2020年9月議会報告

2020年9月議会報告

日本共産党伊丹市議会議員団

1.提案された主な議案

一般会計補正予算(賛成

(コロナ関連)
○医療機関、福祉施設での簡易陰圧テントや除菌装置、マスク、消毒液の購入。
○感染症対応従事者への慰労金の支給…市立伊丹病院、休日応急診療所など。
○市バスへの抗菌・抗ウイルス対策

(その他)
○新庁舎整備事業において詳細設計や市民団体との協議の結果、「低層棟の基礎免震化」や「障がい者対応の充実」などの設計変更を行う。約5億円。
○認定こども園(南西部こども園)整備事業
○防災のIT化…無料通信アプリLINE(ライン)を活用し、迅速な避難支援等を行う。

追加補正予算(賛成

○季節性インフルエンザ予防接種…65歳以上無料化(通常自己負担は1,500円)
 阪神間では伊丹市のみ。

条例等(反対した議案

●第6次伊丹市総合計画基本構想及び基本計画
●伊丹市立児童会館の指定管理者の指定…シダックス大新東ヒューマンサービス(株)に。

2.提出された請願

(会派名の下線部分は討論をした会派)

国に対し「再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を求める意見書」の提出を求める請願(日本国民救援会伊丹支部/紹介議員―日本共産党議員団

(結果) 賛成(9人)…日本共産党議員団討論内容はこちら)、フォーラム伊丹、小西議員
     反対(17人)…新政会、公明党、創政会、斎藤議員
     退席(1人)…高塚議員

幼保無償化から除外された外国人学校幼稚園に救済措置を求める請願(学校法人兵庫朝鮮学園、伊丹朝鮮初級学校/紹介議員―日本共産党、フォーラム伊丹、公明党、小西議員)

(結果) 賛成(15人)…日本共産党議員団討論内容はこちら)、フォーラム伊丹、公明党、小西議員
    反対(12人)…新政会、創政会、斎藤議員

3.2019年度決算に対する態度

○一般会計決算…認定に同意できない(ひさ村議員討論 討論内容はこちら

○病院、水道、工業用水道、下水道のそれぞれの決算に認定できない(消費税転嫁)(上原議員討論 討論内容はこちら

上原秀樹:2020年9月議会本会議 請願第2号(再審法改正)第3号(外国人学校園に救済)に賛成討論

請願第2号 国に対し「刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正を求める意見書」の提出を求める請願、請願第3号 幼保無償化から除外された外国人学校幼稚園に救済措置を求める請願に対する賛成討論

2020年10月5日
日本共産党議員団 上原秀樹

 日本共産党伊丹市議会議員団を代表して、請願第2号及び請願第3号に対して賛成の立場から討論します。

請願第2号 国に対し「刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正を求める意見書」の提出を求める請願

 最初に、請願第2号 国に対し「刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正を求める意見書」の提出を求める請願についてであります。

 本請願は、再審における検察手持ち証拠の全面開示と、再審決定に対する検察の不服申し立て(上訴)の禁止を求めるものです。

 請願の理由にも書かれている通り、再審は、無実の者が救済される最後の砦であり、罪を犯していない人が、犯罪者として法による制裁を受けることは冤罪であります。冤罪は人生を破壊し、人格を否定すると同時に、法制度自体の正当性を失わせるものにほかなりません。冤罪があってはならないものであることは、誰しもが認めるところでありながら後を絶たないのが現実です。

 2010年の足利事件に始まり、布川事件、東電OL事件から、2016年東住吉事件に至るまで、無期という重罰事件の再審無罪が続きました。最近の再審無罪判決では、2003年5月に湖東町の湖東記念病院で、看護助手の西山さんが入院患者の人工呼吸器のチューブを外して殺害されたとされた事件に対し、17年後の2020年3月、2回の再審公判を経て、再審無罪判決を勝ち取った事件がありました。この事件では、当初、1審大津地裁は懲役12年の判決を下し、最高裁まで争いましたが有罪が確定、西山さんは25歳から12年間を刑務所でおくることになりました。2017年12月に大阪高裁で再審開始決定が出されるも、検察が特別抗告、やっと19年3月に最高裁が検察の抗告を棄却して再審が確定、今年3月に無罪となったものです。この事件では、発達障害と軽い知的障害を持つ西山さんに、警察がウソの自白を誘導して書かせ、検察とともに証拠を出さず、一人の女性の人生の一番大事な時期を奪い、冤罪事件として長期化させてきたもので、警察と検察、事実を見極められなかった裁判官の責任は重大です。

 無罪判決を言い渡した裁判長は、西山さんに対し「問われるべきは西山さんのウソではなく、捜査手続きのあり方です」とし、さらに「再審開始決定後、15年後に初めて開示された重要な証拠があります。取り調べや客観証拠の検討、証拠開示、これらが適切に行われていれば、このようなことは起こりませんでした」と述べ、「より良い刑事司法を実現する大きな原動力となる可能性があります」と問題提起されました。

 このように、無罪となった再審事件で、「新証拠」の多くが、実は当初から検察が隠ししていたものであった事実には、心が凍る恐怖を覚えます。無罪証拠が当初から開示されていたら、冤罪は生まれず、当事者の人生は全く別のものになっていたからです。また、再審開始決定に対する検察の即時抗告及び特別抗告による不服申し立て制度がなければ、これほど長期化することにはなりませんでした。この裁判長の問題提起は、まさに本請願の趣旨に合致したものに外なりません。

 したがって、無罪の人を誤った裁判から迅速に救済するためには、再審における検察手持ち証拠を全面開示すること、再審開始決定に対する検察の不服申し立てを禁止することについて、「刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正を求める」ことは含意妥当と考え、賛成とするものです。

幼保無償化から除外された外国人学校幼稚園に救済措置を求める請願

 次に、請願第3号 幼保無償化から除外された外国人学校幼稚園に救済措置を求める請願についてです。

 本請願は、外国人学校、幼稚園を含むすべての子どもが平等に無償で教育を受けることができるよう市として国に対して法整備を進めるように求めるとともに、それが実現するまでの期間、伊丹市が外国人学校幼稚園に通う児童に対して無償化相当となる支援を行うことを求めるものです。

 請願趣旨にも書かれている通り、国は認可外保育施設も含めて様々な形態の教育・保育施設に在籍する3歳~5歳児等の子ども対して教育・保育の無償化を実現しました。しかし、朝鮮学校等外国人学校はその対象から外され、法の趣旨である「すべての子どもが健やかに成長するように支援する」ことが実現できていません。

