2019年9月議会 上原秀樹:一般会計決算討論

2019年9月議会 一般会計決算討論

2019.10.7
日本共産党議員団 上原秀樹

 日本共産党議員団を代表して、報告第10号平成30年度伊丹市一般会計歳入歳出決算に対し、その認定に同意できない立場から討論します。

 2018年度における市民をめぐる情勢は、一人当たりの個人市民税では、給与収入は前年度対比で0.33%の増、年金収入は0.1%の減、事業収入は0.67%の増となりましたが、消費者文化指数が0.5%を上回る増となったことから、実質的に市民の収入は減少することになりました。高齢化社会の中で年金支給額が減らされ、実質賃金がマイナス続きで、アベノミクスで景気が良くなったという実感が持てない中、固定資産税や介護保険料などの社会保険料の負担が増大することで、市民の暮らしが大変になっているというのが実態です。この中で市民の暮らしと権利を守る市政が求められました。

 以下、問題点を述べます。

 第1に、市立伊丹病院のあり方の検討に関する問題です。

 問題の一つは、「市立伊丹病院あり方検討委員会」におけるアンケートの内容が市立伊丹病院と近畿中央病院の連携・統合を誘導する質問項目が設定されていたことで、昨年の6月議会で指摘したとおりです。

 二つ目には、「あり方検討委員会」を非公開にしたことです。数か月後に議事録はホームページで公開されましたが、市民にとって命と健康を左右する二つの病院のあり方に関して、リアルタイムで検討の内容を傍聴することができないことは、市民参画と民主主義において問題です。

 三つには、「あり方検討委員会」の結論として、市立伊丹病院と近畿中央病院を統合し、高度急性期医療を担うことができる500~600床規模の病院をめざすべきとして、両病院の統合を前提として協議をすることを求めたことです。このことは、特に近畿中央病院がなくなるという不安を市民に与えるとともに、明確な病床需要調査を行わずに病床規模を示したことによって、ベッド数が減らされるという不安も市民に与えました。改めて正確な医療需要調査による市内における必要なベッド数の確保と近畿中央病院の現在地における医療機関の存続を求めるものです。

 第2に、幼児教育推進計画についてです。

 公立幼稚園と保育所の統合再編が市民の間で大きな議論となりました。この計画を策定するにあたって市民から「施策の進め方が拙速すぎる」「さらなる説明を求める」との請願が提出され、採択されました。このことを踏まえ、市長は予算の提案説明の中で、このことを真摯に受け止め、これら請願や常任委員会で可決された付帯決議について、その趣旨を尊重しつつ施策を進めるとされました。問題点の一つは、付帯決議における「市民への説明責任を果たすために、伊丹市幼児教育推進計画に固執することなく市長も含めた当局と保護者、地域住民等で十分協議すること」についてです。当局は昨年度、この項目に基づいて各小学校区では2回にわたって説明会を開催されました。しかし、協議という形式ではなく、当局が説得する会議になり、付帯決議での「推進計画に固執することなく」「十分協議すること」を市長は尊重されたとは言えません。二つには、「公立幼稚園が閉園となる場合、跡地は教育、子育てのために活用すること」ですが、この点では跡地利用については教職員、保護者、地域住民との協議を十分行うことが要望されていました。この点では今議会でも様々な意見が出されたとおり、これら関係団体・住民と十分協議されているとは言えません。

 第3に、市営住宅の建て替えはしないことを改めて結論を出したことです。

 昨年、旧耐震住宅のうちの一部の住宅で耐震診断がされ、今後の市営住宅のあり方として、建て替えは行わず、旧耐震住宅のうち198戸(入居世帯は141世帯)は用途廃止で他の住宅に住み替えする、他の536戸は耐震改修をするという方針を出されています。しかし市内の県営住宅や尼崎市等周辺の公営住宅の建て替えが進み、バリアフリー化された住みよい住宅に変わっています。一方伊丹市は建て替えずに住み替えを進めるため、その住み替え対象となる住宅の募集は停止されることで市営住宅の枠が狭くなるとともに、耐震改修等修繕する住宅のほとんどがエレベーターのない住宅として残ることになります。中野北県営住宅の土地があるときが建て替えの機会となります。改めて検討を求めます。

 第4に、職員の人事評価です。

 公共を担う公務員には、全体の奉仕者の立場から、市民の声を聞き、提供する市民サービス、人権保障のあり方を職場で自由に議論し、決定する権限が与えられています。そのような場に「働きぶり」や「能力」「業績」などという測ることが困難な尺度で5段階評価することは、単純なことではありません。課長等による面談によって業務内容等で話し合いがされることには意義はありますが、評価によっては公務員の労働意欲の向上や創意工夫の発揮を阻害することにもつながります。この点に関しては、人事評価の問題点を十分認識していただき、5段階評価はやめることなどを含めて、職員の力が十分に発揮され、市民福祉の向上に向けて働きやすい職場とされるよう改善を求めます。

 第5に、伊丹空港における国際便就航を求めていることです。

 関西3空港懇談会が今年5月に開催されました。その結論として、伊丹空港に関しては、発着時間の拡大や国際便就航のための規制緩和は、騒音に配慮して見送られることになりました。伊丹空港の存続協定では、安全性と環境を守るため、21時から翌朝7時までの飛行禁止と一日370便に限定、国内線に限ることとされ、航空機に係る環境基準達成に向けて不断の努力をすることがうたわれました。騒音値は一定軽減することができましたが、依然としてここ数年騒音値にほとんど変化はなく、環境基準達成には程遠い状態です。市長は「安全性と環境を大前提にする」といわれますが、その大前提が不十分なままで国際便就航を求めることはやめるべきです。

 第6に、教育の分野では、全国学力テストへの参加と市独自の学力テストの問題です。

 テストの結果は「学力の特定の一部分」「教育活動の一側面」でしかないと言われてきました。ところが、教育委員会は「全国の平均点より上に」などと学校と教師を結果としてあおり、「教育活動の一側面」という割には大々的に分析して「傾向と対策」まで出して、結果として点数アップを現場に押し付けることになっています。文科省も2年前、「数値データの上昇のみを目的にしているととられかねないような行き過ぎた取り扱いがあれば、それは調査の趣旨・目的を損なう」とする「通知」を出さざるをえなくなりました。しかし、「行き過ぎ」は、全国の子どもにテストをして点数で比べるという制度そのものに原因があります。学力調査が必要な場合、数年に一度の抽出調査で十分です。改めて検討を求めます。

 次に評価すべき点です。

 第1に、子どもの医療費助成が拡大されたことです。党議員団は中学卒業までの医療費の無料化を主張してきていますが、一定の改善がされたことは評価します。引き続き高校卒業までの拡大等更なる充実を求めます。

 第2に、保育所の待機児童解消に努められ、認可保育所の増設で2019年4月1日の待機児童ゼロを実現されこと、民間保育所における保育士確保のための新たな施策を講じられたこと、民間保育所における統合保育を実施されたこと、幼稚園における預かり保育、プレ保育を実現したことです。保育に関しては、年度途中の待機児童をなくすために引き続き充実を求めます。

 第3に、生活困窮者自立相談支援事業において、昨年度、新規相談件数437件、自立支援計画策定112件で、本事業の支援による就職も80人、生活保護にも60件つなぐことができました。生活不安や格差と貧困が広がる中で、生活困窮者等を支援する仕組みを発展されていることには評価をするものです。一方、相談支援員3人と就労支援員1名では、継続相談者を含めると年間500名前後の相談に乗り、支援を続けることには人員体制に不安があります。相談支援員の増員を求めます。

 第4に、不登校や問題行動等の未然防止や早期対応のため、スクールソーシャルワーカーを1名増員して4人体制にし、すべての中学校への配置と小学校への対応が実現したことです。また、かねてから要望をしてきました介助員を増員されたことで、障害を持つ子どもの学習権を保障し、教職員等の負担を一定軽減されたことは評価します。引き続き児童・生徒をめぐる様々な困難を解消するための支援体制を強化されるとともに、教職員の働き方改革のためにも定数改善による35人、30人学級実現に向けて国に対して要求されることを求めます。
 
 次に、次年度に向けて先ほど述べたこと以外に要望する主な案件についてです。

 一つに、「公文書管理条例」制定で、公文書が市民共有の知的資源であることを位置づけ、市民の知る権利の保障に寄与するものであること等を明記するとともに、行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程、事業の実績を検証することができるような文書の作成を義務付けることも必要です。このことによって、情報公開条例と表裏一体で市民の知る権利を保障することになります。

 二つに、職員の働き方改革に関して、一定の努力はされていますが、年間360時間を超える時間外労働をされている職員が103名おられるとことに対しては、正職員の増員も含めて早急に改善することを求めます。

 三つには、性的マイノリティの人たちの人権と生活保障のために、同性カップルの権利保障を進めるパートナーシップ制度を制定されることを求めます。

 四つには、国による幼稚教育・保育の無償化に伴う2号認定こども(3歳以上の保保育園児)に対する副食費実費徴収に関して、国に無償化を求めるとともに、市独自に支援することをもめます。

 以上、その他本会議、委員会で要望しましたことについて、是非次年度以降で実現されますことを求めまして、同決算の認定に同意できない立場からの討論とします。議員各位のご賛同をお願いします。

2019年6月議会 久村真知子:選挙投票率/ハラスメント/若い人の住宅確保

2019年6月議会一般質問

2019.6.13.
日本共産党議員団 久村真知子

1、選挙投票率の向上について

・18歳選挙権が実現し、今日まで二回の国政選挙と地方選挙が行われましたが、総務省の発表では、投票率は、若い人は低く、高齢者のほうが高いようです。
兵庫県の2016年の参議院選挙での、兵庫県の18歳投票率は全国から見ますと19番目ですが、2017年の衆議院選挙では、なんと47番目です。19歳は39番目です。大変に低い状況です。投票に行く人が少ないということは、自分を取り巻いている社会に対しての関心も薄いということになるのかと思います。今後の伊丹の未来を担っていく人が、世の中に対しての関心が薄ければ、伊丹をもっと住みよい街にしていこうという認識も十分に持てないのではないかと、心配です。数点お伺いいたします。

①兵庫県の投票率が大変低い中で、市内での18歳、19歳の有権者の投票の現状はどうだったのでしょうか。また両選挙の投票率を比べれば、どのような状況となっているのでしょうか。その結果に対しては、どのような見解をお持ちなのか。お伺いいたします。

 次に②学校での主権者教育が必要と言われてきていますが、学校での取り組や地域との関係での取り組み等、具体的には、どの様なことをどのように行われたのでしょうか。そのことを通して、生徒には、どのような変化があったのか、お伺いいたします。若い人の投票率が上がるには、主権者教育の中で、政治は自分たちに深くかかわりがあるのだとの認識が必要と思いますが、そのためには、今後どのようなことが必要だと考えておられるのか。お伺いいたします。

 次に③障がい者の投票権を守るために、不在者投票の条件の見直しが必要ではないか。についてですが、選挙のたびに体調の悪い方が「投票に行けない」、と言われる方に遭遇します。このような方に「郵便での投票ができますよと」、声をかけるのですが、実際にこのような方が郵便による投票ができるのかといいますと、該当する資格要件が大変厳しすぎ「郵便等投票証明書」の申請の対象にはなりません。特に、介護保険の認定者で対象者になる方は、要介護5の方だけとなっています。要介護5の方が本当に選挙権の行使ができる方なのかの疑問もありますが、介護認定の程度がもう少し軽い方でも、移動が困難だといわれる方は、大勢おられるのですが、このような郵便での不在者投票制度の請求条件では、要介護5以外の方は、条件に全く該当しないため、郵便投票制度は利用できないわけです。これでは、障がいのある方の投票権が全く守られていないと思います。なんのための誰のための制度なのか大変疑問に感じます。

