3月9日(月)、日本共産党議員団を代表して、上原ひでき議員が代表質問を行いました。
全文は以下の通りです。
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2015年3月議会 代表質問
日本共産党議員団 上原秀樹
1.市長・教育長の情勢認識を問う
1)安倍内閣がすすめる経済政策について
内閣府が発表した2014年10月から12月期のGDP速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.6%増の低い伸びにとどまりました。なかでも、個人消費が0.3%、設備投資も0.1%増でしかなく、雇用者報酬は実質で0.5%減少と賃上げが物価の上昇に追いつかない状況が続いています。その結果、2014年の年間を通しての実質成長率は0.0%となり、経済成長が止まりました。また、円高と株高により大企業は空前の儲けを上げ、内部留保は285兆円に達する一方、働く人の実質賃金は19ヶ月間連続マイナス、「働く貧困層」といわれる人は史上最多意の1,120万人に達したとおり、格差と貧困を拡大しました。市長は、このように安倍内閣の経済政策と消費税増税が日本経済の成長を止め、格差と貧困を広げているという認識は持っておられるでしょうか。
日本共産党は、消費税増税ではなく、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革、大企業の内部留保を活用して国民の所得を増やす経済改革という二つの改革で財源をつくり、税収を増やすことを提案しています。消費税10%増税は中止するとともに、国民の暮らし第一の経済政策に切り替えるべきと考えます。
党議員団が行ったアンケートでは、消費税10%増税に反対するとした人が74.5%で、「格差者会の弱者が人間らしく暮らせない」「今でも苦しいのに無理。本当に福祉に回っているか疑問」などの声が寄せられています。市長の安倍内閣の経済政策に対する見解をうかがうものです。
2)戦後70年という節目にあたり、安倍内閣がすすめる戦争する国づくりに反対し、憲法を守る決意を
① 安倍内閣は、集団的自衛権行使容認の閣議決定を具体化する法整備を進め、安全保障法制案を国会に提出しようとしています。それだけではなく、安倍首相は、アメリカが先制攻撃をした場合にでも集団的自衛権の発動はありうるのかとの問いに対して否定しませんでした。これは集団的自衛権の行使ではなく集団的侵略そのものです。日本共産党は、このような憲法違反の「閣議決定」を撤回し、これを具体化する一切の法整備を中止することを求めるものです。
また、ISを名乗る過激武装組織による日本人の人質の命が奪われるという事態が起こりました。残虐で卑劣なテロ行為を断固糾弾するものです。
一方、安倍首相は、日本人人質と絡めて、邦人救出のために自衛隊出動の法整備を進めるとしたことは大問題です。これは相手を制圧する軍事作戦、憲法違反の武力行使であり、人質の命も自衛隊員の命も危険にさらすことになります。この問題では、自衛隊の機関紙「朝雲」が、「陸上自衛隊を強化し、現行法を改正すれば、人質救出作戦は可能であるかのような内容だ。国民に誤解を与える」と苦言を呈しました。
党議員団のアンケートでは、戦争する国づくりに58.4%が反対と答え、「憲法9条を遵守してほしい。自衛官も海外で死んでほしくない」「戦争では何も解決しない」などの声が寄せられました。
自衛隊基地のある自治体の市長として、憲法の立場から反対を表明すべきと考えるものですが、市長の見解を伺います。
③ 今年は第2次世界大戦終結70年の年にあたります。安倍首相は、予定される「戦後70年談話」に関し、「村山談話」について「全体として引き継ぐ」と言いますが、「植民地支配と侵略」への「痛切な反省と心からのお詫び」というキーワードを引き継ぐとは言いませんでした。このことに内外から懸念の声が上がっています。