 各種学校である外国人学校の幼児教育・保育施設に通っている子どもが無償化制度の対象とならない理由に国が挙げている一つは、「幼児教育を含む個別の教育に関する基準とはなっておらず、多種多様な教育を行っており、法律により幼児教育の質が制度的に担保されているとは言えない」とされていることです。

 しかし、運営実態が多種多様であり、質の確保について懸念が指摘されていた認可外保育施設も、改正支援法により新たに無償化制度の対象となったことからすると、教育の多種多様性が、無償化制度の対象となることを否定する合理的理由となり得えません。

 そもそも、「全ての子どもが健やかに成長するように支援する」という支援法の基本理念に照らすならば、外国人学校の幼児教育・保育施設に通っている子どもであっても無償化制度の対象とするのが法の趣旨に適うところであり、外国人学校が各種学校であることを理由に、外国人学校の幼児教育・保育施設に通っている子どもを無償化制度の対象から除外することは、憲法14条「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」、子どもの権利条約2条1項「締約国は、その管轄の下にある児童に対し、児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する」など、憲法と国際条約が禁止する差別的取扱いに該当するおそれがあります。

 従って、外国人学校における幼児教育・保育施設に通う子どもが、他の無償化制度の対象となる施設に通う子どもと同様の支援を受けるための必要な措置が速やかに行われることが必要です。この点では、昨年11月27日に開催された衆議院文部科学委員会において、文部科学大臣は、無償化制度の対象になっていない各種学校を含めたいわゆる幼児教育類似施設が各地域に固有の様々な歴史的な経緯を経て、現在も地域や保護者のニーズに応え重要な役割を果たしていると考えられることから、国と地方が協力した支援の在り方について年内を目途に検討していると答弁しています。しかし検討の内容は見えていません。

 よって、請願項目の1「市として国に対して法整備を進めるよう求める」ことは含意妥当と考えます。

 また、伊丹市においては、その対象となる施設が伊丹朝鮮初級学校です。伊丹市は「歴史的経過」から市内のすべての子どもが等しく幼児期に教育を受けることができるようにと、一定の支援をされていることは評価します。しかし、無償化相当の支援には至っていません。その「歴史的経過」は「伊丹市史」に詳しく記されています。

 なお、外国人学校も認可外施設の申請をすれば無償化はできるとの意見がありますが、東京都内の2つの朝鮮幼稚園が都に認可外保育施設の届け出し、受理されましたが、ところが後日、同課より届出受理は誤りで、取り消したいという連絡がなされたのです。取消の原因は政府方針にある「各種学校は…児童福祉法上、認可外保育施設にも該当しない」というものですが、この理由は法令上の根拠があいまいです。従って、認可外保育施設の届け出は、国の方針が変わらない限り受理されません。

 よって、先ほど述べた通り、国も国と地方が協力した支援の在り方について検討されるとされていることからも、市内の子どもが等しく幼児教育を受けることができるようにするためにも、外国人学校、幼稚園の幼保無償化が適用されるまでの期間、伊丹市が無償化相当の支援をすることを求める請願項目2についても含意妥当と考えるものです。

 議員各位のご賛同をお願いしまして、請願第3号への賛成の意見とします。

久村真知子:2020年9月議会 本会議一般会計決算 認定に同意できない立場からの討論

一般会計決算 本会議  認定に同意できない立場からの討論

2020年10月5日
日本共産党議員団 ひさ村真知子

 ただいま委員長より発言の許可をいただきましたので私は日本共産党議員団を代表して報告第9号令和元年度伊丹市一般会計歳出歳入決算の認定に同意できない立場から討論いたします。

 2019年度は、消費税が10月に10%に増税された年であります。増税の根拠とした毎月勤労統計は、実質賃金はマイナス0.5%であったのを、不正調査を行い、かさ上げされた状況で、消費税引き上げが行われました。その上実質家計消費支出は年額25万円も落ち込んでいる状況でした。安倍政権下での景気判断そのものが誤っており、市民のくらしは一層悪化すると予算審議の時にも指摘してきました。

 実際に市民に与えた影響は、実質GDPは、連続マイナス前期比7.9%に落ち込み、個人消費は前期比8.2%の減、年率28.9%減と落ち込んでいます。そのうえ今年のコロナウイルス感染症の広がりの影響で、雇止めを含む解雇数は6万人と厚生労働省発表は公表しています。

 また、年収200万円以下のワーキングプアーと言われる人については、総務省公表の「労働力調査2019年平均」では、年収が200万に満たない雇用者数は1,874万人であり、全雇用者5,660万人の約33%を占めています。男性より女性の方が多く、非正規職員の割合が影響しているようです。

 市内でも当然、年金生活の高齢者や不安定雇用の市民がその影響を受けて、今後の市民生活はより一層苦しくなります。この様なときこそ伊丹市として、市民の声に耳を傾け、市民生活を守り、福祉や教育の充実のための施策が一層求められます。このような立場から意見を述べます。

① 初めに、市立伊丹病院と近畿中央病院の統合再編の問題です。

 市立病院あり方検討委員会からの報告は市立伊丹病院と近畿中央病院を統合し、高度急性期医療に対応する600床の病院にする方向が出されました。現状より200床減となることや、近畿中央病院が現状のところから移転すること等市民は大きな不安を持ちました。丁寧な説明を行うとされていましたが、市立病院あり方検討委員会は非公開とされるなど住民の安心できる医療体制を十分に説明ができたとは言えません。そのことは、統合再編に反対する署名が1万8000名を超えたことにも現れています。今後は近中跡地に医療機関を誘致されるとともに、新病院の在り方に関しては、専門家や市民の声を聴き、安心できる病院とされることを求めます。

②全国学力テストについてです。

 全国一斉学力テストに参加することによって、結果として平均点を上回ることが教育の基準に置かれています。全国平均を目安にする教育でなく、伊丹での子供たちの学力、育ちに毎日真摯に向き合っている教員の声にしっかりと耳を傾ける教育を行うべきではないでしょうか。
 全国学力テストの参加も、伊丹市独自の学力テストもやめるべきです。

③空港問題についてです

 存続協定には、「環境基準の達成に向けて不断の努力をする」と明記されています。そのため関西エアポートは、低騒音機の導入を行っているが、いまだに環境基準は達成できていません。しかし、市長は、「伊丹空港の安全と環境の確保を前提として国際便の復活」を要望しています。日々環境基準を超える騒音にさらされている地域住民からは、国際便導入等の理解は得られません。