・このような厳しい条件に該当し、不在者投票された方は、14人とお聞きしています。実際に対象となる方は、もっとおられるのではないかと思います。その状況はどうなのでしょうか。お伺いいたします。

・要介護認定5以外の方でも、投票には行けない状況の方が多くおられます。介護認定されている方で、投票が困難なすべての方を、不在者投票郵便制度の対象にするのは当然ではないかと思います。そのような方の投票権を保障するためには、現状に合うように介護5以外の方にも対象を広げるよう制度の改正を求めますが、いかがお考えでしょうか。お伺いいたします。

 ④また、不在者投票の対象となっていないが、障害があり投票所に行きにくい人や高齢者に対しての手立てが必要だと思いますが、そのような状況の方の現状は把握されているのでしょうか。行けるような対策はお考えでしょうか。お伺いいたします。

2、ハラスメントを無くすために何が必要か。

 多くの女性が社会進出をする状況となってきていますが、職場で女性の人権が守られていない現状が問題となっています。マスコミでも一部は報道されるようにはなっています。最近では、特にセクハラ被害者の女性がそのような問題を声にして訴えるようにもなってきていますが、まだまだ問題の解決はできていない状況であり、なくしてほしいと頑張っている被害者が二次被害にあうことも多くあることから、逆に問題は解決せずに、多くの女性が傷ついています。

 その現状を表しているのが、2017年に都道府県労働局に寄せられたセクハラの相談状況だと思います。相談件数は、7000件に上っています。このうち、男女雇用機会均等法に基づく行政救済制度が利用されたのは、「紛争解決の援助の申し立て」が101件、「調停申請」が34件とほんのわずかしかありません。

 その他の方は、解決はできないとあきらめておられるのかと思います。しかし女性が働きやすい社会を作るためには、のこのような現状が起こらないように、また問題は、しっかり解決できるようにしなければなりません。男女雇用機会均等法では、勧告にしたがわない企業に対しては企業名の公表制度が設けられていますが、セクハラ問題は、企業名が公表された事例はないようです。ハラスメントが法的に明確に禁止されていないために、十分な権利回復が図れないのが現状です。被害者は、心身に不調をきたし、求職・退職に追い込まれています。

 このような問題が解決できなければ、男女共同参画社会の実現はほど遠いのではないかと嘆かわしく思います。このような被害にあう女性を支援することやまた職場などでこのようなことが起こらないようにするための手立てを、伊丹市として考えていただきたいと思いますのでお聞きいたします。

① 女性の社会進出に伴いハラスメントは問題になっていますが、現状に対しての認識はどのようにお持ちか、またどのような影響が起こっているとお考えなのか、お伺いいたします。

② このような問題を解決することは、現状では難しい状況ですが、その理由の一つに、解決のための手立てが、被害者の身近には知らされていないため、解決の糸口が見つからないということではないかと思います。解決を求めようとしても、当事者はそのような悩みについて、大変話しづらいと思います。その点を踏まえて、まずは女性が相談に行きやすく、話しやすい雰囲気の身近な相談窓口が必要だと思います。

 そのためには、女性の相談者のために女性の相談員が常時いることが必要だと思います。その様な窓口が、周知されれば相談者も行きやすくなり、問題を整理し、解決の方法にも糸口を見出し、様々な関係部署つなげていけるのではないかと思います。現状からみて伊丹市の相談窓口は、十分な対応となっているでしょうか。また広く市民に周知されているのでしょうか。お聞きいたします。

③ セクハラ・パワハラで被害者にも、加害者にもならないために、ですが、まずは正しい認識が必要と思います。一般的にまだ十分な認識が持たれていないのが現状だとおもいます。

 就職面接でのセクハラや学校内でのセクハラ・パワハラなどが最近は、頻繁に新聞などに取り上げられています。当事者にならないためには、職場、地域、家庭、学校での生活の中でも自分の権利に関しての認識や、パワハラ・セクハラについてのただしい認識、また自分自身を守るために、その対処の仕方なども早くから理解することが必要ではないかと思います。その様な問題を理解するための機会が、普段からすべての男性・女性に必要だと思いますが、そのような機会はどの程度あるのでしょうか。またこのような問題をなくすためには、今後どのような事が必要と考えておられるかお伺いいたします。

3点目の質問です。若い人の住宅確保の支援について

 一人暮らしで若い人への住宅支援が今日の課題ではないでしょうか。若い人達の就労状況は、非正規が多く低賃金という現状が続き、安心した生活ができていない状況とになっています。アパートを借りるためには敷金や、礼金の高額なお金を準備することはできないでしょうし、まして毎月の家賃も収入に比べれば、高くて払えないのが現状ではないでしょうか。ネットカフェ難民の状況では、正規の就職を探すことも大変です。このような状況の若い人への支援が必要です。敷金、礼金なしで家賃も一定期間はとらないという支援を、必要な若い方へ行えば仕事も見つけやすく、また伊丹に住み続けることにつながると思います。

 このような問題に取り組んでいる自治体もあります。公営住宅の目的外使用でNP0法人と連携し、空き室を提供して就職活動を支援するプロジェクトを行っています。伊丹でもこのような入居支援を行うことができるのではないでしょうか。特に市営住宅の4階5階は募集しても応募者は大変少なため、何度もエレベターの設置の要望をさせていただいていますが、未だに設置されていないため、多くの空き室が長年放置されたままです。ぜひその部屋の活用を考えていただきたいと思います。特に若い方に入居してもらえれば、地域や自治会の活性化にもなりますし、正社員の仕事などが見つかれば、改めて安定して地域に住んでもらえるのではないかと思います。見解をお伺いいたします。

2019年6月議会 上原秀樹:市立伊丹病院と近畿中央病院の統合/伊丹マダン

2019年6月議会一般質問

2019.6.10.
日本共産党議員団 上原秀樹

1.市立伊丹病院と近畿中央病院の統合を視野に入れた共同調査について

 市立伊丹病院と近畿中央病院の統合に関しては、昨年6月議会以来、毎議会で質問をしていますが、3月議会の質問と答弁を踏まえて改めて質問をします。
今年2月に提出された「市立伊丹病院あり方検討委員会」の報告書では、市立伊丹病院は近畿中央病院と統合し、高度急性期医療に対応できる500から600床規模の阪神北圏域における基幹的な病院を目指すべきとされました。そして今年度、伊丹市はこの報告を受け、市立伊丹病院と近畿中央病院の統合の可否を判断するために伊丹市と公立学校共済組合が共同して調査研究を実施するとされています。これは、これら二つの公的・公立病院が建て替えの時期を迎えるにあたって、伊丹市の呼びかけで統合を視野に入れた再編を打ち出したことによるものです。

 そもそも伊丹市と同様に、全国的に病院の統合とベッド数削減が行われている背景には、安倍政権による病床の供給を減らすことによって入院患者を減らし、入院医療費を抑制するという方針があります。すなわち、安倍政権は高齢化のピークとなる2025年までに本来必要とされるとしていた152万床から33万床減らし、119万床にするというもので、すべての都道府県に地域医療構想を策定させ、その実現のためにガイドラインを打ちだしています。このような流れを診療報酬の改定と地域医療計画によってつくりだしているのです。

1)市民にとって一番いい連携方法は何か

この間市民から様々な意見をうかがいました。一つは、市民病院が建て替えによってベッド数が増え、高度急性期医療に対応できる病院になるのでいいことだという考えです。もう一つは、病院が良くなることはいいことだが、全体のベッド数が減れば、高齢化社会に向かう中で入院するところがなくなるのではないかという考えです。さらに二つの病院が一つになればいずれにしても不便になる。とくに南部地域から総合病院がなくなってしまうという不安です。

 私たちの独自のアンケート調査でも、「伊丹市にどのような医療機関が必要ですか」の問いに、①救急医療②高度な医療とともに③身近な医療機関となっています。また、ベッド数削減に対しては「反対」「どちらかといえば反対」の合計が83.3%を占めました。身近なところで高度医療に対応できる病院があり、今までのベッド数は最低確保できることを市民は望んでいます。

 そこでお伺いします。それぞれの病床規模は別にして、市立伊丹病院も近畿中央病院も建て替えた上でさらなる連携を強化し、将来必要な医療需要を満たし、高度急性期にも回復期にも対応できる地域医療体制をつくることが最善策と考えますが、この可能性についてどうお考えでしょうか。

2)医療需要調査について

 3月議会での質問で、医療需要調査の方法について伺いました。答弁では、「報告書」で「500~600床規模の基幹病院」とした数字はあくまでも大まかな規模感を示したもので、改めて回復期の医療需要も含めてデータ等を精微に分析したうえで。必要な病床を確保したいとされました。

 お伺いします。「500~600床規模の基幹病院」とした規模感の根拠は何でしょうか。それは将来の需要をどの程度考慮したものでしょうか。またこの数字は、市内における二つの公的・公立の基幹病院のベッド数約800床を削減することになります。今後高齢化社会の中で入院患者が増えることは確実視されているにもかかわらず、ベッド数を削減することは、公的・公立病院の伊丹市における役割を後退させることになるのではないでしょうか。そのことに関する認識はいかがでしょうか。

3)市立伊丹病院あり方検討委員会と地域医療

 「市立伊丹病院あり方検討委員会」の報告書は、名前の通り市立伊丹病院のあり方を検討した報告書です。阪神北準圏域の基幹病院とするからには、その地域の医療需要を明らかにし、それぞれの自治体の基幹病院、民間病院との連携をもとに、市立伊丹病院と近畿中央病院のありかたの検討が必要となりますが、どのように検討されてきて、今後どんな検討をされるのでしょうか。

4)統合した場合の経営主体の問題

 3月議会でも質問した問題です。すなわち、異なる設置主体の病院の統合となると、民営化も視野に入り、市立伊丹病院も近畿中央病院もなくなる可能性もあるのではないか、という質問です。これに対する明確な答弁はありませんでした。答弁では「現在供給できていない高度な医療をより身近に提供し、かつ安定した提供体制を構築するという責務を、2病院の統合により果たすことができるかを見極めたうえで、可否の判断を行う」と言われました。「現在供給できていない高度な医療をより身近に提供」することは、今の市立伊丹病院でもその努力はされていることでもあり、さらなる高度急性期医療の提供は市民の要求でもあります。この答弁では、統合を前提とした議論の結果、高度な医療を安定的に提供することができるならば、地方独立行政法人化や民営化も含めた統合の結論を出すということになります。地方独立行政法人化や民営化ともなれば、議会の関与がなくなるかもしくは縮小され、今よりより独立採算性が求められるとともに、地方交付税の算入のもとに伊丹市が出している補助金もなくなる可能性があります。これでは不採算部門を担っている公立病院の地域医療に果たす役割が縮小されてしまいます。このような検討はすべきではないと考えますが、見解をうかがいます。

2.伊丹マダン企画運営事業について

 この問題に関しましては、大津留議員が質問されましたので、簡潔に質問します。

 今年度予算において「伊丹マダン実施委託料」997千円が計上されながらも、伊丹市国際・平和交流協会に「多文化共生事業」600千円を委託することになった理由は何か。また、この方針変更において伊丹マダンを市民力で担ってきた経過が軽視されているのではないか。以上に関する当局の明確な答弁を求めます。

(2回目)

