日本共産党伊丹市議団ニュース(第264号)を発行しました

日本共産党の個人質問は21日(金)です。傍聴お願いします。

日本共産党伊丹市議団ニュース(第264号)はこちら(画像PDFファイル)

上原議員の質問 10時40分から

1、活力ある地域産業の進行と創出について

(1) 地域内経済循環に視点を置いた産業活性化策について(質問の全文はこちら)

① 専門的、学術的な産業関連分析が必要である、

② 産業界や個々の事業者の方、市民の方々の声を聞きながら具体的な検討を進めていく、と答弁されているが、この二つの点でどのように進められてきたのか伺う。

(2) 伊丹市産業振興ビジョンについて(質問の全文はこちら)

① 事業所訪問による支援活動の推進…具体的にどんな調査で、今後の施策にどう反映させるのか、また市職員も調査に参加すべきと考えるが見解を問う。

② 計画の検証と推進管理の体制…産業振興ビジョン策定委員会、中小企業対策委員会等で行うべきと考えるが見解を問う。

(3) 伊丹市都市農業振興計画における、(仮称)農を活かしたまちづくり基本条例の策定について(質問の全文はこちら)

① 都市農業振興計画に条例化を明記してありながら、2012年3月議会、予算審査特別委員会で「そう簡単にはいかない」と答弁された件について。

② 今後の条例制定に至るスケジュールについて。

2、伊丹市立伊丹高等掌校普通科の通学区域のあり方について(質問の全文はこちら)

伊丹市学校教育審議会の9月12日答申「伊丹市立伊丹高等学校普通科の通学区域のあり方について」に対して、教育委員がこの答申をどう受け止めておられるのかという視点で、見解を問う。

① 市立伊丹高校普通科の学区を現在のままにした場合、生徒にとって学校選択がどう複雑になると考えるのか。

② 伊丹の生徒が市立伊丹高校普通科に行きにくくなることと、県の選抜制度に合致させることに関して。

③ 「伊丹市内の生徒の入学する割合が減少することはない」との意見がありながら、なぜ学区を拡大するのか。

かしば議員質問 午後1時40分から(質問の全文はこちら)

1、障がい者制度改革のゆくえと障がい児通園施設について

(1) 「改正」自立支援法と児童福祉法の一部改正により、つつじ学園、きぼう学園、カルミア園はどのような影響を受けるのか。

(2) 障がい児通所施設にかかる給付費激変緩和措置の動向について

-来年度から激変緩和補助金が廃止されるといわれているが。

(3) つつじ学園の施設改善について

-老朽化に加え通園児童数の増加により、保育室や言語指導室の確保に支障をきたしているのでは?

(4) (仮称)発達支援センターの整備について進捗状況については先の6月議会でも答弁がありましたが、新たに施設の一元化や新しい支援も加わる中で、施設集約の可能性や設置場所などについてどの程度まで検討されているのか。

2、サービス付き高齢者向け住宅について

 この制度は昨年10月にスタート。伊丹市の第5期「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」では、民間サービス等の活用によって市内に整備を進めるとしています。

 しかし最大の問題は低所得者高齢者の入居が困難だということ。

2012年9月議会:上原議員 損害賠償事件に係る和解について

議案第121号 損害賠償事件に係る和解について

 議案となっている傷害事件とは、2009年10月4日、北中学校の生徒が暴行を受けて死亡した事件。被害者の原告らが、伊丹市に対しては、暴行事件を未 然に防止するための適切な措置を講じてこなかったとして、損害賠償を求めたもので、その損害賠償事件にう関して、和解案が示されたものです。

 その和解案では、伊丹市に対する損害賠償を放棄すること、伊丹市は、原告に対し、哀悼の意を表すこと、このような事件が2度と起きないように、生徒の安全確保に最善を尽くすこと、心の教育や生徒指導体制の充実を図るとされています。

 質疑では、伊丹市、教育委員会の今後の対策について伺います。

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2012年9月11日
日本共産党議員団 上原ひでき

 

2.議案第121号 損害賠償請求事件に係る和解について

 本損害賠償請求事件は、2009年10月4日、北中学校の男子生徒が、生徒から暴行を受けて死亡した事件に関して、被害者の両親らが、伊丹市については、暴行事件の発生を未然に防止するための適切な措置を講じなかったとして、損害賠償を求めたもので、本議案においてその和解案が示されています。この事件は決して忘れることのできないものであり、改めて二度とこのようなことが起こらないよう対策をとることが求められています。そこで次の点をお聞きします。

 1)和解案(3)においては、このような事件が二度と起きないようするため、学校の教育活動における取り組みについて、生徒の安全確保に最善を尽くすとともに、心の教育の推進、生徒指導体制の充実を図るとされています。短い言葉で意を尽くしていない点もあるのではないか、と考え、具体的取り組みにについてお聞きしたいと思います。

①このような問題を考える場合、問題行動を起こす生徒の要因のもっと奥にある子供をめぐる状況を見ることが必要です。子供が問題行動起こしたり不登校になったりする背景には、社会のひずみによって抱え切れないほどのストレスと生きづらさがあるという問題です。この件については、2010年の代表質問で見解を伺い、答弁で、家庭においては核家族化や少子化、リストラや派遣切り、離婚やDVなどの家庭問題、学校においては、人とコミュニケーション不足などをあげ、子どもの姿はある意味において大人社会を反映しているとして、教育委員会と学校、家庭、地域がそれぞれの責任を果たしていくことが肝要であるとされました。

 それでは教育委員会と学校が責任を果たすとは何であると考え、これまでどのような取り組みを行い、今後何を改善、強化されようとしているのかお伺いします。

答弁

 教育委員会と学校が果たす役割は、未然防止と早期発見・早期対応と取り組みが重要。

 学校は問題を隠すことなく、教職員が一体となって対応し、教育委員会は、必要な指導・助言を行ないながら学校が適切に対応できるようサポートする体制を整備すること。

 事件10日後に「伊丹市少年非行防止対策プロジェクトチーム」を立ち上げ、問題点を整理、今後の課題を明確にして取り組んでいる。

②次に、和解案に書かれている、「生徒の安全確保に最善を尽くす」ために何が必要かという問題です。その一つが教員の多忙化を解消して子どもに向き合う時間を増やすことにあると考えます。生きづらさを抱える子供、困難な家庭がふえ、さまざまな子供の問題行動が出てくる中で、教員のやるべき仕事は一段とふえています。教員がゆとりを確保することこそが子供の健やかな発達・成長に必要であることは言うまでもありません。そのためには教員の増員、少人数学級の拡充が求められています。

 今回の大津市のいじめ自殺事件に関する国会での質問に対して、平野文部科学大臣は「教員が多忙であるのは否定できない」と認め、「子どもと向き合う時間を大きく取れるようにするため、定数の改善をしていかなければならない」と述べています。

 伊丹市行政において、生徒の安全確保に最善を尽くすための基盤整備対策として、国・県に対しても、さらには伊丹市独自にも、この立場が必要ではないかと考えますが、その認識を伺います。

 また、現状の中でも教員が子どもと向き合う時間を増やす取り組みをどのようにしようとされているのかについても伺うものです。

答弁

 教員の定数改善については、兵庫県都市教育長協議会において改善要望をしている。
 国に対しても少人数学級の推進を申し入れている。
 伊丹市としては、学力向上や特別支援教育、生徒指導等、それぞれの目的に応じて市費による加配教員を配置している(スクールカウンセラー、生徒指導ふれあい相談員、スクールソーシャルワーカーなど)。教職員の多忙化解消に向けて、ノー残業デイやノー部活デイの実施、公務のIT化、PTA等外部人材の活用などに取り組んでいる。

