2021年12月議会:上原秀樹 議案質疑 伊丹市公設市場の指定管理者

2021年12月議会 議案質疑

2021年12月
日本共産党伊丹市議会議員団 上原秀樹

議案第101号 伊丹市公設市場の指定管理者の指定について

 本議案は、伊丹市公設市場の指定管理者に、株式会社伊丹公設市場管理センターを指定しようとするものです。次の点をお聞きします。

① 指定管理者の指定にあたって、公募とされた理由。

② 選定結果によると、2,000点満点のうち1216点で60.8%。前回は59.8%で、基準となる5割は超えているが、低い評価点となっている。このことに対する見解と対応。

③ 選定基準のうち「②適正な収支のもとで市への納付金を確保する提案であるか」の得点が、400点中58点となっているが、このことに対する見解。

④ 人員配置で、前回の申請概要では統括責任者として役員1名、2名の正社員と3名のパート社員となっていたが、今回の申請概要では、統括責任者として役員1名、2名の正社員と2名の派遣社員となっている。その理由は何か。

⑤ 収支計算書では、人件費が前回の3年間は12,248となっていたが、今回は初年度が7,045、次年度以降6,941とされたのはどんな理由か。

(2回目)

① 公募とされた理由については、基本指針等によって「原則公募」とされていること等が理由であると。しかしこの指定された法人は、もともと事業協同組合として公設市場にかかわってきた団体が市場を管理することを目的に新たに法人化したもの。公募とした理由で、民間事業者の有する経験を生かして管理運営を行うことが可能である施設とされたが、指定された法人が一番市場管理の経験を持っているということになる。従って、特定指定でも問題はないとも解されるが、改めてこの件に関する見解をお聞きする。

② 「市の納付金を確保する提案」については、あまりにも得点が低すぎることへの疑問としてお聞きした。答弁をお聞きして、得点の設定が適正の評価は別にしてとして低得点の理由は分かった。2020年度決算における納付金は約402万円、2021年度予算は400万円。人件費のこともお聞きしたが、経費削減で人件費を抑制する意図があるのではと危惧したところ。納付金の確保でどんなことを期待されてこの基準とされたのか。 

(参考資料)
公の施設の指定管理者制度導入にかかる基本指針

(2)指定管理者の指定

 指定管理者の指定を行うに当たっては、原則公募によることとし、地方自治法第244条の2第3項の規定に基づき、公の施設の設置目的を効果的に達成する観点から、法人その他の団体を問わず、広く募集の上、指定管理者を指定する。

 なお、現行の管理委託団体においても例外ではなく、当該団体の必要性、役割についても原点に戻った検討を行うとともに、一層の専門性やサービスの向上、経営の合理化 を図るものとする。

 ただし、以下の場合については、特定の団体を指定することができる。

① 市民参画・協働のため、地域の人材を活用する場合や特定施策の一体的な推進のため、 特定の団体以外ではその推進が困難であると認められる場合。
② 併設の施設において、一体的に管理した方が、安定的・効率的に運営できると認められる場合や、PFI法の活用により、一定期間、施設の管理運営を特定団体に指定する場合。
③ 公募による応募がなかった場合や選定基準を満たす応募者がなかった場合。

 

2021年12月議会:上原秀樹 一般質問 新型コロナ 気候危機打開 ヤマサクラ81

2021年12月議会 一般質問

2021年12月9日
日本共産党伊丹市議会議員団 上原秀樹

1.新型コロナウイルス感染症対策について

 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染者の報告が世界各国で相次ぎ、世界44カ国に拡大しています。世界保健機関(WHO)は、世界的なリスクは非常に高く、さらに拡散する可能性があると指摘し、日本の国立感染症研究所でも警戒度が最も高い「懸念すべき変異株」にリスク評価を引き上げました。オミクロン株の感染力の強さや重症化リスク、ワクチン効果への影響など詳細はまだ分かっていません。それだけに、監視の体制を強め、性質や危険性について解明することが急がれます。

 水際対策では、各国で次々と感染者が確認されている中で、日本でも入国検査でつかめなかった感染者がいる可能性も念頭に置く必要があります。変異株かどうかを早期につかむためのPCRをはじめとする検査体制の拡充・強化、ゲノム解析の徹底などが求められます。

 いま日本国内の感染は落ち着きをみせています。こういう時だからこそ、保健所や医療が危機時に機能するかをチェックし、不十分な医療・検査の体制を整えるために力を注ぐ時です。

 感染数の減少の中で、行動制限が緩和されてきていますが、感染状況に厳重な注意を払い、リスクがあれば行動の制限を再び強化するなどの機敏な判断と対策も重要になっています。その際、営業や暮らしに打撃とならないよう補償などの対策が不可欠です。

 同時に、通常の生活に戻れていない今、生活困窮者や事業者、医療機関等への支援に関しても十分な対策をとることも求められます。

 新たな変異株による感染の急増とブレークスルーへの不安がある中、次の点をお聞きします。

1)医療・検査体制の総点検と強化について

 政府は、今までのコロナ感染症対策で医療崩壊を招いた教訓から、医療体制の強化、特に政府が感染病床を大きく削減してきた経過もあり、その増床を図るとともに、保健所の機能強化も行うとされています。阪神医療圏、北阪神準医療圏での感染症病床の状況と伊丹保健所はどう変化しているのでしょうか。

 また、日本でも、世界でもワクチン接種後の「ブレークスルー感染」が起きています。感染抑止のためには、追加のワクチン接種を安全にすすめるとともに、大規模な検査を行い、「ブレークスルー感染」での無症状感染者が感染を広げる火種を見つけ、消していくことが必要です。そのためには、今まで何度も言ってきましたが、いつでも、誰でも、無料でPCR検査を受けられるようにすることです。どのように検査の拡充がされるのでしょうか。

2)新型コロナウイルス感染拡大で痛んだ暮らしと営業への補償と支援を

 岸田政権は11月26日、2021年度補正予算案を閣議決定しました。そのうち、減収事業者向けの新たな給付金「事業復活支援金」は、支給要件を従来の給付金の50%以上の減収から30%以上の減収に緩和しましたが、給付額は従来の給付金の半額となりました。しかも給付の対象となるのは、今年の11月から来年3月までの減収分だけで、10月以前の減収は対象になりません。岸田首相は「昨年の持続化給付金並みの給付」と言っていましたが、「なぜ半額なのか。騙された」との声も聞くところです。当局は、市内事業所の現状から考えて、この「事業復活支援金」はどのような効果があり、十分な給付と言えるのでしょうか、見解をお聞きします。

 また、暮らしを支援する給付としては、18歳未満の子どものいる家庭に一人5万円の現金給付と5万円相当のクーポンを支給するとしました。現金の5万円は今年中に支給する準備がされていますが、クーポン5万円相当は年が明けていつになるのか、何に使えるのかも明らかでなく、しかも事務費に967億円もかかることに批判が上がっているところです。さらに住民税非課税世帯に1世帯当たり10万円を支給するとしましたが、単身者で給与所得が100万円を超えると課税世帯となり、給付の対象から外れます。子どものいない世帯では、コロナで最もしわ寄せを受けた非正規雇用労働者の多くは給付金を受け取れないことになります。非正規労働者は、正規労働者の6割弱という低賃金に加えて、短期・細切れの雇用契約の更新をくり返し、つねに雇用不安をかかえて働いており、コロナ危機でも真っ先に解雇・雇止めの対象となっていますが、必要なところに支援の手が伸びていません。当局として、これら給付金が暮らしを支える上で十分とお考えでしょうか、見解をお聞きします。

2.気候危機打開に向けた対策について

1)岸田政権のエネルギー基本計画とCOP26での日本の対応に関する見解を問う

 気候危機とよぶべき非常事態が起こり、すでに世界各地で、異常な豪雨、台風、猛暑、森林火災、干ばつ、海面上昇などが大問題になっています。

 国連IPCC「1.5度特別報告書」は、2030年までに大気中への温室効果ガス(その大半はCO2)の排出を2010年比で45%削減し、2050年までに実質ゼロを達成できないと、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比して1.5度までに抑え込むことができないことを明らかにしました。たとえ気温上昇を1.5度に抑えても、洪水のリスクにさらされる人口は今の2倍となり、食料生産も減少するなど人類と地球環境は打撃を受けますが、それを上回る気温上昇となると、その打撃は甚大なものとなります。

 パリ協定は、それを避けるために「上昇幅を2度を十分に下回り、1.5度以内に抑える」ことを目的として日本を含む世界196か国が合意して、締結したのです。

 IPCCは、今年8月、新たな報告書を発表し、「人間の影響が温暖化させてきたことにはもはや疑う余地はない」としました。同時に、これからの10年の思い切った削減と、2050年までに温室効果ガスの排出量の「実質ゼロ」を達成し、その後も大気中のCO2の濃度を下げる努力を続けることによって、21世紀の最後の20年には1.4度まで抑えることができることも示しました。

 すでに世界の平均気温は1.1~1.2度上昇しており、破局的な気候変動を回避するために取り組める時間は長くありません。10年足らずの間に、全世界のCO2排出を半分近くまで削減できるかどうか、ここに人類の未来がかかっています。

 この状況の中で、岸田政権は10月22日、「第6次エネルギー基本計画」を閣議決定し、2030年度の二酸化炭素削減目標を13年度比46%削減、10年度比では42%の削減目標とするとともに、二酸化炭素を大量排出する石炭火力発電を19%にするとしました。原発は20~22%、再生エネルギーは36~38%に引き上げましたが、極めて不十分な目標です。

 英国で開かれていた国連気候変動枠組み条約第26回締結国会議(COP26)が開催され、岸田首相は、アジアの排出ゼロに向けて「日本が強いリーダーシップを発揮する」と言ってCOP26の首脳会議に出席しましたが、逆に昨年に続き「化石賞」を受賞するなど、日本の立ち遅れを際立たせる結果となりました。

 その一番の原因は、石炭火力発電を30年度の発電量の19%にし、新たに九つ新増設する目標です。首相はアジアで石炭火力事業を展開するとも述べました。長期にわたってCO2を大量に排出し続けることになります。会議中、46か国・地域が、先進国は30年代、それ以外の国は40年代に石炭火力を全廃するとした声明を発表しました。日本は米国、中国とともに不参加でした。声明には英仏独、欧州連合(EU)のほか日本が石炭火力事業を支援するベトナムも加わりました。G7のうち日本以外の国は期限を決めて石炭火力からの撤退を決めています。石炭火力に依存し続けることはもはや通用しません。

 問題の二つには、30年度のCO2削減目標13年度比46%が低すぎることです。国連が示した「2030年までに2010年比45%減」という全世界平均よりも低いもので、CO2排出世界5位の日本が脱炭素に責任を果たす上で極めて不十分な目標です。

 三つには、原発を「脱炭素の選択肢」として「重要なベースロード電源」と位置づけ、30年度の電源構成の20~22%を賄うとしていることです。現在の発電量は全体の6%程度であり、審査を申請した老朽炉と建設中2基を含む27基すべてを再稼働しなければならないという非現実的な計画です。原発は、放射能汚染という最悪の環境破壊を引き起こすとともに、事故がなくても使用済み核燃料が増え続け、数万年先まで環境を脅かし続けるものです。

 以上の岸田政権の気候変動対策に対する市長の見解をお聞きします。

2)日本共産党が提案した「気候危機を打開する2030戦略」について

 日本共産党は、30年度までに、CO2を10年度比50~60%を削減することを目標とするよう提案しています。エネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなうという、省エネルギーと再生可能エネルギーを組み合わせて実行すれば、50~60%の削減は可能です。さらに2050年に向けて、残されたガス火力なども再生可能エネルギーに置き換え、実質ゼロを実現するという提案です。

 この可能性と具体的なプロセスについては、「気候危機を打開する2030戦略」をお読みいただくとして、ここでは伊丹市にできることについていくつかお聞きします。

① 伊丹市として「気候非常事態宣言」「ゼロカーボンシティ宣言」をすることについて

 この問題では、9月議会で他の議員からも質問があり、伊丹市環境基本計画等の見直しの中で検討すると答弁されていますので、改めて私からもその要望をしておきますが、環境審議会がすでに開催されており、その後この点での進展があればお答えいただいと思います。

② 伊丹市環境基本計画等によるCO2削減目標について

 伊丹市は環境基本計画の見直しと次期地球温暖化対策推進実行計画を策定される予定です。「実行計画」は事業所としての温暖化対策ですが、伊丹市におけるすべての公共施設、公共事業、自治体業務等におけるCO2削減目標はどのように設定されるのでしょうか。

 一方環境基本計画は伊丹市全体の温暖化対策となり、市民と事業への啓発と協力という側面にならざるをえませんが、市域内における脱炭素化に向けた計画と目標を策定することが必要と考えます。見解をお聞きします。