次に要望することについて述べます。

1.公共施設再配置計画に基づく、共同利用センターの今後の在り方についてです

 市長は地域力が大事と言いながら、地域のコミュニティ活動の拠点である共同利用施設の 統合再編を進めています。 共同センターは、災害時の避難所ともなっており、地域の様々な方が趣味の活動等を行い住民のつながりの場となっています。センターの統合再編については、財政上の都合での一方的な説明でなく、地域の声に耳を傾けることが大事ではないでしょうか。今後のコミュニティ活動についての対応策も納得のいくものにすること等、市民の要望に沿うような形にすることが必要と思います。

2.中学卒業までの子ども医療費の無料化について

 兵庫県下では12市町で、高校3年生までの医療費の助成を行い。中学3年生までの無料化は36市町が行っています。子育てには費用がかさみますから、医療費の支援があれば助かるという声も多くなっています。子どもの貧困が問題となっている今の時期に、多くの自治体が行っているように、伊丹市でもせめて義務教育の間の医療費の無料化を実現すべきです。

3. 公立幼稚園の跡地活用と認可保育所の増設について。

 閉園となった公立幼稚園の跡地利用については、子どもたちの公園など子育て世代や地元住民の要望を聞くとともに、認可保育所の増設も含め検討を求めます。

4.平和推進事業について

 戦後75年、二度と戦争はしないと決めた憲法施行から73年の年になりました。しかし安倍内閣は、安保法制すなわち戦争法を作り、日本を戦争できる国つくりへと進めてきました。また唯一の戦争被爆国でありながら、核兵器禁止条約を批准しようとはしません。新内閣はその方針を引き継いでいくと明言しています。しかし、核兵器をなくしてほしいと訴えられている原爆被害者の方々の思いに賛同され、「核兵器禁止条約」に46カ国が批准し、あと4カ国で、条約が発効します。日本非核宣言自治体協議会に加盟している伊丹市として、多くの平和を願う市民との共同で、核兵器禁止条約の批准を国に求めるとともに、戦争体験を地域でしっかりと継承し、憲法にそって平和行政を一層拡充されることを求めます。

5.小中学校での20人程度の少人数学級の実現を。

 伊丹市は小学校4年生まで35人学級ですが、5年生以上は、40人学級です。子どもたちの顔を一人一人見ながら落ち着いた環境で勉強するためには、少人数学級が望ましいと思います。特にコロナ禍での分散登校で改めて、三密を避けることも含めて、少人数学級の必要性が認識されました。子どもたちに目が届き、安全な教室で学習するためには、20人程度の少人数学級を求める声が高まっています。このような中で、文部科学省は、2021年度予算案概算要求に公立小中学校での少人数学級の検討を織り込みました。

 しかし、今回の要求は規模も進め方も記されない「事項要求」となっています。引き続き国に対して強く要望されることを求めます。

 そのほか本会議や委員会で要望しました内容については、是非検討・実施いただくことを求め討論といたします。委員各位のご賛同をお願いいたします。

上原秀樹:2020年9月議会 伊丹市総合計画基本構想・基本計画に反対討論(本会議)

2020年9月議会 本会議

2020年9月23日
日本共産党議員団 上原秀樹

議案第101号 伊丹市総合計画基本構想及び基本計画を定めることに対する反対討論

 議案第101号 伊丹市総合計画基本構想及び基本計画を定めることに対して反対の立場から討論をします。

 本計画は、計画期間を2021年から2028年までの8年間とし、長期的な展望に立った行政運営の基本的な方針である「政策の大綱」と、分野別のまちづくりの「施策」を定める基本計画とによって構成されています。そして本計画でめざす将来像を「人の絆 まちの輝き 未来へつなぐ 伊丹」としています。

 本計画を策定するにあたって、市民アンケートに取り組み、ワークショップや審議会で終始熱心に審議され、そのことを計画に反映されてきたことには敬意を表します。

 それでは要望を踏まえながら、意見を述べます。

 第1に、今後8年間にわたる総合計画を策定するにあたって、市民をめぐる情勢と市民の暮らしの現状をどのように見ているのか、その情勢認識について質すとともに、具体的な施策について質疑をしました。

 この間、安倍政権による「アベノミクス」経済政策は大胆な金融緩和などで大企業や富裕層をもうけさせる一方で、2度にわたる消費税増税や社会保障費削減で国民に負担を押しつけ、貧困と格差を拡大させてきました。消費税10%増税後、実質GDPは3期連続のマイナス、20年4月から6月期は前期比7.9%、年率換算で28.1%の下落を記録、個人消費は前期比8.2%、年率28.9%減と劇的に落ち込みました。また、2019年の労働力調査によれば働いている人の3分の1がワーキンプア層とみられ、非正規労働者が4割近くを占め、その多くを女性が占めているという現実が明らかになっています。そしてコロナ禍の中で、さらに市民の暮らしが大きく圧迫されています。

 答弁では、将来にわたって持続的なまちづくりを実現するために、市民に参画と協働、行政サービスのデジタル化等を進めながら、市民サービスの質の維持・向上を図ること等で、市民の暮らしや中小企業・事業者への支援の具体的なイメージの答弁は得られませんでした。

 来年度からの4年間の実施計画と来年度予算の中で、引き続き検査体制の充実等コロナ感染対策とともにコロナ禍での暮らしと事業を支援する施策を実施されること、給与の削減や派遣切りが広がる中で、市民の生活を応援し、国民健康保険における多子世帯減免や学校給食への助成等、市民の負担を軽減するなど具体的な対策を要望しておきます。

 第2に、「幼児教育・保育」についてです。

 公立幼稚園・保育所の統合再編で、統合前のこども園を含む17園から9園1分園の10施設にしようとされています。再編の時には、幼稚園では子どもたちが切磋琢磨して育つために、1クラス25人以上、複数クラスが必要というのが再編の理由でした。しかし、3歳児は定員を20人としたうえで、ほとんどの施設で複数クラスはなくなりつつあります。すべての施設で3歳児保育を実施されたことは評価をしますが、3歳児の入園児を1園20人定員としたことで、当初の再編の目的とされたことが達成できる展望はないと思います。質疑では、その展望を描くべきと質しましたが、明確な答弁はありませんでした。一定の信頼を得ている公立園を、これ以上の再編ではなく、どう維持発展させていくのかという立場で検討を求めるものです。

