2017年12月議会 上原秀樹:請願「消費税増税中止」「35人学級」「幼児教育」「北部学習センター・図書館北分館の指定管理者」賛成討論

請願第6号「消費税10%への増税中止を求める意見書」提出を求める請願、第7号【小学校5年生から中学校3年生まで、当面35人学級実現】を県に要望することを求める請願書、第8号幼児教育の施策に関する請願書に対する賛成討論

日本共産党伊丹市議会議員団 上原秀樹

 議長の発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、議題となりました請願第6号から8号まで、賛成の立場から意見を述べます。

消費税の増税中止

 初めに、請願第6号「消費税10%への増税中止を求める意見書」提出を求める請願についてです。本請願は、安倍内閣の下での「アベノミクス」という経済政策によって格差と貧困が広がる中、消費税10%増税中止を求める意見書を政府に提出することを求めています。

  消費税創設以来28年間、この間の消費税の税収は327兆円にのぼりますが、ほぼ同じ時期に法人税3税は270兆円、所得税・住民税も261兆円も減っています。消費税増税による消費不況によって税収が落ち込んだことに加え、大企業、富裕層への減税が繰り返されているからです。今回も10%増税とともに、大企業への減税がセットで考えられています。「社会保障財源と言えば消費税」「財政健全化といえば消費税」という消費税頼みのやり方では、この失敗を繰り返すだけで、一層の格差と貧困を広げるだけです。

 したがって社会保障の拡充や財政危機打開に必要な財源は、請願趣旨にある通り、税金の集め方、使い方を切り替え、「消費税にたよらない別の道」で確保する必要があります。日本共産党は、具体的には次の二つの改革を提案しています。

 第一には、富裕層や大企業への優遇をあらため、「能力に応じた負担」の原則をつらぬく税制改革をすすめることです。

 本来、所得税は累進課税が基本のはずが、実際には所得が1億円程度を超えると逆に負担率が下がり、法人税も、実質負担率が中小企業は平均20%、大企業は平均12%と、いちじるしい不平等になっています。これは富裕層や大企業には、さまざまな優遇税制が適用されているからです。こうした不公平税制をあらため、「能力に応じた負担」の原則に立って、「税金の集め方」を抜本的に改革すれば、公共事業や軍事費などの歳出の浪費をなくすこととあわせて、20兆円以上の財源を確保できます。

第二に、大企業の内部留保の一部を活用し、国民の所得を増やす経済改革で、税収を増やすことです。

 この間の国民のくらしは、1997年をピ-クに国民の所得は減り続け、働く人の非正規社員が40%を超え、労働者の平均年収は減少し続けています。「アベノミクス」という経済対策によって、この5年間で実質賃金は年間10万円も減少し、一世帯の家計消費も年間22万円も落ち込みました。一方大企業の内部留保は5年間で約70兆円増加し400兆円を超えています。このように、GDPの6割を占める個人消費が連続してマイナスの状況では、安定した経済成長は実現せず、税収増も見込めません。大企業と株主優先の「アベノミクス」と消費税大増税路線を改め、国民の所得を増やす経済改革をすすめることが大事だと考えます。

 よって、請願の含意は妥当であり賛成するものです。

35人学級実現

 次に請願第7号【小学校5年生から中学校3年生まで、当面35人学級実現】を県に要望することを求める請願書についてです。本請願書は、先ほどの意見書案第6号「小学校5年生から中学校3年生まで、当面35人学級実現を求める意見書(案)」と同趣旨であり、党議員団が行った同意見書案に対する賛成討論と変わるところはありませんので、討論は省略し、賛成の意見に変えます。

幼児教育の施策に関する請願

 次に請願第8号幼児教育の施策に関する請願書についてです。本請願書は、伊丹市が8月に(仮称)幼児教育推進計画(案)を発表して以降、1,841人の参加のもとで73回の説明会を行ってきたにもかかわらず、市民への周知活動も不十分で、情報共有がなされていないという認識が示されています。その上に立って、請願は、伊丹市の幼児教育施策を「幼児教育の観点」「まちづくりの観点」「子ども子育て支援計画と整合性を取った形」で、今一度慎重に審議してほしいこと、また、保護者は、これまでの通園距離を大きく変えない範囲で幼稚園、保育所、認定こども園に通わせたいという願いのもとに、市民参加による見直しと小学校区ごとの丁寧な説明を求めているものです。

 今まで、その時々の保護者と地域住民にとって小学校の隣に公立幼稚園が存続していることが当然のことであり、幼稚園の存在は地域のまちづくりに大きな貢献をしてきました。その幼稚園が消えてなくなることは、保護者にとっても地域にとっても一大事であることは言うまでもありません。その時当局と住民はどう対応するのか。過去の教訓を生かす必要があります。

 2010年(平成22年)9月の「今後の幼児教育のあり方について」の学校教育審議会答申は、すずはら幼稚園と神津幼稚園を認定こども園とすることが望ましいとし、同時に「認定こども園等就学前児童施設整備計画(案)」を発表しています。その計画案では、神津は公立幼稚園と保育所を、認定こども園制度を活用した施設に2013年度から移行する、鈴原はすずはら幼稚園施設を活用して民間による認定こども園を2014年度に整備するというものでした。この計画案に対するパブリックコメントでは、「計画の進め方が性急ではないか」「公立幼稚園をなくさないでほしい」「一校区一園制をなぜなくすのか」「認定こども園に反対」など、1,270人から意見が寄せられ、鈴原地域では、計画の白紙撤回を求める署名が同年12月に21,180人から寄せられる事態となりました。

 神津地域では、2011年(平成23年)4月から神津まちづくり協議会が開催され、意見交換会を9回、視察2回、要望書1回の提出が行われ、神津幼稚園保護者との意見交換会が3回、神津保育所保護者との意見交換会も4回開催され、2012年1月までの10か月間に及ぶ話し合いがもたれて、認定こども園の基本設計に生かされています。

 反対が多かった鈴原地域では、2010年9月に整備計画案が公表されて以降11月まで約3か月間、PTAや地区社協、保護者等に対する説明会・懇談会が14回開催されながらも、21,000名を超える白紙撤回を求める署名が提出されました。そしてその4か月後、2011年3月に、地域住民と幼稚園PTA、市職員による「すずはら就学前児童施設研究会」を発足させ、1年間にわたって協議をすることにしました。そして、開催ごとにニュース発行とその回覧および掲示板への掲示、住民がいつでも資料が閲覧できるようにゆうかりセンター等に資料を備え付けることにしました。そして、12回に及ぶ「研究会」の結果、伊丹市は、地域や保護者の理解を得られないまま、現行の整備計画を強引に進めないとして、整備計画を中断するに至りました。11月に提出され、12月の文教福祉常任委員協議会で報告された研究会による「研究結果について」の文書の中で、市への要望が書かれています。それは、①研究会として協働して研究を行ってきたが、このような市民参画の制度については今後の市民参画の一手法として取り入れていただきたい、②今後、アンケートの実施等により当事者のニーズ把握に努めることの2点を求めています。さらに、地域と幼稚園との関わりに関しては、鈴原での取り組みを、今後地域とのかかわりを考える際のモデルケースとしていただきたいとも書かれています。

 今回の計画に対して、現在まで十分関係者や市民から理解が得られない理由は、①2014年6月の学校教育審議会答申以来2年間に及ぶ「市民講座」等を行ってきて十分議論がなされているといわれますが、今回の計画があまりにも想定外で大規模な統廃合計画であったこと、②また幼保一元化施設はすでに2010年の答申で方向性が出されているとされるが、鈴原で中断せざるを得ない事態が生じたことで、当時の答申と市民の認識が一致していなかったことと6年間も経過していること、③さらに、当局が73回の説明会を開催して1,841人が参加したことで十分説明がなされたとされていますが、鈴原の「研究会」が指摘している市民の参画と協働による議論になっていなかったことなどによるものと考えるものです。6年前の鈴原の教訓が生かされていないということが問題なのです。