③ 具体的な対策について

 民間住宅の新築・改築時の省エネ・再エネ化を規制と助成一体に進めるため、一定規模の建物建築に断熱化、太陽パネル設置などの脱炭素化対策を義務化するとともに、それに対する助成制度をつくること。

 また、公共事業でライフサイクル・アセスメントを実施して、調達、建築、運用、メンテナンスにいたる全過程でのCO2排出量を公開すること。

 以上に対する見解をお聞きします。

3.日米共同方面隊指揮所演習(ヤマサクラ81)について

 ヤマサクラ81(日米共同方面隊指揮所演習)が、陸上自衛隊伊丹駐屯地(中部方面総監部)を中心に12月1日から13日まで行われることが明らかとなり、現在その真っただ中にあります。

 今回の演習は、陸上幕僚監部が「40年にわたり演習内容を進化させつつ発展を遂げてきた陸自最大規模の日米共同演習」と明言している通り、自衛隊と全世界の米軍基地をオンラインで結ぶ大規模な演習となります。また、ヤマサクラ81は、今年6月から7月にかけて伊丹駐屯地を中心に行われた過去最大規模の「オリエント・シールド21」(米陸軍と陸自の共同実動演習)と一体のものとして行われることも公表されていますが、その実動訓練では、米陸軍ペトリオット部隊が鹿児島県の奄美大島に初展開し、陸自の中距離地対空誘導弾(中SAM)と共同対空戦闘訓練を実施するとともに、北海道の矢臼別演習場では、米陸軍の高機動ロケット砲システムHIMARS(ハイマース)と陸自の多連装ロケットシステムの共同射撃訓練も国内で初めて展開されています。

 また、自衛隊の広報によれば、米陸軍のマルチ・ドメイン・オペレーションを踏まえた日米の連携向上のための練成訓練とされており、防衛省の説明では、その訓練とは、地上や海上だけでなく宇宙・サイバー・電磁波などのすべての領域において作戦を実施することを通じて、敵の接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略を打破する作戦とされています。

 米中対立が激化する中での極めて危険な演習と言えます。
 
この立場から次の点をお聞きします。

1)市長のヤマサクラ81に対する見解を問う

 憲法違反の安保法制=戦争法のもと、日米軍事一体化が急速に進む中で、米国の戦争に自衛隊が参加・加担する危険性が高まっています。自公政権はアメリカに追随し、台湾海峡をめぐる問題で安保法制を発動する可能性に言及するとともに敵基地攻撃能力の保有、軍事費倍増を掲げています。さらに自民、公明、維新の改憲勢力が、憲法9条を変えることを急いでいることは大問題です。

 このような中でのヤマサクラ81=日米軍事一体の危険な演習を強行することは、軍事対軍事の緊張の激化と戦争の危険を高めるだけです。自衛隊基地周辺住民にとっても戦争の中心となる可能性とともに、自衛官の命を危険にさらすことになります。この演習では実弾は飛び交うことはありませんが、このような危険な演習を伊丹市内で行われていることに抗議すべきではありませんか。

 今必要なことは、国連憲章と国際法という共通のルールにもとづく、平和的手段による問題解決と平和的共存であり、日本政府に求められることは、憲法9条を守り、9条に基づく平和外交と考えます。市長の見解をお聞きします。

2)伊丹空港への米軍用機離発着について

 先月30日、陸上自衛隊中部方面総監部より、ヤマサクラ81の期間中、伊丹空港に米軍機が複数回離発着するという連絡がありました。言うまでもなく伊丹空港はまちのど真ん中にある空港で、事故あれば市民にとって大惨事となる可能性があります。先月30日には青森空港に緊急着陸したF16戦闘機が着陸前に燃料タンク2個を投棄した事故や今年7月にも連続して沖縄で攻撃型ヘリによる鉄製コンテナの落下や田んぼに不時着などの事故が相次いでいます。伊丹空港には2019年4月のオスプレイ緊急着陸や6月には深夜に米軍用機C-16が離発着するなど相次いでいました。今回はセスナタイプの小型翼機とされていますが、いずれにしても安全性と騒音の観点から問題があると考えます。米軍機の離発着に対して抗議し、中止を申し入れるべきと考えますが、見解をお聞きします。

(2回目の発言)

1.新型コロナウイルス感染症対策について

1)医療・検査体制の総点検と強化について
・医療体制を強化したとされたが、病床数や宿泊療養施設の医療ケアにしても、医療現場の深刻な人員不足を根本的に見直さなければ対応できない。医療にかかる診療報酬を引き下げが続き、ぎりぎりの人員体制のためにコロナウイルスの拡大で一気に矛盾が噴き出た。

 保健所の体制ももともとの体制から保健所集も人員も約半分近くまで減らしてきたことが、今回の検査体制にも影響を与えた。応援体制を整備することや研修の実施も大事だが、ここでも根本的な対策が必要です。

 ぜひ現場から住民の命を守るために必要な要望は、国に対して強く求めていただきたい。

・検査体制の拡充に関しては、拡充の中身は来年3月末まで健康上の理由でワクチン接種ができていない人に限られるようです。しかも「モニタリング検査」は撤退、高齢者施設などでの定期的な検査を実施する「社会的検査」も各自治体に計画の策定や実施の要請を終了。これでは無症状感染者が感染を広げる火種を見つけることはできない。抗原検査キットを無料で配布するなど、伊丹市としてできることを積極的に取り組んでいただきたい。

2)新型コロナウイルス感染拡大で傷んだ暮らしと営業への補償と支援を

・5万円相当のクーポン券の支給について…松野官房長官は、7日の記者会見では自治体の判断で現金給付は可能との見解を示した。一部の自治体では10万円を現金給付する方針を決めたところも出てきている。経費が967億円もかかることなどもあってか、ある世論調査では現金10万円の給付を望む人は55%を占めている。クーポンのほうが効果はあるとの考え方もあるが、どちらか選択できるのなら、伊丹市として効果的で素早い給付となる方法を選択していただきたい。
・非課税世帯への10万円給付は、先ほど1回目の発言で述べた、仕事を失った非正規労働者で一人世帯の場合等、10万円の支給も当たらない。伊丹市としては今後、「くらし・サポートセンター」での相談内容を見据えて、その人員体制を強化することも併せて、臨時交付金の効果的な活用、あるいは財政基金の活用も含めて暮らしを支援していただきたい。

2.気候危機打開に向けた対策について

・市長の答弁、脱炭素社会の実現に向けた環境施策を積極的に推進するとの決意は歓迎。・第4次温暖化対策推進実行計画では、国の低い目標と整合するのではなく、2010年比で30年までに60%削減を、40年にはカーボンゼロという積極的な目標に。
・市域からの温暖効果ガス排出量についても、民間企業、市民、伊丹市が共同して、温暖効果ガス削減のための積極的な施策を展開できる計画としていただきたい。

3.日米共同方面隊指揮所演習(ヤマサクラ81)について

・今回のヤマサクラ81は、市長が言うような「日本の安全保障上の必要性に基づき」行われるものではないとの認識を持っている。

 台湾をめぐって米中の緊張が高まっているもとでのアメリカの戦略に沿った演習。11月18日付の陸上幕僚監部によるニュースリリースでは、米陸軍のマルチ・ドメイン・オペレーションを踏ませた日米の連携向上のためとされているが、その意味を直接防衛省の職員に聞いたところ、米軍が推進している作戦で、宇宙・サイバー・電磁波などすべての領域において作戦を実施することを通じて、敵の接近阻止、領域拒否(A2/AD)戦力を打破することとの答え。(A2/AD)とは、中国が決めた第1列島線内への他国の軍隊の進出を阻止する中国軍の態勢のことを指す米軍の用語で、これを打破して米軍部隊が東シナ海、南シナ海で作戦を実施するための作戦がマルチドメイン作戦なので、事実上、対中国で日米が共同作戦をするということを防衛省も認めたことになります。だから岸田政権が集団的自衛権を認めた安保法制の適用や敵基地攻撃の検討に言及しているのであり、日本の安全保障のためではなくアメリカの対中国戦略に日本を巻き込むものということ。

 そんな演習が市内で行われている。仮にこれが現実のものになれば、報復攻撃が伊丹市にも及ぶということにもなり、市民の安全にとっても大問題となる。

2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望を提出しました

 11月8日、藤原市長に、2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望を提出しました。

2022年度予算編要望を提出 2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望(PDF)

市長に2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望を提出しました

2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望

2021年11月8日
日本共産党伊丹市議会議員団
上原秀樹 久村真知子

はじめに
 菅政権がわずか1年余りで政権を投げ出し、安倍・管政権を引き継ぐとする岸田政権に変わりましたが、岸田首相は国会での議論も代表質問だけで十分な議論もせず、衆議院を解散し、総選挙が行われることになりました。日本共産党は、今度の総選挙で「野党共闘で政権交代を」と訴えて闘いましたが、自民・公明政権の継続となったことは残念なことです。引き続き命・暮らし最優先の政治実現に全力を尽くします。
 安倍・管政権を引き継いだ岸田政権の政策は、格差と貧困を広げたアベノミクス、社会保障の削減など従来型の政治を行うことは所信表明で明らかになったところです。この政治から市民の暮らしを守る砦としての伊丹市政が求められています。以下、2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望を提案しますので、予算に反映していただきますようお願いします。

1.新型コロナ感染症対策――経済・社会活動を再開しながら、命を守る対策を

 9月以降、新規感染者の減少が顕著になっており、経済・社会活動の再開も重要な課題になっています。同時に、このまま終息に向かうとは誰も考えておらず、再び、感染爆発と医療崩壊を絶対に起こさないコロナ対策が求められています。

1)日本でも世界でも、ワクチン接種後の「ブレークスルー感染」が起きています。感染抑止のためには、ワクチン接種(追加接種を含めて)を安全にすすめるとともに、大規模な検査を行い、感染の火種を見つけ、消していくことが必要です。

① 国・県と共同で、「いつでも、誰でも、無料で」という大規模・頻回・無料のPCR検査を行うこと。
② 職場、学校、保育所、幼稚園、家庭などでの自主検査を大規模かつ無料で行えるように、国が思い切った補助を行うように要望すること。伊丹市としても検査キットを無料で配布し、行政検査につなぐことができるようにすること。

2)コロナ病床の拡充、臨時の医療施設の増設、往診・訪問看護の体制強化など、臨時の医療体制を整備することは、「第6波」への備えとして急務です。また、保健所の機能マヒも絶対に起こしてはなりません。

 ① 医療機関の減収補てんと財政支援、医療従事者の待遇改善を国に求めること。
 ② 市立伊丹病院での感染症対策は、コロナ感染症対策を教訓に万全の体制を整備すること。また、近畿中央病院の跡地には、急性期病床が200床減少することを考慮し、回復期病床にとどまらず、地域住民が望む医療機関が誘致できるよう公立学校共済組合や伊丹市医師会と協議を続けること。
 ③ 保健所の体制も、臨時採用や他部署からの派遣などの緊急増員を確保しつつ、増やした職員を定員化するなど、正規の職員増もすすめるよう国・県に求めること。

3)緊急事態宣言は4回になるのに、持続化給付金・家賃支援給付金も、国民への特別給付金も1回だけです。コロナ危機で、仕事や所得が減少し、生活が困窮している人も少なくありません。また、いわゆる中間層にもボーナスや賃金の減少が広がり、教育費負担や住宅ローンの重い負担もあり、”コロナによる生活悪化”が起きています。
  事業者は、さらに深刻で、売り上げの大幅減少や借入金の増大など、コロナ危機のもとで体力が落ち込み、”再建”が困難な事態も広がっています。
  コロナ危機で傷んだ暮らしと営業の深刻な実態を放置するなら、コロナ危機後の経済危機に陥ってしまいます。

 ① コロナ危機で収入が減った家計への支援として、1人10万円を基本に「暮らし応援給付金」を5兆~6兆円規模で支給し、国民の暮らしを支えること。いわゆる中間層(年収1000万円未満程度)を含め幅広く対象にし、生活が困窮している低所得者には手厚い支給をすることを国に求めること。
 ② 中小企業、個人事業主、フリーランスに持続化給付金・家賃支援給付金を再支給するとともに、コロナ危機が終焉(しゅうえん)するまで継続し、雇用調整助成金のコロナ特例も継続することを国に求めること。
 ③ 伊丹市としても、国に財源を求め、国の対策が不十分なところには、財政調整基金を取り崩してでも暮らしと営業に対する支援を行うこと。