 第3に、「空港との共生」についてです。

 計画の中で、「大阪空港においては、国際便や長距離国内便の就航が規制されている」として「国際便や長距離便などを国や空港運営権者に求める」とされています。しかし大阪空港においては航空機に係る環境基準が達成されていないもとではこのことを求める必要はないと、審議会でも意見が出ていました。「安全確保と環境対策を前提とする」とされていることに関して、現在の時間規制と発着回数の見直しの要求の有無、その「環境対策の前提」とは環境基準の達成なのかどうかを質しました。答弁での、空港の運用時間と発着回数の見直しは要求していないことは良としながらも、環境基準の達成に向けた不断の努力を求めながら、騒音総量の拡大につながらないことを前提に、国際便や長距離国内便の規制緩和を要求するとされたことは問題です。

 第4に、「都市計画・住環境」についてです。

 伊丹市は、昨年度、「市営住宅等整備計画」で、市営住宅の戸数を200戸減らし、建て替えはしないという計画を決めました。そしてこの総合計画でもこの計画を踏襲しています。質疑の中で、貧困と格差が拡大し、年金が減らされ、若年層と女性の非正規労働の増加によって年収が減少し続ける中で、低廉な住宅が必要とされているのではなかという認識のもとに、改めて総合計画策定の中で、市営住宅の必要性、市営住宅の現状と課題について検討されたのかお聞きしました。しかし、答弁では、検討はされていないということです。200戸の戸数減で大丈夫なのか、民間住宅に依存する方向が妥当なのかなどを鑑みるに、この計画には問題があると考えざるをえません。

 併せて、市営住宅の指定管理はやめ、直営に戻すことを求めます。

 第5に、人権に関する問題です。

 この6次総合計画における人権のとらえ方の多くが、市民間の差別と偏見の問題としてとらえられていると受け止めざるを得ない側面があります。もちろん、差別と偏見の解消は必要です。しかし、憲法に規定されている基本的人権は、生命、自由及び幸福追求に対する権利、生存権、教育を受ける権利、勤労の権利、団結権、財産権等、さまざまな分野に及んでおり、国民はこれらすべての基本的人権の共有を妨げられないとされているとおりです。この憲法に従って基本的人権を保障するために国及び地方自治体は存在するのであり、伊丹市の行政課題はすべて市民の基本的人権を保障するためにあります。このことを来年度以降の実施計画等の中で基本とされますよう求めるものです。また、あらゆる子どもに関する施策に、「子どもの権利条約」を基本にすえられることも求めます。

 第6に、「地域医療」「高齢者福祉」についてです。

 この計画の中で、国民健康保険制度、介護保険制度に関する取り組みの方向性が、「制度の安定的な維持・運営に取り組む」とだけ記述されている問題です。国民健康保険法ではその目的を「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」とされ、介護保険法では、要介護となった人が「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う」ことを目的としています。もちろん制度の安定的な維持・運営は大切ですが、計画の中で、制度そのものの目的を明確にし、その目的に沿った市独自の施策を打ち出すべきと考えます。

 第7に、「行財政運営」についてです。

 基本方針に書かれている通り「安定した行財政運営が持続する」ことは必要です。しかし、以前の小泉改革の「三位一体改革」で地方財源が大幅に削減され、いまだにそれが完全に復活できていないばかりか、安倍政権においては、地方交付税において「インセンティブ条項」を設けるなどによって地方の行財政運営を誘導するとともに、地方交付税の縮小を図り、社会保障財源も削減しているのが現状です。その上に少子高齢化や非正規労働の増加によって税収の大幅な増加が見込めない中で、地方財政は様々な工夫をしなければならない状況にあります。これらはすべて国の責任が大きいことは言うまでもありません。この中でどのようにして地方自治体の目的である住民の福祉を増進させるのかが問われます。

 国に対して、伊丹市にとって住民の福祉を増進するにたる地方財源の確保を求めるとともに、計画に書かれている「選択と集中による事業の精査」の考え方は、市民や地域の声を聞き、これに応えることを基本とされること、さらに、老朽化が課題となっている公共施設等について、住民の利益に反する統廃合ではなく、住民合意のもとでの維持・管理・更新への対策を行うこととともに、市営住宅、子ども・教育施設の指定管理・民営化はやめることを求めます。

 第8に、新型コロナウイルス等新たな感染症対策についてです。

 現在のコロナ対策も今後の新たな感染対策に関しても、教育のところで質疑をしました。答弁では、計画全体にかかわることとして、「計画策定にあたって」のところに書かれているとされ、そこでは「感染症の発生は、社会全体に甚大な影響を及ぼすことから、その対策への関心が高まっています」と書かれています。社会全体への影響のみならず、人との命にかかわる問題です。今までの新型コロナ感染対策を教訓すれば、なによりもPCR検査等の検査体制の脆弱さです。保健所を自治体に1か所以上の増設、新たな市立伊丹病院における感染対策の強化、他の医療機関との連携等地域医療の充実などが必要です。また、自粛と補償の問題、一斉休校と学校行事の中止の問題と少人数学級の必要性等、様々な教訓をくみ取り、今後8年間の計画の中で実施していただきたいと思います。

 以上、第6次総合計画の策定にあたって、要望も踏まえながらの反対の立場からの意見とします。

「伊丹市同性パートナーシップ宣誓制度」始まります

伊丹市でも「伊丹市同性パートナーシップ宣誓制度」始まります。
2020 年5 月15 日スタート。

詳細は下記のとおりです。

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 性自認が戸籍の性と異なったり性的指向が異性に限らない、いわゆる性的マイノリティの人が、同性の相手と、互いに人生のパートナーとなっても、現在の法律では、結婚はできません。

 そのため、周りの人に、自分とパートナーとの絆を認めてもらう方法がなく、同性カップルの人は、苦しんでいます。

 伊丹市では、誰もが互いの多様性を認め合う、共に生きる社会を目指し、このような性的マイノリティの人の不安を少しでも解消し、安心して暮らしてもらえるよう、同性パートナーシップ宣誓制度を開始します。

