上原秀樹:2021年3月議会一般質問 新型コロナ/少人数学級/給食費

2021年3月議会 一般質問

日本共産党議員団 上原秀樹

1.新型コロナウイルス感染対策について

1)ワクチン接種と感染対策の基本的取り組みを同時並行で

 新型コロナウイルス感染の状況は、兵庫県も伊丹市も一定の落ち着きを見せ、2月末をもって緊急事態宣言が前倒し解除されました。しかし、厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」が前倒しの宣言解除について“リバウンド”への危機感を示しています。一方、ワクチン接種が始まりました。ワクチンは感染収束への有力な手段ですが、未知の問題を多く抱えています。厚生労働省も、ワクチンによる発症予防効果は臨床実験で確認されたが、感染予防効果については「明らかになっていない」としています。ワクチンの効果が長期にわたって続くかどうかもわかっていません。変異株のなかには抗体がきかない「逃避変異」もあるとの指摘もあります。神戸市の調査によると、陽性者のうち変異株ウイルスの割合が50%を終えていることも明らかになりました。ワクチン接種が始まっても、社会全体での効果が確認されるにはかなりの時間がかかるというのが、専門家の一致した指摘です。また、「ワクチンがいつ、どれだけの量が届くか」は自治体が最も知りたい情報ですが、これがさだかではありません。自治体への迅速で正確な情報伝達、財政支援の大幅な拡充が必要です。

 従って「ワクチン頼み」になって、感染対策の基本的取り組みがおろそかになったら、大きな失敗に陥ることになります。

 現在、兵庫県でも伊丹市でも、新規感染者数の減少に伴って、検査数も減少しています。新規感染者数が減少し、検査の能力に余裕ができたいまこそ、検査によって感染を抑え込むことが重要と考えます。

 いうまでもなく、コロナ感染の特徴の一つは発症する前に、あるいは無症状で感染することにあり、知らないうちに感染が広がることです。日本の今までのやり方は、新型コロナの市中感染をある程度容認しながら経済活動を継続させようとして、GOTOトラベル・キャンペーンを行う、流行を完全に封じ込めないがために、何度も感染が広がり、そのたびにロックダウンや緊急事態宣言発令に追い込まれる、というものです。結局この方法を繰り返せば、再び経済活動が止まり、国民は大きなダメージを抱えることになります。

 感染を抑え込むためには、感染予防効果が「明らかになっていない」と言われるワクチン接種と同時並行で検査体制を拡充し、無症状の感染者を見つけ出し、ホテルや病院に保護・隔離して、療養・治療すること以外に方法はありません。政府の新型コロナウイルス対策本部分科会の尾身茂会長も「感染リスクの高い場所や集団において無症状者に焦点を当てた積極的な検査を、しかも頻回にやることが重要。ぜひ解除した都道府県にやっていただく。このことが変異種のモニタリングにも役立つ」と述べています。

 厚生労働省は先月初めに、特定都道府県に対し、感染多数地域における高齢者施設への定期的なPCR検査を行うよう通知しました。兵庫県の場合、(1)濃厚接触者は無症状者も含めて検査を実施(2)医療機関や社会福祉施設、学校などで陽性患者が確認され、クラスターの発生が懸念される場合には、濃厚接触者以外にも関係者を対象として検査を実施(3)国の接触アプリ「cocoa」の利用者で、陽性患者との接触があったなどの通知を受けた方のうち、希望者にPCR検査を公費負担で実施、となっていて、網羅的な定期的な検査体制はありません。東京・世田谷区などの全国に自治体ではすでに社会的検査やスクリーニング検査が行われています。

 そこで、伊丹市として国・県に網羅的で定期的に社会的検査を実施すること、自治体が行う検査への100%助成制度などを求めるとともに、感染が落ち着いている今こそ、市独自施策として検査を行うことが必要と考えます。具体的には、①高齢者施設や障がい者施設、保育所等のクラスターが発生しやすい施設でスクリーニング検査等の社会的検査を行う②学校や職場で集団感染が発生した際に、行政検査の対象外とされた希望者に市費で検査をするという提案ですが、見解をお聞きします。

2)飲食店等への自粛要請に対する補償の上乗せなど、事業者への支援を

 緊急事態宣言は解除されましたが、感染防止のため引き続き飲食店等へは時間短縮の自主が要請されています。協力金も1日6万円が4万円に減額されることにもなりました。自粛に応じた店から「1日6万円はありがたいが、入金されるまで店が持つかどうかわからない」「協力金が入ったら何とか維持できるが、その後の展望がない」「1日6万ではとてもやっていけない。家賃も払えない。規模に応じた補償が必要」などの声が寄せられています。

 そこで、伊丹市内の飲食店で、自粛に応じた店舗数はいくつあり、規模や営業形態によっては1日6万円の補償ではとても続かないとみられる店舗数はいくらくらいあると予想されるのかお聞きします。また、国の補償だけでは営業が困難なところへの市独自の追加補償や以前行われた家賃補助などの対策をするべきと考えますが、見解をお聞きします。

2.すべての子どもに豊かな学びの保障を

1)少人数学級への独自の対策を求める

 この問題では、先だって同趣旨の質問がありましたが、改めて以下、質問をします。

 新型コロナウイルス感染症の影響で、分散登校により少人数学級のよさが再確認されたことや学校での密集・密接回避や不安を抱える子ども一人ひとりへのきめ細やかな支援が求められる中、義務標準法の改正で、来年度から2025年度までの5年間で小学校6年生まで35人学級が実現することになります。40年ぶりの学級規模の引き下げです。しかし、5年間かけての小学校だけでは不十分との声が上がっているところです。

 この中で、全国15道府県では、独自に少人数学級への拡充がされることも明らかとなりました。群馬県では、今まで小1,2年生は30人学級、小3,4年生と中1が35人学級だったのを、来年度から小中学校全学年に35人学級を拡充します。残念ながら兵庫県での拡充はありませんが、明石市では来年度から中学1年生で35人学級を導入すると発表されました。その効果として、中学スタート期の「子に応じたきめ細やかな教育」、「中1ギャップ」や不登校の解消などをあげています。
 そこで、伊丹市としても可能な限り、いずれかの学年から35人学級を独自に導入することを求めるものですが、見解をお聞きします。その際、例えば来年度、中1を35人学級とした場合の費用はいくらになるのかもお聞きします。

2)学校給食無償化に向けて一部助成への取り組みを求める

 全国の自治体では、コロナ感染拡大の以前から、学校給食の無償化や一部助成など様々な取り組みが行われています。義務教育なのに無償化ではない理由は、憲法第26条第2項に義務教育の無償が規定されているものの、その範囲は授業料および教科書としているからです。文部科学省が初めて調査し、2018年7月に公表した、自治体における「学校給食費の無償化等の2017年度実施状況」によると、1740自治体のうち、82自治体が無償化を、一部無償化や一部補助については424自治体で実施していると報告されています。兵庫県内では相生市が無償化され、その後明石市も無償化に踏み切りました。

 この文部科学省の実施状況調査では、無償化等を実施している自治体から出された、大変多くの積極的意見やメリットについて報告されています。たとえば、無償化を開始した目的には、「食育の推進」や「保護者の経済的負担の軽減、子育て支援」などを挙げており、成果の例としても、「安心して子育てできる環境の享受」や「食材高騰による経費増加の際にも保護者合意を経ずに措置が可能」と、保護者のメリットや自治体のメリットについても紹介されています。さらに、一部無償化の具体的内容についても紹介されています。第2子以降の無償は7自治体、第3子以降は91自治体、第4子以降は6自治体、その他ひとり親家庭の児童や小6や中2だけといった特定学年を対象として無償化を実施している自治体が15自治体など、多様な在り方を紹介しています。就学援助制度がありますが、伊丹市の中学校給食費は年間5万5,000円になり、負担は少なくありません。

 そこで、全国で広がっている自治体の挑戦や努力の取り組みについて、市長はどのような感想をお持ちでしょうか。また、伊丹市としても、保護者の負担が大きい中学校給食から、無償化をめざしながら、何らかの形で一部助成に取り組むことを求めますが、見解をお聞きします。

(2回目)

1.新型コロナウイルス感染対策について

「新型コロナウイルス対策で二つの問題に限って質問しました。
 国政では2021年度政府予算案が賛成多数で衆院本会議で可決されましたが、感染が収束しないコロナへの対策は全く不十分で、国民の命と健康、暮らしを守るには程遠い予算です。衆院採決の際、日本共産党と立憲民主党は、医療機関の減収補填(ほてん)などの経済支援、感染再燃防止のための検査拡充、生活困窮者への1人10万円の給付金、持続化給付金の再給付などの組み替え案を共同で提出しました。問題の5兆円の予備費に関しては、一定の予備費は必要ですが、巨額の予備費で対処するのは、国の歳出は国会で議決するという財政民主主義からも問題です。

 このような国の極めて不十分なコロナ対策の下で、いかに市民の命と健康、暮らしを守るのかが問われるところです。」→時間の関係で省略

 PCR検査体制については、網羅的で定期的に社会的検査を行うための市独自の検査体制を求めました。兵庫県では「集中実施計画」において一定の社会的検査が行われるということです。また、国の方でもやっと5日の会見で、宣言解除の地域で、高齢者施設等での社会的検査の拡充や無症状者に焦点を当てた市中の感染源発見のための検査を明確に位置付けました。野党が予算組み換えで求めたものです。今後はさらなる徹底した感染の抑え込みのための戦略が必要です。先ほど検査に関する二つの提案は、実際に埼玉県・蕨市で来年度予算に提案されているものです。今後の検討を求めておきます。

 事業者への支援に関しては、自粛協力金1日6万円は助かるという意見はもちろんあります。しかし、すべてがそれで十分とはなっていません。「goto伊丹キャンペーン」などの経済対策は、人が動けば感染は広がるのは当然なので、ソーシャルディスタンスのとれる範囲で経済対策を行い、検査体制の拡充と合わせて感染を封じ込める、その間は事業者への補償を重点的に行うということを行う必要があります。改めて、市長に対して、この問題対する基本的見解をお聞きします。

2.すべての子どもに豊かな学びの保障を

1)少人数学級への独自の対策を求める

 少人数学級は、学力のみならず、子ども一人ひとりを丁寧に育てるために必要な条件です。

 コロナ禍の分散登校での一時的な20人以下の学級で、教師からは、暗記型でない、みんなで深く考えあう豊かな授業がされたとの感想がだされました。子どものケアという点でも、教員は子ども一人ひとりの個性を理解し、子どもの変化を感じ取りながら向き合えます。子ども同士の関係も、安心で落ち着いたものになります。分散登校の時、不登校の子どもが教室に顔をみせたと各地で語られました。

