安全面で県費による教員を補助することが必要と認められる場合に配置しており、これまでも学校と十分協議をして一定増員している。今後も適正に対応したい。宿泊を伴う学校行事への介助員配置は、まずは校内で計画的、組織的に対応する体制が重要で、学校の実態も踏まえる必要がある。今後適正な配置の可能性について検討する。

2012年6月議会:かしば優美 原発ゼロ、本格的な自然エネルギ-の導入に向け今できること

一般質問 2012年6月15日
日本共産党議員団 かしば優美

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、―原発ゼロ、本格的な自然エネルギ-の導入に向け今できること―と題して3点質問します。

1.大飯原発再稼働について

 はじめに大飯原発再稼働について市長の見解をうかがいます。

 関西広域連合が関西電力大飯原発3、4号機の再稼働について声明を発表したのをうけ、野田首相は6月8日、「再稼動すべきだというのが私の判断だ」と表明しました。「国民生活を守る」ことが「唯一絶対の基準」などとしていますが、この判断は「国民生活を守る」どころか、国民の命と安全を危険にさらす最悪の判断といわなければなりません。

 なぜなら再稼動については次の五つの大きな問題があります。

① 福島原発事故の原因究明がされていないことです。いまだに原子炉内部の様子さえわからない状態であり、事故原因が究明されていないのに、安全基準や対策も確立できません。

② 政府がとりあえずやるべきとした「安全対策」さえ取られていないことです。大飯原発の場合、事故のさい不可欠な免震事務棟の整備などはすべて計画だけですまされています。また「特別な監視体制」といっても、経済産業省の副大臣や政務官が大飯原発で運転状況を「常時監視」するというもの。原子炉の専門的知識もない政治家に「監視」の役目が果たせるはずもありません。

③ 地震・津波の学問的知見を根底から見直す必要があることです。全国の原発がどの程度の地震や津波に見舞われるかの想定さえ見直しが迫られているのに安全が確保できるようにいうのは、新たな「安全神話」そのものです。

④ 原発事故が起こった場合の放射能被害の予測も住民避難計画もないこと、

⑤ まともな原子力規制機関がないことであります。また野田首相が繰り返しのべたのは、電力不足や料金値上げになれば、「国民の安心が脅かされる」ということでした。しかしもともとこれらの問題と原発再稼動とは天秤にかけてよい問題では決してありません。

 電力不足問題そのものについて見ても、「夏場のピ-ク時には関西は15%不足する」としていますが、その具体的根拠はなんら示されていません。夏場の電力需給について、ピ-ク時はどのくらいの時間帯、日数なのか。原発が再稼動しなかった場合、天然ガスなどの火力の活用、電力融通、節電努力などによって、どれだけ需要を減らし供給を増やせるのか。これらも具体的には明らかにされていません。野田首相から繰り返し語られたのは、「日常生活や経済活動」が混乱するという脅しの言葉でした。具体的な根拠も示さず、恫喝によって原発再稼動を迫る態度は、国民ら大きな批判を浴びています。

 いまなすべきことは「原発ゼロ」の政治決断であり、そうしてこそ、当面の電力需要への対応も、再生可能エネルギ-への切り替えにも本腰が入るのではないでしょうか。市長の明確な答弁を求めるものです。

市長の答弁(要旨)

 原子力発電の稼働や存廃問題といった原子力行政は国の専管事項であると考える。 市民の生命や安全・安心な生活を守る立場にある市長として、(今回の再稼働は)直近にせまる電力不足への対応として、立地自治体の判断に加えて国が判断し決定されたものと考えています。なお将来的には原発に依存しない社会が望ましいと考えています。

2.文科省「放射線副読本」に関連して

 文部科学省が作成した放射線副読本について、昨年12月議会一般質問で取り上げられました。この中で、「副読本の活用につきましては各教科における指導に関連付けた活用ができるよう、11年度中に活用方法、活用単元等検討し活用を進めていきたい。」と答弁がありました。新学期がはじまりおよそ2ヶ月が経過する中、福島原発事故による放射能汚染のため、いまだに16万人の人々が避難生活を余儀なくされ、一方で原発再稼動をめぐる動きが日々報道されている時、児童・生徒の関心も非常に高いものがあると思います。よって現時点での副読本の活用等に関して数点質問します。

