2022年12月議会:上原秀樹 一般質問

2022年12月議会:上原秀樹 一般質問

2022年12月8日
日本共産党議員団 上原秀樹

1.中小企業・小規模事業者対策について

1) 中小企業へのゼロゼロ融資における過剰債務について

 日本経済の土台を支えている中小企業と小規模事業者が、コロナ危機、原材料や燃料などの物価高騰に加え、コロナ禍への対応で受けた融資(ゼロゼロ融資)の返済が迫るという「三重苦」に陥っています。とくに過剰になっている債務の負担軽減は、年末に向けて解決が急がれる課題です。

 ゼロゼロ融資は、金融機関に都道府県が利子を補給し、信用保証協会が元本を保証することで実質無利子・無担保で最長3年間、お金を借りられる仕組みです。コロナ禍で中小企業の経営を支えるためのものですが、融資残高は全国的に2022年度末で42兆円に達しています。一部で返済も始まっており、中小企業がやむなく借りた過剰な債務が大きな問題となっています。

 民間調査会社・東京商工リサーチが10月3~12日に行った「第9回債務の過剰感についてのアンケート調査」では、債務が「コロナ後に過剰となった」と回答した中小企業は19.4%で、「コロナ前から過剰感がある」の11・3%と合わせると合計30.8%が「過剰債務」だと回答しています。

 金融機関は過剰債務を抱えた中小企業に新規の融資を渋るようになり、新たな運転資金の調達が困難になります。運転資金が借りられないと仕入れや人件費の手当てができず、仕事がきても受けられずに倒産してしまう「資金繰り倒産」に陥ります。また、過剰債務が経営全体を圧迫するため、設備投資を含めた新たな事業展開、再構築ができなくなってしまいます。

 東京商工リサーチのさきの調査では、「過剰債務が事業再構築の足かせになっている」中小企業は、35%になっています。
 コロナ禍の継続の上、物価高騰はさらに深刻化する見通しです。「過剰債務倒産」に加え、「物価高倒産」や、長引く苦境に心が折れて倒産・廃業に追い込まれる中小企業が急増することが強く危惧されます。

 そこで、市内中小企業、小規模事業者の実態についてお聞きします。

 市内企業のゼロゼロ融資残高はいくらで、一企業平均いくらの残高となっているのか。さらに、債務が「コロナ後に過剰となった」、また「コロナ前から過剰感がある」とする中小企業等はどれくらいあるのか把握されているのでしょうか。実態をお示しください。

2) インボイス(適格請求書)制度の導入による影響に対する認識について

 来年10月からインボイス(適格請求書)制度の導入が予定されています。インボイス制度とは、今までは全ての事業者からの仕入れ等について仕入税額控除ができましたが、インボイス制度後は、国に登録した事業者のみが対象となる制度です。税務署に申請すると事業所番号が発行され、これがついた請求書でないと仕入税額控除には使えません。従って、国に登録しない事業者からの仕入れ等については、仕入税額控除ができないことになります。すべての事業者が登録すればよいのですが、登録する事業者はすべて消費税の課税事業者になる必要があるという制度です。売り上げが1千万円以下の事業者は、今まで免税業者として消費税の納税義務がありませんでした。ところが、この登録をすれば納税義務が発生することになります。免税業者は小規模事業者が多く、売り上げに消費税を上乗せしにくい業者、家族事業者で消費税等の記帳が困難な業者が多く存在します。このことで、登録しなかったら取引から外される可能性が生じるとともに、登録したら商品やサービスごとに消費税額と税率を記載した請求書をやりとりする必要があり、零細な業者の負担が重くなります。

 このインボイス制度導入に対し、多くの中小・零細業者だけではなく、アニメ、漫画、演劇、声優・俳優の4団体、出版・映像やエンタメ・文化団体からもインボイスの反対声明が続々と上がっています。これらの反対の声の前に、政府・与党は制度の導入に、経過措置の検討を始めました。しかし、期間限定の経過措置に過ぎません。

 そこで、当局は市内中小・零細業者の実態を踏まえ、インボイス制度導入に対してどのような認識をされているのでしょうか。お聞きします。

2.緊急小口資金等の「特例貸付」への対応について

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた人の支援として、生活資金を貸し付けていた緊急小口資金などの特例貸付の償還が来年1月から始まります。返済時に住民税非課税であれば免除の対象ですが、生活に余裕がないのに対象外の人もいます。

 厚生労働省による9月24日時点の速報値では、特例貸付の累計貸付件数が334万件、累計貸付決定額が1兆4242億円をそれぞれ超えているとされています。同貸付の上限額は、単身世帯で155万円、複数世帯では200万円で、来年1月には返済が始まることとなります。

 日本弁護士連合会は10月6日、「もともと生活に困窮した世帯にとって、多額の債務の長期にわたる返済自体が生計破綻の引き金となる危険が高い」と警鐘を鳴らし、償還免除範囲の抜本的拡大と支援体制の整備を国に求める会長声明を発表しました。

 そこで、伊丹市の実態をお聞きします。

 伊丹市での特例貸付の件数と貸し付け累計額、そのうち契約社員やアルバイト、契約社員等の非正規で働く人、また自営業者やフリーランス等の事業者の割合と累計額はいくらになっているのか。また、利用者アンケートをされていますが、これらの人たちで「困っていること」の主な内容、「今後の経済活動の制限等で収入に影響が及ぶ恐れがある」とした割合、1月から返済が始まるにあたって「暮らしと返済のメド」の状況では、それぞれどのような回答になっているのでしょうか。

 さらに、困難な人への対応はどのようにされているのでしょうか。

3.小学校における教科担任制について

 小学校高学年での教科担任制が、今年度から本格的に始まりました。小学校では、担任が全教科を指導するのが基本です。高学年の教科担任制は、外国語や算数、理科、体育などで専門性をもつ教員などが授業を行うものです。文部科学省に置かれた中央教育審議会が「2022年度をめどに本格導入が必要」と答申し、同省の検討会議が21年7月にそのあり方を公表。担任の持ち授業時間数の削減や授業準備の効率化につながる、として導入されました。

 しかし、今年度の教科担任制の国の追加配置(加配)予算は、950人分で、20校につき1人分しかありません。財務省が、財政制度等審議会に「中学校教員の活用で対応すべきだ」との資料を出すなどした結果、当初の要求より予算は半減しました。

 全国的には、加配が全く不十分な中、結局は各学校の工夫に任されます。特別支援学級や通級の担任が行う形が一番多く、ついで、教頭や他学年担任、近隣の中学校から授業にきてもらう形があるようです。

 一方、兵庫県の場合、2001年度から国の加配を活用して、個に応じたきめ細かな指導の一層の充実を図るため、指導体制の在り方を調査・研究するとして、新学習システムを推進し、2012年度から全県において兵庫型教科担任制を導入されています。教科担任制と少人数授業を組み合わせたもので、担任間の授業交換による「教科担任制」と担任と加配教員による「少人数授業」によるものです。

 全国的に小学校高学年での教科担任制が始まりましたが、兵庫県、伊丹市はすでに実施されてきました。文部科学省では少人数授業という考えはないように思え、今まで実施してきた内容にどのような変化があるのでしょうか。また、加配教員は増えるのでしょうか。さらに、今までの教科担任制と少人数授業の成果をどう見ておられるのかお聞きします。

(2回目の発言)
1.中小企業・小規模事業者対策について

1) 中小企業へのゼロゼロ融資における過剰債務について

 答弁では、県の保証協会による融資実績と政府系金融機関等を合わせて、概ね2000社、400億から500億円程度の融資債務残高であるとのことで、1社あたりにすれば平均2000万円から2500万円程度の残高になります。しかも、約2割の企業がコロナ後に債務過剰となったとの回答が寄せられています。

 倒産件数は現在のところ少ないとされますが、ギリギリのところで踏ん張っているというのが実情です。今後の物価高騰とコロナ第8波でさらなる困難が予測される中、何らかの支援が必要と考えます。

 日本共産党は、コロナ対応融資、すなわちゼロゼロ融資を「別枠債務」にして、事業継続に必要な新規融資が受けられるようにすることを提案しています。
現在、日本政策金融公庫は、コロナ対策として、金融機関から企業への融資の一定部分を「別枠」にし、出資とみなして、新たな融資ができるようにする「資本性劣後ローン」を実施しています。しかし数年後に一括返済を求められ利子負担も高いなど、中堅企業でも使いづらい制度で、小規模事業者は対象外におかれています。
新たな資金調達が可能となり、事業を継続することができるように、事業者の規模に関係なく、ゼロゼロ融資をいったん通常の債務から切り離し、「別枠債務」とすることが必要と考えます。

 その具体的な内容は、
――「別枠債務」は、一定期間(1~5年程度、経済状況によっては延長あり)、無担保・無利子のまま返済を猶予する。
――金融機関は「別枠債務」を既存の融資残高から除外し、その融資枠を新規融資にまわせるようにする。
――「別枠債務」は保証協会が保証をつけ、返済猶予期間の利子など地域金融機関にも借り手の事業者にも負担が生じないよう国が支援する。保証協会の保証料は国が負担する。
――「別枠債務」の返済が可能になった時点でも、その後の事業に支障がない返済計画に金融機関が協力できるよう国が支援する。
――小規模事業者であっても、関係金融機関から債務の減免が受けられるよう、「事業再生スキーム」を改善する。

ということです。これは党として国に対して要求していきます。

 では、伊丹市として何ができるのか。中小企業は、企業数で99.7%、雇用者数でおよそ7割を占めます。中小企業を救う対策は日本経済の再生にとっても急務です。また、地域に根をおろしている中小企業を支えることは、雇用と経済を守り発展させることにつながります。したがって、国と自治体にはその責任を果たすことが求められます。

 一つは、市内企業の実情を把握することです。商工会議所と連携した市内企業訪問やアンケート調査で、過剰債務の有無や国と自治体に対する要望を聞くことが必要です。

 二つには、企業、小規模事業者の相談窓口―中小企業・小規模事業者の資金繰り・経営に関する相談窓口を市内に設置することです。現在、原油価格上昇に関する特別相談窓口はありますが、資金繰りも併せて相談に応じるということを広報することが必要と考えます。

 三つには、国の持続化給付金がありましたが、必要ならば、たとえば「経済再生給付金」という形で、一定の条件のもとに給付する仕組みを、県と共同でつくることではないかと考えます。

 以上の提案に対する見解をお聞きします。

2) インボイス(適格請求書)制度の導入による影響に対する認識について

 政府が来年10月から導入を予定しているインボイス制度は、数百万もの小規模事業者やフリーランスで働く人々に、インボイスを発行するために消費税課税業者になることを余儀なくさせ、深刻な負担増をもたらします。答弁で述べられた通り、1,000万円以下の小規模事業者にとっては、インボイス制度に登録しない場合は取引が見直される可能性とともに、登録した場合は消費税の納税義務が生じ、実務の負担がかかることになります。従って、日本共産党は、消費税の5%への減税とインボイス中止を要求しています。

 一方、インボイス制度の導入は、民間取引にとどまらず、地方自治体や公益法人との取引においても、免税業者に同様の影響を及ぼします。このことから、伊丹市に対してはいくつかの要望をします。

 一つは、公営企業の場合です。例えば、水道事業の場合、売り手としての公営企業は飲食店等の水道水を利用する事業者に対して、インボイスを発行することになるため、インボイス番号の登録申請をすることになります。逆に買い手の場合は、公営企業として仕入れ税額控除をするためにも、工事の発注業者、すなわち売り手に対してインボイスの発行を求めることになります。工事業者がインボイス番号の登録をしていない場合、公営企業として仕入れ税額控除ができないため、公営企業がその分を消費税として納税するため、収入が減少することになります。その際、1,000万円以下の小規模事業者に対してインボイス登録を無理強いしないことはもちろんのこと、登録しなければ発注できなくなると思わせるような文言の通知は出さないようにしてください。

 二つには、シルバー人材センターです。高齢者の生きがいと働く場を提供するシルバー人材センターでも、影響があります。この場合、各種仕事を会員である高齢者に紹介し、会員は配分金という報酬を受け取ります。事業の多くは業務委託契約で、高齢者は個人事業主として扱われるため、高齢者がインボイスを発行しなければシルバー人材センターが消費税の仕入れ税額控除ができず、このままですと伊丹では約7,000万円という多額の納税負担が発生することになります。多額の納税負担を避けるためには会員がインボイス番号を取得する必要があります。そうなれば、会員の月平均3万5千円というわずかな収入から10%の消費税を払わなければならないことになります。

 これらの対応では、伊丹市からの補助金の増額や駐輪指導等の単価の引き上げが考えられます。いずれにしましても、シルバー人材センターの存続にかかわる重大な問題が発生するという認識で、伊丹市としても適切な対応を求めておきます。

2.緊急小口資金等の「特例貸付」への対応について

 緊急小口資金と総合支援資金の合計で、約4,000件に約25億円の貸し付け、そのうち非正規労働者が31.4%、自営業者・フリーランスが30.9%と不安定就労の人が6割を超えています。しかし免除されるであろう割合が3割程度と予測されています。コロナ禍と物価高騰等により、さらなる困難をもたらす可能性もあります。自立支援課としてアンケート調査によるニーズ把握に努められ、必要な支援を、アウトリーチも含めて対応されていることは評価します。引き続き丁寧に寄り添った対応を求めておきます。

3.小学校における教科担任制について

 兵庫県の場合は早くから新学習システムとして始動し、2012年度からは兵庫型学習システムとして少人数授業と教科担任制を実施されてきました。

 今後の問題として考えられる一つは、2024年度に少人数加配がなくなることです。理論的には、今まで最大40人学級で二つに分けた場合は20人、最少は20人学級で二つに分けた場合10人の少人数授業ができたことになります。答弁で、少人数授業では児童一人ひとりに目が届くきめ細かな指導ができていたとの評価をされましたが、35人学級における教科担任制では、これをカバーすることはできません。今後の問題としての見解をお聞きします。

 二つには、教科担任制における加配が進むのかどうかです。今年度は兵庫型学習システムの推進で54人の加配がありますが、単純に少人数加配がなくなることによる加配の減少となれば、教科担任制は交換授業が主流となって、教員の負担軽減に効果はないということになります。今後の加配の状況は把握できないということなので、国・県に対して必要な教員の加配を要望していただきたいと思います。ただ、予算は措置される一方、今でさえ教員が不足している中で、本当に充分配置できるのかという不安はあります。伊丹市で本格的に教科担任制を実施するとして、4教科の専任教員は何人必要となるのでしょうか。お聞きします。

(3回目の発言)

3.小学校における教科担任制について

 2回目の質問に対する答弁をいただきました。少人数授業がなくなることに対して、視点の転換が必要とのことですが、教科担任制で複数の目で児童を見ることと少人数授業とは異なる問題。教科担任制には、高学年担任の空き時間や教材研究の時間が確保できる、複数の目で児童が指導できるというメリットもあれば、一人の児童を継続して見られないというデメリットも指摘されており、工夫が必要です。

 最大の問題は、加配の教員が配置されるのかどうかです。先ほど単純計算で約70人という数を答弁されましたが、中途半端な加配ですと逆に負担が増えることにもなりかねません。国に対する加配教員の確保のための予算を求めていただきたいと思います。

2023年度予算編成に当たっての具体的要望事項

2023年度予算編成に当たっての具体的要望事項

≪総合政策部≫
1.空港について
 イ.大阪国際空港に関しては、安全、騒音・環境対策はあくまでも国の責任で実施することを国に求めること。とりわけ、空港周辺地域における騒音の軽減を早急に図り、毎年前年対比で騒音が低減できるようにすること。
 ロ.管制体制の強化と航空機の整備・検査等にかかる規制緩和の中止を国に求めること。
 ハ.住宅騒音防止対策費の充実を国に求めること。
 ニ.学校等公共施設、医療施設等の空調器機の更新を推進し、更新経費の全額国庫負担を求めること。
 ホ.民防空調機器更新に係る市民の一部負担を全額県・市費で助成すること。
 ヘ. 国際チャーター便については、その実績を重ねることによる国際線復活につなげないこと。
 ト.米軍等軍用機の発着はやめること。
2.自衛隊基地のヘリコプタ-の発着や自衛隊記念式典時の空砲による騒音、人を殺傷する訓練展示、子どもたちに「戦車」への試乗などの催し等はやめさせること。
3.自衛隊中部方面総監部で実施される日米共同指揮所演習など、アメリカが行う戦争に日本を参加させる取り組みの中止を求めること。

≪総務部≫
1.人権無視、低賃金で安上がりを目的とする人材派遣の活用は、人権を最も重視する事を基本とする自治体としてふさわしくないので中止すること。
2.職員数の減少の中で、有給休暇がまともに取れ、健康破壊をなくすためにも、また、住民の人権・福祉を守るためにも、会計年度職員等非正規職員に依存するのではなく、正規職員の増員を図ること。
3.厚生労働省が労働災害認定の過労死ラインと規定している職員の超過勤務については、命と健康を守る立場から直ちに改善すること。
4.組織の継続性・専門性を重視した職員配置をおこなうこと。
5.職員の給料引き下げはやめること。
6.公共事業の施行にあたっては、地元業者を活用し、雇用の安定と就労の促進を図ること。
7.同和対策特別措置法は終了し、法の根拠はなくなっていることから、同和・人権室を廃止すること。少なくとも、「同和」の名称はあらゆる部署においても使わないこと。
8.職員の人事評価に関しては、「働きぶり」や「能力」「業績」など図ることができない5段階評価はやめ、課長や内部における話し合いによって、職員の力が十分に発揮され、市民福祉の向上に向けて働きやすい職場となるように改善すること。

(危機管理室)
1.大震災における国の責任を明確にさせ、震災復興にかかわる財源は全額国に求めること。
2.被災者生活再建支援法の対象を半壊、一部損壊にも広げ、支援額の上限を300万円から500万円に引き上げることを国に求めること。
3.災害時における弱者・障害者への対策に関して、福祉避難所の増設・整備をし、日常的に住民とともに避難対策を進めるなど対応を拡充すること。ペット同伴による避難者対策を行うこと。また、新型コロナウイルス等の感染対策を重視すること。
4.共同利用施設等における自主避難所の開設にあたっては、市の災害対策本部との連携を密にし、救援物資等必要な対応を図ること。
5.学校体育館等の大規模な避難所の運営にあたっては、プライバシーの保護、ジェンダー平等の立場を遵守すること。また、市職員が責任者とし、避難者の意見を集約して改善を図りながら運営すること。