2回目の発言メモ

2.損害賠償請求事件に係る和解について

①教育委員会、学校にできること

・二度とあのような痛ましい事件によって命を落とすことがあってはならない、と様々な取り組みをやってこられている。

・2010年3月議会での教育長答弁…社会現象のひずみが形となって青少年の問題行動に現れている。そのため子どもたちは、心の悩みや不安、多くのストレスを抱え、ストレスのはけ口として安易な行動に走っている。社会のひずみを嘆いていても・・・

・「ならぬことは、ならぬものです」といってみても、子どもたちが抱えているストレスから逃れることはできず、かえってストレスを感じる社会状況にある。大人の毅然とした態度は、もちろん必要だが、このことばがこころに響くような、子どもと他者との関係づくりが、学校、家庭、地域でつくれるのかどうか、そのために教育委員会、学校に何ができるのか。
 子どもにとってもストレスの多い社会の中で、そのストレスを解消できる場をつくること。
②子どもと向き合う時間の確保
・市独自にでも、スクールソーシャルワーカーの配置や、加配教員を配置されていることには、評価したい。

・しかし、学級の人数を減らすこと、すなわち教員の定数改善がもっとも大事。

・教職員の多忙化解消、勤務時間の適正化には一定の努力はされていると思うが、実際には仕事があれば残らざるを得ないし、家に持って帰ってでもやらざるを得ないのが現状でしょう。やらなければならない仕事が減ったわけではなく、逆に授業時間が増えたためにその準備の時間が増えているのでは。

・答弁では、問題行動への対応では「未然防止と早期発見・早期対応」が重要と。それには教員が余裕を持て子どもに接すること。そのために教育委員会と伊丹市行政がその条件をつくること。

2012年6月市議会:上原ひでき  学校へのクレーム対策、特別支援学級「介助員」について

2012年6月18日
日本共産党伊丹市会議員団 上原ひでき

  1. 「伊丹市地域防災計画」について はこちら
  2. 保護者からの学校へのクレーム対策について(このページ)
  3. 特別支援学級における「介助員」について(このページ)

2.保護者等からのクレーム対策について

 小野田正利・大阪大学大学院教授が代表を務める「新・学校保護者研究会」が、昨年10月から12月にかけ、全国の教員・管理職約1800人を対象に、保護者クレームに関する調査を行い、その結果が新聞等で報道されていました。その内容は、保護者から学校にクレームなどが寄せられたときに、教員の多くは、丁寧な姿勢を心がけ、悩んだときは周囲に相談するようになった半面、保護者よりの管理者の対応に不満を抱き、今後も「理不尽な要求」は増え続け、「精神疾患・病欠になる同僚は他人事ではない」と感じているということです。小野田教授は、「マスコミで報道される機会が減り、沈静化しているように見えるが、依然として深刻。兵庫教育大学が卒業生を対象に行った調査でも、仕事上最も困難を感じたのは「保護者対応」であった」と述べておられます。

 伊丹市教育委員会の取り組みは、一昨年12月議会の本会議で、「兵庫県教育委員会が高等学校問題解決サポートチームを設置した」こと、伊丹市教育委員会としては「モンスターペアレント対応専用チームの設置、対応マニュアルの作成について県教育委員会の取り組みを参考に、研究を進めたい」「いずれにしても、保護者との信頼関係づくりが大切」などと答弁されています。

 「学校問題解決サポートチーム」のような専用チームに関しては、このアンケートでは学校側が教育委員会に求める支援内容として、「大いにそう思う」28%、「ややそう思う」50%と、約8割弱がその設置を求めています。しかし、2007年に尾木直樹氏が行ったアンケートの自由記述欄には、「専用チーム」に関して、「その場では解決するかもしれないが、親とのコミュニケーションが薄れ、かえって逆効果になる可能性がある」、「専門的な助言が、かえって混乱を生む可能性がある」など、外部の人間が学校に入ったとしても問題の実態を正確に把握できるとは思えないという否定的な意見が少なからず見られました。これらの人たちは、問題の解決は「教師の仕事」「学校の仕事という意識を持っている場合が強いと思われます。また、「チームをつくったら逆に教員の負担が増える」「丸投げできるわけではないから、調整のために忙殺されそう」との意見もあります。

 私は、これらのアンケート等を見る限り、「専用チーム」の設置は必ずしも有効な対応策ではないと考えます。答弁にもあったように「保護者との信頼関係づくりが大切」ということが大原則になるかと思います。しかし、小野田教授の調査の中で、職場の人や職場以外の人に相談できる人がいるかどうかを問う設問に大きなばらつきがあったとされ、全体的な対応力が強まる一方で、教師の孤立も進んでいるのではないかとの見解が示されており、学校園としての組織的対応のあり方も問われています。また専門的な相談に対応できる体制も必要です。

 教育委員会は一昨年の答弁以降、どのような取り組みをされ、研究されてきたのでしょうか。さらに専用チームに対する見解、今後の方向性について見解を伺います。

答弁趣旨

 小野田教授に寄れば、保護者への対応もさることながら、日常の教育活動における児童生徒との関係作り、それにもとづく保護者との関係づくりが大事。このような考えの下に、スクールソーシャルワーカー、学校教育指導員、学校問題支援チームによる学校支援を行っている。支援チームは、最終的に、学校と児童生徒、保護者の間で課題解決できるよう支援するもの。

3.特別支援学級における「介助員」について

 特別支援教育に関しては、特別支援教育コーディネーターを中心に、県費による学校生活支援教員や市費による特別支援教育支援員を中心に進められています。そして、特別支援学級においては、身辺処理、多動など、生活介助が必要な場合に、介助員を市内小中学校全体で26名配置されています。

 特別支援学級においては、近年その対象児童・生徒が増加するとともに、重度化する傾向にあり、介助員を増員してほしいという保護者や教員からの意見も上がっているところです。そこで、

  • 近年5年間、小・中学校における特別支援学級に在籍するこどもの推移は。
  • 近年5年間の小中学校の特別支援学級への介助員の配置数。
  • 児童・生徒の増加に伴い、増員を求めるが、その考え方。
  • 修学旅行等、宿泊を伴う学校行事の場合の配置も求める。

についてお伺いします。

答弁趣旨

            08年   09年   10年  11年  12年
小学校対象児童数(人) 200    218   227   239   250
中学校対象生徒数(人)  60     63    59    66    71
介助員(人)       24     25    26    26    26

 介助員については、特別支援学級在籍児童生徒の中で、担任を中心とした校内指導体制において、安全面で県費による教員を補助することが必要と認められる場合に配置しており、これまでも学校と十分協議をして一定増員している。今後も適正に対応したい。宿泊を伴う学校行事への介助員配置は、まずは校内で計画的、組織的に対応する体制が重要で、学校の実態も踏まえる必要がある。今後適正な配置の可能性について検討する。

2012年6月議会:かしば優美 原発ゼロ、本格的な自然エネルギ-の導入に向け今できること

一般質問 2012年6月15日
日本共産党議員団 かしば優美

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、―原発ゼロ、本格的な自然エネルギ-の導入に向け今できること―と題して3点質問します。

1.大飯原発再稼働について

 はじめに大飯原発再稼働について市長の見解をうかがいます。

 関西広域連合が関西電力大飯原発3、4号機の再稼働について声明を発表したのをうけ、野田首相は6月8日、「再稼動すべきだというのが私の判断だ」と表明しました。「国民生活を守る」ことが「唯一絶対の基準」などとしていますが、この判断は「国民生活を守る」どころか、国民の命と安全を危険にさらす最悪の判断といわなければなりません。

