2012年9月議会代表質問:ひさ村真知子 「税と社会保障の一体改革」は市民生活に何をもたらすのか

2012年9月19日
日本共産党伊丹市会議員団  ひさ村真知子

2012年9月議会 代表質問

  1. 「税と社会保障の一体改革」は市民生活に何をもたらすのか(このぺージ)
  2. 原発再稼動に関しての市長の見解を。
  3. 介護保険施設の充実について
  4. 子どもの権利を保障し守るために
  5. 男女共同参画計画の推進のために
  6. 子ども・子育て新システムについて

 只今議長の発言の許可を頂きましたので私は、日本共産党議員団を代表して質問を行います。

はじめに

1、「税と社会保障の一体改革」は市民生活に何をもたらすのか、消費税が増税されれば市民生活はどうなるのか、また伊丹市政への影響はどうかを市長に伺います。

 消費税大増税に関しては世論調査でも多くの国民の反対の声、不安の声があがっていました。その声を反映し、全国の138自治体で「消費税増税反対」決議や意見書が採択されています。しかし、 野田内閣は、民主、自民、公明党三党で「密室談合」を行い、8月10日「税と社会保障の一体改革法」を国会で可決し、消費税の大増税へと進んでいます。

 2014年4月から消費税率を8%へ引き上げ、翌年2015年には10%に引き揚げるという内容です。消費税増税に国民が納得していないのは法成立後の世論調査でも明らかです。共同通信社の調査は、「反対」が56,1%、賛成が「42,2%」で成立前の55,2%、43,4%とほぼ変わっていません。「読売」新聞の調べで、増税法が成立したことを評価するかという質問でも、「評価しない」が49%「する」の43%を上回っています。NHKの世論調査でも「大いに評価する」は6%、「あまり評価しない」「全く評価しない」は合わせて48%にのぼっています。長期にわたる所得の減少、不況のもとでの大増税は、国民生活を脅かすものになるでしょう。大増税の問題点が様々指摘されています。この改革は、市民生活に何をもたらすのか、消費税が増税されれば市民生活はどうなるのか、また伊丹市政への影響はどうかを含め数点市長の見解をお聞きいたします。

 ①問題の第一は、消費税は低所得者ほど負担が重いという逆進性の問題です。

 総務省2009年の対年収消費税率のデーターでは、消費税率5%の下での2人以上世帯で年収200万円では、消費税負担率5,8%です。年収2000万以上では負担率1%です。消費税が、いかに富裕層に軽く、低所得者に重いのかの数字です。不公平な税負担です。ヨーロッパでは食費には消費税は課税されない、医療費が無料に近いという政策がありますが、日本ではそのような対応はされていません。消費税の逆進性は、低所得者ほど家計を切り詰める厳しい生活が強いられます。安心した市民生活がおくれるのか大変不安です。

 消費税の逆進性は、市民生活にどう影響するのかについての市長の見解をお聞きいたします。

 問題の第②として、消費税増税が景気の悪化を招くことに関してですが、出費が多くなれば家計は苦しくなりより消費を控えるようになります。そうなれば消費購買力は抑制され、景気回復にはとうていつながりません。

 1997年に消費税が3%から5%へ引き上げられ、医療費の負担も含め9兆円の負担増が国民に押し付けられた以降、所得も消費も景気も急激に下降してしまいました。

小泉構造改革以降年間給与が200万以下の低所得者の人が急速に増え、2006年以降は1000万人を超えている現状です。その上に、消費税増税と社会保障改悪での負担が20兆円も覆いかぶさります。

 例えば、(大和総研の調査では)40歳未満の単身世帯で税引き前年の収が300万の場合は、今より年11万6300円の負担増となります。同じく500万円の場合は18万8千100円の負担増です。40歳以上で共働き4人世帯で年収800万円では、42万6千7百円の負担増になります。また年金収入の75歳以上の夫婦世帯では、年金収入が350万円あったとしても、消費税増税や年金減額の影響で、年22万7500円の負担増が待ち受けているという調査結果が出ています。

 増税では生活困窮者が増えるばかりで、消費購買力は抑えられますので、景気の悪化になると考えます、暮らしを守り家計を暖めてこそ財政再建も可能になるのではありませんか。

 市長の見解を御伺い致します。

 問題の③点目、大型開発や大企業優遇のために税を使うことが消費税法上も可能になったことについてです。

 消費税増税法案の「付則」には「消費税率の引き上げによる経済への影響を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分するなど、経済の成長等に向けた施策を検討する」が追加されました。消費税増税を推し進めた一つの党は、すでに事前防災のためとして「国土強靭化基本法案」を決め、今後十年間で200兆円規模のインフラ投資が必要としています。また「成長戦略」のために、「法人税の大幅な引き下げ(20%台)などを掲げています。付則に「事前防災」「成長戦略」を入れることで、大企業減税・優遇税制をさらに進めようとしているのではないでしょうか。

 国民には、消費税は社会保障に使うと言って来ましたが、大型開発、大企業優遇税となる制度となっているのではありませんか。この点についてどのような認識をお持ちでしょうか。御伺い致します。

 ④点目は、中小零細企業への影響に関してお伺いします。

 全国商工会議所の石澤義文会長は、6月13日の公聴会で、中小業者の実態を紹介しています。

 「消費税は5%でも価格転嫁ができない。そのために自腹を切るが10%になればさらに苦しくなり経営が成り立たない。」と強調されています。

 福岡県商工団体連合会が、「2012年中小業者経営実態調査結果」を発表しました。その結果、消費税が10%に増税されたら、価格転嫁については「全くできない、部分的にしかできない」と70、3%の回答であり、なかでも料理、飲食関係は84,5%が「転嫁できない」と応えています。「消費者に価格転嫁できない、自腹を切って納税せざるを得ない」と回答し、10%になれば4分の1が廃業すると回答しています。

 この増税で廃業、倒産となる業者も多くなると予測されています。まさに地元商店街が消えてしまいかねません。景気や財政再建にとってもマイナスとなってしまいます。伊丹市内でも売り上げが下がり商売がやっていけないといわれていますが、その影響についてはどのようにお考えでしょうか御伺い致します。

 問題の⑤点目として、「税と社会保障の一体改革」の社会保障の改革についてのセーフティーネットの保障はあるのかです。

 「社会保障制度改革推進法」が、自民党の原案を民主党、公明党が同調し、全くの新法として提出された法律ですが、「推進法」第2条「基本的な考え方」では、社会保障制度の基本として「「自助、自立を基本とし」「共助によって補完」し「自助や共助で対応できない困窮状態にあるときに「公助によって生活を保障する」という順序で図られるべきだとしています。

 「自己責任」の考え方を社会保障の考え方にすえ国が責任を持つものを救貧対策に限定しようというものです。

 このことは、憲法25条で明記されている「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」や「国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなくてはならない」と国の責任を明確にしています。これを投げ捨てようとしているのではないですか。この「推進法案」にそって各種給付の削減が示され、増税が行われ、社会保障の基本が削減さればれ、長引く不況のなかでの多くの失業者、低所得者層のセーフーティーネットの保証はなくなってしまいます。いったいこの先にはいざというときどんな生活が待っているというのでしょうか。

 このような改革、消費税の大増税は中止すべきと考えますが、市民生活を預かる市長のお考えをお聞きします。