日本共産党は、この節目の年が、日本とアジア諸国との「和解と友好」に向かう年となるためは、安倍首相が「村山談話」「河野談話」の核心的内容を継承し、談話の精神にふさわしい行動を取り、談話を否定する動きにはキッパリと反論すること、日本軍「慰安婦」問題について、人間としての尊厳が回復される解決に踏み出すことが重要と考えるものです。
平和都市宣言をしている自治体の市長ならびに教育長として、この歴史認識をどうお考えなのでしょうか、見解を伺います。
2.真の「地方創生」「伊丹創生」――地域で生活する人々の人権を守り、社会福祉政策の充実により地域で安心した暮らしを保障するために
安倍内閣は、少子化対策、地域経済再建などの「地方創生」を掲げています。しかし、全国的に見て地方が衰退した原因は、輸入自由化などによる農林水産業の衰退、大型店出店の規制緩和による商店街の疲弊、「都市再生」の名による都市再開発・「東京一極集中」政策などによってもたらされたものです。また、少子化の原因は、労働法制を変えたことにより非正規雇用が若年層の2分の1となって所得の減少を招き、一方で長時間労働により生活からゆとりを奪ったことなど、全体として将来に明るい展望を見失ったことが上げられると考えます。
今やるべきことは、地域で生活する人々の人権を守り、社会保障・社会福祉政策の充実により地域で安心した暮らしを保障するという観点です。以下、この立場からいくつかの問題でお聞きをします。
1)子育て一番の伊丹市に
市長の提案説明で述べられたとおり、若い世代の結婚・出産・育児の希望をかなえることは、最も重視すべき柱の一つです。この点では、周産期医療体制を市立伊丹病院に整備する方針を決定されるとともに、病児保育事業を始めるとされたことは評価をするものです。子育て支援に関して、以下の点でお伺いします。
①新しい子育て支援制度について
第一に、待機児童の解消についてです。党議員団のアンケートで、子育て支援策で重要と思うもので一番多かったのが保育所の増設でした。一方、伊丹市子ども・子育て支援計画では、今年における弾力的増員を含めた保育所定員の不足数を、396名としています。この数は、今年度新たに増設される予定の保育所の定員235名を加えた予想人数となっていますが、今年度末までにすべて開設できる状況にはないと思われます。市長の提案説明では待機者ゼロを目指すとされていますが、待機者はなくなるのでしょうか。待機者が出た場合、市民にどう説明されるのでしょうか。
来年度予算では1ヶ所の認可保育所とともに3園の小規模保育事業の実施による定員増を図ろうとされています。何よりも子どもの権利保障の視点から保育に格差を持ち込まず、現行保育水準を切り下げないためにも、小規模保育事業はA型とすべきと考えますが、どう計画されているのでしょうか。
第二に、新制度での、保育の利用に先立って受ける、支給認定に関する問題です。国は、保育短時間は1日8時間、保育標準時間は11時間まで保育が受けられるとしています。国の説明では、9時から17時までという一律の時間帯を設定することとし、この時間帯以外の利用は延長保育料が発生するとしています。しかも短時間と標準時間の保育料の差はわずかであり、利用時間や延長保育料の額によっては、短時間認定であっても標準時間より負担額が増える事態も起こりかねません。そもそも法律では、保育必要量は月を単位として定められることになっており、一日の利用上限は規定されているものではありません。いずれにしても、短時間と標準時間の二区分を設定し、利用を制限することが混乱のもとになるのであり、この混乱を避けるためには、開所時間の範囲内で、子どもの一日の生活を保障する基本保育時間を設定し、合わせて一人ひとりの子どもに必要な保育が保障される保育利用時間の設定が必要と考えるものです。どのようにされるのかお伺いします。
第三に、民間の保育士の確保と給与等待遇改善についてですが、低すぎる民間保育士の給与改善のための補助金が今年度で廃止され、公定価格に含まれるとのことです。今まで3%とされていた補助金でも不十分との声が出ていましたが、どれくらい改善されるのでしょうか。また、保育に格差を持ち込まないという立場で、伊丹市は今まで私立認可保育所に様々な補助をしてきました。国によって配置基準の改善がなされるべきですが、これが不十分なままであり、引き続き必要な補助はされなければなりません。どうされるのでしょうか、お伺いします。