1.市立伊丹病院と近畿中央病院の統合の問題
1)二つの病院を残したうえでの連携の可能性について

 先の答弁は、現在の二つの病院を同規模で建て替えた場合の三つの課題について述べられた。

①同規模で建て替えた場合、先ほど答弁された、同じ診療科を重複して保有することになる、という問題が出るとのことだが、例えば、市立伊丹病院を現在の病床数を増やした上で高度医療を担う病院とし、近畿中央病院では病床数を減らしてでも二つの病院で連携して地域医療を守ることは考えられないのか、再度答弁を。

・連携の4つのパターンで検討すると答弁。1回目の答弁で紹介されたアンケートの結果も、市外、市内の病院との連携で高度医療を提供してほしいという人が85.7%。特に、市内南部地域から総合病院がなくなるということは周辺住民にとっては大問題。近畿中央病院が果たしてきた役割を十分踏まえた協議をしていただきたい。

②県の地域医療構想で、統合再編によって病床転換が進むということはどういうことか。

・県の医療構想でも、急性期病床は現状を追認するといっている。追認せざるを得ないのは、今後20年くらいは入院患者が増えるという予測があるから。としたら500~600床は足らないということになるのではないかと考える。この問題は後程触れる。いずれにしても医療需要調査は正確にし、これを確保していただきたい。

2)医療需要調査について

①「500~600床規模の基幹病院」とした根拠について、一つは急性期患者や市外流出患者数を試算したとされた。「報告書」では、その合計が554名。二つは疾患別医療需要の予測とされたが、「報告書」では2040年までの予測が折れ線グラフで書かれているが、全体としてどのくらい需要が増えるのか明確にされていない。554名に加えて2040年までに必要とされる入院患者数の推計を医療需要予測に基づいてどうされたのか。

・今後共同調査の中で推計する答弁された。要するに「500~600床規模」というのは大した根拠はないということ。2018年3月に出された「調査報告書」では、阪神圏域全体で、2040年には28.6%増加するとなっている。となると、700床が必要となる。「500~600床規模の基幹病院」という根拠がよくわからない。

・さらに、1回目の答弁で、病床規模に関しては将来に過大な負担を残さず、経営的な側面からも検討を進めるといわれたが、結局1つに統合することを前提としているために医療需要が多くても病床数を抑えるということになるのではないかと危惧をする。先ほど言ったとおり、医療需要調査は正確にし、統合にこだわらずこれを確保していただきたい。

②回復期に関する需要の問題で、3月議会の答弁では「回復期病床についても必要とされる病床規模を分析していく」「医師会との連携を図り、十分な協議を進め、…必要な医療を提供できる体制の構築に努める」とされた。「報告書」では現状221床の回復期病床とされている。県の地域医療構想では大幅に回復期が不足することになっているが、回復期は民間に任せるということか。

・いずれにしてもこれも調査まちということ。「検討委員会」の議論である委員から、病床数は全体として800床は必要、600床の高度急性期病院となると、200床は回復期となる、二つの病院は一定回復期の病床を抱えているので、これをどうするかが課題、という意見だがされた。急性期でありながらも回復期を抱えなければならない事情がある。この部分を削減するとなれば、民間との連携ということになるしかないのでは。

・県の医療構想でも、民間も含めた高度急性期から回復期等を含めたすべての病床数は、現在の6,692床から2040年には7,074床が必要になるとされ、約400床が不足するとされている。もちろん民間も含めた連携は必要となるが、統合して一つにし、病床数を減らすということは県の構想の数字からも逆行していると考える。

3)地域医療との関係で、他市の自治体病院、民間病院との連携の問題

 答弁では他の公立病院の管理者、他市の医師会長も参加して議論してきたとのことだが、改めて議事録に目を通したが、それぞれの公立病院との連携の仕方に関してはほとんど議論に至っていない。ただ、高度急性期に対応する病院ができることは北圏域としても安心できるということ。さらに、各委員から連携に関して意見が出されているが、必ずしも統合が最適という議論が一貫して出されていたわけではない。統合もありうるという程度。この点は、協議の中で十分考慮すべきこと。要望しておく。

4)経営主体の問題について

 答弁では、異なる経営主体同士の統合が考えられ、その選択肢は今年度慎重に検討するとのこと。統合によって地方独立法人化や民営化も視野に入っているということ。

①答弁で、仮に統合という結果になったとしても、市の関与は維持していくこと、不採算部門にかかわる医療の提供も確保することとされた。しかし、地方独立法人化された場合、公務員型といわれる「特定地方独立行政法人」になったとしても、行政と議会の関与は限定的となり、公営企業法全部適用に比べてもより独立採算性が求められるとともに、今のような伊丹市からの補助金ではなくなり交付金となり、自治体に対する交付税措置も減らされることとなるのではないか。

大阪空港へのオスプレイ緊急着陸に関する要望書

 オスプレイ緊急着陸に関する市長への申し入れを4月2日に行いました。対応した副市長は、「抗議」文として国に送付することを検討していると返事がありました。

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2019年4月2日
伊丹市長  藤原 保幸 様

大阪空港へのオスプレイ緊急着陸に関する要望書

日本共産党伊丹市議会議員団
団長  加柴 優美

 報道によると4月1日午後1時56分ごろ、大阪空港に米軍輸送機オスプレイが1機緊急着陸し、二つある滑走路が着陸の前後20分ほど閉鎖された。関西エアポートによると「原因については申し上げられない。詳細は外務省か防衛省に聞いてほしい」と話しているとのことである。

 米軍輸送機オスプレイは、これまで度重なるトラブルを引き起こし、墜落も幾度となく繰り返している危険な米軍機であることは周知のことである。このオスプレイが米軍基地周辺だけでなく、全国で飛行が繰り返されており、市街地上空で、ヘリモード(垂直離着陸)や、ヘリモードから飛行モードへの転換など、日米合意に反する危険な飛行を繰り返していることも確認されている。今回は、米軍岩国基地から厚木基地への移動の途上にあったとされており、今後も伊丹市の市街地上空を飛行する危険があるといわざるを得ない。ひとたび事故が起これば市民の命にもかかわる重大な事態となる。

 従って、日本共産党伊丹市議会議員団は、危険なオスプレイの日本への配備を撤廃することを強く求めるものである。

 市長におかれては、次のことを強く要望する。

1.直ちにオスプレイの緊急着陸に関して米軍に対し強く抗議すること。
2.トラブルの原因と飛行目的を外務省、防衛省を通じて明らかにすること。
3.落下物等近隣住民への被害はなかったのかどうか調査し、明らかにすること。
4.二度とこのような事態を引き起こさないよう、市街地上空の飛行禁止等再発防止を米軍と外務省、防衛省に求めること。

2019年3月議会 加柴 優美:請願の賛成討論

請願第1号および2号に対して賛成の立場から討論

2019年3月25日
日本共産党議員団 加柴 優美

議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党市議団を代表して、上程となりました請願第1号および2号に対して賛成の立場から討論をおこないます。

 初めに請願第1号「辺野古埋め立て反対及び国の説明責任履行についての請願書」についてです。

 安倍政権は、辺野古新基地建設のために、昨年12月14日土砂投入を強行しました。沖縄県知事選挙で玉城デ二-知事を圧勝させた、新基地建設反対という圧倒的な民意を一顧だにせず、異常な強権をむき出しにした暴挙です。本請願書も指摘している通り、安倍政権は、行政不服審査法を悪用して、沖縄県による辺野古埋め立て承認撤回の執行停止を決定するという違法行為を行いました。しかも、防衛省の申立てを国土交通大臣が審査するというのは「自作自演」であり、とうてい「公正な手続き」といえません。これで法治国家といえるでしょうか。

 安倍政権は、無法な土砂投入を開始しましたが、政府の側には工事をやりとげる展望はまったくありません。大浦湾側にはマヨネ—ズ状の超軟弱地盤などが存在し、防衛省の担当者も「護岸工事に着手できる見込みがない」と認めています。

 土砂投入を契機に、沖縄県民の怒りが沸騰し、県民の怒りがあふれるように全国に、世界に広がっています。アメリカのホワイトハウスに寄せられた辺野古埋め立て中止を求める署名は、またたく間に10万を越え、20万をこえました。民主主義も地方自治も自然環境も破壊して恥じるところのない安倍政治の異常さが、世界からも指弾されています。
 
そして米軍普天間飛行場を移設するために、辺野古の海を埋め立てることの賛否を問う県民投票が2月24日行われました。その結果は、「反対」が72%、投票率は、住民投票の有効性を図る一つの目安とされる50%を越える 52.48%でした。

 安倍政権は改めて示された沖縄県民の民意を重く受け止め、辺野古新基地建設のための埋め立てをただちに中止すべきであります。同時に「自分たちのまちで、同じような問題が起こり、政府が同じようなふるまいをしたら、自らはどうするのか」も問われていると考えます。よって請願事項にあるように、傍観者の立場でなく声をあげてほしいとの願意はきわめて妥当であり賛成するものです。

 次に請願第2号「最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見書」の採択を求める請願書についてです。

 最低賃金法は、この法律の目的を「賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与すること」と定めています。

 しかし、実際には本法律通りになっていません。全労連各都道府県組織による「25歳単身者・賃貸ワンルームマンションに居住」という条件でまとめた最低生計費試算調査によりますと、全国の平均値が税込みで2,734,407円となっており、月155時間働いた場合の時間給は1,470円なければならないことになります。兵庫県の場合、最低賃金が871円ですから、最低生計費全国平均との差額が時間給599円。月155時間働いた場合月額収入が最低生計費から92,845円、年間1,114,140円足らないということになります。これでは法律に定める目的「労働者の生活の安定、労働力の質的向上」に寄与することはできません。したがって、請願項目にある「最低賃金をすぐに1,000円以上に引き上げること」は含意妥当であり、1,500円を目指して労働者の4人に1人という年収200万円以下のワーキングプアをなくすべきです。

 また、全国一律最低賃金制度の確立等、地域間格差を縮小させるための施策を進めることに関しては、人口動態調査と最低賃金を比較した場合、おおむね最低賃金が高いとことに移動していることがわかります。東京一極集中の是正を言うなら全国一律最低賃金制度の確立は必要と考えます。

 さらに、中小企業に対する支援についてです。中小企業は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)する存在です。企業の99.7%を占め、働く人の3人に2人が働いている雇用の担い手です。中小企業が元気になってこそ、日本経済再生の道は開かれます。ところが、安倍政権のすすめてきた経済政策―いわゆるアベノミクスによって、中小企業にあらたな困難をつくりだしています。請願項目にあげられている具体的な支援策とともに、中小企業に仕事起こしや単価改善等の施策を充実し、最低賃金を改善することは景気刺激策として有効であるとともに、劣悪な労働条件の下で働く中小・零細業者で働く労働者の生活を改善することになります。

 よって本請願の含意は妥当と考え賛成するものです。

2019年3月議会 久村 真知子:議案第12号「平成31年度伊丹市一般会計予算」討論

2019年3月議会 久村 真知子:議案第12号「平成31年度伊丹市一般会計予算」討論

2019年3月25日

日本共産党議員団 久村 真知子

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、議案第12号、議案27号、関連する議案32号、並びに議案28号に、反対の立場から討論をおこないます。  

