2023年3月議会:上原ひでき 本会議討論

2023年3月議会 本会議討論

議案第14号「令和5年度伊丹市一般会計予算」に対する反対討論

日本共産党伊丹市議会議員団 上原ひでき

 議長の発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、議案第14号に対しては反対の立場から、議案第15号に対しては賛成の立場から要望を含めて討論をします。

 初めに、議案第14号「令和5年度伊丹市一般会計予算」についてです。

 市民の暮らしをめぐる情勢では、個人市民税の質疑でも明らかな通り、昨年の給与収入は1.59%の増、年金収入と営業所得は横ばいと予測されており、市民の収入を上回る物価の高騰によって市民生活は悪化しています。

 また、厚生労働省が3月7日発表した1月の毎月勤労統計調査によると、現金給与総額、名目賃金に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年同月比4・1%減となりました。物価の高騰に比べ賃金の伸びは鈍く、マイナスは10カ月連続。落ち込み幅は2014年5月の4.1%減以来、8年8カ月ぶりの水準でした。

 さらに、帝国データバンクが3月8日発表した2月の企業倒産集計によると、物価高騰を主因とする倒産件数は53件と、8か月連続で過去最多を更新しました。コロナ禍で経営体力が弱った中小企業に資源・エネルギー高が追い打ちとなり、事業継続を断念する例が多くなっています。

 今年の春闘では、大手企業による賃金引き上げの満額回答が続いているようですが、物価高騰分を上回るのか、中小企業における賃金は上がるのかが問われています。

 いずれにしてもコロナ禍の影響も含めて、来年度も市民にとっては厳しい年になることは確実です。その中で、伊丹市には市民の暮らしを守り支える対策が強く求められています。

 以下、問題点を述べます。

 第1に、市民の暮らしを守る対策です。実質賃金が下がり、長期の経済低迷が続く下での物価高騰という、この危機を打開するためには、暮らしと経営を守る緊急対策と、日本経済のゆがみを根本から打開する方策を一体にすすめることが必要です。日本共産党は、この立場から、「物価高騰から暮らしと経済を立て直す――緊急提案」を発表しています。岸田政権の対策は極めて不十分と言わざるをえません。

 伊丹市としても、子育て世帯に対する支援策が前進したことは評価しますが、来年度予算の中における、コロナ禍と物価高騰で傷んだ暮らしと営業を守る対策が不十分であることです。本来は、国が当初予算でこの対策を行うべきですが、いつものように遅れています。国に対して、中小企業や非正規労働者などへの賃上げ支援、介護、障害者福祉、子育て支援などの拡充で、誰もが安心して暮らせる社会にすること、大軍拡予算は撤回し、国民の暮らし最優先の施策を行うこと、消費税の5%への減税、インボイス制度の中止を求めていただくとともに、代表質問でも求めました上下水道使用料の基本料金減免小規模事業者への賃料支援など、伊丹市としての独自の対策を求めます。

 第2に、職員の人事評価の問題です。全体の奉仕者の立場から公共を担う公務員にとって、「能力」「業績」などという測ることが困難な尺度で5段階評価することは、公務員の労働意欲の向上や創意工夫の発揮を阻害することにもつながります。今後、5段階評価はやめ、面接による対話の中で職員の力が十分に発揮され、市民福祉の向上に向けて働きやすい職場とされるよう改善を求めます。

 第3に、同和問題です。代表質問でも指摘しましたが、現在は「社会問題としての部落問題」の最終段階にあるというのが私たちの考えです。しかし、差別観念や意識が社会的に通用しなくなってきているほど市民の常識が成熟しているにもかかわらず、そのことが共有されていないのが問題です。過去に存在した差別に固執したり、問題探しをしたりするより、解決の過程と変化の事実を確認・共有することが必要と考えます。答弁で、「同和問題を身近な人権問題の一つとして掲げ」とされましたが、どれだけの市民が身近な問題と感じているとお考えなのでしょうか。行政が無理やり身近な問題としているのではないかと思います。こういう考えで同和問題に関する人権教育を進めたら、いつまでたっても差別はなくならないという結論にしかなりません。ぜひ考え直していただきたいということを要望します。

 第4に、今回の質疑では触れることができませんでしたが、自衛隊に対する募集対象者情報の提供の問題です。市のホームページで自衛隊から名簿提供の依頼があった場合の提出の法的根拠が書かれていますが、自衛隊法施行令第120条の「防衛大臣は募集に関して必要な報告又は資料の提出を求めることができる」とされているのは、単に「資料の提出を求めることができる」という防衛大臣の「できる」規定だけで、自治体にはなにも求められていませんし、資料の提出の中身も個人情報としての名簿であることも書かれていません。従って個人情報を提出する必要はありません。せめて「除外申し出制度」を直ちにつくることを求めます。

 第5に、全国学力テストの問題です。学力テストの結果は学力の特定の一部分、教育活動の一側面でしかありません。したがって、毎年悉皆調査をする必要はなく、数年に一度の調査で十分児童生徒の学力や学習状況の傾向を見ることは可能です。全国テストへの参加と独自テストの中止を求めます。

 次に評価する点について述べます。

 第1に、子育て支援策が前進したことです。

 一つは、党議員団が一貫して求めてきました子どもの医療費助成事業を、所得制限を撤廃して中学生までの医療費を完全無償化されるとともに、高校生世代の入院医療費も無料とされたことです。さらに高校生世代の通院医療費も無料にすることを要望します。

 二つには、夏期休業中における児童くらぶ昼食提供事業を開始されることです。希望者への昼食提供ですが、保護者負担軽減に寄与するものと評価します。夏季休業中という厚い時期でもありますので、安全・安心の昼食提供に務めていただきたいと思います。

 三つには、就学前施設を含めた学校給食等食材調達支援事業を継続されることです。食材費が高騰して給食の質と量の確保が困難になる中、食材費の増加分を支援されることは意義があります。今後は、保護者負担の軽減のため、就学前施設も含めた学校給食費の無償化を国に求め、伊丹市としても無償化も含めた負担軽減策を求めます。

 四つには、保育需要の増加に対応するため、認可保育所2か所の誘致等によって130名の定員を増員されるとともに、第2子の保育料無償化事業を拡充されることです。保育所の待機児童は4月1日付では基本的にゼロとされますが、その後一気に待機児童が増えています。年度途中の待機児童の解消のためには、伊丹市が責任を持つ以外にありません。公立保育所の増設、定数増を図ることで年度途中の待機児童を解消されることを求めます。

 第2に、「伊丹市ゼロカーボンシティ」を宣言し、2050年にカーボンニュートラルの実現に挑戦されることを明確にされたことです。ただ、2030年度の温室効果ガスを2013年度比で48%削減することとされていることは、国の目標に合わせたものですが、国連気候変動に関する政府間パネル「1・5度特別報告書」は、2030年までに大気中へのCOの排出を2010年比で45%削減し、2050年までに実質ゼロを達成できないと、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比して1.5度までに抑え込むことができないことを明らかにしています。日本の目標は2010年比にすると42%の削減でしかないばかりか、石炭火力発電所の増設に各国から批判の声が上がっていることを指摘しておきます。

 第3に、災害時に避難所となる小学校体育館に空調機器を整備するため、その実証実験を始められることです。夏場の避難者に対する健康配慮とともに、子どもたちの熱中症対策としても有効です。実証実験の後、順次空調機器の整備を要望します。

 以上述べた項目以外の主な要望については、本会議や委員会で述べていますとともに、予算要望書にも多数掲載していますので、来年度以降実現していただくことを求めまして2023年度伊丹市一般会計予算に対する反対の意見とします。

 次に、議案第15号「令和5年度伊丹市国民健康保険事業特別会計予算」に対しては、要望を交えて賛成の立場から意見を述べます。

 国民健康保険税に関しては、来年度も含めて10年間値上げはありません。県単位化以降、主に国保財政調整基金の活用によって値上げを止めてきたことは評価します。ただし、2030年をめどに兵庫県内保険料率の統一により大幅な値上げが予想され、委員会の答弁では一人あたり平均約3,700円の値上げとなる見込みとのことです。4人世帯で年間約15,000円の負担増です。

 国民健康保険に加入する世帯は年金収入や非正規雇用者等低所得者が多く、所得ゼロ世帯が全体の42%、所得100万円未満でも全体の73.6%を占めています。国保税も阪神間自治体の中で低い水準とはいえ、夫婦と子供一人の3人世帯、年収360万円で416,500円の国保税となります。

 国保税の値上げを止め、引き下げるために以下の要望をします。

 一つは、国に対して、国保税の「人頭割」とも言われる均等割り部分で、現在就学前の子どもの均等割りを半額減額しているのを、18歳までの均等割りを廃止すること、また、伊丹市は福祉医療波及分として一般会計が負担していますが、子ども医療費助成等の福祉医療に対して国が行っている、国民健康保険事業に対する「罰則措置」ともいうべき国庫負担の減額を直ちに全廃すること、さらに事業主への国保の傷病手当創設を求めていただきたいと思います。

 二つには、伊丹市として、均等割り部分に対して軽減をするための「法定外繰り入れ」を行うことです。子育て世帯への支援として18歳までの均等割りの軽減も考えられます。名古屋市では、多人数世帯に対する国保税を軽減するため、「法定外繰り入れ」による均等割り部分の軽減が行われています。

 また、医療費の高騰を抑えるためには、検診率の向上による早期発見早期治療、食に対する関心を高めて安心・安全な食糧が供給できる取り組みを伊丹市全体で行うことも重要と考えます。

 以上ですが、基本的に高すぎる国保税を下げるためには、さらなる思い切った国庫負担の増額が必要です。国に対して要望をしていただくことを求めまして、2023年度国民健康保険事業予算に対する賛成の立場からの意見とします。

 以上、議員各位のご賛同をお願いしまして討論とします。

2023年3月議会:上原秀樹 議員提出議案第4号に対する反対討論

2023年3月議会最終日 討論
議員提出議案第4号「伊丹市議会議員定数条例の一部を改正する条例の制定」に対する反対討論

日本共産党議員団 上原秀樹

 議長の発言の許可を得ましたので、私は、日本共産党議員団を代表して、上程となりました議院提出議案第4号「伊丹市議会議員定数条例の一部を改正する条例の制定」に対しまして、反対の立場から意見を述べます。

 本条例案は、伊丹市議会議員の定数を2人削減し、現在の28名を26名にしようとするものです。さらに、その施行日を、付則で「この条例は、公布の日から施行し、同日以後、初めてその期日を告示される一般選挙から適用する」とされ、すでに4月16日告示、23日投票との期日が決まっている市議会議員選挙から適用されることとされています。

 残念ながら納得のいく答弁ではありませんでした。

 反対の理由の第1に、日本国憲法と地方自治法、並びに伊丹市議会基本条例に明記された議会の役割との関係です。答弁では、…重視する認識を持っているが、自治法改正により定数上限が撤廃、減少でも負担と責任で可能と。しかし、定数を削減し続けることが改正の趣旨ではありませんでした。その後全国市議会議長会の講演の中でも、議員定数削減で少数意見をどうやって担保するのか、との意見が出されていたところです。質疑の中でも言いましたが、憲法第93条第1項では「議事機関として議会を設置する」としています。議事機関とは、多数人の合議によって団体の意思を決定する機関、すなわち議決機関であり、執行機関に対応する意味で用いられます。また、第2項では「議会の議員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する」としていることから、住民代表機関としての性格を持ちます。従って、議会の意思は住民の意思とみなされるのであって、それだけに住民の意思を反映させることが求められています。

 従って、私たち議員と議会に求められるのは、議会が多種多様な住民意思を反映する複数の議員からなる合議体であることから、質疑や討論を通じて多様な住民の意思を反映し、統合調整して自治体の意思を形成することです。あわせてこのことによって執行部を監視することにもなります。

 このような重要な役割を持つ議会の議員定数を削減することは、憲法と地方自治法で保障された民主主義の制度、先ほど述べた多様な住民の意思を反映させる住民代表機関としての議会の役割を揺るがす問題であり、少数の住民の意思を排除することにつながる問題であると考えます。

 第2に、提案理由とされている「伊丹市においても人口減少を迎えようとしている」こととされていますが、現在まで伊丹市は微増ですが人口は増え続けてきました。今年、わずかに減少傾向にあるとはいえ、急激に人口が減少しているわけではありません。人口が大きく減少していないにもかかわらず議員定数を削減することは、代表率の低下となります。

…答弁で、この代表率の低下に対する明確な考えはありませんでした。財政上の厳しさが予測、予算の捻出のための議員の提案をしているとのことですが、代表率の低下とは関係はありません。

 第3に、提案理由における「効率的・効果的な議会運営をさらに推進する」とされていますが、議員定数削減がどういう理屈で「効率的・効果的な議会運営」に結び付くのか理解できませんでした。議会の役割は、討論を通じて多様な住民の意見の反映すること、統合調整によって自治体の意思を決定すること、そして執行機関の監視機能などです。この役割を「効率的・効果的」に果たすためには、議員定数の削減ではなく、伊丹市議会基本条例第2条「議会及び議員の活動原則」に書かれているその役割を追求し、不断の議会改革に努めることです。議員定数の削減はこれに逆行します。

 第4に、予算を増やすためとのことで、行財政改革と議会改革についてです。

 大正大学の江藤俊昭教授によれば「行政改革の論理は最小の経費で最大のサービスをという効率性の実現であるのに対し、議会改革の論理は地域民主主義の充実・実現であり、両者は異なる」とされています。

 行政改革とは、そもそも執行機関の改革を意味するもので、執行機関が肥大化し能率が悪くなり、官僚化するのを民主的、合理的に変えていくという内容のものです。この意味での行政改革は住民の利益を守る観点から、議会がその機能を発揮して、行政のむだを省き、効率的な行政運営を行うなどの改革を提案していくことが重要な課題となります。

 一方、地域民主主義の充実・実現としての議会改革は、議員の市民意思の効率的な集約や、効率的な議会運営、市民への情報公開、市民参画等、今後とも不断に追及するべく大切な課題となっているのです。

 従って、議員定数を削減することは議会改革と相反するものです。

 第5に、この条例の施行日が直前に迫った今回の市議会議員選挙からとされていることは、特に新たに議員選挙に挑戦される人にとっては、すくなからず影響を及ぼすものです。このことを全く考慮せず、党のパフォーマンスだけで条例を提案することは問題です。

…これ以上委員会で議論しても結論出ず。最短の期日を設定した。

 以上、「伊丹市議会議員定数条例の一部を改正する条例の制定」に対する反対の立場からの意見とします。議員各位のご賛同をお願いしまして討論を終わります。

2023年3月議会:上原秀樹 議員提出議案質疑

2023年3月議会最終日 議員提出議案質疑

日本共産党議員団 上原秀樹

 議長の発言の許可をえましたので、私は、日本共産党議員団を代表して、上程となりました、議員提出議案第4号「伊丹市議会議員定数条例の一部を改正する条例の制定」に対しまして、質疑を行います。