パートナーシップ宣誓制度とは・・・

 互いを人生のパートナ ーとして、協力し合い、支え合うことを市長に宣誓した同性カップルに対し、市長が、これを証して、受領証をお渡しするものです。

 同性カップルの人は、病院での面会や治療、住宅入居を始め、パートナー、家族としての関係が求められる様々な場面で、この受領証の提示により、夫婦と同様の関係性を理解されやすくなります。

pdfアイコン(チラシ)「伊丹市同性パートナーシップ宣誓制度」始まります

以下は、チラシの画像です、

伊丹市同性パートナーシップ宣誓制度-表

伊丹市同性パートナーシップ宣誓制度-裏

2020年3月議会 上原秀樹:『選択的夫婦別姓の導入』請願賛成討論

2020年3月議会 本会議

請願第1号『選択的夫婦別姓の導入の一日も早い民法改正』を国に求める意見書の提出を求める請願への賛成討論

日本共産党伊丹市議会議員団 上原秀樹

 日本共産党議員団を代表して、議題となりました、請願第1号「『選択的夫婦別姓の導入の一日も早い民法改正』を国に求める意見書の提出を求める請願」に対して賛成の立場から討論します。

 本請願は、選択的夫婦別姓制度導入に関し、世論調査でも賛成が7割を占め、国連女性差別撤廃委員会からも再三の勧告を受けていることや日本国憲法上の要請からも、一日も早い民法の改正を国に求める意見書の提出を求めています。

 日本共産党は、すでに1987年から、希望すれば別姓を名のることができるように民法改正を政府に求めるとともに、民法の一部を改正する法律大綱も提案してきました。そして、1996年2月の法制審議会総会の決定事項には、民法第750条の改正、すなわち選択的夫婦別姓制度を含む民法の一部を改正する法律案要綱が盛り込まれました。その後24年間、歴代政権はこの答申に基づく民法の一部改正を、国会に上程してきませんでした。

 しかし、今日、日本社会の中に「別姓を望む人に選択の自由を与えてもよい」という合意が形成されてきています。2017年の内閣府の調査では、選択的夫婦別姓のために法律を変えても構わないが42.5%、反対が29.3%となっていました。ところが、今年1月25、26日に朝日新聞社が実施した全国世論調査では、選択的夫婦別姓について、69%が「賛成」と答え、「反対」24%を大きく上回っています。自民支持層でも63%が賛成し、反対は31%と、大きく国民の考え方が変わっています。

 一方、2015年12月の最高裁判所大法廷は、夫婦同氏の強制を定める民法第750条は、憲法に違反するものではないと判断しました。その理由は、婚姻の際の「氏の変更を強制されない自由」は憲法上保障されていないこと、個人の尊厳と両性の本質的平等という憲法第24条の要請に照らして夫婦同氏の強制が合理性を欠くとは認められないなどがあげられました。

 しかし、1996年2月の法制審議会答申の民法改正案作成に関わった、元法務省民事局参事官で弁護士の小池信行氏は、91年から5年間、各界からの3回に及ぶ意見聴取の結果、民法を改正して選択制夫婦別姓制度を正面から採用するに至った経過を述べています。それは、「姓は人が個人として尊重される基礎であり、個人の人格の一部である」「婚姻によって姓を改めなければならないとすることは人格権の侵害につながる」というのが最も多かったと言われています。

 2015年の最高裁大法廷判決においても、5名の裁判官が、民法第750条は憲法第24条に違反するとの意見を述べています。そのうちの一人の女性裁判官は、夫婦同氏の強制によって個人識別機能に対する支障や自己喪失感等の負担がほぼ妻に生じていることを指摘し、その要因として、女性の社会的経済的な立場の弱さや家庭生活における立場の弱さと、事実上の圧力など様々なものがあることに触れており、夫婦同氏の強制が個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚した制度とはいえないと説示しています。

 当時の日本弁護士連合会の菊池会長は、会長声明で次のようにの寝ています。「民法第750条は、憲法第13条及び同第24条が保障する個人の尊厳、同第24条及び同第13条が保障する婚姻の自由、同第14条及び同第24条が保障する平等権を侵害し、女性差別撤廃条約第16条第1項(b)が保障する「自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする同一の権利」及び同項(g)が保障する「夫及び妻の同一の個人的権利」にも反するものである」と。私はこの考えに賛同します。

 最高裁判所判決は、民法第750条は憲法に違反しないとしましたが、一方では国での議論を促しています。このことは、5人の裁判官が「憲法に違反する」との意見を表明されたことや、女性差別撤廃条約等国際的な人権尊重の考え方への認識の発展があったことによるものです。選択的夫婦別姓によって誰も不利益を受ける人はいません。

 さらに、請願趣旨にも書かれている通り、2015年の政府答弁では、世界で夫婦同姓を法律で義務付けている国は日本がけであり、国連女性差別撤廃委員会が繰り返し、同姓強要は「条約違反」として、法改正を勧告していることからも、国は、別姓を選択する自由を認める選択的夫婦別姓制度の導入を求める声に応えるべきです。

 よって、請願の含意は妥当と考え、賛成とするものです。
 議員各位のご賛同をお願いしまして、請願への賛成の立場からの討論とします。

2020年3月議会 上原ひでき:代表質問の予定内容(3月4日)

3月4日の上原秀樹議員 代表質問の予定

2020年2月28日
伊丹市議会議員  上原 秀樹

1.市長の情勢認識と対応について

1)消費税増税の影響と国民の暮らしについて
2)安倍政権による「全世代型社会保障改革」について
3)核兵器禁止条約の批准を、市民あげて国に求めよう

2.市立伊丹病院と近畿中央病院の統合再編について

1)回復期病床をどうするか
 伊丹市として具体的にどのようにして病院を誘致しようとお考えなのか、改めてお聞きする。

2)市内南部、尼崎市北部からの交通アクセスについて
 近畿中央病院に通院・入院されている人からの調査が必要だが、どう調査するのか。同病院の周辺住民への説明も必要と考えるが、見解を聞く。

3)医師会等との連携について
「保健医療分野」を独立させ、地域医療に関して具体的な計画として市民に示す必要があると考えるが、見解を聞く。

3.新型コロナウイルス対策について

4.子ども・子育て施策について

1)公立幼稚園の3歳児全員入園の状況と今後の公立幼稚園のあり方について
2)保育所3歳から5歳児の副食費に補助制度をつくることについて

5.公立学校における1年単位の変形労働時間制について

 教育委員会の「変型制」に対する見解を改めてお聞きするとともに、伊丹市教育委員会として今後どのような方法で学校、教員の意向を調査されるのか、また兵庫県教育委員会の考え方についてもお聞きする。