 初めに議案12号「平成31年度伊丹市一般会計予算」についてです。

 市長は、2019年度予算の提案説明の中で、本年10月に予定されている消費税が
10%に引き上げられることについて言及されました。しかし、安倍政権による消費税引き上げに関しては、毎月勤労統計の不正・偽装問題で、10%増税の根拠としていた景気判断そのものが誤っていたことがはっきりしました。すなわち、この不正調査によって、2018年の実質賃金がかさ上げされていた問題で、実質賃金の増減を前年と同じ「共通事業所」で算出すると、年間平均マイナス0.5%となったことが明らかになったことです。さらに、総務省「家計調査」の2人以上世帯の実質家計消費支出の推移をみても、8%増税前の2013年平均363.6万円から18年平均が338.7万円と、年額約25万円も落ち込んでいます。こうした経済状況のもと市民のくらしがいっそう悪化することが予想される時、市政に求められているのは何よりも市民の暮らしを守ることを第一にすることでありました。以下この立場から意見を述べます。

 2019年度一般会計の総額は759億円で、前年度当初予算に比べて64億円、率にして9.2%の増となり、過去最高の規模となっています。特に労働福祉会館大規模改修事業など普通建設事業費が前年対比で約40億円増えているこが主要な原因となっています。

 2019年度当初予算案では、市税の内市民税は対前年度比6億1千万のプラスとなり、その内個人市民税は対前年度比約3億6千万のプラスとなっています。要因は納税者が1700人余り増加することにあるとしていますが、給与所得で1.34%の伸びを想定しているものの、営業所得、年金所得はプラスマイナスゼロと依然として厳しい状況となるとしています。さらに今年10月から消費税の10%への増税が実施されれば市民の暮らしに計り知れない深刻な影響を与えるものとなります。政府に対して増税中止を強く求めていくべきであります。

 一方当初予算における一般財源の確保の面では、前年度対比で市税全体では8.5億円の増となっているものの、普通地方交付税が4億円増、臨時財政対策債は7億円減の差し引きで3億円の減となっています。

 こうした情勢の下、市長は市民のくらしを守り、福祉や教育の充実をめざすことや、施策の実施に当たっては十分に市民に寄り添うことが求められましたが、これらの点でいくつかの重大な問題を含んでいます。

 第一に、自衛官募集事務への協力の問題です。

 伊丹市の場合、2011年から2016年まで電子データによって15歳の子どもも含めて対象者の名簿を自衛隊に提供していました。この電子データ提供に関して市長は本会議で、「自衛隊とは非常に良好な関係を築いてきていることから、これまで行ってきている協力事務については、これからもできる範囲で協力をしていく」と答弁されています。自衛官募集事務への協力の問題で当局は、自衛隊法第97条と同法施行令第120条の規定によるものと答弁されていますが、日本共産党議員団は、この政令はあくまでも防衛大臣の任意による自治体への資料提供の依頼であり、自治体がその資料を提供する義務はないと主張してきたところです。

 しかし安倍内閣のもと安全保障法制の改悪により、自衛隊がより危険な地域・任務に派遣されることになっている情勢であります。伊丹市民である自衛隊員、若者を危険にさらさないためにも名簿提出、閲覧は拒否をすべきであります。

 第二に、市立伊丹病院と近畿中央病院の「統合」を視野に入れた共同調査についてであります。

 昨年設置された「市立伊丹病院あり方検討委員会」の報告書は、市立伊丹病院は近畿中央病院と統合し、高度急性期医療に対応できる500から600床規模の阪神北圏域における基幹的な病院を目指すべきとされました。そして来年度、伊丹市はこの報告を受け、市立伊丹病院と近畿中央病院の統合の可否を判断するために伊丹市と公立学校共済組合が共同して調査研究を実施するとし、調査費用9,900千円を公立学校共済組合と折半し、4,950千円を計上されています。

 今回の「あり方検討委員会」は、全市民的な意向を踏まえた検討とはほど遠いものであり、「報告書」が出されて市民の間では驚きと不安が広がっています。市民にたいして、「統合再編」だけでなく、「連携」や「機能分担」などの選択肢も示しながら議論する必要があり、また公開の場で審議していくべきであると考えます。
 しかし当局はあくまでも「統合再編」を視野に、しかも今年度と同様の体制で協議を進めるとしています。市民にたいしては「丁寧な説明を行う」とするものの、関係市民の新たな協議の場への参加には「否定的」であり大きな問題であります。

 第三に、空港問題についてです。

 大阪国際空港について、市長は空港需要の高まりへの対応や関西経済の浮揚に向けて、伊丹空港の果たす役割は大きいこと、市民からも国際線就航を希望する声があることから、「伊丹空港の国際化」を県や関西エアポートに働きかけていくとされました。しかし航空機にかかる騒音値がLdenに変わった2012年からみても、騒音値が減るどころか逆に増えています。このことは環境基準達成に向けて不断の努力をするとの「存続協定」にも逆行する状況になっているといえます。「安全と環境の確保を前提とした上で」といって国際便の復活を打ち出しても、日々環境基準を超える騒音にさらされている地域、市民からは理解は得られるものではありません。

 第四に、プレミアム付き商品券事業にかかる経費2億7400万円が計上されていることです。

 全額国庫補助金とはいえ、「平成30年度伊丹市一般会計補正予算(第9号)」で指摘した通り、「税金のバラまき」はやめるべきであります。

 第五に、2019年度も参加を予定している全国学力テストと市独自の学習到達度調査の問題です。

 市教育委員会は「学力テストはすべてでなく、あくまでも学力の一つの側面だ」としながら、学力テスト至上主義的姿勢を年々強めています。しかし仮に学力テスト全国平均が下がれば、伊丹の学力水準が前年と同じだった場合、伊丹の平均は数字的には上がるということにすぎません。よって学力の到達度は数年に一度のテストで十分認識できるものであり、毎年の全国学力テストへの参加および学習到達度調査は必要ありません。

 次に日本共産党議員団が以前から要望し今回実現の運びとなる、評価すべき点であります。

 一つは、洪水ハザードマップ更新事業です。国・県による洪水浸水想定区域の見直しですが、今後減災対策に有効活用されるよう要望します。

 二つは、3歳児検診における眼科検査精度向上事業のため、新たに検査機器を導入されることです。

 三つは、今まで日本で一番高かった2歳以下の保育所保育料の引き下げを行うことです。引き続き子育てに関する負担軽減を求めます。

最後にいくつかの要望事項です。

①子ども・子育て支援について

 伊丹市が全国に先駆けて幼児教育の無償化をおこなったり、来年度予算の中で保育料軽減の提案がされたりしていることには評価をしますが、一定充実したとはいえ子どもの医療費無料化には背を向けたままです。再三にわたって中学卒業までの医療費無料化を要求していますが、子育てアンケートの中にも多くの人が書かれている通り、無料化を実現することが必要と考えます

②閉園となる公立幼稚園の跡地利用についてです。

 伊丹市独自の幼児教育無償化の財源として財政調整基金を取り崩したことに関して、閉園となる幼稚園の跡地を売却してその穴埋めにするとの方針が出されています。しかし、新たな認可保育所の場所の問題やボール遊びができる公園が欲しいなどの子育て世代からの要望もあり、跡地利用に関する付帯決議を考慮することを求めるものです。

③児童虐待への対応について

 2017年度行政評価報告書によれば、新規児童虐待通告件数が2016年度に392件、2017年度は559件と増加。家庭児童相談室への相談年間相談件数は16年度が801件、17年度は846件となっています。対応する職員は、正規のケースワーカーが3人、嘱託職員5名で対応されていますが、継続も含めれば1000人を超える相談に十分対応できる状況ではありません。専門職としての職員を育てるためにも正規職員を含む職員の増員を強く求めておきます。

 ④党議員団は、中学3年生まで35人学級の実現を国に求めていますが、国がやらないのであれば、当面県の制度として実現を求めています。伊丹市議会も小学校6年生までの35人学級の実現を求めて意見書を県に送っています。少人数学級の実現は、不登校や児童虐待など子どもの変化にも目が行き届き、スクールソーシャルワーカーなどとも連携した対応をすぐにとることが可能です。当面小学校6年生まで少人数学級、35人学級に足を踏み出していただきたいと考えます。

 その他本会議や委員会で指摘・要望いたしました内容についてはぜひ検討実施していただくことを求めるものです。

次に
 議案第27号「伊丹市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の制定について」および議案第32号「伊丹市職員定数条例等の一部を改正する条例の制定について」であります。

 2017年第193回通常国会において地方公務員法と地方自治法が改正され、2020年4月から自治体の非正規職員に「会計年度任用職員」が導入されることになりました。その背景として、地方公務員法の特別職非常勤および臨時的任用で要件にそぐわない任用が広がっているため、任用要件を厳格化するとしたものです。今回の法改正の内容は、住民のいのちと暮らしを守り地方自治の担い手である地方公務員制度の大きな転換でもあります。各自治体では、総務省の「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアルに沿って、準備がすすめられ、伊丹市でも今議会に条例提案されています。今回会計年度任用職員の導入が、自治体労働者や公務に与える影響には大変大きいものがあります。

 今回の法改正の主な内容は、第一に、臨時的任用・特別職非常勤の任用の厳格化、第二に、会計年度任用職員制度の創設、第三に、会計年度任用職員にかんする手当支給既定の創設です。特別職非常勤職員と一般職非常勤職員は、任用根拠や賃金・手当の定めが法律上あいまいでしたが、会計年度任用職員に移行することによって明確にされます。また法の定めにより従来の非常勤職員には支給できなかった手当てが支給できるようになったことです。

 しかし問題点も多く指摘されています。

 一つは、相変わらず有期の任用であることです。会計年度任用職員は一会計年度末日をもって毎年度任用期間が終了する「任期の定めのある職員」であり、「雇用の安定化」の面で根本的な解決になっていないこと。さらに会計年度任用職員の条件付き採用期間を1カ月とする特例をもうけることになっています。

 二つは、会計年度任用職員の2タイプの間で、支給される手当に格差があることです。フルタイムは正規職員と勤務時間が同じで、正規職員と同等の諸手当の支給が可能とされているのに対して、短時間・パ-トタイムは期末手当のみの支給にとどまり、大きな格差があることです。

 三つ目には、臨時・非常勤の正規化や正規職員の定員拡大など根本的な改善策が示されていないことです。伊丹の現状をみても、本会議で答弁でありましたように、今年3月1日時点で正規職員は市長部局、教育委員会、消防局合わせて1308名、非正規職員が1307名半々となっているとのこと。根本的な改善どころか以前に比べても非正規職員の割合が一段と大きくなっています。大きな問題であります。

 給与・報酬の面でも大きな違いがあります。答弁でも明らかなように、ほとんど勤務時間は変わらないにもかかわらず、嘱託職員は正規職員の84%~68%、臨時職員は正規職員の50%半分という状況です。

 非正規職員の強い要求とは、賃金アップと雇用の継続です。今回の条例がこうした願いに根本的に答えることになっていない点を指摘し、議案第27号と関連する議案第32号に反対するものです。

 次に、議案第28号「伊丹市立男女共同参画センタ―条例の制定について」です。

 本議案は伊丹市に新たに男女共同参画センタ―設置するため条例を制定しようとするものです。この施設の目的は、男女共同参画社会の形成を促進するためとされており大変重要なものであります。よって条例3条にある事業の内容・目的は調査・研究、人材育成、ハローワークとの連携など、専門性の高い事業等重要なものばかりです。また第6条ではセンターの休館日は、日曜日としていますが、働いている人は日曜日が生きやすいと思う方もおられるだろうから、日曜日の休館日は見直すべきだと思いますが、「当面の様子を見て検討する」との方向を出されていますので、この点についても、また全般的な状況についてもより使いやすいセンターにするために、ぜひ市民の意見を丁寧に聞きより良いセンターにするよう努力すべきと要望いたします。