2.憲法を生かし、人権を守り、市民が主人公、平和の実現に寄与する伊丹市政を

 岸田政権は安倍・管政権を引き継ぎ、憲法改定に執念を燃やしています。とりわけ、今度の総選挙で自民、公明、維新の改憲派が衆議院議員の3分の2を占めたことで、改憲を加速化させる危険性が強まるとともに、アメリカとの軍事一体化を強め、「敵基地攻撃能力」を有することを言明するなど日本を危険な戦争への道に導こうとしています。
 自衛隊基地を抱える伊丹市として、住民の命と財産を守るために、戦争への暴走を止め、憲法を生かした市政を進めることが求められています。
 また、ジェンダー平等社会の実現も重要な課題となっています。

① 安保関連法=戦争法の廃止、憲法9条をはじめ憲法を守り生かすことを国に求めること。
② 11月に予定されている日米共同指揮所演習(ヤマサクラ81)は、米陸軍と陸上自衛隊の共同演習で、対中国戦略で離島を奪取し中国軍の艦船や航空機などを攻撃・威嚇する作戦の演習として過去最大規模となるとされている。その指令の中心が市内伊丹駐屯地の中部方面総監部となり、事が起れば戦争の拠点とされる危険性があるもので、市民の生命と財産を守るためにも、危険な演習はやめるべきであり、国に対して中止を求めること。
③ 核兵器禁止条約が2021年1月22日に発効し、現在、批准国が56カ国となり、来年開催される締結国会議にNATO加盟国のノルウェーがオブザーバー参加することなど、世界的に核兵器禁止条約への期待が高まっている。唯一の戦争被爆国である日本として、締結国会議にオブザーバー参加するとともに、早急に署名と批准をすることを国に求めること。
④ 一昨年4月1日の米軍機オスプレイの緊急着陸では、飛行目的、ルート、不具合の原因、落下物など近隣住民への被害などの事実関係が明らかにされなかった。改めて危険なオスプレイの飛行中止を米軍と国に強く申し入れること。対米従属的な日米地位協定の見直しを求めること。
⑤ 自衛隊への電子データによる個人情報の提供はやめること。必要と考えるならば、個人情報保護条例に基づき、専門的知見を踏まえた意見を明らかにすること。
⑥ ジェンダー平等社会を実現する観点から、すべての人が社会、経済活動に生き生きと参加できる当然の権利を保障するため、行政のあらゆる部面でジェンダー平等の視点を貫くこと。国に対して選択的夫婦別姓制度の実現を求めること。
⑦ パートナーシップ宣誓制度に基づき、相談窓口の充実、啓発パンフの普及など性的マイノリティの人権を守る施策を強化すること。
⑧ 「差別を許さない都市宣言」の廃止等すべての同和行政・教育を終了すること。「同和問題」に関する市民意識調査はやめること。

3.福祉・医療の充実で、市民の暮らしを守る伊丹市に

 岸田首相は、「新しい資本主義」とか「成長と分配の好循環」などと言っていますが、その中身は、アベノミクスそのものです。
 アベノミクスで起きたのは、貧富の格差の劇的な拡大です。安倍・菅政権のもとで、大企業は利益を増やし、内部留保は133兆円も増加し467兆円(2020年度末)もの巨額になりました。それにもかかわらず法人税は減税(28%から23.2%)されました。大富豪の資産は、6兆円から24兆円へと4倍にも膨れ上がりました。
 その一方で、2度の消費税増税が家計に重くのしかかり、働く人の平均実質賃金は22万円も減りました。
 国に対して、アベノミクスを教訓に家計応援の政治に切り替えて経済のボトムアップ=底上げをはかることを求めるとともに、伊丹市としてもケア労働を待遇改善し、社会保障の拡充を行うこと等、福祉・医療の充実で暮らしを守る対策が求められています。

① 国が基準を定めている、介護・福祉・保育職員の賃金を引き上げ、配置基準の見直し雇用の正規化、長時間労働の是正など、ケア労働の待遇を改善することを国に求めること。
② 国民健康保険税引き下げのため、国にさらに1兆円の公的負担を求め、均等割り・平等割の廃止で協会けんぽ並みの保険税にすることを国に求めること。来年度から就学前の子どもの均等割りが半額にされるが、市独自に少子化対策として財政支援を行い、さらなる子どもの均等割りの軽減を行うこと。
③ 国の介護保険制度の改善で、介護保険料・利用料の減免、保険給付を拡充するとともに、特養ホームなど介護施設の増設により、必要な介護が受けられるようにすること。
④ こどもの医療費は所得制限なしで義務教育終了まで無料にすること。
⑤ 国に対して、生活保護を「生活保障制度」に改め、必要な人がすべて利用できる制度にするとともに、生活保護費削減を復元し、支給水準を生存権保障にふさわしく引き上げることを求めること。生活保護へのスティグマを解消するため、伊丹市として「生活保護は権利です」というアピールを積極的に行うこと。
⑥ 待機児童と詰め込み保育の解消のため、さらに認可保育所を増設すること。年度途中の待機児童を解消する方法を別途考えること。2号認定こどもの副食費実費徴収をやめるように国に求めること。

4.すべての子どもの成長発達を支える豊かな教育環境の確立を

 教育は子ども一人ひとりの幸せ、成長と発展のためにあります。それだけに社会にとって大切な営みです。教育は子どもの権利であり、家庭の経済力に関わらず、すべての子どもに豊かな教育環境を確立することが求められます。また、コロナ禍における学校と家庭における生活の変化や端末の使用等でストレスが溜まっている可能性があり、十分な配慮が求められています。さらに、コロナ感染対策も引き続き重要な課題です。
① コロナ禍で少人数学級の必要性が明らかとなり、35人学級が毎年1学年ずつ実施されています。しかし小学校6年生の実施には数年かかることから一気に35人学級を実施するとともに、中学校においても同様の少人数学級を実施することを国に求め、その間、県が小学校4年生まで実施している35人学級を直ちに6年生まで拡大し、中学校まで広げるよう求めること。
② 競争教育を激化させる「全国学力テスト」への参加をやめるとともに、市独自の「学力テスト」も中止すること。
③ コロナ禍による困難な子どもへの対策としても、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーのさらなる増員で児童・生徒と家庭を支援するとともに、介助員の増員で障がい児の教育を受ける権利を保障すること。
④ 教育のあらゆる部門で子どもの権利を守ることを宣言し、実行ある施策を推進するとともに子どもの権利擁護のためにも子どもの権利条例を制定すること。子どもの権利条約の内容が子どもにも理解できるパンフレット等を作成し、子ども同士で「子どもの権利」が議論できる環境をつくること。
⑤ 幼児教育の推進に関しては2018年1月の文教福祉常任委員会における付帯決議を順守すること。公立幼稚園、認定こども園における3歳児全員入園を実現するとともに、4、5歳児において単学級にならざるを得ない状況を打開すること。
⑥ 大学・短大・専門学校の学費をすみやかに半額に引き下げ、高等学校、高等教育の無償化をめざすとともに、入学金制度をなくすよう国に求めること。
⑦ 学校給食の無償化を目指し、まずは中学校給食に対する助成を行うこと。就学援助制度のさらなる充実を図ること。

5.中小企業・零細業者への支援を強め、人間らしく暮らせる地域社会と住みよい住環境を

 中小企業は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)する存在です。また、働く人の3人に2人が働いている雇用の担い手でもあります。これら中小企業、業者、商店、農業者に支援を強化することは住みよいまちづくりに欠かせません。特に、コロナ禍で経営基盤が脆弱となっている中小企業・業者に対する支援が必要です。

① コロナ禍で脆弱となっている経営基盤の状況を調査し、必要な支援策を講じること。国に対して、持続化給付金、家賃支援給付金の再度支給とともに、協力金、支援金などの拡充と迅速化を行うことを求めること。事業者の立場にたった、ていねいな対応と相談体制を確立すること。
② コロナ対応の緊急借入で積みあがった中小企業の債務をどう解決するかが大きな問題になっており、コロナ対応借入分の軽減・免除する仕組みをつくること。
③ 文化・芸術関係者に対して、新たなイベントへの支援にとどめず、「場と担い手」への支援を行うとともに、国費を数千億円単位で支出して「文化芸術復興創造基金」を抜本的に強化することを国に求めること。アイホールは演劇ホールとして存続すること。
④ 「中小企業振興条例」「農業振興条例」の制定で、地域循環型経済の仕組みをつくること。
⑤ 大型小売店の相次ぐ出店で地域の商店が廃業に追い込まれている。中心市街地だけではなく、空き店舗対策、家賃補助等によって市内周辺の商店も守る手立てをとること。
⑥ 個人事業主における国保税や市民税、固定資産税などの滞納処分については、事業の存続や生活の状況を鑑み、積極的に納税緩和措置を活用すること。また、場合によっては、税の執行停止を行うこと。固定資産税・都市計画税の減免申請における手数料への費用支援を行うこと。
⑦ 市営住宅は戸数を減らすのではなく、必要な個数を維持し、旧耐震住宅は順次建て替えを行い、バリアフリー化された住みよい住環境を提供すること。住民からの修繕要求には積極的に対応すること。
⑧ 大企業への優遇税制の廃止・縮小や所得税・住民税の最高税率を引き上げるなど、大企業と富裕層に応分の税負担を求め、消費税を5%に減税するよう国に求めること。政府が導入を予定しているインボイス制度は、零細業者やフリーランスに納税義務を広げ、負担と格差をさらに拡大するものであり、ただちに中止することを国に求めること。

6.自然災害から市民の命を守るとともに、環境を守り、安心・安全の伊丹市を

 地球温暖化の影響で台風、豪雨など自然災害が相次ぐとともに、南海・東南海地震もいつ起こるかわからない状況にあり、災害や事故から市民の命と暮らしを守る政治が求められています。特に気候危機を打開するための積極的な対策が必要となっています。

① 気候変動危機に対応するために、国に対して原発ゼロ、石炭火力発電所ゼロ、2030年までに10年比で50~60%削減、2050年にはカーボンゼロの計画を策定することを求めるとともに、伊丹市としてもこの目標に見合う野心的な目標を決めること。
② 災害の発生に備え、市民の防災意識啓発に努めること。感染が広がる中での避難対策に関しては一定の見直しがされたが、避難所におけるきめ細かな対応(発熱、障がい者、高齢者等)や地域における要支援者の避難誘導等を含めた地域ごとの「防災まちづくり計画」を推進するための支援を行うこと。体育館に空調施設整備など避難所の改善を図ること。
③ 航空機に係る環境基準達成には程遠い状況にあることから、大阪空港における国際便就航を求めることはやめること。環境基準達成に向けた不断の努力で目に見える効果を上げること。
④ 市内1,2級河川の浚渫等豪雨対策を国・県に要望すること。

7.「住民の福祉の増進」(地方自治法)に必要な財源を国に求め、伊丹市が主体となって市民の暮らしを守る伊丹市に

 新型コロナウイルスの影響によって地方税等が減少する中で、地方固有の財源である地方交付税の大幅な増額が求められています。毎年度の概算要求では、一般財源は前年度の水準を下回らないとされたことを踏まえたものとなっていますが、引き続き感染対策の財源は必要です。一方、コロナ禍に関わらず、社会保障費抑制路線を継承し、国民負担増、給付削減を着実に実行するとされていることは問題です。
 このような政治に反対し、「住民の福祉の増進」(地方自治法)に必要な財源を国に求め、伊丹市が主体となって市民の暮らしを守る市政を行うことが求められています。

① 地方交付税のあり方をゆがめる「トップランナー方式」の導入等による地方交付税の引き下げはやめ、真に必要な地方財源が確保できるようにするとともに、コロナ感染対策に必要な財源を確保することを国に求めること。
② 集約化を進めようとしている共同利用センターについて、住民の利益に反する統廃合ではなく、住民合意のもとでの維持・管理・更新への対策を行うこと。
③ 公契約条例を制定し、請負契約や委託事業に関わる労働者が生活できる賃金を保障すること。
④ 自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進にあたっては、「地方自治の本旨」(憲法第92条)に基づき、「住民の福祉の増進を図る」(地方自治法第1条の2)ことを原則とすること。また、推進にあたってはそれぞれの業務を担当する職員や市民の意見が適切に反映さえる体制を整え、新たに情報システムを自治体の業務に導入する際には、職員がシステムをチェックでき、市民に行政責任を果たさせる体制を確保すること。
⑤ 国はマイナンバーカードに健康保険証や運転免許証、国税、年金などの情報をひも付けしようとしているが、相次ぐ個人情報の漏洩が問題となり、多くの国民が個人情報の提供に不安を感じている。国民監視の強化や個人情報の漏洩につながるマイナンバーカードのひも付けはやめるよう国に求めること。

以上

伊丹市議会 9月議会が終了しました(10月6日)