(1)具体的な活用方法、活用単元をどう考えているのか。

 市教育委員会にお聞きしますと、この副読本は今年3月、伊丹市内の小・中・高校・特別支援学校に在籍する全児童生徒分が文部科学省から各学校に送付されたとのことです。まだ新学期が始まったばかりですが、昨年度末に検討された具体的な活用方法、活用単元についてお聞きします。

(2)「放射線副読本」の内容に対し、批判的意見が多いことについて

 福島大学の坂本恵教授は、文部科学省が昨年作成した副読本は福島原発事故の記述がほとんどなく、放射線は身近であることを強調して健康被害を過小に見せるものだと批判しています。

 得丸浩一全日本教職員組合教文局長は、新たな副読本について次のような談話を発表しています。

 新たな副読本で「原子力発電所」の文言が出てくるのは、小学生版では1カ所、中学・高校生版では2カ所のみです。そこには「原子力発電所や放射性物質を扱う施設などの事故により、放射性物質が風に乗って飛んでくることもあります。」と記述しています。放射性物質をあたかも「杉花粉」のように扱う記述に危機感は微塵も感じられません。文部科学省は、「安全神話」にもとづく教育政策の反省に立った総括を行うべきであり、新しい副読本には、原子力発電の持つ根本的な危険性と原子力発電所事故が引き起こした未曾有の深刻な事態とその原因、および対応などについての客観的で科学的な記述が求められます。

 また「この副読本では、放射線の効用やメリットについては非常に細かいことまで書いてあるのに、放射線の危険性や悪影響についてはほとんど書いていません。いまなぜこの時期に放射線に関わる教育が必要なのかという、具体的な問題意識と現実の状況を明確に教材の内容に反映すべきです。」との指摘もあります。

 市教育委員会は批判的意見の多い副読本に対してどのように受けとめているのか見解をうかがいものです。

学校教育部長の答弁

 この副読本は福島原発の事故により放射性物質が大気中や海中に放出された状況を受けて、放射線への不安や関心を抱いている児童生徒が多いことをふまえ、放射線について解説・説明したものです。高校生のための副読本では、専門的な内容を取り扱っていますが、放射線に関する一般的な知識としては適切な内容であると考えています。

(3)子どもたちに原発や放射能について、正確に教える取り組みについて
 ―新学習指導要領解説内容に触れて―

 新学習指導要領解説において、原子力がどのように取り扱うこととされているかを見ました。小学校社会では、「火力発電所や原子力発電所においては環境に配慮していることや安全性の確保に努めていることについて取り上げることも考えられる」とし、原子力発電の危険性については、触れる余地のない記述であります。また中学校理科では、「原子力発電ではウランなどの核燃料からエネルギ―を取り出していること、核燃料は放射線を出していることや放射線は自然界にも存在すること、放射線は透過性などを持ち、医療や製造業などで利用されていることなどにも触れる。」とし放射線はあまり危険なものであるという印象を受けない文章であります。

 放射線や放射能を語るとき、被災地はもちろん全国を震撼させた原発事故を避けて通ることはできません。教育も同様ではないでしょうか。今子どもたちに原発や放射能について「科学の目」で正確に教えることが必要です。

 「科学の目」で客観的に原子力発電を見るとどうなのか。それは「未完成」で危険な技術だということです。理由の第一は原子炉の構造そのものが「不安定」であること。なぜなら①原子炉の中で核燃料を燃やす時はもちろん停止した状態でも、ウランから生まれた核分裂の生成物は膨大な熱を出し続けます。ですからそれを絶えず水で冷やしておく機能が必要です。水の供給から止まれば膨大な熱により暴走が始まる。あらゆる場合を想定すると、水が止まらないようにすることができないこと。また②どんな型の原子炉も、核エネルギ-を取り出す過程で、莫大な死の灰を生み出します。どんな事態が起こっても、大量の死の灰を原子炉の内部に絶対かつ完全に閉じ込めるという技術を人間はまだ手に入れていないこと。