 したがって、本請願書が市民参加による見直しと小学校区ごとの丁寧な説明を求めていることは、神津、鈴原における今までの経過から見て、請願者の含意は妥当と考えます。なお、改めて市民の参画と協働による議論と見直しがなされることを強く求めて、賛成の立場からの討論とします。

2014年3月議会代表質問:上原ひでき 市長の情勢認識を問う(消費税増税、戦争する国づくり)

2014.3.7. 上原ひでき議員

1.市長の情勢認識と政治姿勢について

1)消費税の増税と市民の暮らし悪化の中でくらしを守る施策を

市長は、提案説明の中で、わが国経済の基調判断について政府の見解を引用し、個人消費の増加等、景気が回復していること、規制緩和などの成長戦略で「経済の好循環」が期待できるかのように言及されましたが、事態はまったく逆の方向に進んでいます。

安倍内閣による4月からの消費税増税によって、市民の暮らしは計り知れない深刻な打撃をもたらし、経済も財政も共倒れ破綻に追い込まれる「経済の悪循環」になることは明らかです。

働いている人の賃金は、18ヶ月連続で前年同月比マイナスとなり、1997年と比べて年間60万円も減少しています。これは、定期給与の抑制や非正規雇用化などによるものですが、その一方で、資本金10億円以上の大企業が保有する内部留保は前年対比で5兆円増の272兆円にも達しています。また、アベノミクスの金融緩和で、レギュラーガソリンや灯油、ガス・電気代、生鮮野菜、マーガリンなどの乳製品など生活必需品の価格高騰が続き、総務省が発表した2013年の消費者物価指数が前年比0.4%上昇しました。

賃金が下がり、物価が上がるその上に、国の2014年度予算案では、医療費では70歳から74歳の窓口負担を1割から2割に倍増し、生活保護の生活扶助費を2.5%削減、年金支給額も1%削減します。これら社会保障の負担増と給付減で負担は約2兆円、消費税増税と合わせて10兆円もの国民の負担が増えることになります。さらに兵庫県も、「第3次県行革プラン」において、老人医療費・母子家庭等医療費の助成を削減しようとしています。

このような国のアベノミクスによる国民の暮らし破壊と消費税増税などによって、市民の暮らしは深刻になっています。市長は、この市民の生活をどう認識されているのでしょうか、また、伊丹市が深刻な市民生活を守る防波堤としての役割を果たすため、国の国民いじめの政治に反対し、市民の暮らしを守るために、何が必要とお考えなのか、お伺いします。

2)安倍内閣による「戦争する国づくり」に対する見解を伺う

伊丹市の「平和都市宣言」は、「平和は人が生きるための大本です。戦争はかけがえのない生命を奪い、幸せをふみにじります」という言葉で始まります。しかし、安倍内閣は人が生きる大本である平和をないがしろにし、戦争の道へと暴走しています。

先の臨時国会で可決成立した「特定秘密の保護に関する法律」は、特定の情報を政府が恣意的に秘密指定でき、国民には何が秘密か明らかにされないというもので、国民主権、基本的人権、平和主義をないがしろにする憲法違反の稀代の悪法です。この法律が強行された後の共同通信の世論調査で、「法律に不安を感じる」が70.8%、「法律を修正する・廃止する」が82.3%に達しました。廃案を訴えた運動は各界に広がり、山田洋次監督ら5人が呼びかけた「反対する映画人の会」には、映画監督の宮崎駿さんや女優の大竹しのぶさん、脚本家の山田太一さんらが名を連ね、ノーベル賞を受賞した白川英樹さん、益川敏英さんなど著名な学者が呼びかけた「反対する学者の会」は、賛同者が約4,000人にもなり、今も広がっています。

このことは、この法律によって、懲役10年以下の重罰とそれによる威嚇や、適性評価の名によるプライバシー侵害と権力の監視にさらされるのは、限られた公務員の特殊な漏えい行為だけではなく、国民の普通の日常とその自由が広く対象とされるからです。

この法律の目的は、安倍首相がオバマ米大統領との会談で、特定秘密保護法案は「日米同盟強化を見据えたもの」と説明したとおり、集団的自衛権の行使を可能とし、海外で米国と一体に「軍事行動をする国」へ日本を作り変える構想との一環として出てきたものです。

そしてその「集団的自衛権」とは、「自衛」とは無関係の概念で、海外への武力行使を可能とするものあり、大国が侵略や軍事介入する際の口実として使われてきたもので、日本国憲法第9条に違反することは明白です。だからこそ歴代政府は、「憲法9条のもとで許容される実力の行使の範囲を超えるものであり、許されない」としてきました。

ところが、安倍首相は、「政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることで(行使容認は)可能であり、憲法改正が必要との指摘は当たらない」「最高責任者は私だ。政府の答弁に私が責任を持つ」などと述べ、首相が自由に憲法の解釈を変更できるかのような発言を行っています。これは、最高法規としての憲法のあり方、立憲主義を否定するものに他ならず、さすがに古賀誠自民党元幹事長も、「立憲国としてとても考えられない」「普通だったら予算委員会がとまるほどの大騒動の話」と批判し、同様に河野洋平元衆議院議長や野中広務自民党元幹事長、村上誠一郎元行革担当相、漆原良夫公明党国対委員長らも批判しています。

市長は、伊丹市平和都市宣言に照らして、このような戦争への道を突き進む安倍内閣の暴走をどうお考えでしょうか、立憲主義に対する考え方も含めて、見解を伺います。

2012年9月議会代表質問:ひさ村真知子 「税と社会保障の一体改革」は市民生活に何をもたらすのか

2012年9月19日
日本共産党伊丹市会議員団  ひさ村真知子

2012年9月議会 代表質問

  1. 「税と社会保障の一体改革」は市民生活に何をもたらすのか(このぺージ)
  2. 原発再稼動に関しての市長の見解を。
  3. 介護保険施設の充実について
  4. 子どもの権利を保障し守るために
  5. 男女共同参画計画の推進のために
  6. 子ども・子育て新システムについて

 只今議長の発言の許可を頂きましたので私は、日本共産党議員団を代表して質問を行います。

はじめに

1、「税と社会保障の一体改革」は市民生活に何をもたらすのか、消費税が増税されれば市民生活はどうなるのか、また伊丹市政への影響はどうかを市長に伺います。

 消費税大増税に関しては世論調査でも多くの国民の反対の声、不安の声があがっていました。その声を反映し、全国の138自治体で「消費税増税反対」決議や意見書が採択されています。しかし、 野田内閣は、民主、自民、公明党三党で「密室談合」を行い、8月10日「税と社会保障の一体改革法」を国会で可決し、消費税の大増税へと進んでいます。

 2014年4月から消費税率を8%へ引き上げ、翌年2015年には10%に引き揚げるという内容です。消費税増税に国民が納得していないのは法成立後の世論調査でも明らかです。共同通信社の調査は、「反対」が56,1%、賛成が「42,2%」で成立前の55,2%、43,4%とほぼ変わっていません。「読売」新聞の調べで、増税法が成立したことを評価するかという質問でも、「評価しない」が49%「する」の43%を上回っています。NHKの世論調査でも「大いに評価する」は6%、「あまり評価しない」「全く評価しない」は合わせて48%にのぼっています。長期にわたる所得の減少、不況のもとでの大増税は、国民生活を脅かすものになるでしょう。大増税の問題点が様々指摘されています。この改革は、市民生活に何をもたらすのか、消費税が増税されれば市民生活はどうなるのか、また伊丹市政への影響はどうかを含め数点市長の見解をお聞きいたします。