≪財政基盤部≫
1.「行財政改善計画」の策定にあたっては、市民のくらしを守り公の責任をはたす立場を堅持し、「市場化テスト」やPFI、民間委託・民営化など、一時的な費用負担削減のため、市民のための公共財産を安易に民間にゆだねる手法はやめること。物価高騰や格差と貧困が広がる中で、使用料・手数料等、公共料金の引き上げは行わないこと。
2.年度途中における市税や地方交付税の増による財源は、むやみに公債管理基金等に積み立てるのではなく、物価高騰やコロナ対策等市民の暮らしを支援する施策に使うこと。
3.市民税等の徴税業務に関して、その業務が人権に関わるものであることから、民間委託(電話による納税催告業務等)は行わないこと。
4.市税等の滞納者に対し、いたずらに「徴税強化」をあおるのではなく、納税者の権利を保障し、その立場に立った相談を中心として、滞納の背景にある市民の困難を他の部署と連携して解決すること。小規模事業者に関しては、運転資金に及ぶ差し押さえはやめること。
5.指定管理者制度について
 イ.導入した施設については、①住民・利用者の施設利用権を守ること、②施設のサ-ビス低下させないこと、③施設は、公正で民主的に運営すること、④職場の専門性、継続性、雇用を守る立場をとること、⑤正職員、非正職員の適正な給与を保障すること。
 ロ.「公の施設」の設置目的に反する民間企業への指定管理者選定は行わないこと。また、教育や福祉等の人権にかかる公共施設では、指定管理者による管理はやめること。

≪消防局≫
1.消防・救急体制については、装備、施設のみならず、人員も含めてすべてにわたって、充実・強化し、消防力の整備指針を100%充足すること。
2.雑居ビルの防火管理を強化すること。
3.住民や事業者の自主的な防災活動と連携し、防災教育、防災訓練を充実すること。消防の再任用職員を活用し、長年の知識や経験を生かして、地域の防災教育、防災訓練の仕事が担えるようにすること。
4.消防職員委員会が職員の意見を十分反映でき、生かすようにすること。

≪健康福祉部≫  
1.生活保護
 イ.生活保護の役割は益々重要となっているにもかかわらず、政府は、生活扶助費、住宅扶助費を大幅に引き下げた。このことは憲法25条で保証された最低限の生活も保障されない状況となる。消費税増税分の正確な反映と生活保護基準の引き上げを強く国にもとめること。また母子加算の継続を国に求めること。
 ロ.生活保護を必要な人が必要なときに受けることが出来るようにすること。特にコロナ禍の中では、生活保護は憲法に基づく権利であることを広く市民に公報すること。また、生活困難者の相談には「寄り添い型」の姿勢で行い、信頼関係を持てる相談に努めること。また分かりやすい制度紹介の「しおり」とともに生活保護申請用紙を窓口カウンターに常備し、相談者の生活保護申請権を尊重した対応をすること。しおりの中に、例えば受験生、結婚資金の積み立てなど同居であっても別世帯申請などできる例や貸付制度(冷暖房機などの購入)に関しての説明も示し、利用しやすいようにすること。
 ハ.正職員としてのケースワーカーを増員し、申請から法定期間の14日内の決定など申請者への対応を迅速に行うとともに、保護世帯の相談に十分に応えることが出来るようにすること。
 ニ.生活保護世帯の夏季・冬季見舞金を復活すること。老齢加算の復活を国に求めること。
2.国民健康保険
 イ.国保税と一部負担金の減免制度を拡充するとともに、市民への広報を強めること。
 ロ.短期保険証、資格証明書の発行は行わないこと。
 ハ.葬祭費の給付額を大幅に改善すること。
 ニ.国保税の滞納者に対し、いたずらに「徴税強化」をあおるのではなく、納税者の権利を保障するとともに、社会保障制度の立場に立った相談を中心として、滞納の背景にある市民の困難を他の部署と連携して解決すること。
ホ.2025年からマイナンバーカードが保険証として使用可能となることに関して、マイナンバーカードがなければ受診できないと誤解を招くような宣伝はしないこと。
ヘ.コロナ禍における傷病手当は事業主とその家族にも適用するように国に求めること。コロナ禍に関わらず、傷病手当給付を国に求めること。
3.年金
 イ.年金額を月額5万円底上げする最低保障年金制度をつくり、国民年金では月額8万3千円に引き上げるよう国に求めること。
 ロ.現在年金を受けている人を含めて受給額を大幅に削減することや、支給年齢を68歳ないし70歳まで引き上げる年金の大改悪に反対すること。
4.医療費助成
 イ.北欧等では常識となっている医療費窓口負担ゼロをめざし、その第一歩として75歳以上の高齢者と子どもの医療費無料制度を国の制度として創設することを国に求めること。子育て支援医療費助成については、市独自に通院も18歳まで無料にすること。
 ロ.一部負担金を導入した重度心身障害者および母子医療費の撤回を県に求めるとともに、市独自の上乗せ措置を復活させること。
 ハ.重度精神障害者(児)医療助成事業に対し、市負担で上乗せ措置を行うこと。
5.医療保険でより良い歯科医療が提供できるように保険の給付範囲を拡大するとともに、補聴器も保険適用するよう国に要望すること。
6.入院時において、おむつ代など医療保険外負担に対する援助を行うこと。
7.高齢者の医療負担をなくすとともに、療養病床に入院する高齢者の食費負担、居住費負担などの医療改悪を元に戻すよう国に求めること。
8.病院の統合再編に関して、近畿中央病院の跡地に回復期、外来を含む医療機関を誘致することに全力を尽くすこと。【地域医療体制整備推進班】
9.後期高齢者医療制度
 イ.75歳以上の高齢者すべてから保険料を徴収する差別医療押し付けの、「後期高齢者医療制度」の廃止を国に求めること。同時に制度存続の間、市独自の保険料減免制度、医療費一部負担減免制度を創設すること。
 ロ.一定以上所得者の窓口負担割合、高額療養費の引き上げは元に戻すこと。
 ハ.患者の2割・3割負担はやめるように国に求めること。
10.高齢者福祉
 イ.介護保険
  ①介護保険事業にかかる国庫負担割合の引き上げを国に求めること。
  ②必要な人がすべて安心して介護を受けることができるために、特別養護老人ホ-ムや小規模多機能型居宅介護施設等介護施設を増設し、ホ-ムヘルプサ-ビス、デイサ-ビス、ショ-トステイなど居宅サービスを拡充すること。   
  ③介護施設等で働く人への賃金引上げを国に求めると同時に、市も独自の支援を行うこと。
  ④保険料は住民税非課税の高齢者・低所得者からは徴収しないこと。
  ⑤低所得者の利用料を抜本的に軽減すること。利用料3割負担における市独自の上乗せの減免制度も作り、広く市民に広報すること。
  ⑥国による「自立支援・重度化防止」に向けた財政的インセンティブの付与によって、介護サービスの切り捨てとならないようにすること。
  ⑦介護予防・日常生活支援総合事業においては、利用者の意思を尊重し、少なくとも現行サービスは低下させないこと。
⑧介護保険基金は、サービスの充実と介護保険料軽減に充当すること。
⑨国に対して、介護「特別加算」はやめ、施設の感染拡大防止対策に関する抜本的な支援を求めること。伊丹市独自に、加算相当額を補助すること。
 ロ.社会福祉事業団は高齢者、障害者の介護サ-ビスにおける公的責任を堅持すること。
 ハ.現行の市バス無料乗車制度を堅持すること。同時に、居住期間制限をなくすこと。
11.障害者福祉
 イ.すべての障害者施策における「応益負担」の原則を撤廃することを国に求めるとともに、原則定率一割負担の更生医療、育成医療、精神通院医療に対する軽減措置の充実をはかること。
 ロ.すべての障害者が利用できるよう、施設やホ-ムヘルパ-などの基盤整備を充実すること。
 ハ.国に財源の増額を求め、「地域生活支援事業」の利用料を無料にするとともに、サービスを充実すること。
 ニ.福祉施設、作業所への報酬の日払い制度をやめ、大幅に引き上げるよう国に求めること。
 ホ.市内事業所に、障害者雇用促進法にもとづく法定雇用率を達成するようさらに雇用の拡大をはかること。一般就労や福祉就労では、公的分野で一層の拡大を図ること。
12.特にコロナ禍において、児童虐待防止に迅速・適正に対応するため、さらに相談員を増員するとともに、川西こどもセンタ-の相談員を増員するよう県に求めること。

≪市民自治部≫
1. 平和都市宣言をアピ-ルする標柱などを阪急伊丹駅同様JR伊丹駅周辺にも設置すること。
2.核兵器禁止条約の批准国が68カ国に達した(2021年12月10日現在)。伊丹市として、国に対して核兵器禁止条約の署名・批准を求めること。
3.すべての同和行政と同和教育をやめ、「同和行政終結宣言」を行うこと。
 イ.「差別を許さない都市宣言」は廃止すること。
 ロ.「部落差別解消推進法」に関しては、衆・参両院における付帯決議を遵守し、新たな差別を生み出さないようにすること。
4.ジェンダー平等の実現に向けて、男女差別の撤廃、女性の社会参加促進のため「男女共同参画条例」を制定すること。
5.家庭系ゴミの、これ以上の有料化は実施しないこと。プラスチックごみ、事業系ごみの削減を図ること。折りたたみ式ごみ収納枠等に対する助成をすること。
6.自然エネルギーの活用を促進するため、家庭用ソーラシステム導入への補助制度を導入すること。
7.天神川、天王寺川の緑道整備を行い、ネットワ―ク化を急ぐこと。

≪都市活力部≫
1.文化振興のため、文化施設の運営にあたっては、ひろく専門家や市民・文化団体などの意見を聴取し、低廉で利用できるようにすること。特にいたみホ-ルの使用料を引き下げること。
2.都市農業基本法が成立したもとで、伊丹市都市農業振興基本計画に基づき、(仮称)農を活かしたまちづくり基本条例を制定し、都市農業を維持・発展させること。また中小企業も含め地域循環型経済を実現するため、「産業振興条例」を制定すること。
3.国・県と協力し、下請け代金支払い遅延等防止法にもとづき、大企業の中小企業に対する単価きり下げなどを止めさせるため、実効ある取り組みを国に求めること。
4.企業「リストラ」や撤退に対して早期の情報把握に努め、関係機関と連携して、地域経済と従業員・市民の雇用と暮らしを守る立場から適切な対応を講じること。
5.県と協力して市内の失業やブラック企業の実態等を把握し、国・県と連携して相談窓口を設置し、若者等の雇用対策を図ること。
6.パ-ト労働者の賃金・労働条件の改善をはかるとともに、パ-ト労働者福祉・退職金共済制度を創設するよう国に求めること。
7.派遣労働を臨時的、一時的な業務に限定するなど、労働者派遣法の抜本改正を国に求めること。市内の外国人労働者の労働条件などの実態把握を行うこと。相談窓口を設けること。
8.耐震診断、耐震改修計画策定費、耐震改修工事費の補助額の増額を県に要望すること。
9.住宅リフォ-ム助成制度を創設し、市内中小企業の仕事を確保するとともに地域経済の活性化を図ること。
10.住宅政策
 イ.現行の市営住宅は建て替えることを含めて存続し、必要な戸数を確保すること。
 ロ.市営住宅の指定管理制度は撤回すること。
 ハ.既設市営住宅において、入居者要望にもとづく補修・改善を実施すること。またエレベ-タ-を設置すること。エレベーターがない場合、高齢者や障がいのある入居者のため、急いで1階への住み替えやエレベーターのある民間住宅の借り上げで対応すること。
11.都市計画
 イ.工場移転・企業撤退などによる大規模跡地への再開発で、高層集合住宅や物流倉庫建設等が計画され、近隣住居地域の住環境変化が懸念され、住民から不安と行政への不信が生じている。9月1日付で「伊丹市中高層建築物に関する指導要綱」が改正され、一定の改善が図られたが、事業者、専門家と住民参加による地域開発協議会制度の制定で、地域住民の参画協議の場を設けること。
 ロ.「伊丹市中高層建築物に関する指導要綱」9条に規定されている地域住民と事業者の紛争に対する「市長の調整」を実効あるものにするために要綱の補強をすること。

≪都市交通部≫
1.都市計画道路山田伊丹線昆陽泉町工区に関しては、十分住民の理解が得られていないことから、関係住民との話し合いを続けること。また、宝塚池田線(大野工区)の整備計画については、事業を見直すこと。
2.道路拡幅・自転車通行レーンの新設に際してはむやみに街路樹の伐採を行わず、地域住民の理解と協力により街路樹の温存と増植を図り、都市景観の維持向上を図ること。自転車通行レーン設置に伴い伐採した街路樹に対し、植えなおし等代替措置を実施すること。
3.狭隘道路、細街路等市民の生活道路の整備・補修を促進すること。
4.飛行場線JR陸橋に自転車・歩行者用道路を設置すること。
5.JR北伊丹駅南側の北村踏み切りの拡幅・改善をはかること。
6.高齢者、障害者等が利用しやすく安全な歩道整備を推進し、特に国道・県道の歩道段差解消をさらに進めるよう求めること。
7.騒音値の高い市道については、低騒音舗装を進めること。
8.安心・安全見守りカメラの運用にあたっては、市民の個人情報保護を最優先とし、警察への提供は最小限とすること。「共謀罪法」に関する情報提供はしないこと。【安全・安心施策推進班】

≪教育委員会≫
1.人権・教育指導員設置要綱は廃止すること。
2.伊丹市人権・同和教育研究協議会を廃止すること。
3.卒業式、入学式等で、日の丸掲揚、君が代斉唱の強制はおこなわないこと。
4.いじめをなくし、いかなる暴力も許さない学校教育を確立して生徒・児童の人権を守るよう指導すること。
5.一人ひとりの子どもの成長と発達を中心においた教育――具体的にはすべての子どもに、主権者として必要な基礎学力、体力、情操、市民道徳を身につけさせる教育を推進すること。
6.公立幼稚園3歳児の全員入園を実現すること。
7.幼稚園20人、小中学校30人以下学級の実現につとめること。当面現在の小学校4年生までの35人学級を、小学校・中学校の全学年に拡大し実施できるよう県に強く要望するとともに、市独自に35人学級を広げること。
8.伊丹市は、競争教育を激化させる「全国学力テスト」への参加をやめ、伊丹市独自の学習到達度調査を中止し、条件整備など、真に学力保障になる施策を進めること。
9.「ことば科」の専任講師の配置を必要に応じて復活させること。
10.準要保護における国の補助制度を復活することを求め、クラブ活動費、生徒会費、PTA会費を支給すること。
11.小学校給食の民間委託はしないこと。2時間以内の喫食を行うこと。
12. 特別支援教育では、障害児教育を充実するため特別支援学級の充実、並びに通常学級に在籍する支援が必要な子に対する教員を配置するよう県に働きかけること。
13.学校図書館における図書指導を充実するため、読書指導員の身分保障と報酬の引き上げるを図ること。
14.スク-ルソ-シャルワ-カ-とスクールカウンセラーを増員すること。
15.トライやる・ウィークにおける自衛隊での体験学習に関しては、日本を戦争する国に変える憲法違反の安保法制=戦争法が強行され、任務遂行上武器使用も認められる「殺し、殺される」自衛隊に変わったことから、再検討すること。
16.公立幼稚園に事務職員と養護教諭を全園に配置すること。
17.支援の必要な児童・生徒の重度化にともない介助員をさらに増員すること。
18.養護教諭を全校で複数配置するよう国・県に働きかけること。当面一学期だけでも補助教員をつけること。小中学校の事務職員は会計専門職員を含め複数配置すること。
19.生徒指導担当教員・指導主事を増員すること。
20.学校事務補助職員の勤務時間を従来通りとし、正職員にすること。
21.教職員の増員、少人数学級の実現等により、教職員の多忙化を解消し、生徒・児童に向き合う時間を増やすこと。
22.県教育委員会に対し、教員の臨時的任用を制限し、正規職員を増員することを求めること。
23.教室が不足する学校では特別教室の転用等緊急対応ではなく、教育施設の増改築に努めること。また床などの老朽箇所や雨もり・黒板等を点検し、必要な改修を行うこと。必要な学校予算を確保すること。
24.図書館南・北分館の指定管理はやめること。
25.スポ-ツ施設の民間企業への指定管理はやめること。
26.スポ-ツ振興法の精神に基づき、安全で低廉なスポ-ツ施設として広く市民の                    利用に供すること。
27.児童くらぶ
 イ、小学6年生までの入所年齢の引き上げに伴い、施設の拡大・充実に努めること。
 ロ、必要な指導員の配置とともに、指導員の休養場所を確保すること。
28.保育所
 イ.子ども・子育ての基本理念である子どもの権利条約と児童福祉法第2条「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」との規定に基づいて行ない、市の保育実施責任を拡充すること。
 ロ.年度途中の待機児童と詰め込み保育を解消するため、さらに認可保育所の増設を急ぐこと。国に対して補助金の復活を求め、公立保育所も増設すること。
 ハ.病児・病気あけ保育所は市民の要望を注視してさらなる充実を図ること。
 ニ.保育所の公私立間格差に関しては、保育士給与に一定の配慮はあるものの是正はされていない。早急に是正するために援助をすること。
 ホ.認可外保育所の実態を把握し、助成を検討するとともに、適正な条件で保育している施設の認可を促進するよう支援を行うこと。
 へ.正職員の保育士を増員し、保育内容をより充実すること。

≪上下水道局≫
1.水道料金引き上げに直結する資産維持費は、料金原価に算入しないと。
2.下水道整備にかかる国庫補助制度のいっそうの改善・充実を求めること。
3.下水道使用料に関しては、使用料原価に資産維持費を導入することはやめ、資産維持費に対しては一定割合での出資金を投入して引き下げを行うこと。
4.雨水幹線管渠、遊水池等の整備を促進し浸水地域をなくすこと。また雨水流出抑制をはかるため、雨水浸水桝や貯留施設の設置を啓発し、あわせて支援策を講じること。
5.地球環境を守るため、各種公共建築物等において雨水利用や太陽光・熱利用の促進を図ること。

≪交通局≫
1.ダイヤ編成は、病院、市役所など利用頻度の高い公共施設への利便性を高めること。また、乗り継ぎ時の個人負担を無料化すること。
2.車内転倒事故の防止等、安全運転を徹底すること。
3.高齢者・障害者にやさしいバス停に向け、早急に上屋、ベンチを増設すること。
4.バス路線に関する市民から寄せられた要望に対して検討し、次期ダイヤ改正で対応すること。
5.新型コロナウイルス感染対策を行うとともに、感染拡大に伴う収入の減少に対しては、伊丹市にその補助を求め、減便した路線を復活すること。
6.夜間視認しにくいバス停に照明灯を設置し、利用者や通行者の安全を図ること。

≪病院≫
1.医師の勤務条件等処遇を改善し、医師の確保に努めること。新しく小児科、産婦人科をめざす医師の3分の2が女性であり、女性医師が子育てと両立できる労働条件にすること。
2.看護師増員と待遇改善で患者サ-ビスの向上をはかること。
3.無料低額診療制度の導入を検討すること。
4.新型コロナウイルス感染対策に万全を尽くすとともに、その費用負担を伊丹市・国に求めること。国に対して医療崩壊を防ぐ手立て(国によるPCR検査の抜本的拡大、療養施設の拡大等)を求めること。