 本条例案は、伊丹市議会議員の定数を2人削減し、現在の28名を26名にしようとするものです。その理由として、本市が人口減少を迎えようとしていること、効率的・効果的な議会運営の推進、子育て事業の財源を生み出すことをあげています。

 第1に、日本国憲法に対する認識をお聞きします。

 憲法の「前文」では「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動」すること、また「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」とされています。この前文は国政のありかたに言及したものでありますが、地方政治においても同様です。

 憲法第92条では「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」と明記し、地方自治の本旨とは、団体自治と住民自治とされているとおりです。そして、第93条第1項では、住民自治のあり方として「議事機関として議会を設置する」とともに、第2項で「議会の議員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する」としていることから、議会は「住民代表機関」としての性格を持ち、よって議会の意思は住民の意思とみなされるのであり、それだけに議会には住民の意思を的確に反映させ、統合、調整する機能が求められています。それによって執行部を監視することにもなるものです。

 このことは、伊丹市議会基本条例において議会・議員の役割として規定された「市民から選挙で選ばれた議員で構成され、市民の意見を市政に的確に反映させ最良の意思決定を導く使命がある」と規定したことと合致したものです。

 提案者は議員定数を削減する条例を提案されていますが、議員定数削減は、この憲法と伊丹市議会基本条例に規定されている内容、すなわち、議会の意思は住民の意思とみなされる「住民代表機関」としての議会のあり方にどのような影響を及ぼすとお考えなのでしょうか、お聞きします。

 第2に、提案理由とされている「伊丹市においても人口減少を迎えようとしている」こととされていますが、現在まで伊丹市は微増ですが人口は増え続けてきました。今年、わずかに減少傾向にあるとはいえ、急激に人口が減少しているわけではありません。にもかかわらず、なぜ、今、人口減少を理由にした議員定数の削減でしょうか、お聞きします。

 第3に、提案理由における「効率的・効果的な議会運営をさらに推進する」とされていますが、議員定数削減がどういう理屈で「効率的・効果的な議会運営」に結び付くのでしょうか、お聞きします。

 第4に、提案理由の「子ども子育て事業への活用を要望するための財源を生み出すため」としていますが、子ども子育て事業を推進するのは言うまでもなく伊丹市であり、そのために民意を的確に反映させた住民の代表機関としての議会における論戦と提案、住民の伊丹市に対する要望活動などによるものです。わずかな財源を生み出すために議会における代表率を低下させることは、逆に少数の市民の声を反映できにくくしてしまい、多様な子ども子育てに対する切実な声が届かなくなるのではないでしょうか、見解をお聞きします。

 第5に、議員定数等調査特別委員会で、伊丹市の類似団体33団体のうち、伊丹市を含めた人口17万人台から23万人台の16団体を抽出した比較表を提示しました。その結果、定数では28人が10団体、30人が2団体、32人が1団体、26人と24人がそれぞれ1団体ということになっています。また、高塚委員から類似団体における「議員一人当たりの議決金額」の比較表も提出されましたが、これら比較表からどのような見解をお持ちで今回の条例を提案されたのでしょうか、お聞きします。

 第6に、提案された条例案の「付則」では、「この条例は、公布の日から施行し、同日以後、初めてその期日を告示される一般選挙から適用する」とされています。すなわち、すでに4月16日告示、23日投票との期日が決まっている市議会議員選挙から適用されることになります。現職議員にとっても、新たに議員選挙に立候補しようとされている新人にとっても、議員定数の削減の影響は大きいのではないでしょうか。そのことを考慮せず、直前になって定数削減の条例提案されるのはなぜなのか、その理由と与える影響をどうお考えなのか、お聞きします。

2022年12月議会:上原秀樹 議案質疑

2022年12月議会:上原秀樹 議案質疑

2022年12月
日本共産党議員団 上原秀樹

1.議案第112号 伊丹市個人情報の保護に関する法律施行条例の制定について、議案第113号 伊丹市情報公開・個人情報保護審査会設置条例の一部を改正する条例の制定について

 本条例の制定は、昨年5月に成立したデジタル関連法により、自治体それぞれの個人条情報保護条例に設けられていた個人情報の規制が、「データ流通の支障」となるとして、改定された個人情報保護法の全国的な共通ルールのもとに、一元化することになったことによるものです。そこでいくつかお聞きします。

1)  全国の自治体では、これらの条例を制定するにあたり、個人情報保護審査会に諮問し、その上でパブリックコメントを求めたところがあります。伊丹市でこれらの条例を制定するにあたり、個人情報保護審査会への諮問もパブリックコメントも行われませんでした。その理由をお聞きします。

2) 伊丹市個人情報保護条例を廃止し、個人情報保護法の全国的な共通ルールのもとに一元化される理由として挙げられたのが、「データ流通の支障」となることです。そのための「条例リセット」であり、その最大の目的は、匿名加工情報制度と情報連携を自治体に行わせることにあります。「加工」されたことで「非個人情報」となり、そのため本人の同意を得ずに第三者への情報提供、目的外利用が可能となります。個人情報の漏洩などが相次いで問題となる中で、個人情報は大丈夫なのかと危惧するものですが、この点での改正にあたっての見解をお聞きします。

 また、この所管と解釈権を、国の個人情報保護委員会に一元化されます。自治体における審議会への諮問対象が限定され、国の個人情報保護委員会からの自治体への監視、勧告が定められています。この規定が定められた理由と伊丹市における影響についてお聞きします。

3) 現行の伊丹市個人情報保護条例の「目的」と個人情報保護法の「目的」についてです。

 伊丹市の条例では第1条で、「この条例は,実施機関が保有する個人情報の開示,訂正及び利用停止を求める個人の権利を明らかにするとともに,個人情報の適正な取扱いに関する基本的事項を定めることにより,個人の権利利益を保護することを目的とする」とされています。一方、法律では「デジタル社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み」「個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする」とされています。先ほどの質問とも関係しますが、この違いと法律の意図するところはどこにあるとお考えなのかお聞きします。

4)従前の条例と改正される施行条例と異なる点についてお聞きします。

2.議案第118号 伊丹市立男女共同参画センターの指定管理者の指定について
 議案第120条 伊丹市立労働福祉会館等の指定管理者の指定について
 議案第122号 伊丹市立北部学習センター及び伊丹市立図書館北分館の指定管理者の指定について

 以上の議案のうち、伊丹市立男女共同参画センター、伊丹市立青少年センター、伊丹市立図書館北分館の指定管理者の指定についてお聞きします。

1) 地方自治法第244条の2第3項で「公の施設の設置の目的を効果的に達成するために必要があると認めるとき」、指定管理者に「当該公の施設の管理を行わせることができる」と、限定的に指定管理者による管理が定められています。それぞれの施設において、指定管理者に管理を行わせることが、その目的を効果的に達成するとした理由をお聞きします。

2) 当局におかれては、指定管理者による管理は、財政上の理由だけではないとされています。しかし敢えてお聞きしますが、この3施設を直営とした場合と今回の指定管理者に管理を委託した場合で、財政上どれだけ違いがあるのかお聞きします。

3) 今まで、3施設において指定管理者による管理が行われてきましたが、それぞれの当初の事業計画は、その施設の設置の目的を遂行する上で効果的に達成できたのかどうか、できなかったところはないのか、それぞれの施設における認識をお聞きします。

(2回目の発言)
2.指定管理者の指定について

1)「公の施設の設置の目的を効果的に達成するために必要があると認めるとき」に関する問題

○指定管理者が変更となる青少年センターについて

 今回指定管理者となる日本環境マネジメント株式会社は、指定管理者事業も幅広く展開されているようですが、建築工事、土木工事、ビルメンテナンス、廃棄部収集・運搬等広範な事業に取り組む企業のようです。

 一方、青少年センターは、青少年の健全な育成と福祉の増進を図るための各種の事業を積極的に推進することを目的とする施設です。教育的要素を持つ施設ですが、この会社はこの青少年の健全な育成と福祉の増進を図るためのノウハウをお持ちなのかどうかお聞きします。

 また、先ほどの答弁で、現指定管理者は青少年センターの施設目的を効果的に達成したとのことですが、経験をどのようにして引き継ぐのか、勤務されていた職員はどうなるのかについてもお聞きします。

 さらに、青少年センターのセンター長は、置かれるのかどうか、置かれるとしたら教育に関係する人なのかどうかもお聞きします。

日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告 2022年秋季号

日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告 2022年秋季号

いのちと暮らし、教育優先のまちづくりへ
皆さんとごいっしょに実現しました

 日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告 2022年秋季号(PDF)

[1面]

日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告 2022年秋季号1面 [2面]日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告 2022年秋季号1面

2023年度予算編成に当たっての具体的要望事項

2023年度予算編成に当たっての具体的要望事項

≪総合政策部≫
1.空港について
 イ.大阪国際空港に関しては、安全、騒音・環境対策はあくまでも国の責任で実施することを国に求めること。とりわけ、空港周辺地域における騒音の軽減を早急に図り、毎年前年対比で騒音が低減できるようにすること。
 ロ.管制体制の強化と航空機の整備・検査等にかかる規制緩和の中止を国に求めること。
 ハ.住宅騒音防止対策費の充実を国に求めること。
 ニ.学校等公共施設、医療施設等の空調器機の更新を推進し、更新経費の全額国庫負担を求めること。
 ホ.民防空調機器更新に係る市民の一部負担を全額県・市費で助成すること。
 ヘ. 国際チャーター便については、その実績を重ねることによる国際線復活につなげないこと。
 ト.米軍等軍用機の発着はやめること。
2.自衛隊基地のヘリコプタ-の発着や自衛隊記念式典時の空砲による騒音、人を殺傷する訓練展示、子どもたちに「戦車」への試乗などの催し等はやめさせること。
3.自衛隊中部方面総監部で実施される日米共同指揮所演習など、アメリカが行う戦争に日本を参加させる取り組みの中止を求めること。

≪総務部≫
1.人権無視、低賃金で安上がりを目的とする人材派遣の活用は、人権を最も重視する事を基本とする自治体としてふさわしくないので中止すること。
2.職員数の減少の中で、有給休暇がまともに取れ、健康破壊をなくすためにも、また、住民の人権・福祉を守るためにも、会計年度職員等非正規職員に依存するのではなく、正規職員の増員を図ること。
3.厚生労働省が労働災害認定の過労死ラインと規定している職員の超過勤務については、命と健康を守る立場から直ちに改善すること。
4.組織の継続性・専門性を重視した職員配置をおこなうこと。
5.職員の給料引き下げはやめること。
6.公共事業の施行にあたっては、地元業者を活用し、雇用の安定と就労の促進を図ること。
7.同和対策特別措置法は終了し、法の根拠はなくなっていることから、同和・人権室を廃止すること。少なくとも、「同和」の名称はあらゆる部署においても使わないこと。
8.職員の人事評価に関しては、「働きぶり」や「能力」「業績」など図ることができない5段階評価はやめ、課長や内部における話し合いによって、職員の力が十分に発揮され、市民福祉の向上に向けて働きやすい職場となるように改善すること。

(危機管理室)
1.大震災における国の責任を明確にさせ、震災復興にかかわる財源は全額国に求めること。
2.被災者生活再建支援法の対象を半壊、一部損壊にも広げ、支援額の上限を300万円から500万円に引き上げることを国に求めること。
3.災害時における弱者・障害者への対策に関して、福祉避難所の増設・整備をし、日常的に住民とともに避難対策を進めるなど対応を拡充すること。ペット同伴による避難者対策を行うこと。また、新型コロナウイルス等の感染対策を重視すること。
4.共同利用施設等における自主避難所の開設にあたっては、市の災害対策本部との連携を密にし、救援物資等必要な対応を図ること。
5.学校体育館等の大規模な避難所の運営にあたっては、プライバシーの保護、ジェンダー平等の立場を遵守すること。また、市職員が責任者とし、避難者の意見を集約して改善を図りながら運営すること。

≪財政基盤部≫
1.「行財政改善計画」の策定にあたっては、市民のくらしを守り公の責任をはたす立場を堅持し、「市場化テスト」やPFI、民間委託・民営化など、一時的な費用負担削減のため、市民のための公共財産を安易に民間にゆだねる手法はやめること。物価高騰や格差と貧困が広がる中で、使用料・手数料等、公共料金の引き上げは行わないこと。
2.年度途中における市税や地方交付税の増による財源は、むやみに公債管理基金等に積み立てるのではなく、物価高騰やコロナ対策等市民の暮らしを支援する施策に使うこと。
3.市民税等の徴税業務に関して、その業務が人権に関わるものであることから、民間委託(電話による納税催告業務等)は行わないこと。
4.市税等の滞納者に対し、いたずらに「徴税強化」をあおるのではなく、納税者の権利を保障し、その立場に立った相談を中心として、滞納の背景にある市民の困難を他の部署と連携して解決すること。小規模事業者に関しては、運転資金に及ぶ差し押さえはやめること。
5.指定管理者制度について
 イ.導入した施設については、①住民・利用者の施設利用権を守ること、②施設のサ-ビス低下させないこと、③施設は、公正で民主的に運営すること、④職場の専門性、継続性、雇用を守る立場をとること、⑤正職員、非正職員の適正な給与を保障すること。
 ロ.「公の施設」の設置目的に反する民間企業への指定管理者選定は行わないこと。また、教育や福祉等の人権にかかる公共施設では、指定管理者による管理はやめること。

≪消防局≫
1.消防・救急体制については、装備、施設のみならず、人員も含めてすべてにわたって、充実・強化し、消防力の整備指針を100%充足すること。
2.雑居ビルの防火管理を強化すること。
3.住民や事業者の自主的な防災活動と連携し、防災教育、防災訓練を充実すること。消防の再任用職員を活用し、長年の知識や経験を生かして、地域の防災教育、防災訓練の仕事が担えるようにすること。
4.消防職員委員会が職員の意見を十分反映でき、生かすようにすること。