 第2に、使った核燃料の後始末ができないことです。「使用済み核燃料」とは原発を運転したら必ず大量に出てくる死の灰の塊です。人間は、この「使用済み核燃料」を始末するシステムをいまだに開発できず、日本では各原発の建屋と敷地及び青森県六ヶ所村の再処理工場敷地内の貯蔵プ-ルに貯蔵するしかないという状況です。福島の実例で明らかになったように、いざという時には、原発だけでなく、「使用済み核燃料」のプ-ルの一つひとつが核事故の発火点になるのです。自分が生み出す核廃棄物の後始末ができないようなエネルギ-の利用の仕方が、本当に完成した技術といえるのかであります。大きくは二つの理由から、原子力発電は「未完成」で危険な技術であることをきちんと教える必要があると考えますが、見解をうかがいます。

学校教育部長答弁

 学校教育における教育内容は、法により規定された学習指導要領に則り各教科等の目標達成に向けて様々な指導方法を用いて行うものです。この指導内容は一般的・普遍的なものであり、議員ご指摘の事故を受けて、技術的な面について危険である等といったことは指導事項としてでなく、学習教材として活用することが大切だと考えています。

3.自然エネルギ―導入に向けた方向性について

(1)地域新エネルギ―ビジョン策定の考えは?

 地球温暖化や福島原発事故などにより、従来からの化石燃料を中心としたエネルギ―政策がゆきづまり、自然エネルギ-への志向が高まってきています。また再生可能エネルギ―の固定価格買取制度(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスを用いて発電された電気を、一定の期間・価格で電気事業者が買い取ることを義務付けるもの)が来月7月1日からスタ-トとなります。

 こうした背景のもと、本格的な自然エネルギ―導入に向けて何が必要かであります。国政では、政府が自然エネルギ―の明確な導入目標を設定すること。そのために必要な財源を確保すること、初期投資での負担を軽減する国の補助などが必要です。

 自治体では、自然環境や地域産業など自然エネルギ―の開発に役立つ地域の資源を探すことが必要です。そのために地域の自然エネルギ―のビジョンをつくり、住民と共有することが大事です。このビジョンは、地域の特性をふまえて、市民、事業者、行政が一体となって自然エネルギ―の導入に取り組むための方向性を示す計画書です。地域に眠る自然エネルギ―を掘り起こし、まちづくりと一体になって計画的に導入していくことで、地球温暖化問題の解決に向けた地域レベルでのとりくみを推進するためのものです。この地域新エネルギ―ビジョンを策定した自治体は、2010年度末現在で約45%にのぼると聞いています。地域新エネルギ―ビジョンの策定に対する当局の見解をうかがいます。

市民自治部長答弁

 市の「環境基本計画」では、公共施設も含め太陽光発電などの新エネルギー設備導入をかかげています。この基本計画を具体化する基本方針=エネルギービジョンの策定は非常に有意義であり、本市に適したビジョンのあり方を検討していきたいと考えています。

(2)住宅用太陽光発電設置に対する補助制度を

 補助制度を求める質問を昨年9月議会で行ないましたが、答弁は味も素っ気もないものでした。理由の第一は、「独自の補助制度を創設した場合、今後の太陽光発電の普及に伴い市の財政負担が非常に大きくなっていくことが予想される。」こと。第二には、「住宅用太陽光発電設備の設置は比較的資金に余裕のある方が実施されている場合が多いことから、多額の市税を投入して補助制度を運営することは慎重にならざるを得ない」との内容でした。

 兵庫県内で当補助事業を実施している姫路市や西宮市の具体的内容を見ますと、西宮市では「当補助事業は申請総数が450件に達し次第受付終了となります。(先着順)」とし、姫路市では「予算の範囲内で先着順に受付」と、あらかじめ予算額を決めておき、申請件数がそれを超えると受付終了としており、財政負担が大きくなることはありません。

 また姫路市では、工事請負契約業者が市外の場合の補助金額は1万円/KWで、市内業者の場合は1万円/KWに2万円を加算しており、市内業者と市外業者で補助金額に差を設けるなど、市内業者、市内経済の活性化に向けた工夫を行っています。さまざまな方法を駆使することにより税を有効に活用することができると考えますが、改めて住宅用太陽光発電設置に対する補助制度についての見解を求めておきます。

