2023年6月議会:かしばふみ 一般質問

2023年6月議会 一般質問かしばふみ画像

2023年6月9日
日本共産党議員団 かしばふみ 

 ただいま、議長より発言の許可を得ましたので、私は、日本共産党議員団を代表して通告に従い、質問を行いますのでよろしくお願いします。

1.新型コロナウイルス感染拡大について

 私は長年、医療従事者として働いてまいりました。その思いでこの質問を行いたいと思っております。

 今回の新型コロナ感染症拡大を通して、地域医療における、公的病院の重要性が浮き彫りになりました。2023年5月8日から、新型コロナウイルスの扱いが5類移行となり、感染が収束したとも思われるような風潮が現在ありますが、季節性のインフルエンザと違い、ワクチンによる予防、以外の治療がしっかりと確立されていないことから、引き続き、感染対策を行っていく必要があると思っています。

 第8波感染拡大時、発熱外来を行なっているクリニックなどが見つからず、見つかっても予約が一杯で直ぐに見てもらえない、高熱があっても自宅で様子を見るしかない等(年末、年始に重なったこともあって)大きな不安を抱えて、危険な状況の中で年末年始を過ごした方が沢山いらっしゃいました。

 今後、コロナの感染拡大に備えての、伊丹市の医療体制について質問します。

 国の方針では、9月末までに幅広い医療機関による、自立的な通常対応を、コロナを理由に診療を断ってはいけない、どの医療機関でも診察を受けられる体制に、との方向ではありますが、発熱など、コロナ感染が疑わしい方が検査や診察を受けられる医療体制は本当に整うのかということです。

 特に私が、一番に危惧しているのは、長期休暇(お盆、正月など)の際の対応について、市民は、きちんと医療が受けられるか、本当に大丈夫か、ということです。

 また、国の方針では、10月に公費支援が完全に廃止されれば、窓口負担やワクチンの負担など自己負担の方向であります。伊丹市の対応は今後どうなっていきますか? 検査や、ワクチン接種の費用負担などについても改めて教えていただきたいと思います。

答弁後 2回目の発言

 新型コロナウイルスの扱いが5類移行後、メディアでもコロナに関する報道は明らかに少なくなりました。伊丹市においては、広報やホームページなどで、コロナ感染に対する予防喚起を引き続き有効に行っていただくようお願いいたします。

2.市立伊丹病院と近畿中央病院(近中)統合再編についいて

 2021年8月1日に伊丹市と公立学校共済組合間で締結された、「公立学校共済組合近畿中央病院跡地活用に関する覚書」が基本になる、ということは変わっていないとのことですが、伊丹市と公立学校共済組合との合意の中で(「近中」の跡地は伊丹市の土地ではない)ことを前提に、病院の誘致は両者が協力して進める方向であるとお聞きしています。

 「近中」の跡地は、取り壊し後は、(土壌汚染なども想定され、)すぐには建設に着手できません。この間、取り壊し後から建設に取り掛かるまで、最低2~3年は必要と想定されると伺っております。この期間は医療空白となると考えます。伊丹市の南部は今後、マンションの建設の動きもあり、人口増加の可能性があります。地域医療の重要性を鑑み、伊丹市の南部を医療空白としないために、次の4点をお願いいたします。

 これは地域住民の方々から出された切実な要望ですのでよろしくお願いします。

  ① (市長の)回答にあった回復期病院の誘致と、複数の診療科を持つ民間医療機関の誘致を、地域の実情に配慮し地域住民が望む形で実現してください。

  ② 医療機関の誘致状況、及び、建築計画を明確に、市民に公表してください。

  ③ 近畿中央病院の閉院後の医療空白を防ぐ手立てを市は責任をもって行い、医療活動を継続してください。

  ④ 市は地域住民に対して、状況説明会を開くとともに住民の声をもっと聴いてください。

以上の要望に対する伊丹市としての見解をお聞かせください。

答弁後 2回目発言

 2つの病院の統合再編により、病床数が、200床以上も減ってしまうということは、地域住民にとっては、入院できるベッドが減ってしまうという思いがとても強いのです。この思いを市の当局にお伝えしておきたいと思います。

 次に、病院統合再編により、新病院は、救命救急センターを備えた、高度急性期医療を提供する病院としては、更なる在院日数の短縮が期待されると思いますが、地域住民の方たちにとりましては、在院日数の短縮は、退院後の受け皿として、次の病院が見つかるか、自宅に戻ることができるのかといった、不安要素でもあります。

 ① 市内の回復期医療施設に移れるのか?医療施設の整備等が、現在進んでいるのか充足しているのかどうか。

 ② 新しい市立伊丹病院が稼働を始めた時、回復期の医療体制はどのように想定されているのか等住民の不安は尽きません。

 市立伊丹病院も、近畿中央病院も現在は伊丹市に於いて、診療活動を継続中で、地域住民にとっては、大切な命の砦です。地域医療を担ってきた総合病院が、地域から無くなってしまうということは、地域住民にとりましては不安でしかありません。答弁にもありましたように、地域住民の声に耳を傾けていただき、説明の機会をぜひ設けていただきたい。そのことをお願いいたしまして、病院の統合再編に関する質問は終わります。

3.高校生世代までの子供の医療費を所得制限撤廃し通院も含めての無料化と、学校給食の無償化を希望します。市の見解を伺います。

 まず、子供の医療費の無料化についてです。

 今年の7月から、伊丹市では、高校生世代までの子供の医療費が、所得制限無しで入院費の無料化が実現することは承知しています。中学卒業までの入院、通院の無料化実施から、わずか1年足らずで今回の経過に至ったことは、子育て中の市民にとっては、大変喜ばれております。伊丹市に於いては、高校生までの入院日無料化に対して約3億円、更に通院も無料化とするのに約2億円の予算が必要とのことであります。

 少子化の中、全国どこに住んでいても、安心して医療が受けられる体制作りが必要であると思っています。引き続き高校世代までの子供の医療費(通院も含めて)の完全無料化を希望いたします。また、学校給食の無償化を求めるものです、

 これについて、市の見解を伺います。

答弁後 2回目の発言

 子供の医療費や学校給食の問題は、社会全体で考えていくべき問題であり、予算の上でも継続した財源が必要となります。

 子どもの医療費窓口無料に対する国のペナルティー(国民健康保険の減額調整処置)について、試案ではありますが、廃止するとの方向が、国から示されていると聞いております。大変喜ばしいことだと思っております。

 また、学校給食の無償化についても、物価高騰の中、伊丹市は食材の費用を補助する等、給食費の値上げをストップ出来ていることなど、対応していただいております。引き続き子育てに係る支援の強化をお願いいたしまして、私の質問を終わります。

日本共産党伊丹市議団ニュース(第408号)6月市議会

6月伊丹市議会
本会議・委員会で公約実現に全力

  日本共産党伊丹市議団ニュース(第408号)2023年6月10日(PDF)

日本共産党伊丹市議団ニュース(第408号)2023年6月10日

6月伊丹市議会
本会議・委員会で公約実現に全力

党議員団の一般質問の日時と内容は以下の通りです。
ぜひ傍聴にお越しください。

かしば ふみ議員 6月13日(火)10時45分頃から

1.新型コロナ感染拡大について

 (1) 新型コロナ感染拡大第8波の時、医療にかかれない人が沢山いたが、
5類に移行後の医療機関の対応
 (2) 窓口負担など今後どうなるのか、改めて伊丹市の対応を伺いたい

2.近畿中央病院跡地への医療機関誘致について(地域住民の要望から)

 (1) 地域の実情に配慮して、回復期病床と複数の診療科を持った医療機関を誘致すること
 (2) 今後、医療機関の誘致に関する進捗状況を明確にして市民に公表し、住民の声を聴くこと
 (3) 近畿中央病院閉院後の医療空白を防ぐ手立てを市は責任をもって行なうこと

3.高校世代まで子どもの医療費を通院も含めて無料にすること、また、学校給食の無償化を行うことに関する市の見解を伺う

服部よしひろ議員 6月16日(金)10時45分頃から

1.稲野駅前大手前大学跡地への大規模マンション建設に関連して

 近隣住民の納得が得られないまま、多くの問題を起こしつつ建設は進んでいる。改めて、現在未解決のいくつかの問題について市の見解を求める。

 敷地に南接する稲野運動公園との離隔距離と利用者の安全確保について
  ① スポーツ振興課が「事前審査」を継続協議にしている理由は、何か。
  ② 公園利用者の安全確保にどのような問題があるのか。
  ③ 公園北縁1m幅貸地の条例根拠は何か。

2.天神川堤防の決壊と市の危機管理上の問題点について

 5月8日未明に発生した天神川堤防決壊による水害について
 (1) 市の危機管理上の問題はなかったのか。
 (2) 住民への対応に問題はなかったのか。
 (3) 今回の事案の責任の所在はどこにあるか。
 (4) 県の責任が明確である以上、市民への補償を速やかに実施することを求めるが市の考えはどうか。

【2面】

6月議会に提案された主な議案は以下の通りです。

☆低所得世帯への1世帯当たり3万円の給付金支給の補正予算は、6月8日に全会一致で可決されました。党議員団が物価高騰に苦しむ市民への支援を求めていたものです。しかし、今後とも続く物価高騰への最大の対策は消費税の減税しかありません。党議員団は、皆さんとともに引き続き消費税の5%減税求めていきます。

低所得世帯等支援事業   7億5,301万円

食費等の物価高騰の負担感が大きい低所得世帯に対し特別給付金を支給します。
 ▽ 対象者:
 ① 令和5年6月1日時点で本市の住民基本台帳に記載されている「令和5年度住民税非課税世帯」(住民税が課税されている者の扶養親族のみで構成される世帯を除く)
 ② 家計急変世帯(対象期間:令和5年1月~令和5年12月)

 ▽ 支給額:1世帯あたり3万円
 ▽ 支給時期:令和5年7月上旬(初回支給の予定)
 ▽ 手続方法:①プッシュ型給付 ②家計急変世帯は要申請(申請期間:令和5年7月~令和6年1月)

☆前回に引き続き、上下水道料金の基本使用料を、1期(2か月)分(2023年8月、9月徴収分)を減免し、公共料金等の負担軽減を図ります。党議員団が基本料金減免の継続を訴えてきたものです。

公共料金等負担軽減事業   2億3,989万円

 ▽ 減免額(例:一般家庭(口径20㎜)の場合)
  ・水道料金1期(2か月分)当たりの基本料金1,144円(税込)
  ・下水道使用料1期(2か月分)当たりの基本使用料1,298円(税込) 合計2,442円(税込)

プレミアム付商品券事業   1億8,263万円

 食料品価格等の高騰に対応する生活者支援として、商店街等が取り組むプレミアム付商品券の発行を支援します。
 ▽ 利用期間:令和5年11月~12月(予定)
 ▽ 価格:1冊10,000円(12,500円分)プレミアム率25%
 ▽ 共通券6,500円分、専門券6,000円分

条例改正案では、①伊丹市市税条例の改正、②伊丹市立児童会館条例の改正が提案されています。

① 伊丹市市税条例の改正では、来年から「森林環境税」が新たに導入されることによるもので、均等割に1,000円が追加されます。これは、温暖化対策と言われていますが、その原因であるCO2排出の大企業に負担を求めるのではなく、広く国民に負担を求めるもので、問題です。

② 伊丹市立児童会館条例の改正では、会議室等の使用料の納付先を伊丹市から指定管理者に変えるものです。指定管理者は「シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社」です。その収入が増えれば指定管理者の利益が上がりますが、収入の減少によるサービスの低下や人件費の削減が懸念されます。党議員団は指定管理者による管理に反対してきました。

請願

 請願は、① 伊丹市原爆被害者の会、伊丹原水協から「日本政府に核兵器禁止条約の参加・調印・批准を求める請願」 ② 伊丹民主商工会から「インボイス制度の実施の延期を求める請願」が、いずれも党議員団の紹介で提出されました。採択に向けてがんばります。

2023年3月議会:上原ひでき 本会議討論

2023年3月議会 本会議討論

議案第14号「令和5年度伊丹市一般会計予算」に対する反対討論

日本共産党伊丹市議会議員団 上原ひでき

 議長の発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、議案第14号に対しては反対の立場から、議案第15号に対しては賛成の立場から要望を含めて討論をします。

 初めに、議案第14号「令和5年度伊丹市一般会計予算」についてです。

 市民の暮らしをめぐる情勢では、個人市民税の質疑でも明らかな通り、昨年の給与収入は1.59%の増、年金収入と営業所得は横ばいと予測されており、市民の収入を上回る物価の高騰によって市民生活は悪化しています。

 また、厚生労働省が3月7日発表した1月の毎月勤労統計調査によると、現金給与総額、名目賃金に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年同月比4・1%減となりました。物価の高騰に比べ賃金の伸びは鈍く、マイナスは10カ月連続。落ち込み幅は2014年5月の4.1%減以来、8年8カ月ぶりの水準でした。

 さらに、帝国データバンクが3月8日発表した2月の企業倒産集計によると、物価高騰を主因とする倒産件数は53件と、8か月連続で過去最多を更新しました。コロナ禍で経営体力が弱った中小企業に資源・エネルギー高が追い打ちとなり、事業継続を断念する例が多くなっています。

 今年の春闘では、大手企業による賃金引き上げの満額回答が続いているようですが、物価高騰分を上回るのか、中小企業における賃金は上がるのかが問われています。

 いずれにしてもコロナ禍の影響も含めて、来年度も市民にとっては厳しい年になることは確実です。その中で、伊丹市には市民の暮らしを守り支える対策が強く求められています。

 以下、問題点を述べます。

 第1に、市民の暮らしを守る対策です。実質賃金が下がり、長期の経済低迷が続く下での物価高騰という、この危機を打開するためには、暮らしと経営を守る緊急対策と、日本経済のゆがみを根本から打開する方策を一体にすすめることが必要です。日本共産党は、この立場から、「物価高騰から暮らしと経済を立て直す――緊急提案」を発表しています。岸田政権の対策は極めて不十分と言わざるをえません。

 伊丹市としても、子育て世帯に対する支援策が前進したことは評価しますが、来年度予算の中における、コロナ禍と物価高騰で傷んだ暮らしと営業を守る対策が不十分であることです。本来は、国が当初予算でこの対策を行うべきですが、いつものように遅れています。国に対して、中小企業や非正規労働者などへの賃上げ支援、介護、障害者福祉、子育て支援などの拡充で、誰もが安心して暮らせる社会にすること、大軍拡予算は撤回し、国民の暮らし最優先の施策を行うこと、消費税の5%への減税、インボイス制度の中止を求めていただくとともに、代表質問でも求めました上下水道使用料の基本料金減免小規模事業者への賃料支援など、伊丹市としての独自の対策を求めます。

 第2に、職員の人事評価の問題です。全体の奉仕者の立場から公共を担う公務員にとって、「能力」「業績」などという測ることが困難な尺度で5段階評価することは、公務員の労働意欲の向上や創意工夫の発揮を阻害することにもつながります。今後、5段階評価はやめ、面接による対話の中で職員の力が十分に発揮され、市民福祉の向上に向けて働きやすい職場とされるよう改善を求めます。

 第3に、同和問題です。代表質問でも指摘しましたが、現在は「社会問題としての部落問題」の最終段階にあるというのが私たちの考えです。しかし、差別観念や意識が社会的に通用しなくなってきているほど市民の常識が成熟しているにもかかわらず、そのことが共有されていないのが問題です。過去に存在した差別に固執したり、問題探しをしたりするより、解決の過程と変化の事実を確認・共有することが必要と考えます。答弁で、「同和問題を身近な人権問題の一つとして掲げ」とされましたが、どれだけの市民が身近な問題と感じているとお考えなのでしょうか。行政が無理やり身近な問題としているのではないかと思います。こういう考えで同和問題に関する人権教育を進めたら、いつまでたっても差別はなくならないという結論にしかなりません。ぜひ考え直していただきたいということを要望します。

 第4に、今回の質疑では触れることができませんでしたが、自衛隊に対する募集対象者情報の提供の問題です。市のホームページで自衛隊から名簿提供の依頼があった場合の提出の法的根拠が書かれていますが、自衛隊法施行令第120条の「防衛大臣は募集に関して必要な報告又は資料の提出を求めることができる」とされているのは、単に「資料の提出を求めることができる」という防衛大臣の「できる」規定だけで、自治体にはなにも求められていませんし、資料の提出の中身も個人情報としての名簿であることも書かれていません。従って個人情報を提出する必要はありません。せめて「除外申し出制度」を直ちにつくることを求めます。

 第5に、全国学力テストの問題です。学力テストの結果は学力の特定の一部分、教育活動の一側面でしかありません。したがって、毎年悉皆調査をする必要はなく、数年に一度の調査で十分児童生徒の学力や学習状況の傾向を見ることは可能です。全国テストへの参加と独自テストの中止を求めます。

 次に評価する点について述べます。

 第1に、子育て支援策が前進したことです。

 一つは、党議員団が一貫して求めてきました子どもの医療費助成事業を、所得制限を撤廃して中学生までの医療費を完全無償化されるとともに、高校生世代の入院医療費も無料とされたことです。さらに高校生世代の通院医療費も無料にすることを要望します。

 二つには、夏期休業中における児童くらぶ昼食提供事業を開始されることです。希望者への昼食提供ですが、保護者負担軽減に寄与するものと評価します。夏季休業中という厚い時期でもありますので、安全・安心の昼食提供に務めていただきたいと思います。