 ①問題の第一は、消費税は低所得者ほど負担が重いという逆進性の問題です。

 総務省2009年の対年収消費税率のデーターでは、消費税率5%の下での2人以上世帯で年収200万円では、消費税負担率5,8%です。年収2000万以上では負担率1%です。消費税が、いかに富裕層に軽く、低所得者に重いのかの数字です。不公平な税負担です。ヨーロッパでは食費には消費税は課税されない、医療費が無料に近いという政策がありますが、日本ではそのような対応はされていません。消費税の逆進性は、低所得者ほど家計を切り詰める厳しい生活が強いられます。安心した市民生活がおくれるのか大変不安です。

 消費税の逆進性は、市民生活にどう影響するのかについての市長の見解をお聞きいたします。

 問題の第②として、消費税増税が景気の悪化を招くことに関してですが、出費が多くなれば家計は苦しくなりより消費を控えるようになります。そうなれば消費購買力は抑制され、景気回復にはとうていつながりません。

 1997年に消費税が3%から5%へ引き上げられ、医療費の負担も含め9兆円の負担増が国民に押し付けられた以降、所得も消費も景気も急激に下降してしまいました。

小泉構造改革以降年間給与が200万以下の低所得者の人が急速に増え、2006年以降は1000万人を超えている現状です。その上に、消費税増税と社会保障改悪での負担が20兆円も覆いかぶさります。

 例えば、(大和総研の調査では)40歳未満の単身世帯で税引き前年の収が300万の場合は、今より年11万6300円の負担増となります。同じく500万円の場合は18万8千100円の負担増です。40歳以上で共働き4人世帯で年収800万円では、42万6千7百円の負担増になります。また年金収入の75歳以上の夫婦世帯では、年金収入が350万円あったとしても、消費税増税や年金減額の影響で、年22万7500円の負担増が待ち受けているという調査結果が出ています。

 増税では生活困窮者が増えるばかりで、消費購買力は抑えられますので、景気の悪化になると考えます、暮らしを守り家計を暖めてこそ財政再建も可能になるのではありませんか。

 市長の見解を御伺い致します。

 問題の③点目、大型開発や大企業優遇のために税を使うことが消費税法上も可能になったことについてです。

 消費税増税法案の「付則」には「消費税率の引き上げによる経済への影響を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分するなど、経済の成長等に向けた施策を検討する」が追加されました。消費税増税を推し進めた一つの党は、すでに事前防災のためとして「国土強靭化基本法案」を決め、今後十年間で200兆円規模のインフラ投資が必要としています。また「成長戦略」のために、「法人税の大幅な引き下げ(20%台)などを掲げています。付則に「事前防災」「成長戦略」を入れることで、大企業減税・優遇税制をさらに進めようとしているのではないでしょうか。

 国民には、消費税は社会保障に使うと言って来ましたが、大型開発、大企業優遇税となる制度となっているのではありませんか。この点についてどのような認識をお持ちでしょうか。御伺い致します。

 ④点目は、中小零細企業への影響に関してお伺いします。

 全国商工会議所の石澤義文会長は、6月13日の公聴会で、中小業者の実態を紹介しています。

 「消費税は5%でも価格転嫁ができない。そのために自腹を切るが10%になればさらに苦しくなり経営が成り立たない。」と強調されています。

 福岡県商工団体連合会が、「2012年中小業者経営実態調査結果」を発表しました。その結果、消費税が10%に増税されたら、価格転嫁については「全くできない、部分的にしかできない」と70、3%の回答であり、なかでも料理、飲食関係は84,5%が「転嫁できない」と応えています。「消費者に価格転嫁できない、自腹を切って納税せざるを得ない」と回答し、10%になれば4分の1が廃業すると回答しています。

 この増税で廃業、倒産となる業者も多くなると予測されています。まさに地元商店街が消えてしまいかねません。景気や財政再建にとってもマイナスとなってしまいます。伊丹市内でも売り上げが下がり商売がやっていけないといわれていますが、その影響についてはどのようにお考えでしょうか御伺い致します。

 問題の⑤点目として、「税と社会保障の一体改革」の社会保障の改革についてのセーフティーネットの保障はあるのかです。

 「社会保障制度改革推進法」が、自民党の原案を民主党、公明党が同調し、全くの新法として提出された法律ですが、「推進法」第2条「基本的な考え方」では、社会保障制度の基本として「「自助、自立を基本とし」「共助によって補完」し「自助や共助で対応できない困窮状態にあるときに「公助によって生活を保障する」という順序で図られるべきだとしています。

 「自己責任」の考え方を社会保障の考え方にすえ国が責任を持つものを救貧対策に限定しようというものです。

 このことは、憲法25条で明記されている「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」や「国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなくてはならない」と国の責任を明確にしています。これを投げ捨てようとしているのではないですか。この「推進法案」にそって各種給付の削減が示され、増税が行われ、社会保障の基本が削減さればれ、長引く不況のなかでの多くの失業者、低所得者層のセーフーティーネットの保証はなくなってしまいます。いったいこの先にはいざというときどんな生活が待っているというのでしょうか。

 このような改革、消費税の大増税は中止すべきと考えますが、市民生活を預かる市長のお考えをお聞きします。

2012年6月議会:かしば優美 消費税増税に反対する意見書求める請願 賛成討論

3請願の討論(消費税、緊急事態、県立こども病院)

2012年6月29日
かしば優美 議員

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して上程された請願のうち1号と3号に賛成し、2号には反対の立場から討論を行います。

 はじめに請願第3号「消費税増税に反対する意見書の提出を求める請願」についてであります。

 国会では26日、民主、自民、公明3党は、消費税率を10%に引き上げ、社会保障の大改悪を押し付ける「一体改革」関連法案の衆院本会議採決を強行し、賛成多数で可決しました。3党が密室談合で決めた修正・新法案の八つを、わずか13時間余りの審議で国民の声を聞く公聴会も開かず強行したものです。3党で合意したからと国会会期末にいきなり提出し、国会での審議をほとんど行わずに採決というのは、議会制民主主義を破壊する前代未聞の暴挙であります。またマスコミの世論調査でも消費税増税法案を「今国会で成立させるべきだ」という人は17%にとどまっています。増税法案は国民の意思とかけはなれたものであり、廃案にする以外にありません。

 請願趣旨は「この不況下で増税すれば・・・全国の地域経済は大打撃を受けます。」と述べています。ただでさえ国民の所得も消費も落ち込んでいるときに、13.5兆円もの消費税の大増税をかぶせたら、日本経済の6割を占める個人消費、日本の雇用の7割をささえる中小企業に大打撃を与えます。そんなことをすれば、日本経済をどん底に突き落とすことは火を見るよりも明らかです。

 また消費税をいくらふやしても、経済が悪くなれば財政は悪化するばかりです。

 1997年に自民党・橋本内閣が消費税を5%に引き上げましたが、その影響による景気の悪化と大企業・大金持ち減税によって税収は逆に14兆円も減り、逆に借金は増えました。このように、“消費税頼み”の道では未来がありません。