市民自治部長答弁

 国・兵庫県は住宅用太陽光発電設置への補助額を今年度は昨年度に比べて減額しています。エネルギーは基本的に国がインセンティブを提供すべきであり、こうした補助制度は国の責任と負担で運用されるべきと考えています。

6月議会への一般会計補正予算等の議案が提出されました

 提案された主な議案は、3月31日付で専決処分された「市税条例および都市計画税に関する条例の一部改正」、「一般会計補正予算」、神津認定こども園に関する条例等です。

「市税条例および都市計画税に関する条例の一部改正」(専決処分)

 住宅用地に係る固定資産税の課税標準額(税額の基礎となる額)の仕組みが変わります。このことによって、2012年度1500万円、2013年度50万円、2014年度7700万円の増税になります。

 当局が示した資料をごらんください。→「市税条例等の改正概要」

「一般会計補正予算」

 補正予算の総額は、1億2166万円。そのうち主なものは、伊丹小学校における児童くらぶ施設整備事業9697万円です。現在120名の児童が2室で生活しており、今後も児童が増加することを予測し、重量鉄骨造2階建ての施設を新設して、3室にします。
 その他、児童虐待防止対策事業、つつじ学園・きぼう園給付激変緩和措置の継続、鴻池小学校災害復旧事業などです。

 当局が示した資料はこちらから。→「補正予算案」

「神津認定こども園(幼稚園部分)の保育について」

 2013年4月に開園予定の(仮称)神津認定こども園は、保育所(定員110名)と幼稚園(定員85名)の幼保連携型の認定こども園です。その幼稚園部分では、3歳児保育(定員20名)と預かり保育を実施するとして、その月額保育料、入園料、預かり保育料を設定する条例改正が行われます。

 その内容に関して、5月31日に文教福祉常任委員協議会で説明がありましたので、その資料を参照してください。

「神津認定こども園(幼稚園部分)の保育サービス(案)について」

2012年3月議会:上原ひでき 一般会計予算等に対する討論

(一般会計予算・市税条例改正・福祉医療改悪に反対、土地信託に関する議案に賛成

(2012.3.23)
日本共産党伊丹市会議員団 上原秀樹

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、議案第28号「平成24年度伊丹市一般会計予算」、議案第52号「市税条例の一部を改正する条例の制定について」、並びに議案第57号「伊丹市老人等医療費の助成に関する条例および伊丹市子育て支援のための医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例の制定について」に反対、議案第70号「市有地の信託の変更について」に対しては賛成の立場から意見を述べます。

平成24年度伊丹市一般会計予算

 はじめに、議案第28号「平成24年度伊丹市一般会計予算」についてであります。

 来年度を迎えるにあたっての国民・市民のくらしに関しては、政府の統計でも、2011年の雇用者報酬が10年前に比べて約20兆円も減少、労働者賃金は年平均50万円減少し、家計消費も前年比1.1%減という苦しい状況が続いています。伊丹市においても、今年の所得状況では、給与が2.3%、事業所得が1.98%と対前年比で減少し、法人市民税でも均等割り、法人税割とも前年を下回っています。

 このように景気が落ち込み、格差が拡大する中、民主党の野田政権は、「社会保障と税の一体改革」と称して、消費税を2015年に10%に増税する法案を成立させようとしていますが、国民の暮らしを大きく圧迫し、景気を冷え込ませ、日本経済をどん底に突き落とすとともに、財政破綻も一層ひどくするものとなることは間違いありません。

 提案されています2012年度の伊丹市一般会計予算は、歳入・歳出660億円で、前年対比6.1%の増とするものです。しかし、借換債や第3セクター関係費用を除くと601億円で、3.4%の減となります。個人市民税では市民に対して年少扶養控除の廃止等によって約3億4,500万円の増税をするものですが、法人市民税と償却資産税とともに、リーマンショック前と比べて約29億円の減少のままとなるとされており、市民のくらしや中小零細業者の営業は依然として厳しい状況が続くことが予想され、このことから伊丹市においては、一層暮らしを守る施策が求められることになります。

