2023年3月議会:上原秀樹 議員提出議案第4号に対する反対討論

2023年3月議会最終日 討論
議員提出議案第4号「伊丹市議会議員定数条例の一部を改正する条例の制定」に対する反対討論

日本共産党議員団 上原秀樹

 議長の発言の許可を得ましたので、私は、日本共産党議員団を代表して、上程となりました議院提出議案第4号「伊丹市議会議員定数条例の一部を改正する条例の制定」に対しまして、反対の立場から意見を述べます。

 本条例案は、伊丹市議会議員の定数を2人削減し、現在の28名を26名にしようとするものです。さらに、その施行日を、付則で「この条例は、公布の日から施行し、同日以後、初めてその期日を告示される一般選挙から適用する」とされ、すでに4月16日告示、23日投票との期日が決まっている市議会議員選挙から適用されることとされています。

 残念ながら納得のいく答弁ではありませんでした。

 反対の理由の第1に、日本国憲法と地方自治法、並びに伊丹市議会基本条例に明記された議会の役割との関係です。答弁では、…重視する認識を持っているが、自治法改正により定数上限が撤廃、減少でも負担と責任で可能と。しかし、定数を削減し続けることが改正の趣旨ではありませんでした。その後全国市議会議長会の講演の中でも、議員定数削減で少数意見をどうやって担保するのか、との意見が出されていたところです。質疑の中でも言いましたが、憲法第93条第1項では「議事機関として議会を設置する」としています。議事機関とは、多数人の合議によって団体の意思を決定する機関、すなわち議決機関であり、執行機関に対応する意味で用いられます。また、第2項では「議会の議員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する」としていることから、住民代表機関としての性格を持ちます。従って、議会の意思は住民の意思とみなされるのであって、それだけに住民の意思を反映させることが求められています。

 従って、私たち議員と議会に求められるのは、議会が多種多様な住民意思を反映する複数の議員からなる合議体であることから、質疑や討論を通じて多様な住民の意思を反映し、統合調整して自治体の意思を形成することです。あわせてこのことによって執行部を監視することにもなります。

 このような重要な役割を持つ議会の議員定数を削減することは、憲法と地方自治法で保障された民主主義の制度、先ほど述べた多様な住民の意思を反映させる住民代表機関としての議会の役割を揺るがす問題であり、少数の住民の意思を排除することにつながる問題であると考えます。

 第2に、提案理由とされている「伊丹市においても人口減少を迎えようとしている」こととされていますが、現在まで伊丹市は微増ですが人口は増え続けてきました。今年、わずかに減少傾向にあるとはいえ、急激に人口が減少しているわけではありません。人口が大きく減少していないにもかかわらず議員定数を削減することは、代表率の低下となります。

…答弁で、この代表率の低下に対する明確な考えはありませんでした。財政上の厳しさが予測、予算の捻出のための議員の提案をしているとのことですが、代表率の低下とは関係はありません。

 第3に、提案理由における「効率的・効果的な議会運営をさらに推進する」とされていますが、議員定数削減がどういう理屈で「効率的・効果的な議会運営」に結び付くのか理解できませんでした。議会の役割は、討論を通じて多様な住民の意見の反映すること、統合調整によって自治体の意思を決定すること、そして執行機関の監視機能などです。この役割を「効率的・効果的」に果たすためには、議員定数の削減ではなく、伊丹市議会基本条例第2条「議会及び議員の活動原則」に書かれているその役割を追求し、不断の議会改革に努めることです。議員定数の削減はこれに逆行します。

 第4に、予算を増やすためとのことで、行財政改革と議会改革についてです。

 大正大学の江藤俊昭教授によれば「行政改革の論理は最小の経費で最大のサービスをという効率性の実現であるのに対し、議会改革の論理は地域民主主義の充実・実現であり、両者は異なる」とされています。

 行政改革とは、そもそも執行機関の改革を意味するもので、執行機関が肥大化し能率が悪くなり、官僚化するのを民主的、合理的に変えていくという内容のものです。この意味での行政改革は住民の利益を守る観点から、議会がその機能を発揮して、行政のむだを省き、効率的な行政運営を行うなどの改革を提案していくことが重要な課題となります。

 一方、地域民主主義の充実・実現としての議会改革は、議員の市民意思の効率的な集約や、効率的な議会運営、市民への情報公開、市民参画等、今後とも不断に追及するべく大切な課題となっているのです。

 従って、議員定数を削減することは議会改革と相反するものです。

 第5に、この条例の施行日が直前に迫った今回の市議会議員選挙からとされていることは、特に新たに議員選挙に挑戦される人にとっては、すくなからず影響を及ぼすものです。このことを全く考慮せず、党のパフォーマンスだけで条例を提案することは問題です。

…これ以上委員会で議論しても結論出ず。最短の期日を設定した。

 以上、「伊丹市議会議員定数条例の一部を改正する条例の制定」に対する反対の立場からの意見とします。議員各位のご賛同をお願いしまして討論を終わります。