2013年3月議会:上原ひでき 地方交付税の削減、地域の元気臨時交付金、子育て支援事業計画

 今年の3月予算議会では、4月に市長選挙を控えていることから、2013年度予算案は「骨格予算」として提案されました。「骨格予算」とは、経常的な経費と国の予算に伴う経費の計上にとどめるもので、政策的な予算は6月議会における新市長の所信表明とともに提出されることとなります。

 上原議員は、次の点で質疑を行いました。

 ①地方交付税に関して、特に来年度予算で政府は、地方公務員の給与削減を前提として、交付税を削減している問題について。

 ②国による補正予算に伴う「地域の元気臨時交付金」について

 ③「子ども・子育て支援事業計画ニーズ調査委託料」について

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2013年3月議会 議案質疑

2013年2月28日
日本共産党議員団 上原秀樹

1.歳入 第10款 地方交付税

1)政府の「平成25年度地方財政収支見通しの概要」から地方一般財源、地方交付税について伺う

① その「概要」によりますと、2013年度の地方財源に当たる一般財源総額は、前年と同額とされました。しかし一方では、社会保障関係の自然増分5500億円は確保したとされたことを勘案すれば、実質的には抑制基調となっているではないかと思いますが、現場での実感はどうなのかお伺いします。

② 政府は地方公務員給与の7.8%引き下げることを要請し、地方交付税を8505億円減額した問題について

・ 民間の賃金も1997年をピークに年間59万円下がっており、働くものの所得は下がるばかりです。安倍首相も所信表明演説で、国民所得が失われていることを経済危機の要因にあげ、「突破にまい進する」と言明されました。それならば自治体に公務員の賃下げを強要し、政府が主導して国民の所得を奪おうとするやり方は矛盾するのではないかと考えるものです。

・ 地方6団体も批判している通り、政府のやり方が乱暴で、ルールに反していることも問題です。地方公務員の賃金は、自治体が独自に自主的に条例をつくって決定するのが地方公務員法で定められた原則です。職員との交渉にも応じなければなりません。政府が一方的に下げ幅を決め、実施を強要する前提で地方交付税を減額するやりかたは、この原則を踏みにじる行為と考えます。

 これらの点に対する見解をお伺いします。

③ 地方公務員給与削減に見合った歳出を確保することについて

・ 全国防災事業費973億円、緊急防災・減災事業費4550億円を財源は全額地方債で措置するとされました。これらには伊丹で活用できるものがあるのかどうか。

・ 地域の元気づくり事業費3000億円は地方交付税で措置するとされました。
 この件に関して政府は、これまでの人員削減や給与削減の実績を反映して算定するといっていますが、いったいどういうことなのでしょうか。政府には、国家公務員の7.8%削減後の国の指数と比較して、それを上回る給与削減を「要請」するとの考え方があるようですが、人も給与も減らしたところががんばったところなので交付税を余分に措置するなどというやり方は、地方交付税の算定方法として原則を踏みにじっていると考えるものです。

 以上に対する見解を伺います。

④ 将来の地方交付税はどうなるのか

 地方財源不足額と財源対策に関しては、その不足分を国と地方が折半し、地方では臨時財政対策債で対応しています。一方、国は折半対象外の財源を、財源対策債と臨時財政対策債の既往債元利金分の財源対策と合わせて行っています。さらには、2012年度2月補正予算のような補正予算債が後年度返済時に100%交付税算入されることになってもいるところです。後年度にどんどん付回しをし、当面の財源対策をしているようですが、国と地方の借金は膨らむ一方であり、いったい国はどんな展望を持っているのでしょうか。地方固有の財源である地方交付税のあり方は、伊丹市にとっても死活問題でもあることから、この点についても見解をお伺いします。

2)伊丹市における普通交付税と臨時財政対策債の予算について

 来年度、普通交付税は47億円、臨時財政対策債は36億4千万円で、合計83億4千万円を見込んでおられます。一方、今年度の補正予算後の原形予算は、普通交付税臨時財政対策債を合計すると、85億270万3千円で、今年度の見込みは原形予算比で、1億6270万3千円の減となるものです。市税の増収が見込まれるということもありますが、どのような見通しで予算を組まれたのでしょうか。お伺いします。

2.歳入 第14款 国庫支出金 第2項 国庫補助金

1)第1目 総務費国庫補助金 地域の元気臨時交付金について
政府は、公共事業を積極的に活用した大型経済対策を打ち出し、補正予算と2013年度予算を「15ヶ月予算」として一体的に取り組むとして、補正予算では国債の追加発行によって公共事業拡大を中心に「大盤振る舞い」をする一方、2013年度予算については国債発行を抑制し、社会保障等の抑制によって歳出抑制を重視するという枠組みなっているように思います。しかし地方にとっては、国の補正予算で「地域の元気臨時交付金」が創設されたことで、歓迎される内容ともなっています。

 伊丹市における「元気交付金」は、補助事業における地方負担額を12億1737万6千円とし、その70%を交付見込みとして、8億5216万3千円とされています。国は交付限度額の算定対象となる公共事業等は、国の補正予算に計上されたものの内、建設公債の発行対象経費となるものが含まれることとなるとされ、また、追加公共事業を実施しない団体には交付されないとも言われています。伊丹市の場合は、交付金算定における補助事業における地方負担額をどの部分から算定されたのか、すべて事業実施5カ年計画の中から出されたものと見ていいのか。さらに2013年度、14年度に渡って交付金を充当する事業についても同様と考えていいのか。交付金の算定根拠も合わせてお伺いします。

○また、政府も今回の交付金は今年度に限るとされているとおり、臨時的なものに過ぎず、一時的な雇用は生まれるものの、継続的な経済効果が見込まれるとは思えません。この点に関して、伊丹市における経済効果をどう考えるのかお伺いします。

○補正予算債と合わせて、「後年度の市の一般財源を約19億円縮減できる」ことについて

3.歳出 第3款民生費 第4項児童福祉費 第1目児童福祉総務費のうち、「子ども・子育て支援事業計画ニーズ調査委託料」について

1)ニーズ調査、並びに事業計画を策定するにあたって、子ども・子育て支援法をどのように受け止めるのか

 民主・自民・公明の3党による合意をもとに、新システムに関する子ども・子育て関連法が8月10日に可決成立しました。今回予算措置されている「子ども・子育て支援事業計画ニーズ調査委託料」は、子ども・子育て支援法の中で、市町村、都道府県は基本指針に即して、5年を1期とする教育・保育および地域子ども・子育て支援事業の供給体制の確保その他この法律に基づく業務の円滑な実施に関する計画を定めるとされたことによるものです。

 子ども・子育て支援法の概略の一部を、個人的に列挙すると次のような問題があります。

・ 児童福祉法第24条で、争点となっていた市町村の実施義務規定が、第1項として残ったこと。同時に第2項で、認定こども園または家庭的保育事業等により必要な保育を確保するための措置を講じなければならない」とされたこと。このことは、必要な子どもは保育所で保育しなければならないが、認定こども園や家庭的保育事業等を整備・誘致すればそれでいいということになりかねません。すなわちこのことは、保育に対する公的責任の縮小であると考えます。一方で市町村は認定こども園や家庭的保育事業、小規模保育事業などを確保する措置が求められるということにもなります。