 こうした良さが実感できたからこそ、「今度こそ少人数学級」の声が全国に広がったのです。先日、大阪・高槻市では、小学校全学年で35人学級が行われていますが、2022年度から中学1年生から順次35人学級を実施するとの発表がされました。大阪府内では富田林市に次ぐものとなります。

 全国で40年ぶりの定数改善がされたことは一歩前進ですが、今回の不十分さの根底には、教育にお金をかけない政治の姿勢があります。国内総生産(GDP)比で見ると、経済協力開発機構(OECD)加盟諸国で最低クラスの教育予算水準は変わりません。少人数学級の効果は自明で、それを示す国内外の研究もあり、他諸国では20人程度の学級は当たり前となっています。日本の政治の責任が問われます。

 そこで教育長は少人数学級の効果と日本の教育行政についてどのような認識をお持ちなのか、さらに、中学校1学年での35人学級にはおよそ9人必要との答弁ですが、教室に一定余裕のある中学校1年生からでも35人学級に踏み出すことを求めますが、あわせて見解をお聞きします。

(3回目)…要望→大幅に省略

2.すべての子どもに豊かな学びの保障を
1)少人数学級への独自の対策を求める

 35人学級をはじめとする少人数学級の教育的効果に関しては、今議会で会派を超えて質問がされ、教育長はその効果を十分理解されていることも答弁でよく理解できました。効果が大きいことを強調されたわけですから、国に対する要望を強めるとともに、先に答弁されましたハードルをどうクリヤーしていくのかを前向きに検討していただき、是非市独自の少人数学級をできるところから実現されますよう強く求めるものです。

2)学校給食無償化に向けて一部助成への取り組みを求める

 義務教育は「無償」のように見えて、実は保護者の私費負担が多いという現状があります。文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」では、保護者が1年間で負担する具体的な数字を出しており、平均して子ども一人当たり、公立小学校では学校教育費が63,102円、学校給食費が43,728円、公立中学校では、学校教育費が138,961円、学校給食費が42,945円です。特に中学校での負担が大きくなっており、そのうち給食費は3分の1を占めています。就学援助制度がありますが、伊丹市における4人世帯の所得基準が284.3万円(給与収入では410万円)となっており、最低生計費試算調査の「子育て世帯」の結果を発表した京都総評の試算によると、中学生のいる4人世帯が“普通”に暮らすために必要な金額は、年額660万円万円とされています。「“普通”に暮らす」という試算には様々な要素はあり、一概には言えませんが、「就学援助制度」の対象外となる世帯では、年間で5万円を上回る学校給食費の負担が重いという家庭はあると考えられます。

 答弁では、慎重に検討するとのことですので、まずは負担の多い中学校から、最初は全額ではなくても、一部助成から始めていただくことを求めます。

日本共産党伊丹市議団ニュース376号を発行しました

pdfアイコン 日本共産党伊丹市議団ニュース376号

日本共産党伊丹市議団ニュース376号1面

日本共産党伊丹市議団ニュース376号2面

 新年あけましておめでとうございます
 新型コロナウイルス感染拡大の「第3の波」の深刻な危機が起こる中で新しい年を迎えました。菅政権は「医療崩壊」の危機、雇用と事業の困窮という深刻な事態に対して、無為無策と逆行というほかない有様です。伊丹市においては、党市会議員団がコロナ感染対策でこれまで14回にわたる切実な市民の声を届けてきました。先の12月議会でもPCR検査の拡大と暮らしと営業を守る市独自施策を要求しました。しかし、残念ながら藤原市政はこれに応えようとしません。
 今年は総選挙が行われる年です。菅政権が「無為無策」で感染防止に逆行の政治を続けるならば、政権を変えるしかありません。日本共産党は、今度の総選挙で野党連合政権をめざすことを決め、他の立憲野党と国民に呼びかけました。そのために市民と野党の共闘を広げるとともに、その要となる日本共産党を、特に比例代表選挙で躍進させていただくために全力を尽くします。
 また、4月には市長選挙が行われます。公立幼稚園の統廃合や病院の統合再編を進め、子どもの医療費無料化に背を向ける市政を変えるために、力を尽くします。今年もご支援をよろしくお願いします。
 みなさんの益々のご発展とご健勝を祈念いたします。

2021年元旦

日本共産党伊丹市議会議員団
上原ひでき 
ひさ村真知子

【2面】

市政報告会
1月23日(土)午後2時~
アイホール カルチャールーム
主催:くらしとまちに元気を伊丹市民の会

2020年12月議会終わる

2020年度12月議会が12月3日から23日まで、21日間の日程で開催されました。

 12月補正予算では、コロナ対策としては感染防止資機材の整備などにとどまり、デジタル化推進事業やマイナンバーカードを健康保険証として利用するためのシステム改修などが盛り込まれ、市民の暮らしや業者への支援はありませんでした。
 党議員団はPCR検査拡充や暮らしを応援する施策を提案して奮闘しました。

12月議会 請願(核兵器禁止条約 当面35人学級)に賛成討論

 12月議会には2件の請願書が提出されました。党議員団は、2件とも紹介議員になり、委員会、本会議で採択を求めて討論をしました。
 残念ながら、2件とも不採択となりました。
 以下は、終日に行った2件の請願に対する賛成討論です

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2020年12月議会 請願討論(12月23日 本会議)

日本共産党伊丹市議会議員

 議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、議題となりました請願第4号及び第5号に対して賛成の立場から討論します。

請願第4号「核兵器禁止条約への日本政府の署名と批准を求める意見書提出を求める請願」

 はじめに、請願第4号「核兵器禁止条約への日本政府の署名と批准を求める意見書提出を求める請願」ついてです。

 本請願は、核兵器禁止条約の批准国が50カ国に到達し、条約はその規定により、90日後の来年1月22日に発効することとなったことに伴い、改めて、唯一の戦争被爆国である日本政府がすみやかに核兵器禁止条約に署名と批准することを求める意見書の提出を求めるものです。

 全20条からなるこの条約は、前文で国際関係における武力の威嚇と行使を排除した国連決議と各国軍備からの原子兵器の一掃に合意した国連総会第一号決議を想起し、また、被爆者や核実験被害者の被害を「受け入れがたい」ものと断じています。続く第1条で、核兵器の開発、実験、製造、保有、使用、威嚇からさらに自国の管理下への核兵器の配置の許可に至るまで、すべての活動を違法としました。

 核保有国や日本などの「核の傘」の下にある国は、この条約には参加していませんから、守る義務はありません。しかし、国際的な法には国の行動を変える力があります。たとえば、生物兵器禁止条約や化学兵器禁止条約、対人地雷禁止条約などができてからは、参加していない国も、この種の兵器は簡単に使えなくなっています。核兵器禁止条約が発効した下で、核軍備を増強したり、ましてや核兵器を使ったりすれば、国際的な非難は一層大きくなるでしょう。まさに禁止は、廃絶への重要な一歩であり、「核兵器の終わりの始まり」です。

 今後、発効1年以内には締結国会議が開かれ、条約参加国が「核軍備縮小のためのさらなる措置」について検討し、決定されます。また、来年夏には延期された核不拡散条約再検討会議が開かれ、核保有国も参加します。この条約の第6条は、核軍備縮小撤廃の交渉を行うことを義務付け、2000年には核兵器保有5大国が、核兵器廃絶の「明確な約束」などに合意しています。この約束を果たすことが核兵器保有5大国に求められますが、禁止条約の発効が「追い風」となることは間違いありません。

 このような核兵器禁止に向けて加速している国際情勢の中で、唯一戦争被爆国である日本政府は、禁止条約に背を向け続けています。いつも核保有国と非保有国の「橋渡し役」と言っていますが、先の参議院での国会論戦で、管首相は、アメリカの「核抑止力」が必要だから条約には署名しないと答弁しています。第2次安倍内閣から菅内閣までの7年間で見ても、アメリカの「核の傘」頼みの外交で、何が解決したというのでしょうか。核兵器禁止条約に反対する人たちは、この条約が「核保有国と非保有国の溝を深める」と言っておられますが、核兵器禁止への世界的な流れを止める深い溝を自ら作り、追い詰められている核保有国への「助け舟」になっているにすぎません。

 アメリカのペリー元国防長官は、「米国防長官がなぜ核廃絶支持に至ったか」と題された論文で、1962年のキューバミサイル危機や77年の米警戒システムの誤作動による核戦争の瀬戸際を自ら体験し、「米国の抑止政策は、文明終焉を招く核戦争を防ぐには不十分」との教訓を得たと指摘しています。そして、「大規模な核戦争が恐竜絶滅と匹敵する絶滅イベントにつながりえるとの警告は誇張ではない」とし、核廃絶の「重大性はあまりにも大きく、あきらめることはできない」と強調していますが、自らの体験に基づく重要な発言です。

 日本世論調査会が6~7月に行った世論調査では、日本も核兵器禁止条約に「参加すべきだ」と答えた人は72%に上りました。また、12月12日現在で、522の自治体議会で条約への参加、署名・批准を求める意見書が採択されています。兵庫県下でも、藤原市長や県知事をはじめ、すべての首長が核兵器禁止条約の締結を求める署名、すなわち「ヒバクシャ国際署名」に署名されています。

 伊丹市の「平和都市宣言」では、「世界は恐ろしい核兵器をなくし、むごたらしい戦争のない社会をつくろうと、ようやく歩み始めました」と書かれています。伊丹市議会が、1990年9月14日にこの宣言を採択して以来、ちょうど30年になりました。今、まさに「恐ろしい核兵器」をなくす第1歩が記されようとしているのです。このことからも、伊丹市議会として、核兵器禁止条約の署名・批准を日本政府に求める意見書を採択する意義は大きいと言えます。

