2012年1月議会:かしば優美 伊丹市立高校(定時制)統合負担金に反対討論

2012年2月 日
日本共産党伊丹市会議員団 かしば優美

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は、日本共産党議員団を代表し、議題となりました議案第1号「平成23年度伊丹市一般会計補正予算(第6号)」に対して、反対の立場から意見を述べます。

 本補正予算案は、伊丹市立高等学校(定時制)の県立阪神昆陽高等学校への統合にともない、「定時制高等学校統合負担金」としての3億6千万円を、債務負担行為を設定し、2012年度から4年間分割で支払おうとするものです。本議案は、昨年の12月議会で同負担金3億6千万円を一括で支払おうとする補正予算が、議会で修正により削除されたことから、再度提案されたものです。

 反対理由の第1は、定時制高校の統合のために「負担金」を払う必要性はないということです。提案説明では、県立新設校の本来の学級数に、市立高校の学級数分を加えた規模を確保することに係る負担金であり、このことによって本市の定時制教育が実質的に継承されるとされました。

 しかし、もともと県教育委員会は、第1次実施計画の中で多部制単位制高校を2校新設しましたが、そのことによる募集停止は県立・市立あわせて7校であったこと、第2次実施計画でも、阪神間に新設する際、「近隣の定時制高校の募集停止を検討する」、その規模は6学級程度とされているとおり、もともと伊丹市立高校も含めた3校程度の統廃合を予定していたものであり、本来の学級数が3学級であったという根拠はまったくありません。仮にそうであったとしても、負担金を払って統合するという法的根拠もありません。

 さらに、負担金を払うことで、「本市の定時制教育が実質的に継承される」とされていますが、その保障はありません。すなわち、地方財政法第27条の3「県立高等学校の建設費を住民に負担を転嫁してはならない」こと、地方財政法第28条の2「法令の規定に基づく経費の負担区分を乱すようなことをしてはならない」こと、学校教育法第5条「学校の設置者は、その学校の経費を負担する」という法律の関係をクリアーするために、負担金の使途は維持管理費でもなく建設費でもないとしたため、兵庫県としては一般財源としての収入となり、本市の定時制高校の継承・発展に使われるわけではないからです。

 従って、負担金を払う意味も目的もありません。

 なお、伊丹市立高校が廃校となり、新たに多部制単位制高校が新設されますが、小・中学校時代に不登校経験のある生徒や中途退学者など、さまざまな入学動機や学習暦のある生徒の学びの場を保障することは、負担金を払う・払わないという問題ではなく、新設校において全国・全県・伊丹市立高校の教訓を汲み取り、充実させていくことは学ぶ権利を保障するという点で当然のことです。

 第2に、地方財政法第3条の「予算における経費算定の合理的基準」という点では、3億6千万円という金額に合理的な根拠はありません。

 まず、福利厚生施設等のCSR施設を県から市町に移管する計算方式に準じたとされていますが、高等学校施設とCSR施設とは基準財政需要額の算定が異なっており、県が市町に移管するに当たっての補助金の計算に準じることには無理があります。 さらに、3億6千万円の基礎となる一学級150万円という金額の根拠も不明確のままです。

 この点では、負担金の金額を算定する際に、基準財政需要額と実際の支出金額の差を求めており、本会議答弁で、「統合による負担に対し、協議を経て協定書に基づき支払うもの」とされたとおり、結局は維持管理費のための負担金とならざるをえず、地方財政法第28条の2に抵触する可能性を残したことになります。

 結局、この負担金は、市立高校(定時制)を県に引き取ってもらったお礼の3億6千万円。持参金付き統合。何に使われるかわからない不明金。従って伊丹の定時制教育が引き継がれるという担保はないお金。地方財政法第3条の「合理的基準」もない負担金ということになります。

 以上、意見を申し上げ、議案第1号に反対といたします。

 なお、委員会質疑の中で、負担金を払わない場合、兵庫県から教育上の制裁措置があるかのような認識が述べられました。法的義務のある負担金ではなく、市長と知事の約束からはじまった負担金の支払いができないからといって制裁を加えるなどもってのほかです。改めて兵庫県の認識に異議を申し述べておきます。