・ 認可保育所の建設や改修整備のために、4分の3を国と市町村が負担してこいた国庫補助制度が廃止されたことです。

・ 保育所等と保護者の直接契約制度が導入されたこと。

・ 親の就労時間によって子どもの必要な保育時間を決める認定制度が導入されること。

などです。

 これらの内容は、従来の「次世代育成支援行動計画」とは大きく違ったものになり、2015年4月の本格施行に向けて、諸準備に大変な作業も一定の費用も見込まれるものとなります。今年度のアンケート調査に続き、今後事業計画を策定するにあたって、これらの新たな法律の内容を、伊丹市の子育て支援の方向性を見据えるにあたってどのように受け止めておられるのかお伺いします。

2)子ども・子育て支援事業計画ニーズ調査と「子ども・子育て会議」について

 事業計画ニーズ調査の項目は、おそらく国が示してくると思われます。しかし、伊丹市独自の調査項目の検討や、新しい制度の理解を深めることとあわせて議論する必要性から、早い段階から関係市民の参画が必要と考えるものです。国は、地方版「子ども・子育て会議」の開催を来年度4月にも予定しているが、伊丹市はどうするのかお伺いします。

3)次世代育成支援行動計画との関係について

 「次世代育成支援行動計画」が2014年までで、2015年からは新制度が施行されることになります。「行動計画」は現在、「次世代育成支援推進協議会」で実施状況の点検・評価および推進する体制を取っていますが、来年度「子ども・子育て会議」が設置されると「推進協議会」と平行して二つの会議が運営されることになります。

 その二つの会議の関係をどうするのか、また、「次世代育成支援行動計画」は今後どうなるのか、「支援事業計画」に発展的解消となるのか、あわせて見解をお伺いします。

伊丹市会報告2012年秋季号 中学校完全給食の実現に全力

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伊丹市会報告2012年秋季号はこちら(画像PDFファイル13.7MB)

 【1面】

中学校完全給食の実現に全力 日本共産党議員団

 日本共産党伊丹市議員団は、以前から中学校完全給食の実施を強く求めてきました。周辺他都市でも実施されており、芦屋市でも本格的検討に入っています。

 今議会では他会派も実施を要求し、市長と市当局がはじめて「検討を開始する」と答弁、従来の「実施しない」立場から微妙に変化しました。

教育と子育ての支援を要求

認可保育所増設で待機児童解消を

 10月1日現在、緊急を要する保育所待機児童は149人(前年同月比53人増)。昨年の年度末には250人を超えるとともに、各保育所では定員を超え、すし詰め状態です。党議員団の要求と市民の声に、来年度は新設保育所を含めて115人の定員増となりますが、安心して預けることができるよう、更なる増設を求めました。

子どもの医療費は中学3年まで無料に

 中学生の通院・入院は小学生低学年と比べて大幅に少なく、中学生の医療費無料化はわずかの予算措置で実現できます。さらに、所得制限はやめ、すべての子どもの医療費を無料にするよう求めています。

いじめ解決のためにゆとりを持てる学校運営を

 学校でのいじめが全国的な話題になっています。

 伊丹では3年前に中学生の暴行死事件が発生し、学校でのいじめや暴力への取り組みが強化されてきました。今年度実施のアンケートでは、「いじめが継続している」と回答した生徒数は小中あわせて771人ありました。

 教育委員会はスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを配置して対応を強化しています。しかし根本的には教員がゆとりを持って子どもと接することができる体制が必要であり、少人数学級の拡充と教員の増員を求めました。

早期に「発達支援センター」の整備を

 市内の障がい児施設は、設置場所が分散していることに加え、つつじ学園などが老朽化し、以前から施設の建替え・集約化が課題となっています。市は「来年3月までには場所や集約のあり方、事業費などを示し、2015年度には発達支援センターを建設する」としていますが、未だなんの説明もありません。重ねて早期の整備を強く求めました。

2012_10_report_ski_2【2面】

日本共産党伊丹市議団

 高すぎる国保税引き下げを 特養ホームの増設を

国保税 高くて払いたくても払えない

 国保加入世帯の約73%が所得200万円以下。所得200万円3人世帯の国保税は約32万円で、とても払いきれません。一般会計からの繰り入れ増額を今後も維持し、高すぎる国保税を引き下げることを求めました。

介護施設 いつまで待てば入所できる?

6月現在で特別養護老人ホームの待機者は178名。現在も小規模特養設置への新規事業者の応募はなく、介護保険計画を達成しても待機者はなくなりません。党議員団は、国に補助金の拡充を求め、介護施設増設を急げと要求しました。

後期高齢者保険料 市独自の減免制度を要求

今年度から後期高齢者保険料が6%引き上げられ、平均で年間7万5千円となり、年金支給額が減少する中、「高くて払えない」と悲鳴が上がっています。党議員団は、市独自の保険料減免制度の創設を強く要求しました。

「(仮称)農を活かしたまちづくり基本条例」の制定を

 都市農業振興計画で条例化が明記されました。都市における農地は、安全な旬の農産物の提供、災害時の避難場所、遊水機能など多面的な役割があります。農業者市民と議論する場を設置し、条例化を急げと求めました。

消費税大増税が市立伊丹病院の経営を圧迫

市立伊丹病院は3年連続黒字となり、医師の増員や地域医療の充実にも力を入れています。

 民・自・公三党による消費税大増税は、医薬品、医療器具などの価格を引き上げ、医療費に消費税がかからないため病院経営をおびやかします。

 病院が消費税負担しなくてよい制度に改善が求められています。

経常収支比率が高いことは問題なのか

 経常収支比率とは、財政構造の弾力性を表すもので、伊丹市は99.8%と、「硬直化」しています。しかし、暮らしを守る施策を行うほど比率は高くなるもので、比率が高いこと自体が問題ではありません。他会派議員が、改善のために公共料金値上げや市バス敬老パス有料化などを主張することはくらし破壊につながるだけです。市艮の暮らしを守る財源を確保するため、国に地方財源の増額を強く求めることが急務です。

2012年9月議会:上原ひでき 農を活かしたまちづくり基本条例の制定について

2012年9月21日
日本共産党議員団 上原ひでき

1.1)産業活性化策、2)伊丹市産業振興ビジョンについて はこちら

3)伊丹市「農」の振興プランの(仮称)農を活かしたまちづくり基本条例の制定について

 伊丹市「農」の振興プランにおける「戦略プロジェクト」の第1 項目に、「(仮称)農を活かしたまちづくり基本条例の制定」があげられています。ここでは、伊丹市としての「農」に対する考え方を示し、個別の施策を位置づける内容にするとして、2011 年度に専門委員会等による条例の枠組みを検討し、2012 年度では庁内会議等で条例案を検討、2014 年度、平成26 年度には条例制定・施行という計画となっています。

 この問題で、今年の予算特別委員会で進捗状況をお聞きしたところ、そう簡単にはいかないと述べられました。それは、所有者が個人である農地を、条例の中に位置づけてどう活用していけるのか慎重に検討しなければならないこと、また市長からも、市民全体のコンセンサスとして条例化する上で様々な問題があること、具体的な施策としてどこまで盛り込めるのか等々検討課題があり、こういう条例をつくりますというところまでまだ至っていないのが現状、との答弁がありました。

 私は、条例に関して言えば、工業も商業も農業も地域内経済循環を図る上で重要な要素であり、それらを含めた産業振興基本条例を制定すべきであるということを発言してきました。

 この件に関しては、伊丹市には産業界の機運がないなどの理由で制定の意思はないという答弁を繰り返しいただいています。

 今回、農地を守り都市農業を発展させるために、その考え方を明確にし、その上で個別の施策を位置づけるという基本条例制定は、意義のあることであると考えます。 そこでお伺いします。

