2020年3月議会 上原秀樹:『選択的夫婦別姓の導入』請願賛成討論

2020年3月議会 本会議

請願第1号『選択的夫婦別姓の導入の一日も早い民法改正』を国に求める意見書の提出を求める請願への賛成討論

日本共産党伊丹市議会議員団 上原秀樹

 日本共産党議員団を代表して、議題となりました、請願第1号「『選択的夫婦別姓の導入の一日も早い民法改正』を国に求める意見書の提出を求める請願」に対して賛成の立場から討論します。

 本請願は、選択的夫婦別姓制度導入に関し、世論調査でも賛成が7割を占め、国連女性差別撤廃委員会からも再三の勧告を受けていることや日本国憲法上の要請からも、一日も早い民法の改正を国に求める意見書の提出を求めています。

 日本共産党は、すでに1987年から、希望すれば別姓を名のることができるように民法改正を政府に求めるとともに、民法の一部を改正する法律大綱も提案してきました。そして、1996年2月の法制審議会総会の決定事項には、民法第750条の改正、すなわち選択的夫婦別姓制度を含む民法の一部を改正する法律案要綱が盛り込まれました。その後24年間、歴代政権はこの答申に基づく民法の一部改正を、国会に上程してきませんでした。

 しかし、今日、日本社会の中に「別姓を望む人に選択の自由を与えてもよい」という合意が形成されてきています。2017年の内閣府の調査では、選択的夫婦別姓のために法律を変えても構わないが42.5%、反対が29.3%となっていました。ところが、今年1月25、26日に朝日新聞社が実施した全国世論調査では、選択的夫婦別姓について、69%が「賛成」と答え、「反対」24%を大きく上回っています。自民支持層でも63%が賛成し、反対は31%と、大きく国民の考え方が変わっています。

 一方、2015年12月の最高裁判所大法廷は、夫婦同氏の強制を定める民法第750条は、憲法に違反するものではないと判断しました。その理由は、婚姻の際の「氏の変更を強制されない自由」は憲法上保障されていないこと、個人の尊厳と両性の本質的平等という憲法第24条の要請に照らして夫婦同氏の強制が合理性を欠くとは認められないなどがあげられました。

 しかし、1996年2月の法制審議会答申の民法改正案作成に関わった、元法務省民事局参事官で弁護士の小池信行氏は、91年から5年間、各界からの3回に及ぶ意見聴取の結果、民法を改正して選択制夫婦別姓制度を正面から採用するに至った経過を述べています。それは、「姓は人が個人として尊重される基礎であり、個人の人格の一部である」「婚姻によって姓を改めなければならないとすることは人格権の侵害につながる」というのが最も多かったと言われています。

 2015年の最高裁大法廷判決においても、5名の裁判官が、民法第750条は憲法第24条に違反するとの意見を述べています。そのうちの一人の女性裁判官は、夫婦同氏の強制によって個人識別機能に対する支障や自己喪失感等の負担がほぼ妻に生じていることを指摘し、その要因として、女性の社会的経済的な立場の弱さや家庭生活における立場の弱さと、事実上の圧力など様々なものがあることに触れており、夫婦同氏の強制が個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚した制度とはいえないと説示しています。

 当時の日本弁護士連合会の菊池会長は、会長声明で次のようにの寝ています。「民法第750条は、憲法第13条及び同第24条が保障する個人の尊厳、同第24条及び同第13条が保障する婚姻の自由、同第14条及び同第24条が保障する平等権を侵害し、女性差別撤廃条約第16条第1項(b)が保障する「自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする同一の権利」及び同項(g)が保障する「夫及び妻の同一の個人的権利」にも反するものである」と。私はこの考えに賛同します。

 最高裁判所判決は、民法第750条は憲法に違反しないとしましたが、一方では国での議論を促しています。このことは、5人の裁判官が「憲法に違反する」との意見を表明されたことや、女性差別撤廃条約等国際的な人権尊重の考え方への認識の発展があったことによるものです。選択的夫婦別姓によって誰も不利益を受ける人はいません。

 さらに、請願趣旨にも書かれている通り、2015年の政府答弁では、世界で夫婦同姓を法律で義務付けている国は日本がけであり、国連女性差別撤廃委員会が繰り返し、同姓強要は「条約違反」として、法改正を勧告していることからも、国は、別姓を選択する自由を認める選択的夫婦別姓制度の導入を求める声に応えるべきです。

 よって、請願の含意は妥当と考え、賛成とするものです。
 議員各位のご賛同をお願いしまして、請願への賛成の立場からの討論とします。