 三つには、就学前施設を含めた学校給食等食材調達支援事業を継続されることです。食材費が高騰して給食の質と量の確保が困難になる中、食材費の増加分を支援されることは意義があります。今後は、保護者負担の軽減のため、就学前施設も含めた学校給食費の無償化を国に求め、伊丹市としても無償化も含めた負担軽減策を求めます。

 四つには、保育需要の増加に対応するため、認可保育所2か所の誘致等によって130名の定員を増員されるとともに、第2子の保育料無償化事業を拡充されることです。保育所の待機児童は4月1日付では基本的にゼロとされますが、その後一気に待機児童が増えています。年度途中の待機児童の解消のためには、伊丹市が責任を持つ以外にありません。公立保育所の増設、定数増を図ることで年度途中の待機児童を解消されることを求めます。

 第2に、「伊丹市ゼロカーボンシティ」を宣言し、2050年にカーボンニュートラルの実現に挑戦されることを明確にされたことです。ただ、2030年度の温室効果ガスを2013年度比で48%削減することとされていることは、国の目標に合わせたものですが、国連気候変動に関する政府間パネル「1・5度特別報告書」は、2030年までに大気中へのCOの排出を2010年比で45%削減し、2050年までに実質ゼロを達成できないと、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比して1.5度までに抑え込むことができないことを明らかにしています。日本の目標は2010年比にすると42%の削減でしかないばかりか、石炭火力発電所の増設に各国から批判の声が上がっていることを指摘しておきます。

 第3に、災害時に避難所となる小学校体育館に空調機器を整備するため、その実証実験を始められることです。夏場の避難者に対する健康配慮とともに、子どもたちの熱中症対策としても有効です。実証実験の後、順次空調機器の整備を要望します。

 以上述べた項目以外の主な要望については、本会議や委員会で述べていますとともに、予算要望書にも多数掲載していますので、来年度以降実現していただくことを求めまして2023年度伊丹市一般会計予算に対する反対の意見とします。

 次に、議案第15号「令和5年度伊丹市国民健康保険事業特別会計予算」に対しては、要望を交えて賛成の立場から意見を述べます。

 国民健康保険税に関しては、来年度も含めて10年間値上げはありません。県単位化以降、主に国保財政調整基金の活用によって値上げを止めてきたことは評価します。ただし、2030年をめどに兵庫県内保険料率の統一により大幅な値上げが予想され、委員会の答弁では一人あたり平均約3,700円の値上げとなる見込みとのことです。4人世帯で年間約15,000円の負担増です。

 国民健康保険に加入する世帯は年金収入や非正規雇用者等低所得者が多く、所得ゼロ世帯が全体の42%、所得100万円未満でも全体の73.6%を占めています。国保税も阪神間自治体の中で低い水準とはいえ、夫婦と子供一人の3人世帯、年収360万円で416,500円の国保税となります。

 国保税の値上げを止め、引き下げるために以下の要望をします。

 一つは、国に対して、国保税の「人頭割」とも言われる均等割り部分で、現在就学前の子どもの均等割りを半額減額しているのを、18歳までの均等割りを廃止すること、また、伊丹市は福祉医療波及分として一般会計が負担していますが、子ども医療費助成等の福祉医療に対して国が行っている、国民健康保険事業に対する「罰則措置」ともいうべき国庫負担の減額を直ちに全廃すること、さらに事業主への国保の傷病手当創設を求めていただきたいと思います。

 二つには、伊丹市として、均等割り部分に対して軽減をするための「法定外繰り入れ」を行うことです。子育て世帯への支援として18歳までの均等割りの軽減も考えられます。名古屋市では、多人数世帯に対する国保税を軽減するため、「法定外繰り入れ」による均等割り部分の軽減が行われています。

 また、医療費の高騰を抑えるためには、検診率の向上による早期発見早期治療、食に対する関心を高めて安心・安全な食糧が供給できる取り組みを伊丹市全体で行うことも重要と考えます。

 以上ですが、基本的に高すぎる国保税を下げるためには、さらなる思い切った国庫負担の増額が必要です。国に対して要望をしていただくことを求めまして、2023年度国民健康保険事業予算に対する賛成の立場からの意見とします。

 以上、議員各位のご賛同をお願いしまして討論とします。

2023年3月議会:上原秀樹 代表質問

2023年3月議会 代表質問

2023年3月1日
日本共産党議員団 上原秀樹

 日本共産党議員団を代表して質問をします。私にとっては議会での最後の質問となります。誠意ある答弁をお願いします。

1 市長の情勢認識を問う

(1) 伊丹市にも影響が及ぶ「安全保障3文書」閣議決定について

 市長は提案説明の中で「令和4年は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まったことで、世界中が衝撃を受けると同時に、社会経済構造が大きく変わり、混迷を極めた1年となりました。多くの尊い命が失われていることに深く憂慮し、強い憤りを覚えます。一日も早く穏やかな日々が訪れることを願ってやみません」と述べられました。同感です。ただ、軍事侵攻というより「侵略」です。

 一方、ロシアによるウクライナ侵略を契機に、岸田文雄政権は5年間で43兆円もの大軍拡による「戦争する国づくり」に向かっていることには強い危機感を感じます。伊丹市には二つの陸上自衛隊駐屯地があり、多くの自衛官が居住されています。自衛隊が米軍と肩を並べて戦争する体制が取られようとしている中、伊丹市にとって人ごとではありません。

 岸田内閣が閣議決定した「安全保障3文書」における最大の新たな踏み込みは、「反撃能力」=敵基地攻撃能力の保有ですが、これは歴代政府の憲法解釈に照らして憲法違反です。岸田首相は「3文書」が「専守防衛に徹し、他国に脅威を与える軍事大国にならない」としながら、「抑止力」を高めるとして、他国に脅威を与える敵基地攻撃能力保有に踏み出すのは全くの自己矛盾です。また、敵基地攻撃能力保有は、「日本を守る」ためのものではなく、世界のどこかで米国が行う戦争に、集団的自衛権を発動して、自衛隊が肩を並べてたたかうというのが正体です。すなわち、「日本を守る」どころか日本を全面戦争に巻き込むものとなります。これは国会の答弁でも、浜田防衛省が報復攻撃で日本に「大規模な被害が生ずる可能性がある」とされたことや、核攻撃被害も想定して自衛隊伊丹駐屯地や千僧駐屯地など全国300の自衛隊基地の地下化を進めているところから明白です。

 そこでお聞きいたします。一番リアルな問題として、台湾有事において集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行うことで、伊丹市が、昨年伊丹駐屯地で訓練が行われたPAC3等の先制攻撃の最前線となるとともに、相手国からの報復攻撃の対象になる危険があることを、伊丹市民の安心・安全を守る責任がある市長として、どう認識されていますか。

(2) 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの5類引き下げと伊丹市民への影響について

 市長は提案説明の中で「国では、新型コロナの感染症法上の位置づけについて、季節性インフルエンザと同じ5類への引き下げを決定し、この難局の先を見据えた社会経済活動の再生に取り組もうとしています」とされました。

 5類になると季節性インフルエンザなどと同じ扱いになり、行政の役割は国民や医療関係者への情報提供などに限定されるようになるとともに、感染者の全数把握も、5類化後は季節性インフルと同じように指定された医療機関での把握へと切り替えていく方向です。

 しかし、第5類になると言っても、新型コロナウイルスの性質が変わるわけではありません。新型コロナの感染力は季節性インフルよりはるかに高く、後遺症の重さや死者数の多さも際立っています。季節性インフルの流行が冬季に現れやすいのに対し、新型コロナは2022年も季節を問わず3度も感染拡大の大波(6~8波)を記録し、高齢者を中心に1日当たりの死者数も最多更新が続きました。

 岸田首相は、入院・外来の診療報酬の特例加算や病床確保料など、医療機関向けのさまざまな支援措置についても、段階的に見直すと表明。また、現在は医療費の患者負担分は感染症法や予算措置によって全額公費で賄われ、検査も、医師が必要と判断すれば全額公費負担ですが、5類化後はこうした公費支援を「期限を区切って継続する」とし、一定期間後に廃止する方針を明確にしました。

 日本医療法人協会は1月20日付の意見書で、病床確保料などの支援が全て廃止されれば病床確保が難しくなると表明。公的支援が縮小すれば担い手が減ることは医療関係者の共通認識になっています。尾身茂・政府新型コロナウイルス感染症対策分科会会長も、1月27日の会見で、「5類にしたからといって感染がゼロになるわけではないし、多くの医療機関が自動的に参入するわけではない」と語っています。

 結局5類化によって、医療費負担が増えれば医療にかかりにくくなるとともに、医療機関も担い手不足でひっ迫する可能性が出るということになります。5類化する前に、まず保健・医療体制の強化こそするべきと考えます。

 そこでお聞きします。新型コロナウイルス感染症を5類とすることによる影響を、市民の命、くらしを守る立場にある市長はどのように認識されるのでしょうか。また、市立伊丹病院への影響はどうなるでしょうか。

 また、党議員団が行ったアンケートでは、入院病床の確保、休業補償、有症者を置き去りにしない、PCR検査の充実が上位に上がっています。特に伊丹市においては、市長が提案説明で言及いただいた近畿中央病院跡地への医療機関誘致では、コロナ感染というかつてない感染症の拡大を教訓に、兵庫県に地域医療構想の見直しを求め、急性期病床も含めた医療機関の誘致を求めるものです。見解お聞きします。

(3) 2023年度の経済見通しと岸田政権の経済対策、伊丹市の対応について

 市長は提案説明で、日本の実質GDP成長率の低下等、経済見通しに言及されました。日本は先進国と言われる国の中で経済成長が止まる唯一の国になっています。そこにはGDPの約6割を占める消費購買力が大きく落ち込んでいることにあると考えます。

 厚生労働省が2月7日発表した2022年の毎月勤労統計調査(速報値)によりますと、実質賃金は、前年比0.9%減となりました。物価上昇に賃金の伸びが追い付かず、2年ぶりに前年を下回りました。長期的に見ても、実質賃金は2012年の404.6万円から2021年の384.4万円と、20年間で20万円も減少しています。賃金と経済の長期低迷の上に物価高騰が襲い掛かる、戦後かつてない深刻な事態となっています。

 市長は日本の経済の、この「ゆがみ」の原因はどこにあるとお考えでしょうか。
 私は、アベノミクスがもたらした「ゆがみ」があると思います。一つは、「異次元の金融緩和」の無残な失敗です。非正規雇用の拡大や消費税増税で消費や投資を冷え込ませながら金融を緩和しても、貨幣は実体経済に回らず、経済の好循環は実現しませんでした。二つは、構造的な貿易赤字です。本来円安ならば貿易収支には有利なはずが赤字となるのは、大企業が生産拠点を海外に移転したことにあります。その結果日本の製造業は「空洞化」してしまいました。三つは、「賃金が上がらない国」になっていることです。

 物価高騰で国民の暮らしと中小企業の営業が困難に陥っている原因は、ロシアのウクライナ侵略などの外的要因だけに求められません。市長のお考えをお聞きします。

 岸田政権の物価高騰から国民の暮らしを守る施策が大変不十分な中、市民の暮らしを守るための防波堤になることが伊丹市には求められます。

 党議員団が行ったアンケートでは、国保税・介護保険料引き下げ、公共料金の軽減が上位を占めています。上下水道使用料の基本料金減免は大変喜ばれました。また、小規模事業者への賃料支援も助かったという声を聞いています。再度このような施策を行ってはどうでしょうか。

 以上に対する見解をお聞きします。

2 子育て・若者支援について

 子ども施策において、医療費助成における所得制限撤廃と高校生世代の入院医療費無料化や保育料の軽減、児童くらぶでの昼食提供等の前進面は評価をするものです。医療費無料化ではさらに高校生世代の通院も含めた無料化を求めます。見解をお聞きします。

 子どもたちはこの間、コロナ感染による休校や学級閉鎖、グループ行動の制限、学校行事の中止や延期、制限などのもとに置かれてきました。7人に1人の子どもが「貧困ライン」を下回る状況に加え、コロナ感染と物価高騰が、子どもや保護者の生活、仕事、家計、心身に大きな影響を与えています。

 岸田政権のもとで、この4月には「こども家庭庁」が設置されますが、「子育て倍増予算」と言いながら、倍増されるのは軍事費だけ。掛け声ばかりで具体策は何も明らかにされていません。今まで国は子ども・子育ての予算を低水準のまま放置し続け、GDP比でOECD加盟国の平均以下のまま、高学費、多人数学級、劣悪な保育条件、子どもの貧困などが改善されないままとなっています。この政治を転換し、コロナ感染と物価高騰から子ども・子育て、若者支援を強めていくことが求められています。

 党議員団のアンケートでは、子育て・若者世代では、トップが給食費無償化で、保育料軽減、保育所待機児童解消、医療費無料化とともに高等教育の無償化、給付型奨学金制度の創設、最低賃金引き上げ・時間短縮など働き方改革などが上位に上がっています。高等教育の無償化、すなわち高校授業料の無償化、大学・専門学校学費の半額、入学金の廃止、最低賃金引き上げ等は国・県で実現することを求めていただくことを求めておきます。

 学校給食の無償化は市民の多くの要求となっています。議会において全会一致で国に対して学校給食の無償化を求めるとともに、教育長も国に対して無償化を求められました。全国的な無償化、もしくは負担軽減自治体は以前にも紹介したとおり、83.2%に広がっています。伊丹市もその一つに入っていますが、保護者の負担を軽減するに至っていません。多くの自治体が「臨時交付金」を活用しているようですが、この制度の延長を求めるとともに、独自の財源を含めて伊丹市でも無償化、最低でも負担軽減を改めて求めます。見解をお聞きします。

 さらに、日本は子どもの権利の保障を怠ってきました。日本政府は、国連子どもの権利委員会から、子どもの権利の保障が不十分だという勧告を繰り返し受けています。伊丹市教育委員会は、昨年子どもの権利条約の子ども向けリーフレットを作成されました。長年にわたり要求してきたことがやっと実現されたことは評価します。問題はこれらを活用して子どもも保護者も教師も、子どもにはどんな権利が保障されているのか、学習とともに実践の中でより深い理解を広げていくことが必要です。今年度、作成されて配布されたとのことでしたが、各校ともかなりあやふやな印象がありました。本気になって取り組もうとされましたでしょうか。そして来年度はどのような取り組みを考えておられるのでしょうか。お聞きします。

 また、給付型奨学金の創設、就学援助制度における対象と支給額の拡大も求めるものです。この点でもお考えをお聞きします。

3 安心できる介護保険制度…岸田政権による大改悪の意向について

 介護保険制度は「社会で支える介護」をかかげて導入されましたが、実際には、要介護度に応じてサービス内容や支給額が制限されるなど、スタート当初から「保険あって介護なし」と言われてきました。さらに、自公政権による毎年の社会保障費削減のもと、5年ごとの法改正で、サービス取り上げや負担増の改悪が繰り返され、「介護保険だけで在宅生活を維持できない」状況はますます深刻化しています。給付削減の改悪は、利用者・家族を苦しめるとともに、国民の不信を高め、制度の存立基盤を危うくするだけです。

 そして岸田政権は、今後介護保険制度をさらに改悪しようとしています。
厚労省の審議部会が2024年度の介護保険改定に向け、昨年12月に見直しに関する意見をまとめました。その内容は、①介護保険サービスの利用料2~3割負担の対象を拡大する②要介護1・2の訪問介護、通所介護を保険給付から外す③ケアプランの有料化④老健施設などの相部屋(多床室)の有料化⑤保険料の納付年齢の引き下げ⑥補足給付の資産要件に不動産を追加する⑦高所得者の保険料引き上げなど、負担増と給付削減の7項目があがっていました。しかし、短期間で13万7千筆の介護保険制度改悪中止を求める署名が、厚労省に提出され、今国会では一部結論が見送られました。厚労省は要介護1・2などについては4年先の2027年度改定に先送りするとし、2割負担の対象拡大は、来年度夏までに結論を出すとしています。

 要介護1・2の方から訪問介護やデイサービスをはずしたら、介護を必要としている人も家族も苦難は増すばかりです。現役世代の介護離職は年間10万人にのぼると言われています。家族の介護で、重い負担を抱え自分の夢を諦めざるを得ないヤングケアラーも問題になってきているところです。
 また、利用料が1割から2割に増えたら、利用者の半数以上が「利用を見直さざるを得ない」と言う調査報告があります。介護保険の度重なる制度改悪で、介護家族者がいないと在宅での生活はますます不可能になり、低所得の人ほどサービスが利用できない状況になるばかりです。

 保険料の引き上げについても、介護給付費に連動して保険料が上昇し続ける仕組みのもとで、「年金が下げられた上に、これ以上の保険料値上げで生活できない」との声が出るとおり、高齢者の保険料負担はすでに限界に来ています。しかも来年度は介護保険財政安定化基金からの借り入れで、次期介護保険計画における保険料にその分が上乗せされることになります。つまるところ、介護保険に於ける国庫負担の割合を大幅に引き上げ、保険料割合を引き下げるなど、抜本的に見直す以外にないと考えます。

 そこでお聞きします。

 1つは、これら介護保険制度の改定をどのように受け止めておられるのか、また、国に対する要望・意見は上げておられるのでしょうか。

 2つは、岸田政権は、先延ばしされますが、介護給付から要介護1,2を外す考えです。現在要支援1,2の人に対する「介護予防・生活支援サービス事業」は基本的に地域の支え合いとされており、その担い手が問題となっています。介護給付から外れるため介護報酬が引き下げられ、介護施設にとっても担い手にとっても、介護を受ける人にとってもマイナス面は大きいと考えます。要介護1,2まで拡大された場合の影響をどう予測されるのでしょうか。