2023年度予算編成にあたっての要望提出、市長と懇談

2023年度予算要望と市長懇談 今日、11月9日、日本共産党伊丹市議会議員団として伊丹市長に対して2023年度予算要望書を手渡し、懇談を行いました。

 私からは、党議員団が今行っている市民アンケートの中間集計を示しながら、コロナ対策では感染時の入院等医療体制の充実と検査体制を拡充すること、有症者を置き去りにしないことを多くの市民の方が望んでおられることを示してその実現を求めました。教育関係では、高等教育の無償化、学校給食の無償化、子どもの医療費は高校卒業まで無料に、また、国保税・介護保険料の軽減、保育料軽減などの要望が多い結果を提示しました。

 市長から、来年度予算の中で避難所となる学校体育館に空調設備を設置することを検討していること、昆陽池トイレの改修、地域の共同利用施設にWi-Fi設備を整備することなど、一部党議員団が求めていたことが実現することになります。
 要望書は以下の通りです。

 2023年度予算編成にあたっての基本的・重点要望(PDF)

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伊丹市長 藤原保幸 様

2023年度予算編成にあたっての基本的・重点要望

2022年11月9日
日本共産党伊丹市議会議員団
上原秀樹 久村真知子

はじめに

 国においても来年度予算における概算要求が出され、今後の予算議会で審議が始まります。その特徴は、5.6兆円という防衛予算が突出していることです。アメリカの意のままに、敵基地攻撃能力(反撃能力)保有のための「12式地対艦誘導弾」(地発型)や「高速滑空弾」の量産に着手するための予算やイージス・システム搭載艦の整備費を計上しています。5年間でGDP比2%、約11兆円の軍事予算にしようとしています。一方で、年金を削減し、高齢者医療費の窓口負担の倍化、介護保険制度を改悪して国民の負担を増加させる議論も進んでいます。

 今、コロナ禍と物価高騰で国民の暮らしは大変です。岸田政権はこれら国民の困難に目を向けない無為無策を続けているのが現状であり、市長には市民の立場から国に対して軍事費より暮らし優先の予算編成を要求するとともに、伊丹市政においては、市民の困難に心を寄せた暮らしを応援する政治が求められています。

 以下、2023年度予算編成にあたっての基本的・重点要望を提案しますので、予算に反映していただきますようお願いします。

1.新型コロナウイルス感染症対策の充実を

 今年の冬はコロナ感染第8波とインフルエンザが同時に流行すると報道されています。党議員団が行っているアンケートで最も多いのが検査体制の充実と医療体制の拡充です。市民の命と健康を守る対策が求められます。

① 国・県と共同で臨時検査センターを複数設置し、「いつでも、誰でも、無料で」検査を受けることができるようにすること。また、必要とされる人に検査キットの無料配布を行い、保健所や医療受診に繋げること。

② 早期診断・治療のために必要な体制を整え、「自主療養制度」を改めて自己検査で陽性になった場合も感染者として発生届につなげ、受診調整や食糧支援など療養支援を行うこと。

③ 「全数把握見直し」については、重症者を見逃し、感染者を拡大することなどにつながることから行わないことを求めること。

④ 生活福祉金の新型コロナウイルス特例貸付について、来年の1月からこの貸付金の返済が始まります。1世帯最大200万円の返済が待ち受けており、返済時に住民税非課税であれば免除の対象ですが、生活に余裕がないのに対象外の人もいます。柔軟な対応と対象の拡大が必要と考えます。

 また、困りごとの中で特に困っていることとしてあげられている「借金の返済」や「仕事」「税金・公共料金・携帯代」など、他施策で支援ができるところはただちに支援を求めます。

2.思い切った物価高騰対策を

 ロシアによるウクライナ侵略とアベノミクス経済対策の失政による円安によって物価高騰が続いています。岸田政権は、大規模な金融緩和などの対策を改め、金利引き上げと何よりも消費税を5%に引き下げるなどの対策を急ぐべきです。伊丹市としても、新たな地方創生臨時交付金と財政調整基金等の活用で生活支援、事業者支援を行うことを求めます。

① 生活支援や子育て支援等における住民税非課税等の所得基準に対して、アンケートでも不満の声が出されています。所得基準の大幅な引き上げと低所得者には手厚い支援を行うなど、全市民に対する対応を求めます。

② 高齢者・障がい者・幼児教育等の施設への物価高騰支援を行うこと。

③ 中・小事業者はコロナ禍による事業の疲弊と物価高騰によって大きな打撃を受けています。商工会議所との連携による事業者訪問で事業者の実態を把握し、家賃支援給付金や固定資産税減免等の必要な対策と事業者の立場にたったていねいな対応と相談体制を確立することを求めます。

 また、来年10月から始まるインボイス制度は、小規模事業所やフリーランスの廃業を招くとの懸念が広がっています。国に対して中止を求めること。

3.憲法を生かし、人権を守り、市民が主人公、平和の実現に寄与する伊丹市政を

 岸田政権は、歴代自公政権以上に憲法改定に執念を燃やしています。とりわけ、ロシアによるウクライナ侵略を契機として、アメリカとの軍事一体化を強めて軍事費を5年間で倍化し、「敵基地攻撃能力」を有することを言明するなど日本を危険な戦争への道に導こうとしています。

 自衛隊基地を抱える伊丹市として、住民の命と財産を守るために、戦争への暴走を止め、憲法を生かした市政を進めることが求められています。

 また、ジェンダー平等社会の実現も重要な課題となっています。

① 伊丹市政において、あらゆる分野で憲法を生かした市政を進めることを求めます。

② 軍事費を増額して軍事対軍事による危険な戦争への道を進むことはやめ、憲法9条を生かした平和外交で戦争のない東アジアをつくることに力を尽くすこと、憲法違反の安保関連法=戦争法の廃止、憲法9条をはじめ憲法を守り生かすことを国に求めること。

③ 11月10日(木)から19日(土)にかけて実施予定の「令和4年度日米共同統合演習(実働演習)「Keen Sword23」は、「グレーゾーン事態から武力攻撃事態等における自衛隊の運用要領及び日米共同対処要領を演習し、自衛隊の即応性及び日米の相互運用性の向上を図る」(防衛省)とされているとおり、台湾有事などで中国と戦争になった際、米軍が南西諸島に分散展開し、そこに臨時の軍事拠点を置いて情報収集や対艦攻撃、電子戦などの作戦を行うものとなります。米軍との軍事一体化を進める日本政府は、こうした米軍の作戦に全国の自衛隊を動員しようとするものです。台湾有事で米軍が南西諸島の島々から中国軍を攻撃すれば、中国軍も当然反撃し、そのことで南西諸島(日本)が戦場になることが想定されます。
伊丹市においては、陸上自衛隊中部方面総監部のある伊丹駐屯地で「基地警部訓練」を行うとされ、第36普通科連隊と航空自衛隊第4高射群が共同でPAC3に関する訓練を行う計画です。ペトリオットPAC3ミサイルの配備は、日本に向かう航空機を打ち落とすために導入されたもので、アメリカの「ミサイル防衛計画」とセットで打ち出されたものです。現在は北朝鮮からの弾道ミサイルが対象とされていますが、元々防衛的なものではなくアメリカの先制攻撃体制を確保するための装備であり、伊丹駐屯地が相手国からの攻撃の的となりうる危険な訓練と言えます。市街地における危険な戦争訓練を中止することを国に強く求めること。

④ 核兵器禁止条約は、署名国91か国、批准国68か国となり、今年開催された核兵器禁止条約の初の締約国会議は、核兵器の非人道性を再確認し、核兵器に依存した安全保障を批判し、条約への参加促進や核兵器の被害者支援など、条約の内容を実現する方策を盛り込んだ「ウィーン宣言」と「ウィーン行動計画」を採択して閉会しました。会議には北大西洋条約機構(NATO)参加国等米国の同盟国も含め34カ国がオブザーバーとして出席しましたが、唯一の戦争被爆国である日本がオブザーバー参加すらしなかったことは、大きな失望と批判をよびました。国に対して早急に署名と批准をすることを国に求めること。

 伊丹市としても、日本政府が核兵器禁止条約を批准することを求める署名を推進するとともに、積極的に原爆の実相を伝える平和施策を進めることを求めます。

⑤ 伊丹空港において、極めて危険な米軍機オスプレイの緊急着陸が行われましたが、今後一切、伊丹空港の軍事利用はやめることを国に求めること。

⑥ 自衛隊への電子データによる個人情報の提供はやめることを求めます。必要と考えるならば、個人情報保護条例に基づき、専門的知見を踏まえた意見を明らかにするとともに、自衛隊への住基4情報の提供に対して「除外申し出制度」をつくることを求めます。

⑦ ジェンダー平等社会を実現する観点から、すべての人が社会、経済活動に生き生きと参加できる当然の権利を保障するため、行政のあらゆる部面でジェンダー平等の視点を貫くことを求めます。国に対して選択的夫婦別姓制度の実現を求めること。

⑧ パートナーシップ宣誓制度に基づき、相談窓口の充実、啓発パンフの普及など性的マイノリティの人権を守る施策を強化することを求めます。

⑨ 「差別を許さない都市宣言」の廃止等すべての同和行政・教育を終了すること。「同和問題」に関する市民意識調査はやめることを求めます。

4.福祉・医療の充実、市民の暮らしを守る対策を

 2021年国民生活基礎調査では、生活意識について、全世帯で「苦しい」と感じている世帯が53.1%、「子どものいる世帯」で「苦しい」とする世帯が59.2%を占めていました。また、国税庁の2021年民間給与実態調査では、年収200万円以下のワーキングプアは1126万人で、10年連続1000万人を超えています。実質賃金は数年間下がり続け、物価高騰が拍車をかけています。特に高齢者、子育て世帯、障がい者世帯等への影響が大きく、思い切った対策が求められます。

① 高齢者世帯にとっては、マクロ経済スライド制を廃止して年金を引き上げ、後期高齢者医療の窓口負担を1割に戻すことを求めること。伊丹市としても、低年金世帯への財政的支援を行うこと。

② 国は介護保険制度の大改悪を計画しています。社会保障審議会の部会に提案された内容は、サービス利用料の2~3割負担の対象拡大、要介護1,2の保険給付外し、ケアプランの有料化、保険料の納付年齢の引き上げと利用年齢の引き下げ等です。これら国民にとって耐えがたい負担増と給付減を押し付けるものであり、国に対して中止を求めるとともに、介護保険における国庫負担を思い切って増額し、誰でも安心して介護を受けることができる体制と、保険料の軽減を求めること。

③ 国民健康保険税を引き下げるため、国にさらに1兆円の公的負担を求め、均等割り・平等割の廃止で協会けんぽ並みの保険税にすることを国に求めること。本年度から就学前の子どもの均等割りが半額にされたが、市独自に少子化対策として財政支援を行い、子どもの均等割りをなくすことを求めます。

④ 子どもの医療費は所得制限なしで高校卒業まで無料にすることを求めます。

⑤ 国に対して、生活保護を「生活保障制度」に改め、必要な人がすべて利用できる制度にするとともに、生活保護削減を復元し、支援水準を生存権保障にふさわしく引き上げることを求めること。

 また、冬季加算の増額と夏季加算の新設を求めること。大学生・専門学生も生活保護を受けることができるように国に求めること。生活保護へのスティグマを解消するため、伊丹市としても「生活保護は権利です」というアピールをすること、そのために公共施設等にそのポスターを貼りだすことを求めます。

 また、「扶養紹介」に関して、生活保護の申請者が扶養照会を拒んだ場合、その理由について「特に丁寧に聞き取りを行い」、照会をしなくてもよい場合にあたるかどうかを検討すること、扶養照会を実施するのは「扶養義務の履行が期待できる」と判断される者に限るという新たな対応方針に基づくことを求めます。

 車の保有に関しては、保護世帯の実情を踏まえて柔軟に対応することを求めます。

⑥ 伊丹市として、年度途中の待機児童と詰め込み保育を解消するため、さらに認可保育所を増設することを求めます。また、2号認定こどもの副食費実費徴収をやめるよう国に求めること。

⑦ 国に対して補聴器購入補助制度をつくることを求めるとともに、伊丹市として助成することを求めます。また、ヒアリングループを公共施設に備え活用を図ることを求めます。

⑧ 障がい者に対する医療費助成制度において、身体障がいの場合は3,4級、療育手帳の場合はB(1)、精神障がいの場合は2級まで対象を拡大することを求めます。

⑨ 兵庫県後期高齢者医療広域連合に対し、県の補助を行うとともに、基金の活用で保険料を引き下げること、保険料及び一部負担金の減免制度を周知することを求めること。

5.すべての子どもの成長発展を支える豊かな教育環境を

 教育は子ども一人ひとりの成長と発展のためにあり、子どもの権利です。家庭の経済力に関わらず、すべての子どもに豊かな教育環境を確立することが求められます。また、コロナ禍における学校と家庭での生活の変化等でストレスが溜まっている可能性があり、十分な配慮が求められます。

① 少人数学級では、35人学級が毎年1学年ずつ実施されていますが、一気に実現するとともに、中学校においても同様の少人数学級の実現を求めます。また、国に対して小・中学校の30人学級実現を求めること。

② 「全国学力テスト」への参加と市独自の「学力テスト」を中止することを求めます。

③ コロナ禍や社会・家庭環境による困難な子どもへの対策として、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーのさらなる増員で、児童・生徒と家庭を支援するとともに、介助員の増員で障がい児の教育を受ける権利を保障することを求めます。

④ 教育のあらゆる部門で子どもの権利を守ることを宣言し、実行ある施策を推進するとともに子どもの権利擁護のためにも子どもの権利条例を制定することを求めます。また、子ども向けの子どもの権利条約パンフレットを作成されましたが、子ども同士、家庭において子どもの権利条約が話し合われる環境をつくり、絶えず充実されることを求めます。

⑤ 幼児教育の推進に関しては2018年1月の文教福祉常任委員会における付帯決議を順守すること、公立幼稚園、認定こども園における3歳児の定員を増員して全員入園を実現するとともに、4、5歳児において単学級にならざるを得ない状況を打開することをもとめます。

⑥ 大学・短大・専門学校の学費をすみやかに半額に引き下げ、高等学校、高等教育の無償化をめざすとともに、入学金制度をなくすよう国に求めること。

⑦ 学校給食を無償化すること、就学援助制度の充実を求めます。

6.中小企業・零細業者への支援を強め、人間らしく暮らせる地域社会と住みよい住環境を

 中小企業は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)する存在です。また、働く人の3人に2人が働いている雇用の担い手でもあります。これら中小企業、業者、商店、農業者に支援を強化することは住みよいまちづくりに欠かせません。特に、コロナ禍と物価高騰で経営基盤が脆弱となっている中小企業・業者に対する支援が必要です。

① コロナ対応の緊急借入で積みあがった中小企業の債務をどう解決するかが大きな問題になっており、コロナ対応借入分の軽減・免除する仕組みをつくることを求めます。

② 文化・芸術関係者に対して、新たなイベントへの支援にとどめず、「場と担い手」への支援を行うとともに、国費を数千億円単位で支出して「文化芸術復興創造基金」を抜本的に強化することを国に求めること。アイホールは演劇ホールとして存続することを求めます。

③ 「中小企業振興条例」「農業振興条例」の制定で、地域循環型経済の仕組みをつくることを求めます。

④ 大型小売店の相次ぐ出店で地域の商店が廃業に追い込まれています。中心市街地だけではなく、空き店舗対策、家賃補助等によって市内周辺の商店も守る手立てをとることを求めます。

⑤ 個人事業主における国保税や市民税、固定資産税などの滞納処分については、事業の存続や生活の状況をていねいに聞き取り、積極的に納税緩和措置を活用することとともに、場合によっては、税の執行停止を行うことを求めます。

⑥ 市営住宅は戸数を減らすのではなく、必要な個数を維持し、旧耐震住宅は順次建て替えを行い、バリアフリー化された住みよい住環境を提供することを求めます。また、住民からの修繕要求には積極的に対応することを求めます。また、エレベーターの設置を求めます。

⑦ 大企業への優遇税制の廃止・縮小や所得税・住民税の最高税率を引き上げるなど、大企業と富裕層に応分の税負担を求め、消費税を5%に減税するよう国に求めること。政府が導入を予定しているインボイス制度は、零細業者やフリーランスに納税義務を広げ、負担と格差をさらに拡大するものであり、ただちに中止することを国に求めること。

7.自然災害から市民の命を守るとともに、環境を守り、安心・安全の伊丹市を

 地球温暖化の影響で台風、豪雨など自然災害が相次ぐとともに、南海・東南海地震もいつ起こるかわからない状況にあり、災害や事故から市民の命と暮らしを守る政治が求められています。特に気候危機を打開するための積極的な対策が必要となっています。

① 気候変動危機に対応するために、国に対して原発ゼロ、石炭火力発電所ゼロ、2030年までに10年比で50~60%削減、2050年にはカーボンゼロの計画を策定することを求めるとともに、伊丹市としてもカーボンゼロ宣言を行い、この目標に見合う野心的な取り組みを求めます。

② 災害の発生に備え、市民の防災意識啓発に努めるとともに、感染が広がる中での避難対策に関しては、避難所におけるきめ細かな対応(発熱、障がい者、高齢者等)や地域における要支援者の避難誘導等を含めた地域ごとの「防災まちづくり計画」を推進するための支援を行うことを求めます。体育館に空調施設整備など避難所の改善を図ることを求めます。

③ 航空機に係る環境基準達成には程遠い状況にあることから、大阪空港における国際便就航を求めることはやめること。環境基準達成に向けた不断の努力で目に見える効果を上げることを求めます。

④ 市内1,2級河川の浚渫等豪雨対策を国・県に要望すること。

8.「住民の福祉の増進」(地方自治法)に必要な財源を国に求め、伊丹市が主体となって市民の暮らしを守る伊丹市を

 新型コロナウイルス感染症と物価高騰の影響によって市民の暮らしが困難になっています。市民の暮らしと中小零細事業者の営業を守るためには、地方自治体の固有の財源である地方交付税の増額が必要です。一方、岸田政権は年金引下げや生活保護費引き下げ、高齢者の医療費の倍化を行い、今後は介護保険での保険料引き上げと給付の削減を狙っています。

 このような政治に反対し、「住民の福祉の増進」(地方自治法)に必要な財源を国に求め、伊丹市が主体となって市民の暮らしを守る市政を行うことが求められています。

① 地方交付税においては、真に必要な地方財源が確保できるようにするとともに、コロナ感染対策と物価高騰対策に必要な財源を確保することを国に求めること。

② 集約化を進めようとしている共同利用センターについて、住民の利益に反する統廃合ではなく、住民合意のもとでの維持・管理・更新への対策を行うことを求めます。

③ 職員の人事評価の問題では、公共を担う公務員には、全体の奉仕者の立場から、市民の声を聞き、提供する市民サービスや人権保障のあり方を職場で自由に議論し、提案することができます。そのような場に「能力」「業績」などという測ることが困難な尺度で5段階評価することは、公務員の労働意欲の向上や創意工夫の発揮を阻害することにもつながります。今後、「伊丹市人材育成基本方針」の「人事評価」の項目に「面談重視型人事評価」と明記されていることを踏まえ、5段階評価はやめることなどを含めて、職員の力が十分に発揮され、市民福祉の向上に向けて働きやすい職場とされるよう改善を求めます。