 よって、本請願の含意は妥当と考え、賛成するものです。

請願第5号「小学校5年生から中学校3年生まで、当面35人学級の実現を県に要望することを求める請願書」

 次に請願第5号「小学校5年生から中学校3年生まで、当面35人学級の実現を県に要望することを求める請願書」についてです。

 請願趣旨にもありますように、子どもたちが豊かな人格と、しっかりとした学力を身に付けることが市民の大きな願いです。一方先生方は、日々の課題に追われ大変忙しい学校生活の中で、今回のコロナ禍での子どもの命の安全を守ることに正面から向き合い、大変な思いをされています。限られた広さの教室の中で三密を避け安全な空間を保つには、現状の40人学級では難しいのです。多くの子どもたちはストレスを感じているといわれています。少人数学級による教育の環境改善の声はコロナ禍を経験し、全国の保護者、教員に広がってきました。このような中、兵庫県議会を含め、全国17道府県で少人数学級を求める請願が可決されています。そしてこの度、ついに政府も12月17日、小学校全学年に35人以下学級を導入すると発表しました。しかしながら、政府案では、2025年度でなければ、小学校全学年に35人学級は実現できません。早急に兵庫県において、5年生6年生とともに、中学校3年生まで35人学級が実施されることを強く願うものです。

 よって本請願は妥当と考え賛成するものです。

 

 

久村真知子:2020年12月議会 一般質問 無料低額宿泊所/子どもたちへのセクハラ

2020年12月議会 一般質問

2020年12月8日

日本共産党議員団 久村真知子

1.無料低額宿泊所の利用に関して

 家賃が払えずにアパートからでなくてはならないなどの理由で路上生活を余儀なくされた人などが、多くなってきたような時期に、社会福祉施設として無料低額宿泊所が作られてきました。

 伊丹市内にはそのような施設はありませんが大阪、尼崎市内にはあります。2000年ごろから無料低額宿泊所が急増し、同時に入所者に生活保護を受ける支援を行ったり、その保護費を施設側が何らかの経費の支払いをすれば、ほとんど手持ち金はなくなってしまう、という貧困ビジネス問題が起こりました。それを防ぐために、大阪府、埼玉県、さいたま市などは独自に貧困ビジネス規制条例等を制定しています。

 伊丹市からも施設を利用していますので、その施設に生活支援課からの紹介で入所されている方々がおられます。なれ親しんだ伊丹市から大阪や尼崎市へ行き、親しい人からも離れなければならなかった方々は大変さみしい思い不安な気持ちではないかと思います。

 ある方が相談に来られたのですが、その方は、現状住んでいるところから家族の病院費用の為マンションを売ることになったのでどうすればいいかという事でしたが、生活支援課で相談するよう紹介しました。出ていくための費用がなかったので相談されましたが、その時点で無料低額宿泊所を紹介され入所手続きを進めてられたようでした。その方は大阪の方へ行かれましたが、その後連絡ができていませんので、私には状況がわからないのですが、家の事や家族のことがどうなったのか気がかりです。

 このように転居費用がない方は施設への入所をすすめているのが、伊丹の現状となっていると思います。

 入所してもそこへ長くとどまらずに、伊丹へ帰り居宅生活ができるならば、一時的に入所してもらうのは仕方ないのかもしれません。しかしいったん入所すればなかなか伊丹へ帰れていない状況のようです。居宅での自立した生活ができるようになるには大変な時間がかかっているようです。

 このような施設に長期に滞在することは、貧困ビジネスを助長していることになるのではないかと気にかかります。そのうえ施設の生活で、憲法25条で保障されている「健康で文化的な生活」が送れているのか。自分の趣味を活かしたり、友人との交流、地域との交流などは生きがいにつながりますが、そのような生活ができているのか大変疑問に思います。

 また伊丹市の生活支援課の具体的支援でどの様に自立した生活が実現できるようになっているのか、また入居者は、その様な方針に沿ってどのような生活を行い、どのような体験をし、また本人はどの様に考えておられるのかは外からではまったくわかりませんので、少し細かくなりますがお伺いしたいと思います。

① 初めに「住んでいるところを出なければならない」と生活保護の申請や相談に来られて方にたいして、本人は居宅を望んでいても、入所を勧めるのは、どの様な基準で考えるのか。本人の意思についてはどの様に考えているのか。お伺いしておきます。

② 現状で無料低額宿泊所に入所している方々は、それぞれ何人で、また滞在日数は、最短、最長はどうでしょうか。

③ 施設の待遇や設備についてですが。

 食事はどのような形で行われているのか、その内容はどうなのでしょうか。

 また、毎日の生活をするうえで、居室は大変大事なものですが、国の方では居室の広さなど等の基準を決めているようです。家賃は、生活保護の基準を支払っていると思いますが、部屋の広さは家賃に見合っているのか、風呂トイレ、暖房や冷房等安心して生活できる状況となっているのでしょうか。お伺いいたします。

④ また生活するうえで生活保護費の使い方は生死を分けるのにつながりますが、施設での、家賃、食費その他の経費の支払い内容はどうなのか。手持ち金はどのくらいになるのかでしょうかお伺いいたします。

⑤ 入居が結構長いのではないかと思いますが、本来の目的は自立した居宅生活だと思いますが、入居されて居宅生活を望んだ方や居宅生活ができる人には、家を探すことや家を借りる資金などの必要経費の請求手続き等は、希望通り行っているのでしょうか。

⑥ 相談に訪れた方への説明をするときには、生活保護法第30条に沿っての説明もするべきではないかと思います。

 保護の方法としては、生活扶助は居宅において行うものとすると初めに書かれています。第二項の但し書きの規定については、被保護者の意に反して、入所又は養護を強制することができるものと解釈してはならないとも書かれています。この条文に沿っての支援が本来の在り方であり、本人の希望に沿うように支援すべきと思いますが、そのような説明はされていないのではないかと思います。

 ですから毎回懇切丁寧な説明を行いと言われますが、説明が長くなればなるほど、転居費用や手持ち金がなければ、支援課のすすめるままに動かなければならないとほとんどの方は思われると思います。

 窓口に相談に行くだけでも皆さん切羽詰まり落ち込んでおられますから、自分の意見を言うことはあまりされないようです。

 ですから相談の中で、本人の本音や希望を聞き出すことは結構難しいことだと思います。

 最近改めて国の方でも、「生活保護は権利であり遠慮なく相談するように」とも示されました。ですから今後もコロナ禍の影響を受ける人や、非正規で低賃金の方、年金で生活できない高齢者の方なども、申請の相談に来られるかもしれません。

 申請の権利を認めることは、生活保護法にそっての本人の希望をきちんと聞きくことや、住み慣れた伊丹で安心して生活を送る事を保障することであると思います。しかし無料低額宿泊所に入所をすすめられ入所される方もおられます。

 入所されていた方から施設での暮らしの話を聞きましたら、「長くはいたくないところ」とお聞きしました。その様な思いをさせていいのかと大変気になるところです。申請の権利を認めることを考えますと、本人の意思をしっかりとくみ取りその意思を尊重することではないかと思います。生活が困難になった方への支援の在り方や、今後無料低額宿泊所をどのように利用されるのかが問われているのではないかと思います。人間らしい健康で文化的な生活ができるよう入居者の意見もきちんとお聞きして自立へつながるようにしていただければと思いますが、どの様にお考えかどお伺いいたします。答弁よろしくお願いいたします。

2.子どもたちへの、セクハラ、わいせつ行為を防ぐために

 最近はこのような問題が多く報道さています。被害にあった子どもたちは一生そのことによって苦しめられてしまいます。幼い子女の子だけでなくも男の子も、そのような被害にあっているという事に本当に心が痛みます。

 最近は学校等での児童生徒に対する問題も大きく報道されています。また地域などでも知らない人からの声掛けや露出行為・盗撮などが頻繁に起こっている状況となっています。伊丹での子どもたちが被害者にならないための対策が必要です。

 様々な防止策が必要ですが、
① 初めに伊丹での実態などはどうなのでしょうか。お聞きいたします。

② 子どもへの性犯罪の容疑者は90%以上が知っている人だといわれています。

 性的虐待を受けた子供たちは、被害にあっても声を上げにくいという問題があります。

 理由としては、知っている人から、信頼している人から行われたことに対して、何が起こったのか自覚できないこと。また恥ずかしいから誰にも言わない、周りに心配を掛けたくないと思ったりして、事実を誰にも言わなかったりして、一人で問題を抱え大変苦しい状況となってしまい、時には自殺をしてしまう問題にもなってしまいます。

 中には子どもの時の被害が大人になってから自覚し苦しんだという事もあります。警察に届け出たりしているのは氷山の一角と言われ実際にはもっと多くの被害があるようです。

 ですから性犯罪をなくすためには、被害者は声を上げることが必要と思います。その事も周りの理解などがあってできると思います。子どもたちの一生にかかわることですから、伊丹市としても十分に対策を考えて今なくてはならないと思います。

 一つは子どもたちが声を上げやすい環境を作らなくてはならないと思いますが、どの様にお考えでしょうか。

③ また、自分の体が大切だという認識をしっかり持つための教育が必要だと思います。

 自分の体を勝手に触られたり、強制性交をされたりする場合もあるのですから、その様な知識があってこそ、そのようなことが、どれだけ危険なことかを自覚することができるのではないでしょうか。

 また問題が起こった場合に病院に行くことや警察に知らせること等の対応の仕方に関してもしっかりと知っておく必要があると思います。

 今後、より十分に学び身に付けることが子どもたちの人生を守るためにも必要だと思いますが、いかがでしょうか。

④ このような問題に関して保護者の方や地域の方々また学校での教員の中でも認識をもってもらうことも大いに必要だと思いますがどのようにお考えでしょうか。お伺いたします。

2回目の発言

2.子どもたちへのセクハラ・わいせつ行為をなくすために

 実態についての答弁では、今年4月から11月の8か月間に警察で分かっているのが17件とお聞きしました。付きまとい、露出、わいせつ、盗撮などが、1か月に2件は起きているわけです。

 届けがない分はもっとあるのではないかと思います。

 相談窓口の設置もされていますので広く地域にも周知していただきたいと思います。

 教育委員会も教職員に対しての対策もされていますが、読売新聞の全国調査では、2019年度までの5年間にわいせつセクハラ行為で懲戒処分を受けた公立小中高校等の教員が1030人にもなっていると報道されていました。

 このようなことが起こらないようにお願いしたいと思います。

 しかし学校だけではこの問題を防ぐ事は難しいでしょう。地域での危険な場所や、気を付けること等、学校でも、地域、家庭やそして子ども自身の知識として必要ではないかと思います。

 学校や家庭で安心して相談できる体制や、相談できる友達などいつでも助けを求められるように受け止める体制を作るように学校・地域とともに取り組みを進めなければならないと思います。

 長野県では「子どもを性被害から守るための条例」を作っています。多くの方の意見を寄せて作られています。このような取り組みも必要だと思いますので、日ごろからこの問題での話し合えるような場が学校や地域で必要ではないかと思います。今後もより力を入れていただきたいと要望しておきます。