 3つは、利用料の負担増に関しても、負担が増すために介護控えが増えるのではないかと危惧するものです。現在要支援1,2、要介護1から5までの介護サービス利用状況で、支給限度額に対する平均利用率はどのようになっており、利用料が増えることによる影響をどう予測されるのでしょうか。

4 生活保護の問題について

 生活保護費の基準額引き下げが2013~15年にかけて安倍晋三政権が段階的に強行されました。生活保護費のうち食費や光熱水費にあてる生活扶助の基準額を平均6・5%、世帯や地域によっては最大10%の引き下げです。これは総額約650億円という、過去最大規模の引き下げとなり、生活保護の利用世帯の約9割に深刻な影響を与えたとされます。

 基準額引き下げは憲法25条に反すると取り消しを求め、全国29都道府県で裁判が起こされ、1000人近くが原告となっています。

 これら裁判に対する判決では、2023年2月10日に宮崎地裁でも下され、裁判長は原告の請求を認め、違法だとして減額処分を取り消しました。減額処分の取り消しを認めた判決は、大阪、熊本、東京、横浜各地裁に続き5件目となりました。

 判決は、2008年以降の物価下落(デフレ)を考慮した「デフレ調整」では、生活保護世帯の消費支出を占める割合が低いパソコンなどの価格下落の影響を「過大に評価した可能性がある」と指摘。それに関する厚労相の判断には「統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を欠く」と述べました。そのうえで判決は、平均で6・5%もの基準引き下げはこれまでになく、約96%の生活保護利用世帯が減額されたため、「その影響は重大」だとしています。

 生活保護費の基準額は、就学援助など暮らしの多くの制度に連動しています。そのため伊丹市でも2013~15年の引き下げで一時期、小中学生のいる世帯などへの支援にも大きく影響しかねない事態となりました。違法な引き下げで多くの国民に苦難をもたらした当時の安倍自公政権の姿勢が厳しく問われます。

 コロナ禍で職を失う人が相次ぐ中で、「最後のセーフティーネット」としての生活保護の役割はますます重要になっています。制度の改善・拡充を急ぐとともに、国民が使いやすい生活保障の仕組みへと抜本的に改定する必要があります。

 そこでお聞きします。

 1つは、生活保護制度は国の機関委任事務なので、一自治体では改善に限界があります。国に対して①最大15%に削減された生活扶助基準を緊急に復元し、物価上昇や生活実態を反映させながら、生存権保障にふさわしい水準に引き上げること、また削減された期末一時扶助や住宅扶助も復元・改善を図ること。②廃止された老齢加算の復活、削減された冬季加算の復元・改善、夏季加算の導入などを進めること。③「保護を利用しながらの大学進学は原則認めない」という行政の対応を見直し、生活保護世帯の子どもが世帯分離なしで大学に通えるようにしたり、虐待などの被害者が制度を利用しながら大学に進学できるよう制度の改善を進めることを求めていただきたいと思います。

 2つには、生活保護は権利であることを市民に知らせることです。何度か要望を行い、「生活保護のしおり」とホームページには「生活保護の申請は国民の権利です」と明記していただきました。しかしこの「しおり」は保護の相談等に来庁された人にしかわかりません。依然として生活保護に対するスティグマが存在する中、他の自治体が行っているようにポスター等によって広く市民に周知することです。

 一方、一昨年までの「しおり」にある「扶養義務者の扶養」の文章に関して、久村議員の質問で国の通知に基づいて改善を要望したところ、さっそく改善をしていただいたことは評価したいと思います。

 以上2点に対する見解をお聞きします。

5 教育に関する問題について

(1) 中学校の部活の地域移行について

 教育長は「伊丹市教育基本方針」の中で、中学校の部活の地域移行について、様々な課題がありますが、子どもたちが将来にわたり、安定してスポーツ活動や文化芸術活動に携わることができる体制を築くために、「休日の部活動の地域移行」に段階的に取り組むとされました。

 スポーツ庁・文化庁は昨年12月、「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」(以下、「ガイドライン」)を発表しました。様々なパブリックコメントが寄せられ、中には部活動の地域移行そのものに批判的な意見が少なくありませんでした。このことは、部活動の地域移行に対する理解や共感の広がりが不十分であることの現れであり、ガイドライン案の「改革集中期間」が「改革推進期間」と修正され、「地域の実情に応じ、関係者の理解の下、できるところから取組を進めていくことが望ましい」と書き込まれることになりました。

 教育長は教育方針の中で「主体性」の育成、「自尊感情」の育成、「子どもの最善の利益」を視野に入れた教育の推進の重要性に言及されましたが、このことを踏まえ、今後も、地域移行を進めるのあたって、教職員、保護者、関係者、何よりも子どもたちの合意形成を大切にしながら、子どものスポーツ・文化要求の実現と教職員の働き方の改善の両方を基本に据えた部活動改革の推進が求められます。そしてそのために、部活動の地域移行にあたってそれぞれの主体にとって展望の持てるビジョンを示すことも大切と考えます。

 そこでお聞きします。

 1つは、「新たな地域クラブ活動」が創設された場合であっても、学校部活動の多くが残ることは明らかです。ここでは、子どもたちの自主的・自発的な活動を中心すえた学校の部活動改革、部活動の顧問のあり方と働き方改革が問題となります。

 2つには、「新たな地域クラブ活動」のあり方に関して、保護者の負担はどうなるのか、指導者の育成をどうするのか、地域クラブ活動への教員の兼職と負担軽減の問題など検討すべき問題があります。

 以上のような課題があると思われますが、今後「伊丹市中学校部活動の地域移行に関する協議会」において進めていくとされますが、今までこれらの課題に関して伊丹市教育委員会がどこでどんな議論をされてこられたのでしょうか。そこには子どもたちの声は反映されているのでしょうか。今後の「協議会」では子どもたちの参加があるのでしょうか。また、子どもたちのスポーツ・文化要求にこたえ、その成長・発達を支えるためには、地方自治体と国が財政的な支援も含めてそれぞれの役割を果たしていくことが重要です。このことも含めた議論のあり方についてお聞きします。

(2) 人権教育の中での憲法学習の位置づけ

 教育長は教育方針の中で、人権教育・学習の推進については、令和4年に改訂した『伊丹市人権教育・啓発推進に関する基本方針』に基づき、切れ目のない人権教育の推進と主体的な学びの場の提供に努めてまいります」と述べられました。

 その「基本方針」には人権の定義として憲法を引用した説明があります。例えば、日本国憲法第11条で、国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられないとされていますが、人権が保障されるのは国籍を有する日本国民だけなのかという問題があります。この解釈の通例は、日本国憲法で保障される基本的人権は、人が人である限りすべての人に保障されるという自然権的思想を基礎としています。すなわち、人権が「人が生まれながらにして持つ自然権」であることから、その人権は「憲法によって国民に与えられる権利」ではなく、「人が生まれながらにして与えられる権利」ということになります。従って、外国人が日本国籍を有していないということをもって人権の保障が及ばないと解釈することはできません。国籍は、国家権力の及ぶ範囲を区別するために便宜上利用している法律上の制度に過ぎず、人権の及ぶ範囲を区別するために作られた制度ではないからです。ですから、憲法における「教育を受ける権利」など、基本的人権の享有主体としての「国民」には日本国籍を有していない「外国人」も含まれるという結論になるのです。ただし、憲法で規定されるすべての人権が日本国籍を有していない外国人に保障されるということではなく、最高裁判決は「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべき」とされています。一方では「国民」の定義は「日本国籍を有する」ということに限るという議論もあります。

 これは憲法解釈の一例ですが、そのほか「選択夫婦別姓」「LGBTQ」など新しい問題にも柔軟に対応できるのが憲法です。それは、日本国憲法が長い間の自由と民主議、基本的人権の発展の上に築かれたものだからです。従って、あらゆる問題を学習する際に、常に憲法の立場に立ち返って考えることが必要と考えます。来年度の人権教育の中心にしたらどうでしょうか、見解をお聞きします。

(3) 改めて「水平社創立100年」の上にたった部落問題解決について考える

 私は昨年の一般会計予算への討論で、「水平社創立」は、封建的身分差別の残滓である部落差別の屈辱と呻吟から人間の誇りを取り戻し、自らを解放しようとしたものです。創立大会では「人間を尊敬することによって自ら解放せん」「人の世に熱あれ、人間に光あれ」とうたいあげました。先人たちは屈辱の歴史に終止符をうとうと挑戦し、戦後民主主義と部落解放運動を背景に「社会問題としての部落問題」の最終段階を見通せる段階に到達しています。ここに100周年を記念する最大の意義があります」と述べました。

 現在は「社会問題としての部落問題」の最終段階にあるというのが私たちの考えです。しかし、差別観念や意識が社会的に通用しなくなってきているほど市民の常識が成熟しているにもかかわらず、そのことが共有されていないのが問題です。過去に確かに存在した差別に固執したり、問題探しをしたりするより、解決の過程と変化の事実を確認・共有することが必要と考えます。
 私たちはもう必要ないと思っていますが、教育委員会が「同和教育」を続けるとするならば、この立場に立つことが求められます。見解をお聞きします。

(4) 特別支援教育の推進について

 教育長は「教育基本方針」の中で、「文部科学省通知において、特別支援学級に在籍している児童生徒特別支援学級に在籍している児童生徒は、原則として週の授業時数の半分以上を目安として、特別支援学級において授業を受けることが示されました。国の方針を原則としつつ、インクルーシブ教育システムの理念に基づき、個別の指導計画を踏まえた指導・支援を行ってまいります」とされました。

 昨年9月、国連障害者権利委員会は、障害者権利条約締約国である日本政府への勧告を示しました。全体で9項目に及びますが、その中に分離された特別な教育をやめるために、障がいのある子どものインクルーシブ教育を受ける権利を認めること、十分な予算を含め、すべての障がいのある生徒が、あらゆる段階の教育において、合理的配慮を必要とする個別の支援を受けられるようにすることなどを指摘されたことによるものと思います。

 障害者権利条約によりますと、インクルーシブ教育とは、単に、障がいのある子が通常学級に在籍する教育を示すのではなく、一人ひとりの発達を最大限保障することを前提にして、誰ひとり排除されない教育ととらえることができます。さらに「他の者との平等を基礎」とすることにおいても、障害のない子どもたちと同じ空間で一緒にいることが「平等」なのではなく、個々の発達の課題に応じた、質の高い教育を受けることが実質的な「平等」であるととらえ直すことができるとされています。

 私はこの間、伊丹市での特別支援学級と通常学級との「交流及び共同学習」において、2人の方から「共同学習」により一時期登校ができなくなった子どもがいることを聞かされました。このような事態が起こった問題点はどこにあったのでしょうか。私は、通常学級の条件整備が不十分であることが一つの原因ではないかと思います。1学級の子どもの人数を20人程度の少人数学級にし、複数担任制にすることで、教員の目がゆきとどき障がいのある子どもへの合理的配慮をおこなうことができます。

 伊丹市として、20人程度の少人数学級の促進を国・県に要望するとともに、市単独で加配教員の配置を行うことも必要ではないでしょうか。なによりも、一人ひとりの発達を最大限保障することを前提にして、誰ひとり排除されない教育を行う最適な支援を追求していただきたいと思います。
 以上に対する見解をお聞きし、1回目の発言とします。

(代表質問2回目の発言)
 答弁をいただいたが、2回目の質問をしたい。

5 教育に関する問題について

(1) 中学校の部活の地域移行について

○「部活動の地域移行」の「地域」について。
○伊丹市としての地域移行の運営形態・主体は伊丹市ということ。今までの「協議会」等での議論の中で、地域スポーツ団体等で地域に受け皿があるかもしくはその可能性があるとされる条件は見受けられたのか。
・休日の地域移行による指導を受けることになるが、平日に指導を受けている教師と地域の指導者の連携はどうされるのか。
○「子どもの声の反映」について
・時期を見定めて、適切な時期にアンケートを実施するとされた。幅広く生徒の意見を聞いてニーズ調査をすることも大切だが、適切な時期に話し合いの場を持つことも必要ではないか。意見交換、話し合いをすることで、子どもにとっても新たな気づきがあるとともに、大人には気づかないことも出てくるのではないか。

(2) 人権教育の中での憲法学習の位置づけ

○憲法を学ぶ、憲法について話し合うことの大切さについて、一つの例を挙げて質問をした。
憲法について学んだことはあるけど、「国民」とは何?と聞かれたら戸惑う人が多いのではないか。
・教育長の答弁では、教育と憲法は切っても切り離せないものであり、人権にかかる学習等に常に憲法がかかわっているとされ、子どもたちが学んだことを実践に移すことの必要性などが述べられた。重要な答弁。

○そこで、改めて「人権教育・啓発の推進に案する基本方針」について
・「人権とは何か」の定義で、「人権は、多くの人々の努力により獲得されてきたものであり、公権力によっても、市民相互によっても、決して侵されてはならないものです」とされています。教育長も答弁で触れられた。しかし、「基本理念」のところを見ると、「公権力」による人権侵害は出てこない。「自己と他者との人権」、人権問題は「全ての構成員の問題」などとされている。これでは、国・県・伊丹市等の公権力が引き起こす人権侵害から目を背けることにならないか、人権侵害や差別を市民間の問題に矮小化させる役割になっているのではないかと思います。これでは真に憲法を学ぶことができないのではないかと考えるが、見解を聞く。

(代表質問3回目の発言)

1 市長の情勢認識を問う

 私は毎回の代表質問で、市長の情勢認識を問うという質問をしてきました。それには理由があります。憲法92条では「地方自治の本旨の確保」という項目があります。それは住民自治と団体自治のことです。すなわち住民自治とは、文字通り住民が地域の政治・政策決定に参加するという意味で、最終的にはその議会が決定するとなっています。団体自治とは、地方政府や地方議会など、国から独立した団体に地方自治がゆだねられ、団体自らの意思と責任の下でなされるという意味を有しています。地方自治体と国は対等平等の関係にあることです。一方、地方自治法では第1条の2で、地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本とするとされています。では、住民の福祉の増進が図れなくなるような事態になったらどうするか、それは国に対して、住民の命や暮らしを守るために、意見を言うということになるわけで、これは市長の大事な仕事ではないかと思います。

 もちろん市長は、全国市長会で意見を出しているとか、場合によっては国に直談判に出かけるとかやられていることは承知としています。

 この立場から、以下意見を述べます。

(1) 伊丹市にも影響が及ぶ「安全保障3文書」閣議決定について

○「国の専管事項」とのいつもの答弁だが、答弁にあるように、市長はロシアのウクライナ侵略から、「市民の命や財産、くらしを守」ることが何より大切と実感されたとされた。このロシアによるウクライナ侵略からどんな教訓を引き出すか、が問題で、結局ロシア対NATOという軍事ブロックのたたかいだということではないか。日本がロシアを抜いて世界第3位、43兆円もの軍事費を持ち日米同盟が中国に対するとしたら、ロシアのウクライナ侵略と同じことをやろうとしていることになってしまう。

 1回目の質問でも述べたが、防衛相の内部文書「自衛隊基地の強靭化に向けて」などによって、伊丹駐屯地、千僧駐屯地等の司令機能の地下化が進められていることは、すでに他国による反撃で伊丹が戦場になることを想定していることになる。そこまで国は考えているのかと驚かざるを得ない。「国の専管事項」などとのんびりしている事態なのか。「市民の命や財産、くらしを守」るために、国に対して市民の命を守る立場から、きっぱりと戦争する国になるなと言っていただきたい。

(2) 新型コロナウイルス感染症、5類引き下げ

 私は、季節性インフルエンザと同じ5類とするのは拙速と考える。それは、依然としてウイルスの感染力は強く、1日100人前後の死者が出ている状況は深刻で、季節性インフルエンザと同じ扱いにできるまで改善されていないから。5類にするとすれば、例えば「医療提供体制はこう整える」などといった政府による具体的な方針と説明が必要です。国民が5類で安心だと思える状況をつくることが先。
 市立伊丹病院にとっては、答弁のとおり、院内感染対策は継続してとり組まざるを得ない。しかし5類化して今まで通りの病床確保等への補助金があるかどうかも不明。

 3月上旬には具体的な方針が出るとのことだが、仮に市民にとって不利益になることが出たなら、市民の命を守る立場からきちんと国に意見は言ってほしい。
 
(3) 経済見通し、岸田政権の経済対策、伊丹市の対応

 市長の答弁と私たちの考えが一致しているのは、物価高騰を上回る賃金の引き上げ。今まで岸田政権の前から、国は企業に対して賃上げを要請してきたが、先の質問でも述べましたが、実質賃金は10年間で年間20万円減少。これがアベノミクスの実態。今まで通りの対策では打開できない。4月からも相次いだ値上げが予定されているが一時的な生活困難世帯等への給付は一定必要だが、根本的な対策にはならない。

 日本共産党が提案している、大企業がアベノミクスの10年間でため込んだ約100兆円の内部留保に一定の課税をし、中小企業への支援で最低賃金を1500円にする等の賃上げ対策、消費税5%への減税が必要と考え、その実現に頑張っていきたい。ご支援を。

3 安心できる介護保険制度

○要介護1,2の介護保険給付はずし

 答弁では、この見直しに積極的な人の意見は、人材や財源に限りがあることを上げている。この問題は、ヘルパー等の報酬が低く、総合事業に移行した場合のヘルパー等の報酬はさらに低く設定されていることにあるとともに、国が財源を増やさないことにある。低賃金・長時間労働、仕事がきつい、などから退職され、介護職を希望する人が減っている。岸田政権は、ケア労働者の賃金を月9,000円の引き上げを行ったが、全産業平均よりも賃金で月7~8万円も低い水準。ケア労働は、専門的知識を身につけた専門職であり、人の命や健康・くらしをサポ-トする重要な役割を持っているのです。もっと評価されるべきと考える。国に対して処遇改善を強く求めていただきたい。