④ 公契約条例を制定し、請負契約や委託事業に関わる労働者が生活できる賃金を保障することを求めます。

⑤ 自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進にあたっては、「地方自治の本旨」(憲法第92条)に基づき、「住民の福祉の増進を図る」(地方自治法第1条の2)ことを原則とするとともに、推進にあたってはそれぞれの業務を担当する職員や市民の意見が適切に反映さえる体制を整え、新たに情報システムを自治体の業務に導入する際には、職員がシステムをチェックでき、市民に行政責任を果たさせる体制を確保することを求めます。

⑥ 国はマイナンバーカードに健康保険証や運転免許証、国税、年金などの情報をひも付けしようとしています。特にマイナンバーカードの取得が概ね50%にもかかわらず、健康保険証を廃止しようとしていることは問題です。健康保険証の廃止を中止することを国に求めること。

 相次ぐ個人情報の漏洩が問題となり、多くの国民が個人情報の提供に不安を感じています。国民監視の強化や個人情報の漏洩につながるマイナンバーカードのひも付けはやめるよう国に求めること。

2022年9月議会:上原秀樹 代表質問

2022年9月議会

2022年9月20日
日本共産党伊丹市議会議員団 上原秀樹

1.市長の情勢認識について

 決算に関する質問の前に、現在の情勢認識について市長の見解を伺います。

○安倍元首相の「国葬」強行について

 岸田政権は、安倍元首相の「国葬」を9月27日に行うことを閣議決定しました。その費用は、「儀式」そのものに2.5億円、警備費や接遇費など総額17億円近くを税金から支出すると政府が表明。
 日本共産党は安倍元首相が銃弾に倒れられたことに対して哀悼の意を表明してきましたが、物価高騰とコロナ対策にはまともな対策もない一方で、国会で時間をとった議論もせずに、国民の血税を使うことなどまともな政府のやることではないと考えます。

 毎日新聞による8月20日、21日の世論調査でも、反対が53%で賛成30%を大きく上回っている通り、「国葬」強行に反対する世論が日を追うごとに高まり、最近では反対が62%になりました。。9月8日の閉会中の国会における各党からの質疑に見られる通り、国民にたいして、なにひとつまともな説明ができないのは、「国葬」が明白に憲法に違反しているからです。なぜ、安倍元首相だけ「国葬」なのか。「在任期間最長」というだけで「国葬」を強行するのか、首相はいっさいまともな説明ができません。

 時の内閣や政権党の打算で特定の個人を特別扱いすることは、憲法14条「法の下の平等」に反します。首相が言う「敬意と弔意を国全体であらわす」とは結局、「国民全体」に敬意と弔意を強要することになります。実際、霞ヶ関では、「国葬」当日の弔旗掲揚、葬儀中の黙とうが政府決定され、そこで働く労働者に強要されようとしています。これは憲法19条「思想及び良心の自由」をふみにじるものです。法的根拠のない「国葬」を「閣議決定」で強行することは、「法の支配」を「人の支配」に代える暴挙とも言えます。日本共産党は「国葬」を直ちに中止すべきと考えます。

 市長は安倍元首相の「国葬」強行をどうお考えでしょうか。また、伊丹市として、市の施設での弔旗掲揚・黙祷要請など、市民への事実上の弔意強制を行わないことをもとめますが、市長の見解をお聞きします。また、教育委員会及び学校としても、子どもや地域住民に黙祷や弔旗・半旗の掲揚など弔意を事実上強制する行為をしないことをもとめるものですが、教育長の見解を伺います。

「旧統一協会」について

 安倍元首相の殺害を契機として、改めて旧統一協会と政治家、特に自民党議員との関係が大きな問題となっています。自民党は、所属国会議員379名人のうち179人に旧統一協会と接点があったとする点検結果の概要を発表したところですが、党として責任を持った調査ではありません。この団体は、人の弱みや苦悩に付け込んで、高額な印鑑や壺などを売り付け、次々と一家を破綻に追い込んでいます。全国霊感商法対策弁護士連絡会がまとめた資料によると、全国にある弁護団のもとに寄せられた相談件数は1987~2021年で2万8236件、被害額は約1181億円。これに消費者生活センターが18年まで集計した相談件数・被害額を合わせると、相談件数が3万4537件、被害額が1237億円で、巨大な被害の実態が浮き彫りとなりました。紀藤弁護士によれば、これは氷山の一角にすぎず、総額1兆円を超える被害が想定されるとのことです。その霊感商法の広告塔となっているのが接点を持っている国会議員です。

 全国の自治体の首長や地方議員も旧統一協会と接点を持っていたとの報道も出ているところですが、伊丹市長は大丈夫でしょうか。また、伊丹市が旧統一協会関連の団体等が開催する行事に後援や協賛等をしたことはなかったでしょうか、お聞きします。

2.市税収入から見る2021年度の市民の暮らしと営業の状況

 2021年度決算における市税収入は2020年の市民等の収入を示しています。

 当初予算では、新型コロナウイルス感染の影響で、個人市民税では納税義務者の減少と、給与所得、年金収入、営業所得などの減少により、前年度対比で5.6%の減となるとともに、法人市民税も21.3%の減少を見込んでいました。

 結果として、市税は315億3,966万円、前年度比3,880万円増(+0.1%)となり、株式等譲渡所得の平年度化等による個人市民税の減、約5億4千万円。法人事務所規模拡大等による法人市民税の増、約2億円。及び徴収猶予の特例の終了に伴う固定資産税の増等と説明がありました。

 そこで、個人市民税はこの説明以外の要素として、前年対比で給与所得、営業所得の状況はどうなったのでしょうか。また、法人市民税では、法人税割が課税されない法人数は、法人の規模別にどのような推移になっているのでしょうか、お聞きします。

3.新型コロナウイルス感染症対策について(決算を踏まえた今後の対策のありかた)

2021年3月議会、6月議会等で要望していた項目から

・(3月議会)2回目の緊急事態宣言が解除された時期でした。この議会では、一定落ち着いている今こそPCR検査を思い切って広げ、無症状の感染者を見つけ出し、保護、療養、治療して、感染者を減少させること、生活上で困難に陥っている人に給付を行うとともに、自粛によって営業が困難なところに十分な補償をすること、これら伊丹市独自の検査体制の拡充と自粛に対する補償を求めましたが、2021年度予算にはその対策が入っていないのは大きな問題と指摘しました。

・(6月議会)3度目の緊急事態宣言が延長されている時期です。ここでは、ワクチン接種と同時にモニタリング検査などのPCR検査や抗体検査を無症状者に焦点を当て、大規模に検査体制を拡大することが必要であること、中小企業等への市独自の対策、例えば家賃補助や上下水道料金基本料金の免除、公的融資制度の融資枠の拡大等を行うべきなどを質し、答弁では、中小企業・零細業者の支援は、あくまでも国・県の支援策を基本とするということで、本市の独自施策は今のところ予定してないとのことでした。さらに、国の支援策の一番問題点は、5割以上売上げが減らないと支援がされないという点で、そのはざまのところを、自治体の支援策で埋める方法をぜひ早急に考えていただきたいと要望しました。このうち上下水道料金の基本料金減免は2022年度に実現しましたが、十分ではありませんでした。

・伊丹市は2021年度、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金対象事業として、交付金8億5,800万円を活用して、13億3,652万円の事業を行ったとしています。一定評価する施策はありますが、何回か要望してきた感染症対策でPCR検査体制を兵庫県との連携で拡充するとともに、検査キットを市独自に配布する点では実現されませんでした。

 また、中小・零細企業への市独自の支援、例えば家賃補助や上下水道料金基本料金の免除、国の支援のはざまを埋める対策等も実施されませんでした。

・(検証)以上のことを踏まえ、当局としてこれらに対する市の考え方についてお聞きします。

現在、市民が一番困っている検査体制、医療関係の対応

 現在のコロナ第7波は、一定の落ち着きを見てかけてはいるものの、感染力の強いオミクロン株のBA.5系統等が猛威をふるい、これまでに経験のない感染急拡大となっています。発熱外来や保健所がパンク状態となるなか、すぐに検査が受けられない状況や感染が拡大した時点では軽症者と診断されても急変し、診療・治療が受けられず自宅や高齢者施設で亡くなられる方も少なからずおられ、死亡者数も第6波を超えるものとなっています。

 兵庫県では、60歳未満で基礎疾患ない等の方が、抗原検査キットでの自己検査や無料検査で陽性だった場合、「自主療養」の登録を勧めていますが、感染者として登録されず健康観察も行われない状況をつくっています。政府は、8月24日、全数把握見直し方針を表明し、各都道府県の判断で、発生届対象者をさらに限定できるようにするとしています。政府はその後、全国一律での実施方針を示しましたが、全数把握をやめて、感染者の多くが感染症法に基づく患者でなくなれば全体を把握できず、病状が急変する等の重症化した方を見逃す危険性や、感染者が行動し感染をひろげること等が懸念されています。

 そこで、伊丹市として兵庫県に対して、発熱外来の箇所数増、臨時検査センターや臨時医療施設の設置と医師・看護師の派遣など、早期診断・治療のために必要なあらゆる手だてを講ずることや、自己検査で陽性になった場合も感染者として発生届につなげ、オンライン診療などで適切な対応をおこなうこと、「全数把握見直し」については、重症者を見逃し、感染者を拡大することなどにつながることから行わないことを求めるとともに、伊丹市としてもPCR検査個所の拡大、60歳以上も含めた検査キットの無料配布を行うべきと考えますが見解をお聞きします。

物価高騰とコロナ禍から市民の暮らしと営業を守ること

・国による住民税非課税世帯への5万円給付に横出し・上乗せを

 政府は物価高騰対策として、住民税非課税世帯1世帯5万円を給付する「価格高騰緊急支援給付金」を盛り込みました。しかし、長引くコロナ禍と異常円高が拍車をかけている物価高騰に苦しむ国民の生活を打開する水準とはかけ離れていると思います。値上がりした品目数の増加など物価高騰はますます深刻になっています。この住民税非課税世帯への5万円支給は、対象から外れる現在職を失っている非正規労働者などには届きません。

 岸田政権は、高齢者に対して、6月支給分から年金を削減し、現在原則1割の75歳以上の医療費窓口負担に、10月から2割負担を押し付けようとしています。岸田首相が「国民生活を守り抜くことが政権の最優先課題の一つ」というなら、まずこのような逆行をやめることです。さらに、いま世界の96の国と地域が、コロナ価と物価高騰の中で付加価値税(消費税)の減税に踏み切っています。なによりも消費税の減税こそ、生活や営業への一番の支援となります。そして、営業を破壊するインボイスの導入を中止することです。これらを国に求めるべきですが、見解を伺います。

 一方、政府は、自治体向けの地方創生臨時交付金に6000億円規模の「価格高騰重点支援地方交付金」を新たに創設するとしています。伊丹市として、これらを活用して、例えば住民税非課税世帯への5万円給付に対して、金額の上乗せ、対象の拡大などの横出し・上乗せをすることを提案しますが、見解をお聞きします。

・中小・零細事業者への支援

 6月議会のこの問題での答弁は、市内企業においても、半導体部品の不足による生産への影響や資源価格が上昇してきていることへの懸念などのほか、現時点での原材料価格水準を踏まえて受注しても、作業を実施するのが数か月先の場合も多く、そのときの原材料価格では利益を出せない可能性があるなどの意見があること、また、伊丹商工会議所が4月に実施したアンケート調査では、エネルギー資源価格高騰による電力、燃料コストの上昇の影響が生じている、または懸念している事業者が約80%と非常に高く、コスト増に伴う価格転嫁が進まないとしている事業者が約40%となっているなど、多くの事業者に何らかの影響が生じてきているものと推察しているとのことでした。

 これに対する市独自の対策として、6月議会において、売上高が10%以上減少しており、かつ国が実施している事業再構築補助金に採択されていない市内の中小事業者を対象に、設備等導入補助事業を実施することにしました。また、上下水道料金の基本料金減免も追加と合わせて6カ月間行うこととされたことは評価をします。

 一方、例えば建設関連の事業者は、全建総連のアンケート調査でも、工事原価の値上がりが大きな影響をうけ、価格転嫁できず、一部または全部を自社負担したのが57.8%を占め、様々な要素で資金繰りが心配とする業者が60.5%を占めるなど苦境に追い込まれています。このことから、市の制度融資を改善し、業者の実情を踏まえて借りやすい仕組みに変えるとともに、返済の据え置き期間の延長や返済猶予等を考える必要があると思います。また、一定規模以下の事業者に対して、物価や燃料高騰分の負担軽減のための現金給付も必要と考えますが、見解をお聞きします。

4. 教育、子どもの権利について

校則に子どもの権利条約を

 国の生徒指導に関する基本文書「生徒指導提要」が12年ぶりに改訂されます。有識者でつくる文部科学省の協力者会議で大筋が確認され、9月以降に改訂版が公表の予定です。校則見直しなどを求める世論を受け、前向きな要素が増えたことは前進面として評価できると考えます。日本共産党は文科省に校則アンケートの結果を届け、子どもの権利条約の重視を求めてきたところです。

 注目されるのは、提要に初めて子どもの権利条約が書き込まれたことです。新しい提要では、生徒指導の「留意点」の第1に「児童生徒の権利の理解」を置き、権利条約の重要性を強調しています。

 自治活動や学校の規律、いじめ対策など幅広い生徒指導に関わる国の文書に、権利条約が明記されたことは重要です。

 日本は1994年に権利条約を批准しました。それから28年、歴代政権の後ろ向きの姿勢によって、条約の内容は学校に浸透しているとは言えません。私たちは「子どもの権利条約を生徒手帳に」と提案しています。条約の理解を広げることが改めて急がれます。

 新しい提要では、校則について、制定の際の少数派の意見の尊重、守らせることばかりにこだわらない、理由を説明できない校則は本当に必要か、絶えず見直す、校則で悪影響を受けている子どもがいないかなどの検証、子どもや保護者の意見聴取、見直し手続きの公開などに言及しました。校則は各学校が決めるものですが、その参考となりえます。

 現行の提要も、校則を「時代の進展などを踏まえ」「絶えず積極的に」見直すとしてきました。しかし、生徒や親が見直しを求めても、多くが変わりませんでした。

 こうしたことを繰り返さないためには、子どもたちへの影響を改めて考えあうことが必要ではないでしょうか。

 この点では校則見直しの基準が重要です。子どもの権利条約28条2項が「学校の規律」を次のように定めていることを直視すべきです。

 「締約国は、学校の規律が児童の人間の尊厳に適合する方法で及びこの条約に従って運用されることを確保するためのすべての適当な措置をとる」。これこそ共通の不可欠な基準ではないでしょうか。

 そこで次の点をお聞きします。

・昨年9月議会での久村議員の「憲法や子どもの権利条約からみて子どもの人権は守られているといえるのか」とう質問に対して、「校則に基づき指導を行う場合は、一人ひとりの生徒に応じて適切な指導を行うとともに、生徒の内面的な自覚を促し、校則を自分のものとしてとらえ、自主的に守るように指導を行っていくことが重要。学校教育活動全般を通して、憲法の定める「基本的人権の尊重」の遵守は必須であり、校則見直しの過程で、当事者である生徒が主体的に参画すること等により、子どもの権利条約の定める「意見を表す権利」が守られていると考えております」と答弁されています。

 答弁では子どもの権利に注目した取り組みをされているとのことですが、新たな提要で校則に関して指摘されている項目を参考に見直す点はあると考えますが、見解をお聞きします。

 なかでも子どもの権利条約に対する子どもの理解の重要性が指摘されている点では、これまでも何度も要望してきました子どもの発達段階に応じた子どもの権利条約の内容をパンフレットにして配布し、保護者とともに学ぶ機会を設定することや生徒手帳に子どもの権利条約を明記するなどの取り組みはどうなっているのでしょうか、お聞きします。

○児童虐待の子どもからの相談について

 厚生労働省は9日、全国の児童相談所が2021年度に対応した虐待相談件数が前年度より2,659件増え、20万7,659件になったと発表しました。内容別では「心理的虐待」が約6割を占め、全体の件数を押し上げた形になっています。その他「身体的虐待」の減少、「ネグレクト」「性的虐待」の増加などが報告されています。また、相談先が警察などからの連絡が10万件を超えて約半数になっている一方、子ども本人からの連絡は1.2%にとどまっています。児童相談室などの公的機関に相談すること自体、ハードルが高いうえ、相談内容が保護者や学校などに知られてしまうことを心配し、周囲に虐待の事実を訴えられない場合があります。

 伊丹市の場合、「行政評価報告書」によりますと、「家庭児童相談所への年間相談件数は増加したが、児童虐待に関する新規の通告児童数は316人と減少した」とされています。

そこで次の点をお聞きします。

・伊丹市の場合、「心理的虐待」「身体的虐待」「ネグレクト」「性的虐待」等の分類ではどのようになっているのでしょうか。

・伊丹市における虐待対応件数のうち、通告されてくる機関はどのようになっているのか、また、子どもからの相談の件数はどのくらいあるのでしょうか。

・国としても、子どもからの相談が少ないことに関して、子どもの権利擁護の体制を今後整備するとされています。伊丹市でも子どもの秘密が守られ、相談しやすく、意見を言いやすい仕組みが必要と考えます。全国のいくつかの自治体では第三者機関で相談や対応にあたる事例があります。東京都世田谷区は、子どもの人権擁護のための第三者機関「せたがやホッと子どもサポート」を設置し、社会福祉士や公認心理士などの福祉職が相談対応にあたっています。

 今まで川西市を例に子どもの権利条例をつくり、第三者機関による子どもの権利擁護の仕組みをつくることを提案してきましたが、国の新たな動きと合わせ、伊丹市でも条例の設定と機関の設置を検討してはどうでしょうか。見解をお聞きします。

○学校給食費に対する助成

 文部科学省は9日、急激な物価高騰の影響を受け、全国で8割を超える自治体が学校給食費の保護者負担軽減に取り組んでいるとする調査結果を公表しました。調査結果によると、学校給食費の保護者負担軽減を実施または予定している自治体は1491自治体で、83.2%に達しましています。地方創生臨時交付金を活用する自治体は、77.3%に当たる1153自治体でした。

 調査は、新型コロナウイルス感染症対応として実施されている地方創生臨時交付金などを活用して、学校給食費の保護者負担の軽減に取り組んでいる自治体を調べたもので、7月29日時点を基準に、事務組合を含む1793自治体から回答を得ています。
実施している自治体の中には、伊丹市が実施した保護者の負担を抑えるための学校給食に対する助成も含まれています。

 永岡文科相は同日の記者会見で、「自治体に対して物価高騰等を踏まえ、引き続き臨時交付金を活用した学校給食費保護者負担の軽減を進めるように促したい」と語りました。

 物価高による学校給食費の値上げ圧力が高まるなか、家計を直撃する子育て世帯の声を受け、日本共産党は学校給食の無償化や保護者負担の軽減を求めてきました。文科省の調査結果は、こうした運動と世論が全国の自治体を動かしたことを示しています。