6.伊丹市営住宅整備計画(案)について

1)市営住宅目標管理戸数を1,700戸と設定することについて
①将来の著しい困窮年収未満の世帯の収入基準はどうなっているのか。その基準が収入分位25%以下となっている理由は何か。
②安倍政権による「全世代型社会保障制度」での社会保障負担増、年金引下げ等の社会的要素は含んでいるのか。

2)長寿命化等改修計画について
①エレベーターの設置箇所を増やすことについて見解を聞く。
②改修内容に住宅の内装の改修もすべきではないか。

3)市営住宅の建て替えについて
 10年間は建て替えしないとされているが、10年後の見通しをどう考えるのか。

7.マイナンバー制度について

1)現在のカード発行の体制について
市民の重要な個人情報を取り扱う職場で臨時職員任せには問題があるのではないか。
2)今後の対応について
政府のカード交付の予算拡大に対して、伊丹市としてはどのような体制をとられるのか。正規職員の配置はどうなるのか。

2019年12月議会 上原ひでき:本会議 請願討論

2019年12月議会 本会議 請願討論

2019年12月23日
日本共産党議員団 上原ひでき

 議長の発言の許可を得ましたので、議題となりました請願第4号から6号まで、賛成の立場から討論します。

請願第4号 指定難病医療費助成制度で、「軽症」とされた難病患者を同助成の対象とするよう国への意見書提出を求める請願書

 まず、請願第4号 指定難病医療費助成制度で、「軽症」とされた難病患者を同助成の対象とするよう国への意見書提出を求める請願書についてです。

 請願趣旨にも書かれている通り、2015年1月から「難病患者に対する医療費等に関する法律」(「難病法」)が施行され、新たな指定難病委旅費助成制度が始まりました。このことにより、「重症度基準」による選別が行われ、この基準で「軽症」と認定されると医療費助成の対象外となってしまいました。

 2017年12月31日の経過措置終了によって、14.6万人が不認定となり、医療費助成がなくなったため、患者の通院頻度は大幅に減少し、患者から受診抑制による重症化の不安の声が上がっています。

 当事者団体である一般社団法人日本難病・疾病団体協議会には、不認定になった人が、その後、入院しているため再申請に行けず困っていること、「臨床調査個人票」の記載を医師に依頼したが、軽症となるから申請してもメリットがないといわれ、お願いしても書いてもらえなかった人、提出書類が複雑でわからず申請をあきらめた人などの相談が相次いでいます。また、毎日新聞の取材でも、「潰瘍性大腸炎」の人で、体調には波があり、大学病院を受診した時にはたまたま血便が収まっており「体調はいいです」と伝えたところ、「軽症」と認定された。その後体調が変化し下痢と血便に悩まされたが、「軽症」であるため申請をあきらめた。以前の受診に比べて4000円負担増。難病関連の情報が入らなくなることなどが掲載されています。

 「難病法」は、医療・研究面に焦点を当てただけではなく、病気を持っている人が尊厳をもって地域社会で生きられるよう、必要な支援をすべきとの理念で定められました。難病患者の場合、症状が安定して、ほぼ問題なく日常生活を送る人も増えていますが、いつ急変するかわからない不安を抱えており、完治することが困難ため、軽症を維持していても、定期的な通院と服薬等、生活における自己管理が必要となります。したがって、地域社会で尊厳を持って生活するためには、定期的な通院・服薬は必要であり、継続的に受診しなくなれば、研究に必要な難病に関するデータの蓄積がなくなってしまします。

 よって、本請願事項で、指定難病医療費助成制度について、重症患者基準による選別をやめ、「軽症」者を含めたすべての指定難病患者を同助成の対象とするよう、国に対して求めるとされたことは含意妥当であり、賛成するものです。

請願第5号 【小学校5年生から中学3年生まで、当面35人学級の実現】を県に要望することを求める請願書

 次に、請願第5号 【小学校5年生から中学3年生まで、当面35人学級の実現】を県に要望することを求める請願書についてです。

 少人数学級は、子どもの悩みやトラブルに対応するうえでも、子どもの発言の機会がふえるなど学習を豊かにするうえでも、重要な教育条件です。欧米でも20人から30人学級が当たり前です。ところが安倍政権は、国会が全会一致で決議した〝小中学校の35人学級の全学年実施〟に7年連続で背を向け、35人学級を小学校1年と2年でしか認めていません。国として35人学級を早期に全学年で実施し、地方独自の教員加配などの措置とあいまって、少人数学級を推進することは重要な課題です。このことは、2010年の中央教育審議会初等中等教育部会提言でも、「40人という学級規模では学級経営が困難」と指摘されている通りです。

 一方、過労死ラインを大幅に超えて仕事をされている教師の働き方改革の観点からみても、少人数学級実現のため定数改善を行い、教師がゆとりをもって子どもに向き合うことができる体制をつくることも必要です。

 よって、本請願趣旨で言われている通り、子どもたちに豊かな人格としっかりとした学力を身につけてほしいという国民の願いにこたえるためには、少人数学級の実施など教育条件の改善を図ることが必要です。国がいつまでも決めたことを実行しないのであれば、兵庫県が小学校4年生まで35人学級を実施されていることから、引き続き中学3年生まで35人学級の実現を求めることは、含意妥当と考え、賛成するものです。

請願第6号 『核兵器禁止条約』に署名・批准を求める意見書提出のお願い

 次に、請願第6号 『核兵器禁止条約』に署名・批准を求める意見書提出のお願い についてです。

 「核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止ならびにその廃絶に関する条約」、いわゆる「核兵器禁止条約」は、国連において、国際条約として、2017年7月7日、122か国・地域の賛成多数により採択されました。なお、日本政府は、この条約に反対し、国連会議に参加しませんでした。一方、核兵器禁止条約の国連総会への採択を含め、条約の推進には核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の貢献が大きいとされ、同団体は2017年10月6日にノーベル平和賞を受賞されました。2年半が経過した2019年12月現在、署名国80カ国、批准国は34カ国となりました。この条約は、50ヵ国が批准して90日後に発効することになっていますが、発効まで時間の問題となっています。

 この条約の前文には、日本語の被爆者という言葉がそのまま使われ、「ヒバクシャが受けた、容認できない苦しみと被害を心に留める」と記されています。広島、長崎の被爆者が、長年、壮絶な被爆体験を世界中で語り続け、核廃絶を求めてきたことへの敬意が込められています。その上で、「国際人道法に反する」として、核兵器の「開発」や「保有」それに「使用」などを禁じるとしています。さらに、核兵器の使用を前提にしての「威嚇」も禁じています。これは、核抑止の考え方を明確に否定することを意味しています。