1.無料低額宿泊所について

 生活保護の目的は、憲法25条に定められているすべての国民に対しての権利、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を国が保証することが定められています。

 その理念に基づき生活保護法の運用がされていると解釈しますが、そのことは私たちの生存権にかかわる問題だと思います。

 相談者に対しては、憲法25条や生活保護法をきちんと守って運用していただきたいと思います。

 特に入所を決定する時十分に説明して本人の了解を得ていると答弁されていますが、先ほども言いましたが、本人の意向を十分に話すことが難しい面もありますが、住居を失う方や失っている相談者への説明の中で、生活保護法30条の説明を行ってはいないと思います。

 30条では「生活保護は居宅において行うものとする。」となっています。しかし、居宅がいいか、施設がいいかなどは聞いてはませんし、いったん施設に入ってくださいと言われています。保護の決定には少し時間がかかっていますので、その間しばらく入所するのは仕方ないと思いますが、先ほどの答弁では23人の方が入所されていますが、最も長い方が8年5か月です。内訳をお聞きしました。

 長い方は1年が3人、2年が1人、3年が2人、4年、5年の方がそれぞれ3人づつ7年が2人、8年が2人でした。他は1年未満の方ですが。

 このように長く入所しているのは、この施設が終の棲家となっているのでしょうか。一時的に入所されているとは思えない状況ではありませんか。本人の希望で継続しているといわれていますが、先ほども言いましたが、居宅での生活保護の原則はどの様にとらえておられるのでしょうか。

 生活保護法の30条第2項には「被保護者の意に反して入所を強制することができると解釈してはならない。」となっています。このことから思いますが、住宅を出なければならない場合の相談で、その方が居宅生活を望む方には当然敷金、仲介手数料など費用の給付が認められるのではありませんか。相談に来られて方はそのようなことは知らずに支援課を頼って相談に来られているのですから、きちんとした対応をすべきではありませんか。

 またケース診断会議で居卓生活ができるか同課の基準を判断するといわれていますが、金銭管理、炊事、洗濯、コミュニケーションが、居宅生活している人でも苦手な人はいますし、本人にそのような質問をされているのは見たことないのですが、保護を受けていなくてもできない人はいます。

 またそのことが施設入所していたらいつになれば完璧にできるのでしょうか。

 何年も入所している方がたくさんおられます。逆に地域との交流もなしに何年も閉ざされた生活をしている方が自立など余計できなくなるのではありませんか。伊丹で生活できるよう入所者の立場に寄り添った対応をきちんとすべきではありませんか。

 生活保護での住宅費に見合うところが見つけにくくなっていますので、市営住宅の空き部屋や市内の空き家などの活用も考えるべきではないかと思います。

 施設での費用内容を私もお聞きしましたが、手元に3万円7万円が残るとは聞いていないのですが。

 その方の話では、家賃4万5千円、朝夕は500円のお弁当で1万5千円、施設全体での介護費用1万5千円(なんの費用かよくわかりません)なのでそれを支払い光熱費は自分で払うので、8万ほどは支払うといわれていました。

 年金のある月は年金が入るまでの月初めは保護費では足らないので、施設側に足らない分は後払いでしばらくは借金をしているという事が繰り返されていると聞いています。

 入所している人はほとんどその様だといわれていましたが、他の施設の方は自炊を当番制でしている、施設内の掃除も当番でしている、手元に残るお金は2万円程で、昼ご飯はないので自分で外で食べたりしているが大変な生活だといわれています。

 十分に食べることもできない、このような生活が健康で文化的な生活と言えるのでしょうか。このような費用の支払いに関しては、きちんと支払いの内訳や領収書など本人が内容のわかるのも受け取れてないようですが、このような施設の運用は、やはり貧困ビジネスにつながっているのではありませんか。

 以前の答弁では「貧困ビジネスによって搾取されてはならない」と言われていますが、このような状況は搾取そのものだと私は感じます。支援課では、施設の管理は良好だと思われている様ですが、きちんと実態を入所者からも聞き改善を申し入れることは必要ではないでしょうか。様々な点での要望としますが、無料低額宿泊所は一時的な利用として保護の手続が決定したならできるだけ早く、転居支援を行うべきです。以上要望といたしますのでよろしくお願いします。

日本共産党伊丹市議団ニュース370号を発行しました

日本共産党伊丹市議団ニュース370号を発行しました

日本共産党伊丹市議団ニュース370号(表面)

日本共産党伊丹市議団ニュース370号(裏面)

pdfアイコン 日本共産党伊丹市議団ニュース370号

9月議会終わる

9月議会が10月5日閉会しました。
コロナ過の中にも拘わらず熱心な市民の傍聴(ネット含)で、熱のこもった議論が展開されました。各議案に対する議員団の態度をまとめて報告します。

2020年9月議会報告

2020年9月議会報告

日本共産党伊丹市議会議員団

1.提案された主な議案

一般会計補正予算(賛成

(コロナ関連)
○医療機関、福祉施設での簡易陰圧テントや除菌装置、マスク、消毒液の購入。
○感染症対応従事者への慰労金の支給…市立伊丹病院、休日応急診療所など。
○市バスへの抗菌・抗ウイルス対策

(その他)
○新庁舎整備事業において詳細設計や市民団体との協議の結果、「低層棟の基礎免震化」や「障がい者対応の充実」などの設計変更を行う。約5億円。
○認定こども園(南西部こども園)整備事業
○防災のIT化…無料通信アプリLINE(ライン)を活用し、迅速な避難支援等を行う。

追加補正予算(賛成

○季節性インフルエンザ予防接種…65歳以上無料化(通常自己負担は1,500円)
 阪神間では伊丹市のみ。

条例等(反対した議案

●第6次伊丹市総合計画基本構想及び基本計画
●伊丹市立児童会館の指定管理者の指定…シダックス大新東ヒューマンサービス(株)に。

2.提出された請願

(会派名の下線部分は討論をした会派)

国に対し「再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を求める意見書」の提出を求める請願(日本国民救援会伊丹支部/紹介議員―日本共産党議員団

(結果) 賛成(9人)…日本共産党議員団討論内容はこちら)、フォーラム伊丹、小西議員
     反対(17人)…新政会、公明党、創政会、斎藤議員
     退席(1人)…高塚議員

幼保無償化から除外された外国人学校幼稚園に救済措置を求める請願(学校法人兵庫朝鮮学園、伊丹朝鮮初級学校/紹介議員―日本共産党、フォーラム伊丹、公明党、小西議員)

(結果) 賛成(15人)…日本共産党議員団討論内容はこちら)、フォーラム伊丹、公明党、小西議員
    反対(12人)…新政会、創政会、斎藤議員

3.2019年度決算に対する態度

○一般会計決算…認定に同意できない(ひさ村議員討論 討論内容はこちら

○病院、水道、工業用水道、下水道のそれぞれの決算に認定できない(消費税転嫁)(上原議員討論 討論内容はこちら

上原秀樹:2020年9月議会本会議 請願第2号(再審法改正)第3号(外国人学校園に救済)に賛成討論

請願第2号 国に対し「刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正を求める意見書」の提出を求める請願、請願第3号 幼保無償化から除外された外国人学校幼稚園に救済措置を求める請願に対する賛成討論

2020年10月5日
日本共産党議員団 上原秀樹

 日本共産党伊丹市議会議員団を代表して、請願第2号及び請願第3号に対して賛成の立場から討論します。

請願第2号 国に対し「刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正を求める意見書」の提出を求める請願

 最初に、請願第2号 国に対し「刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正を求める意見書」の提出を求める請願についてであります。

 本請願は、再審における検察手持ち証拠の全面開示と、再審決定に対する検察の不服申し立て(上訴)の禁止を求めるものです。

 請願の理由にも書かれている通り、再審は、無実の者が救済される最後の砦であり、罪を犯していない人が、犯罪者として法による制裁を受けることは冤罪であります。冤罪は人生を破壊し、人格を否定すると同時に、法制度自体の正当性を失わせるものにほかなりません。冤罪があってはならないものであることは、誰しもが認めるところでありながら後を絶たないのが現実です。

 2010年の足利事件に始まり、布川事件、東電OL事件から、2016年東住吉事件に至るまで、無期という重罰事件の再審無罪が続きました。最近の再審無罪判決では、2003年5月に湖東町の湖東記念病院で、看護助手の西山さんが入院患者の人工呼吸器のチューブを外して殺害されたとされた事件に対し、17年後の2020年3月、2回の再審公判を経て、再審無罪判決を勝ち取った事件がありました。この事件では、当初、1審大津地裁は懲役12年の判決を下し、最高裁まで争いましたが有罪が確定、西山さんは25歳から12年間を刑務所でおくることになりました。2017年12月に大阪高裁で再審開始決定が出されるも、検察が特別抗告、やっと19年3月に最高裁が検察の抗告を棄却して再審が確定、今年3月に無罪となったものです。この事件では、発達障害と軽い知的障害を持つ西山さんに、警察がウソの自白を誘導して書かせ、検察とともに証拠を出さず、一人の女性の人生の一番大事な時期を奪い、冤罪事件として長期化させてきたもので、警察と検察、事実を見極められなかった裁判官の責任は重大です。

 無罪判決を言い渡した裁判長は、西山さんに対し「問われるべきは西山さんのウソではなく、捜査手続きのあり方です」とし、さらに「再審開始決定後、15年後に初めて開示された重要な証拠があります。取り調べや客観証拠の検討、証拠開示、これらが適切に行われていれば、このようなことは起こりませんでした」と述べ、「より良い刑事司法を実現する大きな原動力となる可能性があります」と問題提起されました。

 このように、無罪となった再審事件で、「新証拠」の多くが、実は当初から検察が隠ししていたものであった事実には、心が凍る恐怖を覚えます。無罪証拠が当初から開示されていたら、冤罪は生まれず、当事者の人生は全く別のものになっていたからです。また、再審開始決定に対する検察の即時抗告及び特別抗告による不服申し立て制度がなければ、これほど長期化することにはなりませんでした。この裁判長の問題提起は、まさに本請願の趣旨に合致したものに外なりません。

 したがって、無罪の人を誤った裁判から迅速に救済するためには、再審における検察手持ち証拠を全面開示すること、再審開始決定に対する検察の不服申し立てを禁止することについて、「刑事訴訟法の再審規定(再審法)の改正を求める」ことは含意妥当と考え、賛成とするものです。