 しかし、第4条においては「指定管理者にセンターの管理を行わせる」とされています。今日先進国の中でも日本の男女平等指数は最低の順位となっている状況ですのでこのような問題点を解決し、男女共同参画社会を促進するために、この施設は、重要なものであるとともに、労働行政等市の他の施策との連携が必要なこと等から、指定管理者による管理運営ではなく、市の直営とすべきであります。よって、議案第28号は反対といたします。

2019年3月議会 上原秀樹:代表質問

2019年3月議会 上原秀樹:代表質問

2019年2月16日

日本共産党議員団 上原秀樹

1.市長の情勢認識を問う

1)今年10月からの消費税10%増税について

  市長は、来年度予算の提案説明の中で、本年10月に消費税が10%に引き上げられることについて言及されました。

 しかし、安倍政権による消費税引き上げに関しては、毎月勤労統計の不正・偽装問題で、10%増税の根拠としていた景気判断そのものが誤っていたことがはっきりしました。すなわち、この不正調査によって、2018年の実質賃金がかさ上げされていた問題で、実質賃金の増減を前年と同じ「共通事業所」で算出すると、年間平均マイナス0.5%となったことが明らかになったことです。さらに、総務省「家計調査」の2人以上世帯の実質家計消費支出の推移をみても、8%増税前の2013年平均363.6万円から18年平均が338.7万円と、年額約25万円も落ち込んでいます。

 その上に、増税に伴う政府の景気対策も複雑怪奇で、複数税率によって買う商品、買う場所、買い方によって税率が5段階にもなり、混乱と不公平を広げる支離滅裂なものです。加えて、インボイス制度は、500 万もの免税業者が取引から排除されかねず、中小業者・商店は死活的状況に追い込まれることになります。日本商工会議所や日本スーパーマーケット協会など中小企業団体もこぞって批判、反対をしています。安倍内閣の官房参与であった藤井聡京大大学院教授は、「消費税は社会保障にというのはデマ」「 増税は日本経済を破壊する」と中止を訴えています。私たちが扱っている市政アンケートにも「年金が毎年のように下がり、その上に消費税増税などとんでもない」との声がたくさん寄せられています。

 市長は消費税増税をめぐるこのような事態に関してどのような認識をお持ちでしょうか。市民生活と市内中小企業・商店に国に対して10月からの10%増税中止を求めるべきと考えますが、合わせて見解をお聞きします。

2)安倍首相の9条改憲と自衛官募集事務への協力

 安倍首相は憲法9条改憲に執念を燃やしています。安倍首相の2月10日の自民党大会での演説などで「新規隊員の募集に対して都道府県の6割以上が協力を拒否している」などとしたことで、13日の衆院予算委員会で野党に質され、安倍首相は「自衛隊は違憲ではないと言い切る学者が2割に満たない中で、ある種の空気が醸成されてきた」「自衛隊を憲法に明記させることによってそういう空気は大きく変わっていく」と、憲法9条改憲の狙いについて語りました。警察も消防も重要な行政機関ですが、これらの機関に自治体は新規採用のための名簿は提出していません。自衛隊に名簿を提出しなかったら「非協力」だと非難し、だから憲法を変えるという、こんな乱暴な話はありません。市長はこのような事態にどのような見解をお持ちでしょうか。お伺いします。

 一方、伊丹市の場合、2011年から2016年まで電子データによって15歳の子どもも含めて対象者の名簿を提供していました。この問題で質問もしましたが、当局は、自衛隊法第97条と同法施行令第120条の規定によるものと答弁されましたが、この政令はこれはあくまでも防衛大臣の任意による自治体への資料提供の依頼であること、また住民基本台帳法にも資料提供の規定はないことから、私は自治体がその資料を提供する義務はないと主張したところです。答弁で述べられた、自衛隊法施行令第120条の規定は、地方自治法施行令における法定受託事務とされている点につきましても、単なる依頼に過ぎないことに対応する自治体の事務が法定受託事務だから依頼があった時にはこれに応じる義務があるということなはなりません。このことに対して、当時の石破防衛庁長官が国会質問に答えて「私どもは依頼しているが、応えられないということであれば、いたしかたない」とされ、協力義務はないとされていることからも明白です。この点に関して改めて見解をお聞きします。

2.市立伊丹病院と近畿中央病院の統合を視野に入れた共同調査について

 昨年設置された「市立伊丹病院あり方検討委員会」の報告書は、市立伊丹病院は近畿中央病院と統合し、高度急性期医療に対応できる500から600床規模の阪神北圏域における基幹的な病院を目指すべきとされました。そして来年度、伊丹市はこの報告を受け、市立伊丹病院と近畿中央病院の統合の可否を判断するために伊丹市と公立学校共済組合が共同して調査研究を実施するとし、調査費用9,900千円を公立学校共済組合と折半し、4,950千円を計上されています。

 そもそも全国的に病院の統合とベッド数削減が行われている背景には、安倍政権による病床の供給を減らすことによって入院患者を減らし、入院医療費を抑制するという方針があります。すなわち、安倍政権は高齢化のピークとなる2025年までに本来必要とされるとしていた152万床から33万床減らし、119万床にするというもので、すべての都道府県に地域医療構想を策定させ、その実現のためにガイドラインを打ちだしています。しかし、厚生労働省の発表した資料によれば、現在、全国の一般病院の病床数は約135万床で、国会での答弁通り本来ならば2025年までに17万床増やさなければなりません。高齢化のピーク時に入院できない人などは介護施設や在宅医療へと押し流す方針ですが、在宅医療については、往診を行う開業医の減少や高齢化、が問題視されていますし、2025年に245万人が必要となる介護職員も、33万人ほど不足する見通しがなされています。つまり、介護施設や自宅ですら、患者をどれほど受け入れられるかは、不透明なのです。安倍政権の下での医療費削減政策は、さらなる介護難民、医療難民を生み出すことになります。

 兵庫県の地域医療構想では、2025年には現状より入院病床を662床減らす必要があるとし、阪神北圏域では122床の減少を、阪神南圏域では390床増やすものとなっています。最近この二つの県域が統合されそれぞれが「準圏域」とされましたが、阪神北準圏域が減らされ、阪神南準圏域に回されるとの懸念が寄せられています。

 このような国による病床削減、県の地域医療構想に沿ったものとして出されたのが今回の「報告書」であり、党議員団は、地域医療を守るために、二つの病院の存続と充実を求めるものです。

 党議員団はさっそく「市立伊丹病院と近畿中央病院の統廃合を考えるシンポジウム」を開催し、「報告書」の内容を伝えて市民の声を聞きしました。その多くが二つの病院が一つになり、病床数が減らされることへの不安の声であり、南部地域から総合病院がなくなる可能性への不安の声でした。そして、近畿中央病院と東京にある公立学校共済組合の本部を訪問して近畿中央病院を残してほしいという地域住民の声を伝え、要望書を提出するとともに、懇談をしてきました。内容は、二つの病院の存続と充実の方向で協議を進めていただきたいという趣旨です。

 そこで、来年度、伊丹市が公立学校共済組合と調査研究を進めていくとされていることから、次の点をお聞きします。

①調査研究の内容について

 調査研究の内容について、医療需要調査をするとのことですが、その方法はどのようにされるのでしょうか。県の地域医療構想の数字は、単純に現状の入院受療率を2025年の人口推計にあてはめただけで、高齢化率を十分考慮したものとは言えません。また、慢性期病床については、療養病床の入院患者のうち最も症状が軽いとされる患者の7割を在宅に移行させるというものです。しかし、慢性期病床の患者の中には、重度意識障害やがんターミナルなどの重症者も多く含まれ、本当に必要な病床数を明らかにしたものではありません。より正確な推計が必要です。医療需要調査の方法をうかがいます。

②統合の可否を判断するための調査というが

 統合の可否を判断するための調査というが、「報告書」が統合を目指すべきとされたことは必ずしも市民の多数の声とは言えないものです。検討委員会に二人の市民委員が入っておられたということですが、市民を代表した意見ではなく、あくまでも一市民委員としての意見です。また、アンケートをされていますが、このアンケートで「統合」についての問いでは、「適切な医療水準を維持するために必要なのであれば近隣との病院との統合も視野に入れるべき」との選択肢であり、他の選択肢を見てもこの項目が一番多くなるのはあらかじめ予想されたものです。「統合」を前提の調査検討とか、視野に入れたとかいろんな言い方をされていますが、調査研究をするとされるならば、現状維持も含めた4つのパターンのそれぞれメリット、デメリットを明らかにし、「統合」を前提とせず、市民的な議論をする必要があると思いますが、見解をうかがいます。

③統合する場合のデメリットについて

 統合する場合のデメリットについて。「検討委員会報告書」の中で、公立と公立学校共済組合という設置主体の異なる病院同士の統合となり、経営統合にかかる調整(経営形態の検討や理念の統一化など)が必要となる」とされています。具体的にどんな検討が必要となるのでしょうか。

④検討委員会の実施について

 検討委員会の実施についてですが、検討委員会メンバーをどうするのでしょうか。両病院の共同調査だが、この検討委員会、もしくは別の方法で市民の意見を改めて聞くことは考えているのかどうか、見解をうかがいます。

3.高すぎる国民健康保険税の引き下げ

 来年度の国保税に関しては、歳入不足が見込まれる約8,000万円について、2018年度決算剰余金と財政調整基金を活用することで、保険税率を引き上げないこととする国保運営協議会の答申に基づき、国保税の引き上げはなくなります。これで、6年連続増税はしていないことになります。

 しかし、依然として国保税は被保険者に重くのしかかっています。もともと国保加入者は所得の低い世帯が多く、伊丹市の昨年度の決算の数字を調べたところ、所得のない世帯が全体の24.5%を占め、所得100万円以下が47.9%、所得200万円以下で72.6%を占めています。その所得200万円以下の世帯で滞納している世帯が、全滞納世帯の84.5%を占めていることから、払うに払えない国保税の実態を示しています。

 たとえば、夫婦と子ども一人の世帯で、年間給与収入300万円(所得192万円)の世帯の場合、年間の国保税は364,200円に、子ども二人の場合は2割軽減で358,600円になります。月額給与25万円の世帯(所得では月額160,000円)で年10回、子ども二人の場合毎回35,800円を払わなければなりません。国保税だけではなく他の公共料金もありますから、生活できる収入ではなくなります。子ども3人で毎回38,600円。子どもが一人増えるたびに年間27,800円加算されますから、子育て支援に逆行する仕組みです。このような過酷な仕組みであることから、全国的にはいくつかの自治体で、子育て支援の立場から子どもの均等割りを免除、もしくは減額しているところも出てきています。伊丹市でも制度を創設したらどうでしょうか。

 東京の清瀬市では、2018年度から所得300万円以下の世帯で、第2子以降の子どもの均等割りを半額にする減免制度を始めています。申請減免ですが、対象世帯には通知を出すことにしています。申請減免なので、財源は一般会計からの繰り入れによるものと思われます。

 また、宮崎市では、2018年度から基金を活用して一人当たり14,900円、1世帯当たり22,600円、国保税を引き下げています。

 伊丹市の場合、国保会計に財政調整基金が約20億円あります。この基金のあり方に関して、国保運営協議会で一定の考え方をまとめておられますが、高すぎる国保税を引き下げることに使ったらどうでしょうか。一人当たり1万円の国保税引き下げを求めるものです。