②公立幼稚園のありかたについて
この問題では、学校教育審議会答申に対して、公立幼稚園を統廃合することの理由における問題点や3年保育と預かり保育の実施を要求するなど様々な議論をしてきました。来年度、新しい子育て支援制度が施行されますが、幼稚園保育料は3年の経過措置を経て公立も私立も同じになります。このまま公立幼稚園を統廃合すると、ブロック制とはいえ徒歩による通園が困難になり、幼稚園に通わせたいと思う保護者は、3年保育や預かり保育、送り迎えバスのある私立幼稚園を選択するのは必然です。結果、公立幼稚園は消えてしまう恐れが出てくるのではないでしょうか。
一方、今年度の市民意識調査で、今後の幼児教育について、統廃合か現状維持かという項目があります。私立幼稚園に任せるという意見は全体で9.3%しかありません。また、20歳代以下では、私立に任せるが6.1%と最も低く、統廃合と現状維持は40.9%と同率となっています。30歳代でも現状維持が34.4%、統廃合が40%を割その差は5ポイントしかありません。全体としても統廃合が42.0%、現状維持が31.3%と、10ポイント以上の差があるにせよ、公立幼稚園の1校区1園制に対する信頼は厚いといえます。
子育てで伊丹市を選ぶ大きなポイントとなる1校区1園制です。私立との関係は重要な課題ですが、公立を3年保育にしてもそれほど定員を増やせるわけでもありません。統廃合はやめ、3年保育と預かり保育を改めて求めるものですが、見解を伺います。
③子どもの医療費助成の拡大について
私は昨年の9月議会で、歯と貧困の問題を取り上げ、お金の心配なく医療にかかれるようにと、子どもの医療費助成を拡充し、中学3年生までの無料化を求めました。答弁では、財源は約1億2千万円が必要とし、今後財政状況を勘案した上で、国や県、他市の状況を注視しながら子育て支援策として幅広い議論が必要と考えているとされました。かつて市長は他市に先駆けてその拡充を図ってこられましたが、いまや兵庫県下では、中学卒業まで入院も通院も無料とする自治体は41の内24自治体、59%まで広がりました。
患者の窓口負担の割合によって、どれだけ医療需要が抑制されるかを示した「長瀬指数」によれば、3割負担によって医療需要量は6割をきり、2割負担でも7割程度まで引き下がるとされています。また、全国保険医団体連合会が2012年に行った医療機関に対する調査によりますと、「患者の経済的理由により半年の間に治療を中断する事例があった」と回答した医療機関は、医科で49.6%、歯科で64%です。また「経済的負担を理由に検査や治療、投薬を断られたことがあった」のは、医科で60.3%、歯科で51.7%となっています。これはすべての年齢の患者であり、年齢別の分析はありませんが、子どもにも治療の中断等が発生しています。さらに、学校歯科検診で「要治療」となった小学生の半分、中学生の三分の二が、歯科医療機関を受診していないことが宮城県、長野県、大阪府の保険医協会の調査で明らかとなっています。教育委員会は、歯科検診後の治療実態をはじめ、このようなお金の心配で医療機関を受診できない実態を掌握されているのでしょうか。お伺いします。
子どもの医療費無料化の拡大は、子どもの命と健康を守るとともに、OECD報告書で合計特殊出生率を引き上げるためには子どもの直接費用の減少が影響するとの指摘の通り、この面でも重要と考えるものです。
日本共産党は、小学校就学前の子どもの医療費を所得制限なしで無料化する国の制度を確立し、その共通の制度のうえに、全国に広がった自治体独自の助成制度をさらに前進させることを政策として掲げています。国に対して制度創設を求めるとともに、伊丹市においても、子どもの実態を踏まえ、中学卒業までの無料化に向け、医療費助成の拡大をされることを改めて求めるものですが、見解を伺います。