≪健康福祉部≫  
1.生活保護
 イ.生活保護の役割は益々重要となっているにもかかわらず、政府は、生活扶助費、住宅扶助費を大幅に引き下げた。このことは憲法25条で保証された最低限の生活も保障されない状況となる。消費税増税分の正確な反映と生活保護基準の引き上げを強く国にもとめること。また母子加算の継続を国に求めること。
 ロ.生活保護を必要な人が必要なときに受けることが出来るようにすること。特にコロナ禍の中では、生活保護は憲法に基づく権利であることを広く市民に公報すること。また、生活困難者の相談には「寄り添い型」の姿勢で行い、信頼関係を持てる相談に努めること。また分かりやすい制度紹介の「しおり」とともに生活保護申請用紙を窓口カウンターに常備し、相談者の生活保護申請権を尊重した対応をすること。しおりの中に、例えば受験生、結婚資金の積み立てなど同居であっても別世帯申請などできる例や貸付制度(冷暖房機などの購入)に関しての説明も示し、利用しやすいようにすること。
 ハ.正職員としてのケースワーカーを増員し、申請から法定期間の14日内の決定など申請者への対応を迅速に行うとともに、保護世帯の相談に十分に応えることが出来るようにすること。
 ニ.生活保護世帯の夏季・冬季見舞金を復活すること。老齢加算の復活を国に求めること。
2.国民健康保険
 イ.国保税と一部負担金の減免制度を拡充するとともに、市民への広報を強めること。
 ロ.短期保険証、資格証明書の発行は行わないこと。
 ハ.葬祭費の給付額を大幅に改善すること。
 ニ.国保税の滞納者に対し、いたずらに「徴税強化」をあおるのではなく、納税者の権利を保障するとともに、社会保障制度の立場に立った相談を中心として、滞納の背景にある市民の困難を他の部署と連携して解決すること。
ホ.2025年からマイナンバーカードが保険証として使用可能となることに関して、マイナンバーカードがなければ受診できないと誤解を招くような宣伝はしないこと。
ヘ.コロナ禍における傷病手当は事業主とその家族にも適用するように国に求めること。コロナ禍に関わらず、傷病手当給付を国に求めること。
3.年金
 イ.年金額を月額5万円底上げする最低保障年金制度をつくり、国民年金では月額8万3千円に引き上げるよう国に求めること。
 ロ.現在年金を受けている人を含めて受給額を大幅に削減することや、支給年齢を68歳ないし70歳まで引き上げる年金の大改悪に反対すること。
4.医療費助成
 イ.北欧等では常識となっている医療費窓口負担ゼロをめざし、その第一歩として75歳以上の高齢者と子どもの医療費無料制度を国の制度として創設することを国に求めること。子育て支援医療費助成については、市独自に通院も18歳まで無料にすること。
 ロ.一部負担金を導入した重度心身障害者および母子医療費の撤回を県に求めるとともに、市独自の上乗せ措置を復活させること。
 ハ.重度精神障害者(児)医療助成事業に対し、市負担で上乗せ措置を行うこと。
5.医療保険でより良い歯科医療が提供できるように保険の給付範囲を拡大するとともに、補聴器も保険適用するよう国に要望すること。
6.入院時において、おむつ代など医療保険外負担に対する援助を行うこと。
7.高齢者の医療負担をなくすとともに、療養病床に入院する高齢者の食費負担、居住費負担などの医療改悪を元に戻すよう国に求めること。
8.病院の統合再編に関して、近畿中央病院の跡地に回復期、外来を含む医療機関を誘致することに全力を尽くすこと。【地域医療体制整備推進班】
9.後期高齢者医療制度
 イ.75歳以上の高齢者すべてから保険料を徴収する差別医療押し付けの、「後期高齢者医療制度」の廃止を国に求めること。同時に制度存続の間、市独自の保険料減免制度、医療費一部負担減免制度を創設すること。
 ロ.一定以上所得者の窓口負担割合、高額療養費の引き上げは元に戻すこと。
 ハ.患者の2割・3割負担はやめるように国に求めること。
10.高齢者福祉
 イ.介護保険
  ①介護保険事業にかかる国庫負担割合の引き上げを国に求めること。
  ②必要な人がすべて安心して介護を受けることができるために、特別養護老人ホ-ムや小規模多機能型居宅介護施設等介護施設を増設し、ホ-ムヘルプサ-ビス、デイサ-ビス、ショ-トステイなど居宅サービスを拡充すること。   
  ③介護施設等で働く人への賃金引上げを国に求めると同時に、市も独自の支援を行うこと。
  ④保険料は住民税非課税の高齢者・低所得者からは徴収しないこと。
  ⑤低所得者の利用料を抜本的に軽減すること。利用料3割負担における市独自の上乗せの減免制度も作り、広く市民に広報すること。
  ⑥国による「自立支援・重度化防止」に向けた財政的インセンティブの付与によって、介護サービスの切り捨てとならないようにすること。
  ⑦介護予防・日常生活支援総合事業においては、利用者の意思を尊重し、少なくとも現行サービスは低下させないこと。
⑧介護保険基金は、サービスの充実と介護保険料軽減に充当すること。
⑨国に対して、介護「特別加算」はやめ、施設の感染拡大防止対策に関する抜本的な支援を求めること。伊丹市独自に、加算相当額を補助すること。
 ロ.社会福祉事業団は高齢者、障害者の介護サ-ビスにおける公的責任を堅持すること。
 ハ.現行の市バス無料乗車制度を堅持すること。同時に、居住期間制限をなくすこと。
11.障害者福祉
 イ.すべての障害者施策における「応益負担」の原則を撤廃することを国に求めるとともに、原則定率一割負担の更生医療、育成医療、精神通院医療に対する軽減措置の充実をはかること。
 ロ.すべての障害者が利用できるよう、施設やホ-ムヘルパ-などの基盤整備を充実すること。
 ハ.国に財源の増額を求め、「地域生活支援事業」の利用料を無料にするとともに、サービスを充実すること。
 ニ.福祉施設、作業所への報酬の日払い制度をやめ、大幅に引き上げるよう国に求めること。
 ホ.市内事業所に、障害者雇用促進法にもとづく法定雇用率を達成するようさらに雇用の拡大をはかること。一般就労や福祉就労では、公的分野で一層の拡大を図ること。
12.特にコロナ禍において、児童虐待防止に迅速・適正に対応するため、さらに相談員を増員するとともに、川西こどもセンタ-の相談員を増員するよう県に求めること。

≪市民自治部≫
1. 平和都市宣言をアピ-ルする標柱などを阪急伊丹駅同様JR伊丹駅周辺にも設置すること。
2.核兵器禁止条約の批准国が68カ国に達した(2021年12月10日現在)。伊丹市として、国に対して核兵器禁止条約の署名・批准を求めること。
3.すべての同和行政と同和教育をやめ、「同和行政終結宣言」を行うこと。
 イ.「差別を許さない都市宣言」は廃止すること。
 ロ.「部落差別解消推進法」に関しては、衆・参両院における付帯決議を遵守し、新たな差別を生み出さないようにすること。
4.ジェンダー平等の実現に向けて、男女差別の撤廃、女性の社会参加促進のため「男女共同参画条例」を制定すること。
5.家庭系ゴミの、これ以上の有料化は実施しないこと。プラスチックごみ、事業系ごみの削減を図ること。折りたたみ式ごみ収納枠等に対する助成をすること。
6.自然エネルギーの活用を促進するため、家庭用ソーラシステム導入への補助制度を導入すること。
7.天神川、天王寺川の緑道整備を行い、ネットワ―ク化を急ぐこと。

≪都市活力部≫
1.文化振興のため、文化施設の運営にあたっては、ひろく専門家や市民・文化団体などの意見を聴取し、低廉で利用できるようにすること。特にいたみホ-ルの使用料を引き下げること。
2.都市農業基本法が成立したもとで、伊丹市都市農業振興基本計画に基づき、(仮称)農を活かしたまちづくり基本条例を制定し、都市農業を維持・発展させること。また中小企業も含め地域循環型経済を実現するため、「産業振興条例」を制定すること。
3.国・県と協力し、下請け代金支払い遅延等防止法にもとづき、大企業の中小企業に対する単価きり下げなどを止めさせるため、実効ある取り組みを国に求めること。
4.企業「リストラ」や撤退に対して早期の情報把握に努め、関係機関と連携して、地域経済と従業員・市民の雇用と暮らしを守る立場から適切な対応を講じること。
5.県と協力して市内の失業やブラック企業の実態等を把握し、国・県と連携して相談窓口を設置し、若者等の雇用対策を図ること。
6.パ-ト労働者の賃金・労働条件の改善をはかるとともに、パ-ト労働者福祉・退職金共済制度を創設するよう国に求めること。
7.派遣労働を臨時的、一時的な業務に限定するなど、労働者派遣法の抜本改正を国に求めること。市内の外国人労働者の労働条件などの実態把握を行うこと。相談窓口を設けること。
8.耐震診断、耐震改修計画策定費、耐震改修工事費の補助額の増額を県に要望すること。
9.住宅リフォ-ム助成制度を創設し、市内中小企業の仕事を確保するとともに地域経済の活性化を図ること。
10.住宅政策
 イ.現行の市営住宅は建て替えることを含めて存続し、必要な戸数を確保すること。
 ロ.市営住宅の指定管理制度は撤回すること。
 ハ.既設市営住宅において、入居者要望にもとづく補修・改善を実施すること。またエレベ-タ-を設置すること。エレベーターがない場合、高齢者や障がいのある入居者のため、急いで1階への住み替えやエレベーターのある民間住宅の借り上げで対応すること。
11.都市計画
 イ.工場移転・企業撤退などによる大規模跡地への再開発で、高層集合住宅や物流倉庫建設等が計画され、近隣住居地域の住環境変化が懸念され、住民から不安と行政への不信が生じている。9月1日付で「伊丹市中高層建築物に関する指導要綱」が改正され、一定の改善が図られたが、事業者、専門家と住民参加による地域開発協議会制度の制定で、地域住民の参画協議の場を設けること。
 ロ.「伊丹市中高層建築物に関する指導要綱」9条に規定されている地域住民と事業者の紛争に対する「市長の調整」を実効あるものにするために要綱の補強をすること。

≪都市交通部≫
1.都市計画道路山田伊丹線昆陽泉町工区に関しては、十分住民の理解が得られていないことから、関係住民との話し合いを続けること。また、宝塚池田線(大野工区)の整備計画については、事業を見直すこと。
2.道路拡幅・自転車通行レーンの新設に際してはむやみに街路樹の伐採を行わず、地域住民の理解と協力により街路樹の温存と増植を図り、都市景観の維持向上を図ること。自転車通行レーン設置に伴い伐採した街路樹に対し、植えなおし等代替措置を実施すること。
3.狭隘道路、細街路等市民の生活道路の整備・補修を促進すること。
4.飛行場線JR陸橋に自転車・歩行者用道路を設置すること。
5.JR北伊丹駅南側の北村踏み切りの拡幅・改善をはかること。
6.高齢者、障害者等が利用しやすく安全な歩道整備を推進し、特に国道・県道の歩道段差解消をさらに進めるよう求めること。
7.騒音値の高い市道については、低騒音舗装を進めること。
8.安心・安全見守りカメラの運用にあたっては、市民の個人情報保護を最優先とし、警察への提供は最小限とすること。「共謀罪法」に関する情報提供はしないこと。【安全・安心施策推進班】

≪教育委員会≫
1.人権・教育指導員設置要綱は廃止すること。
2.伊丹市人権・同和教育研究協議会を廃止すること。
3.卒業式、入学式等で、日の丸掲揚、君が代斉唱の強制はおこなわないこと。
4.いじめをなくし、いかなる暴力も許さない学校教育を確立して生徒・児童の人権を守るよう指導すること。
5.一人ひとりの子どもの成長と発達を中心においた教育――具体的にはすべての子どもに、主権者として必要な基礎学力、体力、情操、市民道徳を身につけさせる教育を推進すること。
6.公立幼稚園3歳児の全員入園を実現すること。
7.幼稚園20人、小中学校30人以下学級の実現につとめること。当面現在の小学校4年生までの35人学級を、小学校・中学校の全学年に拡大し実施できるよう県に強く要望するとともに、市独自に35人学級を広げること。
8.伊丹市は、競争教育を激化させる「全国学力テスト」への参加をやめ、伊丹市独自の学習到達度調査を中止し、条件整備など、真に学力保障になる施策を進めること。
9.「ことば科」の専任講師の配置を必要に応じて復活させること。
10.準要保護における国の補助制度を復活することを求め、クラブ活動費、生徒会費、PTA会費を支給すること。
11.小学校給食の民間委託はしないこと。2時間以内の喫食を行うこと。
12. 特別支援教育では、障害児教育を充実するため特別支援学級の充実、並びに通常学級に在籍する支援が必要な子に対する教員を配置するよう県に働きかけること。
13.学校図書館における図書指導を充実するため、読書指導員の身分保障と報酬の引き上げるを図ること。
14.スク-ルソ-シャルワ-カ-とスクールカウンセラーを増員すること。
15.トライやる・ウィークにおける自衛隊での体験学習に関しては、日本を戦争する国に変える憲法違反の安保法制=戦争法が強行され、任務遂行上武器使用も認められる「殺し、殺される」自衛隊に変わったことから、再検討すること。
16.公立幼稚園に事務職員と養護教諭を全園に配置すること。
17.支援の必要な児童・生徒の重度化にともない介助員をさらに増員すること。
18.養護教諭を全校で複数配置するよう国・県に働きかけること。当面一学期だけでも補助教員をつけること。小中学校の事務職員は会計専門職員を含め複数配置すること。
19.生徒指導担当教員・指導主事を増員すること。
20.学校事務補助職員の勤務時間を従来通りとし、正職員にすること。
21.教職員の増員、少人数学級の実現等により、教職員の多忙化を解消し、生徒・児童に向き合う時間を増やすこと。
22.県教育委員会に対し、教員の臨時的任用を制限し、正規職員を増員することを求めること。
23.教室が不足する学校では特別教室の転用等緊急対応ではなく、教育施設の増改築に努めること。また床などの老朽箇所や雨もり・黒板等を点検し、必要な改修を行うこと。必要な学校予算を確保すること。
24.図書館南・北分館の指定管理はやめること。
25.スポ-ツ施設の民間企業への指定管理はやめること。
26.スポ-ツ振興法の精神に基づき、安全で低廉なスポ-ツ施設として広く市民の                    利用に供すること。
27.児童くらぶ
 イ、小学6年生までの入所年齢の引き上げに伴い、施設の拡大・充実に努めること。
 ロ、必要な指導員の配置とともに、指導員の休養場所を確保すること。
28.保育所
 イ.子ども・子育ての基本理念である子どもの権利条約と児童福祉法第2条「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」との規定に基づいて行ない、市の保育実施責任を拡充すること。
 ロ.年度途中の待機児童と詰め込み保育を解消するため、さらに認可保育所の増設を急ぐこと。国に対して補助金の復活を求め、公立保育所も増設すること。
 ハ.病児・病気あけ保育所は市民の要望を注視してさらなる充実を図ること。
 ニ.保育所の公私立間格差に関しては、保育士給与に一定の配慮はあるものの是正はされていない。早急に是正するために援助をすること。
 ホ.認可外保育所の実態を把握し、助成を検討するとともに、適正な条件で保育している施設の認可を促進するよう支援を行うこと。
 へ.正職員の保育士を増員し、保育内容をより充実すること。