①市長は、都市農業に対する考え方には同じであるとしながらも、「条例化するということを目指して努力してまいりたい」と答弁されました。

 基本条例を制定するということは、第5 次基本計画において「市民が広く親しみ支える『農』のあるまちづくりを進めます」とされ、このことに基づいて伊丹市都市農業振興計画に位置づけられている内容です。しかも戦略プロジェクトの最初に位置づけられ、すべての基本施策を関連付け、施策推進を図るためのものとなっています。したがって、都市農業振興計画を策定される際には、十分議論があって決定されたものと考えるべきものであります。懇話会による提言をどうするかという議論ならまだしも、いまさら答弁にあった議論がされるということは想定しにくいことです。どういう過程で「そう簡単にはいかない」ということになったのか、お伺いします。

(答弁)

 条例制定を検討するに当たり他市の状況を調査する中で、先に条例を制定して農業振興計画を策定している。伊丹市においては、野焼きや肥料散布など必ずしも市民の理解を得られていないという現実もあること。このことから引き続き慎重に検討していく。

②計画では、専門委員会等における検討、庁内会議となっていますが、このスケジュールをどうのように変更するのか、条例制定をいつまでにされようとされているのか、お伺いします。

(答弁)

 他市の状況を引き続き調査を進めているところ。どういう形でどういうところまで規定できるのか、また長期的視点に立った本市における「農」に対する考え方をどう整理することができるのかなどの検討がある。今後のスケジュールを示すことはできないが、できるだけ早く条例化していきたいと考える。

(2回目)

・3 月議会の議論のままで止まっている。ウメ輪紋ウィルスという大問題が発生してそこまで手が回らないのか、それともまったく行き詰まったのか。ウメ輪紋ウィルスの発生前から議論は止まっているのではないか。

○本来、提言に基づきいろいろ議論されて行政計画として決定されたことなのでスケジュールどおり進めていくべきもの。しかし、計画を推進していく上で、様々な問題が生じたとき、いつまでも行政内で議論していても始まらない。

 この計画の推進のために、(仮称)伊丹市「農」の振興プラン推進会議を設置するとされている。そこで議論する必要があるのではないか。

(答弁)

 「(仮称)伊丹市「農」の振興プラン推進会議」を設置し、できるだけ早期に条例制定についての議論を行っていく。

2.伊丹市立伊丹高等学校普通科の通学区域のあり方について はこちら

2012年9月議会:上原ひでき 産業活性化策、伊丹市産業振興ビジョンについて

2012年9月21日
日本共産党議員団 上原ひでき

1)地域内経済循環に視点を置いた産業活性化策について

 まず「活力ある地域産業の振興と創出」の共通課題とされた、地域内経済循環に視点を置いた産業活性化策についてです。2010 年3 月議会で、この考え方を質した答弁で、「物づくり企業の面では地域の横の連携による技術開発や共同受注、下請でなく横請け関係を推進すること、商業の面では、個店だけで取り組むのではなく、商店会、商店街組織として、あるいは複数の商店会が連携して業種を超えた顧客サービスや共同仕入れ、共同販売などへの取り組みを進めることなど、地域で産業がつながっていくのではないかと考える。その取り組みの中で、地域の中で取引や投資、雇用が生まれ、お金が循環していくという地域内での経済の活性化、循環が進んでいくのではないかとする考え方である。その課題として、地域とはどの範囲であるのか、その範囲のとらえ方の点、また、産業として、商工業だけでなく、農業やサービス業などを含めて、どう業種をとらえていくかという点などについては、専門的、学術的な産業連関分析が必要となり、さらに根本的には産業界自体にそのような方向性への機運がなければ取り組むことができません。今後、地域内経済循環という考え方については、産業界や個々の事業者の方、市民の方々等のお考えをお聞きしながら具体的な検討を進めてきたいと考えている」とされました。

 私は、いかに持続的な地域経済発展の仕組みをつくるのかという問題に関して、そこに求められているのが、地域に密着した多くの中小企業、事業所あるいは農家等に所得が生まれてくるという視点での仕事起こし、福祉や環境分野も含めた「人間の再生産」と地域の持続性を踏まえた新しい産業政策が求められているとの考え方から、「地域内経済循環に視点を置いた産業活性化策」の考え方を評価しており、この立場から発言をしてきました。
 そこで、当時答弁されたこと、すなわち、①専門的、学術的な産業連関分析が必要であるとされたこと、②産業界や個々の事業者の方、市民の方々等のお考えをお聞きしながら具体的な検討を進めていくとされたこと、この二つに関して、どのように進められてきたのかお伺いします。

(答弁)

①産業の構造を把握するためには、生産する財・サービスが対象とする地理的範囲によって大別することが適切。これによると、域外市場を志向する「域外需要」と域内市場を志向する「域内需要」に大別できる。

②小・工業者、地域住民それぞれが主体となって、同業種種、異業種がともに様々な交流や情報交換等を深めることで、地域産業の基盤強化、地域経済の活性化が図られ、地域内経済循環が確立できる。その立場で、様々な施策を展開してきた。

次に、以上のこととも関係すると考えますが・・・

2)伊丹市産業振興ビジョンについて

①アクション・プログラムの中に、「事業所訪問による支援活動の推進」という項目があがっています。ここでは、「経営・技術上の課題の解決や企業間・産学官連携の促進等を図ることを目的として」、企業訪問活動を実施するとされています。

 私はかつて、墨田区が中小企業振興基本条例制定の過程で、事業所の悉皆調査を区役所の係長級職員180 人によって行い、職員自身が中小企業・商業関係事業所の実態を把握し、必要な振興策をつくりあげた経験を取り上げ、伊丹市としてもその実態を調査することとともに、条例の制定を求めました。その後、政府の雇用対策関係経費を使って調査が行われ、ベータベースとして蓄積されています。しかし、その調査結果がどのように伊丹市の中小企業施策に生かされているのかということを考えると、十分ではありません。
 そこで、今回の調査は「事業所の実態を正確に把握」するとされていますが、具体的にどのような調査が行われているのか、今後の施策にどう反映されるものなのか、伊丹市の職員も調査に参加すべきと思いますが、その点についてもお伺いします。

(答弁)

 経営・技術上の課題の解決や企業間・産学官連携の促進を図ることを目的として、産業支援活動推進員による企業訪問活動を実施している。今年度から商工労働課職員も企業訪問を始めている。月1回推進委員からの報告会を開き、意見交換をしている。

②計画の検証と推進管理の体制

 アクション・プログラムでは、ビジョンの検証は市と商工会議所が連携して取り組むとされています。来年度が中間年度の検証の年となりますが、少なくても産業振興ビジョン策定懇話会、もしくは中小企業対策委員会で検証を行い、広く市民・事業者の声を反映させる必要があるのではないでしょうか。このことは、地域内経済循環という考え方について議論を深め、市民といっしょに考える機会ともなると考えますが、見解をお伺いします。

(答弁)

 ビジョン検証については、市と商工会議所だけではなく、「中小企業対策委員会」でも検証を加えていただき、有効なビジョンとして産業振興に活用していく。

(2回目)
・1980 年祭後半以降の多国籍企業の発展 → 生産拠点が海外に移転することによって、国内拠点が閉鎖、縮小し、「産業空洞化」問題が生じている。 → 「人間の生活領域としての地域」と「資本の活動領域としての地域」の乖離・・・具体的には大企業が地域から撤退・縮小することで雇用の場が奪われ、地域経済に悪影響。