幼保無償化から除外された外国人学校幼稚園に救済措置を求める請願

 次に、請願第3号 幼保無償化から除外された外国人学校幼稚園に救済措置を求める請願についてです。

 本請願は、外国人学校、幼稚園を含むすべての子どもが平等に無償で教育を受けることができるよう市として国に対して法整備を進めるように求めるとともに、それが実現するまでの期間、伊丹市が外国人学校幼稚園に通う児童に対して無償化相当となる支援を行うことを求めるものです。

 請願趣旨にも書かれている通り、国は認可外保育施設も含めて様々な形態の教育・保育施設に在籍する3歳~5歳児等の子ども対して教育・保育の無償化を実現しました。しかし、朝鮮学校等外国人学校はその対象から外され、法の趣旨である「すべての子どもが健やかに成長するように支援する」ことが実現できていません。

 各種学校である外国人学校の幼児教育・保育施設に通っている子どもが無償化制度の対象とならない理由に国が挙げている一つは、「幼児教育を含む個別の教育に関する基準とはなっておらず、多種多様な教育を行っており、法律により幼児教育の質が制度的に担保されているとは言えない」とされていることです。

 しかし、運営実態が多種多様であり、質の確保について懸念が指摘されていた認可外保育施設も、改正支援法により新たに無償化制度の対象となったことからすると、教育の多種多様性が、無償化制度の対象となることを否定する合理的理由となり得えません。

 そもそも、「全ての子どもが健やかに成長するように支援する」という支援法の基本理念に照らすならば、外国人学校の幼児教育・保育施設に通っている子どもであっても無償化制度の対象とするのが法の趣旨に適うところであり、外国人学校が各種学校であることを理由に、外国人学校の幼児教育・保育施設に通っている子どもを無償化制度の対象から除外することは、憲法14条「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」、子どもの権利条約2条1項「締約国は、その管轄の下にある児童に対し、児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する」など、憲法と国際条約が禁止する差別的取扱いに該当するおそれがあります。

 従って、外国人学校における幼児教育・保育施設に通う子どもが、他の無償化制度の対象となる施設に通う子どもと同様の支援を受けるための必要な措置が速やかに行われることが必要です。この点では、昨年11月27日に開催された衆議院文部科学委員会において、文部科学大臣は、無償化制度の対象になっていない各種学校を含めたいわゆる幼児教育類似施設が各地域に固有の様々な歴史的な経緯を経て、現在も地域や保護者のニーズに応え重要な役割を果たしていると考えられることから、国と地方が協力した支援の在り方について年内を目途に検討していると答弁しています。しかし検討の内容は見えていません。

 よって、請願項目の1「市として国に対して法整備を進めるよう求める」ことは含意妥当と考えます。

 また、伊丹市においては、その対象となる施設が伊丹朝鮮初級学校です。伊丹市は「歴史的経過」から市内のすべての子どもが等しく幼児期に教育を受けることができるようにと、一定の支援をされていることは評価します。しかし、無償化相当の支援には至っていません。その「歴史的経過」は「伊丹市史」に詳しく記されています。

 なお、外国人学校も認可外施設の申請をすれば無償化はできるとの意見がありますが、東京都内の2つの朝鮮幼稚園が都に認可外保育施設の届け出し、受理されましたが、ところが後日、同課より届出受理は誤りで、取り消したいという連絡がなされたのです。取消の原因は政府方針にある「各種学校は…児童福祉法上、認可外保育施設にも該当しない」というものですが、この理由は法令上の根拠があいまいです。従って、認可外保育施設の届け出は、国の方針が変わらない限り受理されません。

 よって、先ほど述べた通り、国も国と地方が協力した支援の在り方について検討されるとされていることからも、市内の子どもが等しく幼児教育を受けることができるようにするためにも、外国人学校、幼稚園の幼保無償化が適用されるまでの期間、伊丹市が無償化相当の支援をすることを求める請願項目2についても含意妥当と考えるものです。

 議員各位のご賛同をお願いしまして、請願第3号への賛成の意見とします。

久村真知子:2020年9月議会 本会議一般会計決算 認定に同意できない立場からの討論

一般会計決算 本会議  認定に同意できない立場からの討論

2020年10月5日
日本共産党議員団 ひさ村真知子

 ただいま委員長より発言の許可をいただきましたので私は日本共産党議員団を代表して報告第9号令和元年度伊丹市一般会計歳出歳入決算の認定に同意できない立場から討論いたします。

 2019年度は、消費税が10月に10%に増税された年であります。増税の根拠とした毎月勤労統計は、実質賃金はマイナス0.5%であったのを、不正調査を行い、かさ上げされた状況で、消費税引き上げが行われました。その上実質家計消費支出は年額25万円も落ち込んでいる状況でした。安倍政権下での景気判断そのものが誤っており、市民のくらしは一層悪化すると予算審議の時にも指摘してきました。

 実際に市民に与えた影響は、実質GDPは、連続マイナス前期比7.9%に落ち込み、個人消費は前期比8.2%の減、年率28.9%減と落ち込んでいます。そのうえ今年のコロナウイルス感染症の広がりの影響で、雇止めを含む解雇数は6万人と厚生労働省発表は公表しています。

 また、年収200万円以下のワーキングプアーと言われる人については、総務省公表の「労働力調査2019年平均」では、年収が200万に満たない雇用者数は1,874万人であり、全雇用者5,660万人の約33%を占めています。男性より女性の方が多く、非正規職員の割合が影響しているようです。

 市内でも当然、年金生活の高齢者や不安定雇用の市民がその影響を受けて、今後の市民生活はより一層苦しくなります。この様なときこそ伊丹市として、市民の声に耳を傾け、市民生活を守り、福祉や教育の充実のための施策が一層求められます。このような立場から意見を述べます。

① 初めに、市立伊丹病院と近畿中央病院の統合再編の問題です。

 市立病院あり方検討委員会からの報告は市立伊丹病院と近畿中央病院を統合し、高度急性期医療に対応する600床の病院にする方向が出されました。現状より200床減となることや、近畿中央病院が現状のところから移転すること等市民は大きな不安を持ちました。丁寧な説明を行うとされていましたが、市立病院あり方検討委員会は非公開とされるなど住民の安心できる医療体制を十分に説明ができたとは言えません。そのことは、統合再編に反対する署名が1万8000名を超えたことにも現れています。今後は近中跡地に医療機関を誘致されるとともに、新病院の在り方に関しては、専門家や市民の声を聴き、安心できる病院とされることを求めます。

②全国学力テストについてです。

 全国一斉学力テストに参加することによって、結果として平均点を上回ることが教育の基準に置かれています。全国平均を目安にする教育でなく、伊丹での子供たちの学力、育ちに毎日真摯に向き合っている教員の声にしっかりと耳を傾ける教育を行うべきではないでしょうか。
 全国学力テストの参加も、伊丹市独自の学力テストもやめるべきです。

③空港問題についてです

 存続協定には、「環境基準の達成に向けて不断の努力をする」と明記されています。そのため関西エアポートは、低騒音機の導入を行っているが、いまだに環境基準は達成できていません。しかし、市長は、「伊丹空港の安全と環境の確保を前提として国際便の復活」を要望しています。日々環境基準を超える騒音にさらされている地域住民からは、国際便導入等の理解は得られません。

次に要望することについて述べます。

1.公共施設再配置計画に基づく、共同利用センターの今後の在り方についてです

 市長は地域力が大事と言いながら、地域のコミュニティ活動の拠点である共同利用施設の 統合再編を進めています。 共同センターは、災害時の避難所ともなっており、地域の様々な方が趣味の活動等を行い住民のつながりの場となっています。センターの統合再編については、財政上の都合での一方的な説明でなく、地域の声に耳を傾けることが大事ではないでしょうか。今後のコミュニティ活動についての対応策も納得のいくものにすること等、市民の要望に沿うような形にすることが必要と思います。

2.中学卒業までの子ども医療費の無料化について

 兵庫県下では12市町で、高校3年生までの医療費の助成を行い。中学3年生までの無料化は36市町が行っています。子育てには費用がかさみますから、医療費の支援があれば助かるという声も多くなっています。子どもの貧困が問題となっている今の時期に、多くの自治体が行っているように、伊丹市でもせめて義務教育の間の医療費の無料化を実現すべきです。

3. 公立幼稚園の跡地活用と認可保育所の増設について。

 閉園となった公立幼稚園の跡地利用については、子どもたちの公園など子育て世代や地元住民の要望を聞くとともに、認可保育所の増設も含め検討を求めます。

4.平和推進事業について

 戦後75年、二度と戦争はしないと決めた憲法施行から73年の年になりました。しかし安倍内閣は、安保法制すなわち戦争法を作り、日本を戦争できる国つくりへと進めてきました。また唯一の戦争被爆国でありながら、核兵器禁止条約を批准しようとはしません。新内閣はその方針を引き継いでいくと明言しています。しかし、核兵器をなくしてほしいと訴えられている原爆被害者の方々の思いに賛同され、「核兵器禁止条約」に46カ国が批准し、あと4カ国で、条約が発効します。日本非核宣言自治体協議会に加盟している伊丹市として、多くの平和を願う市民との共同で、核兵器禁止条約の批准を国に求めるとともに、戦争体験を地域でしっかりと継承し、憲法にそって平和行政を一層拡充されることを求めます。

5.小中学校での20人程度の少人数学級の実現を。

 伊丹市は小学校4年生まで35人学級ですが、5年生以上は、40人学級です。子どもたちの顔を一人一人見ながら落ち着いた環境で勉強するためには、少人数学級が望ましいと思います。特にコロナ禍での分散登校で改めて、三密を避けることも含めて、少人数学級の必要性が認識されました。子どもたちに目が届き、安全な教室で学習するためには、20人程度の少人数学級を求める声が高まっています。このような中で、文部科学省は、2021年度予算案概算要求に公立小中学校での少人数学級の検討を織り込みました。

 しかし、今回の要求は規模も進め方も記されない「事項要求」となっています。引き続き国に対して強く要望されることを求めます。

 そのほか本会議や委員会で要望しました内容については、是非検討・実施いただくことを求め討論といたします。委員各位のご賛同をお願いいたします。

上原秀樹:2020年9月議会 伊丹市総合計画基本構想・基本計画に反対討論(本会議)