 一方、普通交付税と臨時財政対策債の合計は、市税が約2億4000万円減少し、扶助費が約3億円増となっているにもかかわらず、実質前年とほぼ同額となっています。この点では地方財政計画においても、社会保障関係費の自然増における地方負担分を、給与関係費と投資的経費の削減によってつじつまを合わせただけのもので、その反映といえます。給与関係費に関しては、政府の「集中プラン」で大幅削減を誘導し、地方ではこれ以上減らすことができないところにあります。このような財政計画を見る限り、一般財源は総額確保したとはいえ、実際には歳出削減路線を伴っており、小泉内閣による地方交付税の大幅削減はいまだに回復できていません。

 国に対して、自治体が「住民の福祉増進」という役割を十分発揮できるだけの一般財源の保障を強く求めていただきたいと思います。

 本予算の問題点について述べます。

 第1に、同和問題についてです。伊丹市は同和教育・啓発を推進していますが、その理由として、「人権に関する意識調査」から、「居住の敬遠」と「結婚問題」で20%台から30%台の人が同和問題に関する人権問題が起きていると思うとされたこと、またのその原因を「社会全体に残る差別意識」とする回答が40%近くあったことから、同和問題は解決されていないためとされています。しかし、そのような差別の実態はほとんどありません。にもかかわらず、「意識調査」でそのような結果が出ることにこそ、いまの同和教育・啓発の問題があります。かつての部落問題に関して、正しい知識を得るための学習が必要なこともあります。問題は、伊丹市の同和教育・啓発の出発点が「いまだに差別意識が根深い」という認識にあることです。「差別意識は根深い」ことを強調することは、市民が正しい認識を持つことができなくなるとともに、旧関係住民の気持ちも逆なですることになります。このことは、人権教育指導員に、同和問題に関して、部落解放同盟のメンバーが4人入っていることにも起因します。ただちに同和問題の解決の展望を市民に示し、同和教育を終了することを求めます。また、かつてのいわゆる「同和住宅」の一般対策化に関しても同様です。早期に解決することを求めます。

 第2に、福祉医療助成において、助成対象者を削減する問題です。予算の上でも、重度の身体・知的・精神障がい者に対する医療費助成では、2%の60人が、また子育て支援のための医療費の助成おいては、22,463人のうち4.8%の1,070人が対象から外れることになります。伊丹市は、他市に先駆けて子どもの医療費助成を充実してこられました。このことは評価をするものですが、他市においては、県の改悪に従わず、現行を維持する自治体があるとともに、保護者の経済的理由により子どもが医療を受けることができない事態をなくし、安心して子育てができるように、入院、通院とも中学校卒業まで無料化が広がっています。福祉医療助成対象者の削減は、その流れに逆行するものです。

 第3に、PPP(官民共同)基本方針策定の問題です。伊丹市は、公共施設の効率化・効果的な整備や維持運営に資するため、PFI事業に関して、その導入基準や手続き、体制などを取りまとめるとされるとともに、さらに市場化テストなども検討するとされました。しかし、PFIに関しては、近江八幡市立総合医療センター等の破綻で明らかになったとおり、民間事業者の利益が優先され、高金利負担となり、いつ発生するか分からない修繕費用の前倒し支払い、中間業者が介在するというPFIの制度的欠陥性などが問題となっています。一時的な費用負担軽減のため、市民のための公共財産を安易に民間にゆだねる手法はやめるべきです。

 第4に、伊丹市立高校(定時制)の阪神昆陽高等学校校舎への移転並びに、定時制高校統合負担金9,000万円の問題です。来年度はその初年度に当たるため、改めて問題点を述べておきます。定時制の移転に関しては、多くの反対の声や不安がありながらも、移転の決定を急いだこと、すでに施設整備費に約3,000万円支出し、来年度、施設使用料932万円、送迎業務委託料1,150万円など新たな負担をしなければならなかったこと、そして生徒の通学時間の調整や今後の留年生徒への対応策など様々な困難を抱えた生徒に精神的な負担を押し付けることなどです。また、統合負担金に関しては、来年度から4年間合計3億6,000万円支出するもので、学校教育法や地方財政法に違反する可能性もあるとともに、違反しないとすれば何のための負担金か不明のまま負担するという性格のものです。