≪上下水道局≫
1.水道料金引き上げに直結する資産維持費は、料金原価に算入しないと。
2.下水道整備にかかる国庫補助制度のいっそうの改善・充実を求めること。
3.下水道使用料に関しては、使用料原価に資産維持費を導入することはやめ、資産維持費に対しては一定割合での出資金を投入して引き下げを行うこと。
4.雨水幹線管渠、遊水池等の整備を促進し浸水地域をなくすこと。また雨水流出抑制をはかるため、雨水浸水桝や貯留施設の設置を啓発し、あわせて支援策を講じること。
5.地球環境を守るため、各種公共建築物等において雨水利用や太陽光・熱利用の促進を図ること。

≪交通局≫
1.ダイヤ編成は、病院、市役所など利用頻度の高い公共施設への利便性を高めること。また、乗り継ぎ時の個人負担を無料化すること。
2.車内転倒事故の防止等、安全運転を徹底すること。
3.高齢者・障害者にやさしいバス停に向け、早急に上屋、ベンチを増設すること。
4.バス路線に関する市民から寄せられた要望に対して検討し、次期ダイヤ改正で対応すること。
5.新型コロナウイルス感染対策を行うとともに、感染拡大に伴う収入の減少に対しては、伊丹市にその補助を求め、減便した路線を復活すること。
6.夜間視認しにくいバス停に照明灯を設置し、利用者や通行者の安全を図ること。

≪病院≫
1.医師の勤務条件等処遇を改善し、医師の確保に努めること。新しく小児科、産婦人科をめざす医師の3分の2が女性であり、女性医師が子育てと両立できる労働条件にすること。
2.看護師増員と待遇改善で患者サ-ビスの向上をはかること。
3.無料低額診療制度の導入を検討すること。
4.新型コロナウイルス感染対策に万全を尽くすとともに、その費用負担を伊丹市・国に求めること。国に対して医療崩壊を防ぐ手立て(国によるPCR検査の抜本的拡大、療養施設の拡大等)を求めること。

2023年度予算編成にあたっての要望提出、市長と懇談

2023年度予算要望と市長懇談 今日、11月9日、日本共産党伊丹市議会議員団として伊丹市長に対して2023年度予算要望書を手渡し、懇談を行いました。

 私からは、党議員団が今行っている市民アンケートの中間集計を示しながら、コロナ対策では感染時の入院等医療体制の充実と検査体制を拡充すること、有症者を置き去りにしないことを多くの市民の方が望んでおられることを示してその実現を求めました。教育関係では、高等教育の無償化、学校給食の無償化、子どもの医療費は高校卒業まで無料に、また、国保税・介護保険料の軽減、保育料軽減などの要望が多い結果を提示しました。

 市長から、来年度予算の中で避難所となる学校体育館に空調設備を設置することを検討していること、昆陽池トイレの改修、地域の共同利用施設にWi-Fi設備を整備することなど、一部党議員団が求めていたことが実現することになります。
 要望書は以下の通りです。

 2023年度予算編成にあたっての基本的・重点要望(PDF)

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伊丹市長 藤原保幸 様

2023年度予算編成にあたっての基本的・重点要望

2022年11月9日
日本共産党伊丹市議会議員団
上原秀樹 久村真知子

はじめに

 国においても来年度予算における概算要求が出され、今後の予算議会で審議が始まります。その特徴は、5.6兆円という防衛予算が突出していることです。アメリカの意のままに、敵基地攻撃能力(反撃能力)保有のための「12式地対艦誘導弾」(地発型)や「高速滑空弾」の量産に着手するための予算やイージス・システム搭載艦の整備費を計上しています。5年間でGDP比2%、約11兆円の軍事予算にしようとしています。一方で、年金を削減し、高齢者医療費の窓口負担の倍化、介護保険制度を改悪して国民の負担を増加させる議論も進んでいます。

 今、コロナ禍と物価高騰で国民の暮らしは大変です。岸田政権はこれら国民の困難に目を向けない無為無策を続けているのが現状であり、市長には市民の立場から国に対して軍事費より暮らし優先の予算編成を要求するとともに、伊丹市政においては、市民の困難に心を寄せた暮らしを応援する政治が求められています。

 以下、2023年度予算編成にあたっての基本的・重点要望を提案しますので、予算に反映していただきますようお願いします。

1.新型コロナウイルス感染症対策の充実を

 今年の冬はコロナ感染第8波とインフルエンザが同時に流行すると報道されています。党議員団が行っているアンケートで最も多いのが検査体制の充実と医療体制の拡充です。市民の命と健康を守る対策が求められます。

① 国・県と共同で臨時検査センターを複数設置し、「いつでも、誰でも、無料で」検査を受けることができるようにすること。また、必要とされる人に検査キットの無料配布を行い、保健所や医療受診に繋げること。

② 早期診断・治療のために必要な体制を整え、「自主療養制度」を改めて自己検査で陽性になった場合も感染者として発生届につなげ、受診調整や食糧支援など療養支援を行うこと。

③ 「全数把握見直し」については、重症者を見逃し、感染者を拡大することなどにつながることから行わないことを求めること。

④ 生活福祉金の新型コロナウイルス特例貸付について、来年の1月からこの貸付金の返済が始まります。1世帯最大200万円の返済が待ち受けており、返済時に住民税非課税であれば免除の対象ですが、生活に余裕がないのに対象外の人もいます。柔軟な対応と対象の拡大が必要と考えます。

 また、困りごとの中で特に困っていることとしてあげられている「借金の返済」や「仕事」「税金・公共料金・携帯代」など、他施策で支援ができるところはただちに支援を求めます。

2.思い切った物価高騰対策を

 ロシアによるウクライナ侵略とアベノミクス経済対策の失政による円安によって物価高騰が続いています。岸田政権は、大規模な金融緩和などの対策を改め、金利引き上げと何よりも消費税を5%に引き下げるなどの対策を急ぐべきです。伊丹市としても、新たな地方創生臨時交付金と財政調整基金等の活用で生活支援、事業者支援を行うことを求めます。

① 生活支援や子育て支援等における住民税非課税等の所得基準に対して、アンケートでも不満の声が出されています。所得基準の大幅な引き上げと低所得者には手厚い支援を行うなど、全市民に対する対応を求めます。

② 高齢者・障がい者・幼児教育等の施設への物価高騰支援を行うこと。

③ 中・小事業者はコロナ禍による事業の疲弊と物価高騰によって大きな打撃を受けています。商工会議所との連携による事業者訪問で事業者の実態を把握し、家賃支援給付金や固定資産税減免等の必要な対策と事業者の立場にたったていねいな対応と相談体制を確立することを求めます。

 また、来年10月から始まるインボイス制度は、小規模事業所やフリーランスの廃業を招くとの懸念が広がっています。国に対して中止を求めること。

3.憲法を生かし、人権を守り、市民が主人公、平和の実現に寄与する伊丹市政を

 岸田政権は、歴代自公政権以上に憲法改定に執念を燃やしています。とりわけ、ロシアによるウクライナ侵略を契機として、アメリカとの軍事一体化を強めて軍事費を5年間で倍化し、「敵基地攻撃能力」を有することを言明するなど日本を危険な戦争への道に導こうとしています。

 自衛隊基地を抱える伊丹市として、住民の命と財産を守るために、戦争への暴走を止め、憲法を生かした市政を進めることが求められています。

 また、ジェンダー平等社会の実現も重要な課題となっています。

① 伊丹市政において、あらゆる分野で憲法を生かした市政を進めることを求めます。

② 軍事費を増額して軍事対軍事による危険な戦争への道を進むことはやめ、憲法9条を生かした平和外交で戦争のない東アジアをつくることに力を尽くすこと、憲法違反の安保関連法=戦争法の廃止、憲法9条をはじめ憲法を守り生かすことを国に求めること。

③ 11月10日(木)から19日(土)にかけて実施予定の「令和4年度日米共同統合演習(実働演習)「Keen Sword23」は、「グレーゾーン事態から武力攻撃事態等における自衛隊の運用要領及び日米共同対処要領を演習し、自衛隊の即応性及び日米の相互運用性の向上を図る」(防衛省)とされているとおり、台湾有事などで中国と戦争になった際、米軍が南西諸島に分散展開し、そこに臨時の軍事拠点を置いて情報収集や対艦攻撃、電子戦などの作戦を行うものとなります。米軍との軍事一体化を進める日本政府は、こうした米軍の作戦に全国の自衛隊を動員しようとするものです。台湾有事で米軍が南西諸島の島々から中国軍を攻撃すれば、中国軍も当然反撃し、そのことで南西諸島(日本)が戦場になることが想定されます。
伊丹市においては、陸上自衛隊中部方面総監部のある伊丹駐屯地で「基地警部訓練」を行うとされ、第36普通科連隊と航空自衛隊第4高射群が共同でPAC3に関する訓練を行う計画です。ペトリオットPAC3ミサイルの配備は、日本に向かう航空機を打ち落とすために導入されたもので、アメリカの「ミサイル防衛計画」とセットで打ち出されたものです。現在は北朝鮮からの弾道ミサイルが対象とされていますが、元々防衛的なものではなくアメリカの先制攻撃体制を確保するための装備であり、伊丹駐屯地が相手国からの攻撃の的となりうる危険な訓練と言えます。市街地における危険な戦争訓練を中止することを国に強く求めること。

④ 核兵器禁止条約は、署名国91か国、批准国68か国となり、今年開催された核兵器禁止条約の初の締約国会議は、核兵器の非人道性を再確認し、核兵器に依存した安全保障を批判し、条約への参加促進や核兵器の被害者支援など、条約の内容を実現する方策を盛り込んだ「ウィーン宣言」と「ウィーン行動計画」を採択して閉会しました。会議には北大西洋条約機構(NATO)参加国等米国の同盟国も含め34カ国がオブザーバーとして出席しましたが、唯一の戦争被爆国である日本がオブザーバー参加すらしなかったことは、大きな失望と批判をよびました。国に対して早急に署名と批准をすることを国に求めること。

 伊丹市としても、日本政府が核兵器禁止条約を批准することを求める署名を推進するとともに、積極的に原爆の実相を伝える平和施策を進めることを求めます。

⑤ 伊丹空港において、極めて危険な米軍機オスプレイの緊急着陸が行われましたが、今後一切、伊丹空港の軍事利用はやめることを国に求めること。

⑥ 自衛隊への電子データによる個人情報の提供はやめることを求めます。必要と考えるならば、個人情報保護条例に基づき、専門的知見を踏まえた意見を明らかにするとともに、自衛隊への住基4情報の提供に対して「除外申し出制度」をつくることを求めます。

⑦ ジェンダー平等社会を実現する観点から、すべての人が社会、経済活動に生き生きと参加できる当然の権利を保障するため、行政のあらゆる部面でジェンダー平等の視点を貫くことを求めます。国に対して選択的夫婦別姓制度の実現を求めること。

⑧ パートナーシップ宣誓制度に基づき、相談窓口の充実、啓発パンフの普及など性的マイノリティの人権を守る施策を強化することを求めます。

⑨ 「差別を許さない都市宣言」の廃止等すべての同和行政・教育を終了すること。「同和問題」に関する市民意識調査はやめることを求めます。

4.福祉・医療の充実、市民の暮らしを守る対策を

 2021年国民生活基礎調査では、生活意識について、全世帯で「苦しい」と感じている世帯が53.1%、「子どものいる世帯」で「苦しい」とする世帯が59.2%を占めていました。また、国税庁の2021年民間給与実態調査では、年収200万円以下のワーキングプアは1126万人で、10年連続1000万人を超えています。実質賃金は数年間下がり続け、物価高騰が拍車をかけています。特に高齢者、子育て世帯、障がい者世帯等への影響が大きく、思い切った対策が求められます。

① 高齢者世帯にとっては、マクロ経済スライド制を廃止して年金を引き上げ、後期高齢者医療の窓口負担を1割に戻すことを求めること。伊丹市としても、低年金世帯への財政的支援を行うこと。

② 国は介護保険制度の大改悪を計画しています。社会保障審議会の部会に提案された内容は、サービス利用料の2~3割負担の対象拡大、要介護1,2の保険給付外し、ケアプランの有料化、保険料の納付年齢の引き上げと利用年齢の引き下げ等です。これら国民にとって耐えがたい負担増と給付減を押し付けるものであり、国に対して中止を求めるとともに、介護保険における国庫負担を思い切って増額し、誰でも安心して介護を受けることができる体制と、保険料の軽減を求めること。

③ 国民健康保険税を引き下げるため、国にさらに1兆円の公的負担を求め、均等割り・平等割の廃止で協会けんぽ並みの保険税にすることを国に求めること。本年度から就学前の子どもの均等割りが半額にされたが、市独自に少子化対策として財政支援を行い、子どもの均等割りをなくすことを求めます。

④ 子どもの医療費は所得制限なしで高校卒業まで無料にすることを求めます。

⑤ 国に対して、生活保護を「生活保障制度」に改め、必要な人がすべて利用できる制度にするとともに、生活保護削減を復元し、支援水準を生存権保障にふさわしく引き上げることを求めること。

 また、冬季加算の増額と夏季加算の新設を求めること。大学生・専門学生も生活保護を受けることができるように国に求めること。生活保護へのスティグマを解消するため、伊丹市としても「生活保護は権利です」というアピールをすること、そのために公共施設等にそのポスターを貼りだすことを求めます。

 また、「扶養紹介」に関して、生活保護の申請者が扶養照会を拒んだ場合、その理由について「特に丁寧に聞き取りを行い」、照会をしなくてもよい場合にあたるかどうかを検討すること、扶養照会を実施するのは「扶養義務の履行が期待できる」と判断される者に限るという新たな対応方針に基づくことを求めます。

 車の保有に関しては、保護世帯の実情を踏まえて柔軟に対応することを求めます。

⑥ 伊丹市として、年度途中の待機児童と詰め込み保育を解消するため、さらに認可保育所を増設することを求めます。また、2号認定こどもの副食費実費徴収をやめるよう国に求めること。

⑦ 国に対して補聴器購入補助制度をつくることを求めるとともに、伊丹市として助成することを求めます。また、ヒアリングループを公共施設に備え活用を図ることを求めます。

⑧ 障がい者に対する医療費助成制度において、身体障がいの場合は3,4級、療育手帳の場合はB(1)、精神障がいの場合は2級まで対象を拡大することを求めます。

⑨ 兵庫県後期高齢者医療広域連合に対し、県の補助を行うとともに、基金の活用で保険料を引き下げること、保険料及び一部負担金の減免制度を周知することを求めること。

5.すべての子どもの成長発展を支える豊かな教育環境を

 教育は子ども一人ひとりの成長と発展のためにあり、子どもの権利です。家庭の経済力に関わらず、すべての子どもに豊かな教育環境を確立することが求められます。また、コロナ禍における学校と家庭での生活の変化等でストレスが溜まっている可能性があり、十分な配慮が求められます。

