2015年3月議会:上原ひでき 介護保険条例/介護保険事業予算

議案第56号「伊丹市介護保険条例の一部を改正する条例の制定」並びに議案第15号「平成27年度伊丹市介護保険事業特別会計予算」に対する反対討論

2015年3月26日 日本共産党議員団 上原ひでき議員

 日本共産党議員団を代表して、議題となりました議案の内、議案第56号「伊丹市介護保険条例の一部を改正する条例の制定」並びに議案第15号「平成27年度伊丹市介護保険事業特別会計予算」に対して、いずれも反対の立場から意見を述べます。

 はじめに議案第56号「伊丹市介護保険条例の一部を改正する条例の制定」についてです。

 問題の第1は、保険料率の改定による保険料の値上げの問題です。

 保険料は県下で最低となりました。しかし、基準額は年額1,000円の引き上げ改定であるにもかかわらず、国の段階設定に準拠した結果、従前の基準額に対する保険料率が引きあがり、低所得者である旧「特例3段階」の保険料率0.625が新「2段階」の0.75となることで年額7,400円、旧「第7段階」の1.5が新「第9段階」の1.625になることで年額8,300円、新第6段階、新第7段階もそれぞれ年額5,200円、4,000円と大幅な値上げとなります。党議員団は介護保険料の引き下げを求めてきました。今回介護給付費等準備基金を約半額取り崩し、保険料の上昇を抑制したとされていますが、すべての段階の保険料率を従前どおりにするには、半額取り崩し後の基金残高5億円の内、約2億円で可能であります。

 第2には、国の制度改革によって、介護予防・日常生活支援総合事業が新たに制度化された問題です。

 このことで、要支援1・2に該当する高齢者の場合、基本チェックリストによって介護給付からはずされ、現在の訪問型サービス及び通所型サービスは、「介護予防・生活支援サービス事業」において「自助・互助」で取り組む住民力を活用した事業展開をしていくことになります。この新総合事業への移行で、サービスの担い手が無資格者によるサービスやボランティアに置き換えられ、今までの「命綱」を失うことになりかねません。

 このようなことから全国的には、住民の担い手になるサービスの体制がつくれないことなどによって、来年度施行はわずか7%の114自治体に過ぎません。伊丹市の場合、2017年4月1日からの施行とされ、来年度から新しい枠組みでの事業に移行していく準備をするとされています。介護認定者の内、要支援1・2の人は37%を占めていることから、改めて、要支援該当者のサービス水準を切り崩さないこと、事前のチェックリストによる選別はやめ、申請権の侵害はしないことを求めるものです。

 よって、本条例案に反対とするものです。

 次に、議案第15号「平成27年度伊丹市介護保険事業特別会計予算」についてです。

 本議案の問題の第1は、先ほどの議案第56号で述べたとおり、保険料の値上げを含んだ予算であることです。

 第2に、2017年に介護予防・生活支援サービス事業を導入するとされ、来年度予算のなかでもその準備がされる問題です。この問題も先に述べたとおりです。

 第3に、これまで一律「1割負担」であった利用者負担を、一定以上の所得者の負担を2割に引き上げようとしている問題です。

 このことによって、在宅サービス利用者の16.3%、施設の種類により利用者の5.8%から13.8%の人の負担が一挙に2倍となり、新に5700万円の負担を押し付けることになります。そうなれば、必要であってもサービスが利用できない事態が引き起こされかねません。また、高齢者の暮らしをさらに悪化させることになります。国は、それぞれ上限が決まっているからすべて2倍になるわけではないとしていますが、医療保険の現役並み所得に相当する人がいる世帯は、限度額を3万7,200円から4万4,000円に引き上げることになっており、負担はさらに増えることになります。

 第4に、特別養護老人ホームへの入所者を原則「要介護3」以上に限定する問題です。

 昨年6月現在の待機者は93人で、そのうち要介護1・2の人は9%を占めています。これらの人は、制度上待機者から除外されることになります。厚生労働省は、要介護1・2の人について、「やむを得ない事情」の場合は、市町村の関与の下、特例的に入所を認めるとしています。伊丹市としては、入所申込者の具体的な状況を把握し、申込者の立場に立った「意見表明」をされることを求めるものです。

 第5に、低所得の施設利用者の居住費・食費の補助、すなわち補足給付の削減の問題です。

 このことで、施設利用者は新に3400万円を負担することになります。補足給付が打ち切られれば、食費・部屋代が一挙に全額負担となり、施設利用や短期入所を控えることとになりかねません。

 第6に、介護報酬を全体で2.27%引き下げる問題です。

 今回は介護職員の「処遇改善」加算を含んでいるため、4.48%と過去最大規模の引き下げとなります。特養への基本報酬は個室でマイナス6%弱、相部屋はさらに大幅カットです。すでに特養の3割が赤字という実態が調査結果で判明しているのに、今回の改定でさらに特養が苦境に追い込まれるとともに、特養建設がストップすることも予想されます。また、「在宅」重視といいながら、そのなかで大きな役割を持つデイサービスなどの報酬が5~20%も下がることになります。介護職員の「処遇改善」にしても、報酬全体を引き下げるなかで、改善効果は期待できません。

 以上の理由により、本特別会計予算に反対とするものです。