2)国民健康保険税の引き下げを
高すぎる国保税を引き下げてほしいという声は、党議員団が行ったアンケートで最も多い要求でした。伊丹市の国保税は、標準3人世帯の年間給与収入240万円で、年額27万8,600円です。2014年現在での阪神間各市を比較すると、尼崎市が32万7,300円で一番高く、川西市が26万7,200円、西宮市が26万100円、三田市が24万6,000円、宝塚市が22万5,300円と、阪神間では伊丹市が二番目に高くなっています。伊丹の場合、国保加入世帯の65%が所得150万円未満の世帯であり、所得のない世帯が23%を占めているという、低所得者が多いにもかかわらず高い国保税となっているのが特徴であり、国保税引き下げは被保険者の切実な願いです。ではどうすればいいのか。結局、国の補助金を増やさない限り、一般会計に頼らざるを得ません。
2013年度決算で「予算はがし」をした5.5億円の内、2014年度補正予算並びに2015年度予算で一般会計の財政調整基金から繰り入れをする4.8億円の残金7千万円が一般会計の財政調整基金にあります。課税限度額の見直しによる1,830万円との合計で約8,830万円。もう一つは、現年度課税未収額の2分の1繰り入れルールで、2014年度から、滞納分を徴収した場合、その金額を繰り入れからはずすという措置に変更されていますが、これをもとに戻せば、あわせて3億2千万円の財源を生み出すことができ、国保税を引き下げることは可能です。改めて国保税の引き下げを求めるものですが、見解を伺います。
3)介護保険について
この間、医療と介護提供体制を一体的に改革することを目的に、一昨年、医療・介護確保法が成立しました。その狙いは、病床削減と平均在院日数の短縮による医療抑制と、病床削減により増大する退院患者の受け皿として「地域包括ケアシステム」を想定しており、その中心は介護保険サービスの改革です。しかし、そもそも介護保険は必要なサービスを十分に保障する仕組みはなく、今後、給付抑制や負担増により、必要なサービスを受けられない人が大量に生み出される可能性が高くなります。その受け皿として想定されるのが、家族同士の助け合いであり、ボランティアや地域の絆という互助ということになっています。
このもとで、今回、第6期介護保険事業計画(案)と予算が提案されていますので、いくつかお伺いしたいと思います。
①介護予防・生活支援サービス事業を導入することについて
第6期介護保険事業計画(案)では、2017年に介護予防・生活支援サービス事業を導入するとされています。これによって、現在の要支援1・2に相当する高齢者の訪問型サービス及び通所型サービスについては、「自助・互助」で取り組む住民力を活用した事業展開をしていくとするものです。伊丹市における来年度の予定では、介護認定者の内、要支援1・2の人は37%を占め、その人が受けるサービスの64%が訪問型サービス及び通所型サービスです。これらの人が基本チェックリストによる判断で介護保険サービスからはずされ、今までのサービスが受けられなくなること、いわゆる「介護保険外し」が問題となります。介護保険制度では、被保険者は認定を受ければ「保険給付」を受ける受給権という「権利」を得ます。保険者は保険給付を提供する義務を負います。これによって、法令で決められている基準によるサービスの「質」が担保されます。これが、新たな総合事業に移行されると、財源は介護保険から出ていても、保険上の受給権はなくなってしまいます。サービスの担い手が無資格者によるサービスやボランティアに置き換えられれば、今までの「命綱」を失ってしまいかねません。
そこでお伺いします。現在のすべての要支援1・2の人の生活を支えてきたホームヘルプ・デイサービスの水準を掘り崩さないこと、現行水準の利用の保障を約束できるでしょうか。また、要支援者や要介護者に該当する可能性のある人に対して「事前」に基本チェックリストでの選別をさせないこと、申請権の侵害はしないことを約束できるでしょうか。
②介護報酬引き下げの影響について