① 少人数学級では、35人学級が毎年1学年ずつ実施されていますが、一気に実現するとともに、中学校においても同様の少人数学級の実現を求めます。また、国に対して小・中学校の30人学級実現を求めること。

② 「全国学力テスト」への参加と市独自の「学力テスト」を中止することを求めます。

③ コロナ禍や社会・家庭環境による困難な子どもへの対策として、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーのさらなる増員で、児童・生徒と家庭を支援するとともに、介助員の増員で障がい児の教育を受ける権利を保障することを求めます。

④ 教育のあらゆる部門で子どもの権利を守ることを宣言し、実行ある施策を推進するとともに子どもの権利擁護のためにも子どもの権利条例を制定することを求めます。また、子ども向けの子どもの権利条約パンフレットを作成されましたが、子ども同士、家庭において子どもの権利条約が話し合われる環境をつくり、絶えず充実されることを求めます。

⑤ 幼児教育の推進に関しては2018年1月の文教福祉常任委員会における付帯決議を順守すること、公立幼稚園、認定こども園における3歳児の定員を増員して全員入園を実現するとともに、4、5歳児において単学級にならざるを得ない状況を打開することをもとめます。

⑥ 大学・短大・専門学校の学費をすみやかに半額に引き下げ、高等学校、高等教育の無償化をめざすとともに、入学金制度をなくすよう国に求めること。

⑦ 学校給食を無償化すること、就学援助制度の充実を求めます。

6.中小企業・零細業者への支援を強め、人間らしく暮らせる地域社会と住みよい住環境を

 中小企業は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)する存在です。また、働く人の3人に2人が働いている雇用の担い手でもあります。これら中小企業、業者、商店、農業者に支援を強化することは住みよいまちづくりに欠かせません。特に、コロナ禍と物価高騰で経営基盤が脆弱となっている中小企業・業者に対する支援が必要です。

① コロナ対応の緊急借入で積みあがった中小企業の債務をどう解決するかが大きな問題になっており、コロナ対応借入分の軽減・免除する仕組みをつくることを求めます。

② 文化・芸術関係者に対して、新たなイベントへの支援にとどめず、「場と担い手」への支援を行うとともに、国費を数千億円単位で支出して「文化芸術復興創造基金」を抜本的に強化することを国に求めること。アイホールは演劇ホールとして存続することを求めます。

③ 「中小企業振興条例」「農業振興条例」の制定で、地域循環型経済の仕組みをつくることを求めます。

④ 大型小売店の相次ぐ出店で地域の商店が廃業に追い込まれています。中心市街地だけではなく、空き店舗対策、家賃補助等によって市内周辺の商店も守る手立てをとることを求めます。

⑤ 個人事業主における国保税や市民税、固定資産税などの滞納処分については、事業の存続や生活の状況をていねいに聞き取り、積極的に納税緩和措置を活用することとともに、場合によっては、税の執行停止を行うことを求めます。

⑥ 市営住宅は戸数を減らすのではなく、必要な個数を維持し、旧耐震住宅は順次建て替えを行い、バリアフリー化された住みよい住環境を提供することを求めます。また、住民からの修繕要求には積極的に対応することを求めます。また、エレベーターの設置を求めます。

⑦ 大企業への優遇税制の廃止・縮小や所得税・住民税の最高税率を引き上げるなど、大企業と富裕層に応分の税負担を求め、消費税を5%に減税するよう国に求めること。政府が導入を予定しているインボイス制度は、零細業者やフリーランスに納税義務を広げ、負担と格差をさらに拡大するものであり、ただちに中止することを国に求めること。

7.自然災害から市民の命を守るとともに、環境を守り、安心・安全の伊丹市を

 地球温暖化の影響で台風、豪雨など自然災害が相次ぐとともに、南海・東南海地震もいつ起こるかわからない状況にあり、災害や事故から市民の命と暮らしを守る政治が求められています。特に気候危機を打開するための積極的な対策が必要となっています。

① 気候変動危機に対応するために、国に対して原発ゼロ、石炭火力発電所ゼロ、2030年までに10年比で50~60%削減、2050年にはカーボンゼロの計画を策定することを求めるとともに、伊丹市としてもカーボンゼロ宣言を行い、この目標に見合う野心的な取り組みを求めます。

② 災害の発生に備え、市民の防災意識啓発に努めるとともに、感染が広がる中での避難対策に関しては、避難所におけるきめ細かな対応(発熱、障がい者、高齢者等)や地域における要支援者の避難誘導等を含めた地域ごとの「防災まちづくり計画」を推進するための支援を行うことを求めます。体育館に空調施設整備など避難所の改善を図ることを求めます。

③ 航空機に係る環境基準達成には程遠い状況にあることから、大阪空港における国際便就航を求めることはやめること。環境基準達成に向けた不断の努力で目に見える効果を上げることを求めます。

④ 市内1,2級河川の浚渫等豪雨対策を国・県に要望すること。

8.「住民の福祉の増進」(地方自治法)に必要な財源を国に求め、伊丹市が主体となって市民の暮らしを守る伊丹市を

 新型コロナウイルス感染症と物価高騰の影響によって市民の暮らしが困難になっています。市民の暮らしと中小零細事業者の営業を守るためには、地方自治体の固有の財源である地方交付税の増額が必要です。一方、岸田政権は年金引下げや生活保護費引き下げ、高齢者の医療費の倍化を行い、今後は介護保険での保険料引き上げと給付の削減を狙っています。

 このような政治に反対し、「住民の福祉の増進」(地方自治法)に必要な財源を国に求め、伊丹市が主体となって市民の暮らしを守る市政を行うことが求められています。

① 地方交付税においては、真に必要な地方財源が確保できるようにするとともに、コロナ感染対策と物価高騰対策に必要な財源を確保することを国に求めること。

② 集約化を進めようとしている共同利用センターについて、住民の利益に反する統廃合ではなく、住民合意のもとでの維持・管理・更新への対策を行うことを求めます。

③ 職員の人事評価の問題では、公共を担う公務員には、全体の奉仕者の立場から、市民の声を聞き、提供する市民サービスや人権保障のあり方を職場で自由に議論し、提案することができます。そのような場に「能力」「業績」などという測ることが困難な尺度で5段階評価することは、公務員の労働意欲の向上や創意工夫の発揮を阻害することにもつながります。今後、「伊丹市人材育成基本方針」の「人事評価」の項目に「面談重視型人事評価」と明記されていることを踏まえ、5段階評価はやめることなどを含めて、職員の力が十分に発揮され、市民福祉の向上に向けて働きやすい職場とされるよう改善を求めます。

④ 公契約条例を制定し、請負契約や委託事業に関わる労働者が生活できる賃金を保障することを求めます。

⑤ 自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進にあたっては、「地方自治の本旨」(憲法第92条)に基づき、「住民の福祉の増進を図る」(地方自治法第1条の2)ことを原則とするとともに、推進にあたってはそれぞれの業務を担当する職員や市民の意見が適切に反映さえる体制を整え、新たに情報システムを自治体の業務に導入する際には、職員がシステムをチェックでき、市民に行政責任を果たさせる体制を確保することを求めます。

⑥ 国はマイナンバーカードに健康保険証や運転免許証、国税、年金などの情報をひも付けしようとしています。特にマイナンバーカードの取得が概ね50%にもかかわらず、健康保険証を廃止しようとしていることは問題です。健康保険証の廃止を中止することを国に求めること。

 相次ぐ個人情報の漏洩が問題となり、多くの国民が個人情報の提供に不安を感じています。国民監視の強化や個人情報の漏洩につながるマイナンバーカードのひも付けはやめるよう国に求めること。

日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告 2022年春号

日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告 2022年春号

市民との共同で、2022年度予算で実現
子どもの医療費 中学3年生まで無料に

 日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告 2022年春号(PDF)

日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告2022年春号1面
日本共産党伊丹市議会議員団 議会報告2022年春号2面

[1面]

 党議員団が議会のたびに求めてきた子どもの医療費が、7月から中学3年生まで無料になります。ただし所得制限付き(保護者の市民税所得割額23. 5万円、4人世帯でおよそ収入811万円、約75%が無料)です。党議員団は、所得制限の撤廃と高校3年生までの無料化実現を求めました。

保育所待機児童解消 前進
 保育所待機児童の解消に向けて210名分の保育所整備予算が計上されました。

若者の就労 支援
 若者就労支援事業として、市内在住かつ市内で働く30歳までの若者が学生支援機構等の奨学金返済中の場合、年間返済額のうち自己負担分の2分の1の範囲内で最大6万円を3年間助成されます。

国保税の子どもの均等割り 半額に
 党議員団が議会で要求してきた国保税の未就学児の均等割りが半額になります。対象世帯は750世帯、999人。引き続き均等割りをなくし、国保税の大幅な引き下げを求めました。国保税は9年連続据え置きです。

児童くらぶ、保育士の待遇改善 一歩前進
 児童くらぶ指導員や保育士などのエッセンシャルワーカーの賃金が引き上げられます。今までこれらの職種の賃金が極めて低いことを問題としてきました。今回はその第一歩。党議員団は引き続きさらなる賃金の引き上げを求めました。

市営住宅にエレベーター 設置
 議会で何度も市営住宅の耐震補強や修繕、エレベーターの設置を求めてきました。このたび玉田団地6号館及び9号館にエレベーターが設置されることになりました。また、山道団地3号館、荻野団地1、2、3号館、天神川団地3、5号館、鶴田団地1、2号館の耐震補強、屋上防水改修などを行います。

JR伊丹駅前トイレ 改修
 市内公衆トイレが暗い・怖い・汚いという声を議会でも紹介し、改修を求めてきました。予算には実施設計が計上され、2023年度にJR伊丹駅西側、カリヨン塔の南側に新たにトイレが設置されます。党議員団は、引き続き阪急伊丹駅南側トイレなどの改修も求めました。

ジェンダー平等の社会実現に前進
 男女共同参画課が復活します。また、痴漢防止対策として「痴漢は犯罪です」のポスターが掲示されることになりました。

ロシアによるウクライナ侵略中止を

[2面]

市民の暮らし、営業を守れ  積極的に提案
日本共産党議員団―2022年度予算審議

コロナ感染対策拡充を
 「まん延防止等重点措置」が解除されたとはいえ、第5波のピーク時の約1.5倍前後の感染者数です。保育所が休園となった場合の「代替保育所」の設置、PCR検査の拡充、生活困窮者や小規模事業者への独自支援策を求めました。

近畿中央病院の跡地に 急性期病床の医療機関誘致を
 コロナ禍で感染者が入院できたのは急性期病院。伊丹市は病院の統合再編で急性期病床を200床も減らす計画です。コロナ禍の教訓を踏まえて県地域医療構想を見直し、近畿中央病院の跡地に急性期病床を含む医療機関の誘致を求めました。

地方財源の増額を国に求めよ
 国は前年度並みの地方一般財源は確保したと言っています。しかし、地方自治体では新型コロナ対策や高齢者・子どもなどに対する社会保障経費の増、公共施設・道路等の修繕費用などの重要は高まっており、余裕のない財政運用を余儀なくされています。「前年度並み」ではなく増額を国に求めるよう要望しました。

年度途中の保育所待機児童の解消を
 毎年4月1日には待機児童を解消しているとされていますが、年度末には700人を超える待機児童が発生します。認可保育所の増設とともに、年度途中の待機児童は「公立」が担って解消することを求めました。

安心・安全な市営住宅を
 党議員団の要求で新たに玉田団地にエレベーターが設置されますが、他の市営住宅へのエレベーター設置と各室内の改修も要望しました。

障がい者(児)医療費の軽減を
 伊丹市の障がい者(児)医療費の減免制度に関して、身体障がい1、2級を4級までに、療育医療費A判定をB(1)までに、精神医療1級を2級までに拡充することを求めました。

気候変動危機打開に全力を
 伊丹市は「ゼロカーボンシティ宣言」をしていません。全国598自治体、総人口に占める割合が90.7%(2月末現在)の自治体が「宣言」をしています。「宣言」をすることで市民参加を進めカーボンゼロをめざすことができます。

ジェンダー平等社会の実現を
  市が責任をもってジェンダー平等政策を推進するため、男女平等
参画センター(ここいろ)の直営化と男女共同参画条例制定を求めました。

2022年度予算 ここが問題
コロナ感染症対策 市の独自施策なし
 党議員団は、高齢者施設や学校、就学前施設などでのPCR検査拡充、困窮世帯や事業者への独自支援を求めましたが、市の施策は、遅れに遅れた国の対策の範囲内でしかありません。

相変わらず「同和教育」の推進
 「伊丹市人権教育・啓発推進に関する基本方針」の改定で、同和問題に関する市民の差別意識の解消のための教育・啓発を継続する問題です。アンケートにおいても実体のない「いわゆる同和地区」という表現を使うことによって、あたかも同和に関する差別がいまだに根強いという印象を市民に与えます。実体的差別がほとんどない中で、差別意識をことさら強調する同和教育は必要ありません

文化保護行政の管轄を教育委員会から市長に移管
 文化財保護における権限は、収集・保管・展示・教育・調査・研究という基本的な機能は市長の権限とは分離され、市長の権限に束縛されない、自由で自律的な学芸活動として展開されてきました。市長に権限を委譲することで、専門性、政治的中立性が担保される保障はありません。

児童くらぶの育成料引き上げ
 伊丹市立児童くらぶ条例の一部改正の提案では、2 0 2 3 年度から月額育成料6,200円を8,000円に引き上げ、延長時間に応じて午後5時から午後6時までが1,800円、午5時から午後7時が3,600円と区分されていた育成料を一律3,000円にするものです。
 その理由は、指導員の処遇改善や長期休業中の昼食提供とされますが、これらの改善を育成料の引き上げによって行うということは、サービスを良くすればよくするほど保護者の負担を増やすというやり方であり、この受益者負担の原則は子育て支援策、福祉行政としてはなじみません。

アイホール(演劇ホール)事業の縮減
 アイホールの存続が危ぶまれています。当面3年間は継続することとなりましたが、今まで公演等の事業が36事業あったのを10事業にして事業費削減、自主事業をなくして貸館中心の管理に伴い職員を10名から6名に削減するなどで経費を3,300万円削減する提案がされました。しかし、アイホールは30年以上の歴史の中で「関西小劇場の聖地」の地位を築き、優れた演劇文化を発信するとともに、中高生などの学びの場としての機能も発揮してきました。自主事業の廃止などこれらの機能を縮小することは質の高い文化の発信と市の文化振興策の縮減につながります。

2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望を提出しました

 11月8日、藤原市長に、2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望を提出しました。

2022年度予算編要望を提出 2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望(PDF)