 日本共産党は消費税に頼らない別の道を提案しています。それは二つの改革を同時並行で進めることにより、財政危機からぬけだすことができるという内容です。

 一つは、聖域のないムダの削減です。民主党の「事業仕分け」には、さまざまな「聖域」があり、財源はほとんど生まれませんでした。ダム建設など不要不急の大型公共事業の見直し、米軍思いやり予算など軍事費の削減、原発推進予算の大幅削減などムダと浪費にメスをいれることです。また財政危機のもとでも、富裕層や大企業には減税がくりかえされてきました。 所得が1億円をこえると税負担が軽くなる 大企業は手厚い優遇税制で実質税負担は10%台――こんな不公平をただし、税制の本来のあり方を取り戻すことです。

 もう一つは、「所得をふやして経済を立て直す」ことです。国民の所得がへり、経済成長も止まったままでは、社会保障の財源づくりも財政危機の打開もできません。経済が冷えこんでいるのは、国民が生み出した富が大企業の内部に溜め込まれ“死に金”になっているからです。いま必要なのは、国民のくらしと権利を守るル-ルをつくり国民の所得をふやす経済改革です。この改革により大企業の260兆円もの内部留保を、日本経済を成長させるために使うことが可能となります。税収を増やし社会保障の財源をつくることも、財政危機を打開する道もひらくことができます。

 以上、“消費税に頼らない別の道”を述べましたが、「消費税は社会保障や財政再建の財源としてふさわしくない」とする願意は妥当であり、よって請願第3号に賛成するものです。

 なお請願第1号「県立こども病院のポ-トアイランドへの移転計画の中止を求める意見書提出についての請願」に賛成し、請願第2号「『緊急事態基本法』の早期制定を求める意見書提出に関する請願」に反対する理由は、さきほど意見書案の討論で述べたとおりであります。

 以上議員各位のご賛同をお願いし討論とします。

伊丹市会報告2012年春季号 ストップ 消費税10% / 2・3月定例市議会

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社会保障 財政危機 消費税に頼らず財源をつくれます

2・3月定例市議会 市民の願い届け、実現!

伊丹市会報告2012年春季号はこちら(PDFファイル 2.63MB)

【1面】

社会保障 財政危機 消費税に頼らず財源をつくれます

ストップ 消費税10%  市長に日本共産党提言の見解を問う

 民主党野田政権は、「社会保障と税の一体改革」と称して、消費税10%への増税案を国会に提出。国民の中から「こんな時期になぜ消費税増税か」と怒りの声が上がっています。日本共産党議員団は、3月議会の代表質問で、党が発表した「消費税大増税ストップ!社会保障充実、財政危機打開の提言」を紹介し、市長の見解をただしました。

大増税しながら、社会保障は切り捨て

▼日本経済をどん底に、財政破綻も一層ひどく

日本共産党はこうして社会保障を充実します

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【2面】

2・3月定例市議会

医療・福祉の負担増・縮減やめ、くらし・福祉まもれと要求

 今議会は12年度予算案を中心に審議が行われ、党議員団は市民の切実な要求実現に向け、本会議・予算委員会でくらし・福祉を守れと具体的提案も行いました。なお党議員団は提案された77議案のうち71議案に賛成、6議案に反対しました。

市民の願い届け、実現!

75歳以上の高齢者にも人間ドック助成実現

 国の制度(補助率100%)として後期高齢者医療被保険者にも人間ドック助成制度が実現。助成費用は人間ドック費用の1/3で、上限2万円。

市民病院の機能充実へ

 県指定のがん診療連携拠点病院ならびに地域医療支援病院となり、今年度「内視鏡センター」・「人工関節センター」の設置、「外来化学療法室」の拡充、アレルギー疾患リウマチ科が新設されます。

国保税の引き上げを抑えました

今年度も国保会計に4.25億円繰り入れ実現

 昨年度と同様に、一般会計から国保会計に4億2500万円繰り入れ、国保税の引き上げを抑制。引き続き繰り入れの新たな仕組みを求めました。

議会改革本会議インターネット中継・録画配信導入

 今年度9月議会をめどに、本会議の様子がインターネットで見ることができるようになります。開かれた議会への第一歩ですが、今後も議会改革に向けてがんばります。

介護保険料値上げ! 基準月額4,200円→4,400円

 年金の支給額が年々減らされる中、市は介護保険料の値上げを提案。しかし、保険料のため込み基金が11.4億円、今回その半分しか取り崩しません。党議員団は、基金の大半を使って保険料を抑制することを求めました。

医療費助成制度 県にあわせた改悪でなく充実を

 医療費助成制度が県にあわせて改悪され、所得制限の計算方法の変更で対象者が減少。伊丹市では、重度障害者の2%・60人、子育て家庭では、22,463人のうち4.8%・1,070人が医療費助成の対象から外されます。党議員団は県に追随するのではなく、通院も中学校卒業まで無料にすることを求めました。

個人市民税 3億4,500万円の増税、さらに…

 今年度、年少扶養控除の廃止等によって3億4,500万円の増税、さらに来年度から10年間、個人市民税の均等割りが500円引き上げられ、4,300万円の増税となります。一方、法人税は税率4.5%、1億5,000万円の減税です。

土地信託の破綻 市有地(ネオ伊丹ビル)を処分… 党議員団は賛成

 伊丹市は、旧伊丹市役所跡地(伊丹市中央3丁目)に関して、1989年三菱信託銀行と土地信託契約を締結し、同銀行が貸しビルを建設(借入金23億2千万円)、オフィスビルとして賃貸業を経営してきました。しかし、賃貸料の低下、空き室が生じたことから、借入れ金残約9億円の返済ができなくなり、破綻。市は、その土地・建物を処分し、その金額で借金を清算することを提案。党議員団は、継続しても借入れ金の返済のめどはなく、将来の負担が増加するとして、これに賛成しました。

 土地信託とは、市有地を信託銀行に信託、銀行が市に変わって事業を行い、その成果を信託配当として市が受け取る方法。市が受け取ったのは、その配当と固定資産税等の合計約12億円で、銀行は利息等で約13億円です。当初「民間の営利追求の具とする」と、土地信託に反対したのは党議員団だけでした。

主な議案に対する態度 2012年2・3月議会

2012年3月議会:上原ひでき 代表質問

2012年3月6日
日本共産党伊丹市会議員団 上原ひでき

代表質問要旨

1.市長の情勢認識を問う

1)国民・市民のくらしと民主党野田内閣の「社会保障と税の一体改革」について
 ―日本共産党の提言をもとに、消費税増税と社会保障の「改革」の実態をただす

 内閣府が2月13日に発表した国内総生産(GDP)速報によると、昨年10月から12月期の実質経済成長率は年率で2.3%のマイナスとなりました。内需は年率で0.2%増加し、輸出が年率11.9%の大幅減少となったことが響いています。世界経済危機のもとで、これまでのような輸出依存の経済成長路線にますます展望がなくなりました。

 このもとで、日本経済の低迷と世界経済危機を口実に、大企業は大リストラ攻勢をかけてきています。正規社員から非正規に置き換え、さらに、大規模な非正規切りを進めた自動車や電機などの大手製造業は、国内雇用を破壊し、若者たちから仕事を奪いました。その結果、2011年の雇用者報酬は、10年前に比べて約20兆円減少、労働者賃金は年平均50万円の減少、家計消費も前年比で1.1%減の276兆円となり、相対的貧困率も16%まで上昇し、アメリカに次ぐ貧困大国、年収200万円以下のワーキングプアは1000万人を超え、子育て世帯の貧困化による子どもの貧困の問題、30代から50代の生活保護世帯の増大等々に現れています。一方、資本金10億円以上の大企業の内部留保は、10年前の172兆円から266兆円へと94兆円増やし、株主への配当は3倍以上に増やしています。

 このような景気が落ち込み、格差が拡大する中、民主党の野田政権は、「社会保障と税の一体改革」と称して、消費税を2015年に10%に増税する法案を成立させようとしています。この消費税第増税計画は、三つの大きな問題点があると思います。