 なぜなら再稼動については次の五つの大きな問題があります。

① 福島原発事故の原因究明がされていないことです。いまだに原子炉内部の様子さえわからない状態であり、事故原因が究明されていないのに、安全基準や対策も確立できません。

② 政府がとりあえずやるべきとした「安全対策」さえ取られていないことです。大飯原発の場合、事故のさい不可欠な免震事務棟の整備などはすべて計画だけですまされています。また「特別な監視体制」といっても、経済産業省の副大臣や政務官が大飯原発で運転状況を「常時監視」するというもの。原子炉の専門的知識もない政治家に「監視」の役目が果たせるはずもありません。

③ 地震・津波の学問的知見を根底から見直す必要があることです。全国の原発がどの程度の地震や津波に見舞われるかの想定さえ見直しが迫られているのに安全が確保できるようにいうのは、新たな「安全神話」そのものです。

④ 原発事故が起こった場合の放射能被害の予測も住民避難計画もないこと、

⑤ まともな原子力規制機関がないことであります。また野田首相が繰り返しのべたのは、電力不足や料金値上げになれば、「国民の安心が脅かされる」ということでした。しかしもともとこれらの問題と原発再稼動とは天秤にかけてよい問題では決してありません。

 電力不足問題そのものについて見ても、「夏場のピ-ク時には関西は15%不足する」としていますが、その具体的根拠はなんら示されていません。夏場の電力需給について、ピ-ク時はどのくらいの時間帯、日数なのか。原発が再稼動しなかった場合、天然ガスなどの火力の活用、電力融通、節電努力などによって、どれだけ需要を減らし供給を増やせるのか。これらも具体的には明らかにされていません。野田首相から繰り返し語られたのは、「日常生活や経済活動」が混乱するという脅しの言葉でした。具体的な根拠も示さず、恫喝によって原発再稼動を迫る態度は、国民ら大きな批判を浴びています。

 いまなすべきことは「原発ゼロ」の政治決断であり、そうしてこそ、当面の電力需要への対応も、再生可能エネルギ-への切り替えにも本腰が入るのではないでしょうか。市長の明確な答弁を求めるものです。

市長の答弁(要旨)

 原子力発電の稼働や存廃問題といった原子力行政は国の専管事項であると考える。 市民の生命や安全・安心な生活を守る立場にある市長として、(今回の再稼働は)直近にせまる電力不足への対応として、立地自治体の判断に加えて国が判断し決定されたものと考えています。なお将来的には原発に依存しない社会が望ましいと考えています。

2.文科省「放射線副読本」に関連して

 文部科学省が作成した放射線副読本について、昨年12月議会一般質問で取り上げられました。この中で、「副読本の活用につきましては各教科における指導に関連付けた活用ができるよう、11年度中に活用方法、活用単元等検討し活用を進めていきたい。」と答弁がありました。新学期がはじまりおよそ2ヶ月が経過する中、福島原発事故による放射能汚染のため、いまだに16万人の人々が避難生活を余儀なくされ、一方で原発再稼動をめぐる動きが日々報道されている時、児童・生徒の関心も非常に高いものがあると思います。よって現時点での副読本の活用等に関して数点質問します。

(1)具体的な活用方法、活用単元をどう考えているのか。

 市教育委員会にお聞きしますと、この副読本は今年3月、伊丹市内の小・中・高校・特別支援学校に在籍する全児童生徒分が文部科学省から各学校に送付されたとのことです。まだ新学期が始まったばかりですが、昨年度末に検討された具体的な活用方法、活用単元についてお聞きします。

(2)「放射線副読本」の内容に対し、批判的意見が多いことについて

 福島大学の坂本恵教授は、文部科学省が昨年作成した副読本は福島原発事故の記述がほとんどなく、放射線は身近であることを強調して健康被害を過小に見せるものだと批判しています。

 得丸浩一全日本教職員組合教文局長は、新たな副読本について次のような談話を発表しています。

 新たな副読本で「原子力発電所」の文言が出てくるのは、小学生版では1カ所、中学・高校生版では2カ所のみです。そこには「原子力発電所や放射性物質を扱う施設などの事故により、放射性物質が風に乗って飛んでくることもあります。」と記述しています。放射性物質をあたかも「杉花粉」のように扱う記述に危機感は微塵も感じられません。文部科学省は、「安全神話」にもとづく教育政策の反省に立った総括を行うべきであり、新しい副読本には、原子力発電の持つ根本的な危険性と原子力発電所事故が引き起こした未曾有の深刻な事態とその原因、および対応などについての客観的で科学的な記述が求められます。

 また「この副読本では、放射線の効用やメリットについては非常に細かいことまで書いてあるのに、放射線の危険性や悪影響についてはほとんど書いていません。いまなぜこの時期に放射線に関わる教育が必要なのかという、具体的な問題意識と現実の状況を明確に教材の内容に反映すべきです。」との指摘もあります。

 市教育委員会は批判的意見の多い副読本に対してどのように受けとめているのか見解をうかがいものです。

学校教育部長の答弁

 この副読本は福島原発の事故により放射性物質が大気中や海中に放出された状況を受けて、放射線への不安や関心を抱いている児童生徒が多いことをふまえ、放射線について解説・説明したものです。高校生のための副読本では、専門的な内容を取り扱っていますが、放射線に関する一般的な知識としては適切な内容であると考えています。

(3)子どもたちに原発や放射能について、正確に教える取り組みについて
 ―新学習指導要領解説内容に触れて―

 新学習指導要領解説において、原子力がどのように取り扱うこととされているかを見ました。小学校社会では、「火力発電所や原子力発電所においては環境に配慮していることや安全性の確保に努めていることについて取り上げることも考えられる」とし、原子力発電の危険性については、触れる余地のない記述であります。また中学校理科では、「原子力発電ではウランなどの核燃料からエネルギ―を取り出していること、核燃料は放射線を出していることや放射線は自然界にも存在すること、放射線は透過性などを持ち、医療や製造業などで利用されていることなどにも触れる。」とし放射線はあまり危険なものであるという印象を受けない文章であります。

 放射線や放射能を語るとき、被災地はもちろん全国を震撼させた原発事故を避けて通ることはできません。教育も同様ではないでしょうか。今子どもたちに原発や放射能について「科学の目」で正確に教えることが必要です。

 「科学の目」で客観的に原子力発電を見るとどうなのか。それは「未完成」で危険な技術だということです。理由の第一は原子炉の構造そのものが「不安定」であること。なぜなら①原子炉の中で核燃料を燃やす時はもちろん停止した状態でも、ウランから生まれた核分裂の生成物は膨大な熱を出し続けます。ですからそれを絶えず水で冷やしておく機能が必要です。水の供給から止まれば膨大な熱により暴走が始まる。あらゆる場合を想定すると、水が止まらないようにすることができないこと。また②どんな型の原子炉も、核エネルギ-を取り出す過程で、莫大な死の灰を生み出します。どんな事態が起こっても、大量の死の灰を原子炉の内部に絶対かつ完全に閉じ込めるという技術を人間はまだ手に入れていないこと。

 第2に、使った核燃料の後始末ができないことです。「使用済み核燃料」とは原発を運転したら必ず大量に出てくる死の灰の塊です。人間は、この「使用済み核燃料」を始末するシステムをいまだに開発できず、日本では各原発の建屋と敷地及び青森県六ヶ所村の再処理工場敷地内の貯蔵プ-ルに貯蔵するしかないという状況です。福島の実例で明らかになったように、いざという時には、原発だけでなく、「使用済み核燃料」のプ-ルの一つひとつが核事故の発火点になるのです。自分が生み出す核廃棄物の後始末ができないようなエネルギ-の利用の仕方が、本当に完成した技術といえるのかであります。大きくは二つの理由から、原子力発電は「未完成」で危険な技術であることをきちんと教える必要があると考えますが、見解をうかがいます。

学校教育部長答弁

 学校教育における教育内容は、法により規定された学習指導要領に則り各教科等の目標達成に向けて様々な指導方法を用いて行うものです。この指導内容は一般的・普遍的なものであり、議員ご指摘の事故を受けて、技術的な面について危険である等といったことは指導事項としてでなく、学習教材として活用することが大切だと考えています。

3.自然エネルギ―導入に向けた方向性について

(1)地域新エネルギ―ビジョン策定の考えは?