 答弁では、総合事業開始前と開始後の給付の審査件数と給付総額の比較で、利用件数の増加と給付額の減少がみられたのこと。給付額の減少は国の意図するところ。問題は基準緩和サービスで要支援者の状態はどうなったかにある。このために介護度が高くなるというケースはないのか、危惧するところ。時期を見て国に対する要望・意見を上げていただきたい。

○利用料の負担増

 答弁で述べられた要支援者と要介護区分ごとの支援限度額に対する平均利用率をみて、介護度が高くなることで利用率が上がるというのは当然のことながら、意外と利用率は低いと感じた。ただ、2割負担になったことによる利用単位の減少が多少あることは、重い負担のためにサービスを削るということに繋がっている可能性がある。この調査で所得区分ごとの状況がわかればと考えるが、今後調査をしていただきたい。

5 教育に関する問題について

(3) 改めて「水平社創立100年」の上にたった部落問題解決について考える

○答弁は相変わらずのもの。いまだに結婚差別があるとか、インターネット上の差別的な書き込みがあるとか。もちろん全くなくなったとは言ってない。
・最初の発言でも言ったが、差別観念や意識が社会的に通用しなくなってきているほど市民の常識が成熟している中で、過去に確かに存在した差別に固執したり、問題探しをしたりするより、解決の過程と変化の事実を確認・共有することが必要と。
・そもそも答弁にあった「同和問題を身近な人権問題の一つとして掲げ」については、どれだけの市民が身近な問題と感じているとお考えなのか。日常生活の中ではほとんど部落差別がみられなくなっている現在、行政が無理やり身近な問題としているのではないか。こういう考えで同和問題に関する人権教育を進めたら、いつまでたっても差別はなくならないという結論にしかならない。ぜひ考え直していただきたい。

日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告 2022年秋季号

日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告 2022年秋季号

いのちと暮らし、教育優先のまちづくりへ
皆さんとごいっしょに実現しました

 日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告 2022年秋季号(PDF)

[1面]

日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告 2022年秋季号1面 [2面]日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告 2022年秋季号1面

2023年度予算編成に当たっての具体的要望事項

2023年度予算編成に当たっての具体的要望事項

≪総合政策部≫
1.空港について
 イ.大阪国際空港に関しては、安全、騒音・環境対策はあくまでも国の責任で実施することを国に求めること。とりわけ、空港周辺地域における騒音の軽減を早急に図り、毎年前年対比で騒音が低減できるようにすること。
 ロ.管制体制の強化と航空機の整備・検査等にかかる規制緩和の中止を国に求めること。
 ハ.住宅騒音防止対策費の充実を国に求めること。
 ニ.学校等公共施設、医療施設等の空調器機の更新を推進し、更新経費の全額国庫負担を求めること。
 ホ.民防空調機器更新に係る市民の一部負担を全額県・市費で助成すること。
 ヘ. 国際チャーター便については、その実績を重ねることによる国際線復活につなげないこと。
 ト.米軍等軍用機の発着はやめること。
2.自衛隊基地のヘリコプタ-の発着や自衛隊記念式典時の空砲による騒音、人を殺傷する訓練展示、子どもたちに「戦車」への試乗などの催し等はやめさせること。
3.自衛隊中部方面総監部で実施される日米共同指揮所演習など、アメリカが行う戦争に日本を参加させる取り組みの中止を求めること。

≪総務部≫
1.人権無視、低賃金で安上がりを目的とする人材派遣の活用は、人権を最も重視する事を基本とする自治体としてふさわしくないので中止すること。
2.職員数の減少の中で、有給休暇がまともに取れ、健康破壊をなくすためにも、また、住民の人権・福祉を守るためにも、会計年度職員等非正規職員に依存するのではなく、正規職員の増員を図ること。
3.厚生労働省が労働災害認定の過労死ラインと規定している職員の超過勤務については、命と健康を守る立場から直ちに改善すること。
4.組織の継続性・専門性を重視した職員配置をおこなうこと。
5.職員の給料引き下げはやめること。
6.公共事業の施行にあたっては、地元業者を活用し、雇用の安定と就労の促進を図ること。
7.同和対策特別措置法は終了し、法の根拠はなくなっていることから、同和・人権室を廃止すること。少なくとも、「同和」の名称はあらゆる部署においても使わないこと。
8.職員の人事評価に関しては、「働きぶり」や「能力」「業績」など図ることができない5段階評価はやめ、課長や内部における話し合いによって、職員の力が十分に発揮され、市民福祉の向上に向けて働きやすい職場となるように改善すること。

(危機管理室)
1.大震災における国の責任を明確にさせ、震災復興にかかわる財源は全額国に求めること。
2.被災者生活再建支援法の対象を半壊、一部損壊にも広げ、支援額の上限を300万円から500万円に引き上げることを国に求めること。
3.災害時における弱者・障害者への対策に関して、福祉避難所の増設・整備をし、日常的に住民とともに避難対策を進めるなど対応を拡充すること。ペット同伴による避難者対策を行うこと。また、新型コロナウイルス等の感染対策を重視すること。
4.共同利用施設等における自主避難所の開設にあたっては、市の災害対策本部との連携を密にし、救援物資等必要な対応を図ること。
5.学校体育館等の大規模な避難所の運営にあたっては、プライバシーの保護、ジェンダー平等の立場を遵守すること。また、市職員が責任者とし、避難者の意見を集約して改善を図りながら運営すること。

≪財政基盤部≫
1.「行財政改善計画」の策定にあたっては、市民のくらしを守り公の責任をはたす立場を堅持し、「市場化テスト」やPFI、民間委託・民営化など、一時的な費用負担削減のため、市民のための公共財産を安易に民間にゆだねる手法はやめること。物価高騰や格差と貧困が広がる中で、使用料・手数料等、公共料金の引き上げは行わないこと。
2.年度途中における市税や地方交付税の増による財源は、むやみに公債管理基金等に積み立てるのではなく、物価高騰やコロナ対策等市民の暮らしを支援する施策に使うこと。
3.市民税等の徴税業務に関して、その業務が人権に関わるものであることから、民間委託(電話による納税催告業務等)は行わないこと。
4.市税等の滞納者に対し、いたずらに「徴税強化」をあおるのではなく、納税者の権利を保障し、その立場に立った相談を中心として、滞納の背景にある市民の困難を他の部署と連携して解決すること。小規模事業者に関しては、運転資金に及ぶ差し押さえはやめること。
5.指定管理者制度について
 イ.導入した施設については、①住民・利用者の施設利用権を守ること、②施設のサ-ビス低下させないこと、③施設は、公正で民主的に運営すること、④職場の専門性、継続性、雇用を守る立場をとること、⑤正職員、非正職員の適正な給与を保障すること。
 ロ.「公の施設」の設置目的に反する民間企業への指定管理者選定は行わないこと。また、教育や福祉等の人権にかかる公共施設では、指定管理者による管理はやめること。

≪消防局≫
1.消防・救急体制については、装備、施設のみならず、人員も含めてすべてにわたって、充実・強化し、消防力の整備指針を100%充足すること。
2.雑居ビルの防火管理を強化すること。
3.住民や事業者の自主的な防災活動と連携し、防災教育、防災訓練を充実すること。消防の再任用職員を活用し、長年の知識や経験を生かして、地域の防災教育、防災訓練の仕事が担えるようにすること。
4.消防職員委員会が職員の意見を十分反映でき、生かすようにすること。

≪健康福祉部≫  
1.生活保護
 イ.生活保護の役割は益々重要となっているにもかかわらず、政府は、生活扶助費、住宅扶助費を大幅に引き下げた。このことは憲法25条で保証された最低限の生活も保障されない状況となる。消費税増税分の正確な反映と生活保護基準の引き上げを強く国にもとめること。また母子加算の継続を国に求めること。
 ロ.生活保護を必要な人が必要なときに受けることが出来るようにすること。特にコロナ禍の中では、生活保護は憲法に基づく権利であることを広く市民に公報すること。また、生活困難者の相談には「寄り添い型」の姿勢で行い、信頼関係を持てる相談に努めること。また分かりやすい制度紹介の「しおり」とともに生活保護申請用紙を窓口カウンターに常備し、相談者の生活保護申請権を尊重した対応をすること。しおりの中に、例えば受験生、結婚資金の積み立てなど同居であっても別世帯申請などできる例や貸付制度(冷暖房機などの購入)に関しての説明も示し、利用しやすいようにすること。
 ハ.正職員としてのケースワーカーを増員し、申請から法定期間の14日内の決定など申請者への対応を迅速に行うとともに、保護世帯の相談に十分に応えることが出来るようにすること。
 ニ.生活保護世帯の夏季・冬季見舞金を復活すること。老齢加算の復活を国に求めること。
2.国民健康保険
 イ.国保税と一部負担金の減免制度を拡充するとともに、市民への広報を強めること。
 ロ.短期保険証、資格証明書の発行は行わないこと。
 ハ.葬祭費の給付額を大幅に改善すること。
 ニ.国保税の滞納者に対し、いたずらに「徴税強化」をあおるのではなく、納税者の権利を保障するとともに、社会保障制度の立場に立った相談を中心として、滞納の背景にある市民の困難を他の部署と連携して解決すること。
ホ.2025年からマイナンバーカードが保険証として使用可能となることに関して、マイナンバーカードがなければ受診できないと誤解を招くような宣伝はしないこと。
ヘ.コロナ禍における傷病手当は事業主とその家族にも適用するように国に求めること。コロナ禍に関わらず、傷病手当給付を国に求めること。
3.年金
 イ.年金額を月額5万円底上げする最低保障年金制度をつくり、国民年金では月額8万3千円に引き上げるよう国に求めること。
 ロ.現在年金を受けている人を含めて受給額を大幅に削減することや、支給年齢を68歳ないし70歳まで引き上げる年金の大改悪に反対すること。
4.医療費助成
 イ.北欧等では常識となっている医療費窓口負担ゼロをめざし、その第一歩として75歳以上の高齢者と子どもの医療費無料制度を国の制度として創設することを国に求めること。子育て支援医療費助成については、市独自に通院も18歳まで無料にすること。
 ロ.一部負担金を導入した重度心身障害者および母子医療費の撤回を県に求めるとともに、市独自の上乗せ措置を復活させること。
 ハ.重度精神障害者(児)医療助成事業に対し、市負担で上乗せ措置を行うこと。
5.医療保険でより良い歯科医療が提供できるように保険の給付範囲を拡大するとともに、補聴器も保険適用するよう国に要望すること。
6.入院時において、おむつ代など医療保険外負担に対する援助を行うこと。
7.高齢者の医療負担をなくすとともに、療養病床に入院する高齢者の食費負担、居住費負担などの医療改悪を元に戻すよう国に求めること。
8.病院の統合再編に関して、近畿中央病院の跡地に回復期、外来を含む医療機関を誘致することに全力を尽くすこと。【地域医療体制整備推進班】
9.後期高齢者医療制度
 イ.75歳以上の高齢者すべてから保険料を徴収する差別医療押し付けの、「後期高齢者医療制度」の廃止を国に求めること。同時に制度存続の間、市独自の保険料減免制度、医療費一部負担減免制度を創設すること。
 ロ.一定以上所得者の窓口負担割合、高額療養費の引き上げは元に戻すこと。
 ハ.患者の2割・3割負担はやめるように国に求めること。
10.高齢者福祉
 イ.介護保険
  ①介護保険事業にかかる国庫負担割合の引き上げを国に求めること。
  ②必要な人がすべて安心して介護を受けることができるために、特別養護老人ホ-ムや小規模多機能型居宅介護施設等介護施設を増設し、ホ-ムヘルプサ-ビス、デイサ-ビス、ショ-トステイなど居宅サービスを拡充すること。   
  ③介護施設等で働く人への賃金引上げを国に求めると同時に、市も独自の支援を行うこと。
  ④保険料は住民税非課税の高齢者・低所得者からは徴収しないこと。
  ⑤低所得者の利用料を抜本的に軽減すること。利用料3割負担における市独自の上乗せの減免制度も作り、広く市民に広報すること。
  ⑥国による「自立支援・重度化防止」に向けた財政的インセンティブの付与によって、介護サービスの切り捨てとならないようにすること。
  ⑦介護予防・日常生活支援総合事業においては、利用者の意思を尊重し、少なくとも現行サービスは低下させないこと。
⑧介護保険基金は、サービスの充実と介護保険料軽減に充当すること。
⑨国に対して、介護「特別加算」はやめ、施設の感染拡大防止対策に関する抜本的な支援を求めること。伊丹市独自に、加算相当額を補助すること。
 ロ.社会福祉事業団は高齢者、障害者の介護サ-ビスにおける公的責任を堅持すること。
 ハ.現行の市バス無料乗車制度を堅持すること。同時に、居住期間制限をなくすこと。
11.障害者福祉
 イ.すべての障害者施策における「応益負担」の原則を撤廃することを国に求めるとともに、原則定率一割負担の更生医療、育成医療、精神通院医療に対する軽減措置の充実をはかること。
 ロ.すべての障害者が利用できるよう、施設やホ-ムヘルパ-などの基盤整備を充実すること。
 ハ.国に財源の増額を求め、「地域生活支援事業」の利用料を無料にするとともに、サービスを充実すること。
 ニ.福祉施設、作業所への報酬の日払い制度をやめ、大幅に引き上げるよう国に求めること。
 ホ.市内事業所に、障害者雇用促進法にもとづく法定雇用率を達成するようさらに雇用の拡大をはかること。一般就労や福祉就労では、公的分野で一層の拡大を図ること。
12.特にコロナ禍において、児童虐待防止に迅速・適正に対応するため、さらに相談員を増員するとともに、川西こどもセンタ-の相談員を増員するよう県に求めること。

≪市民自治部≫
1. 平和都市宣言をアピ-ルする標柱などを阪急伊丹駅同様JR伊丹駅周辺にも設置すること。
2.核兵器禁止条約の批准国が68カ国に達した(2021年12月10日現在)。伊丹市として、国に対して核兵器禁止条約の署名・批准を求めること。
3.すべての同和行政と同和教育をやめ、「同和行政終結宣言」を行うこと。
 イ.「差別を許さない都市宣言」は廃止すること。
 ロ.「部落差別解消推進法」に関しては、衆・参両院における付帯決議を遵守し、新たな差別を生み出さないようにすること。
4.ジェンダー平等の実現に向けて、男女差別の撤廃、女性の社会参加促進のため「男女共同参画条例」を制定すること。
5.家庭系ゴミの、これ以上の有料化は実施しないこと。プラスチックごみ、事業系ごみの削減を図ること。折りたたみ式ごみ収納枠等に対する助成をすること。
6.自然エネルギーの活用を促進するため、家庭用ソーラシステム導入への補助制度を導入すること。
7.天神川、天王寺川の緑道整備を行い、ネットワ―ク化を急ぐこと。

≪都市活力部≫
1.文化振興のため、文化施設の運営にあたっては、ひろく専門家や市民・文化団体などの意見を聴取し、低廉で利用できるようにすること。特にいたみホ-ルの使用料を引き下げること。
2.都市農業基本法が成立したもとで、伊丹市都市農業振興基本計画に基づき、(仮称)農を活かしたまちづくり基本条例を制定し、都市農業を維持・発展させること。また中小企業も含め地域循環型経済を実現するため、「産業振興条例」を制定すること。
3.国・県と協力し、下請け代金支払い遅延等防止法にもとづき、大企業の中小企業に対する単価きり下げなどを止めさせるため、実効ある取り組みを国に求めること。
4.企業「リストラ」や撤退に対して早期の情報把握に努め、関係機関と連携して、地域経済と従業員・市民の雇用と暮らしを守る立場から適切な対応を講じること。
5.県と協力して市内の失業やブラック企業の実態等を把握し、国・県と連携して相談窓口を設置し、若者等の雇用対策を図ること。
6.パ-ト労働者の賃金・労働条件の改善をはかるとともに、パ-ト労働者福祉・退職金共済制度を創設するよう国に求めること。
7.派遣労働を臨時的、一時的な業務に限定するなど、労働者派遣法の抜本改正を国に求めること。市内の外国人労働者の労働条件などの実態把握を行うこと。相談窓口を設けること。
8.耐震診断、耐震改修計画策定費、耐震改修工事費の補助額の増額を県に要望すること。
9.住宅リフォ-ム助成制度を創設し、市内中小企業の仕事を確保するとともに地域経済の活性化を図ること。
10.住宅政策
 イ.現行の市営住宅は建て替えることを含めて存続し、必要な戸数を確保すること。
 ロ.市営住宅の指定管理制度は撤回すること。
 ハ.既設市営住宅において、入居者要望にもとづく補修・改善を実施すること。またエレベ-タ-を設置すること。エレベーターがない場合、高齢者や障がいのある入居者のため、急いで1階への住み替えやエレベーターのある民間住宅の借り上げで対応すること。
11.都市計画
 イ.工場移転・企業撤退などによる大規模跡地への再開発で、高層集合住宅や物流倉庫建設等が計画され、近隣住居地域の住環境変化が懸念され、住民から不安と行政への不信が生じている。9月1日付で「伊丹市中高層建築物に関する指導要綱」が改正され、一定の改善が図られたが、事業者、専門家と住民参加による地域開発協議会制度の制定で、地域住民の参画協議の場を設けること。
 ロ.「伊丹市中高層建築物に関する指導要綱」9条に規定されている地域住民と事業者の紛争に対する「市長の調整」を実効あるものにするために要綱の補強をすること。