 第1は、ムダづかいを続けたままの大増税であるということです。八ツ場ダムや「1メートル1億円」の東京外郭環状道路などの大型開発の復活、F35を次期戦闘機として買い入れるために1.6兆円の増額、320億円に上る政党助成金は受け取り続け、その一方で、富裕層や大企業には年間1.7兆円もの新たな減税です。

 第2に、社会保障切捨てと一体の大増税だということです。老齢年金、障害者年金の削減、年金の支給開始を68歳から70歳に先延ばし、医療費の窓口負担を増やし、保育への公的責任を投げ捨てる「子ども・子育て新システム」の導入など子どもから高齢者まで負担増と給付削減を行うものです。

 第3に、日本経済をどん底に突き落とし、財政破綻も一層ひどくするものということです。1997年の橋本内閣のとき、消費税5%への増税など9兆円の負担増を強行しましたが、このことで、回復の途上にあった景気をどん底に突き落とし、税収の落ち込みと「景気対策」のための財政支出でわずか4年間に借金が200兆円も増え、財政を破綻させました。今回は、消費税10%への引き上げで13兆円の増税、年金の削減や医療などの保険料値上げによる負担増を合わせて年間20兆円もの負担が増えます。しかも地域経済が深刻な疲弊の下にあるさなかでの大増税であり、国民の暮らしに計り知れない打撃を与え、日本経済をどん底に突き落とし、財政破綻を一層ひどくすることになります。また、東日本大震災での普及・復興に逆行することにもなります。

 日本共産党は、このような消費税の大増税に断固として反対を貫きます。同時に、消費税の増税なしに、どうやって社会保障の再生・充実と、財政危機打開を進めるのか、具体的な提案を行いました。

 その考え方は、社会保障の段階的な充実と国民所得を増やす経済改革という日本の柱を同時並行的に進めていくということです。第1段階は、小泉「構造改革」以降の改悪によってゆがめられた社会保障を再生するもので、例えば医療費では、子どもは無料、現役は2割、高齢者は1割に、年金削減策の中止、特養ホーム・保育所の待機者をゼロに、国保税の国の責任による一人1万円の引き下げなどで、その財源は、大型事業や原発推進費、政党助成金などの歳出の無駄の削減で3.5兆円、証券税制強化や最高税率の引き上げ、「富裕税」、「為替投機課税」「環境税」の創設など歳入の確保で8兆円から11兆円を見込んでいます。第2段階は、ヨーロッパ並みの先進水準の社会保障を確立するため、最低保障年金制度の確立、医療費の窓口負担の無料化、介護の利用料ゼロなどで、財源は、累進課税を強化して所得税の抜本改革を行うなどで6兆円以上を見込んでいます。同時に、国民の所得を増やして税収増を確保するため、人間らしく働ける労働のルールをつくり、中小企業への本格的な振興策強化等を行うものです。このようにすれば、社会保障を充実させ、財政再建も可能と考えるものです。

 市長にはあらかじめ日本共産党の「提言」をお渡ししています。市長は、社会保障切り捨て、消費税増税の「一体改革」をどうのようにお考えなのか、日本共産党の「提言」に対する見解もあわせて伺うものです。

2)伊丹市の財政と政府の地方財政計画(地方交付税)について

 2012年度の一般会計予算は、660億円で、前年対比6.1%の増としていますが、借換債や第3セクター関係費用を除くと601億円で、3.4%の減とするものです。そのうち、個人市民税では市民に対して年少扶養控除の廃止や特定扶養控除の縮小、均等割り税率の引き上げ等によって約5億円の増税となりながらも、前年対比で3億1600万円の増でしかなく、法人市民税と償却資産税とともに、リーマンショック前と比べて約29億円の減少のままとなっています。市民のくらしや中小零細業者の営業は依然として厳しい状況が続くことが予想され、このことから伊丹市においては、一層暮らしを守る施策が求められることになります。

 一方、前年比で市税が約2億4000万円減少し、扶助費が約3億円増となっているにもかかわらず、普通交付税は実質前年とほぼ同額となっています。社会保障関係経費は自然増だけでも大きく増額しているにもかかわらず、なぜ前年対比で実質同額の普通交付税の予算なのでしょうか。地方財政計画においても、普通交付税はほぼ前年と同額です。しかし、社会保障関係費は、自然増における地方負担分だけで7715億円増加しており、「子どものための手当て」の地方負担増加額などを加えると1兆円以上の増となるものです。地方財政計画で、社会保障関係費を確保したとされていますが、結局給与関係費と投資的経費を削減しつじつまを合わせただけではないかと思います。給与関係費では、政府の「集中プラン」で大幅削減を誘導し、地方ではこれ以上減らすことができないところにあります。このような財政計画を見る限り、一般財源は総額確保したとはいえ、実際には歳出削減路線を伴っています。小泉内閣による地方交付税の大幅削減はまだまだ回復できていません。

 このような政府による歳出削減策は、伊丹市の財政に大きく影響していると考えるものですが、市長は来年度の地方交付税のあり方をどのように評価しているのでしょうか。同時に、地方交付税の「上乗せ」措置が継続された「地域経済基盤強化・雇用等対策費」の地方配分、さらに通常の基準財政需要額の関係費目の単位費用に増額される7550億円に関して、どのように見積もりをたてられたのでしょうか、お伺いします。

2.市民が主体となったまちづくりの実現について

1)参画と協働による市民自治

 市長は施政方針の中で、多様な主体が地域の中で活動し、連携し合える住民自治の仕組みづくりが必要であること、そのために市民と行政が連携し活動する仕組みとなる「協働の指針」を策定すること、PPP(官民共同)基本方針を策定し、「新しい公共」づくりを検討するとされました。

①「協働の指針」について

 地域社会に関して、この間、衝撃的な事件が相次いだことは改めて現代の貧困問題、社会的つながりの問題を考えさせられました。「無縁社会」と名づけられる現代社会は、地縁・血縁というようなつながりの希薄さの中で、多くの人々が孤独の中で生きている現実を露呈させています。これらの状況は、国における社会保障の充実と高齢者を地域のつながりで支える体制の強化、高齢者の力を活かすまちづくりをどのように進めるかが喫緊の課題となっていることを示しています。地域には、自己責任の強調ではなく、多くの人々を包み込み、共同の力で地域問題を解決することができる力量を高めていくことが求められています。そのためには、自治会やコミュニティ組織を基礎にして、子育てサークルなどやボランティア、NPO、民生委員、PTA、子ども会、老人会、各種団体等々などと共同し、高齢者や子ども、障がい者をはじめとして住民の暮らしを守ることと地域をつくることを結び、日常の取り組みを通じて地域力・自治力を蓄積していくことが必要です。これらの多様なまちづくりの主体が、自治体行政活動の公共性を前提として、行政と対等な関係の中で、それぞれの特徴を活かしながら、連携・協力して共通の目標を達成するために力をつくす仕組みをつくることは、住みよい地域づくりに大きく貢献するものと考えます。

 そこでお伺いします。一つは、以上述べたことが「協働の指針」の定義のようなものになると考えますが、当局はその定義に関してどうお考えなのか、見解を伺います。二つに、まちづくり事業制度として事業支援することを考えているのか、さらには地域コミュニティ組織への新たな支援の仕組みをつくろうとされているのでしょうか。三つには、まちづくりを進める組織を支援するための「支援センター」的な組織が必要になるのではないかと考えますが、以上に対する見解を伺います。