 しかし、国は学校給食に対する助成は臨時交付金を活用して行うことを促していますが、6月議会でも指摘したとおり、憲法26条の「義務教育の無償」に基づき、国が学校給食の無償化に踏み出すべきものです。もちろん、コロナ禍と物価高騰の中で臨時的に臨時交付金を活用することを否定するものではありません。

 一方、私の6月議会での「国に対して学校給食の無償化を求めるべきではないか」との質問に、教育長は「現時点では、その考えに至っていない」との答弁でした。市議会としては全会一致で「学校給食の無償化を求める意見書」を採択していますが、改めて教育長の見解をお聞きします。

 また、永岡文科相が「自治体に対して物価高騰等を踏まえ、引き続き臨時交付金を活用した学校給食費保護者負担の軽減を進めるように促したい」と語っている件で、せめて伊丹としてさらなる給食費の負担軽減を図るべきと考えますが、見解をお聞きします。

5.自衛隊に対する適齢者名簿(募集対象者情報)の提供について

 自衛隊に対する募集対象者情報の提供に関しては、今まで何度か質問をしてきました。当局は、自衛隊法第97条と同法施行令第120条の規定によるものであると答弁をされましたが、この政令は、あくまでも防衛大臣の任意による自治体への資料提供の依頼であること、また住民基本台帳法にも資料提供の規定はないことから、私は自治体がその資料を提供する義務はないと主張してきたところです。市長は、2019年3月議会で、「募集対象者情報の提供をする・しないというのは、全国の自治体がそれぞれの個人情報保護条例等に基づき判断しているものであり、本市が行っている住民基本台帳法第11条に基づく閲覧も、自衛隊に対して協力をしているものと私は認識しているところ」と答弁されました。しかし、伊丹市は閲覧ではなく電子データとして丸ごと自衛隊に募集対象者情報を提供しています。

 兵庫県下の状況を見ますと、電子データとして提供している自治体は7自治体に過ぎません。回答のない5自治体とあて名シール2自治体以外すべて抽出閲覧または閲覧となっています。閲覧としている理由はほとんどの自治体が「個人情報保護の観点」「法的義務がないから」「閲覧転記で十分」「市民感情に配慮」になっています。
伊丹市個人情報保護条例では、「第3条 実施機関は,この条例の目的を達成するため、個人情報の保護に関し必要な措置を講じなければならない」とされ、様々な規定がされています。

そこで次の点をお聞きします。

○個人情報保護審査会に諮問することについて

 保護条例第14条では、第1項で「実施期間は、法令等に基づく場合を除き、…提供してはならない」とし、第2項では「提供することができる」規定がされ、「提供することによって、本人または第三者の権利利益を不当に侵害する恐れがあると認められるときは、この限りではない」と規定しています。そして「提供することができる」条件に第5号で「審査会の意見を聞いた上で、公益上の必要があると実施期間が認めるとき」という規定があります。

 ここで問題となるのが「法令等に基づく場合」の考え方です。当局は、自衛隊法第97条と同法施行令第120条の規定によるものであるとの答弁ですが、一つは、住民基本台帳法では住民基本台帳4情報は原則非公開であること、最高裁判決でも、4情報は基本的人権として保障されていること、本人の同意なく自衛隊に提供することは憲法13条のプライバシー権の侵害になり、提供された情報は市民に対する自衛隊の勧誘に使われ、そのことが市民生活への圧迫と感じる市民が存在することです。さらに、自衛隊であっても事務の遂行のために必要である場合に限り、「閲覧」は可能とされ、電子データの提供はできないものと理解できます。

 もう一つは、自衛隊法施行規則120条「防衛大臣は、…市町村長に対し、必要な…資料の提供を求めることができる」という規定です。しかしここでは、市町村長の対応は規定されていません。従って答える義務規定はありません。

 以上のことから、原則非公開とされている住民基本4情報の電子データによる提供はする必要はないと考えますが、提供するのなら、より慎重にするうえで審査会の意見を聞くことが求められると考えますが、見解をお聞きします。 
 
○除外申し出制度(尼崎市)をつくることについて

 尼崎市では、自衛隊に対する住基4情報を提供するにあたって、今年度から「自衛隊への情報提供を希望されない方の申出(除外申出)について」を出されています。対象となる年齢の市民を対象に、申出期間を設定し、本人若しくは法定代理人または任意代理人が除外申出をすることができる制度です。申出書には「自衛隊法施行令第120条に基づき自衛隊に提供する、自衛官及び自衛官候補生の募集対象者からの除外を申し出ます」と書かれています。

 伊丹市個人情報保護条例第35条には、「利用停止請求権」が規定されています。第1項で「…保有個人情報が次の各号のいずれかに該当すると思料するときは、…当該保有個人情報を保有する実施機関に対し、当該各号に定める措置を請求することができる。」とし、「第14条第1項及び第2項又は第14条の4の規定に違反して提供されているとき 当該保有個人情報の提供の停止」が規定されています。すなわち、先ほど引用した、保護条例第14条第1項「実施期間は、法令等に基づく場合を除き、…提供してはならない」、第2項「提供することができる」規定の「提供することによって、本人または第三者の権利利益を不当に侵害する恐れがあると認められるときは、この限りではない」とされていることに対して、本人等がこの項目に該当すると思料するときに提供の停止を求めることができるというものです。

 伊丹市もこの規定に基づき、「除外申し出制度」を作るべきと考えますが、見解をお聞きします。

(2回目の発言)
4.教育、子どもの権利について

○校則に子どもの権利条約を

 文科省による生徒指導提要の改定によって、改めて子どもの権利条約の重要性が強調されたことは大事な点です。答弁では文科省から正式な通知があり次第、各学校で様々な場面で周知していくとのことです。また、近年では生徒会を中心に意見を出し合うとか、学校運営協議会での話し合いが行われつつあるとのことで、子どもの権利条約を中心にした子どもを中心に据えた議論と見直しはこれからということかと思います。その際、子どもと教師、保護者がどれだけ子どもの権利条約の趣旨を理解するのかによるものと考えるところです。

 一方、子どもの権利条約の件ですが、まず、子どもの権利条約のリーフレットが作成されていることを、恥ずかしながらも知りませんでした。議会に報告されたという記憶はありませんし、ホームページにも掲載されていませんでした。今やっと掲載されましたが、せっかく作成されたのに、あまりにも軽視されているのではないかと思います。党議員団は条約批准の1994年から子ども向けリーフ作成をことあるたびに言い続けてきたことで、28年目に実現できたことは遅すぎたとはいえ、一歩前進と評価したいと思います。

 そして昨年、その冊子を児童生徒に配布されたようですが、これからいかにして子どもの権利条約を生かした学校にしていくのかが問われます。

そこで、

① すべての児童生徒にこの冊子を配布した時、どのような話をされ、この1年間、どのような活用がされたのでしょうか。「読んでおうちの人と話し合いましょう」だけでは理解できないのではないでしょうか。
 また、そのためには教師自身もこどもの権利条約についての理解を深めることが大事です。どのようなことをされているのでしょうか。さらに、保護者も一緒に学ぶ機会も必要です。どのような取り組みをされているのでしょうか、お聞きします。

② 以前の質問で、校則を学校のホームページに掲載して、子どもも保護者も地域も一緒に考える必要があるのではないかと質したところ、各校の判断で行われるべきもので教育委員会として一律に掲載すべきと考えていないとの答弁がありました。各校の判断ではあるが、これだけマスコミ等で話題になっているとき、市民全体で子どもの置かれている現状を考える機会にするためにも、ホームページへの掲載もすべきではないかと思いますが、改めて見解をおききします。

③ 伊丹市教育委員会作成の子どもの権利条約の冊子「保護者のみなさまへ」の中に、「子どもたちの「幸せ」を実現するためには、まずは子どもが自分自身が持っている権利について知ることです。あわせて、権利を主張するためには、子ども達にも果たすべき責任があることやルールを守る必要があることを教えなければなりません」という記述があります。もちろん子どもたちに果たすべき「責任」や「ルールを守る」ことを教えることは大事ですが、この記述では、果たすべき「責任」や「ルールを守る」ことができなければ権利を主張できないとも読めます。一般的に誤解があるのは、権利と義務・責任の関係性について「義務・責任を果たした国民には権利が与えられる」とか「国民は義務・責任を果たさなければ権利を主張できない」という考え方ですが、憲法上の解釈は、「国民が権利を有しており、国はその権利を保障する義務がある」ということです。教育委員会と学校は、この文面に関してどのような説明がされているのでしょうか、お聞きします。

(3回目の発言)
4. 教育、子どもの権利について

 このリーフレットを活用した取り組みがされているとのことです。しかし、各地域での保護者にお聞きすると、必ずしもすべての学校、クラスで同様な取り組みがされているわけではないようです。例えば、「こどもが持って帰ったけど、どこに置いたか分からない」「持って帰ってない」「持って帰ったので読んだけど当たり前のことが書いてあるので置いてない」などです。改めて学校ごとの取り組みを聞いていただき、子どもの権利条約が生かされるようにしていただきたいと思います。

 3つ目の質問ですが、「保護者のみなさまへ」に限らず、条約や教育委員会が意図したことが短い文章でどう理解されているのかは、様々な人から意見を聞いて見直すべきところがあれば見直していただきたいと思います。そのためにも、子どもの権利条約全文を市のホームページに掲載されることを要望します。

1.市長の情勢認識について

「国葬」強行への市の立場について

 岸田政権の「国葬」強行で、法的根拠もなく多額の税金を使い、国民に弔意と安倍元首相の礼賛を強制することは、憲法14条「法の下の平等」に反し、憲法19条「思想及び良心の自由」をふみにじるものであること、は先ほど述べました。岸田首相が説明すればするほど、世論調査で「反対」が増えるのは、これに道理がないからです。

 市長は、市庁舎に半旗を掲揚すること検討していますが、すでに伊丹市として安倍元首相の死去に対して半旗を掲げて弔意を表していることでもあり、国民世論を二分し、反対が6割を占める「国葬」に対して、改めて庁舎に半旗を掲揚することは、伊丹市として憲法違反の「国葬」を支持することになります。やめるべきです。
 
○旧統一協会と伊丹市の関係では、市立伊丹病院に対して1万円の寄付があったとされました。この団体との関係が明らかならば、寄付金は返還することを求めておきます。

3.新型コロナウイルス感染症対策について

○兵庫県に対して検査体制の拡充と伊丹市として県と連携して検査体制を広げ、60歳以上にも検査キットの無料配布を求めました。兵庫県も伊丹市もよくやっているので、いずれもやらないとの答弁です。今第7波です。同じことをずっと繰り返しているのではないか。第6波の時にも、落ち着いた今ころ検査体制の拡充で無症状の感染者を見つけ出して対応することを求めましたが、それもせず、第7波を呼び起こしました。しかも第7波はワクチンの接種により軽症者が多いと言われていましたが、8月のコロナによる死者は7000人を超え、史上最多となりました。国は医療と保健所体制のひっ迫から、これを拡充すると言いながらほとんど何もぜず、多くの犠牲者を出しました。「国葬」に17億円も血税を投入する一方でコロナ対策は無為無策。岸田政権には心の痛みというものがないのでしょう。

 60歳以上の人へも検査キットの配布を求めたのは、明確な濃厚接触者で自宅待機をされている無症状の高齢者は薬局に検査に出かけることのなく不安のない日を送らざるを得ないことへの対応です。5日間の自宅待機ですが、無症状のまま感染されていたら、待機が解除された後で、他人に感染を広げることになります。いつまでたっても感染は収まりません。最善の方法を考えください。

4.教育・子どもの権利

〇学校給食費に対する助成

 国に対する学校給食費無償化を求めることへの教育長の率直な答弁をいただきました。多少、言い訳じみているのかな、と感じましたが。いずれにしましても、議会と教育委員会が共同して、国に対して要望することには意義があると思います。

 市独自に給食費を軽減することについては、「試行錯誤している」との答弁です。一方、厚労省の昨年の国民生活基礎調査では、子どものいる世帯では、「大変苦しい」「やや苦しい」とした世帯が59.2%に達しています。全世帯では53.1%です。物価高騰、コロナ禍、賃金が上がらない状況で特に子育て世帯に生活苦が押し寄せています。「試行錯誤」するまでもなく、助けてほしいという子育て世帯が6割近くおられる実態に即して、給食費の軽減を図ることを求めます。

 また、住民税非課税世帯への5万円給付の件では、「なんでも1番、急いで支給」が悪いことではありませんが、先ほど言ったとおり、生活が苦しいとする世帯は半数以上 おられることを考慮するならば、横出し、上乗せは必要と考えます。ぜひ実現してください。

5.自衛隊募集対象者情報、いわゆる適齢者名簿の提供について

 この件に関しては、私たちは法律上の根拠はないことから電子データによる対象者情報の提供はするべきではない、閲覧で十分と考えています。

 自衛隊法施行令120条「防衛大臣は、…市町村長に対し、必要な…資料の提供を求めることができる」という「できる」規定はあるが、市町村長の対応は規定されていないこと、従って提出する義務はないこと、住基法4情報は原則非公開であることなどによるものです。

 一方、施行令120条に基づき、防衛大臣からは4情報を紙媒体、電子媒体で、また自衛隊兵庫県地方協力本部長からは電子媒体で提供をお願いする「依頼」が来ているようです。これは何なるお願いであって、義務ではありません。県内でもある市では「法的義務はない」ことを理由に閲覧にとどめています。従って、法的義務がないことに対して電子媒体で提供することは自治体首長の考え方によるものということになります。ぜひ市長の判断で電子データによる募集対象者情報の提供はやめていただきたいと思います。

 自衛隊への住基4情報の提供に対して「除外申し出制度」をつくることを提案しました。尼崎市や大阪市など多くの自治体で行われ、20の政令市のうち11市でこの制度があります。個人情報保護法と市の条例に定められている「利用停止請求権」に基づいてこの制度を作ったらどうかとの質問でしたが、必ずしもこれらの条文に基づく制度とは限りません。

 尼崎では申出はなかったとのことですが、そんなことは関係ありません。尼崎などこの制度を実施している自治体は、どういう法的根拠に基づいて自衛隊に対して募集対象者情報を提供しているのか、いつどの対象者の名簿提出なのかなどの説明が書かれてあります。同時に「自衛隊への情報提供を希望されない方は、申出いただくことにより、自衛隊へ提供する情報から除外しています」と説明が書かれてあります。

 市民には電子データで募集対象者の住基4情報が自衛隊に提出されていることを知らされていません。閲覧の場合は、閲覧の請求事由の概要又は利用目的の概要とその範囲などがホームページで公表されています。そこでの一例をあげれば、「自衛隊兵庫地方協力本部から陸上自衛隊高等工科学校の生徒募集に関する案内を送付するための対象者抽出、令和3年5月18日・ 20日、15~16歳男、市内全域、938件」という具合です。

 100歩譲って電子データで情報を提供するならば、他の多くの自治体で行われている「除外申出制度」

感染と物価高騰から市民の暮らしと営業を守るための要望書を提出しました

 5月20日、「新型コロナウイルス感染と物価高騰から市民の暮らしと営業を守るための要望書」を提出しました。

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2022年5月20日

伊丹市長 藤原保幸 様

新型コロナウイルス感染と物価高騰から市民の暮らしと営業を守るための要望書

 日本共産党伊丹市議会議員団
 上原秀樹 久村真知子

  藤原市長におかれては、新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、市民の暮らしと営業を守るためにご尽力されていることに敬意を表します。

 さて、新型コロナウイルス感染状況は第6波時に比べて一定落ち着いていますが、予断を許さない状況には変わりません。一方、ロシアによるウクライナ侵略等の影響に加え、自公政権の経済政策「アベノミクス」のもとでの「異次元の金融緩和」による異常円安が原材料や燃料などの価格を吊り上げ、食料品などの物価高騰によって新型コロナウイルス感染症の不安に加えて市民の暮らしと営業に追い打ちをかけています。

 よって、市長におかれては、下記の点での緊急対応を行うとともに、6月補正予算において国の臨時交付金と財政調整基金などを活用し、市民の暮らしと営業を守る対策を取られることを要望します。

1.原材料・事業用燃油等の価格引き下げのための助成、もしくは価格高騰に対する中小事業者への助成を行うこと。

2.中小事業者に対する家賃補助など、直接的な支援を行うこと。

3.上下水道料金等公共料金の減額、免除を行うこと。

4.給食費の値上げを抑制するため、食材等の高騰による学校給食への影響を軽減するため助成を行うこと。学校給食費における保護者負担の減額、免除等を行うこと。

5.5月補正(専決)における子育て世帯生活支援特別給付金、非課税世帯等に対する臨時特別給付金に対して、対象の拡大等、伊丹市として上乗せをするなど低所得者世帯への支援を行うこと。

6.総務省による「公立病院経営強化プラン」では、病院統廃合から「経営強化」に重点を移し、コロナ禍で公立病院と急性期病床の役割が重要となったこと等が指摘されている。従って、近畿中央病院の跡地への医療機関誘致に関して、改めて急性期病床を含む医療機関の誘致を検討すること。

7.国に対して次の点を要望すること。

 ①消費税の5%への減税とインボイス制度の中止。
 ②中小企業への支援を行なうことと合わせ、最低賃金を1,500円に引き上げる。
 ③年金の減額中止、後期高齢者医療での2割負担の中止。
 ④男女における生涯賃金1億円の格差を是正するための対策。
 ⑤学校給食の無償化。

2022年3月議会報告 中3まで医療費無料化、認可保育所増設などが実現 

日本共産党伊丹市議会議員団議会報告

日本共産党伊丹市議会議員団

3月議会で市民要求実現に奮闘し
 中3まで医療費無料化、認可保育所増設などが実現

 3月議会が2月17日から3月25日までの37日間開催されました。提案された議案は、2022年度一般会計予算等の予算13議案、条例改正等27議案の合計40議案。党議員団は、コロナ対策や少子化、高齢者対策などの市民要求実現に力を尽くす一方、一般会計予算と条例改正4議案に反対、残る35議案に賛成しました。

 要求が実現したのは、所得制限付きながら中学3年生まで医療費の無料化、210名分の認可保育所整備、若者就労支援、市営住宅へのエレベーター設置(玉田団地)などです。

 一方、予算や条例改正で反対した内容は、①コロナ対策では国の対応の域を出ず、独自の対策がほとんどなかったこと。②依然として「同和教育」を継続すること。③文化保護行政を教育委員会所管から市長に移管したこと。④アイホール事業を削減することで質の高い文化の発信と市の文化振興策を縮減したことなどです。