市長に2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望を提出しました

2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望

2021年11月8日
日本共産党伊丹市議会議員団
上原秀樹 久村真知子

はじめに
 菅政権がわずか1年余りで政権を投げ出し、安倍・管政権を引き継ぐとする岸田政権に変わりましたが、岸田首相は国会での議論も代表質問だけで十分な議論もせず、衆議院を解散し、総選挙が行われることになりました。日本共産党は、今度の総選挙で「野党共闘で政権交代を」と訴えて闘いましたが、自民・公明政権の継続となったことは残念なことです。引き続き命・暮らし最優先の政治実現に全力を尽くします。
 安倍・管政権を引き継いだ岸田政権の政策は、格差と貧困を広げたアベノミクス、社会保障の削減など従来型の政治を行うことは所信表明で明らかになったところです。この政治から市民の暮らしを守る砦としての伊丹市政が求められています。以下、2022年度予算編成にあたっての基本的・重点要望を提案しますので、予算に反映していただきますようお願いします。

1.新型コロナ感染症対策――経済・社会活動を再開しながら、命を守る対策を

 9月以降、新規感染者の減少が顕著になっており、経済・社会活動の再開も重要な課題になっています。同時に、このまま終息に向かうとは誰も考えておらず、再び、感染爆発と医療崩壊を絶対に起こさないコロナ対策が求められています。

1)日本でも世界でも、ワクチン接種後の「ブレークスルー感染」が起きています。感染抑止のためには、ワクチン接種(追加接種を含めて)を安全にすすめるとともに、大規模な検査を行い、感染の火種を見つけ、消していくことが必要です。

① 国・県と共同で、「いつでも、誰でも、無料で」という大規模・頻回・無料のPCR検査を行うこと。
② 職場、学校、保育所、幼稚園、家庭などでの自主検査を大規模かつ無料で行えるように、国が思い切った補助を行うように要望すること。伊丹市としても検査キットを無料で配布し、行政検査につなぐことができるようにすること。

2)コロナ病床の拡充、臨時の医療施設の増設、往診・訪問看護の体制強化など、臨時の医療体制を整備することは、「第6波」への備えとして急務です。また、保健所の機能マヒも絶対に起こしてはなりません。

 ① 医療機関の減収補てんと財政支援、医療従事者の待遇改善を国に求めること。
 ② 市立伊丹病院での感染症対策は、コロナ感染症対策を教訓に万全の体制を整備すること。また、近畿中央病院の跡地には、急性期病床が200床減少することを考慮し、回復期病床にとどまらず、地域住民が望む医療機関が誘致できるよう公立学校共済組合や伊丹市医師会と協議を続けること。
 ③ 保健所の体制も、臨時採用や他部署からの派遣などの緊急増員を確保しつつ、増やした職員を定員化するなど、正規の職員増もすすめるよう国・県に求めること。

3)緊急事態宣言は4回になるのに、持続化給付金・家賃支援給付金も、国民への特別給付金も1回だけです。コロナ危機で、仕事や所得が減少し、生活が困窮している人も少なくありません。また、いわゆる中間層にもボーナスや賃金の減少が広がり、教育費負担や住宅ローンの重い負担もあり、”コロナによる生活悪化”が起きています。
  事業者は、さらに深刻で、売り上げの大幅減少や借入金の増大など、コロナ危機のもとで体力が落ち込み、”再建”が困難な事態も広がっています。
  コロナ危機で傷んだ暮らしと営業の深刻な実態を放置するなら、コロナ危機後の経済危機に陥ってしまいます。

 ① コロナ危機で収入が減った家計への支援として、1人10万円を基本に「暮らし応援給付金」を5兆~6兆円規模で支給し、国民の暮らしを支えること。いわゆる中間層(年収1000万円未満程度)を含め幅広く対象にし、生活が困窮している低所得者には手厚い支給をすることを国に求めること。
 ② 中小企業、個人事業主、フリーランスに持続化給付金・家賃支援給付金を再支給するとともに、コロナ危機が終焉(しゅうえん)するまで継続し、雇用調整助成金のコロナ特例も継続することを国に求めること。
 ③ 伊丹市としても、国に財源を求め、国の対策が不十分なところには、財政調整基金を取り崩してでも暮らしと営業に対する支援を行うこと。

2.憲法を生かし、人権を守り、市民が主人公、平和の実現に寄与する伊丹市政を

 岸田政権は安倍・管政権を引き継ぎ、憲法改定に執念を燃やしています。とりわけ、今度の総選挙で自民、公明、維新の改憲派が衆議院議員の3分の2を占めたことで、改憲を加速化させる危険性が強まるとともに、アメリカとの軍事一体化を強め、「敵基地攻撃能力」を有することを言明するなど日本を危険な戦争への道に導こうとしています。
 自衛隊基地を抱える伊丹市として、住民の命と財産を守るために、戦争への暴走を止め、憲法を生かした市政を進めることが求められています。
 また、ジェンダー平等社会の実現も重要な課題となっています。

① 安保関連法=戦争法の廃止、憲法9条をはじめ憲法を守り生かすことを国に求めること。
② 11月に予定されている日米共同指揮所演習(ヤマサクラ81)は、米陸軍と陸上自衛隊の共同演習で、対中国戦略で離島を奪取し中国軍の艦船や航空機などを攻撃・威嚇する作戦の演習として過去最大規模となるとされている。その指令の中心が市内伊丹駐屯地の中部方面総監部となり、事が起れば戦争の拠点とされる危険性があるもので、市民の生命と財産を守るためにも、危険な演習はやめるべきであり、国に対して中止を求めること。
③ 核兵器禁止条約が2021年1月22日に発効し、現在、批准国が56カ国となり、来年開催される締結国会議にNATO加盟国のノルウェーがオブザーバー参加することなど、世界的に核兵器禁止条約への期待が高まっている。唯一の戦争被爆国である日本として、締結国会議にオブザーバー参加するとともに、早急に署名と批准をすることを国に求めること。
④ 一昨年4月1日の米軍機オスプレイの緊急着陸では、飛行目的、ルート、不具合の原因、落下物など近隣住民への被害などの事実関係が明らかにされなかった。改めて危険なオスプレイの飛行中止を米軍と国に強く申し入れること。対米従属的な日米地位協定の見直しを求めること。
⑤ 自衛隊への電子データによる個人情報の提供はやめること。必要と考えるならば、個人情報保護条例に基づき、専門的知見を踏まえた意見を明らかにすること。
⑥ ジェンダー平等社会を実現する観点から、すべての人が社会、経済活動に生き生きと参加できる当然の権利を保障するため、行政のあらゆる部面でジェンダー平等の視点を貫くこと。国に対して選択的夫婦別姓制度の実現を求めること。
⑦ パートナーシップ宣誓制度に基づき、相談窓口の充実、啓発パンフの普及など性的マイノリティの人権を守る施策を強化すること。
⑧ 「差別を許さない都市宣言」の廃止等すべての同和行政・教育を終了すること。「同和問題」に関する市民意識調査はやめること。

3.福祉・医療の充実で、市民の暮らしを守る伊丹市に

 岸田首相は、「新しい資本主義」とか「成長と分配の好循環」などと言っていますが、その中身は、アベノミクスそのものです。
 アベノミクスで起きたのは、貧富の格差の劇的な拡大です。安倍・菅政権のもとで、大企業は利益を増やし、内部留保は133兆円も増加し467兆円(2020年度末)もの巨額になりました。それにもかかわらず法人税は減税(28%から23.2%)されました。大富豪の資産は、6兆円から24兆円へと4倍にも膨れ上がりました。
 その一方で、2度の消費税増税が家計に重くのしかかり、働く人の平均実質賃金は22万円も減りました。
 国に対して、アベノミクスを教訓に家計応援の政治に切り替えて経済のボトムアップ=底上げをはかることを求めるとともに、伊丹市としてもケア労働を待遇改善し、社会保障の拡充を行うこと等、福祉・医療の充実で暮らしを守る対策が求められています。

① 国が基準を定めている、介護・福祉・保育職員の賃金を引き上げ、配置基準の見直し雇用の正規化、長時間労働の是正など、ケア労働の待遇を改善することを国に求めること。
② 国民健康保険税引き下げのため、国にさらに1兆円の公的負担を求め、均等割り・平等割の廃止で協会けんぽ並みの保険税にすることを国に求めること。来年度から就学前の子どもの均等割りが半額にされるが、市独自に少子化対策として財政支援を行い、さらなる子どもの均等割りの軽減を行うこと。
③ 国の介護保険制度の改善で、介護保険料・利用料の減免、保険給付を拡充するとともに、特養ホームなど介護施設の増設により、必要な介護が受けられるようにすること。
④ こどもの医療費は所得制限なしで義務教育終了まで無料にすること。
⑤ 国に対して、生活保護を「生活保障制度」に改め、必要な人がすべて利用できる制度にするとともに、生活保護費削減を復元し、支給水準を生存権保障にふさわしく引き上げることを求めること。生活保護へのスティグマを解消するため、伊丹市として「生活保護は権利です」というアピールを積極的に行うこと。
⑥ 待機児童と詰め込み保育の解消のため、さらに認可保育所を増設すること。年度途中の待機児童を解消する方法を別途考えること。2号認定こどもの副食費実費徴収をやめるように国に求めること。

4.すべての子どもの成長発達を支える豊かな教育環境の確立を

 教育は子ども一人ひとりの幸せ、成長と発展のためにあります。それだけに社会にとって大切な営みです。教育は子どもの権利であり、家庭の経済力に関わらず、すべての子どもに豊かな教育環境を確立することが求められます。また、コロナ禍における学校と家庭における生活の変化や端末の使用等でストレスが溜まっている可能性があり、十分な配慮が求められています。さらに、コロナ感染対策も引き続き重要な課題です。
① コロナ禍で少人数学級の必要性が明らかとなり、35人学級が毎年1学年ずつ実施されています。しかし小学校6年生の実施には数年かかることから一気に35人学級を実施するとともに、中学校においても同様の少人数学級を実施することを国に求め、その間、県が小学校4年生まで実施している35人学級を直ちに6年生まで拡大し、中学校まで広げるよう求めること。
② 競争教育を激化させる「全国学力テスト」への参加をやめるとともに、市独自の「学力テスト」も中止すること。
③ コロナ禍による困難な子どもへの対策としても、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーのさらなる増員で児童・生徒と家庭を支援するとともに、介助員の増員で障がい児の教育を受ける権利を保障すること。
④ 教育のあらゆる部門で子どもの権利を守ることを宣言し、実行ある施策を推進するとともに子どもの権利擁護のためにも子どもの権利条例を制定すること。子どもの権利条約の内容が子どもにも理解できるパンフレット等を作成し、子ども同士で「子どもの権利」が議論できる環境をつくること。
⑤ 幼児教育の推進に関しては2018年1月の文教福祉常任委員会における付帯決議を順守すること。公立幼稚園、認定こども園における3歳児全員入園を実現するとともに、4、5歳児において単学級にならざるを得ない状況を打開すること。
⑥ 大学・短大・専門学校の学費をすみやかに半額に引き下げ、高等学校、高等教育の無償化をめざすとともに、入学金制度をなくすよう国に求めること。
⑦ 学校給食の無償化を目指し、まずは中学校給食に対する助成を行うこと。就学援助制度のさらなる充実を図ること。

5.中小企業・零細業者への支援を強め、人間らしく暮らせる地域社会と住みよい住環境を

 中小企業は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)する存在です。また、働く人の3人に2人が働いている雇用の担い手でもあります。これら中小企業、業者、商店、農業者に支援を強化することは住みよいまちづくりに欠かせません。特に、コロナ禍で経営基盤が脆弱となっている中小企業・業者に対する支援が必要です。

① コロナ禍で脆弱となっている経営基盤の状況を調査し、必要な支援策を講じること。国に対して、持続化給付金、家賃支援給付金の再度支給とともに、協力金、支援金などの拡充と迅速化を行うことを求めること。事業者の立場にたった、ていねいな対応と相談体制を確立すること。
② コロナ対応の緊急借入で積みあがった中小企業の債務をどう解決するかが大きな問題になっており、コロナ対応借入分の軽減・免除する仕組みをつくること。
③ 文化・芸術関係者に対して、新たなイベントへの支援にとどめず、「場と担い手」への支援を行うとともに、国費を数千億円単位で支出して「文化芸術復興創造基金」を抜本的に強化することを国に求めること。アイホールは演劇ホールとして存続すること。
④ 「中小企業振興条例」「農業振興条例」の制定で、地域循環型経済の仕組みをつくること。
⑤ 大型小売店の相次ぐ出店で地域の商店が廃業に追い込まれている。中心市街地だけではなく、空き店舗対策、家賃補助等によって市内周辺の商店も守る手立てをとること。
⑥ 個人事業主における国保税や市民税、固定資産税などの滞納処分については、事業の存続や生活の状況を鑑み、積極的に納税緩和措置を活用すること。また、場合によっては、税の執行停止を行うこと。固定資産税・都市計画税の減免申請における手数料への費用支援を行うこと。
⑦ 市営住宅は戸数を減らすのではなく、必要な個数を維持し、旧耐震住宅は順次建て替えを行い、バリアフリー化された住みよい住環境を提供すること。住民からの修繕要求には積極的に対応すること。
⑧ 大企業への優遇税制の廃止・縮小や所得税・住民税の最高税率を引き上げるなど、大企業と富裕層に応分の税負担を求め、消費税を5%に減税するよう国に求めること。政府が導入を予定しているインボイス制度は、零細業者やフリーランスに納税義務を広げ、負担と格差をさらに拡大するものであり、ただちに中止することを国に求めること。

6.自然災害から市民の命を守るとともに、環境を守り、安心・安全の伊丹市を

 地球温暖化の影響で台風、豪雨など自然災害が相次ぐとともに、南海・東南海地震もいつ起こるかわからない状況にあり、災害や事故から市民の命と暮らしを守る政治が求められています。特に気候危機を打開するための積極的な対策が必要となっています。

① 気候変動危機に対応するために、国に対して原発ゼロ、石炭火力発電所ゼロ、2030年までに10年比で50~60%削減、2050年にはカーボンゼロの計画を策定することを求めるとともに、伊丹市としてもこの目標に見合う野心的な目標を決めること。
② 災害の発生に備え、市民の防災意識啓発に努めること。感染が広がる中での避難対策に関しては一定の見直しがされたが、避難所におけるきめ細かな対応(発熱、障がい者、高齢者等)や地域における要支援者の避難誘導等を含めた地域ごとの「防災まちづくり計画」を推進するための支援を行うこと。体育館に空調施設整備など避難所の改善を図ること。
③ 航空機に係る環境基準達成には程遠い状況にあることから、大阪空港における国際便就航を求めることはやめること。環境基準達成に向けた不断の努力で目に見える効果を上げること。
④ 市内1,2級河川の浚渫等豪雨対策を国・県に要望すること。

