2019年12月議会 上原ひでき:本会議 請願討論

2019年12月議会 本会議 請願討論

2019年12月23日
日本共産党議員団 上原ひでき

 議長の発言の許可を得ましたので、議題となりました請願第4号から6号まで、賛成の立場から討論します。

請願第4号 指定難病医療費助成制度で、「軽症」とされた難病患者を同助成の対象とするよう国への意見書提出を求める請願書

 まず、請願第4号 指定難病医療費助成制度で、「軽症」とされた難病患者を同助成の対象とするよう国への意見書提出を求める請願書についてです。

 請願趣旨にも書かれている通り、2015年1月から「難病患者に対する医療費等に関する法律」(「難病法」)が施行され、新たな指定難病委旅費助成制度が始まりました。このことにより、「重症度基準」による選別が行われ、この基準で「軽症」と認定されると医療費助成の対象外となってしまいました。

 2017年12月31日の経過措置終了によって、14.6万人が不認定となり、医療費助成がなくなったため、患者の通院頻度は大幅に減少し、患者から受診抑制による重症化の不安の声が上がっています。

 当事者団体である一般社団法人日本難病・疾病団体協議会には、不認定になった人が、その後、入院しているため再申請に行けず困っていること、「臨床調査個人票」の記載を医師に依頼したが、軽症となるから申請してもメリットがないといわれ、お願いしても書いてもらえなかった人、提出書類が複雑でわからず申請をあきらめた人などの相談が相次いでいます。また、毎日新聞の取材でも、「潰瘍性大腸炎」の人で、体調には波があり、大学病院を受診した時にはたまたま血便が収まっており「体調はいいです」と伝えたところ、「軽症」と認定された。その後体調が変化し下痢と血便に悩まされたが、「軽症」であるため申請をあきらめた。以前の受診に比べて4000円負担増。難病関連の情報が入らなくなることなどが掲載されています。

 「難病法」は、医療・研究面に焦点を当てただけではなく、病気を持っている人が尊厳をもって地域社会で生きられるよう、必要な支援をすべきとの理念で定められました。難病患者の場合、症状が安定して、ほぼ問題なく日常生活を送る人も増えていますが、いつ急変するかわからない不安を抱えており、完治することが困難ため、軽症を維持していても、定期的な通院と服薬等、生活における自己管理が必要となります。したがって、地域社会で尊厳を持って生活するためには、定期的な通院・服薬は必要であり、継続的に受診しなくなれば、研究に必要な難病に関するデータの蓄積がなくなってしまします。

 よって、本請願事項で、指定難病医療費助成制度について、重症患者基準による選別をやめ、「軽症」者を含めたすべての指定難病患者を同助成の対象とするよう、国に対して求めるとされたことは含意妥当であり、賛成するものです。

請願第5号 【小学校5年生から中学3年生まで、当面35人学級の実現】を県に要望することを求める請願書

 次に、請願第5号 【小学校5年生から中学3年生まで、当面35人学級の実現】を県に要望することを求める請願書についてです。

 少人数学級は、子どもの悩みやトラブルに対応するうえでも、子どもの発言の機会がふえるなど学習を豊かにするうえでも、重要な教育条件です。欧米でも20人から30人学級が当たり前です。ところが安倍政権は、国会が全会一致で決議した〝小中学校の35人学級の全学年実施〟に7年連続で背を向け、35人学級を小学校1年と2年でしか認めていません。国として35人学級を早期に全学年で実施し、地方独自の教員加配などの措置とあいまって、少人数学級を推進することは重要な課題です。このことは、2010年の中央教育審議会初等中等教育部会提言でも、「40人という学級規模では学級経営が困難」と指摘されている通りです。

 一方、過労死ラインを大幅に超えて仕事をされている教師の働き方改革の観点からみても、少人数学級実現のため定数改善を行い、教師がゆとりをもって子どもに向き合うことができる体制をつくることも必要です。

 よって、本請願趣旨で言われている通り、子どもたちに豊かな人格としっかりとした学力を身につけてほしいという国民の願いにこたえるためには、少人数学級の実施など教育条件の改善を図ることが必要です。国がいつまでも決めたことを実行しないのであれば、兵庫県が小学校4年生まで35人学級を実施されていることから、引き続き中学3年生まで35人学級の実現を求めることは、含意妥当と考え、賛成するものです。