 この条約のその他の特徴は、1つには、この条約は必ずしも実際に存在する核兵器を直ちになくすものではなく、核兵器は残虐兵器であり、残虐兵器である核兵器を非合法化するということ。2つには、核不拡散条約(NPT)条約の欠点である保有国と非保有国の不平等性を改めたという点。3つには、核兵器に関わる主要な活動、生産・保有・移転・移転の受領・使用と威嚇・支援と勧誘など、ほとんどを明確に非合法化し、同時に核兵器被爆者、被害者への支援が締約国に義務付けられていること。 4つには、核兵器保有国が一つも参加しなくても条約が発効するという点です。

 日本政府は「核兵器保有国も同意できる内容でない。非現実的だ」「コンセンサスが必要だ」と署名も批准も拒否しています。日本政府のいう核兵器保有国も含む合意ということに関していえば、日本やアメリカも批准しているNPT条約があります。もともとこの条約は核保有国が核独占体制を維持するためにつくられたものですが、第6条で核軍備撤廃の交渉義務を明記したことで、NPT再検討会議での交渉は一定の前進が作られてきました。しかし20年経ても核兵器廃絶は実現できず、核兵器は逆に増大しています。これが現実です。一方、これまでのNPT再検討会議での到達点を踏まえ、核兵器廃絶への道筋をどう切り開くのかが、国際社会に問われています。それが核兵器禁止条約です。

 日本政府は、アメリカの「核の傘」への依存を強め、世界の流れに逆行しています。核保有国と非保有国との橋渡しをするといいながら世界で核兵器保有国は増えました。圧倒的多数の核兵器禁止の声にアメリカと歩調を合わせて背を向けることで、核保有国と核兵器禁止を願う国々との溝をさらに大きくしてきているのが今の日本政府が果たしている役割です。

 ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が広島、長崎などを訪問され、その地でスピーチをされました。その内容は、戦争のための原子力を使用することは、犯罪以外何物でもなく、人類とその尊厳に反する。核兵器の保有は、それ自体が倫理に反している。紛争の解決策として、核兵器の脅威による威嚇をちらつかせながらどうして平和を提案できるのでしょうか。核兵器禁止条約を含め、核軍縮と核不拡散に関する主要な国際的な法的原則にのっとり、飽くことなく迅速に行動し、訴えていく。などと述べられ、核兵器のない世界が可能であり必要であるという確信の下、核兵器が人類にもたらした惨禍を真正面から受け止め、核兵器廃絶への決意とともに、核兵器禁止条約の実現に向けた不退転の決意も述べられたことは、政府も深く受け止めるべきことです。

 日本政府に求められているのは、唯一の「戦争による被爆国」であり、多くの被爆者の苦しみをわが事として受け止めることであり、その思いを国際社会に向けて発信し、世界から核兵器の脅威をなくすために努力することではないでしょうか。そのためにも、世界の核兵器禁止の流れに遅れることなく、速やかに署名・批准すべきと考えます。

 今回、「伊丹市原爆被害者の会」から提出されている請願は、被爆の当事者からの請願であり、請願書にもあるとおり、「この願いが被爆者のみではなく、国民的意義があること」を伊丹市議会としても思いを重く受け止めるべきです。

 よって、本請願に賛成するものです。

 以上、議員各位のご賛同をお願いいたしまして、賛成討論といたします。

2019年12月議会 上原ひでき:都市企業常任委員会付託議案への討論

2019年12月議会 本会議 都市企業常任委員会付託議案への討論

2019年12月23日
日本共産党議員団 上原ひでき

 議長から発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、上程となりました議案のうち、議案第106号、108号、114号、116号に対して反対の立場から討論します。

議案第106号「令和元年度伊丹市農業共済事業特別会計補正予算(第1号)」
議案第108号「伊丹市農業共済条例を廃止する条例について」

 はじめに、議案第106号「令和元年度伊丹市農業共済事業特別会計補正予算(第1号)」及び議案第108号「伊丹市農業共済条例を廃止する条例について」です。

 議案第108号は、伊丹市が農業共済事業を廃止し、農林水産省が進める農業共済団体等における1県1組合化の推進政策によって、兵庫県に1本化しようとするものです。昨年の12月議会における伊丹市農業共済条例の一部改正の質疑・討論でも指摘しましたが、これら農業共済事業改革の問題点として、農業共済への加入が当然加入から任意加入に変わったことで加入者の減少を招くこと、2年後には一筆方式が廃止されることで圃場ごとのきめ細かい被害補償がされなくなる可能性があることなどの問題があります。

 本条例案に対する本会議質疑への答弁でも、加入が当然加入から任意加入に変わったことで、加入者の減少などのため災害への安定した対応が困難になることなどが、県1組合化の理由とされました。県1組合化により、阪神事務所は三田市に置かれることになりますが、災害への対応や農業者への指導・助言が十分行き届かなる可能性があります。また、伊丹市が農業者支援事務として情報や問い合わせの取次等をしていくとされましたが、その財政保障はありません。

 したがって、本条例を廃止することで農業者に不利益となる可能性があり、反対とします。同時に、この議案に関連する議案第106号にも反対とします。

第114号「伊丹市立男女共同参画センターの指定管理者の指定について」

 次に、第114号「伊丹市立男女共同参画センターの指定管理者の指定について」です。

 本議案は、同施設の指定管理者に、特定非営利活動法人女性と子どものエンパワメント関西を指定しようとするものです。

 この施設の目的は、男女共同参画社会の形成を促進するためとされており、この目的を達成するため条例3条では本施設の事業内容が明記されています。その内容は、男女共同参画社会の形成に関する啓発及び講座の開催、情報の収集及び提供、市民活動及び交流の支援、調査及び研究、その他とされています。この事業はまさしく伊丹市行政における男女共同参画社会形成のための事業そのものであり、専門性の高い事業等重要なものばかりです。伊丹市行政としてこれらの事業を直接行うことによって、労働における男女不平等の解消のための労働行政等行政内部での連携を強化することができ、あらゆる分野における男女共同参画社会をつくるうえでの施策を進めることができます。また、行政内部にこの事業の実績・経験を蓄積し、継承していくことも必要です。一方、多様な男女共同参画に関わる市民や団体との協働は大いに進めていくことはいうまでもありません。