・超大型商業施設の進出 → 身近な商店・商店街の疲弊、空き店舗の増加、消滅

→ 歩いて買い物にいける商店がなくなった。

・・・国による規制緩和の弊害

・住民が地域で暮らし続けるためにも、その地域において産業活動が持続的に行われ、雇用と所得が再生産されなければならない。 → 地域内経済循環

・したがって、地域内経済循環には、誘致した新たな企業も、外部から進出してきている企業の分工場や支店も、また大型商業施設も、大企業も、銀行も、雇用や地域へ投資することで、大きな役割を果たしていただく仕組みが必要。

①そこで、「産業界や市民等の考えをお聞きしながら検討を進める」とされたことに関して、具体的には一部において地域内経済循環の方向に進んでいる事実もあることから、商・工・農いっしょに改めて伊丹市の考え方を検討する、懇談会なり、研究会なりを開催することが必要ではないか。一度開催したからそれでいいというものではないが。

(答弁)

 地元の農産物を活用した伊丹酒かすカレーなどの新商品を開発してPR に努めて、農商工の連携を推進している。今後とも検討回答で農業関係者の意見を踏まえた産業振興を図っていく。

②産業振興ビジョンの検証の場・・・年1 回の中小企業対策委員会に報告するとのこと。ビジョンを策定した委員や中小企業対策委員会も、さらには異業種交流など具体的な取り組みをされている人たちや職員、一般市民なども含めて、地域内経済循環という支店から検証・議論をする必要があると考えるが。

(答弁)

 検証の場は「中小企業対策委員会」を考えており、そのメンバーには、「ビジョン策定懇話会」の会長、工業部会長、商業部会長を始め消費者団体からの委員等に再度、「中小企業対策委員会」の委員に加わっていただく他、市民代表や市職員、商工会議所も含め、議論をしていきたいと考える。

1.3)伊丹市 農を活かしたまちづくり基本条例の制定について はこちら

2.伊丹市立伊丹高等学校普通科の通学区域のあり方について はこちら

日本共産党伊丹市議団ニュース(第264号)を発行しました

日本共産党の個人質問は21日(金)です。傍聴お願いします。

日本共産党伊丹市議団ニュース(第264号)はこちら(画像PDFファイル)

上原議員の質問 10時40分から

1、活力ある地域産業の進行と創出について

(1) 地域内経済循環に視点を置いた産業活性化策について(質問の全文はこちら)

① 専門的、学術的な産業関連分析が必要である、

② 産業界や個々の事業者の方、市民の方々の声を聞きながら具体的な検討を進めていく、と答弁されているが、この二つの点でどのように進められてきたのか伺う。

(2) 伊丹市産業振興ビジョンについて(質問の全文はこちら)

① 事業所訪問による支援活動の推進…具体的にどんな調査で、今後の施策にどう反映させるのか、また市職員も調査に参加すべきと考えるが見解を問う。

② 計画の検証と推進管理の体制…産業振興ビジョン策定委員会、中小企業対策委員会等で行うべきと考えるが見解を問う。

(3) 伊丹市都市農業振興計画における、(仮称)農を活かしたまちづくり基本条例の策定について(質問の全文はこちら)

① 都市農業振興計画に条例化を明記してありながら、2012年3月議会、予算審査特別委員会で「そう簡単にはいかない」と答弁された件について。

② 今後の条例制定に至るスケジュールについて。

2、伊丹市立伊丹高等掌校普通科の通学区域のあり方について(質問の全文はこちら)

伊丹市学校教育審議会の9月12日答申「伊丹市立伊丹高等学校普通科の通学区域のあり方について」に対して、教育委員がこの答申をどう受け止めておられるのかという視点で、見解を問う。

① 市立伊丹高校普通科の学区を現在のままにした場合、生徒にとって学校選択がどう複雑になると考えるのか。

② 伊丹の生徒が市立伊丹高校普通科に行きにくくなることと、県の選抜制度に合致させることに関して。

③ 「伊丹市内の生徒の入学する割合が減少することはない」との意見がありながら、なぜ学区を拡大するのか。

かしば議員質問 午後1時40分から(質問の全文はこちら)

1、障がい者制度改革のゆくえと障がい児通園施設について

(1) 「改正」自立支援法と児童福祉法の一部改正により、つつじ学園、きぼう学園、カルミア園はどのような影響を受けるのか。

(2) 障がい児通所施設にかかる給付費激変緩和措置の動向について

-来年度から激変緩和補助金が廃止されるといわれているが。

(3) つつじ学園の施設改善について

-老朽化に加え通園児童数の増加により、保育室や言語指導室の確保に支障をきたしているのでは?

(4) (仮称)発達支援センターの整備について進捗状況については先の6月議会でも答弁がありましたが、新たに施設の一元化や新しい支援も加わる中で、施設集約の可能性や設置場所などについてどの程度まで検討されているのか。

2、サービス付き高齢者向け住宅について

 この制度は昨年10月にスタート。伊丹市の第5期「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」では、民間サービス等の活用によって市内に整備を進めるとしています。

 しかし最大の問題は低所得者高齢者の入居が困難だということ。

2012年3月議会:上原ひでき 代表質問

2012年3月6日
日本共産党伊丹市会議員団 上原ひでき

代表質問要旨

1.市長の情勢認識を問う

1)国民・市民のくらしと民主党野田内閣の「社会保障と税の一体改革」について
 ―日本共産党の提言をもとに、消費税増税と社会保障の「改革」の実態をただす

 内閣府が2月13日に発表した国内総生産(GDP)速報によると、昨年10月から12月期の実質経済成長率は年率で2.3%のマイナスとなりました。内需は年率で0.2%増加し、輸出が年率11.9%の大幅減少となったことが響いています。世界経済危機のもとで、これまでのような輸出依存の経済成長路線にますます展望がなくなりました。

 このもとで、日本経済の低迷と世界経済危機を口実に、大企業は大リストラ攻勢をかけてきています。正規社員から非正規に置き換え、さらに、大規模な非正規切りを進めた自動車や電機などの大手製造業は、国内雇用を破壊し、若者たちから仕事を奪いました。その結果、2011年の雇用者報酬は、10年前に比べて約20兆円減少、労働者賃金は年平均50万円の減少、家計消費も前年比で1.1%減の276兆円となり、相対的貧困率も16%まで上昇し、アメリカに次ぐ貧困大国、年収200万円以下のワーキングプアは1000万人を超え、子育て世帯の貧困化による子どもの貧困の問題、30代から50代の生活保護世帯の増大等々に現れています。一方、資本金10億円以上の大企業の内部留保は、10年前の172兆円から266兆円へと94兆円増やし、株主への配当は3倍以上に増やしています。

 このような景気が落ち込み、格差が拡大する中、民主党の野田政権は、「社会保障と税の一体改革」と称して、消費税を2015年に10%に増税する法案を成立させようとしています。この消費税第増税計画は、三つの大きな問題点があると思います。

 第1は、ムダづかいを続けたままの大増税であるということです。八ツ場ダムや「1メートル1億円」の東京外郭環状道路などの大型開発の復活、F35を次期戦闘機として買い入れるために1.6兆円の増額、320億円に上る政党助成金は受け取り続け、その一方で、富裕層や大企業には年間1.7兆円もの新たな減税です。

 第2に、社会保障切捨てと一体の大増税だということです。老齢年金、障害者年金の削減、年金の支給開始を68歳から70歳に先延ばし、医療費の窓口負担を増やし、保育への公的責任を投げ捨てる「子ども・子育て新システム」の導入など子どもから高齢者まで負担増と給付削減を行うものです。