 地球温暖化や福島原発事故などにより、従来からの化石燃料を中心としたエネルギ―政策がゆきづまり、自然エネルギ-への志向が高まってきています。また再生可能エネルギ―の固定価格買取制度(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスを用いて発電された電気を、一定の期間・価格で電気事業者が買い取ることを義務付けるもの)が来月7月1日からスタ-トとなります。

 こうした背景のもと、本格的な自然エネルギ―導入に向けて何が必要かであります。国政では、政府が自然エネルギ―の明確な導入目標を設定すること。そのために必要な財源を確保すること、初期投資での負担を軽減する国の補助などが必要です。

 自治体では、自然環境や地域産業など自然エネルギ―の開発に役立つ地域の資源を探すことが必要です。そのために地域の自然エネルギ―のビジョンをつくり、住民と共有することが大事です。このビジョンは、地域の特性をふまえて、市民、事業者、行政が一体となって自然エネルギ―の導入に取り組むための方向性を示す計画書です。地域に眠る自然エネルギ―を掘り起こし、まちづくりと一体になって計画的に導入していくことで、地球温暖化問題の解決に向けた地域レベルでのとりくみを推進するためのものです。この地域新エネルギ―ビジョンを策定した自治体は、2010年度末現在で約45%にのぼると聞いています。地域新エネルギ―ビジョンの策定に対する当局の見解をうかがいます。

市民自治部長答弁

 市の「環境基本計画」では、公共施設も含め太陽光発電などの新エネルギー設備導入をかかげています。この基本計画を具体化する基本方針=エネルギービジョンの策定は非常に有意義であり、本市に適したビジョンのあり方を検討していきたいと考えています。

(2)住宅用太陽光発電設置に対する補助制度を

 補助制度を求める質問を昨年9月議会で行ないましたが、答弁は味も素っ気もないものでした。理由の第一は、「独自の補助制度を創設した場合、今後の太陽光発電の普及に伴い市の財政負担が非常に大きくなっていくことが予想される。」こと。第二には、「住宅用太陽光発電設備の設置は比較的資金に余裕のある方が実施されている場合が多いことから、多額の市税を投入して補助制度を運営することは慎重にならざるを得ない」との内容でした。

 兵庫県内で当補助事業を実施している姫路市や西宮市の具体的内容を見ますと、西宮市では「当補助事業は申請総数が450件に達し次第受付終了となります。(先着順)」とし、姫路市では「予算の範囲内で先着順に受付」と、あらかじめ予算額を決めておき、申請件数がそれを超えると受付終了としており、財政負担が大きくなることはありません。

 また姫路市では、工事請負契約業者が市外の場合の補助金額は1万円/KWで、市内業者の場合は1万円/KWに2万円を加算しており、市内業者と市外業者で補助金額に差を設けるなど、市内業者、市内経済の活性化に向けた工夫を行っています。さまざまな方法を駆使することにより税を有効に活用することができると考えますが、改めて住宅用太陽光発電設置に対する補助制度についての見解を求めておきます。

市民自治部長答弁

 国・兵庫県は住宅用太陽光発電設置への補助額を今年度は昨年度に比べて減額しています。エネルギーは基本的に国がインセンティブを提供すべきであり、こうした補助制度は国の責任と負担で運用されるべきと考えています。

6月議会への一般会計補正予算等の議案が提出されました

 提案された主な議案は、3月31日付で専決処分された「市税条例および都市計画税に関する条例の一部改正」、「一般会計補正予算」、神津認定こども園に関する条例等です。

「市税条例および都市計画税に関する条例の一部改正」(専決処分)

 住宅用地に係る固定資産税の課税標準額(税額の基礎となる額)の仕組みが変わります。このことによって、2012年度1500万円、2013年度50万円、2014年度7700万円の増税になります。

 当局が示した資料をごらんください。→「市税条例等の改正概要」

「一般会計補正予算」

 補正予算の総額は、1億2166万円。そのうち主なものは、伊丹小学校における児童くらぶ施設整備事業9697万円です。現在120名の児童が2室で生活しており、今後も児童が増加することを予測し、重量鉄骨造2階建ての施設を新設して、3室にします。
 その他、児童虐待防止対策事業、つつじ学園・きぼう園給付激変緩和措置の継続、鴻池小学校災害復旧事業などです。

 当局が示した資料はこちらから。→「補正予算案」

「神津認定こども園(幼稚園部分)の保育について」

 2013年4月に開園予定の(仮称)神津認定こども園は、保育所(定員110名)と幼稚園(定員85名)の幼保連携型の認定こども園です。その幼稚園部分では、3歳児保育(定員20名)と預かり保育を実施するとして、その月額保育料、入園料、預かり保育料を設定する条例改正が行われます。

 その内容に関して、5月31日に文教福祉常任委員協議会で説明がありましたので、その資料を参照してください。

「神津認定こども園(幼稚園部分)の保育サービス(案)について」

2012年3月議会:上原ひでき 一般会計予算等に対する討論

(一般会計予算・市税条例改正・福祉医療改悪に反対、土地信託に関する議案に賛成

(2012.3.23)
日本共産党伊丹市会議員団 上原秀樹

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、議案第28号「平成24年度伊丹市一般会計予算」、議案第52号「市税条例の一部を改正する条例の制定について」、並びに議案第57号「伊丹市老人等医療費の助成に関する条例および伊丹市子育て支援のための医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例の制定について」に反対、議案第70号「市有地の信託の変更について」に対しては賛成の立場から意見を述べます。

平成24年度伊丹市一般会計予算

 はじめに、議案第28号「平成24年度伊丹市一般会計予算」についてであります。

 来年度を迎えるにあたっての国民・市民のくらしに関しては、政府の統計でも、2011年の雇用者報酬が10年前に比べて約20兆円も減少、労働者賃金は年平均50万円減少し、家計消費も前年比1.1%減という苦しい状況が続いています。伊丹市においても、今年の所得状況では、給与が2.3%、事業所得が1.98%と対前年比で減少し、法人市民税でも均等割り、法人税割とも前年を下回っています。

 このように景気が落ち込み、格差が拡大する中、民主党の野田政権は、「社会保障と税の一体改革」と称して、消費税を2015年に10%に増税する法案を成立させようとしていますが、国民の暮らしを大きく圧迫し、景気を冷え込ませ、日本経済をどん底に突き落とすとともに、財政破綻も一層ひどくするものとなることは間違いありません。