 病院統廃合による近畿中央病院跡地への医療機関誘致に関しては、コロナ禍で急性期医療の重要性が認識されたことから地域医療構想を見直し、急性期病床の誘致を求めました。

2022年3月議会:上原秀樹 一般会計予算等特別委員会付託議案 反対討論

2022年3月議会

2022年3月25日
日本共産党伊丹市議会議員団 上原秀樹

 議長より発言の許可を得ましたので、私は、日本共産党議員団を代表して、議案第10号令和4年度伊丹市一般会計予算及び議案第24号伊丹市教育に関する事務の職務権限の特例に関する条例等の一部を改正する条例の制定について、議案第23号伊丹市事務分掌条例の一部を改正する条例の制定について、議案第28号一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の制定について並びに議案第32号伊丹市立児童くらぶ条例の一部を改正する条例の制定についての5議案対して反対の立場から討論をします。

伊丹市一般会計予算

 はじめに議案第10号伊丹市一般会計予算についてです。

 まず歳入について述べます。市税では、前年度予算を約20億円上回り、特に個人市民税、法人市民税ともにコロナ前の2018年度決算並みの予算となりました。納税者人口の増と製造業における業績が回復したことによるとされましたが、一方ではコロナ禍で納税ができない非正規で働く人が増えていることや年金の引き下げ、営業に困難を抱える中小零細企業・業者も多数存在することを踏まえ、市民の暮らしを支える対策が必要です。

 次に地方交付税についてです。2021年度交付金額は、国による2021年度補正予算において、国税収入の増額補正に伴い、地方交付税も増額されることになりました。伊丹市においては当初予算対比で実質的な地方交付税が約21.8億円の増となる見込みです。市税収入の増も含めたこれらの財源で、市民の暮らしや福祉、安全対策等への対応を要望します。一方、2022年度予算では、臨時財政対策債を含む実質的な普通交付税は、市税の増等によって予算対比で10億円の減で84億とされました。国は前年度並みの一般財源の総額は確保したとされていますが、地方自治他市にとっては新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、高齢化や子ども子育て施策、安全対策等の基盤整備など行政課題は増加する一方で、前年度並みを確保しただけでは財政が硬直化して行政課題に柔軟に対応できなくなっています。国に対して、社会保障費の自然増など必要な財政需要を積み上げて地方財源を確保し、そのためにも地方交付税の法定率を大幅に引き上げることを求めることを要望します。

 次に予算上の問題点及び関連する要望についてです。

 第1に、新型コロナウイルス感染症対策です。第6波の感染者数は若干減少傾向にあり、まん延防止等重点措置が解除されました。しかし、新たな変異株も出てきており、ワクチン接種を引き続き行いながら、治療薬の普及を待つしかなく、当面コロナウイルスとの付き合いは続く見込みであると言わざるをえません。従って、感染が続く限り重症化の恐れと命の危険が付きまとうことになります。この間の国のコロナ感染症対策は、ワクチン接種の遅れや検査体制の不十分さ、急性期病床の削減、事業者に対する補償を半分に減らす、保健所体制が極めて不十分のまま放置されていることなど、後手後手の成り行き任せというべき事態です。伊丹市の対応も、様々な対応に力を尽くされているとはいえ、この域から出ていません。引き続き感染者の状況を勘案して、高齢者施設等の福祉施設や学校等でのPCR検査と検査キットの配布、事業者の実態調査による機敏な支援策対応、県が掌握している医療、保健情報の共有などを求めるものです。

 第2は、昨年の人事院勧告に基づく国家公務員の給与改定に基づき、一般職員で約5万9,000円、再任用職員で約3万3,000円の期末手当を削減することです。来年度の人件費を一般会計で約1億5,200万円削減することは、新型コロナウイルス感染症対策で奮闘されている最中にあり、その奮闘にふさわしい賃上げこそ必要であるとともに、原油価格の高騰によるガソリン等の物価の値上がりも生活に大きな影響を与えています。

 第3に、職員の人事評価についてです。公共を担う公務員には、全体の奉仕者の立場から、市民の声を聞き、提供する市民サービス、人権保障のあり方を職場で自由に議論し、決定する権限が与えられています。そのような場に「能力」「業績」などという測ることが困難な尺度で5段階評価することは、公務員の労働意欲の向上や創意工夫の発揮を阻害することにもつながります。今後、人事評価の問題点を十分認識していただき、5段階評価はやめることなどを含めて、職員の力が十分に発揮され、市民福祉の向上に向けて働きやすい職場とされるよう改善を求めます。

 第4に、新たに「伊丹市人権教育・啓発推進に関する基本方針」を改定されることです。様々な人権課題が存在します。市のアンケートでも、最も関心のある人権課題は女性、高齢者、障がい者、子どもが多数を占めており、それぞれに関する人権を保障するための施策は重要な課題となっています。しかしこれらの課題は、憲法における人権保障の規定に基づき、解決していくものであり、必要とあれば、教育・啓発はそれぞれの分野で行うべきことです。

 問題は同和問題に関する市民の差別意識の解消のための教育・啓発を継続することにあります。アンケートにおいて実体のない「いわゆる同和地区」という表現を使うことによって、あたかも法的に存在しなくなった「同和地区」がいまだに存在し、その差別がいまだに根強いという印象を市民に与えます。実体的差別がほとんどない中で、差別意識をことさら強調することは、同和問題の真の解決に逆行するものです。

 今年は水平社創立100周年の年にあたります。水平社創立は、封建的身分差別の残滓である部落差別の屈辱と呻吟から人間の誇りを取り戻し、自らを解放しようとしたものです。創立大会では「人間を尊敬することによって自ら解放せん」「人の世に熱あれ、人間に光あれ」とうたいあげました。先人たちは屈辱の歴史に終止符をうとうと挑戦し、戦後民主主義と部落解放運動を背景に「社会問題としての部落問題」の最終段階を見通せる段階に到達しています。ここに100周年を記念する最大の意義があります。

 様々な人権課題に関しては、憲法に規定されている国をはじめとする公権力が保障すべき自由と人権とは何かなどについて市民とともに学ぶ機会を持っていただき、多様な個人の尊厳が守られ、人権・民主主義が根付く伊丹市をつくるための学習・啓発を推進されることを求めます。

 第5に、文化財保護行政の職務権限を、教育委員会から市長に移管したことです。

 文化財保護における権限は、とりわけ収集・保管・展示・教育・調査・研究という基本的な機能は市長の権限とは分離され、市長の権限に束縛されない、自由で自律的な学芸活動として展開されてきました。国の文化審議会文化財分科会企画調査会における主な意見でも、教育委員会が首長部局から独立していることで、専門的観点から事務執行ができ、政治的中立性も確保される、政治的中立性については、埋蔵文化財だけではなく文化財の指定にも関係してくるとされています。従って、市長に権限を委譲することで、専門性、政治的中立性が担保される保障はありません。

 今後、社会教育施設として位置づけられる伊丹ミュージアムと一体的な運用で自立した教育・調査・研究を行うとともに、必要な専門的職員の配置を求めます。

 第6に、アイホール事業の縮減についてです。アイホールの存続が危ぶまれています。当面3年間は継続することとなりましたが、今まで公演等の事業が36事業あったのを10事業にして事業費を削減、自主事業をなくして貸館中心の管理に伴い職員を10名から6名に削減するなどで経費を約3,300万円削減する提案です。しかし、アイホールは30年以上の歴史の中で「関西小劇場の聖地」の地位を築き、優れた演劇文化を発信するとともに、中高生などの学びの場としての機能も発揮してきました。自主事業の廃止などこれらの機能を縮小することは質の高い文化の発信と市の文化振興策の縮減につながります。

 第7に、「全国学力テスト」の問題です。代表質問でも指摘しましたが、「全国学力テスト」に基づく学力観は、経済協力開発機構が行う国際学力調査の枠組みの基本としてのPISA学力論を経由する「資質・能力」論とそれと結びついた「コンピテンシー」論であり、この学力観を中心に据えることは、民主主義を前進させ、主権者としてその担い手を育てる教育、地球環境問題や社会の格差・貧困問題、コロナ禍のもとでの生存権保障、ジェンダー平等、世界の紛争や戦争阻止などの課題にどう対処するのかの、集団による知恵の探求が後景に押しやられることになっているのではないかと考えます。調査というなら「全国学力テスト」は毎年行う必要はなく、数年に1回の調査で事足りるものであり、「全国学力テスト」を主軸とする教育は見直すべきです。

 教育長が答弁で、様々な課題を解決していくのは人であり、その人を育てるのが「教育」であり、教育の目的は「人格の完成」にあると述べられたのはその通りであり、開かれた学校づくりを進め、子どもたちの「社会性」を養い、主権者として民主主義の担い手を育てる教育を進めていただくことを要望します。

 次に、評価すべき点を述べます。

 第1に、所得制限付きながら中学3年生までの医療費無料化を実現されたことです。今後所得制限の撤廃と高校卒業までの無料化を求めます。

 第2に、国の施策としてですが、児童くらぶ指導員や保育士などのエッセンシャルワーカーの賃金が引き上げられることです。今までこれらの職種の賃金が極めて低いことが問題とされていました。今回はその第一歩として評価できますが、引き続き賃金の引き上げを求めます。

 第3に、保育所待機児童の解消に向けて210名分の保育所が整備されることです。今後問題となっている年度途中の待機児童解消に向けた対策を要望します。

 第4に、若者就労支援事業として、市内在住かつ市内で働く30歳までの若者が学生支援機構等の奨学金返済中の場合、年間返済額のうち自己負担分の2分の1の範囲内で最大6万円を3年間助成されることです。

 第5に、市営住宅玉田団地6号館及び9号館にエレベーターを設置されることです。今後、エレベーターのない市営住宅へのエレベーター設置を要望します。

 第6に、男女共同参画課を設置されたこと及び痴漢対策としてポスターを掲示することになったことです。今後、男女平等参画センターの直営化と条例制定を求めます。

 第7に、地球温暖化対策において、カーボンゼロに向けて「グリーン戦略室」の設置等による第一歩を踏み出されたことです。今後、環境基本計画の見直しと地球温暖化対策実行計画の策定が行われますが、いち早く「カーボンゼロ宣言」を行い、市民との共同でカーボンゼロを達成していただきたいと思います。
 第8に、JR伊丹駅前トイレを改修することです。市内公衆トイレが汚いという声を議会でも紹介し、改修を求めてきました。引き続き阪急伊丹駅南側トイレなどの改修も求めます。

 最後に、近畿中央病院の跡地への医療機関の誘致について述べます。

 新型コロナウイルス感染症の拡大で、改めてコロナ感染症患者に対応する急性期病床の役割が明らかとなりました。一方、兵庫県地域医療構想では、急性期病床を減らし、高度急性期と回復期病床を増やすものとなっています。コロナパンデミックの教訓から、これ以上高度急性期、急性期病床を減らさず、それに見合った医師・看護師などの病院職員を増員する方向に転換すべきと考えます。その上に立って、兵庫県地域医療構想を見直すことを関係機関と協議し、近畿中央病院の跡地への医療機関の誘致は、回復期だけにこだわらず、急性期病床を中心とする医療機関を誘致できる方向で検討を進めていただきたいと思います。

 以上主な点を述べました。その他本会議、委員会で様々な要望をしましたが、その実現にご尽力いただきますことを求めまして、議案第10号に対する反対の意見とします。

教育に関する事務の職務権限の特例

 次に、議案第24号伊丹市教育に関する事務の職務権限の特例に関する条例等の一部を改正する条例の制定についてです。

 本条例に関して、先ほどの議案第10号に対する意見で述べた通り、文化財保護行政の職務権限を、教育委員会から市長に移管することは、専門性、政治的中立性が担保される保障はありません。

 よって議案第24号に反対とするものです。

 次に、議案第23号伊丹市事務分掌条例の一部を改正する条例の制定についてです。
 本議案も先ほどの意見で述べた通り、文化財保護行政の職務権限を、教育委員会から市長に移管する問題とともに、「空港に関する事項」「航空機騒音対策に関する事項」「空港周辺整備に関する事項」を、都市活力部が所管する「空港及び観光に関する事項」に変更する問題です。言うまでもなく伊丹空港は環境基準が達成されていない空港であり、都市型空港としての安全性にも課題が存在します。空港の利便性を高めることは当然としても、国際便の復活などによる観光行政との一体化は、いまだに航空機騒音に苦しむ市民の理解を得ることはできません。

 よって議案第23号に反対とするものです。

職員の給与に関する条例

 次に、議案第28号一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の制定についてです。

 本条例についても議案第10号に対する意見で述べた通り、人事院勧告に基づく国家公務員の給与改定に基づき、一般職員及び再任用職員の期末手当を削減することは、コロナウイルス感染対策での奮闘にふさわしい賃上げこそ必要であるとともに、原油価格の高騰によるガソリン等の物価の値上がりも生活に大きな影響を与えています。

 よって、議案第28号に反対とします。

児童くらぶ条例

 次に、議案第32号伊丹市立児童くらぶ条例の一部を改正する条例の制定についてです。

 本条例案の主な内容は、2023年度から、市立児童くらぶ育成料6,200円を8,000円に引き上げるとともに、延長時間に応じて午後5時から午後6時まで1,800円、午5時から午後7時まで3,600円と区分されていた育成料を、一律3,000円にしようとするものです。

 育成料を引き上げる理由として、指導員の処遇改善や長期休業中の昼食提供、ICT化推進事業などを行うための財源とされています。もちろんこれらの改善は必要なことです。特に指導員の処遇改善では、阪神間各市と比較して賃金が低く、この処遇改善によって指導員の生活給と指導員の質の向上、ひいては児童くらぶ自体の質的改善にも結び付くものです。しかしその具体的な内容は明らかにされませんでした。

 一方、指導員の処遇改善や施設の改善を育成料の引き上げによって行うということは、サービスを良くすればよくするほど保護者の負担を増やすというやり方であり、この受益者負担の原則は子育て支援策、福祉行政としてはなじみません。小泉政権時に大幅に減額した地方財源の復活とともに、さらに充実を国に強く求めることを要望します。

 よって、議案第32号に反対とするものです。

 以上議員各位のご賛同をお願いしまして、5議案に反対の討論とします。

 

 

 

 

2022年3月議会:上原秀樹 代表質問

2022年3月議会 最終日議案質疑

2022年3月
日本共産党伊丹市議会議員団 上原秀樹

ロシアによるウクライナに対する侵略行為に関して

 質問の前に、ロシアによるウクライナに対する侵略行為に関して一言申し上げます。ロシアは24日、一方的にウクライナに侵攻し、すでに同国民に多大な犠牲者が出ています。 これはウクライナの主権と領土を侵し、国連憲章、国際法を踏みにじる、侵略行為です。同時にプーチン大統領が核兵器の使用を示唆するなど断じて容認できません。日本共産党は、ロシア、アメリカ、中国などどんな国であれ覇権主義を許さない立場から、この侵略行為を断固糾弾するとともに、ただちに軍事行動をやめ、撤退させることを強く求めるものです。

 また、一部の政治家が「核兵器の共有」を論じるなどは、唯一の戦争被爆国の政治家の発言としてあるまじき発言であり、世界の核兵器廃絶の流れに背くとともに、ロシア大統領と同類の発想であり、絶対に容認できません。

1.市長の情勢認識について

1)市長の提案説明「国内外の情勢認識」について

 市長は提案説明の中で国内経済について述べられました。

 日本経済に関しては、岸田首相が通常国会の所信で「新しい資本主義」とか「新自由主義の弊害を取り除く」などと述べました。今の日本経済は岸田首相の言う「新自由主義の弊害」によって、経済が成長しない国、賃金が上がらない国、国際競争力が低下した国になりました。「新自由主義」的政策のもとでの働く人の貧困と格差が拡大は、非正規雇用の増大等、低賃金で「使い捨て」労働の拡大をはじめコスト削減を最優先の賃金抑制や無法なリストラがもたらしたものです。その結果、2000年を100とした平均賃金指数は、アメリカが124、スウェーデンが138、韓国が143となっているにもかかわらず、日本の場合は100で賃金は上がっていません。2012年対比でみると、実質賃金は年収22万円減少し、その一方で資本金10億円以上の大企業の内部留保は130兆円増やして466兆円にもなりました。自公政権が行っている「賃上げ減税」は、安倍政権以来2兆円以上の賃上げ減税を行っていますが、その間実質賃金は下がっています。

 さらに、新自由主義のもと、社会保障を削減し続け、「社会保障の自然増」部分を来年度予算では2200億円も削減することになっています。このことによって診療報酬の削減、高齢者医療の自己負担の倍増、年金の削減が行われています。そして消費税のあいつぐ増税が国民に大きな負担を押し付けています。

 その結果、GDP実質成長率では、日本経済の成長が止まった国になりました。2000年を100とした場合の名目成長指数が、日本は2020年が100で成長が止まり、アメリカ、ユーロ圏ともに200で倍になっています。さらに競争力も、1991年には1位だったのが、2021年には31位に下がりました。

 すなわち、新自由主義による、貧困と格差の拡大という人に冷たい経済政策が日本経済を停滞に押しやったと言えます。日本共産党は、人にやさしい経済の方が結局は経済成長もするし、パンデミックにも強い経済になると考えるものです。そのために、正規雇用が当たり前の労働法制に変え、中小企業に支援をして最低賃金を時給1500円以上にして賃金を引き上げる、社会保障の抜本的拡充、消費税の減税を提案しています。

 日本経済における「新自由主義の弊害」と市長に渡しています日本共産党の政策に対する見解をお聞きします。

2)9条改憲、「敵基地攻撃能力」「反撃力」と伊丹の自衛隊基地について

 岸田政権は戦後初めて、「敵基地攻撃」能力の保有について検討を進めるとともに、岸防衛相が他国領空内に自衛隊機が侵入して爆撃することも「排除しない」と答弁、また相手の基地に限らず、指揮統制施設や通信施設などへの攻撃を含む「反撃能力」=戦争遂行能力の保有にも言及するなど、憲法が禁じた戦争につながる危険なたくらみが浮き彫りになっています。そして憲法との矛盾を突破するため、9条改憲で名実ともに「戦争する国」に日本をつくりかえようとしているのが、自公政権とカッコつきの「野党」の人たちです。

 今、台湾をめぐる米中の緊張が激化しています。日本は日米同盟にとって死活的問題だなどと言って、アメリカの対中国戦略に積極的に加担し、そのための実働演習などを頻繁に行っています。その一つが昨年12月に伊丹駐屯地で行われた日米方面隊共同指揮所演習=ヤマサクラ81でした。すべて米軍が指揮を執り、米軍の対中戦略に自衛隊を巻き込む訓練です。そしてその場合の反撃対象は米軍基地であり伊丹駐屯地のような自衛隊基地ということになります。

 日本共産党は、この問題で最も抑制すべきことは、軍事対軍事の対立と軍備拡張競争の悪循環であり、最も推進すべき道は、どんな国であれ覇権主義は許さないという立場にたって、平和手段による問題解決を図ることであると考えます。注目すべきことは、2011年にインドネシアのバリで開催された東アジアサミットで「バリ原則」という政治宣言が調印されていることです。ここには武力行使の放棄、紛争の平和的解決などの諸原則が入り、アセアン諸国10カ国とともに日本、中国、韓国、米国、ロシア、インド、オーストラリア、ニュージーランドが参加してすべての国が賛成しています。この宣言を条約にするため、憲法9条を持つ日本がその先頭に立つことが求められています。