請願第6号 『核兵器禁止条約』に署名・批准を求める意見書提出のお願い

 次に、請願第6号 『核兵器禁止条約』に署名・批准を求める意見書提出のお願い についてです。

 「核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止ならびにその廃絶に関する条約」、いわゆる「核兵器禁止条約」は、国連において、国際条約として、2017年7月7日、122か国・地域の賛成多数により採択されました。なお、日本政府は、この条約に反対し、国連会議に参加しませんでした。一方、核兵器禁止条約の国連総会への採択を含め、条約の推進には核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の貢献が大きいとされ、同団体は2017年10月6日にノーベル平和賞を受賞されました。2年半が経過した2019年12月現在、署名国80カ国、批准国は34カ国となりました。この条約は、50ヵ国が批准して90日後に発効することになっていますが、発効まで時間の問題となっています。

 この条約の前文には、日本語の被爆者という言葉がそのまま使われ、「ヒバクシャが受けた、容認できない苦しみと被害を心に留める」と記されています。広島、長崎の被爆者が、長年、壮絶な被爆体験を世界中で語り続け、核廃絶を求めてきたことへの敬意が込められています。その上で、「国際人道法に反する」として、核兵器の「開発」や「保有」それに「使用」などを禁じるとしています。さらに、核兵器の使用を前提にしての「威嚇」も禁じています。これは、核抑止の考え方を明確に否定することを意味しています。

 この条約のその他の特徴は、1つには、この条約は必ずしも実際に存在する核兵器を直ちになくすものではなく、核兵器は残虐兵器であり、残虐兵器である核兵器を非合法化するということ。2つには、核不拡散条約(NPT)条約の欠点である保有国と非保有国の不平等性を改めたという点。3つには、核兵器に関わる主要な活動、生産・保有・移転・移転の受領・使用と威嚇・支援と勧誘など、ほとんどを明確に非合法化し、同時に核兵器被爆者、被害者への支援が締約国に義務付けられていること。 4つには、核兵器保有国が一つも参加しなくても条約が発効するという点です。

 日本政府は「核兵器保有国も同意できる内容でない。非現実的だ」「コンセンサスが必要だ」と署名も批准も拒否しています。日本政府のいう核兵器保有国も含む合意ということに関していえば、日本やアメリカも批准しているNPT条約があります。もともとこの条約は核保有国が核独占体制を維持するためにつくられたものですが、第6条で核軍備撤廃の交渉義務を明記したことで、NPT再検討会議での交渉は一定の前進が作られてきました。しかし20年経ても核兵器廃絶は実現できず、核兵器は逆に増大しています。これが現実です。一方、これまでのNPT再検討会議での到達点を踏まえ、核兵器廃絶への道筋をどう切り開くのかが、国際社会に問われています。それが核兵器禁止条約です。

 日本政府は、アメリカの「核の傘」への依存を強め、世界の流れに逆行しています。核保有国と非保有国との橋渡しをするといいながら世界で核兵器保有国は増えました。圧倒的多数の核兵器禁止の声にアメリカと歩調を合わせて背を向けることで、核保有国と核兵器禁止を願う国々との溝をさらに大きくしてきているのが今の日本政府が果たしている役割です。

 ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が広島、長崎などを訪問され、その地でスピーチをされました。その内容は、戦争のための原子力を使用することは、犯罪以外何物でもなく、人類とその尊厳に反する。核兵器の保有は、それ自体が倫理に反している。紛争の解決策として、核兵器の脅威による威嚇をちらつかせながらどうして平和を提案できるのでしょうか。核兵器禁止条約を含め、核軍縮と核不拡散に関する主要な国際的な法的原則にのっとり、飽くことなく迅速に行動し、訴えていく。などと述べられ、核兵器のない世界が可能であり必要であるという確信の下、核兵器が人類にもたらした惨禍を真正面から受け止め、核兵器廃絶への決意とともに、核兵器禁止条約の実現に向けた不退転の決意も述べられたことは、政府も深く受け止めるべきことです。

 日本政府に求められているのは、唯一の「戦争による被爆国」であり、多くの被爆者の苦しみをわが事として受け止めることであり、その思いを国際社会に向けて発信し、世界から核兵器の脅威をなくすために努力することではないでしょうか。そのためにも、世界の核兵器禁止の流れに遅れることなく、速やかに署名・批准すべきと考えます。

 今回、「伊丹市原爆被害者の会」から提出されている請願は、被爆の当事者からの請願であり、請願書にもあるとおり、「この願いが被爆者のみではなく、国民的意義があること」を伊丹市議会としても思いを重く受け止めるべきです。

 よって、本請願に賛成するものです。

 以上、議員各位のご賛同をお願いいたしまして、賛成討論といたします。