 第3に、日本経済をどん底に突き落とし、財政破綻も一層ひどくするものということです。1997年の橋本内閣のとき、消費税5%への増税など9兆円の負担増を強行しましたが、このことで、回復の途上にあった景気をどん底に突き落とし、税収の落ち込みと「景気対策」のための財政支出でわずか4年間に借金が200兆円も増え、財政を破綻させました。今回は、消費税10%への引き上げで13兆円の増税、年金の削減や医療などの保険料値上げによる負担増を合わせて年間20兆円もの負担が増えます。しかも地域経済が深刻な疲弊の下にあるさなかでの大増税であり、国民の暮らしに計り知れない打撃を与え、日本経済をどん底に突き落とし、財政破綻を一層ひどくすることになります。また、東日本大震災での普及・復興に逆行することにもなります。

 日本共産党は、このような消費税の大増税に断固として反対を貫きます。同時に、消費税の増税なしに、どうやって社会保障の再生・充実と、財政危機打開を進めるのか、具体的な提案を行いました。

 その考え方は、社会保障の段階的な充実と国民所得を増やす経済改革という日本の柱を同時並行的に進めていくということです。第1段階は、小泉「構造改革」以降の改悪によってゆがめられた社会保障を再生するもので、例えば医療費では、子どもは無料、現役は2割、高齢者は1割に、年金削減策の中止、特養ホーム・保育所の待機者をゼロに、国保税の国の責任による一人1万円の引き下げなどで、その財源は、大型事業や原発推進費、政党助成金などの歳出の無駄の削減で3.5兆円、証券税制強化や最高税率の引き上げ、「富裕税」、「為替投機課税」「環境税」の創設など歳入の確保で8兆円から11兆円を見込んでいます。第2段階は、ヨーロッパ並みの先進水準の社会保障を確立するため、最低保障年金制度の確立、医療費の窓口負担の無料化、介護の利用料ゼロなどで、財源は、累進課税を強化して所得税の抜本改革を行うなどで6兆円以上を見込んでいます。同時に、国民の所得を増やして税収増を確保するため、人間らしく働ける労働のルールをつくり、中小企業への本格的な振興策強化等を行うものです。このようにすれば、社会保障を充実させ、財政再建も可能と考えるものです。

 市長にはあらかじめ日本共産党の「提言」をお渡ししています。市長は、社会保障切り捨て、消費税増税の「一体改革」をどうのようにお考えなのか、日本共産党の「提言」に対する見解もあわせて伺うものです。

2)伊丹市の財政と政府の地方財政計画(地方交付税)について

 2012年度の一般会計予算は、660億円で、前年対比6.1%の増としていますが、借換債や第3セクター関係費用を除くと601億円で、3.4%の減とするものです。そのうち、個人市民税では市民に対して年少扶養控除の廃止や特定扶養控除の縮小、均等割り税率の引き上げ等によって約5億円の増税となりながらも、前年対比で3億1600万円の増でしかなく、法人市民税と償却資産税とともに、リーマンショック前と比べて約29億円の減少のままとなっています。市民のくらしや中小零細業者の営業は依然として厳しい状況が続くことが予想され、このことから伊丹市においては、一層暮らしを守る施策が求められることになります。

 一方、前年比で市税が約2億4000万円減少し、扶助費が約3億円増となっているにもかかわらず、普通交付税は実質前年とほぼ同額となっています。社会保障関係経費は自然増だけでも大きく増額しているにもかかわらず、なぜ前年対比で実質同額の普通交付税の予算なのでしょうか。地方財政計画においても、普通交付税はほぼ前年と同額です。しかし、社会保障関係費は、自然増における地方負担分だけで7715億円増加しており、「子どものための手当て」の地方負担増加額などを加えると1兆円以上の増となるものです。地方財政計画で、社会保障関係費を確保したとされていますが、結局給与関係費と投資的経費を削減しつじつまを合わせただけではないかと思います。給与関係費では、政府の「集中プラン」で大幅削減を誘導し、地方ではこれ以上減らすことができないところにあります。このような財政計画を見る限り、一般財源は総額確保したとはいえ、実際には歳出削減路線を伴っています。小泉内閣による地方交付税の大幅削減はまだまだ回復できていません。

 このような政府による歳出削減策は、伊丹市の財政に大きく影響していると考えるものですが、市長は来年度の地方交付税のあり方をどのように評価しているのでしょうか。同時に、地方交付税の「上乗せ」措置が継続された「地域経済基盤強化・雇用等対策費」の地方配分、さらに通常の基準財政需要額の関係費目の単位費用に増額される7550億円に関して、どのように見積もりをたてられたのでしょうか、お伺いします。

2.市民が主体となったまちづくりの実現について

1)参画と協働による市民自治

 市長は施政方針の中で、多様な主体が地域の中で活動し、連携し合える住民自治の仕組みづくりが必要であること、そのために市民と行政が連携し活動する仕組みとなる「協働の指針」を策定すること、PPP(官民共同)基本方針を策定し、「新しい公共」づくりを検討するとされました。

①「協働の指針」について

 地域社会に関して、この間、衝撃的な事件が相次いだことは改めて現代の貧困問題、社会的つながりの問題を考えさせられました。「無縁社会」と名づけられる現代社会は、地縁・血縁というようなつながりの希薄さの中で、多くの人々が孤独の中で生きている現実を露呈させています。これらの状況は、国における社会保障の充実と高齢者を地域のつながりで支える体制の強化、高齢者の力を活かすまちづくりをどのように進めるかが喫緊の課題となっていることを示しています。地域には、自己責任の強調ではなく、多くの人々を包み込み、共同の力で地域問題を解決することができる力量を高めていくことが求められています。そのためには、自治会やコミュニティ組織を基礎にして、子育てサークルなどやボランティア、NPO、民生委員、PTA、子ども会、老人会、各種団体等々などと共同し、高齢者や子ども、障がい者をはじめとして住民の暮らしを守ることと地域をつくることを結び、日常の取り組みを通じて地域力・自治力を蓄積していくことが必要です。これらの多様なまちづくりの主体が、自治体行政活動の公共性を前提として、行政と対等な関係の中で、それぞれの特徴を活かしながら、連携・協力して共通の目標を達成するために力をつくす仕組みをつくることは、住みよい地域づくりに大きく貢献するものと考えます。

 そこでお伺いします。一つは、以上述べたことが「協働の指針」の定義のようなものになると考えますが、当局はその定義に関してどうお考えなのか、見解を伺います。二つに、まちづくり事業制度として事業支援することを考えているのか、さらには地域コミュニティ組織への新たな支援の仕組みをつくろうとされているのでしょうか。三つには、まちづくりを進める組織を支援するための「支援センター」的な組織が必要になるのではないかと考えますが、以上に対する見解を伺います。

②PPP(官民共同)基本方針の策定について

 本来、PPP(官民共同)というものは、例えば水道や交通など従来公営で行ってきた事業に、民間事業者が事業の計画段階から参加して、設備は官が保有したまま、設備投資や運営を民間事業者に任せる民間委託などを含む手法をさしているとされ、PFIよりも幅広い範囲を民間に任せるものとなっています。