 伊丹市議会では10月6日、9月議会が終了しました。

 党議員団は、2020年度決算の内、一般会計、後期高齢者医療事業会計、病院事業会計に対して、認定に同意できない立場から討論をしました。

 2021年9月議会:上原秀樹 一般会計決算 本会議討論

 2021年9月議会:久村真知子 特別会計・企業会計決算 本会議討論 

 また、意見書では、義務教育費国庫制度の堅持を求める意見書少人数学級の推進、30人以下学級を求める意見書の二つの意見書が、全員一致で採択されました。

2021年9月議会:上原秀樹 一般会計決算 本会議討論

2021年9月議会 一般会計決算 本会議討論

2021年10月6日
日本共産党伊丹市議会議員団 上原秀樹

 日本共産党議員団を代表して、報告第8号「令和2年度伊丹市一般会計歳入歳出決算」に対して、認定に同意できない立場から討論をします。

 2020年度の国民の暮らしをめぐる情勢は、コロナ禍で、格差拡大が深刻になったことです。2020年度全国の法人企業統計によると、資本金10億円以上の大企業の内部留保は466.8兆円となり、前年度から7.1兆円増額し、過去最高額を更新しました。19年度比で株主への配当は11%の大幅増、役員報酬も0.5%増と大企業、富裕層はもうけを膨らませました。一方で労働者の賃金は1.2%減り、コロナ危機は非正規労働者、特に女性と若者に大きな犠牲を負わせています。この1年余、非正規雇用労働者はコロナ以前に比べて月平均92万人減少し、うち61万人が女性です。

 2020年度は、このような状況の中で、新型コロナウイルス感染から市民の命とくらし守る施策が求められました。以下、その問題点についてです。

 第1に、新型コロナウイルス感染症対策についてです。

 伊丹市の新型コロナウイルス感染症対策関連経費は、243億3,597万円で、そのうち地方創生臨時交付金対象事業は21億7,056万円となり、感染拡大防止や生活や雇用の維持と事業の継続支援、地域経済の活性化、社会的な環境の整備・新しい暮らしのスタイルの確立などの事業を行ってきました。

 これらの事業は感染症対策として一定の効果を上げることはできたと思いますが、安倍・管政権による極めて不十分なコロナ対策のために、伊丹市独自の対策が求められました。

 感染防止事業に関しては、20年度、党議員団は一貫して、病院や診療所などの医療機関、介護・福祉施設、保育園・幼稚園、学校、児童くらぶなど、クラスターが発生すれば多大な影響が出る施設等で定期的なPCR検査を行うこと、感染急増地となるリスクのあるところに対し、無症状の感染者を把握・保護するための「面の検査」を行うことなどを求めてきました。途中から一定の検査は広がりましたが、安倍・管政権が「医療崩壊を招く」という非科学的な知見によってPCR検査を抑制し、世界で人口当たりの検査数が144番目という最悪の事態になる中で、無症状の感染者が感染を広げました。この中で、検査拡大を国に求めるとともに、市独自の検査体制を県とも共同して行い、感染防止をすることを求めましたが、国も県も伊丹市も極めて不十分に終わっています。

 さらに、新型コロナウイルスの影響で中小企業・商店に深刻な事態が広がる中、これらの実態を調査し、必要な対策をとるべきと主張しました。自粛と補償を一体化すべきところを国が持続化給付金と家賃補助を1回きりで終わる中、伊丹市独自に行ってきた支援策、上下水道料金の基本料金免除、事業者への家賃補助、ひとり親世帯への支援などには評価しながらも、再度これらの事業を行うこと、特に中小零細企業・業者に対する資金援助として「年越し給付金」の創設を要求しましたが、実現されませんでした。一方、市立伊丹病院事業と市交通事業に対する財政支援に対しては評価をします。

 9月末で緊急事態宣言は解除されましたが、いつ第6波の波が押し寄せてくるか不安な状況が続きます。コロナ感染第5波では、デルタ型などの変異株の感染力が強く、自宅療養中に家族全員が感染する事例や基礎疾患の有無にかかわらず30代から40代でも重症化する例、小中、高校生にも広がるとともに、自宅療養中に自宅で死亡する事例も相次ぐという深刻な事態となりました。このことを教訓に、第6波を起こさない対策と備えをすることが必要です。入院・宿泊療養調整中の自宅待機や自宅療養中、福祉施設の留め置きで家族や施設内で感染を広げることや、医療が間に合わず命を落とすことは絶対に避けなければならないことや保健所の業務が追い付かず、感染者の症状の把握や濃厚接触者の特定に支障をきたしており、これらに対する早急な対策が必要です。岸田自公政権に強く求めていただきたいと思います。

 そこで次の点を要望します。

  感染力が非常に強く、ワクチン接種者でも感染するデルタ株が主流になるもと、ワクチン接種一本やりでは新型コロナ感染症の抑え込みはできないことは、国内外の事実が示しています。とくに新規感染が減少傾向となり、検査のキャパシティーに余裕が生まれている今こそ、陽性者の周辺への迅速な行政検査を幅広く行うとともに、無症状者への大規模検査を行うことがいよいよ重要となっています。「いつでも、誰でも、何度でも、無料で」の立場で、大規模検査の具体化をはかり実施することを強く国に求めていただきたいと思います。

 具体的には、無症状の感染者を早期に把握するうえで大切な取り組みである、企業、大学、商店会などで、自主的な大規模検査が行えるように、国が補助金を出して強力に支援すること、また、子どもの感染、家庭内感染への対策が求められており、学校や幼稚園、保育園、会社などを通して、検査キットを家庭に配布し、体調に変化を感じたらすぐに自主的な検査を行うことができるようにすること、自主的検査で陽性が判明した場合、医療機関での検査は無料とし確定診断へつなげることです。

 さらに、陽性となった時、安心して休める保障が必要です。無症状でも2週間の自宅待機が必要となるため、既存の傷病手当などの制度では不十分で、傷病手当をコロナ特例として、賃金の8割保障とすること、自営業者など対象外となる人には、国の休業支援金の対象とするなど、所得保障を行うこと、児童・生徒が学校を休まざるを得ない場合の対策など、国に対して要望をしていただくとともに、伊丹市としても独自の対策を講じることを求めます。
また、中小零細事業者にとってはコロナ禍で体力が弱体化しており、そのための支援が必要です。伊丹市は9月追加補正で一定の支援策を講じられることは評価しますが、今後年末に向けて新たな支援が必要になると考えます。商工会議所と共同して業者の要求を把握され、必要な対策を取られることを求めます。

 第2に、市立伊丹病院と近畿中央病院の統合再編を決めたことです。

 問題の一つは、統合再編によって病床数を200床削減する問題、二つには、市内南部から総合病院がなくなること、三つには、今回の新型コロナウイルスへの対応を考えた場合、感染症対策に緊急を要する事態に公立・公的病院が果たす役割は大きく、公的総合病院が一つなくなることで十分な対応できなくなる可能性があることです。一方、新病院の運営形態を伊丹市の直営として公営企業法の全部適用としたことや、近畿中央病院の跡地への民間病院の誘致や公共交通機関による新病院への交通アクセス等、一定市民の要求を取り入れた検討がされていることには評価します。

 コロナ禍で医療崩壊を招いた原因は、安倍・管政権が公立・公的病院の統合再編で病床数削減を進め、医師・看護師数を抑制してきたことにあります。この事態を教訓に、命を大切にするため医療、保健体制の充実を国に求めていただきたいと思います。

 伊丹市における病院統合再編に関しては、今後、特に近畿中央病院の跡地に、回復期機能を有し地域住民が必要とする医療機関を、医療空白を生じない形で誘致するために、県の財政支援も求め、力を尽くしていただくことを求めるものです。

 第3に、伊丹市市営住宅等整備計画において、伊丹市の市営住宅の目標管理戸数を約200戸減らし、1,700戸としたことです。

 その目標管理戸数の算出方法は、月額所得8万円という著しい困窮年収未満の世帯を収入基準としたもので、このような低い所得基準を基礎に必要な目標管理戸数を推計することでは、住宅セーフティネットの根幹である公営住宅の役割を果たすこととはできません。また、市営住宅の建て替えをしないことも大きな問題です。 伊丹市は、公営住宅法第1条に書かれている「健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備」する責任があり、一部の住宅にエレベーターを設置されていることは評価しますが、今後、市営住宅建て替えも含めて、若年者から高齢者まで、必要な人が入居しやすい住宅への改良や民間住宅の家賃補助制度の創設等を求めるものです。

 第4に、職員の人事評価です。

 公共を担う公務員には、全体の奉仕者の立場から、市民の声を聞き、提供する市民サービス、人権保障のあり方を職場で自由に議論し、決定する権限が与えられています。そのような場に「能力」「業績」などという測ることが困難な尺度で5段階評価することは、公務員の労働意欲の向上や創意工夫の発揮を阻害することにもつながります。今後、人事評価の問題点を十分認識していただき、5段階評価はやめることなどを含めて、職員の力が十分に発揮され、市民福祉の向上に向けて働きやすい職場とされるよう改善を求めます。

 第5に、教育の分野では、全国学力テストの問題です。

 20年度はコロナウイルス感染拡大で中止され、伊丹市独自の取り組みとされました。しかし、自己採点を行い、本市の学力の実態把握・分析、各校の学力向上プランに基づいた取り組みの進捗を管理するなど、相変わらず学力テスト中心の教育と言わざるをえません。学力調査が必要な場合、数年に一度の抽出調査で十分です。改めて中止を含めた検討を求めます。

 次に今までで述べたこと以外に評価する主な点です。

 一つは、保育所待機児童解消に向けて、定員96人分の民間保育所整備を支援するともに、民間保育事業者の保育士確保のための支援されたことです。

 二つには、妊娠出産包括支援事業によって、産前産後のサポートが受けられない妊産婦の不安や負担軽減を図る事業を行ったことです。

 三つには、パートナーシップ宣誓制度を創設されたことです。

 四つには、かねてから要望していました合葬式墓地を整備されたことです。

 最後に、今後取り組むべき要望事項について述べます。

 第1に、市立演劇ホールについてです。

 演劇ホールが果たしている役割は、代表質問の答弁でも言われたとおり、学校へ出向いてのアウトリーチ事業や演劇ワークショップなどに取り組み、「文化芸術が身近にあるまち」に大きく貢献するとともに、教育的にも大きな役割を果たしてきたこと、また、専門的かつ独自性の高い演劇・コンテンポラリーダンス事業を展開し、「地域創造大賞」や「文化庁芸術優秀賞」の受賞をはじめ、各方面からも高い評価を得ていること、そのことが「伊丹ブランドの構築」という側面でも本市の知名度アップなどには繋がっていることにあります。さらに、演劇ホールは建物や設備の特殊性が高く、他市の同等施設が存在しないという答弁の通り、近隣にはない貴重な施設でもあります。

 したがって、伊丹市として財政負担軽減の方策を検討し、広域的な役割を果たしていることから県への財政支援を求め、存続の方向で検討することを求めます。

 具体的な問題の一つは、現在行われているアンケートの扱いです。代表質問でも言及しましたが、アンケートに市民が答えるにあたって十分な知識がないままであったことから、あくまでもその時点での参考資料と認識し、今後の議論に生かしていただきたいと思います。

 二つには、市民と演劇関係者、専門家などを交えた熟議の場を設定することです。劇関係者のみなさんが、市民理解を求める場は独自に設定することはできますが、行政も入ってそれぞれの考え方を聞き、お互いの考えを理解する場が必要と考えます。開催されようとしている説明会の場にも、演劇関係者を呼ぶべきと考えますので、検討を求めます。

 第2に、気候危機を打開する対策についてです。

 日本共産党は、9月1日、「気候危機打開のための日本共産党の2030戦略」を発表しました。今、異常な豪雨、台風など気候危機というべき非常事態が起こっており、二酸化炭素削減への思い切った緊急行動が求められています。日本共産党は、省エネでエネルギー消費を40%削減し、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば、CO²を2030年までに10年比50%から60%削減は可能としました。

 伊丹市としても、次期伊丹市地球温暖化対策推進実行計画の策定等によってCO²の削減目標・計画を策定される予定ですが、「ゼロカーボンシティ宣言」とともに、積極的なCO²削減目標と具体的な計画を策定されることを求めます。

 第3に、ジェンダー平等の実現についてです。

 日本は、各国の男女平等の達成度を示す「ジェンダーギャップ指数2021」で、156カ国中120位と、先進国として異常な低位を続けています。1979年の女性差別撤廃条約の採択から42年、日本政府は1985年にこれを批准しながら、いま大きな問題になっている「男女賃金格差の縮小」も「選択的夫婦別姓への法改正」も、繰り返し国連の女性差別撤廃委員会から是正勧告を受けてきたにもかかわらず、解決できないままです。市長としても国に対してこれらの実現を求めていただきたいと思います。