 来年度、困難を抱えながらのスタートになると考えますが、定時制は、小・中学校時代に不登校経験のある生徒や中途退学者など、さまざまな入学動機や学習暦のある生徒が学んでおり、伊丹市教育委員会がその生徒の教育を受ける権利を保障する上で、来年度からの3年間、全力で支援をしていただきたいと思います。

 また、統廃合完了後の問題では、県立高校に移管した以上県教育委員会の方針で運営されるもので、答弁にあったとおり、教育内容を伊丹市教育委員会と県教育委員会で協議できるものではありません。伊丹市立定時制高校の伝統を市内外に発信する上では、「定時制教育の記録」などの冊子をつくることを提案します。検討をお願いします。

 次に評価すべき点、並びに要望すべき点について述べます。

 第1に、国民健康保険事業に対して、来年度も4億2,500万円を補助するとともに、国の制度ではありますが、後期高齢者医療制度における人間ドッグ助成事業が行われることです。本会議でも求めましたが、国保への一般会計からの補助に関しては、次年度以降、新たな仕組みをつくり、増額していただきたいと思います。

 第2に、子育て支援に関して、神津認定子ども園整備事業では、神津まちづくり協議会や幼稚園・保育所関係者との協議を積み重ねた設計に基づき、建設工事が始まります。認定子ども園にはさまざまな解決すべき問題は残されていますが、伊丹市が責任を持つ公立園であることから、子どもの立場に立って打開していただき、神津地区のまちづくりの核となり、子育て支援の拠点となるよう努めていただきたいと思います。また、「詰め込み」保育の解消、待機児童解消に向けて認可保育所誘致に全力をあげていただきたいと思います。

 第3に、「協働の指針」の策定については、新たに市民が主体となったまちづくりを実現するものとして期待するものです。地域には、孤独死や貧困の広がりによる困難など様々な地域問題がありますが、それらの問題を協働で解決できる力量を高めていくことが求められています。地域には自治会などの地縁組織をはじめ、様々な団体・組織があります。これらの多様なまちづくりの主体が、行政の公共性を前提として、行政と対等な関係の中で、それぞれの特徴を活かしながら、連携・協力して共通の目標を達成するために力をつくす仕組みをつくることは、住みよい地域づくりに大きく貢献するものと考えます。地域問題解決の手段として必要な協働関係を構築することができるような指針となることを要望します。

 以上、主なものしか触れることはできませんでしたが、これ以外に様々な要望を本会議、委員会で行いました。早期に実現することを求め、反対の立場からの意見とします。

市税条例の一部を改正する条例

 次に、議案第52号「市税条例の一部を改正する条例の制定について」であります。

 本条例案の問題の第1は、付則第9条において、2013年1月1日以降支給の退職所得に関して、個人市民税の10%税額控除を廃止しようとしていることです。廃止によって約1000万円の増税となるものです。

 問題の第2は、付則第24条を新設することで、全国緊急防災・減災事業の財源確保を名目に、個人市民税の均等割を500円引き上げようとしていることです。このことによって、86,000人に対して、4,300万円の増税となるものです。個人市民税の均等割は、就業者数に照らしてそのほとんどが納税義務者となっており、所得の低い人にも負担を課すものです。応能負担こそ税制の基本であり、低所得者に負担を強いる個人市民税の均等割引上げに財源を求めるべきではありません。しかも、引上げ期間は10年間であり、恒久的な増税措置になりかねないものであります。さらに、全国レベルでいえば、住民税均等割の引上げによる地方税の増税は被災自治体の住民にも及ぶものであり、被災者支援に反するものと言わなければなりません。
 よって本条例案に反対するものです。

伊丹市老人等医療費の助成、子育て支援のための医療費の助成

 次に、議案第57号「伊丹市老人等医療費の助成に関する条例および伊丹市子育て支援のための医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例の制定について」です。