7.「住民の福祉の増進」(地方自治法)に必要な財源を国に求め、伊丹市が主体となって市民の暮らしを守る伊丹市に

 新型コロナウイルスの影響によって地方税等が減少する中で、地方固有の財源である地方交付税の大幅な増額が求められています。毎年度の概算要求では、一般財源は前年度の水準を下回らないとされたことを踏まえたものとなっていますが、引き続き感染対策の財源は必要です。一方、コロナ禍に関わらず、社会保障費抑制路線を継承し、国民負担増、給付削減を着実に実行するとされていることは問題です。
 このような政治に反対し、「住民の福祉の増進」(地方自治法)に必要な財源を国に求め、伊丹市が主体となって市民の暮らしを守る市政を行うことが求められています。

① 地方交付税のあり方をゆがめる「トップランナー方式」の導入等による地方交付税の引き下げはやめ、真に必要な地方財源が確保できるようにするとともに、コロナ感染対策に必要な財源を確保することを国に求めること。
② 集約化を進めようとしている共同利用センターについて、住民の利益に反する統廃合ではなく、住民合意のもとでの維持・管理・更新への対策を行うこと。
③ 公契約条例を制定し、請負契約や委託事業に関わる労働者が生活できる賃金を保障すること。
④ 自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進にあたっては、「地方自治の本旨」(憲法第92条)に基づき、「住民の福祉の増進を図る」(地方自治法第1条の2)ことを原則とすること。また、推進にあたってはそれぞれの業務を担当する職員や市民の意見が適切に反映さえる体制を整え、新たに情報システムを自治体の業務に導入する際には、職員がシステムをチェックでき、市民に行政責任を果たさせる体制を確保すること。
⑤ 国はマイナンバーカードに健康保険証や運転免許証、国税、年金などの情報をひも付けしようとしているが、相次ぐ個人情報の漏洩が問題となり、多くの国民が個人情報の提供に不安を感じている。国民監視の強化や個人情報の漏洩につながるマイナンバーカードのひも付けはやめるよう国に求めること。

以上

2021年9月議会 代表質問 上原秀樹

2021年9月議会 代表質問

日本共産党議員団 上原秀樹

1.市長の情勢認識について

1)コロナ禍における国の経済政策について

 コロナ禍で、格差拡大は深刻になりました。全国の2020年度の法人企業統計によると、資本金10億円以上の大企業の内部留保は466.8兆円で、過去最高です。19年度比で株主への配当は11%の大幅増、役員報酬も0.5%増と大企業、富裕層はもうけを膨らませました。一方で労働者の賃金は1・2%減り、コロナ危機は非正規労働者、特に女性と若者に大きな犠牲を負わせています。この1年余、非正規雇用労働者はコロナ以前に比べて月平均92万人減少しました。うち61万人が女性です。

 2020年度予算審査での代表質問で国の経済政策について指摘しました。当時内閣府が発表した2019年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価上昇分を差し引いた実質成長率が、年率に換算すると6.3%ものマイナスとなったこと、このことは、消費税増税が日本経済にとって大打撃になっていることを浮き彫りにしていること、GDPの約6割を占める個人消費が消費税増税に直撃されて前期に比べ2.9%のマイナスになり、消費の冷え込みを裏付けていること、勤労者の実質賃金も昨年12月0.9%のマイナス、内閣府の景気動向指数も5カ月連続で「悪化」という判断になったことなどを挙げ、市長の国の経済政策について見解を求めました。当時の経済状況以降、所得が増えず消費が落ち込み続けているのは、安倍政権と管政権が続けてきた消費税増税を含めた「アベノミクス」と言われる経済政策が、大企業や富裕層を潤すだけだということは明らかです。

 昨年以来のコロナ禍での安倍・管自公政権の経済政策に関して、市長はどのような認識をされているのでしょうか、また、今必要な政策は、大企業と富裕層に応分の税負担を求め、消費税減税などによる税の不公平を解消し、正社員が当たり前の雇用のルールをつくり、最低賃金を時給1,500円に引き上げて国民の懐を温めることと考えますが、合わせて見解をお聞きします。

2)米軍と一体となった自衛隊をめぐる動きについて

 6月16日、「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(「土地利用規制法」)が、国民、野党が反対する中で、自民、公明、維新などによって参議院において採決が強行されました。

 この法律は、米軍・自衛隊基地や原発など「重要施設」周辺1キロや国境離島に住み、生活し、活動するすべての市民を調査・監視対象にし、政府の機関を総動員してプライバシーまで踏み込み調査・監視することを可能にするものです。調査の対象や内容に制限はありません。情報の提供を拒否した者は30万円以下の罰金を科せられ、密告社会に道を開きかねないものです。しかも、何が規制されるべき基地や原発の「機能を阻害する(おそれのある)行為」なのかは明示されておらず、政府の恣意的判断で際限なく拡大され、土地・建物の利用の中止が命じられ、拒否すれば2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処せられるという、恐るべき市民弾圧法となっています。これが、日本国憲法の保障する平和的生存権、個人の尊厳、言論・表現、思想・信条の自由、財産権などの基本的人権を蹂躙する、憲法違反の悪法であることは明らかです。

 防衛省は既に、2013~20年度にかけて、全国約650の米軍・自衛隊基地(防衛省施設を含む)に隣接する土地の調査を行い、所有者約8万人が対象になっています。兵庫県内は15か所で、伊丹市においては、伊丹駐屯地、千僧駐屯地、久代射撃演習場が対象として挙げられ、その周辺1キロメートルとなれば、市内の約3分の1の土地所有者等が対象となります。

 この法律の背景には、日米軍事同盟と安保関連法、すなわち戦争法の下で、アメリカの戦争に参戦する体制づくりをすすめる、菅政権の危険な姿勢があります。すでに、6月18日から7月11日にかけて、陸上自衛隊中部方面総監部と在日米軍事司令部を中心にオリエント・シールド21という実動訓練が図上訓練を中心に伊丹駐屯地において行われています。台湾有事を想定したものと思われ、奄美駐屯地では米陸軍の地対空誘導弾(パトリオット)部隊と陸自の中距離地対空誘導弾部隊が共同対空戦闘訓練を行っています。滋賀県のあいば野演習場では実弾訓練も行われ、6月23日には120ミリ迫撃砲弾発射訓練中に、演習場外に着弾する事件も発生し、大きな問題となったところです。

 また、この訓練と連動した日米共同方面隊指揮所演習、ヤマサクラ―81も今年度3四半期に伊丹市に総監部のある中部方面隊で予定されています。

 アメリカは、対中国戦略として軍事的対応を中心にしており、戦争ともなれば日本の自衛隊も参加する方向で作戦がたてられています。まさに戦争準備が伊丹の自衛隊基地で行われていることになります。

 市長は、土地利用規制法とその背景にある日米共同軍事作戦に関してどのような認識をお持ちでしょうか、見解をお聞きします。また、日米共同方面隊指揮所演習、ヤマサクラ―81はこの10月から12月の間に予定されていますが、どんな演習が行われるのか、コロナ感染は大丈夫か、市民にどんな影響があるのか等、情報を提供していただきたいと思います。

2.2020年度決算に関して

 2020年度の決算の内容の中心は新型コロナウイルス感染症対策です。
 伊丹市の新型コロナウイルス感染症対策関連経費は、243億3,597万円で、そのうち地方創生臨時交付金対象事業は21億7,056万円となり、感染拡大防止や生活や雇用の維持と事業の継続支援、地域経済の活性化、社会的な環境の整備・新しい暮らしのスタイルの確立などの事業を行ってきました。

 これらの事業は感染症対策として一定の効果を上げることはできたと思いますが、現在進行中とはいえ、2020年度の事業の評価をすることは必要です。例えば、2020年度の2月補正予算で議論がありましたが、テイクアウト・デリバリー利用促進キャンペーン事業やキャッシュレス決済ポイント還元委託料、事業所等賃料補助金の減額措置などの周知方法や事業のあり方などへの評価はどうでしょうか。

 また、感染防止事業に関しては、党議員団は一貫して、医療機関(病院・診療所)、介護・福祉施設、保育園・幼稚園、学校、児童クラブなど、クラスター(感染者集団)が発生すれば多大な影響が出る施設等で定期的なPCR検査を行うこと、感染急増地(ホットスポット)となるリスクのあるところに対し、無症状の感染者を把握・保護するための「面の検査」を行うことを求めてきました。しかし、国の「医療崩壊を招く」という非科学的な知見によってPCR検査を抑制する中で、世界で人口当たりの検査数が144番目という最悪の事態になる中で、無症状の感染者が感染を広げています。この中で、市独自の検査体制を行い、感染防止をする必要はなかったのかどうか。

 さらに、新型コロナウイルスの影響で中小企業・商店に深刻な事態が広がる中、これらの実態を調査し、必要な対策をとるべきと主張し、自粛と補償を一体化すべきところを国が持続化給付金と家賃補助を1回きりで終わる中、伊丹市独自に行ってきた支援策、上下水道料金の基本料金免除、事業者への家賃補助、ひとり親世帯への支援などを再度行うことが必要ではないか、特に中小零細企業・業者に対する資金援助として「年越し給付金」を創設することも考えていただきたいと要求しましたが、実現されませんでした。

 これら、感染が広がり、中小業者の営業と暮らしが困難になった状況を見て、どのような見解をお持ちでしょうか、お聞きします。

3.新型コロナウイルス感染症対策について

1)日本共産党の提案と今後の対策について

 コロナ感染第5波の状況は、デルタ型などの変異株の感染力が強く、自宅療養中に家族全員が感染する事例や基礎疾患の有無にかかわらず30代から40代でも重症化する例、自宅療養中に自宅で死亡する事例も相次ぐという深刻な事態となっています。入院・宿泊療養調整中の自宅待機や自宅療養中、医療機関・福祉施設の留め置きで家族や施設内で感染を広げることや、医療が間に合わず命を落とすことは絶対に避けなければなりません。また、保健所の業務が追い付かず、感染者の症状の把握や濃厚接触者の特定に支障をきたしており、これらに対する早急な対策が求められています。

 この間の政府のコロナ対応は、「ワクチンさえ打てば何とかなる」というものとなっています。しかし、国内外で明らかになった科学的知見は、ワクチン接種だけではコロナを抑え込むことはできないことを示しています。ワクチン接種と一体に、医療体制強化、大規模検査、十分な補償など、総合的対策を講じてこそ、コロナを抑え込む道が開かれます。

 そこで、次の日本共産党の提案に対する見解をお聞きします。

 第1に、医療体制強化では、国が「原則自宅療養」の方針を公式に撤回し、症状におうじて必要な医療をすべての患者に提供することを大原則にすえることです。そのために政府がイニシアチブを発揮して、臨時の医療施設の大規模な増設を行うこと、あわせて入院病床をさらに確保し、在宅患者への往診や訪問看護など在宅医療を支える体制を抜本的に強化することです。医療機関への減収補填(ほてん)と財政支援、医療従事者への待遇の抜本的改善をはかり、政府が責任をもって医師・看護師を確保する必要があります。このことを国に対して強く求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 また、伊丹市の場合、医療のひっ迫度、療養施設の充足率は大丈夫でしょうか。お聞きします。

 第2に、ワクチンの安全で迅速な接種と一体に、感染伝播(でんぱ)の鎖を断つための大規模検査を「いつでも、誰でも、何度でも、無料で」の立場で、大胆かつ大規模に行うことが必要です。事業所、学校、保育園、幼稚園、児童くらぶ等に対する大規模・定期検査を政府が主導して実行すべきです。家庭に検査キットを配るなど、自主検査を思い切って支援することも急務です。検査の拡大にあたっては、行政検査の抜本的拡充とともに、事業所などが行う集団検査に国が思い切った補助を行うべきです。医療体制強化と大規模検査を実行するうえで、保健所体制の抜本的強化も急務です。

 伊丹市でも、濃厚接触者にもかかわらず長期間検査もしてもらえず放置されている事態があります。保健所体制の強化が必要ではないでしょうか。現状をお聞きします。

 第3に、自粛要請とセットで十分な補償を行うことです。持続化給付金・家賃支援給付金の再支給と継続的支給の実現は、中小業者にとって待ったなしの課題となっています。生活困窮者への支援を抜本的に拡充します。文化・芸術関係者に対して、新たなイベントへの支援にとどめず、「場や担い手」への直接支援を拡充するとともに、国費を数千億円の単位で支出して「文化芸術復興創造基金」を抜本的に拡充することを国に求めるべきですが、お考えをお聞きします。

 伊丹市独自の施策も何度か求めてきました。現在、中小業者の現状をどう把握されているのか、生活困窮者への支援は十分か、文化・芸術関係者への支援は十分行われているのかお聞きします。

2)就学前教育施設、学校におけるコロナ感染対策について

 これまでの新型コロナウイルスとレベルの違うデルタ株は、子どもの感染をめぐる状況も大きく変えました。

 第1に、全国的に、これまで感染しにくいとされてきた子どもへの感染が顕著に増えていることです。10代以下の新規陽性者が7月半ばから4週間で6倍になったことは軽視できません。その中心は高校生ですが、小中学生の学習塾や保育園、学童保育でのクラスターも増えています。

 第2に、感染は “大人から子どもに伝播する”とされてきましたが、“子どもから大人に伝播する”という新たなパターンが少数ですが報告されていることです。
 第3に、政府の後手の対策と五輪の強行により、現在、「全国各地が災害レベルの状況」(厚労省の専門家会合)となっていることです。しかも保護者世代はワクチン接種が間に合っていないという問題を抱えています。全員が自宅療養となった家族で40代の母親が亡くなった痛ましい出来事は、全国の子育て世代にとって他人事ではありません。
 こうした状況で学校が再開しました。「子どもが感染し親が感染することも心配」などの不安が広がっていることは当然です。よって、デルタ株のもとでの学校の感染対策についてお聞きします。

①登校見合わせの選択や分散登校、オンライン授業などについて

 新学期が開始され、いくつかの学校で学級閉鎖されているという話をお聞きしますが、デルタ株の感染力の強さを考慮し、登校見合わせの選択や分散登校、オンライン授業などを柔軟に組み合わせて対応する必要はないのでしょうか。同時に分散登校は、保護者の減収や失職、医療従事者が出勤できなくなるなどのデメリットがあります。そうしたしわ寄せが起きないよう、必要な子どもが朝から学校で学べるような対応を徹底することが必要です。いかがお考えでしょうか。