≪都市交通部≫
1.都市計画道路山田伊丹線昆陽泉町工区に関しては、十分住民の理解が得られていないことから、関係住民との話し合いを続けること。また、宝塚池田線(大野工区)の整備計画については、事業を見直すこと。
2.道路拡幅・自転車通行レーンの新設に際してはむやみに街路樹の伐採を行わず、地域住民の理解と協力により街路樹の温存と増植を図り、都市景観の維持向上を図ること。自転車通行レーン設置に伴い伐採した街路樹に対し、植えなおし等代替措置を実施すること。
3.狭隘道路、細街路等市民の生活道路の整備・補修を促進すること。
4.飛行場線JR陸橋に自転車・歩行者用道路を設置すること。
5.JR北伊丹駅南側の北村踏み切りの拡幅・改善をはかること。
6.高齢者、障害者等が利用しやすく安全な歩道整備を推進し、特に国道・県道の歩道段差解消をさらに進めるよう求めること。
7.騒音値の高い市道については、低騒音舗装を進めること。
8.安心・安全見守りカメラの運用にあたっては、市民の個人情報保護を最優先とし、警察への提供は最小限とすること。「共謀罪法」に関する情報提供はしないこと。【安全・安心施策推進班】

≪教育委員会≫
1.人権・教育指導員設置要綱は廃止すること。
2.伊丹市人権・同和教育研究協議会を廃止すること。
3.卒業式、入学式等で、日の丸掲揚、君が代斉唱の強制はおこなわないこと。
4.いじめをなくし、いかなる暴力も許さない学校教育を確立して生徒・児童の人権を守るよう指導すること。
5.一人ひとりの子どもの成長と発達を中心においた教育――具体的にはすべての子どもに、主権者として必要な基礎学力、体力、情操、市民道徳を身につけさせる教育を推進すること。
6.公立幼稚園3歳児の全員入園を実現すること。
7.幼稚園20人、小中学校30人以下学級の実現につとめること。当面現在の小学校4年生までの35人学級を、小学校・中学校の全学年に拡大し実施できるよう県に強く要望するとともに、市独自に35人学級を広げること。
8.伊丹市は、競争教育を激化させる「全国学力テスト」への参加をやめ、伊丹市独自の学習到達度調査を中止し、条件整備など、真に学力保障になる施策を進めること。
9.「ことば科」の専任講師の配置を必要に応じて復活させること。
10.準要保護における国の補助制度を復活することを求め、クラブ活動費、生徒会費、PTA会費を支給すること。
11.小学校給食の民間委託はしないこと。2時間以内の喫食を行うこと。
12. 特別支援教育では、障害児教育を充実するため特別支援学級の充実、並びに通常学級に在籍する支援が必要な子に対する教員を配置するよう県に働きかけること。
13.学校図書館における図書指導を充実するため、読書指導員の身分保障と報酬の引き上げるを図ること。
14.スク-ルソ-シャルワ-カ-とスクールカウンセラーを増員すること。
15.トライやる・ウィークにおける自衛隊での体験学習に関しては、日本を戦争する国に変える憲法違反の安保法制=戦争法が強行され、任務遂行上武器使用も認められる「殺し、殺される」自衛隊に変わったことから、再検討すること。
16.公立幼稚園に事務職員と養護教諭を全園に配置すること。
17.支援の必要な児童・生徒の重度化にともない介助員をさらに増員すること。
18.養護教諭を全校で複数配置するよう国・県に働きかけること。当面一学期だけでも補助教員をつけること。小中学校の事務職員は会計専門職員を含め複数配置すること。
19.生徒指導担当教員・指導主事を増員すること。
20.学校事務補助職員の勤務時間を従来通りとし、正職員にすること。
21.教職員の増員、少人数学級の実現等により、教職員の多忙化を解消し、生徒・児童に向き合う時間を増やすこと。
22.県教育委員会に対し、教員の臨時的任用を制限し、正規職員を増員することを求めること。
23.教室が不足する学校では特別教室の転用等緊急対応ではなく、教育施設の増改築に努めること。また床などの老朽箇所や雨もり・黒板等を点検し、必要な改修を行うこと。必要な学校予算を確保すること。
24.図書館南・北分館の指定管理はやめること。
25.スポ-ツ施設の民間企業への指定管理はやめること。
26.スポ-ツ振興法の精神に基づき、安全で低廉なスポ-ツ施設として広く市民の                    利用に供すること。
27.児童くらぶ
 イ、小学6年生までの入所年齢の引き上げに伴い、施設の拡大・充実に努めること。
 ロ、必要な指導員の配置とともに、指導員の休養場所を確保すること。
28.保育所
 イ.子ども・子育ての基本理念である子どもの権利条約と児童福祉法第2条「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」との規定に基づいて行ない、市の保育実施責任を拡充すること。
 ロ.年度途中の待機児童と詰め込み保育を解消するため、さらに認可保育所の増設を急ぐこと。国に対して補助金の復活を求め、公立保育所も増設すること。
 ハ.病児・病気あけ保育所は市民の要望を注視してさらなる充実を図ること。
 ニ.保育所の公私立間格差に関しては、保育士給与に一定の配慮はあるものの是正はされていない。早急に是正するために援助をすること。
 ホ.認可外保育所の実態を把握し、助成を検討するとともに、適正な条件で保育している施設の認可を促進するよう支援を行うこと。
 へ.正職員の保育士を増員し、保育内容をより充実すること。

≪上下水道局≫
1.水道料金引き上げに直結する資産維持費は、料金原価に算入しないと。
2.下水道整備にかかる国庫補助制度のいっそうの改善・充実を求めること。
3.下水道使用料に関しては、使用料原価に資産維持費を導入することはやめ、資産維持費に対しては一定割合での出資金を投入して引き下げを行うこと。
4.雨水幹線管渠、遊水池等の整備を促進し浸水地域をなくすこと。また雨水流出抑制をはかるため、雨水浸水桝や貯留施設の設置を啓発し、あわせて支援策を講じること。
5.地球環境を守るため、各種公共建築物等において雨水利用や太陽光・熱利用の促進を図ること。

≪交通局≫
1.ダイヤ編成は、病院、市役所など利用頻度の高い公共施設への利便性を高めること。また、乗り継ぎ時の個人負担を無料化すること。
2.車内転倒事故の防止等、安全運転を徹底すること。
3.高齢者・障害者にやさしいバス停に向け、早急に上屋、ベンチを増設すること。
4.バス路線に関する市民から寄せられた要望に対して検討し、次期ダイヤ改正で対応すること。
5.新型コロナウイルス感染対策を行うとともに、感染拡大に伴う収入の減少に対しては、伊丹市にその補助を求め、減便した路線を復活すること。
6.夜間視認しにくいバス停に照明灯を設置し、利用者や通行者の安全を図ること。

≪病院≫
1.医師の勤務条件等処遇を改善し、医師の確保に努めること。新しく小児科、産婦人科をめざす医師の3分の2が女性であり、女性医師が子育てと両立できる労働条件にすること。
2.看護師増員と待遇改善で患者サ-ビスの向上をはかること。
3.無料低額診療制度の導入を検討すること。
4.新型コロナウイルス感染対策に万全を尽くすとともに、その費用負担を伊丹市・国に求めること。国に対して医療崩壊を防ぐ手立て(国によるPCR検査の抜本的拡大、療養施設の拡大等)を求めること。

2023年度予算編成にあたっての要望提出、市長と懇談

2023年度予算要望と市長懇談 今日、11月9日、日本共産党伊丹市議会議員団として伊丹市長に対して2023年度予算要望書を手渡し、懇談を行いました。

 私からは、党議員団が今行っている市民アンケートの中間集計を示しながら、コロナ対策では感染時の入院等医療体制の充実と検査体制を拡充すること、有症者を置き去りにしないことを多くの市民の方が望んでおられることを示してその実現を求めました。教育関係では、高等教育の無償化、学校給食の無償化、子どもの医療費は高校卒業まで無料に、また、国保税・介護保険料の軽減、保育料軽減などの要望が多い結果を提示しました。

 市長から、来年度予算の中で避難所となる学校体育館に空調設備を設置することを検討していること、昆陽池トイレの改修、地域の共同利用施設にWi-Fi設備を整備することなど、一部党議員団が求めていたことが実現することになります。
 要望書は以下の通りです。

 2023年度予算編成にあたっての基本的・重点要望(PDF)

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伊丹市長 藤原保幸 様

2023年度予算編成にあたっての基本的・重点要望

2022年11月9日
日本共産党伊丹市議会議員団
上原秀樹 久村真知子

はじめに

 国においても来年度予算における概算要求が出され、今後の予算議会で審議が始まります。その特徴は、5.6兆円という防衛予算が突出していることです。アメリカの意のままに、敵基地攻撃能力(反撃能力)保有のための「12式地対艦誘導弾」(地発型)や「高速滑空弾」の量産に着手するための予算やイージス・システム搭載艦の整備費を計上しています。5年間でGDP比2%、約11兆円の軍事予算にしようとしています。一方で、年金を削減し、高齢者医療費の窓口負担の倍化、介護保険制度を改悪して国民の負担を増加させる議論も進んでいます。

 今、コロナ禍と物価高騰で国民の暮らしは大変です。岸田政権はこれら国民の困難に目を向けない無為無策を続けているのが現状であり、市長には市民の立場から国に対して軍事費より暮らし優先の予算編成を要求するとともに、伊丹市政においては、市民の困難に心を寄せた暮らしを応援する政治が求められています。

 以下、2023年度予算編成にあたっての基本的・重点要望を提案しますので、予算に反映していただきますようお願いします。

1.新型コロナウイルス感染症対策の充実を

 今年の冬はコロナ感染第8波とインフルエンザが同時に流行すると報道されています。党議員団が行っているアンケートで最も多いのが検査体制の充実と医療体制の拡充です。市民の命と健康を守る対策が求められます。

① 国・県と共同で臨時検査センターを複数設置し、「いつでも、誰でも、無料で」検査を受けることができるようにすること。また、必要とされる人に検査キットの無料配布を行い、保健所や医療受診に繋げること。

② 早期診断・治療のために必要な体制を整え、「自主療養制度」を改めて自己検査で陽性になった場合も感染者として発生届につなげ、受診調整や食糧支援など療養支援を行うこと。

③ 「全数把握見直し」については、重症者を見逃し、感染者を拡大することなどにつながることから行わないことを求めること。

④ 生活福祉金の新型コロナウイルス特例貸付について、来年の1月からこの貸付金の返済が始まります。1世帯最大200万円の返済が待ち受けており、返済時に住民税非課税であれば免除の対象ですが、生活に余裕がないのに対象外の人もいます。柔軟な対応と対象の拡大が必要と考えます。

 また、困りごとの中で特に困っていることとしてあげられている「借金の返済」や「仕事」「税金・公共料金・携帯代」など、他施策で支援ができるところはただちに支援を求めます。

2.思い切った物価高騰対策を

 ロシアによるウクライナ侵略とアベノミクス経済対策の失政による円安によって物価高騰が続いています。岸田政権は、大規模な金融緩和などの対策を改め、金利引き上げと何よりも消費税を5%に引き下げるなどの対策を急ぐべきです。伊丹市としても、新たな地方創生臨時交付金と財政調整基金等の活用で生活支援、事業者支援を行うことを求めます。

① 生活支援や子育て支援等における住民税非課税等の所得基準に対して、アンケートでも不満の声が出されています。所得基準の大幅な引き上げと低所得者には手厚い支援を行うなど、全市民に対する対応を求めます。

② 高齢者・障がい者・幼児教育等の施設への物価高騰支援を行うこと。

③ 中・小事業者はコロナ禍による事業の疲弊と物価高騰によって大きな打撃を受けています。商工会議所との連携による事業者訪問で事業者の実態を把握し、家賃支援給付金や固定資産税減免等の必要な対策と事業者の立場にたったていねいな対応と相談体制を確立することを求めます。

 また、来年10月から始まるインボイス制度は、小規模事業所やフリーランスの廃業を招くとの懸念が広がっています。国に対して中止を求めること。

3.憲法を生かし、人権を守り、市民が主人公、平和の実現に寄与する伊丹市政を

 岸田政権は、歴代自公政権以上に憲法改定に執念を燃やしています。とりわけ、ロシアによるウクライナ侵略を契機として、アメリカとの軍事一体化を強めて軍事費を5年間で倍化し、「敵基地攻撃能力」を有することを言明するなど日本を危険な戦争への道に導こうとしています。

 自衛隊基地を抱える伊丹市として、住民の命と財産を守るために、戦争への暴走を止め、憲法を生かした市政を進めることが求められています。

 また、ジェンダー平等社会の実現も重要な課題となっています。

① 伊丹市政において、あらゆる分野で憲法を生かした市政を進めることを求めます。

② 軍事費を増額して軍事対軍事による危険な戦争への道を進むことはやめ、憲法9条を生かした平和外交で戦争のない東アジアをつくることに力を尽くすこと、憲法違反の安保関連法=戦争法の廃止、憲法9条をはじめ憲法を守り生かすことを国に求めること。

③ 11月10日(木)から19日(土)にかけて実施予定の「令和4年度日米共同統合演習(実働演習)「Keen Sword23」は、「グレーゾーン事態から武力攻撃事態等における自衛隊の運用要領及び日米共同対処要領を演習し、自衛隊の即応性及び日米の相互運用性の向上を図る」(防衛省)とされているとおり、台湾有事などで中国と戦争になった際、米軍が南西諸島に分散展開し、そこに臨時の軍事拠点を置いて情報収集や対艦攻撃、電子戦などの作戦を行うものとなります。米軍との軍事一体化を進める日本政府は、こうした米軍の作戦に全国の自衛隊を動員しようとするものです。台湾有事で米軍が南西諸島の島々から中国軍を攻撃すれば、中国軍も当然反撃し、そのことで南西諸島(日本)が戦場になることが想定されます。
伊丹市においては、陸上自衛隊中部方面総監部のある伊丹駐屯地で「基地警部訓練」を行うとされ、第36普通科連隊と航空自衛隊第4高射群が共同でPAC3に関する訓練を行う計画です。ペトリオットPAC3ミサイルの配備は、日本に向かう航空機を打ち落とすために導入されたもので、アメリカの「ミサイル防衛計画」とセットで打ち出されたものです。現在は北朝鮮からの弾道ミサイルが対象とされていますが、元々防衛的なものではなくアメリカの先制攻撃体制を確保するための装備であり、伊丹駐屯地が相手国からの攻撃の的となりうる危険な訓練と言えます。市街地における危険な戦争訓練を中止することを国に強く求めること。

④ 核兵器禁止条約は、署名国91か国、批准国68か国となり、今年開催された核兵器禁止条約の初の締約国会議は、核兵器の非人道性を再確認し、核兵器に依存した安全保障を批判し、条約への参加促進や核兵器の被害者支援など、条約の内容を実現する方策を盛り込んだ「ウィーン宣言」と「ウィーン行動計画」を採択して閉会しました。会議には北大西洋条約機構(NATO)参加国等米国の同盟国も含め34カ国がオブザーバーとして出席しましたが、唯一の戦争被爆国である日本がオブザーバー参加すらしなかったことは、大きな失望と批判をよびました。国に対して早急に署名と批准をすることを国に求めること。

 伊丹市としても、日本政府が核兵器禁止条約を批准することを求める署名を推進するとともに、積極的に原爆の実相を伝える平和施策を進めることを求めます。

⑤ 伊丹空港において、極めて危険な米軍機オスプレイの緊急着陸が行われましたが、今後一切、伊丹空港の軍事利用はやめることを国に求めること。

⑥ 自衛隊への電子データによる個人情報の提供はやめることを求めます。必要と考えるならば、個人情報保護条例に基づき、専門的知見を踏まえた意見を明らかにするとともに、自衛隊への住基4情報の提供に対して「除外申し出制度」をつくることを求めます。

⑦ ジェンダー平等社会を実現する観点から、すべての人が社会、経済活動に生き生きと参加できる当然の権利を保障するため、行政のあらゆる部面でジェンダー平等の視点を貫くことを求めます。国に対して選択的夫婦別姓制度の実現を求めること。

⑧ パートナーシップ宣誓制度に基づき、相談窓口の充実、啓発パンフの普及など性的マイノリティの人権を守る施策を強化することを求めます。

⑨ 「差別を許さない都市宣言」の廃止等すべての同和行政・教育を終了すること。「同和問題」に関する市民意識調査はやめることを求めます。

4.福祉・医療の充実、市民の暮らしを守る対策を

 2021年国民生活基礎調査では、生活意識について、全世帯で「苦しい」と感じている世帯が53.1%、「子どものいる世帯」で「苦しい」とする世帯が59.2%を占めていました。また、国税庁の2021年民間給与実態調査では、年収200万円以下のワーキングプアは1126万人で、10年連続1000万人を超えています。実質賃金は数年間下がり続け、物価高騰が拍車をかけています。特に高齢者、子育て世帯、障がい者世帯等への影響が大きく、思い切った対策が求められます。

① 高齢者世帯にとっては、マクロ経済スライド制を廃止して年金を引き上げ、後期高齢者医療の窓口負担を1割に戻すことを求めること。伊丹市としても、低年金世帯への財政的支援を行うこと。