 伊丹市として具体的に取り組むべき一つに、あらゆる分野で、計画、条例、政策などをジェンダーの視点でとらえ直し、「ジェンダー主流化」を合言葉に、根強く残る男女格差の解消を進め、すべての人の人権を支える仕組みをつくることです。そのためにも、審議会や各種団体、地域などあらゆる場面で女性の参画を進めることが求められています。意思決定の場に女性を増やすために、審議会への女性の参加目標40%を早期に実現し、50%を目指すことを求めます。

 その他、本会議、委員会で多くの要望をしましたが、今後の補正予算や来年度予算の中で実現されますことを求めておきます。

 以上、報告第8号「令和2年度伊丹市一般会計歳入歳出決算」に対して、認定に同意できない立場からの討論とします。
 

日本共産党伊丹市議団ニュース 第389号 コロナ対策 追加の補正予算

日本共産党伊丹市議団ニュース 第388号 2021年9月22日

コロナ感染症対策 追加の補正予算が提案されました
上原ひでき議員の議案質疑(議案の概要は裏面)

日本共産党伊丹市議団ニュース 第389号1面日本共産党伊丹市議団ニュース 第389号2面

 日本共産党伊丹市議団ニュース 第389号 ダウンロードはこちら(PDF)

コロナ感染症対策 追加の補正予算が提案されました
上原ひでき議員の議案質疑(議案の概要は裏面)

1.内閣府から8月20日付で連絡があった事業者支援交付金(追加交付分)

 「市町村が地域の実情に応じて、きめ細かく支援の取組を着実に実施できるよう、臨時交付金の特別枠として創設された「事業者支援分」を追加交付するもの。
 この趣旨を十分に踏まえ、事業者支援交付金と通常分交付金を有効に活用しながら、事業の実施に取り組むこととされている。

・伊丹市への追加交付金額の上限はいくらと見積もっているのか。

・「地域の実情に応じてきめ細かく支援の取組を着実に実施できるよう」とされてい
るが、伊丹市が今回の補正予算として提案された事業内容は、どのようなことを考慮
して提案されたのか。

2.事業者支援緊急事業委託料18,400千円、事業者支援金100,750千円について

 事業者支援金支給事業として、4つの支援金を支給しようとされている。

○事業委託料
・何を委託するのか。 ・どこに委託するのか。 ・委託先はどう選定するのか。

○個人事業主等支援金、宿泊業者支援金、酒造事業者支援金、交通事業者支援金

・対象となる業者はいくつになるのか。・対象となる要件は何か。・支給金額の理由は。

・日本共産党は今まで国の家賃補助、持続化給付金を再度行うことを要求してきた。今回の支給金額一律10万円の規模で、どのような効果があると見込んでいるのか。

・個人事業主等支援金では「感染拡大防止協力金」「月次支援金」を受給している主に飲食店は除くことになるが、その飲食店等に対する支援は十分と考えているのか。

・事業者への支給を迅速に行うことができるのか。

・交通事業者支援金では、タクシー事業者に支援金を支給するとされているが、従業者の給料が歩合制によるところが多く、従業者もコロナ禍で影響を受けていると考えられる。その対策をどう考えておられるか。また、個人タクシーの場合はどんな保障があるのか。

3.キャッシュレス決済ポイント還元事業実施委託料158,050千円について

・市内の対象店舗をどう選定する予定か。・キャッシュレス決済事業者の選定の考え方は。

・キャッシュレス決済事業者から各店舗に売上金が届くのにどのくらいかかるのか。

・前回のこの事業では、予算に対して25%の執行率であった。その教訓から、予算の立て方、周知方法等どのような改善を考えているのか。

・説明では、この事業を行うことで、個人消費を喚起し、市内経済の活性化を図るとされているが、この二つの点でどの程度の効果を見込んでいるのか。また、前回の同様の施策ではどの程度の効果があったと考えているのか。

2021年9月議会 代表質問 上原秀樹 演劇ホールの存続をめぐる問題

2021年9月議会 演劇ホールの存続をめぐる問題に関する代表質問と答弁趣旨

(演劇ホールに関する質問と聞き取りによる答弁趣旨)

日本共産党伊丹市議会議員団 上原ひでき

1回目の質問

 伊丹市は、演劇ホールの活用方法について、サウンディング型市場調査を行い、その用途変更も含めて検討されています。そこで次の点をお聞きします。

1)伊丹市の文化政策について

 伊丹市は2018年に、従来の「文化振興ビジョン」を発展させて「伊丹市の文化振興施策にかかる指針」を策定されています。

 その「指針」では、演劇ホールの評価について、その専門的かつ独自性の高い事業展開に対して「地域創造大賞」や「文化庁芸術祭優秀賞」の受賞をはじめ各方面から高い評価を得ていること、また、市内中学校や高等学校へのアウトリーチによるコミュニケーション教育に力を入れていることとともに、一方では市民の認知度は十分とは言えず、今後市民へのアプローチを一層進めていく必要性が述べられています。そして基本方針では、文化芸術が身近にあるまちをめざすとされ、文化施設の活用に関しては、潤いと誇りを感じることのできる心豊かな生活を実現するための機能を担い、常に活力ある社会を構築するための役割を担っているとの「劇場法」を引用し、人と人が出合いつながる場所として文化施設を活用するとしています。

 そして、社会包摂としての鑑賞支援も明記されました。

 さらに、他では味わえない事業を展開するとして、美術館・工芸センターの展示や柿衞文庫の俳諧俳句資料とともに、演劇ホールの演劇、ダンス公演を挙げられ、歴史を感じられる場所の活用とともに、伊丹ブランド構築の一翼を担うとされています。

 また、2016年12月議会での私の文化政策に関する質問に対して、平田オリザ氏の講演での文化格差が地域格差につながることを危惧する旨を引用し、本市では多くの文化施設があり、各館の個性的な事業展開、アウトリーチ活動などにより、芸術文化に触れられる多様な機会の提供があり、ゆくゆくは選ばれるまちにもつながっていくものと考えていると答弁されました。一方、「指針」では、公共施設マネジメントに基づき施設の有効活用を図るとして、財政上の問題とともに市民のライフスタイル、施設使用形態の変化も鑑み、事業・機能の集約や運営主体・形態の変更等、より機動的な活用方法について検討すると書かれています。そこで、次の点をお聞きします。

① 「指針」策定から3年が経過しようとしていますが、その「指針」のまとめとして「終わりに」に書かれている「本市の文化施策の大きな役割を占める文化施設が、個々にとって新たな居場所として心のよりどころになってもらえるような施設でありたい」「その居場所とそこにある演劇や音楽、美術等が今、広がっている地域間、世代間の壁を埋め、人々の心のつながりや相互に理解し、尊重しあう土壌を提供し、心豊かな社会を形成する一助となるよう、『文化芸術がそばにあるまち』を目指し、施策を進めていく」とされていますが、演劇ホールが果した役割を中心に策定後3年間の評価をどうされているのかお聞きします。

② 「指針」で「市民のライフスタイル、施設使用形態の変化も鑑み、事業・機能の集約や運営主体・形態の変更等、より機動的な活用方法について検討する」とされていることに関して、今回の施設の有効活用を検討するに至る契機となったのは何かお聞きします。

2)当局が進める演劇ホールの有効活用の検討についてです。

 伊丹市は演劇ホールの有効活用の検討として、国土交通省のサウンディング調査に2回参加し、独自の同調査も行い、その経過を報告されています。そしてさらに演劇ホールの活用に関する市民意識調査も行われています。その伊丹市による検討に関してお聞きします。

① 演劇ホールが使用形態の見直しの対象となる評価に関して、市民利用率が低いことをあげていますが、これは逆に市外からの来客者が多いことも示しています。このことを、市民の利用率が低いことをもって利用者一人当たりのコストを割り出すことには疑問があります。「伊丹ブランドの構築」という側面ではどう評価されるのでしょうか。

 また、利用率の算定は公演・講座利用者へのアンケートによるもので、回収率がどのくらいになるかわかりませんが、正確な数字とは言えず、「市民利用15%」と言い切るには問題があると思います。いかがでしょうか。この利用者にはアウトリーチ活動やアイフェス、演劇ワークショップへの参加は含まれているのでしょうか。

 さらに、いたみホールと音楽ホールとの比較もされていますが、施設(メインホール)の利用目的が異なることから比較すること自体が問題です。他市の演劇ホールとの比較はどうでしょうか。以上お聞きします。

② 収入の分析で、イベントホールの減免率が高いことを指摘されていますが、貸館利用が少なく、イベントそのものが主催・共催事業等が99%を占めていることから、減免規定を適用すれば当然の結果です。これは文化会館大ホールでも、音楽ホールでも同様の減免規定です。貸館で演劇等のイベントをする場合、観客数が200名までと限られ、採算が困難になる経験をしましたが、このことから指定管理料が高くなることになっているのではないでしょうか。

 また、年間9,000万円の費用がかかっていると言いますが、これも伊丹ホールと音楽ホールのメインホールとは性格が異なることから、他市の演劇専門ホールとの比較が必要ではないでしょうか。以上に対する考えをお聞きします。

③ 伊丹市は早々に演劇ホールの活用に関する市民意識調査を実施されています。
 なぜそんなに急ぐのかという疑問はぬぐい切れません。確かに演劇ホールは市民の認知度は低いかもしれませんが、今回の伊丹市によるサウンディング型市場調査や関係者・市民からの署名運動等によって、演劇ホールを中心に文化施設のあり方について市民的な議論が始まったと言えます。その途上で調査をすることは十分市民の間で考え、議論する間もないまま、「やっぱり認知度が低い」と判断し、用途変更へと導くのではないかと危惧をするところです。市民からも「課題と魅力を知って、存続させるべきか考える時間と機会が欲しい」と言われています。そしてなぜ急ぐ必要があるのか、いつまでに結論を出そうとしているのか、市民や関係者の間で十分時間を取って議論する必要があると考えますが、見解をお聞きします。

④ 伊丹市が演劇ホールの活用方法についてサウンディング型市場調査を行い、その用途変更も含めて検討するとの報道を受けて、いち早く声をあげたのが演劇関係者と市内中学校高等学校演劇部OBOG会、そして市民の方たちです。
 演劇関係者から「日本全国及び海外の優れた舞台芸術作品を上映してきた。その舞台芸術の拠点を失うことは、市民にとっても、関西の多くの人にとっても舞台芸術作品を享受できる機会を失うことになる」OBOG会からは「演劇ができる、学ぶ場所をなくすのは子どもたちの表現の場を取り上げるようなもの」、市民からは「レアなホールですのでぜひとも残してほしい。もっと市民が使いやすい利用形態を考えてもらいたい」などの声が紹介されています。この声をどう受け止められるのでしょうか。

 財政負担に関しては、演劇ホールのままで機能維持のために改修するにしても、大規模に用途を変更するにしても、いずれも財政負担はかかります。問題はイニシャルコストで、優れた舞台芸術の上映や中高生を中心としたアイフェス等を残しながら、利用形態等を工夫して、コストを削減する方向を考えるべきではないでしょうか。見解をお聞きします。

答弁趣旨 

1)伊丹市の文化政策について

① 市民利用率の低さや市内活動団体の解散などがありながらも、戯曲講座や学校へのアウトリーチ、演劇ワークショップなどに取り組み、世代間の交流を促進するとともに、中心市街地に出向いての賑わいづくり、伊丹ブランドの構築では、各界からの受賞に見られる通り全国から高い評価を受けて本市の知名度アップにつながっている。

② 検討始める契機となったのは、特殊な舞台装置の老朽化に伴い数年のうちに約4億円という多額の改修工事が必要と見込まれたこと。

2)当局が進める演劇ホールの有効活用の検討について

① 「伊丹ブランドの構築」という側面では、各方面から高い評価を得ていることから、本市の知名度アップにはつながっていると考えている。

 「市民利用15%」 に関しては、アンケートからの数字なので、利用実態を表す数字と考えている。アウトリーチ参加者は計上していない。

② 収容人数が少ないと採算が困難になり、指定管理料への影響はあると考える。

 他の演劇ホールとの比較は、建物や設備の特殊性が高く、他市の同等施設が存在しないことから比較は困難。

③ 「市民意識調査」は、アイホールの存続を求める要望として署名の提出があったことを踏まえ、広く市民からご意見をお聞きする目的で実施することにした。市民の意見を踏まえて検討を進める。結論を出す期限は決めていない。

④ 様々な意見があることは認識しているが、9,000万円のランニングコストは改善しなければならない問題。廃止ありき、存続ありきではなく、他の文化施設などとの連携、機能移転のための改修工事についても検討し、アイフェスなど市民還元率の高い演劇事業の継続方法について関係者の声を取り入れながら検討を進める。