 子どもの均等割りの減免制度創設と合わせて見解をうかがいます。

 そもそも国保税が高すぎて払えない制度になっているのは、加入世帯の対象が低所得階層であるにもかかわらず、国が自治体の国保会計に対する補助金を大幅に削減したことが原因です。全国知事会も「国庫負担増額」による抜本的な引き下げを国に求めています。2014年の全国知事会社会保障常任委員長の栃木県知事が、約1兆円あれば協会けんぽ並みに保険料を引き下げることができるという試算を示し、引き下げを要望しています。「公費1兆円」「協会けんぽ並み」という「規模と水準」を初めて示したことが当時の「国保新聞」に報じられました。

 日本共産党は、この全国知事会の「規模と水準」を支持し、公費1兆円で「均等割」と「平等割」の応益割をなくし協会けんぽ並みの保険料にすることを、財源も併せて提案しています。伊丹市でいうと、先ほど示したモデル世帯年間収入300万の世帯で、現行364,200円が186,000円になります(協会けんぽ170,928円)。伊丹市長としてもこの「公費1兆円」「協会けんぽ並み」を国に要求したらどうでしょうか。見解をうかがいます。

4.子ども・子育て支援について

 市長は2018年度の伊丹市民意識調査の結果から、「住みやすい」と回答された方が85%を維持し、「住み続けたい」と回答された方は87.5%と高い割合になったことをあげられました。「住み続けたい」とされた理由は、77.6%が「日常の買い物が便利である」を選び、全世代すべてで第1位となっています。第2位は「通勤・通学などの交通の便が良い」をあげ、これもほぼ全世代で2番目となっています。

 一方、「子育てしやすい環境がある」を選択した30から40歳代の方は29.6%、「教育環境が充実している」とした同年代の方は10.8%に過ぎません。また、市の施策の満足度における同年代の上位5位には子ども施策が入っていないことなどは気になるところです。また、子ども・子育て支援に関する調査結果によれば、子育てしやすいまちだと思わない理由として、「その他」を除いて第1位が「保育所、幼稚園などに空きがない」が42,7%となっており、1番多い「その他」の中では、「医療費助成が少ない、所得制限がある」などが挙げられています。

 そこでお伺いします。

①子どもの医療費無料化

 先ほどの調査結果とともに、「今後力を入れていくべき」の項目でも、「子育てにかかわる経済負担の軽減」が一番を占めています。その背景には、アベノミクス経済対策で就労における非正規雇用の広がり等によってこの間実質賃金が減少していることがあります。伊丹市が全国に先駆けて幼児教育の無償化をおこなったり、来年度予算の中で保育料軽減の提案がされたりしていることには評価をしますが、一定充実したとはいえ子どもの医療費無料化には背を向けたままです。再三にわたって中学卒業までの医療費無料化を要求していますが、子育てアンケートの中にも多くの人が書かれている通り、無料化を実現することが必要と考えますが、見解をうかがいます。

②閉園となる公立幼稚園の跡地利用について

 閉園となる公立幼稚園の跡地利用についてです。来年度予算の中で稲野幼稚園の跡地活用について、児童くらぶと不登校の子どもたちのための適用指導教室に転換するための設計委託料等が計上されました。予算計上までに、地区自治協議会等地元の住民には一切の相談がなく、地域ビジョン作成中の役員にとっては戸惑い以外にありませんでした。

 一方、一昨年来の公立幼稚園の統廃合に関する議論の中で、「公立幼稚園が閉園となる場合、跡地は教育、子育てのために活用するよう努めること」との付帯決議が可決され、市長もこの決議を尊重するとされていました。稲野幼稚園の跡地に関しては、まさに教育、子育てのための利用なので、付帯決議通りになったといえます。しかし、あれほど幼稚園の統廃合で地域住民も含めて議論されていながら、跡地利用について保護者や地域住民に相談なしに決めるものなのか、と疑問を抱くものです。今後はどうされるのでしょうか。お聞きします。

 また、伊丹市独自の幼児教育無償化の財源として財政調整基金を取り崩したことに関して、閉園となる幼稚園の跡地を売却してその穴埋めにするとの方針が出されています。しかし、新たな認可保育所の場所の問題やボール遊びができる公園が欲しいなどの子育て世代からの要望もあり、跡地利用に関する付帯決議を考慮することが必要です。見解をうかがいます。

5.空港問題について

 伊丹空港について、市長は空港需要の高まりへの対応や関西経済の浮揚に向けて、伊丹空港の果たす役割は大きいこと、市民からも国際線就航を希望する声があることから、「伊丹空港の国際化」を県や関西エアポートに働きかけていくとされました。その枕詞には、いつものように「安全と環境の確保を前提としたうえで」との言葉が入っています。

 市民の間では受け止めは様々です。便利になるという人、国際便復活と聞いただけでかつてのひどい騒音を思い浮かべて拒否反応を示す人、環境基準未達成の地域では環境委基準を達成してからにしてという人などです。

 環境基準達成に向けて不断の努力をするという存続協定があるにもかかわらず、騒音値がLdenに変わった2012年からみても、騒音値が減るどころか逆に増えています。環境基準達成に向けた不断の努力がないままに、「安全と環境の確保を前提としたうえで」といって国際便の復活を打ち出しても、多くの市民の理解は得られないのではないでしょうか。見解をお聞きします。

6.児童虐待について

 千葉県野田市の小学4年生の女の子が、父親からの虐待で亡くなりました。その女の子は、父親からの暴力を訴えるSOSを発信していただけに、なぜ命が救えなかったのか、悔やんでも悔やみきれません。児童虐待防止法制定から20年、政府・自治体の対策は取られつつあるものの、以前多くの子どもが虐待の被害にあい、小さな命が奪われている現実はあまりにも深刻です。この事態を受けて法改正の動きも出ていますが、子どもの被害を断ち切るため、各分野での真剣な取り組みが急務となっています。

 児童虐待の疑いがあるとして全国の警察が昨年1年間に児童相談所に通告した18歳未満の子どもの数が、前年比14,673人(22.4%)増え、80,104人となり、過去最高を更新したことがわかりました。通告内容では、「心理的虐待」が全体の71.6%にあたり、児童虐待は犯行が潜在化しやすい傾向にあるともいわれています。

 千葉市での事件の教訓として、児童相談所や教育委員会などの各級機関が、子どもの出しているSOSに気づいていながらも、応えることができずに救済の機会を逃したことです。それぞれの機関に、子どもを守るために必要な基本的な力量が欠けていたとしか言いようがありません。児童相談所の職員が足らないこと、経験と知識を積み上げた専門職としての職員が育っているのかどうかという問題もあります。そこで次の点をお聞きします。

①伊丹市の相談件数と職員数について

 2017年度行政評価報告書によれば、新規児童虐待通告件数が2016年度に392件、2017年度は559件と増加。家庭児童相談室への相談年間相談件数は16年度が801件、17年度は846件となっており、評価では、相談件数の増加や複雑化する相談内容により、対応に時間を要するケースもあったが、適切に対応することができたとされています。対応する職員は、正規のケースワーカーが3人、嘱託職員5名で対応されていますが、継続も含めれば1000人を超える相談に十分対応できるのでしょうか。職員の増員とともに、中でも専門職としての職員を育てるためにも正規職員が必要と考えますが、見解をお聞きします。

②児童相談所等他の機関との連携について

 児童虐待は犯行が潜在化しやすい傾向にあるともいわれており、通告の見極めが大切となります。伊丹市に対する児童虐待の通告をどのような基準で児童相談所に通告され、昨年559件のうち何件通告されたのでしょうか。また、伊丹市では要保護児童対策地域協議会が設置されていますが、潜在化する虐待から子供を救済するうえでどのような役割を果たしているのでしょうか。お聞きします。

③「兵庫県川西こども家庭センター」について

 阪神間の児童相談所である「兵庫県川西こども家庭センター」は伊丹、川西、宝塚、猪名川町を主に所管する相談所ですが、範囲が広く、近年の相談件数の急増に見合っていないと思われます。国も児童福祉司の増員などの体制強化を打ち出していますが、専門性確保のためのスーパーバイザーになる30から40歳代の職員が足らないとの現場の声があり、抜本的に職員体制の強化が必要です。あわせて広範囲の相談所でなく、所管の範囲を小さくしてきめ細かな相談に乗れる体制も必要と考えますが、見解をうかがいます。

7.教育の課題について

 前回教職員の働き方改革について質問をしました。その後、中央教育審議会が答申を出しましたが、異常な長時間労働の解消に必要な教職員増がないなど、不十分な内容に終わりました。教職員の増員は、伊丹市教育委員会も含めて関係者のだれもが一致するところです。中教審の議論の中でも、「持ち授業時間数の上限を」「人材確保、予算確保を」と、多くの委員から定員増を求める意見が相次いで出ていたとの報告があります。にもかかわらず定数の抜本的増が盛り込まれなかったのは、現政権の教育予算の増額につながる提案はさせないという圧力があったと考えずにはおれません。

 一方、教育にとって不要不急な業務の改善は直ちに実行可能なこととして重要です。しかし、定員増なしで現在の大幅な残業時間をなくそうとすると、無理が来ます。「効率」や「時短」だけが声高に叫ばれれば、必要な授業準備や子どもへの丁寧なかかわりが問題視される本末転倒となります。そこでいくつかお聞きします。

①教師の研修権

 教職員は教育の専門家であり、子どもに向き合い、学習権を保障し、子どもの発達を支援する役割があります。したがって、教師の専門性を発揮できる働き方はどういうことなのか、という議論が先にあり、そのために労働時間をこうしましょう、というのが筋です。具体的には、教師の研修権がしっかり認められることです。伊丹市教育委員会はどんな議論がされているのでしょうか。

②教職員の働き方に関する議論も必要では

 教職員の労働条件は、子どもたちの教育条件でもあります。となれば、教職員の働き方をどうするのか、学校の守備範囲をどうするのか、これらを生徒や保護者、地域の人たちと議論しながら、共通の方向性を探っていくことが求められます。そういう意味での意識改革は必要で、学校評価はより開かれた学校にしていくための対話の手段であるべきです。来年度予算提案で、今年度末までに、全小・中・高等学校26校をコミュニティ・スクールとする手続きを終え、その充実を図るとされましたが、ここでの教職員の働き方に関する議論も必要ではないかと考えますが、見解をお聞きします。

③全国学力テスト至上主義ともいえる体制

 伊丹市教育委員会は、全国学力テスト至上主義ともいえる体制をとり、さらに市独自のテストを行っていますが、このことに関する教職員の負担があるのではないでしょうか。なぜ毎年受けなければならないのか、5年に1回でも十分教育の傾向はわかるはずです。働き改革の立場からも検討すべきですが、見解をうかがいます。

④市として可能なところから少人数学級を

 党議員団は、国がやらないのであれば、当面、県の制度として中学3年生まで35人学級の実現を求めています。伊丹市議会も小学校6年生までの35人学級の実現を求めて意見書を県に送っています。少人数学級の実現は、不登校や児童虐待など子どもの困難に対するちょっとした変化にも目が行き届き、スクールソーシャルワーカーなどとも連携した対応をすぐにとることが可能です。子どもの困難な面だけではなく、学びへの支援にもよりきめ細かく支援が可能です。伊丹市教育委員会としては様々な学習・生活支援のための職員の配置は行ってこられていますが、県がやらないのであれば、伊丹市として可能なところから、とりあえず小学校6年生まで少人数学級、35人学級に足を踏み出すことはできないでしょうか、見解をうかがいます。

(2回目の発言)

1.市長の情勢認識を問う

1)今年10月からの消費税10%増税について

○そもそも社会保障の財源確保には消費税増税しかないという発想の貧困。社会保障財源のためといって消費税を創設し、8%まで増税してきたけど、社会保障費の自然増部分は減らされっぱなし。広く負担というけど最大の不公正な税金が消費税。