② 国は介護保険制度の大改悪を計画しています。社会保障審議会の部会に提案された内容は、サービス利用料の2~3割負担の対象拡大、要介護1,2の保険給付外し、ケアプランの有料化、保険料の納付年齢の引き上げと利用年齢の引き下げ等です。これら国民にとって耐えがたい負担増と給付減を押し付けるものであり、国に対して中止を求めるとともに、介護保険における国庫負担を思い切って増額し、誰でも安心して介護を受けることができる体制と、保険料の軽減を求めること。

③ 国民健康保険税を引き下げるため、国にさらに1兆円の公的負担を求め、均等割り・平等割の廃止で協会けんぽ並みの保険税にすることを国に求めること。本年度から就学前の子どもの均等割りが半額にされたが、市独自に少子化対策として財政支援を行い、子どもの均等割りをなくすことを求めます。

④ 子どもの医療費は所得制限なしで高校卒業まで無料にすることを求めます。

⑤ 国に対して、生活保護を「生活保障制度」に改め、必要な人がすべて利用できる制度にするとともに、生活保護削減を復元し、支援水準を生存権保障にふさわしく引き上げることを求めること。

 また、冬季加算の増額と夏季加算の新設を求めること。大学生・専門学生も生活保護を受けることができるように国に求めること。生活保護へのスティグマを解消するため、伊丹市としても「生活保護は権利です」というアピールをすること、そのために公共施設等にそのポスターを貼りだすことを求めます。

 また、「扶養紹介」に関して、生活保護の申請者が扶養照会を拒んだ場合、その理由について「特に丁寧に聞き取りを行い」、照会をしなくてもよい場合にあたるかどうかを検討すること、扶養照会を実施するのは「扶養義務の履行が期待できる」と判断される者に限るという新たな対応方針に基づくことを求めます。

 車の保有に関しては、保護世帯の実情を踏まえて柔軟に対応することを求めます。

⑥ 伊丹市として、年度途中の待機児童と詰め込み保育を解消するため、さらに認可保育所を増設することを求めます。また、2号認定こどもの副食費実費徴収をやめるよう国に求めること。

⑦ 国に対して補聴器購入補助制度をつくることを求めるとともに、伊丹市として助成することを求めます。また、ヒアリングループを公共施設に備え活用を図ることを求めます。

⑧ 障がい者に対する医療費助成制度において、身体障がいの場合は3,4級、療育手帳の場合はB(1)、精神障がいの場合は2級まで対象を拡大することを求めます。

⑨ 兵庫県後期高齢者医療広域連合に対し、県の補助を行うとともに、基金の活用で保険料を引き下げること、保険料及び一部負担金の減免制度を周知することを求めること。

5.すべての子どもの成長発展を支える豊かな教育環境を

 教育は子ども一人ひとりの成長と発展のためにあり、子どもの権利です。家庭の経済力に関わらず、すべての子どもに豊かな教育環境を確立することが求められます。また、コロナ禍における学校と家庭での生活の変化等でストレスが溜まっている可能性があり、十分な配慮が求められます。

① 少人数学級では、35人学級が毎年1学年ずつ実施されていますが、一気に実現するとともに、中学校においても同様の少人数学級の実現を求めます。また、国に対して小・中学校の30人学級実現を求めること。

② 「全国学力テスト」への参加と市独自の「学力テスト」を中止することを求めます。

③ コロナ禍や社会・家庭環境による困難な子どもへの対策として、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーのさらなる増員で、児童・生徒と家庭を支援するとともに、介助員の増員で障がい児の教育を受ける権利を保障することを求めます。

④ 教育のあらゆる部門で子どもの権利を守ることを宣言し、実行ある施策を推進するとともに子どもの権利擁護のためにも子どもの権利条例を制定することを求めます。また、子ども向けの子どもの権利条約パンフレットを作成されましたが、子ども同士、家庭において子どもの権利条約が話し合われる環境をつくり、絶えず充実されることを求めます。

⑤ 幼児教育の推進に関しては2018年1月の文教福祉常任委員会における付帯決議を順守すること、公立幼稚園、認定こども園における3歳児の定員を増員して全員入園を実現するとともに、4、5歳児において単学級にならざるを得ない状況を打開することをもとめます。

⑥ 大学・短大・専門学校の学費をすみやかに半額に引き下げ、高等学校、高等教育の無償化をめざすとともに、入学金制度をなくすよう国に求めること。

⑦ 学校給食を無償化すること、就学援助制度の充実を求めます。

6.中小企業・零細業者への支援を強め、人間らしく暮らせる地域社会と住みよい住環境を

 中小企業は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)する存在です。また、働く人の3人に2人が働いている雇用の担い手でもあります。これら中小企業、業者、商店、農業者に支援を強化することは住みよいまちづくりに欠かせません。特に、コロナ禍と物価高騰で経営基盤が脆弱となっている中小企業・業者に対する支援が必要です。

① コロナ対応の緊急借入で積みあがった中小企業の債務をどう解決するかが大きな問題になっており、コロナ対応借入分の軽減・免除する仕組みをつくることを求めます。

② 文化・芸術関係者に対して、新たなイベントへの支援にとどめず、「場と担い手」への支援を行うとともに、国費を数千億円単位で支出して「文化芸術復興創造基金」を抜本的に強化することを国に求めること。アイホールは演劇ホールとして存続することを求めます。

③ 「中小企業振興条例」「農業振興条例」の制定で、地域循環型経済の仕組みをつくることを求めます。

④ 大型小売店の相次ぐ出店で地域の商店が廃業に追い込まれています。中心市街地だけではなく、空き店舗対策、家賃補助等によって市内周辺の商店も守る手立てをとることを求めます。

⑤ 個人事業主における国保税や市民税、固定資産税などの滞納処分については、事業の存続や生活の状況をていねいに聞き取り、積極的に納税緩和措置を活用することとともに、場合によっては、税の執行停止を行うことを求めます。

⑥ 市営住宅は戸数を減らすのではなく、必要な個数を維持し、旧耐震住宅は順次建て替えを行い、バリアフリー化された住みよい住環境を提供することを求めます。また、住民からの修繕要求には積極的に対応することを求めます。また、エレベーターの設置を求めます。

⑦ 大企業への優遇税制の廃止・縮小や所得税・住民税の最高税率を引き上げるなど、大企業と富裕層に応分の税負担を求め、消費税を5%に減税するよう国に求めること。政府が導入を予定しているインボイス制度は、零細業者やフリーランスに納税義務を広げ、負担と格差をさらに拡大するものであり、ただちに中止することを国に求めること。

7.自然災害から市民の命を守るとともに、環境を守り、安心・安全の伊丹市を

 地球温暖化の影響で台風、豪雨など自然災害が相次ぐとともに、南海・東南海地震もいつ起こるかわからない状況にあり、災害や事故から市民の命と暮らしを守る政治が求められています。特に気候危機を打開するための積極的な対策が必要となっています。

① 気候変動危機に対応するために、国に対して原発ゼロ、石炭火力発電所ゼロ、2030年までに10年比で50~60%削減、2050年にはカーボンゼロの計画を策定することを求めるとともに、伊丹市としてもカーボンゼロ宣言を行い、この目標に見合う野心的な取り組みを求めます。

② 災害の発生に備え、市民の防災意識啓発に努めるとともに、感染が広がる中での避難対策に関しては、避難所におけるきめ細かな対応(発熱、障がい者、高齢者等)や地域における要支援者の避難誘導等を含めた地域ごとの「防災まちづくり計画」を推進するための支援を行うことを求めます。体育館に空調施設整備など避難所の改善を図ることを求めます。

③ 航空機に係る環境基準達成には程遠い状況にあることから、大阪空港における国際便就航を求めることはやめること。環境基準達成に向けた不断の努力で目に見える効果を上げることを求めます。

④ 市内1,2級河川の浚渫等豪雨対策を国・県に要望すること。

8.「住民の福祉の増進」(地方自治法)に必要な財源を国に求め、伊丹市が主体となって市民の暮らしを守る伊丹市を

 新型コロナウイルス感染症と物価高騰の影響によって市民の暮らしが困難になっています。市民の暮らしと中小零細事業者の営業を守るためには、地方自治体の固有の財源である地方交付税の増額が必要です。一方、岸田政権は年金引下げや生活保護費引き下げ、高齢者の医療費の倍化を行い、今後は介護保険での保険料引き上げと給付の削減を狙っています。

 このような政治に反対し、「住民の福祉の増進」(地方自治法)に必要な財源を国に求め、伊丹市が主体となって市民の暮らしを守る市政を行うことが求められています。

① 地方交付税においては、真に必要な地方財源が確保できるようにするとともに、コロナ感染対策と物価高騰対策に必要な財源を確保することを国に求めること。

② 集約化を進めようとしている共同利用センターについて、住民の利益に反する統廃合ではなく、住民合意のもとでの維持・管理・更新への対策を行うことを求めます。

③ 職員の人事評価の問題では、公共を担う公務員には、全体の奉仕者の立場から、市民の声を聞き、提供する市民サービスや人権保障のあり方を職場で自由に議論し、提案することができます。そのような場に「能力」「業績」などという測ることが困難な尺度で5段階評価することは、公務員の労働意欲の向上や創意工夫の発揮を阻害することにもつながります。今後、「伊丹市人材育成基本方針」の「人事評価」の項目に「面談重視型人事評価」と明記されていることを踏まえ、5段階評価はやめることなどを含めて、職員の力が十分に発揮され、市民福祉の向上に向けて働きやすい職場とされるよう改善を求めます。

④ 公契約条例を制定し、請負契約や委託事業に関わる労働者が生活できる賃金を保障することを求めます。

⑤ 自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進にあたっては、「地方自治の本旨」(憲法第92条)に基づき、「住民の福祉の増進を図る」(地方自治法第1条の2)ことを原則とするとともに、推進にあたってはそれぞれの業務を担当する職員や市民の意見が適切に反映さえる体制を整え、新たに情報システムを自治体の業務に導入する際には、職員がシステムをチェックでき、市民に行政責任を果たさせる体制を確保することを求めます。

⑥ 国はマイナンバーカードに健康保険証や運転免許証、国税、年金などの情報をひも付けしようとしています。特にマイナンバーカードの取得が概ね50%にもかかわらず、健康保険証を廃止しようとしていることは問題です。健康保険証の廃止を中止することを国に求めること。

 相次ぐ個人情報の漏洩が問題となり、多くの国民が個人情報の提供に不安を感じています。国民監視の強化や個人情報の漏洩につながるマイナンバーカードのひも付けはやめるよう国に求めること。

2022年9月議会:上原秀樹 代表質問

2022年9月議会

2022年9月20日
日本共産党伊丹市議会議員団 上原秀樹

1.市長の情勢認識について

 決算に関する質問の前に、現在の情勢認識について市長の見解を伺います。

○安倍元首相の「国葬」強行について

 岸田政権は、安倍元首相の「国葬」を9月27日に行うことを閣議決定しました。その費用は、「儀式」そのものに2.5億円、警備費や接遇費など総額17億円近くを税金から支出すると政府が表明。
 日本共産党は安倍元首相が銃弾に倒れられたことに対して哀悼の意を表明してきましたが、物価高騰とコロナ対策にはまともな対策もない一方で、国会で時間をとった議論もせずに、国民の血税を使うことなどまともな政府のやることではないと考えます。

 毎日新聞による8月20日、21日の世論調査でも、反対が53%で賛成30%を大きく上回っている通り、「国葬」強行に反対する世論が日を追うごとに高まり、最近では反対が62%になりました。。9月8日の閉会中の国会における各党からの質疑に見られる通り、国民にたいして、なにひとつまともな説明ができないのは、「国葬」が明白に憲法に違反しているからです。なぜ、安倍元首相だけ「国葬」なのか。「在任期間最長」というだけで「国葬」を強行するのか、首相はいっさいまともな説明ができません。

 時の内閣や政権党の打算で特定の個人を特別扱いすることは、憲法14条「法の下の平等」に反します。首相が言う「敬意と弔意を国全体であらわす」とは結局、「国民全体」に敬意と弔意を強要することになります。実際、霞ヶ関では、「国葬」当日の弔旗掲揚、葬儀中の黙とうが政府決定され、そこで働く労働者に強要されようとしています。これは憲法19条「思想及び良心の自由」をふみにじるものです。法的根拠のない「国葬」を「閣議決定」で強行することは、「法の支配」を「人の支配」に代える暴挙とも言えます。日本共産党は「国葬」を直ちに中止すべきと考えます。

 市長は安倍元首相の「国葬」強行をどうお考えでしょうか。また、伊丹市として、市の施設での弔旗掲揚・黙祷要請など、市民への事実上の弔意強制を行わないことをもとめますが、市長の見解をお聞きします。また、教育委員会及び学校としても、子どもや地域住民に黙祷や弔旗・半旗の掲揚など弔意を事実上強制する行為をしないことをもとめるものですが、教育長の見解を伺います。

「旧統一協会」について

 安倍元首相の殺害を契機として、改めて旧統一協会と政治家、特に自民党議員との関係が大きな問題となっています。自民党は、所属国会議員379名人のうち179人に旧統一協会と接点があったとする点検結果の概要を発表したところですが、党として責任を持った調査ではありません。この団体は、人の弱みや苦悩に付け込んで、高額な印鑑や壺などを売り付け、次々と一家を破綻に追い込んでいます。全国霊感商法対策弁護士連絡会がまとめた資料によると、全国にある弁護団のもとに寄せられた相談件数は1987~2021年で2万8236件、被害額は約1181億円。これに消費者生活センターが18年まで集計した相談件数・被害額を合わせると、相談件数が3万4537件、被害額が1237億円で、巨大な被害の実態が浮き彫りとなりました。紀藤弁護士によれば、これは氷山の一角にすぎず、総額1兆円を超える被害が想定されるとのことです。その霊感商法の広告塔となっているのが接点を持っている国会議員です。

 全国の自治体の首長や地方議員も旧統一協会と接点を持っていたとの報道も出ているところですが、伊丹市長は大丈夫でしょうか。また、伊丹市が旧統一協会関連の団体等が開催する行事に後援や協賛等をしたことはなかったでしょうか、お聞きします。

2.市税収入から見る2021年度の市民の暮らしと営業の状況

 2021年度決算における市税収入は2020年の市民等の収入を示しています。

 当初予算では、新型コロナウイルス感染の影響で、個人市民税では納税義務者の減少と、給与所得、年金収入、営業所得などの減少により、前年度対比で5.6%の減となるとともに、法人市民税も21.3%の減少を見込んでいました。

 結果として、市税は315億3,966万円、前年度比3,880万円増(+0.1%)となり、株式等譲渡所得の平年度化等による個人市民税の減、約5億4千万円。法人事務所規模拡大等による法人市民税の増、約2億円。及び徴収猶予の特例の終了に伴う固定資産税の増等と説明がありました。

 そこで、個人市民税はこの説明以外の要素として、前年対比で給与所得、営業所得の状況はどうなったのでしょうか。また、法人市民税では、法人税割が課税されない法人数は、法人の規模別にどのような推移になっているのでしょうか、お聞きします。

3.新型コロナウイルス感染症対策について(決算を踏まえた今後の対策のありかた)

2021年3月議会、6月議会等で要望していた項目から

・(3月議会)2回目の緊急事態宣言が解除された時期でした。この議会では、一定落ち着いている今こそPCR検査を思い切って広げ、無症状の感染者を見つけ出し、保護、療養、治療して、感染者を減少させること、生活上で困難に陥っている人に給付を行うとともに、自粛によって営業が困難なところに十分な補償をすること、これら伊丹市独自の検査体制の拡充と自粛に対する補償を求めましたが、2021年度予算にはその対策が入っていないのは大きな問題と指摘しました。

・(6月議会)3度目の緊急事態宣言が延長されている時期です。ここでは、ワクチン接種と同時にモニタリング検査などのPCR検査や抗体検査を無症状者に焦点を当て、大規模に検査体制を拡大することが必要であること、中小企業等への市独自の対策、例えば家賃補助や上下水道料金基本料金の免除、公的融資制度の融資枠の拡大等を行うべきなどを質し、答弁では、中小企業・零細業者の支援は、あくまでも国・県の支援策を基本とするということで、本市の独自施策は今のところ予定してないとのことでした。さらに、国の支援策の一番問題点は、5割以上売上げが減らないと支援がされないという点で、そのはざまのところを、自治体の支援策で埋める方法をぜひ早急に考えていただきたいと要望しました。このうち上下水道料金の基本料金減免は2022年度に実現しましたが、十分ではありませんでした。

・伊丹市は2021年度、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金対象事業として、交付金8億5,800万円を活用して、13億3,652万円の事業を行ったとしています。一定評価する施策はありますが、何回か要望してきた感染症対策でPCR検査体制を兵庫県との連携で拡充するとともに、検査キットを市独自に配布する点では実現されませんでした。

 また、中小・零細企業への市独自の支援、例えば家賃補助や上下水道料金基本料金の免除、国の支援のはざまを埋める対策等も実施されませんでした。

・(検証)以上のことを踏まえ、当局としてこれらに対する市の考え方についてお聞きします。

現在、市民が一番困っている検査体制、医療関係の対応

 現在のコロナ第7波は、一定の落ち着きを見てかけてはいるものの、感染力の強いオミクロン株のBA.5系統等が猛威をふるい、これまでに経験のない感染急拡大となっています。発熱外来や保健所がパンク状態となるなか、すぐに検査が受けられない状況や感染が拡大した時点では軽症者と診断されても急変し、診療・治療が受けられず自宅や高齢者施設で亡くなられる方も少なからずおられ、死亡者数も第6波を超えるものとなっています。

