2019年9月議会 上原秀樹:本会議討論

2019年9月議会 本会議討論

2019.9.24
日本共産党議員団 上原秀樹

 日本共産党議員団を代表して、議題となりました議案のうち、議案第85号及び第87号に対して反対の立場から討論します。

 はじめに議案第85号 伊丹市個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例についてです。

 本条例の改正は、生活保護法における進学準備給付金の支給に関する事務と災害対策基本法による罹災証明書に関する事務において個人番号を利用するために、別表第1、第2を改正しようとするものです。

 マイナンバーは、赤ちゃんからお年寄り、在日外国人を含め国内に住民登録したすべての人に12桁の番号を割り振り、税や社会保障の行政手続きなどで使わせるという仕組みです。安倍政権は「国民の利便性が高まる」「行政の効率化につながる」と盛んに宣伝しますが、国民には浸透していません。

 そればかりか、近年、個人情報流出が問題となっています。今年に入ってからも、ファイル転送サービス「宅ファイル便」において顧客情報約480万件が外部漏洩したほか、トヨタ自動車株式会社の販売子会社やユニクロでの顧客情報の流出や、イオンカードの不正ログインによる総額約2,200万円の不正利用も確認されています。また、昨年2月には横浜市鶴見区役所でマイナンバーカード78枚と交付用端末PC1台が盗まれる事件も起きており、マイナンバーの情報漏えい事案も年々増えて、個人情報保護が課題となっています。

 このような中で、マイナンバー制度は開始から4年目に入りましたが、国の情報管理への警戒感、手続きのわずらわしさなどから、ほとんど活用されていません。「マイナンバーカード」を取得した人も、全国的に住民の約14%、伊丹市でも約20%にとどまります。内閣府が昨年末に発表した世論調査では「取得していないし、今後も予定はない」が53%でした。理由は「必要性が感じられない」が6割以上で、個人情報の漏えいやカードの紛失や盗難を心配する意見も少なくありません。不安が根強いことを浮き彫りにしています。

 情報は集積されるほど利用価値が高まり攻撃されやすく、情報漏えいを100%防ぐ完全なシステム構築は不可能です。意図的に情報を盗み売る人間がいる中で、一度、漏れた情報は流通・売買され、取り返しがつかなくなります。

 よって、本条例改正によって、新たに個人番号の利用を広げようとされることに反対とします。

 次に、議案第87号 伊丹市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。

 今年3月議会で成立した本条例は、地方公務員法と地方自治法の改正により、特別職非常勤、臨時的任用で法律の要件にそぐわない任用が広がっているという認識のもとに、任用要件を厳格化し、会計年度任用職員制度を創設、同時に地域手当等の各種手当の支給ができるようにしたことで、一定の改善といえるものでした。

 今回の改正は、条例改正後わずか6カ月しか経過していないなか、しかも施行前に、総務省の技術的助言によって一部改正しようとするものです。その内容は、教職調整額の削除によって超過勤務手当を支給すること、期末手当を常勤職員と同様の2.6カ月分とすること、給与と報酬の規定を規則委任ではなく条例に定めるなどの改正を行おうとするもので、3月議会で成立したことと今回の改正による処遇改善によって、一般会計で約1億5千万円の人件費が改善されるものです。

 しかし、3月議会でも指摘したとおり、この制度の問題点として、第1に、相変わらず年度末に任期が終了する有期の任用であることです。このことは雇用の安定化の面では根本的解決にはなっていません。第2には、会計年度任用職員の二つのタイプ、フルタイムとパートタイムで支給される手当に格差があることです。第3に、来年度、会計年度任用職員に移行することにはなっても、正規職員の拡大にはつながらず、根本的な解決にはならないことです。答弁でもありましたが、会計年度任用職員の対象となる職員数は、今年の4月1日時点で一般会計においては、嘱託職員380名、臨時職員822名で合計1,202名、正規職員数1,304名ですから約半数が非正規職員です。また、給与にも正規職員との格差は依然として大きいものとなっています。今後、さらなる給与引き上げと雇用の安定化を図ることができるような法整備と条例化を求めるものです。

 よって、本条例改正は一定の改善を評価しながらも、以上の問題点を指摘し、反対とするものです。