2)安倍首相の9条改憲と自衛官募集事務への協力

○安倍首相が「新規隊員の募集に対して都道府県の6割以上が協力を拒否している」などとしたことは、自治体の自衛官募集事務の実態を捻じ曲げたものであり、その事実誤認のもとに、憲法9条改憲で自衛隊を明記すれば自衛隊募集事務に協力するようになるとの認識を述べたものです。答弁で「憲法9条改正の問題とは直接つながってこないのでは」とされましたが、安倍首相はそう思っていないのであって、そこに9条改憲の一つの狙いがあることを述べたということ。

○自衛官募集における自衛隊法97条と同法施行令120条の規定に関しては、憲法学者の間でも「そもそも(法律ではなく)政令である施行令により自治体に義務を課し、人権を制約することはできない」「個人情報保護の観点からも、プライバシー権の中核にある自己情報コントロール権に対する侵害になる」という意見があります。答弁で、石破氏の答弁では義務とも任意とも言っていないとされたが、その答弁で、依頼に対して「応えられないということであれば、いたしかたない」というのは、どう読んでも「任意」としか受け止められない。一方、集団的自衛権行使を認めた安保関連法の成立で、「駆けつけ警護」など海外で戦争できる自衛隊に変わった今、個人情報保護の観点、自己情報コントロール権の侵害という立場から慎重に対応しなければならない問題であることを認識していただきたい。

2.市立伊丹病院と近畿中央病院の統合を視野に入れた共同調査について

 そもそも統合には反対だが、あえて調査をするならば、再度の質問をしたい。

1)正確な医療需要調査

○「報告書」では病床数を500から600床とされたが、これにこだわらずに必要な病床規模を調査するという理解でいいのか。

○回復期に関しては、「報告書」ではその500から600床の規模には回復期は含まれず、「統合」後の病院以外で回復期病床の必要性に言及していると思われる。回復期に関しては「注視」するとしか言及しているにすぐない。答弁で、改めて回復期も含めて必要な病床数を分析するとされるが、その結果を反映したうえで「必要な病床の確保に努める」とは、回復期も含めることができるのか、そのことによって二つの病院としてどういうことが想定されるのか、「統合」の可否にどう影響すると考えるのか。

2)統合の可否の判断

○答弁では、全市的な市民の意向を踏まえた検討がされたというが、「検討委員会」に公募市民二人が入ったことと、アンケート調査により全市民的な意向を踏まえた検討がなされたとの認識は間違い。「検討委員会」が非公開であったこと、議事録が2,3か月後に公開されたこともあり、「報告書」が出されたときにほとんどの市民は、統合を前提とした協議が始まることなど知らなかった。「報告書」提出の後で広報等によって知らされたのが現実。市民にとって命に係わる地域医療のあり方の問題なので、改めて何が議論されているのかを知らせ、市民的な議論は必要と考えるが。

3)統合する場合のデメリット

○異なる設置主体同士の「統合」の可否判断になるが、答弁の通りそんな簡単なことではない。まして「統合」となると民営化も視野に入り、市立伊丹病院も近畿中央病院もなくなる可能性もでてくるのではないか。

4)検討委員会の実施

○先ほどの市民の中での議論と重なる。答弁では、今後どのような方法をもって市民の意見に耳を傾け、検討に反映していくか、様々な手法を検討すると。「報告書」を出した「検討委員会」の結果に基づき、今後検討する際には市民の意見を踏まえたものにするということなので、その手法は市民にいち早く知らせてほしい。

3.高すぎる国民健康保険税の引き下げを求める

○伊丹市の基金を活用して国保税の引き下げを行うこと、国に対して均等割、平等割をなくし、協会けんぽ並みにするために1兆円の公費を要求するとともに、伊丹市として均等割の減免制度を創設することを求めました。
 国保税が被保険者の大きな負担となっていることは当局も認めていること。私たちが取り組んでいる市政アンケートでも、市政に望むことの中で「国保税の引き下げ」が43.2%を占めている。今以上負担を増やさないことだけではなく、少しでも負担を減らすにはどうしたらよいのか、もっと考えるべき。会計だけに目が行って、被保険者の暮らしに目が行っていない。

4.子ども・子育て支援について

1)中学卒業までの医療費無料化を

 答弁では、経常経費が約1億5千万円必要なことという財源の問題、一部負担金を設けないことで不要不急の受診行動が促進されること、この二つが中学卒業まで医療費を無料にすることができない理由とされた。

 兵庫県下41市町のうち35市町が中学卒業まで無料化。県下のある市長は「ほぼ義務教育のようになった高校生までは、本来無料であるべきだ。市民の意識改革を進めれば医療費も増えない」と。一方、県内のある自治体の担当者は「助成内容を見て、住むまちを決める子育て世帯がいる。財政的には苦しいが、近隣が制度を拡充すれば、追随せざるを得ない」と漏らす。との新聞報道(神戸新聞)。

 答弁での「不要不急の受診行動が促進される」とのことだが、裏を返せばお金のことで気軽に医療にかかれない世帯があるということであり、無料化によって重症化を防ぐことにもなるのではないか。そもそも「不要不急」かどうかは素人には判断できない。

 答弁ではできない理由二つをあげられたが、財源があっても「不要不急」の受診を防ぐためにやらないのか、それとも財源のめどがつけばできるということなのか。どちらなのでしょうか。

5.空港問題について

○個人質問で服部議員が質問するので。

6.児童虐待について

○伊丹市の相談員は昨年度増員が図られたとのこと。しかし、答弁にもあった通り、子どもだけではなく保護者等の対応もあり、ストレスなどの負担も大きい仕事で、8人で1192人のケースを担当することは相当無理があるのではないかと思う。相談件数も増加傾向にあることから、さらに職員を増員されることを求める。

7.教育の課題について(教職員の働き方改革)

○コミュニティ・スクールについて
 教員は心を砕いて子どもの教育に頑張っている。国が定数改善をしないことから、過労死ラインを超えて働いている。そのことを胸襟を開いて地域住民・保護者と話し合えば、新しい発見はあると思う。地域の人にも実情をわかってもらえる。

○全国学力テスト
 答弁では、学力テストによって教員への負担を強いるものではないと。しかし、心理的な負担はあるのでは。それが日常の意教育にどんな影響があるのか。すべてが学力テスト基準になっていること。

○35人学級
 県・国に対して要望してもなかなか聞き入れてくれないとの答弁。そもそも全国学力テストに毎年50億円使っている。定数改善に回したほうがいいのでは。

2018年12月議会 加柴優美:請願賛成討論 治安維持法犠牲者国家賠償/消費税増税中止/後期高齢者の窓口負担原則1割

2018年12月議会 請願賛成討論

2018年12月21日
日本共産党伊丹市議団 加柴優美

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して上程となりました請願第10号から14号に対して賛成の立場から討論を行います。

治安維持法犠牲者国家賠償法(仮称)の制定を求める請願

 はじめに、請願第11号「治安維持法犠牲者国家賠償法(仮称)の制定を求める請願書」についてであります。

 「治安維持法」は1925年、暴力行為をとりしまる目的ではなく、「国体の変革」や「私有財産制を否定する」運動を取り締まることを目的として制定されました。そして1928年最高刑を死刑にする大改悪とあいまって、最大の暴力である戦争への道を突き進む役割を果たしました。

 治安維持法による弾圧犠牲者については請願書の通りですが、兵庫県下では哲学者・三木清以外にも、姫路出身の著名な作家・椎名麟三氏、俳優永井智雄氏などがおられます。

 治安維持法は国民の当然の願いを権力で踏みにじり、国民の声を封じ戦争拡大を容易にしました。その結果日本は15年にわたるアジア・太平洋での戦争で、日本とアジアの人にはかりしれない惨禍をもたらしました。

 日本はポツダム宣言を受諾して終戦を迎えたことにより、治安維持法は反人道的、反民主的で軍国主義を推進した最大の悪法として廃止され、この法律によって「有罪判決」を受けた人々は無罪となりました。にもかかわらず戦後日本の歴代政府は、治安維持法が人道に反した悪法であったことを、いまだに認めようとはしていません。

 1993年10月に開かれた日本弁護士連合会・人権擁護大会の基調報告は、「治安維持法犠牲者は日本の軍国主義に抵抗し、戦争に反対したものとして・・・その行為は高く評価されなければならない」と指摘し、「速やかな賠償措置の実現」の必要性を法理論的に明らかにしています。すでに生存する犠牲者はわずかな人数になっており、国が治安維持法の誤りを認め、謝罪することは急を要します。 諸外国では、ドイツは「戦争犯罪人と人道に反する罪は時効がない」という国際法にもとづいて、今も戦犯を追求し、犠牲者に謝罪し賠償を行っています。

 よって、国が治安維持法犠牲者の名誉回復をはかり、謝罪と賠償を行うことを求める請願趣旨は妥当であり賛成するものです。

国に対して「消費税増税中止を求める意見書」の提出を求める請願

 次に請願第12号「国に対して「消費税増税中止を求める意見書」の提出を求める請願書」についてです。

 まず前提として、消費税増税の口実が崩れ去っていることです。消費税は30年前の1988年に導入の決定が強行され、89年4月に税率3%で開始されて、5%、8%と引き上げられてきました。「安定財源の確保」や「社会保障対策」が理由でしたが、実態を見ればそれらは破綻し、増税のたびに消費の落ち込みや景気の悪化を招いてきました。

 すなわち消費税導入から2017年度までの消費税収は累計349兆円に上るのに、減税などによる法人税の減収は281兆円です。消費税収の8割は法人税減税・減収の穴埋めに使われ、税源として役立っていません。2014年4月に消費税率を5%から8%に引きあげましたが、安倍政権だけでも大企業に4兆円以上の減税をしています。

 その一方、社会保障は改悪の連続で、安倍政権になってからの6年間だけでも、高齢化などで必要な社会保障予算のカット・抑制や年金、医療、介護の制度改悪で、社会保障予算は3.9兆円も削減されました。逆に毎年増え続けた軍事費はついに5兆円を突破しました。「社会保障のため」というのは大きな偽りであります。

 また請願にもあるように、「軽減税率」など政府の消費税対策は中小業者を苦しめるものばかりであります。

 政府が、来年10月から強行しようとしている消費税増税に向けた対策をまとめました。すでに決めている食料品などの「軽減税率」導入に加え、キャッシュレス決済での「ポイント還元」、マイナンバ-カ-ド利用者の買い物時の「ポイント加算」、「プレミアム商品券」など、これまでいわれてきた対策を並べただけです。消費税を増税しながら、巨額の予算を投じて対策をとるなど筋が通りません。政府は消費減や中小業者への対策だといいますが、たとえば中小商店がキャッシュレス決済などに対応するには、新たな設備や体制が必要です。中小業者は新たな出費が迫られるなど、逆に中小業者を苦しめるものばかりです。

 また地方自治体にはコスト上昇による歳出の増加、また市立伊丹病院では診療報酬に課税ができず、消費税にかかる特別損失が増大することなど深刻な影響を与えることになります。