2020年9月議会 本会議

2020年9月23日
日本共産党議員団 上原秀樹

議案第101号 伊丹市総合計画基本構想及び基本計画を定めることに対する反対討論

 議案第101号 伊丹市総合計画基本構想及び基本計画を定めることに対して反対の立場から討論をします。

 本計画は、計画期間を2021年から2028年までの8年間とし、長期的な展望に立った行政運営の基本的な方針である「政策の大綱」と、分野別のまちづくりの「施策」を定める基本計画とによって構成されています。そして本計画でめざす将来像を「人の絆 まちの輝き 未来へつなぐ 伊丹」としています。

 本計画を策定するにあたって、市民アンケートに取り組み、ワークショップや審議会で終始熱心に審議され、そのことを計画に反映されてきたことには敬意を表します。

 それでは要望を踏まえながら、意見を述べます。

 第1に、今後8年間にわたる総合計画を策定するにあたって、市民をめぐる情勢と市民の暮らしの現状をどのように見ているのか、その情勢認識について質すとともに、具体的な施策について質疑をしました。

 この間、安倍政権による「アベノミクス」経済政策は大胆な金融緩和などで大企業や富裕層をもうけさせる一方で、2度にわたる消費税増税や社会保障費削減で国民に負担を押しつけ、貧困と格差を拡大させてきました。消費税10%増税後、実質GDPは3期連続のマイナス、20年4月から6月期は前期比7.9%、年率換算で28.1%の下落を記録、個人消費は前期比8.2%、年率28.9%減と劇的に落ち込みました。また、2019年の労働力調査によれば働いている人の3分の1がワーキンプア層とみられ、非正規労働者が4割近くを占め、その多くを女性が占めているという現実が明らかになっています。そしてコロナ禍の中で、さらに市民の暮らしが大きく圧迫されています。

 答弁では、将来にわたって持続的なまちづくりを実現するために、市民に参画と協働、行政サービスのデジタル化等を進めながら、市民サービスの質の維持・向上を図ること等で、市民の暮らしや中小企業・事業者への支援の具体的なイメージの答弁は得られませんでした。

 来年度からの4年間の実施計画と来年度予算の中で、引き続き検査体制の充実等コロナ感染対策とともにコロナ禍での暮らしと事業を支援する施策を実施されること、給与の削減や派遣切りが広がる中で、市民の生活を応援し、国民健康保険における多子世帯減免や学校給食への助成等、市民の負担を軽減するなど具体的な対策を要望しておきます。

 第2に、「幼児教育・保育」についてです。

 公立幼稚園・保育所の統合再編で、統合前のこども園を含む17園から9園1分園の10施設にしようとされています。再編の時には、幼稚園では子どもたちが切磋琢磨して育つために、1クラス25人以上、複数クラスが必要というのが再編の理由でした。しかし、3歳児は定員を20人としたうえで、ほとんどの施設で複数クラスはなくなりつつあります。すべての施設で3歳児保育を実施されたことは評価をしますが、3歳児の入園児を1園20人定員としたことで、当初の再編の目的とされたことが達成できる展望はないと思います。質疑では、その展望を描くべきと質しましたが、明確な答弁はありませんでした。一定の信頼を得ている公立園を、これ以上の再編ではなく、どう維持発展させていくのかという立場で検討を求めるものです。

 第3に、「空港との共生」についてです。

 計画の中で、「大阪空港においては、国際便や長距離国内便の就航が規制されている」として「国際便や長距離便などを国や空港運営権者に求める」とされています。しかし大阪空港においては航空機に係る環境基準が達成されていないもとではこのことを求める必要はないと、審議会でも意見が出ていました。「安全確保と環境対策を前提とする」とされていることに関して、現在の時間規制と発着回数の見直しの要求の有無、その「環境対策の前提」とは環境基準の達成なのかどうかを質しました。答弁での、空港の運用時間と発着回数の見直しは要求していないことは良としながらも、環境基準の達成に向けた不断の努力を求めながら、騒音総量の拡大につながらないことを前提に、国際便や長距離国内便の規制緩和を要求するとされたことは問題です。

 第4に、「都市計画・住環境」についてです。

 伊丹市は、昨年度、「市営住宅等整備計画」で、市営住宅の戸数を200戸減らし、建て替えはしないという計画を決めました。そしてこの総合計画でもこの計画を踏襲しています。質疑の中で、貧困と格差が拡大し、年金が減らされ、若年層と女性の非正規労働の増加によって年収が減少し続ける中で、低廉な住宅が必要とされているのではなかという認識のもとに、改めて総合計画策定の中で、市営住宅の必要性、市営住宅の現状と課題について検討されたのかお聞きしました。しかし、答弁では、検討はされていないということです。200戸の戸数減で大丈夫なのか、民間住宅に依存する方向が妥当なのかなどを鑑みるに、この計画には問題があると考えざるをえません。

 併せて、市営住宅の指定管理はやめ、直営に戻すことを求めます。

 第5に、人権に関する問題です。

 この6次総合計画における人権のとらえ方の多くが、市民間の差別と偏見の問題としてとらえられていると受け止めざるを得ない側面があります。もちろん、差別と偏見の解消は必要です。しかし、憲法に規定されている基本的人権は、生命、自由及び幸福追求に対する権利、生存権、教育を受ける権利、勤労の権利、団結権、財産権等、さまざまな分野に及んでおり、国民はこれらすべての基本的人権の共有を妨げられないとされているとおりです。この憲法に従って基本的人権を保障するために国及び地方自治体は存在するのであり、伊丹市の行政課題はすべて市民の基本的人権を保障するためにあります。このことを来年度以降の実施計画等の中で基本とされますよう求めるものです。また、あらゆる子どもに関する施策に、「子どもの権利条約」を基本にすえられることも求めます。

 第6に、「地域医療」「高齢者福祉」についてです。

 この計画の中で、国民健康保険制度、介護保険制度に関する取り組みの方向性が、「制度の安定的な維持・運営に取り組む」とだけ記述されている問題です。国民健康保険法ではその目的を「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」とされ、介護保険法では、要介護となった人が「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う」ことを目的としています。もちろん制度の安定的な維持・運営は大切ですが、計画の中で、制度そのものの目的を明確にし、その目的に沿った市独自の施策を打ち出すべきと考えます。

 第7に、「行財政運営」についてです。

 基本方針に書かれている通り「安定した行財政運営が持続する」ことは必要です。しかし、以前の小泉改革の「三位一体改革」で地方財源が大幅に削減され、いまだにそれが完全に復活できていないばかりか、安倍政権においては、地方交付税において「インセンティブ条項」を設けるなどによって地方の行財政運営を誘導するとともに、地方交付税の縮小を図り、社会保障財源も削減しているのが現状です。その上に少子高齢化や非正規労働の増加によって税収の大幅な増加が見込めない中で、地方財政は様々な工夫をしなければならない状況にあります。これらはすべて国の責任が大きいことは言うまでもありません。この中でどのようにして地方自治体の目的である住民の福祉を増進させるのかが問われます。

 国に対して、伊丹市にとって住民の福祉を増進するにたる地方財源の確保を求めるとともに、計画に書かれている「選択と集中による事業の精査」の考え方は、市民や地域の声を聞き、これに応えることを基本とされること、さらに、老朽化が課題となっている公共施設等について、住民の利益に反する統廃合ではなく、住民合意のもとでの維持・管理・更新への対策を行うこととともに、市営住宅、子ども・教育施設の指定管理・民営化はやめることを求めます。

 第8に、新型コロナウイルス等新たな感染症対策についてです。

 現在のコロナ対策も今後の新たな感染対策に関しても、教育のところで質疑をしました。答弁では、計画全体にかかわることとして、「計画策定にあたって」のところに書かれているとされ、そこでは「感染症の発生は、社会全体に甚大な影響を及ぼすことから、その対策への関心が高まっています」と書かれています。社会全体への影響のみならず、人との命にかかわる問題です。今までの新型コロナ感染対策を教訓すれば、なによりもPCR検査等の検査体制の脆弱さです。保健所を自治体に1か所以上の増設、新たな市立伊丹病院における感染対策の強化、他の医療機関との連携等地域医療の充実などが必要です。また、自粛と補償の問題、一斉休校と学校行事の中止の問題と少人数学級の必要性等、様々な教訓をくみ取り、今後8年間の計画の中で実施していただきたいと思います。

 以上、第6次総合計画の策定にあたって、要望も踏まえながらの反対の立場からの意見とします。

上原秀樹:2020年9月議会 代表質問

2020年9月議会 代表質問

2020年9月16日
日本共産党議員団 上原秀樹

1.市民をめぐる情勢について市長に問う

○2019年10月に消費税が10%に増税…半年間ではあるが市民に与えた影響

・当初予算での議論の中では、安倍政権の消費税率引き上げの根拠としていた当時の実質賃金が実際にはマイナス0.5%であったのを、不正調査によってかさ上げされていたこと、実質家計消費支出が5年間で年額約25万円も落ち込んでいたことを上げて、消費税10%への増税は市民の暮らしが一層悪化することが予測されると指摘しました。

 第6次総合計画への質疑に対し、国が消費税増税の家計への影響の緩和策として様々な手立てを講じた旨の答弁がありました。しかし、実際には10%増税後、実質GDPは3期連続のマイナス、20年4月から6月期は前期比7.9%減、年率換算で28.1%の下落を記録、個人消費は前期比8.2%の減、年率28.9%減と劇的に落ち込みました。

・そこで、伊丹市民の家計消費支出の推移、年収200万円以下のワーキングプアといわれる人の人数の推移、雇用情勢における有効求人倍率とその中での正規・非正規の割合の推移はどうなっているのかお聞きします。そしてこれらのことから市民の暮らし・雇用状況をどう認識されているのかお聞きします。

・また、2019年度の市民・法人の所得状況は今年度に反映されます。今年度の予算では、個人市民税は納税者の増によって前年度予算対比で5千万円増とされているが、給与所得は0.31%のマイナスとされていました。2019年度の市民の暮らしを、今年度の個人市民税・法人市民税の決算見込みから推測して、どのような認識をお持ちか、お聞きします。

○コロナ危機が明らかにした日本の社会保障の脆弱さについて

 日本国内で新型コロナウイルスの患者が急増した4から5月、首都圏や近畿の大都市圏、北海道等では病床がひっ迫し、「医療崩壊の瀬戸際」という訴えが現場から相次ぎました。日本医師会は4月1日、「医療危機的状況宣言」を発表するに至っています。なぜこのような状態になったのでしょうか。