②PPP(官民共同)基本方針の策定について

 本来、PPP(官民共同)というものは、例えば水道や交通など従来公営で行ってきた事業に、民間事業者が事業の計画段階から参加して、設備は官が保有したまま、設備投資や運営を民間事業者に任せる民間委託などを含む手法をさしているとされ、PFIよりも幅広い範囲を民間に任せるものとなっています。

 2007年に出された「大阪版PPP改革について」を見ますと、その手法はPFIや市場化テスト、アウトソーシングなどの「民間開放」、地方独立法人化や広告事業、民間との人事交流などの「民間活力の活用」、住民・地域・NPO・企業などとの「協働」の3本柱から成り立っています。伊丹市は「協働の指針」は別につくりますから、大阪版のように全国的に行われているPPPからすると、民間開放と民間活力の活用ということになります。しかし、民間移管等の手法は、政府の自治体調査結果で、「可能な限り民間委託を推進したが、必ずしも経費節減につながっていない」(兵庫県・猪名川町)、「指定管理者制度の活用により、多くの施設で指定管理者が導入されたが、評価方法などが確立されていないため、本当に行政サービス水準の維持・向上、業務の効率化につながっているか不明である」(山口県・宇部市)などの意見があるとおり、反省の声が上がっています。PFIに関しても、近江八幡市立総合医療センター等の破綻で明らかになったとおり、民間事業者の利益が優先される、高金利負担となる、いつ発生するか分からない修繕費用の前倒し支払い、中間業者が介在するというPFIの制度的欠陥性などが問題となっています。

 伊丹市は、PPP基本方針策定において、何をされようとしているのでしょうか。お伺いします。

3.介護保険事業計画について

1)介護保険料について

 議案第60号「伊丹市介護保険条例の一部を改正する条例の制定について」において、介護保険料の基準額を月額4200円から4400円に改めるとともに、保険料段階区分を10区分から12区分に見直そうとしています。この改定によって、年金収入300万円の人には、年間6万6000円、月額5500円の保険料がかかってきます。今でも国保も介護保険料の高いとの声が出ているのはご承知のとおりです。

①伊丹市の準備基金の取り崩しはなぜ50%か

 伊丹市の介護保険財政には、2011年度末に介護給付等準備基金積立金が11億4500万円あります。そのうち、今回の改定で5億7100万円を取り崩し、基準額の月額367円の軽減を図ったとされました。残り半額は基金として残し、第6期の計画で保険料軽減に使うとのことです。

 しかし、第3期が終わった2008年度末には8億6100万円の基金があり、そのうち4期分として約30%の2億6200万円を取り崩し、前期計画比で400円の引き下げを行いました。そのとき、約6億円の基金を残したのは、5期目の保険料は4200円を維持するとの説明がありました。しかも、今回取り崩した5億7100万円は、4期目の計画期間に積み立てた基金であり、3期目の計画期間の基金残約6億円は残したままとなります。なぜ基金を6億円残さなければならないのか、5期計画期間の保険料を4200円に据え置くという約束はどうなったのか、説明をお願いしたいと思います。

②県の財政安定化基金の取り崩しにおける県・国拠出分はどうしたのか

 兵庫県は、介護保険財政安定化基金の第4期末残高121億6200万円のうち、72億4300万円を取り崩し、市町拠出分3分の1の24億1400万円を各市町に保険料軽減交付金として交付するとし、伊丹市の場合、50円の軽減となるとされています。一方、県の拠出金は保険料の軽減に使わないと決めたそうです。しかし厚生労働省の見解では、その使途として保険料軽減のための市町村に対して交付すことは可能とされています。この点では、兵庫県下28市12町の民生主管局部課長・理事一同名で、兵庫県拠出分相当の取り崩し額について、第5期介護保険料の上昇に直接活用できるよう対応をお願いしたい、との緊急要望を、1月23日に提出されています。なぜ兵庫県はこの全市町の要望にこたえなかったのか。さらに、国拠出分に関しても、都道府県には保険料軽減に使えるといっておきながら、なぜ国は保険料軽減に使わなかったのか、伊丹市として、国に対する要望は行ったのか、その理由・その使途についてもお伺いします。

2)施設介護の遅れをどうするのか

 私は昨年の3月議会の代表質問で、介護施設の建設は常に後追いで、待機者は減少しないのではないか、家族の介護を軽減し、社会的介護の仕組みをつくるのが介護保険制度であることから、第5期介護保険計画は、この立場から安心できる計画をつくるべきとただしました。

 答弁では、第4期の計画期間に計画している施設の開設の見込みが立っており、待機期間の縮小を図ることができる、認知症グループホームや介護老人保健施設の待機者も一定の解消が図られること、さらに、24時間365日対応の定期巡回・随時対応サービス等新たな制度の検討がされていることから、在宅と施設サービスの割合等を検討して第5期の計画をつくる、とされました。

 しかし、現在特別養護老人ホーム等の待機者は、昨年6月現在で緊急性の高い待機者が184人。そうでない人を含めて400名を超えます。今後、第5次介護保険計画の中で、小規模特養と認知症グループホームをそれぞれ3ヶ所ずつつくろうとされていますが、毎年増え続ける待機者に対応できるでしょうか。もちろん、住み慣れたところで暮らし続けたいという高齢者の願いはありますから、居宅介護の充実を行いながら、せめて中規模程度の特別養護老人ホームは必要だと考えます。見解をお伺いします。

4.障がい者福祉について

1)国の総合福祉法制定状況における問題

 政府の障がい者制度改革推進会議・総合福祉部会が2月8日開かれ、厚生労働省は自立支援法に変わる法案の概要を示しました。しかし、その法案概要に、障がい者が怒りの声を上げています。「総合福祉部会」が取りまとめた「骨格提言」は、障害者権利条約と「基本合意」を踏まえ、障がいのない市民との平等と公平、すべての障がい者を対象にした施策の充実、OECD諸国並みの安定した障がい者福祉予算の確保などを柱にし、障がいに伴う必要な支援は原則無料を打ち出していました。しかし法案概要は、利用料の原則無償化を見送り、対象とする難病の拡大も一部にとどめました。「提言」が廃止を求めていた「障害程度区分」も盛り込んでいます。このような障がい者・家族の創意を無視した姿勢は許されるものではありません。

 伊丹市議会も昨年12月議会で、「総合福祉法」は「骨格提言」を尊重したものにすることを求める意見書を全会一致で採択し、意見書を国に送付しました。伊丹市当局の答弁でも、当然「骨格提言」が尊重されるべきものと考えている、本市としては障害者福祉制度改革の目標達成が、本市のまちづくりの基本目標達成と将来像へとつながっていくものと認識しているとされました。

 市長は、今回の厚生労働省の法案概要についてどのような認識をもっておられるのでしょうか、お伺いします。

2)災害と障がい者支援について

 東日本大震災では、障がい者や難病患者の救命の困難さが改めて浮き彫りになりました。筋ジストロフィーを患い、人工呼吸器をつけて車椅子生活を送っていた35歳の「佐藤まさあき」さんは、ヘルパーの交代時間1時間半の空白時間に地震がおき、近所の親族が助け出そうとしているとき、「もう、あきらめましょう」とつぶやいたのが最後の言葉となってしまったそうです。一方、災害弱者の避難に関して、「被災地障がい者支援センターふくしま」のスタッフが避難所調査をしたところ、避難所にいったものの苛酷な環境に耐えられなかったり、病状を悪化させたりして自宅に戻った人らが目立ち、「思いのほか少なかった」と語っています。