 提案されています2012年度の伊丹市一般会計予算は、歳入・歳出660億円で、前年対比6.1%の増とするものです。しかし、借換債や第3セクター関係費用を除くと601億円で、3.4%の減となります。個人市民税では市民に対して年少扶養控除の廃止等によって約3億4,500万円の増税をするものですが、法人市民税と償却資産税とともに、リーマンショック前と比べて約29億円の減少のままとなるとされており、市民のくらしや中小零細業者の営業は依然として厳しい状況が続くことが予想され、このことから伊丹市においては、一層暮らしを守る施策が求められることになります。

 一方、普通交付税と臨時財政対策債の合計は、市税が約2億4000万円減少し、扶助費が約3億円増となっているにもかかわらず、実質前年とほぼ同額となっています。この点では地方財政計画においても、社会保障関係費の自然増における地方負担分を、給与関係費と投資的経費の削減によってつじつまを合わせただけのもので、その反映といえます。給与関係費に関しては、政府の「集中プラン」で大幅削減を誘導し、地方ではこれ以上減らすことができないところにあります。このような財政計画を見る限り、一般財源は総額確保したとはいえ、実際には歳出削減路線を伴っており、小泉内閣による地方交付税の大幅削減はいまだに回復できていません。

 国に対して、自治体が「住民の福祉増進」という役割を十分発揮できるだけの一般財源の保障を強く求めていただきたいと思います。

 本予算の問題点について述べます。

 第1に、同和問題についてです。伊丹市は同和教育・啓発を推進していますが、その理由として、「人権に関する意識調査」から、「居住の敬遠」と「結婚問題」で20%台から30%台の人が同和問題に関する人権問題が起きていると思うとされたこと、またのその原因を「社会全体に残る差別意識」とする回答が40%近くあったことから、同和問題は解決されていないためとされています。しかし、そのような差別の実態はほとんどありません。にもかかわらず、「意識調査」でそのような結果が出ることにこそ、いまの同和教育・啓発の問題があります。かつての部落問題に関して、正しい知識を得るための学習が必要なこともあります。問題は、伊丹市の同和教育・啓発の出発点が「いまだに差別意識が根深い」という認識にあることです。「差別意識は根深い」ことを強調することは、市民が正しい認識を持つことができなくなるとともに、旧関係住民の気持ちも逆なですることになります。このことは、人権教育指導員に、同和問題に関して、部落解放同盟のメンバーが4人入っていることにも起因します。ただちに同和問題の解決の展望を市民に示し、同和教育を終了することを求めます。また、かつてのいわゆる「同和住宅」の一般対策化に関しても同様です。早期に解決することを求めます。

 第2に、福祉医療助成において、助成対象者を削減する問題です。予算の上でも、重度の身体・知的・精神障がい者に対する医療費助成では、2%の60人が、また子育て支援のための医療費の助成おいては、22,463人のうち4.8%の1,070人が対象から外れることになります。伊丹市は、他市に先駆けて子どもの医療費助成を充実してこられました。このことは評価をするものですが、他市においては、県の改悪に従わず、現行を維持する自治体があるとともに、保護者の経済的理由により子どもが医療を受けることができない事態をなくし、安心して子育てができるように、入院、通院とも中学校卒業まで無料化が広がっています。福祉医療助成対象者の削減は、その流れに逆行するものです。

 第3に、PPP(官民共同)基本方針策定の問題です。伊丹市は、公共施設の効率化・効果的な整備や維持運営に資するため、PFI事業に関して、その導入基準や手続き、体制などを取りまとめるとされるとともに、さらに市場化テストなども検討するとされました。しかし、PFIに関しては、近江八幡市立総合医療センター等の破綻で明らかになったとおり、民間事業者の利益が優先され、高金利負担となり、いつ発生するか分からない修繕費用の前倒し支払い、中間業者が介在するというPFIの制度的欠陥性などが問題となっています。一時的な費用負担軽減のため、市民のための公共財産を安易に民間にゆだねる手法はやめるべきです。

 第4に、伊丹市立高校(定時制)の阪神昆陽高等学校校舎への移転並びに、定時制高校統合負担金9,000万円の問題です。来年度はその初年度に当たるため、改めて問題点を述べておきます。定時制の移転に関しては、多くの反対の声や不安がありながらも、移転の決定を急いだこと、すでに施設整備費に約3,000万円支出し、来年度、施設使用料932万円、送迎業務委託料1,150万円など新たな負担をしなければならなかったこと、そして生徒の通学時間の調整や今後の留年生徒への対応策など様々な困難を抱えた生徒に精神的な負担を押し付けることなどです。また、統合負担金に関しては、来年度から4年間合計3億6,000万円支出するもので、学校教育法や地方財政法に違反する可能性もあるとともに、違反しないとすれば何のための負担金か不明のまま負担するという性格のものです。

 来年度、困難を抱えながらのスタートになると考えますが、定時制は、小・中学校時代に不登校経験のある生徒や中途退学者など、さまざまな入学動機や学習暦のある生徒が学んでおり、伊丹市教育委員会がその生徒の教育を受ける権利を保障する上で、来年度からの3年間、全力で支援をしていただきたいと思います。

 また、統廃合完了後の問題では、県立高校に移管した以上県教育委員会の方針で運営されるもので、答弁にあったとおり、教育内容を伊丹市教育委員会と県教育委員会で協議できるものではありません。伊丹市立定時制高校の伝統を市内外に発信する上では、「定時制教育の記録」などの冊子をつくることを提案します。検討をお願いします。

 次に評価すべき点、並びに要望すべき点について述べます。

 第1に、国民健康保険事業に対して、来年度も4億2,500万円を補助するとともに、国の制度ではありますが、後期高齢者医療制度における人間ドッグ助成事業が行われることです。本会議でも求めましたが、国保への一般会計からの補助に関しては、次年度以降、新たな仕組みをつくり、増額していただきたいと思います。

 第2に、子育て支援に関して、神津認定子ども園整備事業では、神津まちづくり協議会や幼稚園・保育所関係者との協議を積み重ねた設計に基づき、建設工事が始まります。認定子ども園にはさまざまな解決すべき問題は残されていますが、伊丹市が責任を持つ公立園であることから、子どもの立場に立って打開していただき、神津地区のまちづくりの核となり、子育て支援の拠点となるよう努めていただきたいと思います。また、「詰め込み」保育の解消、待機児童解消に向けて認可保育所誘致に全力をあげていただきたいと思います。

 第3に、「協働の指針」の策定については、新たに市民が主体となったまちづくりを実現するものとして期待するものです。地域には、孤独死や貧困の広がりによる困難など様々な地域問題がありますが、それらの問題を協働で解決できる力量を高めていくことが求められています。地域には自治会などの地縁組織をはじめ、様々な団体・組織があります。これらの多様なまちづくりの主体が、行政の公共性を前提として、行政と対等な関係の中で、それぞれの特徴を活かしながら、連携・協力して共通の目標を達成するために力をつくす仕組みをつくることは、住みよい地域づくりに大きく貢献するものと考えます。地域問題解決の手段として必要な協働関係を構築することができるような指針となることを要望します。

 以上、主なものしか触れることはできませんでしたが、これ以外に様々な要望を本会議、委員会で行いました。早期に実現することを求め、反対の立場からの意見とします。

市税条例の一部を改正する条例

 次に、議案第52号「市税条例の一部を改正する条例の制定について」であります。

 本条例案の問題の第1は、付則第9条において、2013年1月1日以降支給の退職所得に関して、個人市民税の10%税額控除を廃止しようとしていることです。廃止によって約1000万円の増税となるものです。