 兵庫県では、60歳未満で基礎疾患ない等の方が、抗原検査キットでの自己検査や無料検査で陽性だった場合、「自主療養」の登録を勧めていますが、感染者として登録されず健康観察も行われない状況をつくっています。政府は、8月24日、全数把握見直し方針を表明し、各都道府県の判断で、発生届対象者をさらに限定できるようにするとしています。政府はその後、全国一律での実施方針を示しましたが、全数把握をやめて、感染者の多くが感染症法に基づく患者でなくなれば全体を把握できず、病状が急変する等の重症化した方を見逃す危険性や、感染者が行動し感染をひろげること等が懸念されています。

 そこで、伊丹市として兵庫県に対して、発熱外来の箇所数増、臨時検査センターや臨時医療施設の設置と医師・看護師の派遣など、早期診断・治療のために必要なあらゆる手だてを講ずることや、自己検査で陽性になった場合も感染者として発生届につなげ、オンライン診療などで適切な対応をおこなうこと、「全数把握見直し」については、重症者を見逃し、感染者を拡大することなどにつながることから行わないことを求めるとともに、伊丹市としてもPCR検査個所の拡大、60歳以上も含めた検査キットの無料配布を行うべきと考えますが見解をお聞きします。

物価高騰とコロナ禍から市民の暮らしと営業を守ること

・国による住民税非課税世帯への5万円給付に横出し・上乗せを

 政府は物価高騰対策として、住民税非課税世帯1世帯5万円を給付する「価格高騰緊急支援給付金」を盛り込みました。しかし、長引くコロナ禍と異常円高が拍車をかけている物価高騰に苦しむ国民の生活を打開する水準とはかけ離れていると思います。値上がりした品目数の増加など物価高騰はますます深刻になっています。この住民税非課税世帯への5万円支給は、対象から外れる現在職を失っている非正規労働者などには届きません。

 岸田政権は、高齢者に対して、6月支給分から年金を削減し、現在原則1割の75歳以上の医療費窓口負担に、10月から2割負担を押し付けようとしています。岸田首相が「国民生活を守り抜くことが政権の最優先課題の一つ」というなら、まずこのような逆行をやめることです。さらに、いま世界の96の国と地域が、コロナ価と物価高騰の中で付加価値税(消費税)の減税に踏み切っています。なによりも消費税の減税こそ、生活や営業への一番の支援となります。そして、営業を破壊するインボイスの導入を中止することです。これらを国に求めるべきですが、見解を伺います。

 一方、政府は、自治体向けの地方創生臨時交付金に6000億円規模の「価格高騰重点支援地方交付金」を新たに創設するとしています。伊丹市として、これらを活用して、例えば住民税非課税世帯への5万円給付に対して、金額の上乗せ、対象の拡大などの横出し・上乗せをすることを提案しますが、見解をお聞きします。

・中小・零細事業者への支援

 6月議会のこの問題での答弁は、市内企業においても、半導体部品の不足による生産への影響や資源価格が上昇してきていることへの懸念などのほか、現時点での原材料価格水準を踏まえて受注しても、作業を実施するのが数か月先の場合も多く、そのときの原材料価格では利益を出せない可能性があるなどの意見があること、また、伊丹商工会議所が4月に実施したアンケート調査では、エネルギー資源価格高騰による電力、燃料コストの上昇の影響が生じている、または懸念している事業者が約80%と非常に高く、コスト増に伴う価格転嫁が進まないとしている事業者が約40%となっているなど、多くの事業者に何らかの影響が生じてきているものと推察しているとのことでした。

 これに対する市独自の対策として、6月議会において、売上高が10%以上減少しており、かつ国が実施している事業再構築補助金に採択されていない市内の中小事業者を対象に、設備等導入補助事業を実施することにしました。また、上下水道料金の基本料金減免も追加と合わせて6カ月間行うこととされたことは評価をします。

 一方、例えば建設関連の事業者は、全建総連のアンケート調査でも、工事原価の値上がりが大きな影響をうけ、価格転嫁できず、一部または全部を自社負担したのが57.8%を占め、様々な要素で資金繰りが心配とする業者が60.5%を占めるなど苦境に追い込まれています。このことから、市の制度融資を改善し、業者の実情を踏まえて借りやすい仕組みに変えるとともに、返済の据え置き期間の延長や返済猶予等を考える必要があると思います。また、一定規模以下の事業者に対して、物価や燃料高騰分の負担軽減のための現金給付も必要と考えますが、見解をお聞きします。

4. 教育、子どもの権利について

校則に子どもの権利条約を

 国の生徒指導に関する基本文書「生徒指導提要」が12年ぶりに改訂されます。有識者でつくる文部科学省の協力者会議で大筋が確認され、9月以降に改訂版が公表の予定です。校則見直しなどを求める世論を受け、前向きな要素が増えたことは前進面として評価できると考えます。日本共産党は文科省に校則アンケートの結果を届け、子どもの権利条約の重視を求めてきたところです。

 注目されるのは、提要に初めて子どもの権利条約が書き込まれたことです。新しい提要では、生徒指導の「留意点」の第1に「児童生徒の権利の理解」を置き、権利条約の重要性を強調しています。

 自治活動や学校の規律、いじめ対策など幅広い生徒指導に関わる国の文書に、権利条約が明記されたことは重要です。

 日本は1994年に権利条約を批准しました。それから28年、歴代政権の後ろ向きの姿勢によって、条約の内容は学校に浸透しているとは言えません。私たちは「子どもの権利条約を生徒手帳に」と提案しています。条約の理解を広げることが改めて急がれます。

 新しい提要では、校則について、制定の際の少数派の意見の尊重、守らせることばかりにこだわらない、理由を説明できない校則は本当に必要か、絶えず見直す、校則で悪影響を受けている子どもがいないかなどの検証、子どもや保護者の意見聴取、見直し手続きの公開などに言及しました。校則は各学校が決めるものですが、その参考となりえます。

 現行の提要も、校則を「時代の進展などを踏まえ」「絶えず積極的に」見直すとしてきました。しかし、生徒や親が見直しを求めても、多くが変わりませんでした。

 こうしたことを繰り返さないためには、子どもたちへの影響を改めて考えあうことが必要ではないでしょうか。

 この点では校則見直しの基準が重要です。子どもの権利条約28条2項が「学校の規律」を次のように定めていることを直視すべきです。

 「締約国は、学校の規律が児童の人間の尊厳に適合する方法で及びこの条約に従って運用されることを確保するためのすべての適当な措置をとる」。これこそ共通の不可欠な基準ではないでしょうか。

 そこで次の点をお聞きします。

・昨年9月議会での久村議員の「憲法や子どもの権利条約からみて子どもの人権は守られているといえるのか」とう質問に対して、「校則に基づき指導を行う場合は、一人ひとりの生徒に応じて適切な指導を行うとともに、生徒の内面的な自覚を促し、校則を自分のものとしてとらえ、自主的に守るように指導を行っていくことが重要。学校教育活動全般を通して、憲法の定める「基本的人権の尊重」の遵守は必須であり、校則見直しの過程で、当事者である生徒が主体的に参画すること等により、子どもの権利条約の定める「意見を表す権利」が守られていると考えております」と答弁されています。

 答弁では子どもの権利に注目した取り組みをされているとのことですが、新たな提要で校則に関して指摘されている項目を参考に見直す点はあると考えますが、見解をお聞きします。

 なかでも子どもの権利条約に対する子どもの理解の重要性が指摘されている点では、これまでも何度も要望してきました子どもの発達段階に応じた子どもの権利条約の内容をパンフレットにして配布し、保護者とともに学ぶ機会を設定することや生徒手帳に子どもの権利条約を明記するなどの取り組みはどうなっているのでしょうか、お聞きします。

○児童虐待の子どもからの相談について

 厚生労働省は9日、全国の児童相談所が2021年度に対応した虐待相談件数が前年度より2,659件増え、20万7,659件になったと発表しました。内容別では「心理的虐待」が約6割を占め、全体の件数を押し上げた形になっています。その他「身体的虐待」の減少、「ネグレクト」「性的虐待」の増加などが報告されています。また、相談先が警察などからの連絡が10万件を超えて約半数になっている一方、子ども本人からの連絡は1.2%にとどまっています。児童相談室などの公的機関に相談すること自体、ハードルが高いうえ、相談内容が保護者や学校などに知られてしまうことを心配し、周囲に虐待の事実を訴えられない場合があります。

 伊丹市の場合、「行政評価報告書」によりますと、「家庭児童相談所への年間相談件数は増加したが、児童虐待に関する新規の通告児童数は316人と減少した」とされています。

そこで次の点をお聞きします。

・伊丹市の場合、「心理的虐待」「身体的虐待」「ネグレクト」「性的虐待」等の分類ではどのようになっているのでしょうか。

・伊丹市における虐待対応件数のうち、通告されてくる機関はどのようになっているのか、また、子どもからの相談の件数はどのくらいあるのでしょうか。

・国としても、子どもからの相談が少ないことに関して、子どもの権利擁護の体制を今後整備するとされています。伊丹市でも子どもの秘密が守られ、相談しやすく、意見を言いやすい仕組みが必要と考えます。全国のいくつかの自治体では第三者機関で相談や対応にあたる事例があります。東京都世田谷区は、子どもの人権擁護のための第三者機関「せたがやホッと子どもサポート」を設置し、社会福祉士や公認心理士などの福祉職が相談対応にあたっています。

 今まで川西市を例に子どもの権利条例をつくり、第三者機関による子どもの権利擁護の仕組みをつくることを提案してきましたが、国の新たな動きと合わせ、伊丹市でも条例の設定と機関の設置を検討してはどうでしょうか。見解をお聞きします。

○学校給食費に対する助成

 文部科学省は9日、急激な物価高騰の影響を受け、全国で8割を超える自治体が学校給食費の保護者負担軽減に取り組んでいるとする調査結果を公表しました。調査結果によると、学校給食費の保護者負担軽減を実施または予定している自治体は1491自治体で、83.2%に達しましています。地方創生臨時交付金を活用する自治体は、77.3%に当たる1153自治体でした。

 調査は、新型コロナウイルス感染症対応として実施されている地方創生臨時交付金などを活用して、学校給食費の保護者負担の軽減に取り組んでいる自治体を調べたもので、7月29日時点を基準に、事務組合を含む1793自治体から回答を得ています。
実施している自治体の中には、伊丹市が実施した保護者の負担を抑えるための学校給食に対する助成も含まれています。

 永岡文科相は同日の記者会見で、「自治体に対して物価高騰等を踏まえ、引き続き臨時交付金を活用した学校給食費保護者負担の軽減を進めるように促したい」と語りました。

 物価高による学校給食費の値上げ圧力が高まるなか、家計を直撃する子育て世帯の声を受け、日本共産党は学校給食の無償化や保護者負担の軽減を求めてきました。文科省の調査結果は、こうした運動と世論が全国の自治体を動かしたことを示しています。

 しかし、国は学校給食に対する助成は臨時交付金を活用して行うことを促していますが、6月議会でも指摘したとおり、憲法26条の「義務教育の無償」に基づき、国が学校給食の無償化に踏み出すべきものです。もちろん、コロナ禍と物価高騰の中で臨時的に臨時交付金を活用することを否定するものではありません。

 一方、私の6月議会での「国に対して学校給食の無償化を求めるべきではないか」との質問に、教育長は「現時点では、その考えに至っていない」との答弁でした。市議会としては全会一致で「学校給食の無償化を求める意見書」を採択していますが、改めて教育長の見解をお聞きします。

 また、永岡文科相が「自治体に対して物価高騰等を踏まえ、引き続き臨時交付金を活用した学校給食費保護者負担の軽減を進めるように促したい」と語っている件で、せめて伊丹としてさらなる給食費の負担軽減を図るべきと考えますが、見解をお聞きします。

5.自衛隊に対する適齢者名簿(募集対象者情報)の提供について

 自衛隊に対する募集対象者情報の提供に関しては、今まで何度か質問をしてきました。当局は、自衛隊法第97条と同法施行令第120条の規定によるものであると答弁をされましたが、この政令は、あくまでも防衛大臣の任意による自治体への資料提供の依頼であること、また住民基本台帳法にも資料提供の規定はないことから、私は自治体がその資料を提供する義務はないと主張してきたところです。市長は、2019年3月議会で、「募集対象者情報の提供をする・しないというのは、全国の自治体がそれぞれの個人情報保護条例等に基づき判断しているものであり、本市が行っている住民基本台帳法第11条に基づく閲覧も、自衛隊に対して協力をしているものと私は認識しているところ」と答弁されました。しかし、伊丹市は閲覧ではなく電子データとして丸ごと自衛隊に募集対象者情報を提供しています。

 兵庫県下の状況を見ますと、電子データとして提供している自治体は7自治体に過ぎません。回答のない5自治体とあて名シール2自治体以外すべて抽出閲覧または閲覧となっています。閲覧としている理由はほとんどの自治体が「個人情報保護の観点」「法的義務がないから」「閲覧転記で十分」「市民感情に配慮」になっています。
伊丹市個人情報保護条例では、「第3条 実施機関は,この条例の目的を達成するため、個人情報の保護に関し必要な措置を講じなければならない」とされ、様々な規定がされています。

そこで次の点をお聞きします。

○個人情報保護審査会に諮問することについて

 保護条例第14条では、第1項で「実施期間は、法令等に基づく場合を除き、…提供してはならない」とし、第2項では「提供することができる」規定がされ、「提供することによって、本人または第三者の権利利益を不当に侵害する恐れがあると認められるときは、この限りではない」と規定しています。そして「提供することができる」条件に第5号で「審査会の意見を聞いた上で、公益上の必要があると実施期間が認めるとき」という規定があります。

 ここで問題となるのが「法令等に基づく場合」の考え方です。当局は、自衛隊法第97条と同法施行令第120条の規定によるものであるとの答弁ですが、一つは、住民基本台帳法では住民基本台帳4情報は原則非公開であること、最高裁判決でも、4情報は基本的人権として保障されていること、本人の同意なく自衛隊に提供することは憲法13条のプライバシー権の侵害になり、提供された情報は市民に対する自衛隊の勧誘に使われ、そのことが市民生活への圧迫と感じる市民が存在することです。さらに、自衛隊であっても事務の遂行のために必要である場合に限り、「閲覧」は可能とされ、電子データの提供はできないものと理解できます。

 もう一つは、自衛隊法施行規則120条「防衛大臣は、…市町村長に対し、必要な…資料の提供を求めることができる」という規定です。しかしここでは、市町村長の対応は規定されていません。従って答える義務規定はありません。

 以上のことから、原則非公開とされている住民基本4情報の電子データによる提供はする必要はないと考えますが、提供するのなら、より慎重にするうえで審査会の意見を聞くことが求められると考えますが、見解をお聞きします。 
 
○除外申し出制度(尼崎市)をつくることについて

 尼崎市では、自衛隊に対する住基4情報を提供するにあたって、今年度から「自衛隊への情報提供を希望されない方の申出(除外申出)について」を出されています。対象となる年齢の市民を対象に、申出期間を設定し、本人若しくは法定代理人または任意代理人が除外申出をすることができる制度です。申出書には「自衛隊法施行令第120条に基づき自衛隊に提供する、自衛官及び自衛官候補生の募集対象者からの除外を申し出ます」と書かれています。

 伊丹市個人情報保護条例第35条には、「利用停止請求権」が規定されています。第1項で「…保有個人情報が次の各号のいずれかに該当すると思料するときは、…当該保有個人情報を保有する実施機関に対し、当該各号に定める措置を請求することができる。」とし、「第14条第1項及び第2項又は第14条の4の規定に違反して提供されているとき 当該保有個人情報の提供の停止」が規定されています。すなわち、先ほど引用した、保護条例第14条第1項「実施期間は、法令等に基づく場合を除き、…提供してはならない」、第2項「提供することができる」規定の「提供することによって、本人または第三者の権利利益を不当に侵害する恐れがあると認められるときは、この限りではない」とされていることに対して、本人等がこの項目に該当すると思料するときに提供の停止を求めることができるというものです。

 伊丹市もこの規定に基づき、「除外申し出制度」を作るべきと考えますが、見解をお聞きします。

(2回目の発言)
4.教育、子どもの権利について

○校則に子どもの権利条約を

 文科省による生徒指導提要の改定によって、改めて子どもの権利条約の重要性が強調されたことは大事な点です。答弁では文科省から正式な通知があり次第、各学校で様々な場面で周知していくとのことです。また、近年では生徒会を中心に意見を出し合うとか、学校運営協議会での話し合いが行われつつあるとのことで、子どもの権利条約を中心にした子どもを中心に据えた議論と見直しはこれからということかと思います。その際、子どもと教師、保護者がどれだけ子どもの権利条約の趣旨を理解するのかによるものと考えるところです。

 一方、子どもの権利条約の件ですが、まず、子どもの権利条約のリーフレットが作成されていることを、恥ずかしながらも知りませんでした。議会に報告されたという記憶はありませんし、ホームページにも掲載されていませんでした。今やっと掲載されましたが、せっかく作成されたのに、あまりにも軽視されているのではないかと思います。党議員団は条約批准の1994年から子ども向けリーフ作成をことあるたびに言い続けてきたことで、28年目に実現できたことは遅すぎたとはいえ、一歩前進と評価したいと思います。

 そして昨年、その冊子を児童生徒に配布されたようですが、これからいかにして子どもの権利条約を生かした学校にしていくのかが問われます。

そこで、

① すべての児童生徒にこの冊子を配布した時、どのような話をされ、この1年間、どのような活用がされたのでしょうか。「読んでおうちの人と話し合いましょう」だけでは理解できないのではないでしょうか。
 また、そのためには教師自身もこどもの権利条約についての理解を深めることが大事です。どのようなことをされているのでしょうか。さらに、保護者も一緒に学ぶ機会も必要です。どのような取り組みをされているのでしょうか、お聞きします。