 2007年に出された「大阪版PPP改革について」を見ますと、その手法はPFIや市場化テスト、アウトソーシングなどの「民間開放」、地方独立法人化や広告事業、民間との人事交流などの「民間活力の活用」、住民・地域・NPO・企業などとの「協働」の3本柱から成り立っています。伊丹市は「協働の指針」は別につくりますから、大阪版のように全国的に行われているPPPからすると、民間開放と民間活力の活用ということになります。しかし、民間移管等の手法は、政府の自治体調査結果で、「可能な限り民間委託を推進したが、必ずしも経費節減につながっていない」(兵庫県・猪名川町)、「指定管理者制度の活用により、多くの施設で指定管理者が導入されたが、評価方法などが確立されていないため、本当に行政サービス水準の維持・向上、業務の効率化につながっているか不明である」(山口県・宇部市)などの意見があるとおり、反省の声が上がっています。PFIに関しても、近江八幡市立総合医療センター等の破綻で明らかになったとおり、民間事業者の利益が優先される、高金利負担となる、いつ発生するか分からない修繕費用の前倒し支払い、中間業者が介在するというPFIの制度的欠陥性などが問題となっています。

 伊丹市は、PPP基本方針策定において、何をされようとしているのでしょうか。お伺いします。

3.介護保険事業計画について

1)介護保険料について

 議案第60号「伊丹市介護保険条例の一部を改正する条例の制定について」において、介護保険料の基準額を月額4200円から4400円に改めるとともに、保険料段階区分を10区分から12区分に見直そうとしています。この改定によって、年金収入300万円の人には、年間6万6000円、月額5500円の保険料がかかってきます。今でも国保も介護保険料の高いとの声が出ているのはご承知のとおりです。

①伊丹市の準備基金の取り崩しはなぜ50%か

 伊丹市の介護保険財政には、2011年度末に介護給付等準備基金積立金が11億4500万円あります。そのうち、今回の改定で5億7100万円を取り崩し、基準額の月額367円の軽減を図ったとされました。残り半額は基金として残し、第6期の計画で保険料軽減に使うとのことです。

 しかし、第3期が終わった2008年度末には8億6100万円の基金があり、そのうち4期分として約30%の2億6200万円を取り崩し、前期計画比で400円の引き下げを行いました。そのとき、約6億円の基金を残したのは、5期目の保険料は4200円を維持するとの説明がありました。しかも、今回取り崩した5億7100万円は、4期目の計画期間に積み立てた基金であり、3期目の計画期間の基金残約6億円は残したままとなります。なぜ基金を6億円残さなければならないのか、5期計画期間の保険料を4200円に据え置くという約束はどうなったのか、説明をお願いしたいと思います。

②県の財政安定化基金の取り崩しにおける県・国拠出分はどうしたのか

 兵庫県は、介護保険財政安定化基金の第4期末残高121億6200万円のうち、72億4300万円を取り崩し、市町拠出分3分の1の24億1400万円を各市町に保険料軽減交付金として交付するとし、伊丹市の場合、50円の軽減となるとされています。一方、県の拠出金は保険料の軽減に使わないと決めたそうです。しかし厚生労働省の見解では、その使途として保険料軽減のための市町村に対して交付すことは可能とされています。この点では、兵庫県下28市12町の民生主管局部課長・理事一同名で、兵庫県拠出分相当の取り崩し額について、第5期介護保険料の上昇に直接活用できるよう対応をお願いしたい、との緊急要望を、1月23日に提出されています。なぜ兵庫県はこの全市町の要望にこたえなかったのか。さらに、国拠出分に関しても、都道府県には保険料軽減に使えるといっておきながら、なぜ国は保険料軽減に使わなかったのか、伊丹市として、国に対する要望は行ったのか、その理由・その使途についてもお伺いします。

2)施設介護の遅れをどうするのか

 私は昨年の3月議会の代表質問で、介護施設の建設は常に後追いで、待機者は減少しないのではないか、家族の介護を軽減し、社会的介護の仕組みをつくるのが介護保険制度であることから、第5期介護保険計画は、この立場から安心できる計画をつくるべきとただしました。

 答弁では、第4期の計画期間に計画している施設の開設の見込みが立っており、待機期間の縮小を図ることができる、認知症グループホームや介護老人保健施設の待機者も一定の解消が図られること、さらに、24時間365日対応の定期巡回・随時対応サービス等新たな制度の検討がされていることから、在宅と施設サービスの割合等を検討して第5期の計画をつくる、とされました。

 しかし、現在特別養護老人ホーム等の待機者は、昨年6月現在で緊急性の高い待機者が184人。そうでない人を含めて400名を超えます。今後、第5次介護保険計画の中で、小規模特養と認知症グループホームをそれぞれ3ヶ所ずつつくろうとされていますが、毎年増え続ける待機者に対応できるでしょうか。もちろん、住み慣れたところで暮らし続けたいという高齢者の願いはありますから、居宅介護の充実を行いながら、せめて中規模程度の特別養護老人ホームは必要だと考えます。見解をお伺いします。

4.障がい者福祉について

1)国の総合福祉法制定状況における問題

 政府の障がい者制度改革推進会議・総合福祉部会が2月8日開かれ、厚生労働省は自立支援法に変わる法案の概要を示しました。しかし、その法案概要に、障がい者が怒りの声を上げています。「総合福祉部会」が取りまとめた「骨格提言」は、障害者権利条約と「基本合意」を踏まえ、障がいのない市民との平等と公平、すべての障がい者を対象にした施策の充実、OECD諸国並みの安定した障がい者福祉予算の確保などを柱にし、障がいに伴う必要な支援は原則無料を打ち出していました。しかし法案概要は、利用料の原則無償化を見送り、対象とする難病の拡大も一部にとどめました。「提言」が廃止を求めていた「障害程度区分」も盛り込んでいます。このような障がい者・家族の創意を無視した姿勢は許されるものではありません。

 伊丹市議会も昨年12月議会で、「総合福祉法」は「骨格提言」を尊重したものにすることを求める意見書を全会一致で採択し、意見書を国に送付しました。伊丹市当局の答弁でも、当然「骨格提言」が尊重されるべきものと考えている、本市としては障害者福祉制度改革の目標達成が、本市のまちづくりの基本目標達成と将来像へとつながっていくものと認識しているとされました。

 市長は、今回の厚生労働省の法案概要についてどのような認識をもっておられるのでしょうか、お伺いします。

2)災害と障がい者支援について

 東日本大震災では、障がい者や難病患者の救命の困難さが改めて浮き彫りになりました。筋ジストロフィーを患い、人工呼吸器をつけて車椅子生活を送っていた35歳の「佐藤まさあき」さんは、ヘルパーの交代時間1時間半の空白時間に地震がおき、近所の親族が助け出そうとしているとき、「もう、あきらめましょう」とつぶやいたのが最後の言葉となってしまったそうです。一方、災害弱者の避難に関して、「被災地障がい者支援センターふくしま」のスタッフが避難所調査をしたところ、避難所にいったものの苛酷な環境に耐えられなかったり、病状を悪化させたりして自宅に戻った人らが目立ち、「思いのほか少なかった」と語っています。