 同「支援センター」代表の白石清治さんは、1月に開催された障がい者制度改革推進会議への提出資料で、東日本大震災における障がい者等「災害時要援護者」に対する取り組みについて教訓を述べておられます。その一つは、避難計画策定や訓練への障害者団体の参画と連携が行われていなかったことで、災害が起こったとき、どうしても障がい者が後回しにされてしまっている。逃げ遅れる障がい者などに重点を置いた避難計画策定委員会を組織してきめ細かく策定する必要があること。安否の確認と支援ニーズの把握に関しては、サービス利用者は事業者が責任を持って行うべきだが、サービスを利用していない障がい者は、行政と民間事業者、民生委員、町内会等の連携によって迅速に行える状況をつくっておく必要があること。また、災害直後における障がい者支援の仕組みのありかたについては、一般の避難所では、車椅子の障がい者は横になって寝ることができない状況があり、駐車場に車を止めて家族と共に避難生活をしているケースがあった。福祉避難所は存在したが、どこにあるのか判らない状況にあった。そのような時、緊急避難時の相談支援体制も、相談支援を行っている事業所が避難していることもあり、緊急に同センターが県の委託を受けて相談支援体制を築くことができたことなどとなっています。

 伊丹市における障がい者等の緊急時における避難体制と避難所はどうなっているのでしょうか。

 NPO法人兵庫県障害者センターが、昨年11月、兵庫県下全市町を対象に「障害者と防災に関するアンケート」を行っています。それによりますと、伊丹市としての問題の一つは、要援護者防災マニュアルを策定する予定なしとされたことです。41市町中回答のあった40市町のうち、伊丹市を含めて5自治体だけでした。今年度中に防災マニュアルを見直す予定とされています。先ほど東日本大震災の教訓を引用しましたが、このことに学び、障がい者等要援護者に対する防災マニュアルを関係者とともにきめ細かく策定する必要があると考えます。また、福祉避難所は指定されていますが、災害の規模にもよりますが、その対象者に対する定員割合は0.02%しかありません。また、障がい者が横になって寝る場所や様々な障害の程度を想定した福祉・医療関係の危惧・備品の確保等福祉避難所の運営マニュアルの作成も必要と考えます。

 以上に対する見解、今後の予定についてお伺いします。

5、国民健康保険事業

1)国保をめぐる国の動向について

 高すぎる国保税を何とかしてほしいという被保険者・国民の声、伊丹市等保険者にとっては一自治体では対応できないという声があります。このことを解決するためには、1984年に国庫負担金を医療費の45%から38.5%に引き下げ、2009年度には24.7%まで下げた改悪措置を元に戻すなど、国の負担割合を増やす以外にありません。

 しかし、民主党政権はこのことに背を向けて、「広域化」の推進を打ち出しました。開会中の国会に提出される国民健康保険等「改正」案では、2015年度から保険財政共同安定化事業の対象医療費を拡大して、国保財政の都道府県単位化を行うとしています。すなわち、現在30万円を超える医療費に関する共同を、すべての医療費に関する共同に変更するというものです。また、財政安定化支援事業については縮小、もしくはなくす方向で検討、伊丹市の場合、2010年度決算で、一般会計から約1億円が繰り入れされています。また、定率国庫負担を34%から32%に引き下げ、都道府県の調整交付金を7%から9%に引き上げて財政運営の都道府県単位化を進めるといっていますが、その財源は年少扶養控除の廃止に伴う地方税の増税分を財源として活用するとしています。このことは明らかに国の負担削減の方向です。

 国は国保財政の運営を「広域化」することだけに奔走し、財政負担を削減しようとしていますが、このことは国保会計に何の改善策にもならず、むしろ国の責任放棄、都道府県丸投げに繋がるもので、被保険者・国民にとってもメリットはありません。市長はこの動きをどう認識されておられるのでしょうか。国の責任放棄に反対すべきと考えますが見解をお伺いします。

2)国保財政の安定化と一般会計からの繰り入れ

 伊丹市の国保財政は、2009年度には約12億円あった赤字が、2011年度決算見込みで約5億6600万円、2012年度予算案で3億6700万円まで減少する見込みとなります。このことは、一般会計から2011年、12年の2年間で8億5000万円の繰り入れを行うことによって成し遂げられるものです。改めて評価をしたいと思います。

 しかし、この間被保険者への負担は低所得者と中間所得者への増税は行わず、限度額のみの引き上げで切り抜けてきましたが、依然として高い国保税には変わりはありません。しかも、来年度、国保会計における一般医療分の赤字は4億円以上の見込みで、後期高齢者支援金と介護2号保険分は単年度赤字が出る見込みとなっています。このまま推移すると、また赤字が膨らみ、国保税の増税へとつながらざるを得ません。

 国の動向は、国保の「広域化」へと進んでいますが、2015年度の国保財政都道府県単位化においても、国保税設定の権限は自治体に残され、一般会計からの法定外繰り入れによる保険税軽減策などは引き続き可能となっています。国に対する国庫負担増額を求めながら、一般会計からの法定外繰り入れルールの改善・増額を行うべきと考えます。その方法は、以前にも述べましたが、現年分の滞納額2分の1の繰り入れを全額繰り入れとする、財政安定化支援繰り入れを一般減免分繰り入れと切り離し別立てとして増額する、さらに一般減免の制度を充実させることも合わせて行うことも求められています。ご見解を伺うものです。

6.子育て支援について

1)「子ども・子育て新システム」の動向について

 民主党政権は、国と自治体が責任を持つ公的保育制度を解体し、保育を保護者と事業者の「契約」で購入するサービスにして、保育の「営利化」「市場化」を進める「子ども・子育て新システム」の関連法案を、今国会に提出する方針です。「社会保障と税の一体改革」のトップに据えられ、待機児童の解消と子育て支援の充実を行うことで、消費税増税の口実に使おうとしています。しかし「新システム」では、待機児童の解消の保障はありません。児童福祉法第24条の自治体の保育実施義務をなくし、保育の提供を事業者にゆだねてしまうためです。また、新設される施設である「総合こども園」(仮称)には、0歳から2歳児の受け入れは義務化されません。しかも、幼稚園と保育所の一体化の展望は示されませんでした。政府が待機児童解消に期待しているのは、これまで認可外施設も一定の基準を満たせば指定が受けられるようにすること、「地域型保育給付」に位置づける予定の定員5人以下の「保育まま」や、空き教室などを利用した「小規模保育サービス」、ベビーシッター型のサービスです。

 これらのことは、従来の保育制度が、認可保育所による保育を基本としてきたことに対して、その原則を覆し、認可保育所外の様々な施設や「多様なサービス」でよいとするものです。保育の密室化、低い保育条件の固定化につながり、子どもへの影響や事故等の増加も懸念されます。また、「新システム」の保育供給にかかわる基準は、こども園と地域型保育、さらには総合こども園のトリプルスタンダードになるのではないかと思います。どの子どもも、一定の基準に基づく施設、集団的で系統的な保育が保証されることが大切ではないでしょうか。一時期、緊急的な対策として、このような方法が活用されることがあっても、格差を固定化させる方向ではなく、国と自治体の責任で、希望する認可外保育所の認可化や保育条件の改善、底上げなどの支援策を進めることこそ必要と考えるものです。

 市長はこのような「新システム」の動向をどのように認識されているのでしょうか、

2)待機児童の解消について

 現在、伊丹における保育所待機児童は、2月1日現在で214人とお聞きしています。この数は、昨年同期とほぼ同じとなっています。この状況から、「育児休業からの復帰期限が迫っているのに入所できない」「働かなければ生活できないのに子供を預けられない」などの声があり、待機児童の問題は、子育て世代のくらしと子どもたちの育ちを脅かしています。年度明けには待機児童は解消するといわれますが、定員を超えた「詰め込み」保育が実態です。