 問題の第2は、付則第24条を新設することで、全国緊急防災・減災事業の財源確保を名目に、個人市民税の均等割を500円引き上げようとしていることです。このことによって、86,000人に対して、4,300万円の増税となるものです。個人市民税の均等割は、就業者数に照らしてそのほとんどが納税義務者となっており、所得の低い人にも負担を課すものです。応能負担こそ税制の基本であり、低所得者に負担を強いる個人市民税の均等割引上げに財源を求めるべきではありません。しかも、引上げ期間は10年間であり、恒久的な増税措置になりかねないものであります。さらに、全国レベルでいえば、住民税均等割の引上げによる地方税の増税は被災自治体の住民にも及ぶものであり、被災者支援に反するものと言わなければなりません。
 よって本条例案に反対するものです。

伊丹市老人等医療費の助成、子育て支援のための医療費の助成

 次に、議案第57号「伊丹市老人等医療費の助成に関する条例および伊丹市子育て支援のための医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例の制定について」です。

 本条例案は、重度の身体・知的・精神障がい者に対する医療費助成に関して、また、子ども医療費助成制度における乳児以外の医療費助成に関して、助成を受ける保護者等の所得要件を、主たる生計維持者から世帯合算に変更しようとするものです。このことによって、先ほど一般会計予算で述べたとおり、多くの助成対象者が削減されます。

 伊丹市は、所得制限に関しては、県の制度に合わせていくということが方針であるとされていますが、神戸市や明石市、芦屋市、宝塚市においては今回の県の制度見直しに合せず、いままでどおりの所得制限として対象者を削減しない方針です。もともと伊丹市も県の行革による医療費助成削減に反対していたことから、削減しない方針を貫くべきです。

 主たる生計維持者の所得と世帯合算の場合の矛盾を解消に関しては、所得制限の上限を引き上げることなどによって矛盾解消による助成対象者削減をしない措置を考えるべきです。さらに、入院医療費助成等県の制度に上乗せしている制度に関しては、県の所得制限に合せる必要はありません。

 よって、本条例案に反対するものです。

市有地の信託の変更

 次に、議案第70号「市有地の信託の変更について」です。

 本議案は、信託の目的に「処分」を加えることで処分型の信託に変更し、処分に対する信託報酬を、売却代金収入に1000分の30を乗じてえた額に100分の105を乗じて得た額にしようとするものです。

 旧伊丹市役所で、後に社会経済会館となった伊丹市中央3丁目406番8の土地に関して、伊丹市は、1989年(平成元年)3月24日に、当時の三菱信託銀行株式会社(現 三菱UFJ信託銀行株式会社)と土地信託契約を締結し、現在に到りました。

 当時の「市有地の信託について」の議案に対する党議員団としての態度は、国の信託に関する法律改定は民間活力導入政策の一環として行われたものであること、公共財産は住民全体の公共的利益のために使われるべきもので、民活の名による民間企業の営利の具にしてはならないこと、将来の担保も不明確なものであることから反対しました。

 1989年度予算審議における党議員団の委員会質疑の中で、当時の市長は「リスクはあろうとも、挑戦していくことが必要」「危険ばかり感じておっては、発展はありえない」と答弁され、将来の破綻の危険性を承知の上で土地信託の契約に踏み切っています。当初予定した伊丹市に対する信託配当累計は、34億2,400万円、固定資産税・都市計画税の累計10億7,100万円と合せて、約45億円が30年間で伊丹市に入ってくるというものでした。一方、信託報酬は3億1,100万円、銀行利息は約20億円とされ、民間企業の営利も保障していました。

 ところが、右肩上がりのバブル期が30年も続くはずはなく、危惧していたとおりの事態となりました。この間、伊丹市が受け取った信託配当と固定資産・都市計画税の合計は、2010年度末で12億3,470万円にとどまり、一方で、銀行に対する利息は12億5,400万円、信託銀行への信託報酬は1億3,300万円で、合計13億8,700万円となり、伊丹市が受け取った金額より多く、民間企業の営利の具とされてきたことはいうまでもありません。

 いま、明らかに信託事業は破綻しました。このことは、リスクを見込んだ上での信託事業決行に対して、また、「官から民へ」「民間活力の導入」「民間のノウハウを活かす」などと、公が果たすべき「住民の福祉向上」を民間にゆだねてきた路線そのものに対して、その問題点と限界が明らかになったといえます。
 今回提案されている処分型信託への変更によって、何よりも市民の大切な財産を失うことになります。信託の出発点と今日までの経過における当局の責任は重大といわざるを得ません。この件に関して、本会議・委員会の中で様々な議論が交わされました。しかし、このまま継続すると、空いている床が埋まる保障はなく、たとえ埋まったとしても終了時までのリスクは背負い続けなければならず、さらに家賃の引き上げの展望もないまま推移することとなり、傷口は広がり、最終的に受益者である伊丹市が、その債務を負担することになります。

 したがって、党議員団としては、本議案における処分型信託への変更を是とするものであります。

 なお、信託銀行が行う入札に当たっては、伊丹市として、透明性が確保されるあらゆる手段を指示されることを求めて、賛成の立場からの意見とします。

 議員各位のご賛同をお願いしまして、討論とします。

2012年3月議会:かしば優美 個人質問骨子/特定疾患医療費助成事業

2012年3月11日
日本共産党伊丹市会議員団 かしば優美

個人質問骨子

1、医療福祉に関連して(このページ)

1)特定疾患医療費助成事業に関する検討会設置について

(1)なぜ年度末の設置なのか

(2)会議を非公開とする理由について

(3)検討会構成員に特定疾患患者(団体)いわゆる当事者市民を加えないのはなぜか

2)子育て支援医療費助成―議案第57号について

(1)所得判定の見直しによる影響は?

(2)10年12月時点では「反対」、今回は「容認」と市の姿勢が一変したのは?

(3)子育て支援の拡充を“オンリーワン”に

2、公園緑化協会の解散に向けた課題

(1)プロパー職員や臨時職員の身分保障を

(2)特に昆虫館の今後の管理・運営のあり方について

3、後期高齢者医療事業について

(1)伊丹市のおける現状について

(2)2012、13年度2ヵ年の保険料額設置に関して

(3)増大する保険料負担への対応について

個人質問要旨

 議長より発言の許可をいただきましたので、私は日本共産党議員団を代表して質問します。はじめに医療福祉費に関連してうかがいます。

特定疾患医療費助成事業

 第一に特定疾患医療費助成事業についてであります。

 伊丹市は昨年12月に、特定疾患医療費助成事業に関する検討会設置要綱を定めました。検討会の設置目的は、特定疾患医療費助成事業の実施状況を点検し、事業のあり方について検討するとし、検討する事項は、特定疾患の助成事業の現状についての点検及び助成事業の見直しに関すること、その他市長が必要と認める事項に関することになっています。そして検討会は学識経験者、伊丹市医師会会長、兵庫県伊丹健康福祉事務所長、健康福祉部長の4名の委員で構成し、委員の任期は今年3月末まで。この設置要綱は今年1月20日から施行するとなっています。

 一方特定疾患医療費助成事業については、昨年2月に発表された「伊丹市行財政プラン」の中で、事務事業の抜本的見直しの「検討項目」の一つにされました。その後、8月市当局からの申し入れにより議会各会派で、特定疾患医療費助成事業見直し資料をもとにした「勉強会」が実施されました。こうした経過もふまえて数点うかがいます。

 1点目として、検討会設置要綱の施行が今年1月20日からと年度末の時期になったのはなぜか。また1月20日と2月10日に会議をされたと聞いていますが、どのような審議が行われているのか。