 本条例案は、重度の身体・知的・精神障がい者に対する医療費助成に関して、また、子ども医療費助成制度における乳児以外の医療費助成に関して、助成を受ける保護者等の所得要件を、主たる生計維持者から世帯合算に変更しようとするものです。このことによって、先ほど一般会計予算で述べたとおり、多くの助成対象者が削減されます。

 伊丹市は、所得制限に関しては、県の制度に合わせていくということが方針であるとされていますが、神戸市や明石市、芦屋市、宝塚市においては今回の県の制度見直しに合せず、いままでどおりの所得制限として対象者を削減しない方針です。もともと伊丹市も県の行革による医療費助成削減に反対していたことから、削減しない方針を貫くべきです。

 主たる生計維持者の所得と世帯合算の場合の矛盾を解消に関しては、所得制限の上限を引き上げることなどによって矛盾解消による助成対象者削減をしない措置を考えるべきです。さらに、入院医療費助成等県の制度に上乗せしている制度に関しては、県の所得制限に合せる必要はありません。

 よって、本条例案に反対するものです。

市有地の信託の変更

 次に、議案第70号「市有地の信託の変更について」です。

 本議案は、信託の目的に「処分」を加えることで処分型の信託に変更し、処分に対する信託報酬を、売却代金収入に1000分の30を乗じてえた額に100分の105を乗じて得た額にしようとするものです。

 旧伊丹市役所で、後に社会経済会館となった伊丹市中央3丁目406番8の土地に関して、伊丹市は、1989年(平成元年)3月24日に、当時の三菱信託銀行株式会社(現 三菱UFJ信託銀行株式会社)と土地信託契約を締結し、現在に到りました。

 当時の「市有地の信託について」の議案に対する党議員団としての態度は、国の信託に関する法律改定は民間活力導入政策の一環として行われたものであること、公共財産は住民全体の公共的利益のために使われるべきもので、民活の名による民間企業の営利の具にしてはならないこと、将来の担保も不明確なものであることから反対しました。

 1989年度予算審議における党議員団の委員会質疑の中で、当時の市長は「リスクはあろうとも、挑戦していくことが必要」「危険ばかり感じておっては、発展はありえない」と答弁され、将来の破綻の危険性を承知の上で土地信託の契約に踏み切っています。当初予定した伊丹市に対する信託配当累計は、34億2,400万円、固定資産税・都市計画税の累計10億7,100万円と合せて、約45億円が30年間で伊丹市に入ってくるというものでした。一方、信託報酬は3億1,100万円、銀行利息は約20億円とされ、民間企業の営利も保障していました。

 ところが、右肩上がりのバブル期が30年も続くはずはなく、危惧していたとおりの事態となりました。この間、伊丹市が受け取った信託配当と固定資産・都市計画税の合計は、2010年度末で12億3,470万円にとどまり、一方で、銀行に対する利息は12億5,400万円、信託銀行への信託報酬は1億3,300万円で、合計13億8,700万円となり、伊丹市が受け取った金額より多く、民間企業の営利の具とされてきたことはいうまでもありません。

 いま、明らかに信託事業は破綻しました。このことは、リスクを見込んだ上での信託事業決行に対して、また、「官から民へ」「民間活力の導入」「民間のノウハウを活かす」などと、公が果たすべき「住民の福祉向上」を民間にゆだねてきた路線そのものに対して、その問題点と限界が明らかになったといえます。
 今回提案されている処分型信託への変更によって、何よりも市民の大切な財産を失うことになります。信託の出発点と今日までの経過における当局の責任は重大といわざるを得ません。この件に関して、本会議・委員会の中で様々な議論が交わされました。しかし、このまま継続すると、空いている床が埋まる保障はなく、たとえ埋まったとしても終了時までのリスクは背負い続けなければならず、さらに家賃の引き上げの展望もないまま推移することとなり、傷口は広がり、最終的に受益者である伊丹市が、その債務を負担することになります。

 したがって、党議員団としては、本議案における処分型信託への変更を是とするものであります。

 なお、信託銀行が行う入札に当たっては、伊丹市として、透明性が確保されるあらゆる手段を指示されることを求めて、賛成の立場からの意見とします。

 議員各位のご賛同をお願いしまして、討論とします。