 同「支援センター」代表の白石清治さんは、1月に開催された障がい者制度改革推進会議への提出資料で、東日本大震災における障がい者等「災害時要援護者」に対する取り組みについて教訓を述べておられます。その一つは、避難計画策定や訓練への障害者団体の参画と連携が行われていなかったことで、災害が起こったとき、どうしても障がい者が後回しにされてしまっている。逃げ遅れる障がい者などに重点を置いた避難計画策定委員会を組織してきめ細かく策定する必要があること。安否の確認と支援ニーズの把握に関しては、サービス利用者は事業者が責任を持って行うべきだが、サービスを利用していない障がい者は、行政と民間事業者、民生委員、町内会等の連携によって迅速に行える状況をつくっておく必要があること。また、災害直後における障がい者支援の仕組みのありかたについては、一般の避難所では、車椅子の障がい者は横になって寝ることができない状況があり、駐車場に車を止めて家族と共に避難生活をしているケースがあった。福祉避難所は存在したが、どこにあるのか判らない状況にあった。そのような時、緊急避難時の相談支援体制も、相談支援を行っている事業所が避難していることもあり、緊急に同センターが県の委託を受けて相談支援体制を築くことができたことなどとなっています。

 伊丹市における障がい者等の緊急時における避難体制と避難所はどうなっているのでしょうか。

 NPO法人兵庫県障害者センターが、昨年11月、兵庫県下全市町を対象に「障害者と防災に関するアンケート」を行っています。それによりますと、伊丹市としての問題の一つは、要援護者防災マニュアルを策定する予定なしとされたことです。41市町中回答のあった40市町のうち、伊丹市を含めて5自治体だけでした。今年度中に防災マニュアルを見直す予定とされています。先ほど東日本大震災の教訓を引用しましたが、このことに学び、障がい者等要援護者に対する防災マニュアルを関係者とともにきめ細かく策定する必要があると考えます。また、福祉避難所は指定されていますが、災害の規模にもよりますが、その対象者に対する定員割合は0.02%しかありません。また、障がい者が横になって寝る場所や様々な障害の程度を想定した福祉・医療関係の危惧・備品の確保等福祉避難所の運営マニュアルの作成も必要と考えます。

 以上に対する見解、今後の予定についてお伺いします。

5、国民健康保険事業

1)国保をめぐる国の動向について

 高すぎる国保税を何とかしてほしいという被保険者・国民の声、伊丹市等保険者にとっては一自治体では対応できないという声があります。このことを解決するためには、1984年に国庫負担金を医療費の45%から38.5%に引き下げ、2009年度には24.7%まで下げた改悪措置を元に戻すなど、国の負担割合を増やす以外にありません。

 しかし、民主党政権はこのことに背を向けて、「広域化」の推進を打ち出しました。開会中の国会に提出される国民健康保険等「改正」案では、2015年度から保険財政共同安定化事業の対象医療費を拡大して、国保財政の都道府県単位化を行うとしています。すなわち、現在30万円を超える医療費に関する共同を、すべての医療費に関する共同に変更するというものです。また、財政安定化支援事業については縮小、もしくはなくす方向で検討、伊丹市の場合、2010年度決算で、一般会計から約1億円が繰り入れされています。また、定率国庫負担を34%から32%に引き下げ、都道府県の調整交付金を7%から9%に引き上げて財政運営の都道府県単位化を進めるといっていますが、その財源は年少扶養控除の廃止に伴う地方税の増税分を財源として活用するとしています。このことは明らかに国の負担削減の方向です。

 国は国保財政の運営を「広域化」することだけに奔走し、財政負担を削減しようとしていますが、このことは国保会計に何の改善策にもならず、むしろ国の責任放棄、都道府県丸投げに繋がるもので、被保険者・国民にとってもメリットはありません。市長はこの動きをどう認識されておられるのでしょうか。国の責任放棄に反対すべきと考えますが見解をお伺いします。

2)国保財政の安定化と一般会計からの繰り入れ

 伊丹市の国保財政は、2009年度には約12億円あった赤字が、2011年度決算見込みで約5億6600万円、2012年度予算案で3億6700万円まで減少する見込みとなります。このことは、一般会計から2011年、12年の2年間で8億5000万円の繰り入れを行うことによって成し遂げられるものです。改めて評価をしたいと思います。

 しかし、この間被保険者への負担は低所得者と中間所得者への増税は行わず、限度額のみの引き上げで切り抜けてきましたが、依然として高い国保税には変わりはありません。しかも、来年度、国保会計における一般医療分の赤字は4億円以上の見込みで、後期高齢者支援金と介護2号保険分は単年度赤字が出る見込みとなっています。このまま推移すると、また赤字が膨らみ、国保税の増税へとつながらざるを得ません。

 国の動向は、国保の「広域化」へと進んでいますが、2015年度の国保財政都道府県単位化においても、国保税設定の権限は自治体に残され、一般会計からの法定外繰り入れによる保険税軽減策などは引き続き可能となっています。国に対する国庫負担増額を求めながら、一般会計からの法定外繰り入れルールの改善・増額を行うべきと考えます。その方法は、以前にも述べましたが、現年分の滞納額2分の1の繰り入れを全額繰り入れとする、財政安定化支援繰り入れを一般減免分繰り入れと切り離し別立てとして増額する、さらに一般減免の制度を充実させることも合わせて行うことも求められています。ご見解を伺うものです。

6.子育て支援について

1)「子ども・子育て新システム」の動向について

 民主党政権は、国と自治体が責任を持つ公的保育制度を解体し、保育を保護者と事業者の「契約」で購入するサービスにして、保育の「営利化」「市場化」を進める「子ども・子育て新システム」の関連法案を、今国会に提出する方針です。「社会保障と税の一体改革」のトップに据えられ、待機児童の解消と子育て支援の充実を行うことで、消費税増税の口実に使おうとしています。しかし「新システム」では、待機児童の解消の保障はありません。児童福祉法第24条の自治体の保育実施義務をなくし、保育の提供を事業者にゆだねてしまうためです。また、新設される施設である「総合こども園」(仮称)には、0歳から2歳児の受け入れは義務化されません。しかも、幼稚園と保育所の一体化の展望は示されませんでした。政府が待機児童解消に期待しているのは、これまで認可外施設も一定の基準を満たせば指定が受けられるようにすること、「地域型保育給付」に位置づける予定の定員5人以下の「保育まま」や、空き教室などを利用した「小規模保育サービス」、ベビーシッター型のサービスです。

 これらのことは、従来の保育制度が、認可保育所による保育を基本としてきたことに対して、その原則を覆し、認可保育所外の様々な施設や「多様なサービス」でよいとするものです。保育の密室化、低い保育条件の固定化につながり、子どもへの影響や事故等の増加も懸念されます。また、「新システム」の保育供給にかかわる基準は、こども園と地域型保育、さらには総合こども園のトリプルスタンダードになるのではないかと思います。どの子どもも、一定の基準に基づく施設、集団的で系統的な保育が保証されることが大切ではないでしょうか。一時期、緊急的な対策として、このような方法が活用されることがあっても、格差を固定化させる方向ではなく、国と自治体の責任で、希望する認可外保育所の認可化や保育条件の改善、底上げなどの支援策を進めることこそ必要と考えるものです。

 市長はこのような「新システム」の動向をどのように認識されているのでしょうか、

2)待機児童の解消について

 現在、伊丹における保育所待機児童は、2月1日現在で214人とお聞きしています。この数は、昨年同期とほぼ同じとなっています。この状況から、「育児休業からの復帰期限が迫っているのに入所できない」「働かなければ生活できないのに子供を預けられない」などの声があり、待機児童の問題は、子育て世代のくらしと子どもたちの育ちを脅かしています。年度明けには待機児童は解消するといわれますが、定員を超えた「詰め込み」保育が実態です。

 今まで、民間の認可保育所の誘致等によって一定の定員を増やされてきたことは評価をしていますが、民間任せでは限界があるのではないでしょうか。かといって公立保育所を作れといっても財政上の問題があります。2004年、小泉構造改革で公立保育所への補助金を廃止して一般財源化し、同時に地方交付税を大きく削減したからです。