 一つは、患者数の急増に病床、医師、看護師が追い付かない医療体制の脆弱さがあります。日本のICU(集中治療室)は、人口10万人当たり5床で、ドイツの6分の1、イタリアの半分以下。日本の医師数は、人口1000人当たり2.4人、OECD加盟国36カ国中32位で、OECD平均より14万人も少ない状況です。看護師も同様の低水準です。医師や看護師等医療従事者は、薄い医療体制を支えるために異常な長時間・過密労働に従事せざるをえません。このような慢性的な人手不足の現場に、新型感染症という特別に配置しなければならない医師・看護師を必要としたために、医療体制がパンク状態に陥ってしまいました。

 もう一つは財政的な脆弱さがあります。もともと日本の医療機関は、この20年間、診療報酬の本体・薬価を合わせて12.67%マイナスとなり、このことが公立・公的病院でも赤字か収支差なしが当たり前の状態となっています。そこに新型コロナが襲いかかり、一気に巨額の減収を押し付けられたことで、各地の病院が倒産の危機に瀕することになりました。

 さらに、新型コロナ下では、PCR検査をすぐに受けられない状態が起る中で、普段その存在を意識していなかった保健所体制の脆弱さも明るみに出ました。この間、「帰国者・接触者相談センター」の業務を担うことになり、国民の命を守るために連日、過酷な業務に従事されています。これも、1990年代からの「業務効率化」と2000年代からの「地方分権改革」によって、2019年には、1990年対比で保健所数を850か所から472か所に、職員数も3.5、万人から2.8万に削減したことが原因です。

 このように、コロナ危機で露呈した日本の医療・社会保障の弱体化を引き起こした原因は、歴代政権がとってきた社会保障削減路線にあり、その路線の根底にあるのが新自由主義の政策体系です。すなわち、すべてを市場に委ねて規制を取り払い、資本の目先の利潤を最大化するとともに、「小さな政府」「官から民へ」の名によって公的サービスを縮小し、国民に自己負担を押し付ける考え方です。

 この新自由主義といわれる考え方、政策に対して、幅広い政党、団体、個人からその転換を求める声が相次いでいます。コロナ危機は、人はだれしも、他者によるケアなしには尊厳ある生活は送れないということが明らかになったことから、日本共産党は医療・介護・障がい福祉・保育など、命を守るケアに手厚い社会をつくるという提案をしました。医療・介護・障がい福祉・保育などに従事する人に、社会的役割にふさわしい労働条件・処遇を保障する、今後起こりうる危機的状況にも対応できる、余裕を持った体制・予算を確保する、患者や利用者が必要なケアを安心して受けられる、充実した給付制度を整えるなど、社会保障・ケアを抜本的に強化する改革が求められているという内容です。

 市長は、市内だけに関わらず、全国的な状況を見て、どのような認識をお持ちでしょうか、お聞きします。

2.新型コロナウイルス感染対策について

○PCR検査等の検査体制の拡充について

 日本共産党は、新規感染者が減少しているといわれる時期にこそ、PCR検査を増やし、無症状の感染者の把握・保護を含め、感染拡大を抑え込むための積極的な対応を行うべきだと提起してきました。8月28日に政府の対策本部が、感染流行地域での「医療、高齢者施設などへの一斉・定期的な検査」「地域の関係者の幅広い検査」について、都道府県などへ「実施を要請する」と決定したことは一定の前進です。

 党議員団も、この問題では何度も検査体制の充実を要求してきました。6月議会でも、保健所を通さずに、医師の判断でPCR検査等ができるように検査体制の充実を求めました。答弁では、兵庫県が設置する「地域外来・検査センター」の設置に関して、伊丹市医師会と協議を進めていくとされ、協議を進める課題として、「医療従事者の確保」や「個人防護服などの医療に係る物資」、「場所の確保」、「運営体制の整備」などがあるとされました。

・協議がされるということは、前向きに市内に「検査センター」を設置する方向であると理解していますが、現在の「地域外来・検査センター」設置の進捗状況をお聞きします。

・設置できることを前提にお聞きしますが、「検査センター」の場合、医師の判断で検査が可能になると理解しています。では、1日の検査件数は何件を見込まれるのか、どのくらいの期間で結果が出されるのか、お聞きします。

・さらに6月議会では、院内・施設内感染を防止するために、医療、介護、障がい福祉の現場での検査体制の拡充を要望しました。このことは、無症状の感染者の把握・保護を含め、感染拡大を抑え込むための有効な手段といえます。「検査センター」の設置からさらに進んで、今後、医療、学校、保育所、福祉施設等すべての人に定期的に検査ができる体制が必要と考えますが、見解をお聞きします。

3.コロナ時代の災害避難

 伊丹市において懸念される大災害といえば、今後30年以内に発生する確率が70から80%とされる南海トラフ地震と最近頻繁に起こる豪雨災害です。特に近年発生する異常気象による集中豪雨は、全国で大きな被害をもたらしており、2つの大きな河川が存在する伊丹市でも他人ごとではありません。伊丹市洪水ハザードマップが作成されましたが、猪名川流域では9時間総雨量380㎜、武庫川流域では24時間総雨量511㎜を浸水想定の降雨条件とされています。全国での近年の雨量を見れば、伊丹市においても、いつでもありうる災害です。そこで、次の点をお聞きします。

○伊丹での避難所運営マニュアルの改正に関して

 新型コロナウイルスがいつ収束するか不明な時、感染に十分配慮しなければなりません。避難所で余裕のある快適な空間が用意されることは稀であり、多くの人で込み合うことが予想されます。

・当然、地域に住む感染の疑いがあり自宅待機している人、感染者も避難することを前提にしなければなりません。そうなると、避難開始と同時に、居住区域を自宅待機の軽度の感染者、経過観察者、健常者の区分が必要となります。可能な限り備品等の供用を避けて、分割管理することも考えなければなりません。そうするためには、受付でのトリアージが必要となります。福祉的な対応が必要な人や病弱の人は、その後別の避難所に移動することになりますが、初期段階ではこのようなことも必要です。この点に関して、どのような避難所開設になっているのでしょうか。

・要援護者を中心に避難所以外の公共施設等の利用や福祉避難所の活用をすることになっていますが、重度障がい者や介護度3以上の人たちは十分福祉避難所に避難できるのか、総じて福祉避難所が必要な人数とその人たちが避難する場所は確保されているのか、コロナ感染者の避難場所は確保されているのか、具体的にお聞きします。

・避難所の開設は職員と施設管理者によって開設されることになっていますが、避難所の運営は避難者自身による運営とされています。避難所運営委員会の設置はどのようにして行われるのでしょうか。

 小学校区単位での地域ではHAGU訓練を1度経験しました。しかし、事前の打ち合わせもなく、さまざまな条件の避難者が次々と押し寄せてこられ、どこにその人たちを振り分けるのか判断せざるをえません。わけのわからないまま終わったというのが多くの参加者の感想でした。この訓練の教訓をどうくみ取っておられるのでしょうか。今後避難所訓練はどうあるべきとお考えでしょうか、お聞きします。

○避難行動要支援者支援制度の運用、活用状況について

 伊丹市は、避難行動要支援者支援制度をつくっています。この制度は、小学校区の自治組織や自治会等と協定を締結することで、あらかじめ一定の条件で作成された名簿に基づき、名簿提供の意思が確認された人の名簿だけを地域等の避難支援関係者に提供し、平常時の見守りや災害時の安否確認・避難支援などを行うとともに、個人ごとの避難支援計画(個別計画)の策定に努めるというものです。

・現在どのくらいの組織で協定が締結され、どのような活用がされているのでしょうか。また、高齢者、障がい者等の要支援者の避難を支援するうえでは、福祉・防災・地域の連携が欠かせません。これらとの連携をどのようにして図ろうとされているのでしょうか。

・福祉と防災を連結を実践している例として別府市の「別府モデル」といわれる制度があります。ケアマネージャーや相談支援専門員が有償で、平時の「ケアプラン」と同時に「災害時ケアプラン」を作成し、地域の防災訓練で検証・改善していく方法です。これによって、地域の人たちが、どこに要支援者が住んでいて、何をすれば命を救うことができるのか知ることができるようになったとのことです。

 この「別府モデル」に関してどうお考えでしょうか、お聞きします。

・一方、「災害時要援護者避難支援制度」という制度も存在します。この制度も、要援護者の安否確認や初期避難について地域住民が助け合う制度で、2人の協力者を配置し、要援護者とともに協力者、自治会長に「緊急告知FMラジオ」が無償貸与されています。しかしこの制度は有名無実化しています。「緊急告知FMラジオ」は充電式のため停電となってもFM伊丹の放送を聞くことができます。しかし、充電池も古くなり、停電したのち、すくに電源が切れてしまいます。この制度は今後どうされるのでしょうか。

 「緊急告知FMラジオ」は大変貴重なラジオで、緊急時に自動で電源が入り、停電後の情報手段として活用できます。情報手段のない高齢者等にとっては使い勝手の良いもので、ある地域代表が集まる会合で、このラジオを必要な人に貸与したらどうかという意見が出ていました。「緊急告知FMラジオ」はどうなるのでしょうか、お聞きします。

4.コロナ下での学校生活と学習について

 6月議会では、学校園の再開後の対応について、「学習の遅れと格差にどう対応するか」「子どもたちの不安やストレスにどう対応するか」「学校行事の中止、縮小をどう考える」について質問しました。その後短縮された夏季休業を経て、9月1日から2学期が開始されています。
 分散登校の中で実感された少人数学級の必要性については、第6次総合計画の質疑でも触れました。教育委員会としても国と県に要望されるとともに、伊丹市でも少人数教育とともに少人数学級実現に力を尽くしていただきたいと思います。

・「学習の遅れと格差にどう対応するか」についてですが、6月議会での答弁は①夏休みの短縮による授業②アンケート結果により学習意欲が低いとした場合は興味関心を引きさす工夫をする③新たに学習指導員を配置し、少人数指導などきめ細かな指導をするとされました。その後、これらを実践された評価をどのようにされているのでしょうか、お聞きします。

・学習の遅れと格差、ストレスが懸念される中で、伊丹市教育委員会は「全国学力テスト」を行うとされました。兵庫県では伊丹だけです。さっそく教職員組合が中止を申し入れるとともに、私たちも他の会派と共同で中止を申し入れました。教育長は「必ずしもテストを行うことを押し付けるものではない」旨の発言があり、その後学校の職員会議等で話し合いが進められたとお聞きしています。結果はどうなったのでしょうか。また、教育長は調査・活用をするという判断は正しかったとお考えなのでしょうか、お聞きします。