 2点目として、会議が非公開としていることについて

 伊丹市審議会等の会議の公開に関する指針は、「審議会等の会議を公開することにより、市民の参画と協働によるまちづくりを一層推進するとともに、市政の透明性や公平性を高めることを目的とする。」と規定しています。検討会を非公開にしていることはこの指針に反することになります。

 3点目として、検討会の構成員の中に市民や特定疾病患者(団体)いわゆる当事者市民が加わっていないのはなぜか。以上3点について当局の説明・見解を求めるものです。

子育て支援医療費助成

 第2に、子育て支援医療費助成―議案第57号についてであります。

 現在、子育て支援医療について、0歳児は所得制限がなく、1歳から15歳については、幼児等保護者または扶養義務者の市町村民税所得割額が23.5万円の所得制限がかかっています。今回市当局は議案第57号の提案理由として、「医療費助成の受給資格にかかる所得制限を見直すとともに、所得制限にかかる算定の特例を設けるほか所要の改正を行うため」と説明しています。23.5万円という制限所得について、現行は世帯の最上位所得者で判定しているものを、同一世帯を合算する所得判定へ是正するというものです。私はこの問題で一昨年2010年12月に質問を行いました。その時の答弁では、「子育て支援医療費助成の所得制限の見直しにより、本市においては10年度当初の16,860人の受給者のうち約2,000人が対象から外れると見込んでいる」というものでした。以上の点をふまえて、

(1)改めて、所得判定が見直しされれば何人が制度の対象外になるのか。

(2)前回からの姿勢を変えたのはなぜか

 兵庫県は一昨年(2010年)11月に第二次行革プランの中で「所得判定の見直し」を発表。ところが県下市町の反対が強かったこともあり、実際の実施を1年半遅らせてきた経過があります。私が2010年12月にこの問題で一般質問した際に当局は、「これまでの方針を転換するとも受け取れる今回の見直し案につきましては、兵庫県との共同事業として福祉医療助成を実施している市といたしましても、到底容認できないということは県に対し強く申し入れを行っているところです」と答弁されていました。ところが今回一変して県の見直しを容認しておられますが、その明確な理由を説明願いたいと思います。

(3)子育て支援の拡充を“オンリ-ワン”に

  これまで伊丹市は全県に先駆けて、入院について中学校3年まで医療費を無料にしてきた実績があります。今回の見直しについては県に追随することはやめ、子育てがしやすい街、子育て支援の拡充を“オンリ-ワン”にする姿勢を堅持していただきたいと考えます。県下では、神戸や明石、芦屋、宝塚市は県にあわせず、対象者を削減しない方針であると聞いています。当局の見解を求めておきます。

2、公園緑化協会の解散に向けた課題について はこちら

3、後期高齢者医療事業について はこちら

2012年3月議会:上原ひでき 代表質問

2012年3月6日
日本共産党伊丹市会議員団 上原ひでき

代表質問要旨

1.市長の情勢認識を問う

1)国民・市民のくらしと民主党野田内閣の「社会保障と税の一体改革」について
 ―日本共産党の提言をもとに、消費税増税と社会保障の「改革」の実態をただす

 内閣府が2月13日に発表した国内総生産(GDP)速報によると、昨年10月から12月期の実質経済成長率は年率で2.3%のマイナスとなりました。内需は年率で0.2%増加し、輸出が年率11.9%の大幅減少となったことが響いています。世界経済危機のもとで、これまでのような輸出依存の経済成長路線にますます展望がなくなりました。

 このもとで、日本経済の低迷と世界経済危機を口実に、大企業は大リストラ攻勢をかけてきています。正規社員から非正規に置き換え、さらに、大規模な非正規切りを進めた自動車や電機などの大手製造業は、国内雇用を破壊し、若者たちから仕事を奪いました。その結果、2011年の雇用者報酬は、10年前に比べて約20兆円減少、労働者賃金は年平均50万円の減少、家計消費も前年比で1.1%減の276兆円となり、相対的貧困率も16%まで上昇し、アメリカに次ぐ貧困大国、年収200万円以下のワーキングプアは1000万人を超え、子育て世帯の貧困化による子どもの貧困の問題、30代から50代の生活保護世帯の増大等々に現れています。一方、資本金10億円以上の大企業の内部留保は、10年前の172兆円から266兆円へと94兆円増やし、株主への配当は3倍以上に増やしています。

 このような景気が落ち込み、格差が拡大する中、民主党の野田政権は、「社会保障と税の一体改革」と称して、消費税を2015年に10%に増税する法案を成立させようとしています。この消費税第増税計画は、三つの大きな問題点があると思います。

 第1は、ムダづかいを続けたままの大増税であるということです。八ツ場ダムや「1メートル1億円」の東京外郭環状道路などの大型開発の復活、F35を次期戦闘機として買い入れるために1.6兆円の増額、320億円に上る政党助成金は受け取り続け、その一方で、富裕層や大企業には年間1.7兆円もの新たな減税です。

 第2に、社会保障切捨てと一体の大増税だということです。老齢年金、障害者年金の削減、年金の支給開始を68歳から70歳に先延ばし、医療費の窓口負担を増やし、保育への公的責任を投げ捨てる「子ども・子育て新システム」の導入など子どもから高齢者まで負担増と給付削減を行うものです。

 第3に、日本経済をどん底に突き落とし、財政破綻も一層ひどくするものということです。1997年の橋本内閣のとき、消費税5%への増税など9兆円の負担増を強行しましたが、このことで、回復の途上にあった景気をどん底に突き落とし、税収の落ち込みと「景気対策」のための財政支出でわずか4年間に借金が200兆円も増え、財政を破綻させました。今回は、消費税10%への引き上げで13兆円の増税、年金の削減や医療などの保険料値上げによる負担増を合わせて年間20兆円もの負担が増えます。しかも地域経済が深刻な疲弊の下にあるさなかでの大増税であり、国民の暮らしに計り知れない打撃を与え、日本経済をどん底に突き落とし、財政破綻を一層ひどくすることになります。また、東日本大震災での普及・復興に逆行することにもなります。

 日本共産党は、このような消費税の大増税に断固として反対を貫きます。同時に、消費税の増税なしに、どうやって社会保障の再生・充実と、財政危機打開を進めるのか、具体的な提案を行いました。

 その考え方は、社会保障の段階的な充実と国民所得を増やす経済改革という日本の柱を同時並行的に進めていくということです。第1段階は、小泉「構造改革」以降の改悪によってゆがめられた社会保障を再生するもので、例えば医療費では、子どもは無料、現役は2割、高齢者は1割に、年金削減策の中止、特養ホーム・保育所の待機者をゼロに、国保税の国の責任による一人1万円の引き下げなどで、その財源は、大型事業や原発推進費、政党助成金などの歳出の無駄の削減で3.5兆円、証券税制強化や最高税率の引き上げ、「富裕税」、「為替投機課税」「環境税」の創設など歳入の確保で8兆円から11兆円を見込んでいます。第2段階は、ヨーロッパ並みの先進水準の社会保障を確立するため、最低保障年金制度の確立、医療費の窓口負担の無料化、介護の利用料ゼロなどで、財源は、累進課税を強化して所得税の抜本改革を行うなどで6兆円以上を見込んでいます。同時に、国民の所得を増やして税収増を確保するため、人間らしく働ける労働のルールをつくり、中小企業への本格的な振興策強化等を行うものです。このようにすれば、社会保障を充実させ、財政再建も可能と考えるものです。

 市長にはあらかじめ日本共産党の「提言」をお渡ししています。市長は、社会保障切り捨て、消費税増税の「一体改革」をどうのようにお考えなのか、日本共産党の「提言」に対する見解もあわせて伺うものです。