演劇ホールの存続をめぐる問題について再度の質問

第1に、現在検討が進められている問題について

 伊丹市の文化振興施策に関する指針の3年間の評価では、市民利用率の低さや市内活動団体の解散などがありながらも、戯曲講座や学校へのアウトリーチ、演劇ワークショップなどに取り組み、世代間の交流を促進するとともに、中心市街地に出向いての賑わいづくり、伊丹ブランドの構築では、各界からの受賞に見られる通り全国から高い評価を受けて本市の知名度アップにつながっているとされました。しかし、実施されているアンケートではこのような評価は市民には見えません。市民利用率の低さや多額の費用を要する運営費と施設の更新費用が目に移り、結果として当局の誘導的なアンケートになっているのではないでしょうか。

 また、アンケートに書かれている「文化3館の指定管理料と利用者数」では、市民には演劇ホールの特殊性がわかりません。例えば、演劇の公演をする場合、2日から3日は仕込みのためにホールは使用できず、そのために利用者数にも収入にも影響が出る施設です。

 市内3館の比較だけではなく他市の演劇専用施設との比較が必要ではないかという質問に対しては、建物や設備の特殊性が高く、他市の同等施設が存在しないことから比較は困難とされました。演劇ホールは、それだけ近隣にはない施設として貴重な施設と言えるのではないでしょうか。そのこともアンケートではわかりません。

 以上のことから、アンケートの結果をどう扱うかという問題が生じますが、どのようにお考えでしょうか。市民が演劇ホールそのものに対する十分な知識が得られないままにアンケートに応えざるを得ない問題などもあります。見解をお聞きします。

第2に、今後の進め方の問題について

 答弁では、結論を出す期限は決めおらず、市民の意見を踏まえて検討を進めるとされています。また、市民向けの説明会も予定されているとのことです。市民の意見を聞き、その声を生かすことは当然ですが、演劇ホールという専門的かつ独自性の高い演劇等を提供する施設として、市民と一緒に演劇関係者からの意見を聞く場を設定されたらどうでしょうか。

 今までの説明会は、当局が決めたことを説明することが目的で、賛成・反対等様々な意見が出されようと、「市民に説明した」とする説明会になっています。もちろん最終的には議会が決めることになりますが、市民、利用者、専門家などによる熟議の場が必要と考えます。見解をお聞きします。

答弁

①アンケートの結果をどう扱うかについては、市民向け説明会で結果を示す。演劇ホールに関する情報がないままにアンケートをした件については、ホームページへのリンクを示して誘導していることから、情報の提供は妥当。

②専門的かつ独自性の高い演劇等を提供する施設としての説明を行う場を、改めて設けることは考えていない。開催予定の説明会は、文化施設3館に対する市民ニーズの把握と施設を最大限有効活用する方策について市民とともに考える場。

3回目の発言 意見、要望

 一つに、アンケートに市民が答えるにあたって十分な知識がないままではないかとの指摘には、ウェブページで情報の提供をしているとの答弁ですが、市民がどこまで情報を詳細にみて答えるのかは様々です。あくまでもその時点での参考資料と認識しておきます。

 二つ目の市民と利用者、専門家による熟議の場についてですが、答弁では開催は考えていないとのことです。もちろん演劇関係者のみなさんが、市民理解を求める場は独自に設定することはできますが、行政も入ってそれぞれの考え方を聞き、お互いの考えを理解する場が必要と考えます。開催されようとしている説明会の場には、演劇関係者も呼ぶべきと考えますので、検討を求めておきます。

2021年9月議会 代表質問 上原秀樹

2021年9月議会 代表質問

日本共産党議員団 上原秀樹

1.市長の情勢認識について

1)コロナ禍における国の経済政策について

 コロナ禍で、格差拡大は深刻になりました。全国の2020年度の法人企業統計によると、資本金10億円以上の大企業の内部留保は466.8兆円で、過去最高です。19年度比で株主への配当は11%の大幅増、役員報酬も0.5%増と大企業、富裕層はもうけを膨らませました。一方で労働者の賃金は1・2%減り、コロナ危機は非正規労働者、特に女性と若者に大きな犠牲を負わせています。この1年余、非正規雇用労働者はコロナ以前に比べて月平均92万人減少しました。うち61万人が女性です。

 2020年度予算審査での代表質問で国の経済政策について指摘しました。当時内閣府が発表した2019年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価上昇分を差し引いた実質成長率が、年率に換算すると6.3%ものマイナスとなったこと、このことは、消費税増税が日本経済にとって大打撃になっていることを浮き彫りにしていること、GDPの約6割を占める個人消費が消費税増税に直撃されて前期に比べ2.9%のマイナスになり、消費の冷え込みを裏付けていること、勤労者の実質賃金も昨年12月0.9%のマイナス、内閣府の景気動向指数も5カ月連続で「悪化」という判断になったことなどを挙げ、市長の国の経済政策について見解を求めました。当時の経済状況以降、所得が増えず消費が落ち込み続けているのは、安倍政権と管政権が続けてきた消費税増税を含めた「アベノミクス」と言われる経済政策が、大企業や富裕層を潤すだけだということは明らかです。

 昨年以来のコロナ禍での安倍・管自公政権の経済政策に関して、市長はどのような認識をされているのでしょうか、また、今必要な政策は、大企業と富裕層に応分の税負担を求め、消費税減税などによる税の不公平を解消し、正社員が当たり前の雇用のルールをつくり、最低賃金を時給1,500円に引き上げて国民の懐を温めることと考えますが、合わせて見解をお聞きします。

2)米軍と一体となった自衛隊をめぐる動きについて

 6月16日、「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(「土地利用規制法」)が、国民、野党が反対する中で、自民、公明、維新などによって参議院において採決が強行されました。

 この法律は、米軍・自衛隊基地や原発など「重要施設」周辺1キロや国境離島に住み、生活し、活動するすべての市民を調査・監視対象にし、政府の機関を総動員してプライバシーまで踏み込み調査・監視することを可能にするものです。調査の対象や内容に制限はありません。情報の提供を拒否した者は30万円以下の罰金を科せられ、密告社会に道を開きかねないものです。しかも、何が規制されるべき基地や原発の「機能を阻害する(おそれのある)行為」なのかは明示されておらず、政府の恣意的判断で際限なく拡大され、土地・建物の利用の中止が命じられ、拒否すれば2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処せられるという、恐るべき市民弾圧法となっています。これが、日本国憲法の保障する平和的生存権、個人の尊厳、言論・表現、思想・信条の自由、財産権などの基本的人権を蹂躙する、憲法違反の悪法であることは明らかです。

 防衛省は既に、2013~20年度にかけて、全国約650の米軍・自衛隊基地(防衛省施設を含む)に隣接する土地の調査を行い、所有者約8万人が対象になっています。兵庫県内は15か所で、伊丹市においては、伊丹駐屯地、千僧駐屯地、久代射撃演習場が対象として挙げられ、その周辺1キロメートルとなれば、市内の約3分の1の土地所有者等が対象となります。

 この法律の背景には、日米軍事同盟と安保関連法、すなわち戦争法の下で、アメリカの戦争に参戦する体制づくりをすすめる、菅政権の危険な姿勢があります。すでに、6月18日から7月11日にかけて、陸上自衛隊中部方面総監部と在日米軍事司令部を中心にオリエント・シールド21という実動訓練が図上訓練を中心に伊丹駐屯地において行われています。台湾有事を想定したものと思われ、奄美駐屯地では米陸軍の地対空誘導弾(パトリオット)部隊と陸自の中距離地対空誘導弾部隊が共同対空戦闘訓練を行っています。滋賀県のあいば野演習場では実弾訓練も行われ、6月23日には120ミリ迫撃砲弾発射訓練中に、演習場外に着弾する事件も発生し、大きな問題となったところです。

 また、この訓練と連動した日米共同方面隊指揮所演習、ヤマサクラ―81も今年度3四半期に伊丹市に総監部のある中部方面隊で予定されています。

 アメリカは、対中国戦略として軍事的対応を中心にしており、戦争ともなれば日本の自衛隊も参加する方向で作戦がたてられています。まさに戦争準備が伊丹の自衛隊基地で行われていることになります。

 市長は、土地利用規制法とその背景にある日米共同軍事作戦に関してどのような認識をお持ちでしょうか、見解をお聞きします。また、日米共同方面隊指揮所演習、ヤマサクラ―81はこの10月から12月の間に予定されていますが、どんな演習が行われるのか、コロナ感染は大丈夫か、市民にどんな影響があるのか等、情報を提供していただきたいと思います。

2.2020年度決算に関して

 2020年度の決算の内容の中心は新型コロナウイルス感染症対策です。
 伊丹市の新型コロナウイルス感染症対策関連経費は、243億3,597万円で、そのうち地方創生臨時交付金対象事業は21億7,056万円となり、感染拡大防止や生活や雇用の維持と事業の継続支援、地域経済の活性化、社会的な環境の整備・新しい暮らしのスタイルの確立などの事業を行ってきました。

 これらの事業は感染症対策として一定の効果を上げることはできたと思いますが、現在進行中とはいえ、2020年度の事業の評価をすることは必要です。例えば、2020年度の2月補正予算で議論がありましたが、テイクアウト・デリバリー利用促進キャンペーン事業やキャッシュレス決済ポイント還元委託料、事業所等賃料補助金の減額措置などの周知方法や事業のあり方などへの評価はどうでしょうか。

 また、感染防止事業に関しては、党議員団は一貫して、医療機関(病院・診療所)、介護・福祉施設、保育園・幼稚園、学校、児童クラブなど、クラスター(感染者集団)が発生すれば多大な影響が出る施設等で定期的なPCR検査を行うこと、感染急増地(ホットスポット)となるリスクのあるところに対し、無症状の感染者を把握・保護するための「面の検査」を行うことを求めてきました。しかし、国の「医療崩壊を招く」という非科学的な知見によってPCR検査を抑制する中で、世界で人口当たりの検査数が144番目という最悪の事態になる中で、無症状の感染者が感染を広げています。この中で、市独自の検査体制を行い、感染防止をする必要はなかったのかどうか。

 さらに、新型コロナウイルスの影響で中小企業・商店に深刻な事態が広がる中、これらの実態を調査し、必要な対策をとるべきと主張し、自粛と補償を一体化すべきところを国が持続化給付金と家賃補助を1回きりで終わる中、伊丹市独自に行ってきた支援策、上下水道料金の基本料金免除、事業者への家賃補助、ひとり親世帯への支援などを再度行うことが必要ではないか、特に中小零細企業・業者に対する資金援助として「年越し給付金」を創設することも考えていただきたいと要求しましたが、実現されませんでした。

 これら、感染が広がり、中小業者の営業と暮らしが困難になった状況を見て、どのような見解をお持ちでしょうか、お聞きします。

3.新型コロナウイルス感染症対策について

1)日本共産党の提案と今後の対策について

 コロナ感染第5波の状況は、デルタ型などの変異株の感染力が強く、自宅療養中に家族全員が感染する事例や基礎疾患の有無にかかわらず30代から40代でも重症化する例、自宅療養中に自宅で死亡する事例も相次ぐという深刻な事態となっています。入院・宿泊療養調整中の自宅待機や自宅療養中、医療機関・福祉施設の留め置きで家族や施設内で感染を広げることや、医療が間に合わず命を落とすことは絶対に避けなければなりません。また、保健所の業務が追い付かず、感染者の症状の把握や濃厚接触者の特定に支障をきたしており、これらに対する早急な対策が求められています。

 この間の政府のコロナ対応は、「ワクチンさえ打てば何とかなる」というものとなっています。しかし、国内外で明らかになった科学的知見は、ワクチン接種だけではコロナを抑え込むことはできないことを示しています。ワクチン接種と一体に、医療体制強化、大規模検査、十分な補償など、総合的対策を講じてこそ、コロナを抑え込む道が開かれます。

 そこで、次の日本共産党の提案に対する見解をお聞きします。

 第1に、医療体制強化では、国が「原則自宅療養」の方針を公式に撤回し、症状におうじて必要な医療をすべての患者に提供することを大原則にすえることです。そのために政府がイニシアチブを発揮して、臨時の医療施設の大規模な増設を行うこと、あわせて入院病床をさらに確保し、在宅患者への往診や訪問看護など在宅医療を支える体制を抜本的に強化することです。医療機関への減収補填(ほてん)と財政支援、医療従事者への待遇の抜本的改善をはかり、政府が責任をもって医師・看護師を確保する必要があります。このことを国に対して強く求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 また、伊丹市の場合、医療のひっ迫度、療養施設の充足率は大丈夫でしょうか。お聞きします。