よって本請願趣旨はきわめて妥当であり賛成するものです。

後期高齢者の窓口負担原則1割の継続を求める意見書採択についての請願

 次に請願第14号「75歳以上の後期高齢者の窓口負担原則1割の継続を求める意見書採択についての請願書」についてであります。

 安倍政権は、75歳以上の後期高齢者の窓口負担を来年10月から原則2割に引き上げるとの閣議決定をしたとの報道がありました。

 経済的理由により必要な医療受診ができない高齢者が増えているといわれています。政府は公平な負担をと言いますが、そもそも多くの高齢者の生活は引き下がる年金、消費税増税などによりますます苦しくなっています。そのうえ、年齢を重ねるごとに様々な病気や身体的障害が増え、医療を必要とする機会が増えてくるので、医療費の窓口負担は次第に高齢者の生活を圧迫してくることは必定です。残念ながら高齢者は客観的に生理的な公平性を欠く状況だということを政府は認識すべきであります。

 高齢者の方々は戦後の復興期に身を粉のようにして働き今日の日本社会を築いてきました。せめて安心して必要な医療を享受できるようにすることは憲法25条を掲げる国の責任ではないでしょうか。

 請願書によれば、高齢夫婦無職世帯では、生活費などが毎月約5.5万円不足し(総務省「平成29年家計調査報告」)、貯金を取り崩して生活せざるを得ず、また「平成28年国民生活基礎調査」によると「貯金なし」の高齢者世帯は15.1%にのぼるという、実情があります。

 また、高齢者の多くは、糖尿病や高血圧などの慢性疾患を抱えており、健康を維持するためには継続的な通院が不可欠であり、医療機関で支払う窓口負担は高齢者の生活にとって、重い負担となっています。

 県下の医療機関の8割が、原則1割負担である75歳以上の患者窓口負担を2割へ引き上げることは「受診の抑制につながる」と回答し、これ以上の窓口負担の引き上げにより、高齢者が必要な医療を受けられず、疾病を悪化させることを開業医師・歯科医師方々が懸念されています。
よって、本請願趣旨「後期高齢者の窓口負担原則1割の継続」はきわめて妥当であり、賛成するものです。

 請願第10号「夜間中学校設置自治体の財政負担を軽減するために兵庫県が積極的に役割を果たすことを求める意見書提出の請願」および請願13号「『小学校5年生から中学校3年生まで、当面35人学級の実現』を県に要望することを求める請願書」については、意見書案で述べた通りであります。

 以上、5つの請願に対し議員各位のご賛同をお願いし意見といたします。

2018年9議会 :パートナーシップ制度創設への請願に賛成討論

2018年9議会 :パートナーシップ制度創設への請願に賛成討論

「同性カップル等に対しての差別の解消として今後国や他自治体の動向を注視しつつパートナーシップ制度創設への研究や差別解消のためのより一層の相談、啓発活動の取り組みを求める請願書」に対する賛成討論

2018年10月
日本共産党伊丹市議会議員団

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、議題となりました請願第9号「同性カップル等に対しての差別の解消として今後国や他自治体の動向を注視しつつパートナーシップ制度創設への研究や差別解消のためのより一層の相談、啓発活動の取り組みを求める請願書」に対して、賛成の立場から討論します。

 本請願書は、同性カップル等、いわゆるLGBTへのパートナーシップ制度創設の研究や相談、啓発活動の取り組みを求めるものです。

 「自治体にパートナーシップ制度を求める会」を中心とした有志のメンバーらは、今年5月から6月にかけてそれぞれが住む27の自治体で、パートナーシップ制度等の導入を求める請願、陳情、要望書を提出されています。その世話人のひとりである、明治大学の鈴木賢教授は「LGBTはこれまで社会制度から排除されてきた、その典型的な場面が法的な家族からの排除」だと指摘されています。諸外国では同性カップルにも法的な家族としての保障を行っており、G7の中で同性婚も同性パートナーシップ法もないのはついに日本だけとなっています。このように、国際社会では性が多様であることを法制度に反映し、多様なライフスタイルの選択をみとめ、人間の尊厳を保障するようになってきています。

 一方、日本でも自治体から同性パートナーを公的に認証する制度が広がりつつあり、現在10の自治体で施行されてさらに広がっています。これらの制度は、直接的な法的効力はないものの、企業や社会に与える効果は大きく、同性カップルを事実上の家族として扱う動きが広がるとともに、性のあり方が多様であることを世の中に伝える上で、強いインパクトを持つものとなっています。

 パートナーシップ制度は、近隣では宝塚市、大阪市など、パートナーシップ登録制度、パートナーシップ宣誓書、パートナーシップ証明書等、創設された自治体によってさまざまな形態をとっています。これらはいずれも同性をパートナーとして公的に認めるものとなっています。

 伊丹市においても、多様なライフスタイルの選択をみとめ、人間の尊厳を保障し、性の多様性を社会制度に反映する必要があると認識することから、本請願は妥当と考え、賛成するものです。

 議員各位のご賛同をお願いしまして討論とします。

2018年6月議会 服部よしひろ:「核兵器禁止条約」批准を求める意見書に賛成討論

請願第8号―「核兵器禁止条約」に署名・批准を求める意見書提出のお願い の賛成討論

2018年6月28日 日本共産党議員団 服部よしひろ

 議長の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、請願第8号に賛成の立場から討論を行います。

 広島・長崎の原爆被爆から72年目の昨年7月、国連で122か国の賛成のもと「核兵器禁止条約」が採択されました。そしてこの核兵器禁止条約に調印した国は今年6月7日ドミニカ共和国を含めて59か国となり、批准した国は10か国となっています。

 世界はいま、核兵器のない世界に向けて歴史の新しいステ-ジに立っています。核兵器を明文上も違法化した核兵器禁止条約が成立し、「核兵器のない世界」への新たな展望が開かれようとしています。

 3月2日に可決した長野県議会の意見書は、禁止条約が核兵器廃絶の担い手として被爆者を明記したことは「核兵器のない世界を求めてきた日本と世界の世論に誠実に応えるものであり、歴史的な前進」だと評価し、「日本が禁止条約に参加しないことに失望や批判の声が広がっている」と述べ、「唯一の戦争被爆国であるわが国には、率先して核兵器禁止条約に参加し、核保有国と非保有国との橋渡しを行うことが求められる」として署名と批准を求めています。
原水爆禁止日本協議会の調べによりますと、核兵器禁止条約が国連で採択された昨年7月7日以降、日本政府に対して禁止条約への署名や批准、参加などを求める地方議会の意見書可決が、今年4月1日現在、239に上っており、全自治体数(47都道府県と1741市区町村)の1割を超えています。

 日本政府はこうした声を真摯に受け止め、唯一の戦争被爆国として地球上の核兵器廃絶に向けて主導的な役割をはたすべきだとの請願主旨はまことに妥当であり、賛成するものです。

 昨年7月7日に国連で採択された「核兵器禁止条約」はどういう特徴を持っているか。

 1つには、この条約は必ずしも実際に存在する核兵器を直ちになくすものではありません。そうではなく、核兵器は残虐兵器であり、残虐兵器である核兵器を非合法化するという点です。

 2つには、核不拡散条約(NPT)条約の欠点である保有国と非保有国の不平等性を改めた、という点です。

 3つには、核兵器に関わる主要な活動、生産・保有・移転・移転の受領・使用と威嚇・支援と勧誘など、ほとんどを明確に非合法化し、同時に核兵器被爆者、被害者への支援が締約国に義務付けられている点です。

 4つには、核兵器保有国が一つも参加しなくても条約が発効するという点です。日本政府は「核兵器保有国も同意できる内容でないと非現実的だ」「コンセンサスが必要だ」と署名も批准も拒否しています。確かにNPT条約は核保有国5か国を含む44か国の批准で発効することになっており、核保有国の同意がなければ発効しませんが、この条約では核保有国に関係なく50か国の批准で発効することになっています。保有国が参加しなくても核兵器禁止が法的に効力を発揮します。

 あえて言うなら、日本政府のいう核兵器保有国も含む合意は、NPT締結で核兵器はかえって増大し、1995年以来のNPT再検討会議での交渉は20年経てもほとんど進展せず、核兵器廃絶は実現できていません。

 日本政府に求められているのは、唯一の「戦争による被爆国」であり、多くの被爆者の苦しみをわが事として受け止めることであり、その思いを国際社会に向けて発信し、世界から核兵器の脅威をなくすために努力することではないでしょうか。そのためにも、世界の核兵器禁止の流れに遅れることなく、速やかに署名・批准すべきと考えます。

 今回、「伊丹市原爆被害者の会」から提出されている請願は、被爆の当事者からの請願であり、当、伊丹市議会として、「私たちの苦しみをほかの人に味あわせたくない」という思いを重く受け止めるべきと願っています。

 重ねて、議員各位のご賛同をお願いいたしまして、請願への賛成討論といたします。

以上

杉一議員の反対討論要旨

1、 政府が進める核軍縮、核不拡散の立場が一貫している。その実現のために保有国・非保有国の実践的に取り組みを進めていることに賛同している。

2、 保有国が参加していない、非保有国だけで進めることは対立をより深めることになるのでは、との意味で両者の協力を重視する政府の立場から考えても合致しない。対立増進の効果になる

3、 日本政府は、CTBTにおいて調整国、共同議長国を務めてリードしている。核分裂物質禁止専門家パネル21か国の一つに選ばれた。G7広島宣言でイニシアティブ発揮し、日本政府は先頭を切ってリードしている。

4、 被爆地、ヒバクシャをかかえる唯一の国であり、ヒバクシャの声に耳を傾け努力を続けなければならない。その中での政府の立場は重要。現実的、実質的な不拡散の努力を進めている政府の決断に賛同する。

談話 

歴史的な米朝首脳会談を心から歓迎する

朝鮮半島の非核化と平和体制の構築へ合意の実行を

一、6月12日、シンガポールで米国のドナルド・トランプ大統領と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正恩国務委員長による米朝首脳会談が歴史上初めて行われ、両首脳は共同合意文に署名した。

 「合意文」は、米朝両国がこれまでの敵対的関係ではなく、「平和と繁栄のための両国民の要望に基づき、新しい米朝関係を構築する」こと、「朝鮮半島における持続的で安定した平和体制を構築する」こと、「朝鮮半島の完全な非核化のために努力すること」など4ツの項目からなっている。

 日本原水協はこれまで一貫して、平和的手段による問題解決を主張し、また、朝鮮半島の非核化は、北東アジア地域の平和体制の構築を一体的・包括的に進めるべきことを提起してきた。両者が、こうした点に立って、「両国間の数十年におよぶ緊張と敵対関係を越え、新しい未来を開く」ことを決意し、「共同合意文の項目を完全に、そして迅速に履行することを約束」していることを心から歓迎する。

 我々は、両国が、速やかに「合意」を具体化し、誠実に履行することを強く求める。

一、今回の歴史的な首脳会談を通じて、対話による問題の平和的解決こそが、真に問題の解決に通じる手段であることが改めて示された。「話し合いは時間の無駄」、「最大限の圧力を」という、日本政府の力ずくの対応の危険性と破たんは明らかである。

 政府は、「日朝平壌宣言」などこれまでの合意に基づき、朝鮮半島の平和と非核化、日朝関係の正常化のために誠実に努力するとともに、唯一の被爆国として、アジアのこの地域でも核兵器のない世界の流れを強めるよう力を尽くすべきである。

一、4月の南北首脳会談と今回の米朝首脳会談によって開始された、朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和体制の構築、平和のプロセスを実らせるためには、関係各国と国際社会の協調、なによりも核兵器のない世界を求める世界諸国民の世論と運動が重要である。日本原水協は唯一の被爆国の運動として、目前にせまった原水爆禁止2018年世界大会の成功をはじめ、世論と運動の前進に全力を尽くすものである。

2018年6月13日   原水爆禁止日本協議会事務局長 安井正和