厚生労働省は2月6日、介護報酬を全体で2.27%引き下げる改定額を決定しました。今回は介護職員の「処遇改善」加算を含んでいるため、4.48%と過去最大規模の引き下げです。特養への基本報酬は個室でマイナス6%弱、相部屋はもっと大幅カットです。すでに特養の3割が赤字という実態が調査結果で判明しているのに、今回の改定でさらに特養が苦境に追い込まれるとともに、特養建設がストップするところも出ています。また、「在宅」で大きな役割を持つデイサービスなどの報酬を5~20%も下げておいて、どこが「在宅」重視なのでしょうか。介護職員の「処遇改善」にしても、報酬全体を引き下げるなかで、改善効果は期待できません。伊丹市として、このような報酬改定によって市内の介護施設並びにサービスはどう影響を受けると考えておられるでしょうか、お伺いします。
③地域包括支援センターについて
第6期介護保険事業計画では、医療、介護、予防、生活支援、住まいの5つのサービスを一体的に提供して、支援が必要な高齢者の住みなれた地域における生活を支援する、地域包括ケアシステムを構築するとされています。そして、そのために日常生活圏を見直し、介護支援センターを地域包括支援センターに移行するとともに、中核となる基幹型地域包括支援センターを運営するとされ、これを社会福祉協議会に委託するとしています。これは、今まで唯一の地域包括支援センターを社会福祉協議会に委託されてきたという経過もあり、ノウハウを蓄積されてきたからと思われます。では自治体は何をするのか。党議員団は、基幹型は伊丹市が担うべきではないかと提案してきました。それは、医療機関や包括支援センター、NPOやボランティア、民生委員や自治会、社会福祉協議会など多様な担い手による地域福祉・地域医療に関し、伊丹市自身が掌握する必要があるのではないかということからです。どうお考えでしょうか。また、地域包括ケアシステムを構築するうえで、地域包括支援センターと基幹型、自治体の役割をどのように整理するのでしょうか、お伺いします。
4)住宅問題について
厚生労働省は、地域包括ケアシステの構築にあたって、「介護」「医療」「予防」といった専門的サービスの前提として、「住まい」と「生活支援・福祉」といった分野が重要であるとしています。その「住まい」に関して、党議員団が行ったアンケートにも、安くては入れる市営住宅を増やしてほしいという声が寄せられています。人の尊厳が保持されるためには、生活の物質的、社会的かつ具体的な保障が必要であり、とりわけ住まいは、人間らしい生活を営む場であるとともに、すべての生活を支える基盤でもあります。
①市営住宅について
市営住宅は、公営住宅法の定めるとおり、「健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的と」しています。
一方、若年層で非正規雇用が増大するなかで住宅困難者が増えるとともに、高齢者の間ではリタイヤ後年金だけでは今までの家賃が払えなくなる人も増えています。市営住宅の募集をされていますが、対象とする数に限りがあるとともに、4階5階の住宅では申し込む気がしないというのが実態ではないでしょうか。
一つは、伊丹市はエレベーターの設置はしないとされ、高齢者等のため民間住宅の借り上げを行うとされました。4,5階からの住み替えは進んでいるのでしょうか。
二つには、伊丹市は、市営住宅は増やさない方針ですが、昨今の市民の経済事情を勘案し、民間住宅の借り上げの数を増やしたらどうでしょうか。見解を伺います。
②民間賃貸住宅の活用について
伊丹市においても、民間賃貸住宅の空き家が増えています。これらを活用し、高齢者や障がい者、母子・父子、子育て世帯等の「住宅確保要配慮者」のために家賃補助制度を創設したらどうでしょうか。全国的には、これらの対象者に加え、若年者や転入者などを加え、2009年時点ですが75自治体で家賃補助制度を実施しています。