 ロシアのウクライナ侵略という事態の中で、日本が他人ごとではなく、「戦争する国」にまい進するのではなく、この時期にこそ「バリ宣言」の報告に向かう努力をすべきと考えます。

 市長の見解をお聞きします。

2.新型コロナウイルス感染症対策について

 市長は提案説明の中で「新型コロナウイルス感染症対策を最優先事項として、…今できる最善の取り組みを迅速かつ的確に実施してまいります」と述べられました。

 今、高齢者を中心として第4波、第5波を上回る死者数など、コロナ危機は始まって以来の深刻な事態にあります。全国知事会の2月15日「緊急提言」の通り、オミクロン株の特性に応じた保健医療体制の構築や社会活動の継続への対応を検討し、その全体像の見直しも含め、全般的な対応方針を明確にすること、一部地域で深刻な医療ひっ迫を招いている現状を踏まえて、危機的状況が国民に正しく認識されるよう、国として強く発信することが求められます。

1)PCR検査体制について

 今まで議会の度に「いつでも、誰でも、無料で検査を受けることができる体制」を求めてきました。市内10か所の薬局で無料検査を行っていますが、検査キットがなくて検査が受けられない人がおられます。検査キットは十分届いているのでしょうか。また、「濃厚接触者かもしれないから」という人も来られるそうですが、防護もマスクのみという不十分な状態で、立会人という役割を果たさなければなりません。通常業務に手が回らないときもあるとお聞きします。今の状態で薬局が検査を担うことに無理が生じているのではないか、県の管轄ですが当局はどのように認識されているのでしょうか。実態を聞いて改善すべきことは改善をするよう県に求めるべきですが、見解をお聞きします。

2)子どもとその関連施設、保護者への対応について

 就学前施設や学校での学級閉鎖、学年閉鎖、休校が相次いでいます。

○ その場合、一つは、様々な職種の会計年度職員への連絡も休校等の連絡がされると思いますが、学校等への出勤の有無はどのように連絡されるのでしょうか。仮に出勤の有無が不明確の場合、賃金はきちんと補償されているのでしょうか。また、会計年度職員が濃厚接触者となった場合や感染の疑いがある場合、感染が確認された場合、また小学校、幼稚園、保育所、特別支援学校の休校等に伴い会計年度職員が子どもの世話を行うため勤務することができない場合の休暇の扱いと賃金の補償についてもお聞きします。

○ 二つには、厚生労働省が2月8日、新型コロナウイルス感染の影響で保育所が休所となった子どもを他の園や公民館などで預かる「代替保育」を確保するために新たな財政支援策を発表したことについてです。医療や福祉、介護といったエッセンシャルワーカーの確保のためにも、代替保育の拡充が、急務となっています。厚労省は利用者負担についても財政支援で負担がないようにするとしています。ぜひ伊丹市でも早急に実現をしていただきたいと思いますが、見解をお聞きします。

3.気候変動危機の打開に向けて

 この問題では12月議会で岸田政権の温暖化対策の問題点を指摘するとともに、日本共産党の気候変動危機打開の2030戦略を紹介しました。同時に、伊丹市として「気候非常事態宣言」「2050年ゼロカーボンシティ宣言」をすることを求めました。答弁では、脱炭素社会の実現に向けた環境施策を積極的に推進し、その基盤を築いてまいりたいとされましたが、環境基本計画の見直しとともに検討するとのことでした。

 一方環境省の資料によりますと、2月28日現在で「2050年ゼロカーボンシティ宣言」を何らかの形で表明した自治体が598自治体、日本の総人口に占める割合は90.7%に達しています。阪神7市1町の中では5自治体が宣言をしています。

 環境基本計画の見直しの中で、着実に計画として具体化することは否定するものではありませんが、計画の見直しにあたって「2050年にカーボンゼロをめざす」ことを宣言することで、市民に対しても伊丹市の姿勢が伝わり、市民ぐるみでカーボンゼロをめざす機運も生まれてきます。

 改めて「気候非常事態宣言」「2050年ゼロカーボンシティ宣言」をすることを求めるものですが、見解をお聞きします。

4.教育行政について

1)改正民法施行により成年年齢が18歳に引き下げにかかわって

 今年4月から改正民法施行により成年年齢が18歳に引き下げられます。既に18歳投票権が付与されていることも踏まえ、改めて中学・高校における主権者としての教育や自己決定権の拡大に伴う法的・社会的教育が求められてきました。18歳になったら親などの同意を得なくてもクレジットカードやローンなどの契約をすることが可能になります。しかし、人間は18歳の誕生日を迎えたら突然何もかもが成熟して「子ども」から「大人」になるわけではなく、年齢で画一的に扱う法律のほうが、人間の実態に即さない不合理な存在ともいえます。

 年齢引き下げは自己決定権を拡大する積極的な意義がありますが、成人年齢の引き下げにともなって若者の消費者被害の拡大や、罪を犯した少年の立ち直りへの影響などを懸念する声もあり、これまでより早く“大人”になることについて、親世代も含めたすべての世代で意識を高めていくことが課題となるとともに、教育の果たす役割は大きいと言えます。

 そこで、伊丹市の特に高校の教育では、今までどのような金融教育や消費者教育などを行ってこられたのか、その成果をどう認識されているのかお聞きします。

2)次に主権者教育はどのように進んでいるのかについてです。

 18歳選挙権を実現する改正公職選挙法は、2015年6月19日に公布され、2016年6月19日に施行、同年6月22日から適用されました。以降、様々な選挙が行われてきましたが、その投票率を調べたところ、前回2019年県会選挙では、全体の投票率が40.14%に対して、10歳代が28.01%、20歳代が21.84%、同市議会議員選挙では、全体が40.39%に対して、10歳代が24.74%、20歳代が19.82%、同年参議院選挙では、全体が48.12%、10歳代が31.13%、20歳代が31.74%となっています。
 なぜ投票率が低いままなのか、なぜ政治に関心がわかないのか。もちろん教育だけではなく、様々な要因はあると思いますが、教育委員会としてこの投票率の結果を見て、この6年から7年間、18歳選挙権が施行される公職選挙法改正以降の主権者教育をどのように評価されているのでしょうか、お聞きします。

 いくら投票の方法を学んでも、政治に関心が湧かなければ投票行動には結び付かないのは言うまでもありません。

 このような中で、若者たちはどのような社会意識を持っているのでしょうか。日本財団「18歳意識調査」の2019年11月「第20回社会や国に対する社会意識調査」は、インド、インドネシア、韓国、ベトナム、中国、イギリス、アメリカ、ドイツと日本の17~19歳各1,000人を対象に国や社会に対する意識を聞いたものです。この結果、「自分を大人」、「責任ある社会の一員」と考える日本の若者は約30~40%と他国の3分の1から半数近くにとどまり、「将来の夢を持っている」、「国に解決したい社会課題がある」との回答も他国に比べ30%近く低い数字となっています。さらに「自分で国や社会を変えられると思う」人は5人に1人、残る8カ国で最も低い韓国の半数以下にとどまり、国の将来像に関しても「良くなる」という答えはトップの中国(96.2%)の10分の1。全体に途上国、欧米先進国のいずれと比べても数字の低さが際立つ調査結果となっています。

 なぜ日本の若者の政治・社会意識が他国と比べて低いのでしょうか。日本の政治・社会状況とも関係していると思われますが、民主主義を前進させ、主権者としてその担い手を育てる教育の課題とは何か。今の教育にかけているものは何かについて、次の点を踏まえてお聞きしたいと思います。

 教育長の「伊丹市教育基本方針」では、確かな学力の育成について「これまでの取組により、全国学力・学習状況調査での…一定の成果は上がっているものの、思考力や表現力、学びに向かう力、多様な教育的ニーズのある児童生徒への対応に課題があります」とされました。このようなことから、これまでも実践されてきた学びとして「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に推進するとのことです。これらは全国学力・学習状況調査、いわゆる「全国学力テスト」の結果を重視することから出発していますが、PISA学力論を経由しての「資質・能力」論とそれと結びついた「コンピテンシー」論は、経済協力開発機構が行う国際学力調査の枠組みの基本であり、人間形成の視点から、学力と人格を、政治と経済の戦略に沿って管理・方向付けるものではないか、「コンピテンシー」に関しても、将来の労働力=人材に求められる能力を設定し、その達成のスキルを課するという性格となっているのではないかと思います。もちろん、社会に出て働く上での能力形成は必要なことですが、先ほど述べたPISA学力論が中心になることによって、民主主義を前進させ、主権者としてその担い手を育てる教育、地球環境問題や社会の格差・貧困問題、コロナ禍のもとでの生存権保障、ジェンダー平等、世界の紛争や戦争阻止などの課題にどう対処するのかの集団による知恵の探求が後景に押しやられることになっているのではないか、このことの積み重ねが若年層の投票率低下につながっている一つの要因ではないかと考えます。

 見解をお聞きします。

3)保育環境評価スケールについて

 保育の実践的指導力の向上に関して教育長は、「保育環境の指標を示す『環境評価スケール』を完成させ、全ての幼児教育・保育施設において環境を通した幼児教育のあり方を共有してまいります」と述べられました。保育環境評価スケール研究会のホームページでは、「保育環境評価スケールとは、どんな集団保育の場(幼稚園、保育所、子ども園)であっても共通する、こどもの基本的なニーズに注目し、それらがどの程度満たされているかを測定する『尺度=物差し』」であり、保育の質の向上のための一つのツールであるとの説明がされています。「かわにしひよし保育園」の実例が掲載されていますが、ここでは3歳以上の評価スケールは35項目で、12人の評価者が評価シートを使って1項目ずつ、二人の保育士と22人の3歳児を観察・評価するやり方です。そこでお聞きします。

○ 伊丹市は評価シートをこれから作成・完成させるとされていますが、40項目前後の評価項目で評価し、そのことを通して幼児教育のあり方を共有することは大変な労力が必要になります。評価を受けた保育士が次には評価する側になり、次々と評価をする施設を増やすということになろうかと思いますが、今の保育士体制でそのような余裕があるのでしょうか。

○ 全ての幼児教育・保育施設が対象とされていますが、保育所の場合、そもそも保育士配置と面積等の保育基準は満たしているものの、約70年前の基準であり、4,5歳児30人に1名の保育士配置という条件下での評価で、一人ひとりの子どもにどれだけ寄り添えるのかという前提が成り立ちにくいのではないか。この環境評価を行う中でこそ、保育士配置基準の見直しの必要性が明らかになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○ 障がい児への特別支援教育、統合保育の視点はどのようにされるのでしょうか。特別支援教育というのは決して特別な子どものための教育ではなく、どの子どもにも必ず発達の凸凹があります。学習や社会生活に支障が出る子ども、大きな凸凹がある子どもに関しては発達障害という診断名が付くかと思いますが、小学校に上がって初めて診断名が付いたけど、実は幼児期から困っているということもあります。どのようにされるのでしょうか。

 以上、3点についてお聞きします。 

5.病院統合再編、地域医療体制の整備について

 市長は、近畿中央病院の跡地への医療機関誘致に関して、「兵庫県地域医療構想では、回復期病床の確保も重要な課題と位置付けられていることから、回復期機能を有する民間医療機関が誘致できるよう、昨年8月、公立学校共済組合と近畿中央病院跡地の活用に関する覚書を締結し」たことに触れられました。今後、共済組合や兵庫県、医師会等関係機関との協議を急ぎ、近畿中央病院閉院後、医療空白をできる限りなくす方向での誘致にご尽力いただくことを改めて求めておきます。

 兵庫県地域医療構想に関してですが、新型コロナウイルス感染症パンデミックを通じて見直すべきではないかと思います。新たな感染症がコロナウイルスで終わるとは限りません。感染患者を受け入れたのは高度急性期、急性期病床を持つ病院です。その病院では感染病床を確保するためにあらかじめ空床として確保するとともに、そのために感染患者以外の入院を制限せざるをえませんでした。そのため医療がひっ迫する事態を招きました。

 一方、地域医療構想では、急性期病床を減らし、高度急性期と回復期病床を増やすものとなっています。阪神北準圏域においては、2014年の高度急性期と急性期病床の合計が3,486床、2025年のその必要病床数は合計2,387床で、1,099床も減少させる計画です。ところが2040年の必要病床数は合計2,550床で、逆に2025年対比で163床増やすものとなっています。短期間に急激に減少させた上に次には増床を図ることなど、莫大な経費が必要な病院の病床数をコントロールすることは困難です。コロナ感染パンデミックを経験していることから、これ以上高度急性期、急性期病床を減らさず、それに見合った医師・看護師などの病院職員を増員する方向に転換すべきと考えます。その上に立って、近畿中央病院の跡地への医療機関の誘致は、回復期だけにこだわらない医療機関を誘致する方向で、関係機関と協議を進めていただきたいと思います。見解をお聞きします。

6.条例の制定に対して

1)議案第24号 伊丹市教育に関する事務の職務権限の特例に関する条例等の一部を改正する条例の制定について

 本条例は、昨年9月議会での条例制定において博物館の管理を教育委員会から市長に権限を委譲したことに続き、今回、文化財の保護に関する権限も教育委員会から市長に委譲しようとするものです。同時に、伊丹市にぎわい創出基金条例を改正し、その条例に「文化財の保護及び活用」を加えようとするものです。その基金条例の目的は、「文化の振興,良好な景観づくり、地域経済の活性化等による、まちのにぎわいの創出を図る」こととされています。

 博物館の権限移譲に関しては、博物館を含むミュージアム全体が社会教育施設の位置づけがなされ、社会教育の適切な実施を担保することができるとの答弁をもって賛成をしました。

 一方、文化財保護に関しては、第3次教育振興基本計画の中でも「関係団体と連携・協力し、郷土の歴史や民俗に関する資料の収集・保存に取り組み、調査研究を推進します」とされ、このことから博物館の権限を市長に委譲する際、教育委員会の職務権限のうち「文化財の保護に関すること」は教育委員会の管理として残したものでした。今回、にぎわい創出基金条例の改正とも相まって、文化財の保護における資料の収集・保存、調査研究部門が観光・にぎわいの後景に退いてしまうのではないかと危惧するところです。教育委員会の見解をお聞きします。

2)議案第28号 一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の制定について

 本条例は、昨年の人事院勧告に基づく国家公務員の給与改定に基づき、第1条において一般職員の6月12月期の一時金を、年間4.45月を4.3月に、0.15月減額するとともに、再任用職員も年間2.35月を2.25月に、0.1月減額しようとするものです。これは昨年の人事院勧告そのままの数字となっています。

 職員のみなさんは新型コロナウイルス感染症対策で奮闘されている最中にあり、その奮闘にふさわしい賃上げを求めているのではないでしょうか。原油価格の高騰によるガソリン等の物価の値上がりも生活に大きな影響を与えています。この時期に職員の給与を減額することに疑問を感じざるをえません。

 なぜこの時期に給与減額なのか、また具体的に一般職員と再任用職員において平均して年間いくらの賃下げとなるのか、さらに一般会計全体での減額はいくらになるのかお聞きします。

(2回目の質問)

4.教育行政について
2)主権者教育はどのように進んでいるのかについてです。

○ 伊丹市教育委員会が子どもたちに身につけようとしている学力と、伊丹市などの身近な社会及び国内外の社会問題に目を向け、主権者として社会に働きかけ、民主主義の担い手となる教育について、選挙における若者の投票率の低さに注目して、教育のあり方について質問をしました。

 先ほど紹介した調査や統計で、伊丹市をはじめ日本の若者の投票率が低いことも、政治・社会意識が低いことも統計上事実である以上、教育に限らず、どこかに原因があると思います。

 では教育には問題がないのでしょうか。答弁では、様々取り組みが述べられましたが、その教育が先ほど述べた地球環境問題や社会の格差・貧困問題などの課題に対する社会・政治的意識と結びついていないのではないか。学校教育の場でも、他の場所でも日常的に話し合う文化が育っていないことがあり、それがまた、社会・政治意識を間近にとらえて、深めさせえない悪循環があるように思います。

 もちろん全面的に否定的な面だけではなく、かつての安保法制の時には多くの若者が国会前に集まったり、今では気候変動危機に対して立ち上がったり、女性への性暴力に対する「#Me Too運動」など少なくない若者が行動に参加されているのも事実です。直接国会前での集会に参加するなどの行動に結びつくかどうかは別として、何かのきっかけによって社会的・政治的に目覚める場面がある一方で、それが日常化できていないのは、やはり今の教育に足らないものがあると思いますが、教育長の見解をお聞きします。

6.条例の制定に対して
1)議案第24号 伊丹市教育に関する事務の職務権限の特例に関する条例等の一部を改正する条例の制定について

 今まで教育委員会が所管していた文化財保護に関する事業について、文化財保護法を引用して、その事業内容を答弁されました。なかでも専門職員による地域や学校で向いた学びあいの場の提供は、調査・研究・保存という社会教育活動として大変重要な事業です。

 問題は、文化財保護に関する権限が市長に委譲されるにあたって、今までの文化保護行政の位置づけが担保され、発展させられるのかどうかです。文化財保護における権限は、とりわけ収集・保管・展示・教育・調査・研究という基本的な機能は市長の権限とは分離され、市長の権限に束縛されない、自由で自律的な学芸活動として展開されてきました。保管や展示は博物館とともに行われてきましたが、これらは明確な教育活動であり、教育委員会の権限とされてきた由縁です。このことが市長の権限に委譲することで担保できるのでしょうか。

 また、このことと関連して、一昨年5月に施行された「文化観光推進法」による博物館事業への「文化観光」概念の導入で、博物館、文化財保護に関する事業が観光を目的とするものにシフトされる危険性がありますが、どうでしょうか。

 さらに、文化保護行政には、調査・研究等に携わることのできる正規職員としての学芸員等の十分な専門家及び事務担当者が必要であり、そのための財政措置は行われるのでしょうか。

 以上に対して、市長若しくは市長部局担当部長に対してお聞きします。

 

2021年12月議会:上原秀樹 議案質疑 伊丹市公設市場の指定管理者

2021年12月議会 議案質疑

2021年12月
日本共産党伊丹市議会議員団 上原秀樹

議案第101号 伊丹市公設市場の指定管理者の指定について

 本議案は、伊丹市公設市場の指定管理者に、株式会社伊丹公設市場管理センターを指定しようとするものです。次の点をお聞きします。

① 指定管理者の指定にあたって、公募とされた理由。

② 選定結果によると、2,000点満点のうち1216点で60.8%。前回は59.8%で、基準となる5割は超えているが、低い評価点となっている。このことに対する見解と対応。

③ 選定基準のうち「②適正な収支のもとで市への納付金を確保する提案であるか」の得点が、400点中58点となっているが、このことに対する見解。

④ 人員配置で、前回の申請概要では統括責任者として役員1名、2名の正社員と3名のパート社員となっていたが、今回の申請概要では、統括責任者として役員1名、2名の正社員と2名の派遣社員となっている。その理由は何か。