 第2に、ワクチンの安全で迅速な接種と一体に、感染伝播(でんぱ)の鎖を断つための大規模検査を「いつでも、誰でも、何度でも、無料で」の立場で、大胆かつ大規模に行うことが必要です。事業所、学校、保育園、幼稚園、児童くらぶ等に対する大規模・定期検査を政府が主導して実行すべきです。家庭に検査キットを配るなど、自主検査を思い切って支援することも急務です。検査の拡大にあたっては、行政検査の抜本的拡充とともに、事業所などが行う集団検査に国が思い切った補助を行うべきです。医療体制強化と大規模検査を実行するうえで、保健所体制の抜本的強化も急務です。

 伊丹市でも、濃厚接触者にもかかわらず長期間検査もしてもらえず放置されている事態があります。保健所体制の強化が必要ではないでしょうか。現状をお聞きします。

 第3に、自粛要請とセットで十分な補償を行うことです。持続化給付金・家賃支援給付金の再支給と継続的支給の実現は、中小業者にとって待ったなしの課題となっています。生活困窮者への支援を抜本的に拡充します。文化・芸術関係者に対して、新たなイベントへの支援にとどめず、「場や担い手」への直接支援を拡充するとともに、国費を数千億円の単位で支出して「文化芸術復興創造基金」を抜本的に拡充することを国に求めるべきですが、お考えをお聞きします。

 伊丹市独自の施策も何度か求めてきました。現在、中小業者の現状をどう把握されているのか、生活困窮者への支援は十分か、文化・芸術関係者への支援は十分行われているのかお聞きします。

2)就学前教育施設、学校におけるコロナ感染対策について

 これまでの新型コロナウイルスとレベルの違うデルタ株は、子どもの感染をめぐる状況も大きく変えました。

 第1に、全国的に、これまで感染しにくいとされてきた子どもへの感染が顕著に増えていることです。10代以下の新規陽性者が7月半ばから4週間で6倍になったことは軽視できません。その中心は高校生ですが、小中学生の学習塾や保育園、学童保育でのクラスターも増えています。

 第2に、感染は “大人から子どもに伝播する”とされてきましたが、“子どもから大人に伝播する”という新たなパターンが少数ですが報告されていることです。
 第3に、政府の後手の対策と五輪の強行により、現在、「全国各地が災害レベルの状況」(厚労省の専門家会合)となっていることです。しかも保護者世代はワクチン接種が間に合っていないという問題を抱えています。全員が自宅療養となった家族で40代の母親が亡くなった痛ましい出来事は、全国の子育て世代にとって他人事ではありません。
 こうした状況で学校が再開しました。「子どもが感染し親が感染することも心配」などの不安が広がっていることは当然です。よって、デルタ株のもとでの学校の感染対策についてお聞きします。

①登校見合わせの選択や分散登校、オンライン授業などについて

 新学期が開始され、いくつかの学校で学級閉鎖されているという話をお聞きしますが、デルタ株の感染力の強さを考慮し、登校見合わせの選択や分散登校、オンライン授業などを柔軟に組み合わせて対応する必要はないのでしょうか。同時に分散登校は、保護者の減収や失職、医療従事者が出勤できなくなるなどのデメリットがあります。そうしたしわ寄せが起きないよう、必要な子どもが朝から学校で学べるような対応を徹底することが必要です。いかがお考えでしょうか。

②感染対策のため登校を見合わせる選択を検討している保護者や子どもが少なくないことへの対応について

 伊丹市の場合、7月21日付の保護者向けの連絡文書で、「出席停止扱いにするもの」として、園児児童生徒が感染した場合や濃厚接触者に特定された場合、ワクチン接種後の発熱等風邪の症状がみられるとき等6項目があげられています。感染が不安で登校できない場合に関しては「欠席扱い」とすると、昨年6月に保護者向けの連絡文書に記されています。また、昨年6月25日付の教育長からの各学校園長あての事務文書(伊教委保第481号)でも、先ほどの保護者宛連絡文書とともに、「同居者に風症状等が続いた場合に登校しない場合は、7月1日以降、欠席とする」「感染が不安で登校できない場合は、7月1日以降、欠席とする」とされるとともに、「保護者から感染が不安で休ませたいと相談があった場合」という文科省の衛生管理マニュアルを追加しています。それには、学校での感染対策等を十分説明して理解を得るよう努めるとし、その上で、感染経路のわからない患者が急激に増えている地域であるなどにより、感染の可能性が高まっていると保護者が考える合理的な理由があると校長が判断する場合には、指導要録上「出席停止・忌引き等の日数」として記録し、欠席とはしないなど柔軟な取り扱いも可能とされています。しかし、昨年の6月と言えば、第1波と第2波の中間で、ほとんど感染者は見受けられない時期で、現在と状況は全く異なります。しかも現在、伊丹市では「感染経路のわからない患者が急激に増えている地域」にあたり、その中で「感染の可能性が高まっていると保護者が考える合理的な理由」を校長が判断するとなっており、保護者の掲げる理由を校長によっては異なる判断をすることも考えられ、保護者と子どもに不安を広げることになります。さらに、このような詳細は、一切保護者には連絡されていません。

 この点では、国の通知が「同居家族に高齢者や基礎疾患がある者がいる」場合には「出席停止」欠席扱いしないなど、登校見合わせの対象を狭くしていることに原因があります。教育委員会として、広く認めるように転換し、登校を見合わせる子どもたちの学びや成長への支援を明確に位置付けることが必要と考えます。見解をお聞きします。

 また、何らかの理由で出席できない場合、タブレットによるオンライン授業も可能となっているかと思います。その場合、伊丹市は出席扱いとしていません。基本は教師との対面によるみんなと一緒に学ぶことですが、学校に行くことができない場合にはオンライン授業も出席にすることは可能と考えます。一方、不登校の場合のオンライン授業は出席扱いとなります。伊丹市も柔軟に対応すべきと考えます。オンライン授業の現状と合わせて、見解をお聞きします。

 さらに、これらの扱いが自治体によって異なっていると側聞しますが、阪神間各市の状況をお聞きします。

③学校でのクラスター対策と広範な検査を行うことについて

 コロナ感染は半数が無症状感染者からであり、無症状感染者の発見と保護が感染対策に欠かせません。このことを政府が無視してきたことが、事態の悪化を招いた一因です。従って、濃厚接触者を狭くみず、財源を国に求め、実態に応じ、学級・学年・全体など広めのPCR検査を行政検査として行うよう求めます。伊丹市の現状と見解をお聞きします。

 また、国が高校等に配付した抗原簡易キットは症状のある人への緊急のものですが、全国的に、学校現場では採取に必要な場所も防具もないなどの問題が噴出しています。無理なく活用できる対応策を具体的に示すことを求めるものですが、教育委員会の対応をお聞きします。

④コロナについての学びとコミュニケーションを重視することについて

 子どもたちは長い間我慢をしいられ、さまざまな不満を募らせています。新型コロナウイルスと感染のしくみを学び、受け身でなく自分の頭で考え納得して行動変容し、「部活動もこれなら可能では」といった自分たちの学校生活の前向きな話し合いを行うことこそ、この時期に欠かせない学びです。そうした学びの保障を求めます。また、教職員が世界と日本の研究成果などを学び、感染対策を含め討議できるゆとりを保障することを求めます。このことは、子どもや保護者がウイルスを正しく恐れることを助けることにもなります。見解をお聞きします。

 さらに、以前の市のアンケートでも、保護者の認識以上に困ったときに助けを求められない児童・生徒が多く、ストイレスを抱えていることが明らかとなっています。補正予算で不登校対策支援員の配置は行われますが、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの増員で、心のケアの強化を図ること、子どもたちの気持ちをよく聞き、子どもたちの意向を最大限尊重した対応を工夫することが必要です。伊丹市の場合は県の配置に加えて上乗せの配置をされていることは評価をしますが、コロナ禍で増員の必要性は高まっています。議案質疑での答弁は、体制の充実について今後考えるとのことですが、現在、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーは余裕を持って働いておられるのか、過重労働で逆にその人たちが疲弊するのではないかと危惧するものです。現状はどうなっているのでしょうか。そして改めて増員を求めるものですが、見解をお聞きします。

4.演劇ホールの存続をめぐる問題

 伊丹市は、演劇ホールの活用方法について、サウンディング型市場調査を行い、その用途変更も含めて検討されています。そこで次の点をお聞きします。

1)伊丹市の文化政策について

 伊丹市は2018年に、従来の「文化振興ビジョン」を発展させて「伊丹市の文化振興施策にかかる指針」を策定されています。

 その「指針」では、演劇ホールの評価について、その専門的かつ独自性の高い事業展開に対して「地域創造大賞」や「文化庁芸術祭優秀賞」の受賞をはじめ各方面から高い評価を得ていること、また、市内中学校や高等学校へのアウトリーチによるコミュニケーション教育に力を入れていることとともに、一方では市民の認知度は十分とは言えず、今後市民へのアプローチを一層進めていく必要性が述べられています。
 そして基本方針では、文化芸術が身近にあるまちをめざすとされ、文化施設の活用に関しては、潤いと誇りを感じることのできる心豊かな生活を実現するための機能を担い、常に活力ある社会を構築するための役割を担っているとの「劇場法」を引用し、人と人が出合いつながる場所として文化施設を活用するとしています。そして、社会包摂としての鑑賞支援も明記されました。
 さらに、他では味わえない事業を展開するとして、美術館・工芸センターの展示や柿衞文庫の俳諧俳句資料とともに、演劇ホールの演劇、ダンス公演を挙げられ、歴史を感じられる場所の活用とともに、伊丹ブランド構築の一翼を担うとされています。また、2016年12月議会での私の文化政策に関する質問に対して、平田オリザ氏の講演での文化格差が地域格差につながることを危惧する旨を引用し、本市では多くの文化施設があり、各館の個性的な事業展開、アウトリーチ活動などにより、芸術文化に触れられる多様な機会の提供があり、ゆくゆくは選ばれるまちにもつながっていくものと考えていると答弁されました。
 一方、「指針」では、公共施設マネジメントに基づき施設の有効活用を図るとして、財政上の問題とともに市民のライフスタイル、施設使用形態の変化も鑑み、事業・機能の集約や運営主体・形態の変更等、より機動的な活用方法について検討すると書かれています。

そこで、次の点をお聞きします。

①「指針」策定から3年が経過しようとしていますが、その「指針」のまとめとして「終わりに」に書かれている「本市の文化施策の大きな役割を占める文化施設が、個々にとって新たな居場所として心のよりどころになってもらえるような施設でありたい」「その居場所とそこにある演劇や音楽、美術等が今、広がっている地域間、世代間の壁を埋め、人々の心のつながりや相互に理解し、尊重しあう土壌を提供し、心豊かな社会を形成する一助となるよう、『文化芸術がそばにあるまち』を目指し、施策を進めていく」とされていますが、演劇ホールが果した役割を中心に策定後3年間の評価をどうされているのかお聞きします。

②「指針」で「市民のライフスタイル、施設使用形態の変化も鑑み、事業・機能の集約や運営主体・形態の変更等、より機動的な活用方法について検討する」とされていることに関して、今回の施設の有効活用を検討するに至る契機となったのは何かお聞きします。

2)当局が進める演劇ホールの有効活用の検討についてです。

 伊丹市は演劇ホールの有効活用の検討として、国土交通省のサウンディング調査に2回参加し、独自の同調査も行い、その経過を報告されています。そしてさらに演劇ホールの活用に関する市民意識調査も行われています。その伊丹市による検討に関してお聞きします。

①演劇ホールが使用形態の見直しの対象となる評価に関して、市民利用率が低いことをあげていますが、これは逆に市外からの来客者が多いことも示しています。このことを、市民の利用率が低いことをもって利用者一人当たりのコストを割り出すことには疑問があります。「伊丹ブランドの構築」という側面ではどう評価されるのでしょうか。

 また、利用率の算定は公演・講座利用者へのアンケートによるもので、回収率がどのくらいになるかわかりませんが、正確な数字とは言えず、「市民利用15%」と言い切るには問題があると思います。いかがでしょうか。この利用者にはアウトリーチ活動やアイフェス、演劇ワークショップへの参加は含まれているのでしょうか。

 さらに、いたみホールと音楽ホールとの比較もされていますが、施設(メインホール)の利用目的が異なることから比較すること自体が問題です。他市の演劇ホールとの比較はどうでしょうか。以上お聞きします。

②収入の分析で、イベントホールの減免率が高いことを指摘されていますが、貸館利用が少なく、イベントそのものが主催・共催事業等が99%を占めていることから、減免規定を適用すれば当然の結果です。これは文化会館大ホールでも、音楽ホールでも同様の減免規定です。貸館で演劇等のイベントをする場合、観客数が200名までと限られ、採算が困難になる経験をしましたが、このことから指定管理料が高くなることになっているのではないでしょうか。