・「子どもたちの不安やストレスにどう対応するか」については、全児童生徒にストレスチェックをしている途中であり、その結果を経て、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどとの連携で心のケアに努めるとされました。そのストレスチェックの結果とその対応についてお聞きします。

5.病院統合再編について

 市立伊丹病院と近畿中央病院の統合再編に関しては、2019年度末に「基本方針」を策定され、この2つの病院を統合し、2つの稼働病床800床を600床に削減、3次救急医療機能を有する「救急センター」を整備するなどの高度医療の提供可能な基幹病院とするなどを決めました。そして4月1日、公立学校共済組合と「基本協定書」を締結されました。

 党議員団として、2つの病院の統合再編に反対するとともに、統合されたとしても現在の稼働病床数は減らすべきではないとして、近畿中央病院の跡地に200床の入院施設と外来機能を持つ医療機関を設置、もしくは誘致することを求めてきました。

 「基本方針」での「回復期機能を有する医療機関の誘致等必要な病床機能の確保に努めること」とともに、「基本協定書」での「近畿中央病院跡地の活用について地域医療に配慮しながら検討する」との確認によって、伊丹市は、近畿中央病院の跡地に回復期等の入院施設を有する医療機関を誘致するために努力するということが確認できます。

・新型コロナウイルス感染が広がり、今後も新たなウイルスが予測される中、今でもぎりぎりの医療機能をこれ以上縮小することは、ウイルス対策をより困難にしてしまいます。200床の病床の空白をできる限りつくらない方法を検討しなければならないと考えます。そこで、現在、近畿中央病院の跡地に病院を誘致することについてどの程度検討されているのでしょうか、お聞きします。

○厚労省によって地域医療構想実現に向けた重点支援区域に選定されたことについて

 厚生労働省は、8月25日、地域医療構想の実現に向けた重点支援区域の2回目の選定を行い、兵庫県では川西とともに伊丹市の2か所が選定されました。これによって、国による助言や集中的な支援を行うとされ、その内容は「技術的支援」と「財政的支援」となっています。国によるなりふり構わずに公立・公的病院の統合とベッド数削減を進める手段ではありますが、その支援内容はどのようなものなのか、今後伊丹市の新病院建設にどんな影響があるのか、お聞きします。

(2回目の発言趣旨)

1.市民をめぐる情勢について市長に問う

消費税10%増税後の市民の暮らしの状況についてお聞きした。

・答弁では、給与収入は予測に比べて若干の変動はあったが、非正規労働者の増のためマイナス0.29%で、コロナ前から依然として厳しい雇用状況にあり、コロナ禍のもとで派遣社員などの非正規労働者の解雇等が急増したことを見れば、市民の中でも生活がより困難になっていることがうかがえる。

・家計消費も消費税増税により激変し、さらにコロナ禍で大幅な減少。このことは事業されている人に大きなマイナス影響を与えている。

・年収200万円以下のワーキングプアといわれる人の人数の推移に関しては、答弁いただいた。2019年の労働力調査によれば、200万円未満の人は1,874万人、33%を占めていると。さらにその調査によれば、非正規が2,165万人、全体の38%。そそのうち女性では、200万円未満が1,382万人で全体の24.4%、ワーキングプア層の75.9%を占め、女性の非正規が1,475万人、全体の26%となっている。働いている人の3分の1がワーキンプア層とみられ、非正規労働者が4割近くを占め、その多くを女性が占めているという現実が明らかになっている。

 一方では、資本金10億円以上の大企業は、設備投資を控え、正規従業者を非正規に変えることで人件費を抑えるとともに、大企業に対する減税政策もあり、空前の内部留保資金を形成するに至っている。

 この事態は、1990年代から始まる新自由主義による労働法制の規制緩和が原因だが、コロナ禍の中で、多くの働く人たちを危機の中で脆弱な立場に追いやっているもの。新たな政権には、この路線を抜本的に見直し、労働者の権利が守られ、大企業に責任を果たさせる労働のルールをつくることが求められる。

 伊丹市におかれても、この状況を直視し、市民への暮らし支援の充実、労働者の権利の周知・広報と労働相談による救済、ジェンダー平等、中小企業・業者への支援強化等の施策を実施していただきたい。

○日本の社会保障の脆弱さについて

・答弁の通り、「持続可能な社会保障制度の確立」を安倍政権は進めてきたが、その内容は公立・公的病院の統合再編によるベッド数削減、診療報酬削減、医師・看護師不足を招いていることであり、コロナ禍にあっては、PCR検査数が世界で150番目という水準でしかない実態に現れている。社会保障に必要な財源、高齢化等による自然増部分を削減すれば、医療・社会保障は悪くなるのは当たり前で、その影響は市民生活にも、市の財政にも、コロナ感染対策にも現れている。財源削減による持続可能な社会保障制度ではなく、必要な財源を確保した上での医療・社会保障制度の充実を国に求めていただきたい。

2.新型コロナウイルス感染対策について

○PCR検査体制の充実、「地域外来・検査センター」の早期設置を求めた。
・現在もまだ協議中とのこと。宝塚市ではすでに発表され、10月2日から「地域外来・検査センター」がスタートすることになった。兵庫県下でも8ヶ所の「検査センター」を12か所に増やす補正予算が提出されている。内訳をお聞きすると、阪神北圏域に4か所できるとのこと。いずれにしても、PCR検査等の検査体制を充実することが感染拡大を抑え込むための積極的な方策であることから、さらなる拡充を求めていただきたい。

○今回は検査体制の強化についてお聞きしたが、依然として感染が広がり、市民には「3密」を避ける行動を呼びかける中で、市民の暮らしへの支援、事業者支援等が必要。特別交付金をどう使うか。今まで市独自の支援策を講じてこられたが、市民の中から、「上下水道基本料金の免除をもう少し続けてほしい」「国の家賃支援制度は申請しにくい。伊丹の家賃支援をもう一度してほしい」などの声をお聞きしている。また、コロナ禍で経営が困難になっている市立伊丹病院や市バスに対する支援も必要です。伊丹市には財政調整基金が「そこそこ」あるとともに、必要なら国に対して更なる特別交付金の上乗せを求めるなどによって、コロナ禍からくらしと事業者を守る施策を積極的に推進されることを求める。

3.コロナ時代における災害時の避難

○避難所運営マニュアルについて

・地震にしても洪水にしてもいつどんな規模で起こるかわからない。自身は突然のこと、洪水は一定避難を誘導する余地はあるにせよ、いずれにしても、きちんとした避難誘導や避難所のあり方については計画と現地における計画の検証、訓練は欠かせない。

①阪神淡路大震災の時にも経験したが、一度にたくさんの人が避難してくることから、避難所における簡単なチェック等による受付の分離や保健師や看護師による健康相談などにおける人員の配置は十分可能となっているのか。

②避難所における体調不良の人の専用の受付動線、専用スペースの確保はすでに現地での検証はされているのか。

③発熱・咳等の症状がある人や濃厚接触者専用の避難所は確保されるのか。

④福祉避難室への誘導、二次避難所としての福祉避難所への移送に関しては、対象者は高齢者や障がい者等ではあるが、その場所に誘導、移送する場合、だれが対象者の選別を行うのか、公平性は担保されるのか。

○福祉避難室、福祉避難所について
・対象者は、高齢者や障がい者、乳幼児、妊産婦、傷病者、内部障がい者、難病患者など、一般避難所での生活が困難な人とその家族が対象。

①福祉と防災の連携によって、福祉避難所に避難しなければならない対象者を、できる限り掌握し、その対象者に見合う福祉避難所を確保することだが、どうなっているのか。

②福祉避難所における避難者の相談にあたるか介護員などを基準通り配置できるのかどうか。

避難行動要支援者支援制度について

・「福祉・防災・地域の連携」は必要。要支援者に対して個別計画を作るようにされているが、介護保険の要介護者や障がい者等には専門的な福祉の連携がなければ個別計画は作りづらい。県のモデル事業を実施されているので、この教訓をくみ取り、是非福祉部局と協議され、実施していただきたい。

4.コロナ禍での学校生活と学習について

「学習の遅れと格差にどう対応するか」

・小学校6年生と中学校3年生は、1学期内に計画していた学習を終えることができたこと、今年度中にはそれぞれの学年の学習内容を終えることができると。

・教職員も児童・生徒も大変な努力をされたと思う。一方、「アンケート調査」に書かれえているような、「眠れなかったり、途中で目が覚めたりする」「時々、ぼーっとしてしまう」などと答えた子供が半数以上と。イライラしたり、集中できなかったりすることも、全国の調査でも明らかになっている。「コロナ世代だから仕方がない、では済まされない」といわれたが、コロナ禍での子どもたちは、通常にはない経験をしている…夏休みが短い、学校行事が中止等々、その子どもたちに心のケアを進めながらも学ぶべき単元を終えることや通常通りの学習内容で進めることは、どこかで子どもたちに無理が生じているのではないかと危惧をする。

 コロナ世代といわれる子どもたちにとっては、子どもたちの学力形成を含む育ち全体に深刻な問題を生じさせるのではないかという問題意識がある。

 6月議会でも発言したが、子どもたちをゆったりと受け止めながら、学びとともに、人間関係の形成、遊びや休息をバランスよく保障する、柔軟な教育が必要です。学校行事の可能な範囲での実施も含めて、改めてこの件に関する基本的考え方についてお聞きします。

5.病院統合再編について

○近畿中央病院跡地への新病院の誘致について

・現在のコロナウイルス、今後のウイルス対策から、200床の病床の空白をできる限りつくらない方法を検討していただきたいとの見地から、近畿中央病院の跡地への病院誘致の経過についてお聞きした。公立学校共済組合、伊丹市医師会との協議を進めているとのことだが、どの程度の土地が提供可能なのか、病床の空白をつくらない方法の検討とともに、民間病院への働きかけも同時にしていただくことが必要と考える。

○厚労省によって地域医療構想実現に向けた重点支援区域に選定されたことについて

・もともとこの「重点支援区域」の指定は、地域医療構想調整会議での合意に基づいて申請されたもの。伊丹市の意志。おそらく「財政的支援」が主な目的と見受けられるが、その「財政的支援」は稼働病床数ベースで1割以上の削減を行った病院に対し、削減病床数の逸失利益への補助をするもので、削減数が大きいほど補助金が大きいという制度。国の財政支援によるあからさまなベッド数削減政策。

 従って、この重点支援区域の指定が、国が進める公立・公的病院の統廃合とベッド数削減政策の一環なので、「技術的支援」における影響がどうなるのかは不明だが、詳細が分かり次第議会には報告していただきたい。