⑤ 収支計算書では、人件費が前回の3年間は12,248となっていたが、今回は初年度が7,045、次年度以降6,941とされたのはどんな理由か。

(2回目)

① 公募とされた理由については、基本指針等によって「原則公募」とされていること等が理由であると。しかしこの指定された法人は、もともと事業協同組合として公設市場にかかわってきた団体が市場を管理することを目的に新たに法人化したもの。公募とした理由で、民間事業者の有する経験を生かして管理運営を行うことが可能である施設とされたが、指定された法人が一番市場管理の経験を持っているということになる。従って、特定指定でも問題はないとも解されるが、改めてこの件に関する見解をお聞きする。

② 「市の納付金を確保する提案」については、あまりにも得点が低すぎることへの疑問としてお聞きした。答弁をお聞きして、得点の設定が適正の評価は別にしてとして低得点の理由は分かった。2020年度決算における納付金は約402万円、2021年度予算は400万円。人件費のこともお聞きしたが、経費削減で人件費を抑制する意図があるのではと危惧したところ。納付金の確保でどんなことを期待されてこの基準とされたのか。 

(参考資料)
公の施設の指定管理者制度導入にかかる基本指針

(2)指定管理者の指定

 指定管理者の指定を行うに当たっては、原則公募によることとし、地方自治法第244条の2第3項の規定に基づき、公の施設の設置目的を効果的に達成する観点から、法人その他の団体を問わず、広く募集の上、指定管理者を指定する。

 なお、現行の管理委託団体においても例外ではなく、当該団体の必要性、役割についても原点に戻った検討を行うとともに、一層の専門性やサービスの向上、経営の合理化 を図るものとする。

 ただし、以下の場合については、特定の団体を指定することができる。

① 市民参画・協働のため、地域の人材を活用する場合や特定施策の一体的な推進のため、 特定の団体以外ではその推進が困難であると認められる場合。
② 併設の施設において、一体的に管理した方が、安定的・効率的に運営できると認められる場合や、PFI法の活用により、一定期間、施設の管理運営を特定団体に指定する場合。
③ 公募による応募がなかった場合や選定基準を満たす応募者がなかった場合。

 

2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望を提出しました

 11月8日、藤原市長に、2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望を提出しました。

2022年度予算編要望を提出 2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望(PDF)

市長に2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望を提出しました

2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望

2021年11月8日
日本共産党伊丹市議会議員団
上原秀樹 久村真知子

はじめに
 菅政権がわずか1年余りで政権を投げ出し、安倍・管政権を引き継ぐとする岸田政権に変わりましたが、岸田首相は国会での議論も代表質問だけで十分な議論もせず、衆議院を解散し、総選挙が行われることになりました。日本共産党は、今度の総選挙で「野党共闘で政権交代を」と訴えて闘いましたが、自民・公明政権の継続となったことは残念なことです。引き続き命・暮らし最優先の政治実現に全力を尽くします。
 安倍・管政権を引き継いだ岸田政権の政策は、格差と貧困を広げたアベノミクス、社会保障の削減など従来型の政治を行うことは所信表明で明らかになったところです。この政治から市民の暮らしを守る砦としての伊丹市政が求められています。以下、2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望を提案しますので、予算に反映していただきますようお願いします。

1.新型コロナ感染症対策――経済・社会活動を再開しながら、命を守る対策を

 9月以降、新規感染者の減少が顕著になっており、経済・社会活動の再開も重要な課題になっています。同時に、このまま終息に向かうとは誰も考えておらず、再び、感染爆発と医療崩壊を絶対に起こさないコロナ対策が求められています。

1)日本でも世界でも、ワクチン接種後の「ブレークスルー感染」が起きています。感染抑止のためには、ワクチン接種(追加接種を含めて)を安全にすすめるとともに、大規模な検査を行い、感染の火種を見つけ、消していくことが必要です。

① 国・県と共同で、「いつでも、誰でも、無料で」という大規模・頻回・無料のPCR検査を行うこと。
② 職場、学校、保育所、幼稚園、家庭などでの自主検査を大規模かつ無料で行えるように、国が思い切った補助を行うように要望すること。伊丹市としても検査キットを無料で配布し、行政検査につなぐことができるようにすること。

2)コロナ病床の拡充、臨時の医療施設の増設、往診・訪問看護の体制強化など、臨時の医療体制を整備することは、「第6波」への備えとして急務です。また、保健所の機能マヒも絶対に起こしてはなりません。

 ① 医療機関の減収補てんと財政支援、医療従事者の待遇改善を国に求めること。
 ② 市立伊丹病院での感染症対策は、コロナ感染症対策を教訓に万全の体制を整備すること。また、近畿中央病院の跡地には、急性期病床が200床減少することを考慮し、回復期病床にとどまらず、地域住民が望む医療機関が誘致できるよう公立学校共済組合や伊丹市医師会と協議を続けること。
 ③ 保健所の体制も、臨時採用や他部署からの派遣などの緊急増員を確保しつつ、増やした職員を定員化するなど、正規の職員増もすすめるよう国・県に求めること。

3)緊急事態宣言は4回になるのに、持続化給付金・家賃支援給付金も、国民への特別給付金も1回だけです。コロナ危機で、仕事や所得が減少し、生活が困窮している人も少なくありません。また、いわゆる中間層にもボーナスや賃金の減少が広がり、教育費負担や住宅ローンの重い負担もあり、”コロナによる生活悪化”が起きています。
  事業者は、さらに深刻で、売り上げの大幅減少や借入金の増大など、コロナ危機のもとで体力が落ち込み、”再建”が困難な事態も広がっています。
  コロナ危機で傷んだ暮らしと営業の深刻な実態を放置するなら、コロナ危機後の経済危機に陥ってしまいます。

 ① コロナ危機で収入が減った家計への支援として、1人10万円を基本に「暮らし応援給付金」を5兆~6兆円規模で支給し、国民の暮らしを支えること。いわゆる中間層(年収1000万円未満程度)を含め幅広く対象にし、生活が困窮している低所得者には手厚い支給をすることを国に求めること。
 ② 中小企業、個人事業主、フリーランスに持続化給付金・家賃支援給付金を再支給するとともに、コロナ危機が終焉(しゅうえん)するまで継続し、雇用調整助成金のコロナ特例も継続することを国に求めること。
 ③ 伊丹市としても、国に財源を求め、国の対策が不十分なところには、財政調整基金を取り崩してでも暮らしと営業に対する支援を行うこと。

2.憲法を生かし、人権を守り、市民が主人公、平和の実現に寄与する伊丹市政を

 岸田政権は安倍・管政権を引き継ぎ、憲法改定に執念を燃やしています。とりわけ、今度の総選挙で自民、公明、維新の改憲派が衆議院議員の3分の2を占めたことで、改憲を加速化させる危険性が強まるとともに、アメリカとの軍事一体化を強め、「敵基地攻撃能力」を有することを言明するなど日本を危険な戦争への道に導こうとしています。
 自衛隊基地を抱える伊丹市として、住民の命と財産を守るために、戦争への暴走を止め、憲法を生かした市政を進めることが求められています。
 また、ジェンダー平等社会の実現も重要な課題となっています。

① 安保関連法=戦争法の廃止、憲法9条をはじめ憲法を守り生かすことを国に求めること。
② 11月に予定されている日米共同指揮所演習(ヤマサクラ81)は、米陸軍と陸上自衛隊の共同演習で、対中国戦略で離島を奪取し中国軍の艦船や航空機などを攻撃・威嚇する作戦の演習として過去最大規模となるとされている。その指令の中心が市内伊丹駐屯地の中部方面総監部となり、事が起れば戦争の拠点とされる危険性があるもので、市民の生命と財産を守るためにも、危険な演習はやめるべきであり、国に対して中止を求めること。
③ 核兵器禁止条約が2021年1月22日に発効し、現在、批准国が56カ国となり、来年開催される締結国会議にNATO加盟国のノルウェーがオブザーバー参加することなど、世界的に核兵器禁止条約への期待が高まっている。唯一の戦争被爆国である日本として、締結国会議にオブザーバー参加するとともに、早急に署名と批准をすることを国に求めること。
④ 一昨年4月1日の米軍機オスプレイの緊急着陸では、飛行目的、ルート、不具合の原因、落下物など近隣住民への被害などの事実関係が明らかにされなかった。改めて危険なオスプレイの飛行中止を米軍と国に強く申し入れること。対米従属的な日米地位協定の見直しを求めること。
⑤ 自衛隊への電子データによる個人情報の提供はやめること。必要と考えるならば、個人情報保護条例に基づき、専門的知見を踏まえた意見を明らかにすること。
⑥ ジェンダー平等社会を実現する観点から、すべての人が社会、経済活動に生き生きと参加できる当然の権利を保障するため、行政のあらゆる部面でジェンダー平等の視点を貫くこと。国に対して選択的夫婦別姓制度の実現を求めること。
⑦ パートナーシップ宣誓制度に基づき、相談窓口の充実、啓発パンフの普及など性的マイノリティの人権を守る施策を強化すること。
⑧ 「差別を許さない都市宣言」の廃止等すべての同和行政・教育を終了すること。「同和問題」に関する市民意識調査はやめること。

3.福祉・医療の充実で、市民の暮らしを守る伊丹市に

 岸田首相は、「新しい資本主義」とか「成長と分配の好循環」などと言っていますが、その中身は、アベノミクスそのものです。
 アベノミクスで起きたのは、貧富の格差の劇的な拡大です。安倍・菅政権のもとで、大企業は利益を増やし、内部留保は133兆円も増加し467兆円(2020年度末)もの巨額になりました。それにもかかわらず法人税は減税(28%から23.2%)されました。大富豪の資産は、6兆円から24兆円へと4倍にも膨れ上がりました。
 その一方で、2度の消費税増税が家計に重くのしかかり、働く人の平均実質賃金は22万円も減りました。
 国に対して、アベノミクスを教訓に家計応援の政治に切り替えて経済のボトムアップ=底上げをはかることを求めるとともに、伊丹市としてもケア労働を待遇改善し、社会保障の拡充を行うこと等、福祉・医療の充実で暮らしを守る対策が求められています。

① 国が基準を定めている、介護・福祉・保育職員の賃金を引き上げ、配置基準の見直し雇用の正規化、長時間労働の是正など、ケア労働の待遇を改善することを国に求めること。
② 国民健康保険税引き下げのため、国にさらに1兆円の公的負担を求め、均等割り・平等割の廃止で協会けんぽ並みの保険税にすることを国に求めること。来年度から就学前の子どもの均等割りが半額にされるが、市独自に少子化対策として財政支援を行い、さらなる子どもの均等割りの軽減を行うこと。
③ 国の介護保険制度の改善で、介護保険料・利用料の減免、保険給付を拡充するとともに、特養ホームなど介護施設の増設により、必要な介護が受けられるようにすること。
④ こどもの医療費は所得制限なしで義務教育終了まで無料にすること。
⑤ 国に対して、生活保護を「生活保障制度」に改め、必要な人がすべて利用できる制度にするとともに、生活保護費削減を復元し、支給水準を生存権保障にふさわしく引き上げることを求めること。生活保護へのスティグマを解消するため、伊丹市として「生活保護は権利です」というアピールを積極的に行うこと。
⑥ 待機児童と詰め込み保育の解消のため、さらに認可保育所を増設すること。年度途中の待機児童を解消する方法を別途考えること。2号認定こどもの副食費実費徴収をやめるように国に求めること。

4.すべての子どもの成長発達を支える豊かな教育環境の確立を

 教育は子ども一人ひとりの幸せ、成長と発展のためにあります。それだけに社会にとって大切な営みです。教育は子どもの権利であり、家庭の経済力に関わらず、すべての子どもに豊かな教育環境を確立することが求められます。また、コロナ禍における学校と家庭における生活の変化や端末の使用等でストレスが溜まっている可能性があり、十分な配慮が求められています。さらに、コロナ感染対策も引き続き重要な課題です。
① コロナ禍で少人数学級の必要性が明らかとなり、35人学級が毎年1学年ずつ実施されています。しかし小学校6年生の実施には数年かかることから一気に35人学級を実施するとともに、中学校においても同様の少人数学級を実施することを国に求め、その間、県が小学校4年生まで実施している35人学級を直ちに6年生まで拡大し、中学校まで広げるよう求めること。
② 競争教育を激化させる「全国学力テスト」への参加をやめるとともに、市独自の「学力テスト」も中止すること。
③ コロナ禍による困難な子どもへの対策としても、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーのさらなる増員で児童・生徒と家庭を支援するとともに、介助員の増員で障がい児の教育を受ける権利を保障すること。
④ 教育のあらゆる部門で子どもの権利を守ることを宣言し、実行ある施策を推進するとともに子どもの権利擁護のためにも子どもの権利条例を制定すること。子どもの権利条約の内容が子どもにも理解できるパンフレット等を作成し、子ども同士で「子どもの権利」が議論できる環境をつくること。
⑤ 幼児教育の推進に関しては2018年1月の文教福祉常任委員会における付帯決議を順守すること。公立幼稚園、認定こども園における3歳児全員入園を実現するとともに、4、5歳児において単学級にならざるを得ない状況を打開すること。
⑥ 大学・短大・専門学校の学費をすみやかに半額に引き下げ、高等学校、高等教育の無償化をめざすとともに、入学金制度をなくすよう国に求めること。
⑦ 学校給食の無償化を目指し、まずは中学校給食に対する助成を行うこと。就学援助制度のさらなる充実を図ること。

5.中小企業・零細業者への支援を強め、人間らしく暮らせる地域社会と住みよい住環境を

 中小企業は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)する存在です。また、働く人の3人に2人が働いている雇用の担い手でもあります。これら中小企業、業者、商店、農業者に支援を強化することは住みよいまちづくりに欠かせません。特に、コロナ禍で経営基盤が脆弱となっている中小企業・業者に対する支援が必要です。

① コロナ禍で脆弱となっている経営基盤の状況を調査し、必要な支援策を講じること。国に対して、持続化給付金、家賃支援給付金の再度支給とともに、協力金、支援金などの拡充と迅速化を行うことを求めること。事業者の立場にたった、ていねいな対応と相談体制を確立すること。
② コロナ対応の緊急借入で積みあがった中小企業の債務をどう解決するかが大きな問題になっており、コロナ対応借入分の軽減・免除する仕組みをつくること。
③ 文化・芸術関係者に対して、新たなイベントへの支援にとどめず、「場と担い手」への支援を行うとともに、国費を数千億円単位で支出して「文化芸術復興創造基金」を抜本的に強化することを国に求めること。アイホールは演劇ホールとして存続すること。
④ 「中小企業振興条例」「農業振興条例」の制定で、地域循環型経済の仕組みをつくること。
⑤ 大型小売店の相次ぐ出店で地域の商店が廃業に追い込まれている。中心市街地だけではなく、空き店舗対策、家賃補助等によって市内周辺の商店も守る手立てをとること。
⑥ 個人事業主における国保税や市民税、固定資産税などの滞納処分については、事業の存続や生活の状況を鑑み、積極的に納税緩和措置を活用すること。また、場合によっては、税の執行停止を行うこと。固定資産税・都市計画税の減免申請における手数料への費用支援を行うこと。
⑦ 市営住宅は戸数を減らすのではなく、必要な個数を維持し、旧耐震住宅は順次建て替えを行い、バリアフリー化された住みよい住環境を提供すること。住民からの修繕要求には積極的に対応すること。
⑧ 大企業への優遇税制の廃止・縮小や所得税・住民税の最高税率を引き上げるなど、大企業と富裕層に応分の税負担を求め、消費税を5%に減税するよう国に求めること。政府が導入を予定しているインボイス制度は、零細業者やフリーランスに納税義務を広げ、負担と格差をさらに拡大するものであり、ただちに中止することを国に求めること。

6.自然災害から市民の命を守るとともに、環境を守り、安心・安全の伊丹市を

 地球温暖化の影響で台風、豪雨など自然災害が相次ぐとともに、南海・東南海地震もいつ起こるかわからない状況にあり、災害や事故から市民の命と暮らしを守る政治が求められています。特に気候危機を打開するための積極的な対策が必要となっています。

① 気候変動危機に対応するために、国に対して原発ゼロ、石炭火力発電所ゼロ、2030年までに10年比で50~60%削減、2050年にはカーボンゼロの計画を策定することを求めるとともに、伊丹市としてもこの目標に見合う野心的な目標を決めること。
② 災害の発生に備え、市民の防災意識啓発に努めること。感染が広がる中での避難対策に関しては一定の見直しがされたが、避難所におけるきめ細かな対応(発熱、障がい者、高齢者等)や地域における要支援者の避難誘導等を含めた地域ごとの「防災まちづくり計画」を推進するための支援を行うこと。体育館に空調施設整備など避難所の改善を図ること。
③ 航空機に係る環境基準達成には程遠い状況にあることから、大阪空港における国際便就航を求めることはやめること。環境基準達成に向けた不断の努力で目に見える効果を上げること。
④ 市内1,2級河川の浚渫等豪雨対策を国・県に要望すること。

7.「住民の福祉の増進」(地方自治法)に必要な財源を国に求め、伊丹市が主体となって市民の暮らしを守る伊丹市に

 新型コロナウイルスの影響によって地方税等が減少する中で、地方固有の財源である地方交付税の大幅な増額が求められています。毎年度の概算要求では、一般財源は前年度の水準を下回らないとされたことを踏まえたものとなっていますが、引き続き感染対策の財源は必要です。一方、コロナ禍に関わらず、社会保障費抑制路線を継承し、国民負担増、給付削減を着実に実行するとされていることは問題です。
 このような政治に反対し、「住民の福祉の増進」(地方自治法)に必要な財源を国に求め、伊丹市が主体となって市民の暮らしを守る市政を行うことが求められています。

① 地方交付税のあり方をゆがめる「トップランナー方式」の導入等による地方交付税の引き下げはやめ、真に必要な地方財源が確保できるようにするとともに、コロナ感染対策に必要な財源を確保することを国に求めること。
② 集約化を進めようとしている共同利用センターについて、住民の利益に反する統廃合ではなく、住民合意のもとでの維持・管理・更新への対策を行うこと。
③ 公契約条例を制定し、請負契約や委託事業に関わる労働者が生活できる賃金を保障すること。
④ 自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進にあたっては、「地方自治の本旨」(憲法第92条)に基づき、「住民の福祉の増進を図る」(地方自治法第1条の2)ことを原則とすること。また、推進にあたってはそれぞれの業務を担当する職員や市民の意見が適切に反映さえる体制を整え、新たに情報システムを自治体の業務に導入する際には、職員がシステムをチェックでき、市民に行政責任を果たさせる体制を確保すること。
⑤ 国はマイナンバーカードに健康保険証や運転免許証、国税、年金などの情報をひも付けしようとしているが、相次ぐ個人情報の漏洩が問題となり、多くの国民が個人情報の提供に不安を感じている。国民監視の強化や個人情報の漏洩につながるマイナンバーカードのひも付けはやめるよう国に求めること。

以上