 また、年間9,000万円の費用がかかっていると言いますが、これも伊丹ホールと音楽ホールのメインホールとは性格が異なることから、他市の演劇専門ホールとの比較が必要ではないでしょうか。以上に対する考えをお聞きします。

③伊丹市は早々に演劇ホールの活用に関する市民意識調査を実施されています。

 なぜそんなに急ぐのかという疑問はぬぐい切れません。確かに演劇ホールは市民の認知度は低いかもしれませんが、今回の伊丹市によるサウンディング型市場調査や関係者・市民からの署名運動等によって、演劇ホールを中心に文化施設のあり方について市民的な議論が始まったと言えます。その途上で調査をすることは十分市民の間で考え、議論する間もないまま、「やっぱり認知度が低い」と判断し、用途変更へと導くのではないかと危惧をするところです。

 市民からも「課題と魅力を知って、存続させるべきか考える時間と機会が欲しい」と言われています。そしてなぜ急ぐ必要があるのか、いつまでに結論を出そうとしているのか、市民や関係者の間で十分時間を取って議論する必要があると考えますが、見解をお聞きします。

④伊丹市が演劇ホールの活用方法についてサウンディング型市場調査を行い、その用途変更も含めて検討するとの報道を受けて、いち早く声をあげたのが演劇関係者と市内中学校高等学校演劇部OBOG会、そして市民の方たちです。

 演劇関係者から「日本全国及び海外の優れた舞台芸術作品を上映してきた。その舞台芸術の拠点を失うことは、市民にとっても、関西の多くの人にとっても舞台芸術作品を享受できる機会を失うことになる」OBOG会からは「演劇ができる、学ぶ場所をなくすのは子どもたちの表現の場を取り上げるようなもの」、市民からは「レアなホールですのでぜひとも残してほしい。もっと市民が使いやすい利用形態を考えてもらいたい」などの声が紹介されています。この声をどう受け止められるのでしょうか。

 財政負担に関しては、演劇ホールのままで機能維持のために改修するにしても、大規模に用途を変更するにしても、いずれも財政負担はかかります。問題はイニシャルコストで、優れた舞台芸術の上映や中高生を中心としたアイフェス等を残しながら、利用形態等を工夫して、コストを削減する方向を考えるべきではないでしょうか。見解をお聞きします。

5.自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)について

 先の6月議会で、市長の所信表明の中で、「日本社会でのデジタル化の遅れから、国はデジタル化の司令塔となるデジタル庁を今年9月に始動させ、自治体システムの標準化や共通化を進め、業務の効率化や住民サービスの向上を進めている」と紹介されたことから、様々な懸念を示して見解をお聞きしました。

 その時指摘しましたが、情報通信などのデジタル技術の進歩は、本来人々の幸福や健康に資するものであり、その方向で進むべきものです。また、デジタル化は行政手続のオンライン化など効率的運用に寄与する側面もあります。しかし、可決された6つの法律から成るデジタル関連法は、個人情報の一元化とオープンデータ化や国・自治体の情報システムの共同化・集約、マイナンバー制度の利用・拡大、強力な権限を持つデジタル庁の設置という4つのツールを設け、データ利活用をさらに使いやすい仕組みにしようとするもので、中でも行政機関等の非識別加工情報制度や自治体システムの統一・標準化は問題ありとして市長の見解を質しました。
 市長は「情報システムの標準化・共通化や、マイナンバーカードの普及促進、行政手続のオンライン化などを、国全体で進められる行政のデジタル化と連携を図りつつ、個人情報の保護やセキュリティーの確保を確実にした上で、デジタル機器の不慣れな方への支援を行い、誰もが安心して参加できる伊丹市のデジタル・トランスフォーメーション戦略を策定し、市民生活の質の向上と持続可能な行政サービスの提供の両立を実現してまいりたいと考えております」と答弁されました。

 その直後、7月10日には「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進手順書」が公表されました。その「手順書」では、全国の自治体に対し、2022年度までに児童手当や保育所の利用申し込みなど31の行政手続きのオンライン化と、25年度を目標に介護保険、生活保護、国民年金など17業務の情報システムを国が示す基準に標準化・共通化するよう求めています。そして、行政が持つ様々なデータを企業が活用できるよう提供し、ビジネスの創出を期待するなどとしています。そこで、次の点をお聞きします。

①児童手当や保育所の利用申し込みなど31の行政手続きのオンライン化はどのように進められているのか、またどこまでオンライン化されようとしているのか、お聞きします。

②年度を目標に介護保険など17業務の情報システムを国が示す基準に標準化・共通化するとされていますが、「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」では、「標準化に適合するものでなければならない」と定められており、6月議会でも指摘した自治体の独自施策は残らないのではないかと危惧するものです。「手順書」ではどうなっているのでしょうか。

③外部人材の活用については伊丹市では委託契約をされています。国の要綱では、信用失墜行為の禁止や守秘義務、職務専念義務に関する事項を定めるとしていますが、公務員と違って法的拘束力はありません。また、利益相反な行政のゆがみの温床となることが懸念されますが、見解をお聞きします。

6.児童・生徒の健康について

 全国保険医団体連合会は、新型コロナウイルス感染症拡大により、必要な医療を受診できない児童・生徒がいるという調査結果を発表しました。この調査は、2月から3月にかけて実施され、学校による健診後の治療の実態を調べたもので、全国31都道府県の小中学校と特別支援学校が対象とされています。受診率は調査対象の歯科、眼科、耳鼻科、内科の全科で増加しているとされました。

 私は依然、学校での歯科検診の結果で要受診とされた子どもの受診状況について聞いたことがあります。健診後の治療につながらない背景には、「健康に対する親の理解不足」や「共働きで時間がない」「経済的困難」などがあげられます。今回の調査では、その状況が改善されない中で、コロナ感染を恐れた受診控えが加わったと考えられ、子どもを取り巻く健康状況に不安があります。

 伊丹市の状況はどうでしょうか、また受診率向上にどのような対策を取られているのでしょうか、お聞きします。

 

日本共産党伊丹市議団ニュース 第388号 代表質問(骨子)

日本共産党伊丹市議団ニュース 第388号 2021年9月14 日

日本共産党議員団の代表質問(骨子)
9月22日(水) 上原ひでき議員

 日本共産党伊丹市議団ニュース 第388号 ダウンロードはこちら(PDF)

日本共産党議員団の代表質問(骨子)
9月22日(水) 上原ひでき議員

 ただし、コロナ感染拡大のため本会議での質問はなく、文書による質問と答弁のやり取りになります。質問と答弁は、22日の夕方に代表・個人質問全文が市議会ホームページに掲載されます

1.市長の情勢認識を問う

1)コロナ禍における国の経済政策について

・「アベノミクス」で格差が拡大しているうえに、コロナ感染拡大が追い打ちをかけている。国の経済対策に対する認識を問う。

2)米軍と一体となった市内の自衛隊をめぐる動きについて
・自衛隊基地周辺1キロを対象とする「土地利用規制法」が強行されたが、その監

視対象は市内では約3分の1の地域に及ぶ。この法律の背景には日米軍事作戦があり、その実動訓練が市内中部方面総監部(伊丹駐屯地)で行われている。市長の認識を問う。

2.2020年度決算に関して

2020年度決算内容の中心である新型コロナウイルス感染症対策について

・検査体制の拡大や自粛と補償の一体化のための再度の事業者への家賃補助などを要求してきたが、昨年度は独自施策は一部に限定された。そのことによる感染拡大と事業者の営業と暮らしが困難になったことに対する見解を問う。

3.新型コロナウイルス感染症対策

1)日本共産党の提案と今後の対策について

① 医療体制の充実について ・市内の医療のひっ迫、療養施設はどうなっているのか。 

② 大規模なPCR検査を行うことについて ・保健所の体制が困難なため迅速に検査が受けられないと聞く。保健所の強化が必要ではないか。

③ 自粛要請とセットで必要な補償をすることについて

・市の独自施策を何度も求めてきたが、現在の事業者の現状をどう認識しているのか。

2)就学前教育施設、学校におけるコロナ感染症対策について

① 登校見合わせの選択や分散登校、オンライン授業などを柔軟に組み合わせて行うことについて

・どんな状況になっても、子どもたちが朝から学校で学べるような対応を。

② 感染対策のため登校を見合わせる選択を検討している保護者や子どもが少なくないことへの対応について

・感染が不安で登校できない場合は「欠席扱い」することやオンライン授業は出席扱いにしないとされていることについて。

③ 学校でのクラスター対策と広範な検査を行うことについて

④ 新型コロナについての学びとコミュニケーションを重視することについて
 スクールカウンセラーの現状と改めて増員を求めることについて

4.演劇ホール(アイホール)の存続をめぐる問題

1)伊丹市の文化政策について

① 「伊丹市の文化振興施策にかかる指針」策定後の3年間の評価について

② 「指針」で「機動的な活用方法について検討する」とされていることに関して、今回の施設の有効活用を検討するに至る契機となったのは何か

2)当局が進める演劇ホールの有効活用の検討について

① 演劇ホールの市民の利用率が低いとされていることについて

・市外からの来客が多いことについて ・市民の利用率15%とすることへの疑問 ・他市の演劇ホールとの比較

② 年間9,000万円の費用がかかっているとされていることについて

・いたみホールと音楽ホールと比べているが、他市の演劇専用ホールとの比較は

③ 演劇ホールの活用に関する市民意識調査を実施されていますが、なぜそんなに急ぐのか

④ 市民や関係者の声をどう受け止めるのか、用途変更以外に方法はないのか

5.自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)

「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進手順書」に関して

① 31の行政手続きのオンライン化について ・2022年までに児童手当や保育所の申し込みなどをオンライン化することについて

② 17業務の情報システムを国が示す基準に標準化・共通化することについて ・標準化することで市独自の施策が消えるのでは

③ 外部人材の活用について

6.児童・生徒の健康

 新型コロナウイルス感染症拡大により、必要な医療を受診できない児童・生徒がいるということについて ・全国保険医団体連合会の調査で、感染拡大により必要な治療を受診できない状況があることが分かった。伊丹市の状況はどうか。

ひさ村真知子議員の個人質問(骨子)

1.市内中学校における校則について

 ① 教師、生徒、保護者が校則に疑問を持った場合にはどうするか。

 ② 服装チェックの現状について。

 ③ 生徒の意見はどう反映されているのか。

2.生活保護の申請状況について

日本共産党伊丹市議団ニュース 第387号 上原ひでき議員の質疑

日本共産党伊丹市議団ニュース 第387号 2021年9月9日

補正予算、条例提案に対する議案質疑
9月10日(金)上原ひでき議員

 日本共産党伊丹市議団ニュース 第387号 ダウンロードはこちら(PDF)

補正予算、条例提案に対する議案質疑
9月10日(金)上原ひでき議員

 ただし、本会議での質疑ではなく、文書による質疑となります。質疑と答弁は、10日の夕方に市議会ホームページに掲載されます。

 議案第64号 令和3年度伊丹市一般会計補正予算(第7号)

基金積立金について…財政調整基金と公債管理基金に15億2,665万円積み立て。その理由を聞きます。

音声誘導装置更新工事について…阪急伊丹駅とJR伊丹駅に設置していて故障している場所の更新工事。ただしすべてを更新しない理由は何か聞きます。

障害福祉、介護人材就労定着緊急支援事業補助金について…コロナによる影響で職を失った人を雇用した場合に給与等の補助をする。想定している人数や月額給与の金額などを聞きます。

学校教育活動振興指導費について…不登校やその傾向のある児童生徒に対応するため、学校教育指導員を配置。コロナによる影響で不登校はどうなっているのか、どんな基準で指導員を配置するのかなどを聞きます。

普通教室転用工事について…2024年から小学5年生で35人学級が開始されるに伴い、不足する教室を確保するため、コンピューター室を変更。転用する教室はいくつなのか、「児童くらぶ」は足りるのかなどを聞きます。

議案第69号 伊丹市教育に関する事務の職務権限の特例に関する条例の制定について

○教育委員会の意見について…博物館の所管を教育委員会から市長に変更するにあたり、法律により、議会は教育委員の意見を聞くことになっています。その内容を質します。

議案第70号 市立伊丹ミュージアム条例の制定について

○廃止する条例との関係について…美術館、工芸センター、伊丹郷町館、博物館のそれぞれの設置条例を廃止し、新たにそれらを一体化した伊丹ミュージアム条例を制定。廃止される条例と新たに策定する条例の関係について聞きます。

○博物館法に基づく管理、運営について…伊丹ミュージアムは、従来の博物館と同様に博物館法に基づいて管理、運営されることになることから、一体管理で何が変わるのか、職員の配置はどうなるのか、基本的運営方針や事業計画の策定はどうされるのかなどについて聞きます。