② 以前の質問で、校則を学校のホームページに掲載して、子どもも保護者も地域も一緒に考える必要があるのではないかと質したところ、各校の判断で行われるべきもので教育委員会として一律に掲載すべきと考えていないとの答弁がありました。各校の判断ではあるが、これだけマスコミ等で話題になっているとき、市民全体で子どもの置かれている現状を考える機会にするためにも、ホームページへの掲載もすべきではないかと思いますが、改めて見解をおききします。

③ 伊丹市教育委員会作成の子どもの権利条約の冊子「保護者のみなさまへ」の中に、「子どもたちの「幸せ」を実現するためには、まずは子どもが自分自身が持っている権利について知ることです。あわせて、権利を主張するためには、子ども達にも果たすべき責任があることやルールを守る必要があることを教えなければなりません」という記述があります。もちろん子どもたちに果たすべき「責任」や「ルールを守る」ことを教えることは大事ですが、この記述では、果たすべき「責任」や「ルールを守る」ことができなければ権利を主張できないとも読めます。一般的に誤解があるのは、権利と義務・責任の関係性について「義務・責任を果たした国民には権利が与えられる」とか「国民は義務・責任を果たさなければ権利を主張できない」という考え方ですが、憲法上の解釈は、「国民が権利を有しており、国はその権利を保障する義務がある」ということです。教育委員会と学校は、この文面に関してどのような説明がされているのでしょうか、お聞きします。

(3回目の発言)
4. 教育、子どもの権利について

 このリーフレットを活用した取り組みがされているとのことです。しかし、各地域での保護者にお聞きすると、必ずしもすべての学校、クラスで同様な取り組みがされているわけではないようです。例えば、「こどもが持って帰ったけど、どこに置いたか分からない」「持って帰ってない」「持って帰ったので読んだけど当たり前のことが書いてあるので置いてない」などです。改めて学校ごとの取り組みを聞いていただき、子どもの権利条約が生かされるようにしていただきたいと思います。

 3つ目の質問ですが、「保護者のみなさまへ」に限らず、条約や教育委員会が意図したことが短い文章でどう理解されているのかは、様々な人から意見を聞いて見直すべきところがあれば見直していただきたいと思います。そのためにも、子どもの権利条約全文を市のホームページに掲載されることを要望します。

1.市長の情勢認識について

「国葬」強行への市の立場について

 岸田政権の「国葬」強行で、法的根拠もなく多額の税金を使い、国民に弔意と安倍元首相の礼賛を強制することは、憲法14条「法の下の平等」に反し、憲法19条「思想及び良心の自由」をふみにじるものであること、は先ほど述べました。岸田首相が説明すればするほど、世論調査で「反対」が増えるのは、これに道理がないからです。

 市長は、市庁舎に半旗を掲揚すること検討していますが、すでに伊丹市として安倍元首相の死去に対して半旗を掲げて弔意を表していることでもあり、国民世論を二分し、反対が6割を占める「国葬」に対して、改めて庁舎に半旗を掲揚することは、伊丹市として憲法違反の「国葬」を支持することになります。やめるべきです。
 
○旧統一協会と伊丹市の関係では、市立伊丹病院に対して1万円の寄付があったとされました。この団体との関係が明らかならば、寄付金は返還することを求めておきます。

3.新型コロナウイルス感染症対策について

○兵庫県に対して検査体制の拡充と伊丹市として県と連携して検査体制を広げ、60歳以上にも検査キットの無料配布を求めました。兵庫県も伊丹市もよくやっているので、いずれもやらないとの答弁です。今第7波です。同じことをずっと繰り返しているのではないか。第6波の時にも、落ち着いた今ころ検査体制の拡充で無症状の感染者を見つけ出して対応することを求めましたが、それもせず、第7波を呼び起こしました。しかも第7波はワクチンの接種により軽症者が多いと言われていましたが、8月のコロナによる死者は7000人を超え、史上最多となりました。国は医療と保健所体制のひっ迫から、これを拡充すると言いながらほとんど何もぜず、多くの犠牲者を出しました。「国葬」に17億円も血税を投入する一方でコロナ対策は無為無策。岸田政権には心の痛みというものがないのでしょう。

 60歳以上の人へも検査キットの配布を求めたのは、明確な濃厚接触者で自宅待機をされている無症状の高齢者は薬局に検査に出かけることのなく不安のない日を送らざるを得ないことへの対応です。5日間の自宅待機ですが、無症状のまま感染されていたら、待機が解除された後で、他人に感染を広げることになります。いつまでたっても感染は収まりません。最善の方法を考えください。

4.教育・子どもの権利

〇学校給食費に対する助成

 国に対する学校給食費無償化を求めることへの教育長の率直な答弁をいただきました。多少、言い訳じみているのかな、と感じましたが。いずれにしましても、議会と教育委員会が共同して、国に対して要望することには意義があると思います。

 市独自に給食費を軽減することについては、「試行錯誤している」との答弁です。一方、厚労省の昨年の国民生活基礎調査では、子どものいる世帯では、「大変苦しい」「やや苦しい」とした世帯が59.2%に達しています。全世帯では53.1%です。物価高騰、コロナ禍、賃金が上がらない状況で特に子育て世帯に生活苦が押し寄せています。「試行錯誤」するまでもなく、助けてほしいという子育て世帯が6割近くおられる実態に即して、給食費の軽減を図ることを求めます。

 また、住民税非課税世帯への5万円給付の件では、「なんでも1番、急いで支給」が悪いことではありませんが、先ほど言ったとおり、生活が苦しいとする世帯は半数以上 おられることを考慮するならば、横出し、上乗せは必要と考えます。ぜひ実現してください。

5.自衛隊募集対象者情報、いわゆる適齢者名簿の提供について

 この件に関しては、私たちは法律上の根拠はないことから電子データによる対象者情報の提供はするべきではない、閲覧で十分と考えています。

 自衛隊法施行令120条「防衛大臣は、…市町村長に対し、必要な…資料の提供を求めることができる」という「できる」規定はあるが、市町村長の対応は規定されていないこと、従って提出する義務はないこと、住基法4情報は原則非公開であることなどによるものです。

 一方、施行令120条に基づき、防衛大臣からは4情報を紙媒体、電子媒体で、また自衛隊兵庫県地方協力本部長からは電子媒体で提供をお願いする「依頼」が来ているようです。これは何なるお願いであって、義務ではありません。県内でもある市では「法的義務はない」ことを理由に閲覧にとどめています。従って、法的義務がないことに対して電子媒体で提供することは自治体首長の考え方によるものということになります。ぜひ市長の判断で電子データによる募集対象者情報の提供はやめていただきたいと思います。

 自衛隊への住基4情報の提供に対して「除外申し出制度」をつくることを提案しました。尼崎市や大阪市など多くの自治体で行われ、20の政令市のうち11市でこの制度があります。個人情報保護法と市の条例に定められている「利用停止請求権」に基づいてこの制度を作ったらどうかとの質問でしたが、必ずしもこれらの条文に基づく制度とは限りません。

 尼崎では申出はなかったとのことですが、そんなことは関係ありません。尼崎などこの制度を実施している自治体は、どういう法的根拠に基づいて自衛隊に対して募集対象者情報を提供しているのか、いつどの対象者の名簿提出なのかなどの説明が書かれてあります。同時に「自衛隊への情報提供を希望されない方は、申出いただくことにより、自衛隊へ提供する情報から除外しています」と説明が書かれてあります。

 市民には電子データで募集対象者の住基4情報が自衛隊に提出されていることを知らされていません。閲覧の場合は、閲覧の請求事由の概要又は利用目的の概要とその範囲などがホームページで公表されています。そこでの一例をあげれば、「自衛隊兵庫地方協力本部から陸上自衛隊高等工科学校の生徒募集に関する案内を送付するための対象者抽出、令和3年5月18日・ 20日、15~16歳男、市内全域、938件」という具合です。

 100歩譲って電子データで情報を提供するならば、他の多くの自治体で行われている「除外申出制度」

感染と物価高騰から市民の暮らしと営業を守るための要望書を提出しました

 5月20日、「新型コロナウイルス感染と物価高騰から市民の暮らしと営業を守るための要望書」を提出しました。

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2022年5月20日

伊丹市長 藤原保幸 様

新型コロナウイルス感染と物価高騰から市民の暮らしと営業を守るための要望書

 日本共産党伊丹市議会議員団
 上原秀樹 久村真知子

  藤原市長におかれては、新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、市民の暮らしと営業を守るためにご尽力されていることに敬意を表します。

 さて、新型コロナウイルス感染状況は第6波時に比べて一定落ち着いていますが、予断を許さない状況には変わりません。一方、ロシアによるウクライナ侵略等の影響に加え、自公政権の経済政策「アベノミクス」のもとでの「異次元の金融緩和」による異常円安が原材料や燃料などの価格を吊り上げ、食料品などの物価高騰によって新型コロナウイルス感染症の不安に加えて市民の暮らしと営業に追い打ちをかけています。

 よって、市長におかれては、下記の点での緊急対応を行うとともに、6月補正予算において国の臨時交付金と財政調整基金などを活用し、市民の暮らしと営業を守る対策を取られることを要望します。

1.原材料・事業用燃油等の価格引き下げのための助成、もしくは価格高騰に対する中小事業者への助成を行うこと。

2.中小事業者に対する家賃補助など、直接的な支援を行うこと。

3.上下水道料金等公共料金の減額、免除を行うこと。

4.給食費の値上げを抑制するため、食材等の高騰による学校給食への影響を軽減するため助成を行うこと。学校給食費における保護者負担の減額、免除等を行うこと。

5.5月補正(専決)における子育て世帯生活支援特別給付金、非課税世帯等に対する臨時特別給付金に対して、対象の拡大等、伊丹市として上乗せをするなど低所得者世帯への支援を行うこと。

6.総務省による「公立病院経営強化プラン」では、病院統廃合から「経営強化」に重点を移し、コロナ禍で公立病院と急性期病床の役割が重要となったこと等が指摘されている。従って、近畿中央病院の跡地への医療機関誘致に関して、改めて急性期病床を含む医療機関の誘致を検討すること。

7.国に対して次の点を要望すること。

 ①消費税の5%への減税とインボイス制度の中止。
 ②中小企業への支援を行なうことと合わせ、最低賃金を1,500円に引き上げる。
 ③年金の減額中止、後期高齢者医療での2割負担の中止。
 ④男女における生涯賃金1億円の格差を是正するための対策。
 ⑤学校給食の無償化。

日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告 2022年春号

日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告 2022年春号

市民との共同で、2022年度予算で実現
子どもの医療費 中学3年生まで無料に

 日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告 2022年春号(PDF)

日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告2022年春号1面
日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告2022年春号2面

[1面]

 党議員団が議会のたびに求めてきた子どもの医療費が、7月から中学3年生まで無料になります。ただし所得制限付き(保護者の市民税所得割額23. 5万円、4人世帯でおよそ収入811万円、約75%が無料)です。党議員団は、所得制限の撤廃と高校3年生までの無料化実現を求めました。

保育所待機児童解消 前進
 保育所待機児童の解消に向けて210名分の保育所整備予算が計上されました。

若者の就労 支援
 若者就労支援事業として、市内在住かつ市内で働く30歳までの若者が学生支援機構等の奨学金返済中の場合、年間返済額のうち自己負担分の2分の1の範囲内で最大6万円を3年間助成されます。

国保税の子どもの均等割り 半額に
 党議員団が議会で要求してきた国保税の未就学児の均等割りが半額になります。対象世帯は750世帯、999人。引き続き均等割りをなくし、国保税の大幅な引き下げを求めました。国保税は9年連続据え置きです。

児童くらぶ、保育士の待遇改善 一歩前進
 児童くらぶ指導員や保育士などのエッセンシャルワーカーの賃金が引き上げられます。今までこれらの職種の賃金が極めて低いことを問題としてきました。今回はその第一歩。党議員団は引き続きさらなる賃金の引き上げを求めました。

市営住宅にエレベーター 設置
 議会で何度も市営住宅の耐震補強や修繕、エレベーターの設置を求めてきました。このたび玉田団地6号館及び9号館にエレベーターが設置されることになりました。また、山道団地3号館、荻野団地1、2、3号館、天神川団地3、5号館、鶴田団地1、2号館の耐震補強、屋上防水改修などを行います。

JR伊丹駅前トイレ 改修
 市内公衆トイレが暗い・怖い・汚いという声を議会でも紹介し、改修を求めてきました。予算には実施設計が計上され、2023年度にJR伊丹駅西側、カリヨン塔の南側に新たにトイレが設置されます。党議員団は、引き続き阪急伊丹駅南側トイレなどの改修も求めました。

ジェンダー平等の社会実現に前進
 男女共同参画課が復活します。また、痴漢防止対策として「痴漢は犯罪です」のポスターが掲示されることになりました。

ロシアによるウクライナ侵略中止を

[2面]

市民の暮らし、営業を守れ  積極的に提案
日本共産党議員団―2022年度予算審議

コロナ感染対策拡充を
 「まん延防止等重点措置」が解除されたとはいえ、第5波のピーク時の約1.5倍前後の感染者数です。保育所が休園となった場合の「代替保育所」の設置、PCR検査の拡充、生活困窮者や小規模事業者への独自支援策を求めました。

近畿中央病院の跡地に 急性期病床の医療機関誘致を
 コロナ禍で感染者が入院できたのは急性期病院。伊丹市は病院の統合再編で急性期病床を200床も減らす計画です。コロナ禍の教訓を踏まえて県地域医療構想を見直し、近畿中央病院の跡地に急性期病床を含む医療機関の誘致を求めました。

地方財源の増額を国に求めよ
 国は前年度並みの地方一般財源は確保したと言っています。しかし、地方自治体では新型コロナ対策や高齢者・子どもなどに対する社会保障経費の増、公共施設・道路等の修繕費用などの重要は高まっており、余裕のない財政運用を余儀なくされています。「前年度並み」ではなく増額を国に求めるよう要望しました。

年度途中の保育所待機児童の解消を
 毎年4月1日には待機児童を解消しているとされていますが、年度末には700人を超える待機児童が発生します。認可保育所の増設とともに、年度途中の待機児童は「公立」が担って解消することを求めました。

安心・安全な市営住宅を
 党議員団の要求で新たに玉田団地にエレベーターが設置されますが、他の市営住宅へのエレベーター設置と各室内の改修も要望しました。

障がい者(児)医療費の軽減を
 伊丹市の障がい者(児)医療費の減免制度に関して、身体障がい1、2級を4級までに、療育医療費A判定をB(1)までに、精神医療1級を2級までに拡充することを求めました。

気候変動危機打開に全力を
 伊丹市は「ゼロカーボンシティ宣言」をしていません。全国598自治体、総人口に占める割合が90.7%(2月末現在)の自治体が「宣言」をしています。「宣言」をすることで市民参加を進めカーボンゼロをめざすことができます。

ジェンダー平等社会の実現を
  市が責任をもってジェンダー平等政策を推進するため、男女平等
参画センター(ここいろ)の直営化と男女共同参画条例制定を求めました。

2022年度予算 ここが問題
コロナ感染症対策 市の独自施策なし
 党議員団は、高齢者施設や学校、就学前施設などでのPCR検査拡充、困窮世帯や事業者への独自支援を求めましたが、市の施策は、遅れに遅れた国の対策の範囲内でしかありません。

相変わらず「同和教育」の推進
 「伊丹市人権教育・啓発推進に関する基本方針」の改定で、同和問題に関する市民の差別意識の解消のための教育・啓発を継続する問題です。アンケートにおいても実体のない「いわゆる同和地区」という表現を使うことによって、あたかも同和に関する差別がいまだに根強いという印象を市民に与えます。実体的差別がほとんどない中で、差別意識をことさら強調する同和教育は必要ありません

文化保護行政の管轄を教育委員会から市長に移管
 文化財保護における権限は、収集・保管・展示・教育・調査・研究という基本的な機能は市長の権限とは分離され、市長の権限に束縛されない、自由で自律的な学芸活動として展開されてきました。市長に権限を委譲することで、専門性、政治的中立性が担保される保障はありません。

児童くらぶの育成料引き上げ
 伊丹市立児童くらぶ条例の一部改正の提案では、2 0 2 3 年度から月額育成料6,200円を8,000円に引き上げ、延長時間に応じて午後5時から午後6時までが1,800円、午5時から午後7時が3,600円と区分されていた育成料を一律3,000円にするものです。
 その理由は、指導員の処遇改善や長期休業中の昼食提供とされますが、これらの改善を育成料の引き上げによって行うということは、サービスを良くすればよくするほど保護者の負担を増やすというやり方であり、この受益者負担の原則は子育て支援策、福祉行政としてはなじみません。

アイホール(演劇ホール)事業の縮減
 アイホールの存続が危ぶまれています。当面3年間は継続することとなりましたが、今まで公演等の事業が36事業あったのを10事業にして事業費削減、自主事業をなくして貸館中心の管理に伴い職員を10名から6名に削減するなどで経費を3,300万円削減する提案がされました。しかし、アイホールは30年以上の歴史の中で「関西小劇場の聖地」の地位を築き、優れた演劇文化を発信するとともに、中高生などの学びの場としての機能も発揮してきました。自主事業の廃止などこれらの機能を縮小することは質の高い文化の発信と市の文化振興策の縮減につながります。