さらに、高齢者を中心に民間賃貸住宅に入居する際、保証人の問題で入居が困難になるとともに、保証会社による家賃債務保証制度でのトラブルも発生していることから、伊丹市若しくは公的な機関において、公的保証人制度や家賃債務保証制度を創設することも必要と考えるものですが、見解を伺います。
5)生活困窮者自立支援法について
生活困窮者自立支援法が来年4月から施行されます。この問題は、昨年の6月議会で質問をし、要望もしています。この法律の目的は、生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、生活困窮者に対し、自立相談支援事業の実施、居住確保給付金の支給、その他の支援を行うため、所要の措置を講ずるとされ、その概要は必須事業として自立相談支援事業の実施並びに住居確保給付金の支給を行い、任意事業として就労準備支援事業、一次生活支援事業、家計相談支援事業、学習支援事業等を実施するとされています。この自立支援法という法律ができた背景は、突然の失業とか、あるいはさまざまな要因によって生活保護に陥った場合、生活保護に陥らないためにさまざまな施策をやる、生活困窮に陥った人を救う手だてをつくろうということにあります。ですから、本当の意味で生活困窮者を支援できる仕組みをどうつくっていくのかというのが鍵になると思います。対象者は、生活が苦しいと相談に来た人すべてであり、国保等の滞納者などすべての庁内の窓口をつなぐことが必要となります。今回は、昨年の6月議会で要望していたことを中心にお伺いします。
一つは、自立相談支援事業についてです。ここでは、生活保護に陥る前の人をどういうふうにキャッチをするのか。相談に来られた場合には、その相談に応じて生活保護の要件に当たる人は生活保護を受給する、そうでない方についてもさまざまな施策を展開するということになります。また、国保や介護保険、税、水道料金等庁内の窓口とのネットワークをどうするのか、さらに、相談に来られない方も、社会福祉協議会や地域包括支援センター、民間福祉団体、民生委員等とのネットワークを構築することで、アウトリーチによる支援を行うことも必要です。その仕組みはどう構築されたのでしょうか。
二つには、事業の主体と人員配置についてです。事業主体は伊丹市が行うことを求めていましたが、どうされるのでしょうか。人員配置では、国会での付帯決議で、社会福祉士等の支援業務に精通する人員を十分に配置するとされており、6月議会の答弁ではコンシェルジュのような人材を確保する必要があるとされていましたが、どうされるのでしょうか。また、任意事業として就労準備支援事業、一次生活支援事業、家計相談支援事業、学習支援事業等が上がっていますが、どうされるのか、これらを合わせて、職員配置についてもお伺いします。
6)雇用を守る問題について
① 安倍内閣は働き方のルールを変える法案を提出しようとしています。その内容は、どんなに長時間働いても残業代を払わないで済ませる「残業代ゼロ」法案と、労働者派遣法改悪法案です。安倍首相は、日本を「世界で一番企業が活動しやすい国」にする、そのための「岩盤規制」を打破するためとしています。しかし、日本の雇用のルールの現状は、派遣・パートなど非正規雇用が全体の4割近くまで広がっており、異常な長時間労働、「サービス残業」、「ブラック企業」が横行し、「過労死・過労自殺」がこの15年間で4倍近くに増加していることにあります。
党議員団が行ったアンケートの「ひどい働き方をさせられていませんか」という問いには、「正社員と契約社員の賃金格差をなくしてほしい。現状では契約社員は有給なし、賞与なし、サービス残業で低賃金のため結婚できない、子どももつくれない」「裁量労働制なので何時間働いても固定給。裁量制はある程度の年齢になると拒絶できない」など、多くのの異常な現状を訴えておられます。このどこが「岩盤規制」なのでしょうか。市長は、政府が行おうとしている労働法制の改革で、働く市民にどう影響するのか、どうお考えなのか、見解をお伺いします。