 したがって、男女共同参画センターは指定管理者による管理運営はすべきではなく、伊丹市が直接管理運営すべきであります。よって、第4条「指定管理者にセンターの管理を行わせる」の項目の削除を求めるとともに、本議案に反対とします。

議案第116号「伊丹市立労働福祉会館等の指定管理者の指定について」

 次に、議案第116号「伊丹市立労働福祉会館等の指定管理者の指定について」です。

 本議案は、同施設の指定管理者に、三菱電機ライフサービス株式会社を指定しようとするものです。

 労働福祉会館等のうち、青少年センターに関しては、青少年の健全な育成と福祉の増進を図るための各種の事業を積極的に推進することを目的とし、青少年の文化,体育活動の促進に関すること及び勤労青少年ホームの運営に関すること等の事業を行う施設です。その勤労青少年ホームの運営に関しては、かつての根拠法が勤労青少年福祉法から青少年の雇用の促進等に関する法律に変わり、雇用の促進等を図ることを通じて青少年がその有する能力を有効に発揮することができるようにすること等を目的としました。同時に地方公共団体は、適職の選択を可能とする環境の整備等青少年の福祉の増進を図るために必要な施策を推進するとともに、職業生活を円滑に営む上での困難を有するものに対して、相談の機会の提供、職業生活における自立を支援するための必要な措置を講じることを求めています。

 現在若者の雇用をめぐる状況は、企業における人権を無視した働かせ方による、「ブラック企業」「ブラックバイト」による使い捨てやニート、過労自殺、パワハラによる自殺などが大きな社会問題となっています。このことから、若者に対するあらゆる機会を通じての多様な相談体制の強化とともに、義務教育課程から高校生、学生、そして就労している若者までの連続した教育を実施することにおいて、働く人の権利をきちんと学ぶことが必要となっています。

 したがって青少年センターは、教育委員会や国・県等の労働行政との連携が必要な施設となり、伊丹市が直接管理運営すべきものと考えます。

 よって本議案における青少年センターの指定管理者の指定にあたっては、本施設の条例第4条「指定管理者に管理を行わせる」の項目の削除を求め、議案に反対とします。

 以上、議員各位のご賛同をお願いしまして討論を終わります。

2019年9月議会 上原秀樹:本会議討論

2019年9月議会 本会議討論

2019.9.24
日本共産党議員団 上原秀樹

 日本共産党議員団を代表して、議題となりました議案のうち、議案第85号及び第87号に対して反対の立場から討論します。

 はじめに議案第85号 伊丹市個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例についてです。

 本条例の改正は、生活保護法における進学準備給付金の支給に関する事務と災害対策基本法による罹災証明書に関する事務において個人番号を利用するために、別表第1、第2を改正しようとするものです。

 マイナンバーは、赤ちゃんからお年寄り、在日外国人を含め国内に住民登録したすべての人に12桁の番号を割り振り、税や社会保障の行政手続きなどで使わせるという仕組みです。安倍政権は「国民の利便性が高まる」「行政の効率化につながる」と盛んに宣伝しますが、国民には浸透していません。

 そればかりか、近年、個人情報流出が問題となっています。今年に入ってからも、ファイル転送サービス「宅ファイル便」において顧客情報約480万件が外部漏洩したほか、トヨタ自動車株式会社の販売子会社やユニクロでの顧客情報の流出や、イオンカードの不正ログインによる総額約2,200万円の不正利用も確認されています。また、昨年2月には横浜市鶴見区役所でマイナンバーカード78枚と交付用端末PC1台が盗まれる事件も起きており、マイナンバーの情報漏えい事案も年々増えて、個人情報保護が課題となっています。

 このような中で、マイナンバー制度は開始から4年目に入りましたが、国の情報管理への警戒感、手続きのわずらわしさなどから、ほとんど活用されていません。「マイナンバーカード」を取得した人も、全国的に住民の約14%、伊丹市でも約20%にとどまります。内閣府が昨年末に発表した世論調査では「取得していないし、今後も予定はない」が53%でした。理由は「必要性が感じられない」が6割以上で、個人情報の漏えいやカードの紛失や盗難を心配する意見も少なくありません。不安が根強いことを浮き彫りにしています。

 情報は集積されるほど利用価値が高まり攻撃されやすく、情報漏えいを100%防ぐ完全なシステム構築は不可能です。意図的に情報を盗み売る人間がいる中で、一度、漏れた情報は流通・売買され、取り返しがつかなくなります。

 よって、本条例改正によって、新たに個人番号の利用を広げようとされることに反対とします。

 次に、議案第87号 伊丹市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。

 今年3月議会で成立した本条例は、地方公務員法と地方自治法の改正により、特別職非常勤、臨時的任用で法律の要件にそぐわない任用が広がっているという認識のもとに、任用要件を厳格化し、会計年度任用職員制度を創設、同時に地域手当等の各種手当の支給ができるようにしたことで、一定の改善といえるものでした。

 今回の改正は、条例改正後わずか6カ月しか経過していないなか、しかも施行前に、総務省の技術的助言によって一部改正しようとするものです。その内容は、教職調整額の削除によって超過勤務手当を支給すること、期末手当を常勤職員と同様の2.6カ月分とすること、給与と報酬の規定を規則委任ではなく条例に定めるなどの改正を行おうとするもので、3月議会で成立したことと今回の改正による処遇改善によって、一般会計で約1億5千万円の人件費が改善されるものです。

 しかし、3月議会でも指摘したとおり、この制度の問題点として、第1に、相変わらず年度末に任期が終了する有期の任用であることです。このことは雇用の安定化の面では根本的解決にはなっていません。第2には、会計年度任用職員の二つのタイプ、フルタイムとパートタイムで支給される手当に格差があることです。第3に、来年度、会計年度任用職員に移行することにはなっても、正規職員の拡大にはつながらず、根本的な解決にはならないことです。答弁でもありましたが、会計年度任用職員の対象となる職員数は、今年の4月1日時点で一般会計においては、嘱託職員380名、臨時職員822名で合計1,202名、正規職員数1,304名ですから約半数が非正規職員です。また、給与にも正規職員との格差は依然として大きいものとなっています。今後、さらなる給与引き上げと雇用の安定化を図ることができるような法整備と条例化を求めるものです。

 よって、本条例改正は一定の改善を評価しながらも、以上の問題点を指摘し、反対とするものです。