 今まで、民間の認可保育所の誘致等によって一定の定員を増やされてきたことは評価をしていますが、民間任せでは限界があるのではないでしょうか。かといって公立保育所を作れといっても財政上の問題があります。2004年、小泉構造改革で公立保育所への補助金を廃止して一般財源化し、同時に地方交付税を大きく削減したからです。

 したがって、待機児童解消のためには、第1に、国の責任で保育所をつくるという政策を打ち出すこと、そのためには、廃止した公立保育所への国庫補助を復活し、用地取得費の助成制度をつくること、その要求を国に求めるべきですが、見解を伺います。

 第2には、国の第4次補正で「安心こども基金」が1234億円積み増しされたことを利用することです。保育所整備事業については、来年度中に着手し、2013年度に完了が見込まれる場合に助成対象とすることになっていることから、急ぐ必要があります。第3に、未認可保育所で認可を希望されるところへの助成をすることです。以上のことを踏まえて、待機児童解消のための方向についてお伺いします。

7、地域内経済循環に視点を置いた産業活性化の方策について

 伊丹市第5次総合計画では、「にぎわいと活力あふれるまち」の施策目標②「活力ある地域産業の振興と創出」で、「地域内経済循環に視点を置いた産業活性化の方策を検討します」と述べています。この視点から質問をします。

1)公共事業の減少と建設業者への支援策について

 来年度予算の説明の中で、歳出予算のポイントとして「公共事業を縮減する中で市民の安全・安心、子育て支援の予算を積極的に確保する」とされました。もちろん、不要不急の公共事業は必要ありません。しかも伊丹市の行政課題として公共施設に関しては、今後公共施設のマネジメントに基づく修繕等は出てきますが、施設を建設する対象そのものも減少しています。その中で建設業者にとっては、民間需要も減少する中で苦境に立たされているのが現状ではないかと思います。

 一方、伊丹市の産業政策では、商業の活性化や企業立地制度、農業振興策はありますが、建設業者に対する施策は取り立ててありません。このことから、党議員団として何度も住宅リフォーム助成制度創設を提案してきました。しかし当局は、個人財産への助成はできないこと、経済効果はないことを理由に創設しようとしません。いま全国で昨年4月現在330自治体において実施され、その自治体から経済効果は8倍から30倍という報告がなされています。

 そこで、伊丹市は、どの自治体の教訓から経済効果がないと判断されたのか、伊丹市の産業構造の独自性に理由があるのか、改めてお伺いします。また、個人財産への助成は従来から、政府も住宅建設への税制や融資での優遇措置を行い、自動車や電化製品にはエコの名目で補助を実施してきました。ではなぜ景気対策のための助成ができないのか、その理由をお伺いします。

 さらに、産業の振興と創出に関する建設業者への施策についてどのようにお考えなのかお伺いします。

2)TPP(環太平洋連携協定)参加で伊丹の経済はどうなるのか

 民主党野田内閣は、昨年11月の「アジア・太平洋経済協力会議」首脳会議で、TPP交渉に参加するため関係国と協議に入ると表明しました。TPPは、関税を原則完全撤廃し、農産物の輸入を完全に自由化するもので、農林漁業と国民の食料に大打撃となります。さらに、「非関税障壁」撤廃の名の下に、食の安全、医療、金融、保険、官公需、公共事業の発注、労働など、国民生活のあらゆる分野での「規制緩和」をねらうものです。

 農林水産省は、TPP参加による日本経済への影響について試算をしています。そのれによると、農産物の生産減少額は4兆1千億円、食料自給率は40%から14%に、農業の多面的機能の喪失額は3兆7千億円、農業および関連産業への影響は、GDP減少額7兆9千億円、就業機会の減少数は340万人となっています。

 当然伊丹市の農業にも大きな影響があるとともに、関連産業、雇用、食料の安全性にも大きな影響を与えることになると考えます。市長はTPP参加の伊丹市に与える影響をどのように考えているのか、見解をお伺いします。

8.教育について

1)人権教育・啓発推進について

 伊丹市は2010年10月に「伊丹市人権教育・啓発に関する基本方針」を定め、これを推進しています。私は、この年の3月議会で、「基本方針」は必要ないとしながら、つくるとすればとして、次のことを問題としました。

 一つは、「市民は社会福祉基礎構造改革による福祉切り捨て、大企業の横暴とそれを野放しにしてきた政治によって不況、倒産、リストラなど深刻な貧困を押しつけられており、まさに耐えがたい人権侵害を受けているという事実であります。これらの問題解決に「教育・啓発」はどんな役割を果たすのでしょうか」と問題提起しました。

 答弁では、「雇用契約を打ち切られて仕事と住まいを失う労働者が相次ぐなど、格差社会や貧困の実相が浮き彫りになっている。このような状況の中でこそ、市民一人一人の人権意識の向上と、そのために行われる人権教育・啓発の重要性につきましては、どんなに強調しても強調し過ぎることはないものと考えております」とされました。

 では「基本方針」策定以降、格差社会や貧困問題に関して、国家・企業がもたらす人権侵害に対して、どのような人権啓発を行ってこられたのでしょうか。また、答弁では、賃金の未払い、解雇などは専門の相談員が相談に乗っている、とされましたが、相談は人権啓発ではありません。憲法と労働諸法に基づく正しい知識が必要ではないでしょうか。

 二つには、同和行政・教育は必要のない時代になったということを明記すべきであると求めました。答弁では「現在でも偏見や差別意識が解消されているとはいえない中で」必要とのことです。かつての部落差別問題に関して、正しい知識を得るための学習は必要なことでもあります。問題は、伊丹市の同和教育・啓発の出発点が「いまだに差別意識が根深い」という認識にあることです。具体的な差別・人権侵害には正しく対応しなければなりませんが、就職差別や結婚差別はほとんど発生していません。それなのに「差別意識は根深い」ことを強調することは、市民が正しい認識を持つことができなくなるとともに、旧関係住民の気持ちも逆なですることになります。このことは、人権教育指導員に、同和問題に関して、部落解放同盟のメンバーが4人入っていることにも起因します。啓発をするなら、同和問題は解決できること、いまその時代が来ているという展望を市民が認識できるようにすべきです。

 以上2点に対する見解を伺います。

2)学校図書館について

 教育長の提案説明で、学校園において、「ことばと読書を大切にする教育」を推進し、コミュニケーション能力の向上と「ことば」を通して深い思考をめぐらす心豊かな子どもを育むとされました。そのために学校図書館の果たす役割は大きいと思います。

 一つは、図書標準100%を達成することについてです。伊丹市教育委員会の計画では、平成28年度、2016年度にすべての学校で達成するとなっています。国でも、地方交付税措置として昨年度に引き続き200億円が計上され、2016年度をめどに図書標準100%を達成するとされています。「ことば文化都市」を標榜する伊丹市として、達成年度を早め、すべての子どもに平等に豊かな読書活動ができるようにすべきではないでしょうか。

 二つに、国では、同じく地方交付税措置として、新たに学校図書館担当職員の配置に対して150億円が措置されます。伊丹市は、他市に先駆けて全校の学校図書館に読書指導員をすでに配置されています。しかし以前にも指摘しましたが、例えば小学校の場合、5時間の勤務時間が設定されていますが、実際には賃金が発生しない超過勤務時間が相当あるということから、実態を考慮した時間延長が必要ではないかということ、もう一つは、2010年に時間給を10%カットされたということに対して、その役割の重要性からせめて嘱託職員としての身分保障としかるべき報酬の保障をすべきであるということを求めました。この機に実現すべきではないでしょうか。

 地方交付税は補助金とは違うことは承知のうえで、国の政策として打ち出されていることから、二つのことの実現を求めるものですが、見解を伺います。