② このような安倍首相の、日本を「世界で一番企業が活動しやすい国」にするという政策の流れの中で、政府が7割出資する産業革新機構がつくられ、その下でルネサスエレクトロニクス北伊丹工場の閉鎖という大リストラが行われています。この問題では、昨年3月議会以来、雇用と地域経済を守る立場で毎議会質問をしてきました。12月議会では、高崎事業所移転で89名の退職者が出ており、さらに武蔵事業所移転では企業全体で1,800名の退職を迫る状況のなかで、伊丹市と県、労働局が連携して雇用を守ることを求めました。その後、武蔵事業所移転に関して、全体で1,725名が退職を余儀なくされとの報道がありました。12月議会でも、現場で起こっている実態をきちんとつかむことで、対策を立てることができると指摘をしています。そこでお伺いします。
一つは、北伊丹事業所におけるルネサス本体と関連企業の退職者と再就職の状況をどう把握されているのでしょうか。
二つには、市長は12月議会で、民・民の雇用関係に介入する特段の権限はないが、立地市である伊丹市として要請をしてきたこと、今後県とも連携して対応していくと答弁され、また、以前から三菱電機にも要請をすると答弁されていました。北伊丹事業所で関連企業も含めると500名近くが職を失った中、パソナなどの支援会社任せでいいのか、急いで労働局や県と連携する必要があるのではないかと考えるものです。ルネサスへの状況確認、三菱電機への要請、三者との連携に関して、どう対応されてきて、今後どのようにされようとするのかお伺いします。
3.教育に関する問題—道徳教育の教科化について
文部科学省は、小中学校の「道徳」を「特別の教科」にするため、学習指導要領を改訂する案を発表しました。教育長の教育基本方針のなかでも、道徳教育の充実について、「特別な教科」への動きを踏まえ、「道徳教育実践講座」等の実施により教員の指導力向上を図るなどと述べられています。この文科省の動きに対し、「道徳」が教科化されると、国が定めた基準でつくられた検定教科書を使い、国の定めた観点で子どもたちを「評価」することになり、道徳の国家統制が強まるのではないかという危惧が広がっています。
教科化への懸念の一つが、子どもの道徳が評価の対象とされることです。つまり、子どもの心や価値観を評価していいのかということです。もう一つは、検定教科書が導入されることです。これは、道徳が教科として成立する条件を整えているのかという根本的問題があります。教科の成立条件は、教科が何人も認める客観的な学問・文化・科学を基礎にしています。このことがないままに検定教科書が導入されると、道徳価値が偏り、学問的知識を踏まえない内容の不公正さを招きくことになります。さらに、昨年全国に配布された「私たちの道徳」という副読本には、国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義など、日本国憲法に基づく基本的な道徳的価値を尊重する視点と発想が欠落していることも問題です。どうお考えでしょうか。
日本共産党は、1970年代前半から市民道徳の教育を具体的に提案してきました。今、憲法に基づく民主主義的な道徳教育を進めるため重要と思われることで、一つは、モラルの土台である基本的人権について十分子どもたちに教えることです。特に「子どもの権利条約」の内容を判りやすく伝えるパンフレット等の作成を提案してきましたが、いまだにつくられていません。二つに、学校生活全体で個人の尊厳や子どもの権利を大事にすることです。三つには、子どものたちの学校内外での自治的な活動や労働体験を活発にすること、子どもたちが社会の主人公として活動し、討論し、交流するなかで、社会の形成者としての自身と力量を身につけて生きます。四つには、憲法に基づいた愛国心についての学習を考える必要があります。特に元西独大統領ヴァイツゼッカ―氏の「過去に目を閉ざすものは、結局のところ現在にも盲目になる。われわれの義務は誠実さであの過去を心に刻むことを通してしか前に進めない」といわれたとおり、過去の戦争の歴史を子どもの心に刻むことは、日本人としての誠実さや誇りに不可欠です。
以上、今後の道徳教育に生かしていただきたいと考えるものですが、教育長の見解を伺います。