 したがって、待機児童解消のためには、第1に、国の責任で保育所をつくるという政策を打ち出すこと、そのためには、廃止した公立保育所への国庫補助を復活し、用地取得費の助成制度をつくること、その要求を国に求めるべきですが、見解を伺います。

 第2には、国の第4次補正で「安心こども基金」が1234億円積み増しされたことを利用することです。保育所整備事業については、来年度中に着手し、2013年度に完了が見込まれる場合に助成対象とすることになっていることから、急ぐ必要があります。第3に、未認可保育所で認可を希望されるところへの助成をすることです。以上のことを踏まえて、待機児童解消のための方向についてお伺いします。

7、地域内経済循環に視点を置いた産業活性化の方策について

 伊丹市第5次総合計画では、「にぎわいと活力あふれるまち」の施策目標②「活力ある地域産業の振興と創出」で、「地域内経済循環に視点を置いた産業活性化の方策を検討します」と述べています。この視点から質問をします。

1)公共事業の減少と建設業者への支援策について

 来年度予算の説明の中で、歳出予算のポイントとして「公共事業を縮減する中で市民の安全・安心、子育て支援の予算を積極的に確保する」とされました。もちろん、不要不急の公共事業は必要ありません。しかも伊丹市の行政課題として公共施設に関しては、今後公共施設のマネジメントに基づく修繕等は出てきますが、施設を建設する対象そのものも減少しています。その中で建設業者にとっては、民間需要も減少する中で苦境に立たされているのが現状ではないかと思います。

 一方、伊丹市の産業政策では、商業の活性化や企業立地制度、農業振興策はありますが、建設業者に対する施策は取り立ててありません。このことから、党議員団として何度も住宅リフォーム助成制度創設を提案してきました。しかし当局は、個人財産への助成はできないこと、経済効果はないことを理由に創設しようとしません。いま全国で昨年4月現在330自治体において実施され、その自治体から経済効果は8倍から30倍という報告がなされています。

 そこで、伊丹市は、どの自治体の教訓から経済効果がないと判断されたのか、伊丹市の産業構造の独自性に理由があるのか、改めてお伺いします。また、個人財産への助成は従来から、政府も住宅建設への税制や融資での優遇措置を行い、自動車や電化製品にはエコの名目で補助を実施してきました。ではなぜ景気対策のための助成ができないのか、その理由をお伺いします。

 さらに、産業の振興と創出に関する建設業者への施策についてどのようにお考えなのかお伺いします。

2)TPP(環太平洋連携協定)参加で伊丹の経済はどうなるのか

 民主党野田内閣は、昨年11月の「アジア・太平洋経済協力会議」首脳会議で、TPP交渉に参加するため関係国と協議に入ると表明しました。TPPは、関税を原則完全撤廃し、農産物の輸入を完全に自由化するもので、農林漁業と国民の食料に大打撃となります。さらに、「非関税障壁」撤廃の名の下に、食の安全、医療、金融、保険、官公需、公共事業の発注、労働など、国民生活のあらゆる分野での「規制緩和」をねらうものです。

 農林水産省は、TPP参加による日本経済への影響について試算をしています。そのれによると、農産物の生産減少額は4兆1千億円、食料自給率は40%から14%に、農業の多面的機能の喪失額は3兆7千億円、農業および関連産業への影響は、GDP減少額7兆9千億円、就業機会の減少数は340万人となっています。

 当然伊丹市の農業にも大きな影響があるとともに、関連産業、雇用、食料の安全性にも大きな影響を与えることになると考えます。市長はTPP参加の伊丹市に与える影響をどのように考えているのか、見解をお伺いします。

8.教育について

1)人権教育・啓発推進について

 伊丹市は2010年10月に「伊丹市人権教育・啓発に関する基本方針」を定め、これを推進しています。私は、この年の3月議会で、「基本方針」は必要ないとしながら、つくるとすればとして、次のことを問題としました。

 一つは、「市民は社会福祉基礎構造改革による福祉切り捨て、大企業の横暴とそれを野放しにしてきた政治によって不況、倒産、リストラなど深刻な貧困を押しつけられており、まさに耐えがたい人権侵害を受けているという事実であります。これらの問題解決に「教育・啓発」はどんな役割を果たすのでしょうか」と問題提起しました。

 答弁では、「雇用契約を打ち切られて仕事と住まいを失う労働者が相次ぐなど、格差社会や貧困の実相が浮き彫りになっている。このような状況の中でこそ、市民一人一人の人権意識の向上と、そのために行われる人権教育・啓発の重要性につきましては、どんなに強調しても強調し過ぎることはないものと考えております」とされました。

 では「基本方針」策定以降、格差社会や貧困問題に関して、国家・企業がもたらす人権侵害に対して、どのような人権啓発を行ってこられたのでしょうか。また、答弁では、賃金の未払い、解雇などは専門の相談員が相談に乗っている、とされましたが、相談は人権啓発ではありません。憲法と労働諸法に基づく正しい知識が必要ではないでしょうか。

 二つには、同和行政・教育は必要のない時代になったということを明記すべきであると求めました。答弁では「現在でも偏見や差別意識が解消されているとはいえない中で」必要とのことです。かつての部落差別問題に関して、正しい知識を得るための学習は必要なことでもあります。問題は、伊丹市の同和教育・啓発の出発点が「いまだに差別意識が根深い」という認識にあることです。具体的な差別・人権侵害には正しく対応しなければなりませんが、就職差別や結婚差別はほとんど発生していません。それなのに「差別意識は根深い」ことを強調することは、市民が正しい認識を持つことができなくなるとともに、旧関係住民の気持ちも逆なですることになります。このことは、人権教育指導員に、同和問題に関して、部落解放同盟のメンバーが4人入っていることにも起因します。啓発をするなら、同和問題は解決できること、いまその時代が来ているという展望を市民が認識できるようにすべきです。

 以上2点に対する見解を伺います。

2)学校図書館について

 教育長の提案説明で、学校園において、「ことばと読書を大切にする教育」を推進し、コミュニケーション能力の向上と「ことば」を通して深い思考をめぐらす心豊かな子どもを育むとされました。そのために学校図書館の果たす役割は大きいと思います。

 一つは、図書標準100%を達成することについてです。伊丹市教育委員会の計画では、平成28年度、2016年度にすべての学校で達成するとなっています。国でも、地方交付税措置として昨年度に引き続き200億円が計上され、2016年度をめどに図書標準100%を達成するとされています。「ことば文化都市」を標榜する伊丹市として、達成年度を早め、すべての子どもに平等に豊かな読書活動ができるようにすべきではないでしょうか。

 二つに、国では、同じく地方交付税措置として、新たに学校図書館担当職員の配置に対して150億円が措置されます。伊丹市は、他市に先駆けて全校の学校図書館に読書指導員をすでに配置されています。しかし以前にも指摘しましたが、例えば小学校の場合、5時間の勤務時間が設定されていますが、実際には賃金が発生しない超過勤務時間が相当あるということから、実態を考慮した時間延長が必要ではないかということ、もう一つは、2010年に時間給を10%カットされたということに対して、その役割の重要性からせめて嘱託職員としての身分保障としかるべき報酬の保障をすべきであるということを求めました。この機に実現すべきではないでしょうか。

 地方交付税は補助金とは違うことは承知のうえで、国の政策として打ち出されていることから、二つのことの実現を求めるものですが、見解を伺います。