②感染対策のため登校を見合わせる選択を検討している保護者や子どもが少なくないことへの対応について

 伊丹市の場合、7月21日付の保護者向けの連絡文書で、「出席停止扱いにするもの」として、園児児童生徒が感染した場合や濃厚接触者に特定された場合、ワクチン接種後の発熱等風邪の症状がみられるとき等6項目があげられています。感染が不安で登校できない場合に関しては「欠席扱い」とすると、昨年6月に保護者向けの連絡文書に記されています。また、昨年6月25日付の教育長からの各学校園長あての事務文書(伊教委保第481号)でも、先ほどの保護者宛連絡文書とともに、「同居者に風症状等が続いた場合に登校しない場合は、7月1日以降、欠席とする」「感染が不安で登校できない場合は、7月1日以降、欠席とする」とされるとともに、「保護者から感染が不安で休ませたいと相談があった場合」という文科省の衛生管理マニュアルを追加しています。それには、学校での感染対策等を十分説明して理解を得るよう努めるとし、その上で、感染経路のわからない患者が急激に増えている地域であるなどにより、感染の可能性が高まっていると保護者が考える合理的な理由があると校長が判断する場合には、指導要録上「出席停止・忌引き等の日数」として記録し、欠席とはしないなど柔軟な取り扱いも可能とされています。しかし、昨年の6月と言えば、第1波と第2波の中間で、ほとんど感染者は見受けられない時期で、現在と状況は全く異なります。しかも現在、伊丹市では「感染経路のわからない患者が急激に増えている地域」にあたり、その中で「感染の可能性が高まっていると保護者が考える合理的な理由」を校長が判断するとなっており、保護者の掲げる理由を校長によっては異なる判断をすることも考えられ、保護者と子どもに不安を広げることになります。さらに、このような詳細は、一切保護者には連絡されていません。

 この点では、国の通知が「同居家族に高齢者や基礎疾患がある者がいる」場合には「出席停止」欠席扱いしないなど、登校見合わせの対象を狭くしていることに原因があります。教育委員会として、広く認めるように転換し、登校を見合わせる子どもたちの学びや成長への支援を明確に位置付けることが必要と考えます。見解をお聞きします。

 また、何らかの理由で出席できない場合、タブレットによるオンライン授業も可能となっているかと思います。その場合、伊丹市は出席扱いとしていません。基本は教師との対面によるみんなと一緒に学ぶことですが、学校に行くことができない場合にはオンライン授業も出席にすることは可能と考えます。一方、不登校の場合のオンライン授業は出席扱いとなります。伊丹市も柔軟に対応すべきと考えます。オンライン授業の現状と合わせて、見解をお聞きします。

 さらに、これらの扱いが自治体によって異なっていると側聞しますが、阪神間各市の状況をお聞きします。

③学校でのクラスター対策と広範な検査を行うことについて

 コロナ感染は半数が無症状感染者からであり、無症状感染者の発見と保護が感染対策に欠かせません。このことを政府が無視してきたことが、事態の悪化を招いた一因です。従って、濃厚接触者を狭くみず、財源を国に求め、実態に応じ、学級・学年・全体など広めのPCR検査を行政検査として行うよう求めます。伊丹市の現状と見解をお聞きします。

 また、国が高校等に配付した抗原簡易キットは症状のある人への緊急のものですが、全国的に、学校現場では採取に必要な場所も防具もないなどの問題が噴出しています。無理なく活用できる対応策を具体的に示すことを求めるものですが、教育委員会の対応をお聞きします。

④コロナについての学びとコミュニケーションを重視することについて

 子どもたちは長い間我慢をしいられ、さまざまな不満を募らせています。新型コロナウイルスと感染のしくみを学び、受け身でなく自分の頭で考え納得して行動変容し、「部活動もこれなら可能では」といった自分たちの学校生活の前向きな話し合いを行うことこそ、この時期に欠かせない学びです。そうした学びの保障を求めます。また、教職員が世界と日本の研究成果などを学び、感染対策を含め討議できるゆとりを保障することを求めます。このことは、子どもや保護者がウイルスを正しく恐れることを助けることにもなります。見解をお聞きします。

 さらに、以前の市のアンケートでも、保護者の認識以上に困ったときに助けを求められない児童・生徒が多く、ストイレスを抱えていることが明らかとなっています。補正予算で不登校対策支援員の配置は行われますが、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの増員で、心のケアの強化を図ること、子どもたちの気持ちをよく聞き、子どもたちの意向を最大限尊重した対応を工夫することが必要です。伊丹市の場合は県の配置に加えて上乗せの配置をされていることは評価をしますが、コロナ禍で増員の必要性は高まっています。議案質疑での答弁は、体制の充実について今後考えるとのことですが、現在、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーは余裕を持って働いておられるのか、過重労働で逆にその人たちが疲弊するのではないかと危惧するものです。現状はどうなっているのでしょうか。そして改めて増員を求めるものですが、見解をお聞きします。

4.演劇ホールの存続をめぐる問題

 伊丹市は、演劇ホールの活用方法について、サウンディング型市場調査を行い、その用途変更も含めて検討されています。そこで次の点をお聞きします。

1)伊丹市の文化政策について

 伊丹市は2018年に、従来の「文化振興ビジョン」を発展させて「伊丹市の文化振興施策にかかる指針」を策定されています。

 その「指針」では、演劇ホールの評価について、その専門的かつ独自性の高い事業展開に対して「地域創造大賞」や「文化庁芸術祭優秀賞」の受賞をはじめ各方面から高い評価を得ていること、また、市内中学校や高等学校へのアウトリーチによるコミュニケーション教育に力を入れていることとともに、一方では市民の認知度は十分とは言えず、今後市民へのアプローチを一層進めていく必要性が述べられています。
 そして基本方針では、文化芸術が身近にあるまちをめざすとされ、文化施設の活用に関しては、潤いと誇りを感じることのできる心豊かな生活を実現するための機能を担い、常に活力ある社会を構築するための役割を担っているとの「劇場法」を引用し、人と人が出合いつながる場所として文化施設を活用するとしています。そして、社会包摂としての鑑賞支援も明記されました。
 さらに、他では味わえない事業を展開するとして、美術館・工芸センターの展示や柿衞文庫の俳諧俳句資料とともに、演劇ホールの演劇、ダンス公演を挙げられ、歴史を感じられる場所の活用とともに、伊丹ブランド構築の一翼を担うとされています。また、2016年12月議会での私の文化政策に関する質問に対して、平田オリザ氏の講演での文化格差が地域格差につながることを危惧する旨を引用し、本市では多くの文化施設があり、各館の個性的な事業展開、アウトリーチ活動などにより、芸術文化に触れられる多様な機会の提供があり、ゆくゆくは選ばれるまちにもつながっていくものと考えていると答弁されました。
 一方、「指針」では、公共施設マネジメントに基づき施設の有効活用を図るとして、財政上の問題とともに市民のライフスタイル、施設使用形態の変化も鑑み、事業・機能の集約や運営主体・形態の変更等、より機動的な活用方法について検討すると書かれています。

そこで、次の点をお聞きします。

①「指針」策定から3年が経過しようとしていますが、その「指針」のまとめとして「終わりに」に書かれている「本市の文化施策の大きな役割を占める文化施設が、個々にとって新たな居場所として心のよりどころになってもらえるような施設でありたい」「その居場所とそこにある演劇や音楽、美術等が今、広がっている地域間、世代間の壁を埋め、人々の心のつながりや相互に理解し、尊重しあう土壌を提供し、心豊かな社会を形成する一助となるよう、『文化芸術がそばにあるまち』を目指し、施策を進めていく」とされていますが、演劇ホールが果した役割を中心に策定後3年間の評価をどうされているのかお聞きします。

②「指針」で「市民のライフスタイル、施設使用形態の変化も鑑み、事業・機能の集約や運営主体・形態の変更等、より機動的な活用方法について検討する」とされていることに関して、今回の施設の有効活用を検討するに至る契機となったのは何かお聞きします。

2)当局が進める演劇ホールの有効活用の検討についてです。

 伊丹市は演劇ホールの有効活用の検討として、国土交通省のサウンディング調査に2回参加し、独自の同調査も行い、その経過を報告されています。そしてさらに演劇ホールの活用に関する市民意識調査も行われています。その伊丹市による検討に関してお聞きします。

①演劇ホールが使用形態の見直しの対象となる評価に関して、市民利用率が低いことをあげていますが、これは逆に市外からの来客者が多いことも示しています。このことを、市民の利用率が低いことをもって利用者一人当たりのコストを割り出すことには疑問があります。「伊丹ブランドの構築」という側面ではどう評価されるのでしょうか。

 また、利用率の算定は公演・講座利用者へのアンケートによるもので、回収率がどのくらいになるかわかりませんが、正確な数字とは言えず、「市民利用15%」と言い切るには問題があると思います。いかがでしょうか。この利用者にはアウトリーチ活動やアイフェス、演劇ワークショップへの参加は含まれているのでしょうか。

 さらに、いたみホールと音楽ホールとの比較もされていますが、施設(メインホール)の利用目的が異なることから比較すること自体が問題です。他市の演劇ホールとの比較はどうでしょうか。以上お聞きします。

②収入の分析で、イベントホールの減免率が高いことを指摘されていますが、貸館利用が少なく、イベントそのものが主催・共催事業等が99%を占めていることから、減免規定を適用すれば当然の結果です。これは文化会館大ホールでも、音楽ホールでも同様の減免規定です。貸館で演劇等のイベントをする場合、観客数が200名までと限られ、採算が困難になる経験をしましたが、このことから指定管理料が高くなることになっているのではないでしょうか。

 また、年間9,000万円の費用がかかっていると言いますが、これも伊丹ホールと音楽ホールのメインホールとは性格が異なることから、他市の演劇専門ホールとの比較が必要ではないでしょうか。以上に対する考えをお聞きします。

③伊丹市は早々に演劇ホールの活用に関する市民意識調査を実施されています。

 なぜそんなに急ぐのかという疑問はぬぐい切れません。確かに演劇ホールは市民の認知度は低いかもしれませんが、今回の伊丹市によるサウンディング型市場調査や関係者・市民からの署名運動等によって、演劇ホールを中心に文化施設のあり方について市民的な議論が始まったと言えます。その途上で調査をすることは十分市民の間で考え、議論する間もないまま、「やっぱり認知度が低い」と判断し、用途変更へと導くのではないかと危惧をするところです。

 市民からも「課題と魅力を知って、存続させるべきか考える時間と機会が欲しい」と言われています。そしてなぜ急ぐ必要があるのか、いつまでに結論を出そうとしているのか、市民や関係者の間で十分時間を取って議論する必要があると考えますが、見解をお聞きします。

④伊丹市が演劇ホールの活用方法についてサウンディング型市場調査を行い、その用途変更も含めて検討するとの報道を受けて、いち早く声をあげたのが演劇関係者と市内中学校高等学校演劇部OBOG会、そして市民の方たちです。

 演劇関係者から「日本全国及び海外の優れた舞台芸術作品を上映してきた。その舞台芸術の拠点を失うことは、市民にとっても、関西の多くの人にとっても舞台芸術作品を享受できる機会を失うことになる」OBOG会からは「演劇ができる、学ぶ場所をなくすのは子どもたちの表現の場を取り上げるようなもの」、市民からは「レアなホールですのでぜひとも残してほしい。もっと市民が使いやすい利用形態を考えてもらいたい」などの声が紹介されています。この声をどう受け止められるのでしょうか。

 財政負担に関しては、演劇ホールのままで機能維持のために改修するにしても、大規模に用途を変更するにしても、いずれも財政負担はかかります。問題はイニシャルコストで、優れた舞台芸術の上映や中高生を中心としたアイフェス等を残しながら、利用形態等を工夫して、コストを削減する方向を考えるべきではないでしょうか。見解をお聞きします。

5.自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)について

 先の6月議会で、市長の所信表明の中で、「日本社会でのデジタル化の遅れから、国はデジタル化の司令塔となるデジタル庁を今年9月に始動させ、自治体システムの標準化や共通化を進め、業務の効率化や住民サービスの向上を進めている」と紹介されたことから、様々な懸念を示して見解をお聞きしました。

 その時指摘しましたが、情報通信などのデジタル技術の進歩は、本来人々の幸福や健康に資するものであり、その方向で進むべきものです。また、デジタル化は行政手続のオンライン化など効率的運用に寄与する側面もあります。しかし、可決された6つの法律から成るデジタル関連法は、個人情報の一元化とオープンデータ化や国・自治体の情報システムの共同化・集約、マイナンバー制度の利用・拡大、強力な権限を持つデジタル庁の設置という4つのツールを設け、データ利活用をさらに使いやすい仕組みにしようとするもので、中でも行政機関等の非識別加工情報制度や自治体システムの統一・標準化は問題ありとして市長の見解を質しました。
 市長は「情報システムの標準化・共通化や、マイナンバーカードの普及促進、行政手続のオンライン化などを、国全体で進められる行政のデジタル化と連携を図りつつ、個人情報の保護やセキュリティーの確保を確実にした上で、デジタル機器の不慣れな方への支援を行い、誰もが安心して参加できる伊丹市のデジタル・トランスフォーメーション戦略を策定し、市民生活の質の向上と持続可能な行政サービスの提供の両立を実現してまいりたいと考えております」と答弁されました。

 その直後、7月10日には「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進手順書」が公表されました。その「手順書」では、全国の自治体に対し、2022年度までに児童手当や保育所の利用申し込みなど31の行政手続きのオンライン化と、25年度を目標に介護保険、生活保護、国民年金など17業務の情報システムを国が示す基準に標準化・共通化するよう求めています。そして、行政が持つ様々なデータを企業が活用できるよう提供し、ビジネスの創出を期待するなどとしています。そこで、次の点をお聞きします。

①児童手当や保育所の利用申し込みなど31の行政手続きのオンライン化はどのように進められているのか、またどこまでオンライン化されようとしているのか、お聞きします。

②年度を目標に介護保険など17業務の情報システムを国が示す基準に標準化・共通化するとされていますが、「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」では、「標準化に適合するものでなければならない」と定められており、6月議会でも指摘した自治体の独自施策は残らないのではないかと危惧するものです。「手順書」ではどうなっているのでしょうか。

③外部人材の活用については伊丹市では委託契約をされています。国の要綱では、信用失墜行為の禁止や守秘義務、職務専念義務に関する事項を定めるとしていますが、公務員と違って法的拘束力はありません。また、利益相反な行政のゆがみの温床となることが懸念されますが、見解をお聞きします。

6.児童・生徒の健康について

 全国保険医団体連合会は、新型コロナウイルス感染症拡大により、必要な医療を受診できない児童・生徒がいるという調査結果を発表しました。この調査は、2月から3月にかけて実施され、学校による健診後の治療の実態を調べたもので、全国31都道府県の小中学校と特別支援学校が対象とされています。受診率は調査対象の歯科、眼科、耳鼻科、内科の全科で増加しているとされました。

 私は依然、学校での歯科検診の結果で要受診とされた子どもの受診状況について聞いたことがあります。健診後の治療につながらない背景には、「健康に対する親の理解不足」や「共働きで時間がない」「経済的困難」などがあげられます。今回の調査では、その状況が改善されない中で、コロナ感染を恐れた受診控えが加わったと考えられ、子どもを取り巻く健康状況に不安があります。

 伊丹市の状況はどうでしょうか、また受診率向上にどのような対策を取られているのでしょうか、お聞きします。