2)伊丹市の財政と政府の地方財政計画(地方交付税)について

 2012年度の一般会計予算は、660億円で、前年対比6.1%の増としていますが、借換債や第3セクター関係費用を除くと601億円で、3.4%の減とするものです。そのうち、個人市民税では市民に対して年少扶養控除の廃止や特定扶養控除の縮小、均等割り税率の引き上げ等によって約5億円の増税となりながらも、前年対比で3億1600万円の増でしかなく、法人市民税と償却資産税とともに、リーマンショック前と比べて約29億円の減少のままとなっています。市民のくらしや中小零細業者の営業は依然として厳しい状況が続くことが予想され、このことから伊丹市においては、一層暮らしを守る施策が求められることになります。

 一方、前年比で市税が約2億4000万円減少し、扶助費が約3億円増となっているにもかかわらず、普通交付税は実質前年とほぼ同額となっています。社会保障関係経費は自然増だけでも大きく増額しているにもかかわらず、なぜ前年対比で実質同額の普通交付税の予算なのでしょうか。地方財政計画においても、普通交付税はほぼ前年と同額です。しかし、社会保障関係費は、自然増における地方負担分だけで7715億円増加しており、「子どものための手当て」の地方負担増加額などを加えると1兆円以上の増となるものです。地方財政計画で、社会保障関係費を確保したとされていますが、結局給与関係費と投資的経費を削減しつじつまを合わせただけではないかと思います。給与関係費では、政府の「集中プラン」で大幅削減を誘導し、地方ではこれ以上減らすことができないところにあります。このような財政計画を見る限り、一般財源は総額確保したとはいえ、実際には歳出削減路線を伴っています。小泉内閣による地方交付税の大幅削減はまだまだ回復できていません。

 このような政府による歳出削減策は、伊丹市の財政に大きく影響していると考えるものですが、市長は来年度の地方交付税のあり方をどのように評価しているのでしょうか。同時に、地方交付税の「上乗せ」措置が継続された「地域経済基盤強化・雇用等対策費」の地方配分、さらに通常の基準財政需要額の関係費目の単位費用に増額される7550億円に関して、どのように見積もりをたてられたのでしょうか、お伺いします。

2.市民が主体となったまちづくりの実現について

1)参画と協働による市民自治

 市長は施政方針の中で、多様な主体が地域の中で活動し、連携し合える住民自治の仕組みづくりが必要であること、そのために市民と行政が連携し活動する仕組みとなる「協働の指針」を策定すること、PPP(官民共同)基本方針を策定し、「新しい公共」づくりを検討するとされました。

①「協働の指針」について

 地域社会に関して、この間、衝撃的な事件が相次いだことは改めて現代の貧困問題、社会的つながりの問題を考えさせられました。「無縁社会」と名づけられる現代社会は、地縁・血縁というようなつながりの希薄さの中で、多くの人々が孤独の中で生きている現実を露呈させています。これらの状況は、国における社会保障の充実と高齢者を地域のつながりで支える体制の強化、高齢者の力を活かすまちづくりをどのように進めるかが喫緊の課題となっていることを示しています。地域には、自己責任の強調ではなく、多くの人々を包み込み、共同の力で地域問題を解決することができる力量を高めていくことが求められています。そのためには、自治会やコミュニティ組織を基礎にして、子育てサークルなどやボランティア、NPO、民生委員、PTA、子ども会、老人会、各種団体等々などと共同し、高齢者や子ども、障がい者をはじめとして住民の暮らしを守ることと地域をつくることを結び、日常の取り組みを通じて地域力・自治力を蓄積していくことが必要です。これらの多様なまちづくりの主体が、自治体行政活動の公共性を前提として、行政と対等な関係の中で、それぞれの特徴を活かしながら、連携・協力して共通の目標を達成するために力をつくす仕組みをつくることは、住みよい地域づくりに大きく貢献するものと考えます。

 そこでお伺いします。一つは、以上述べたことが「協働の指針」の定義のようなものになると考えますが、当局はその定義に関してどうお考えなのか、見解を伺います。二つに、まちづくり事業制度として事業支援することを考えているのか、さらには地域コミュニティ組織への新たな支援の仕組みをつくろうとされているのでしょうか。三つには、まちづくりを進める組織を支援するための「支援センター」的な組織が必要になるのではないかと考えますが、以上に対する見解を伺います。

②PPP(官民共同)基本方針の策定について

 本来、PPP(官民共同)というものは、例えば水道や交通など従来公営で行ってきた事業に、民間事業者が事業の計画段階から参加して、設備は官が保有したまま、設備投資や運営を民間事業者に任せる民間委託などを含む手法をさしているとされ、PFIよりも幅広い範囲を民間に任せるものとなっています。

 2007年に出された「大阪版PPP改革について」を見ますと、その手法はPFIや市場化テスト、アウトソーシングなどの「民間開放」、地方独立法人化や広告事業、民間との人事交流などの「民間活力の活用」、住民・地域・NPO・企業などとの「協働」の3本柱から成り立っています。伊丹市は「協働の指針」は別につくりますから、大阪版のように全国的に行われているPPPからすると、民間開放と民間活力の活用ということになります。しかし、民間移管等の手法は、政府の自治体調査結果で、「可能な限り民間委託を推進したが、必ずしも経費節減につながっていない」(兵庫県・猪名川町)、「指定管理者制度の活用により、多くの施設で指定管理者が導入されたが、評価方法などが確立されていないため、本当に行政サービス水準の維持・向上、業務の効率化につながっているか不明である」(山口県・宇部市)などの意見があるとおり、反省の声が上がっています。PFIに関しても、近江八幡市立総合医療センター等の破綻で明らかになったとおり、民間事業者の利益が優先される、高金利負担となる、いつ発生するか分からない修繕費用の前倒し支払い、中間業者が介在するというPFIの制度的欠陥性などが問題となっています。

 伊丹市は、PPP基本方針策定において、何をされようとしているのでしょうか。お伺いします。

3.介護保険事業計画について

1)介護保険料について

 議案第60号「伊丹市介護保険条例の一部を改正する条例の制定について」において、介護保険料の基準額を月額4200円から4400円に改めるとともに、保険料段階区分を10区分から12区分に見直そうとしています。この改定によって、年金収入300万円の人には、年間6万6000円、月額5500円の保険料がかかってきます。今でも国保も介護保険料の高いとの声が出ているのはご承知のとおりです。

①伊丹市の準備基金の取り崩しはなぜ50%か

 伊丹市の介護保険財政には、2011年度末に介護給付等準備基金積立金が11億4500万円あります。そのうち、今回の改定で5億7100万円を取り崩し、基準額の月額367円の軽減を図ったとされました。残り半額は基金として残し、第6期の計画で保険料軽減に使うとのことです。

 しかし、第3期が終わった2008年度末には8億6100万円の基金があり、そのうち4期分として約30%の2億6200万円を取り崩し、前期計画比で400円の引き下げを行いました。そのとき、約6億円の基金を残したのは、5期目の保険料は4200円を維持するとの説明がありました。しかも、今回取り崩した5億7100万円は、4期目の計画期間に積み立てた基金であり、3期目の計画期間の基金残約6億円は残したままとなります。なぜ基金を6億円残さなければならないのか、5期計画期間の保険料を4200円に据え置くという約束はどうなったのか、説明をお願いしたいと思います。

②県の財政安定化基金の取り崩しにおける県・国拠出分はどうしたのか

 兵庫県は、介護保険財政安定化基金の第4期末残高121億6200万円のうち、72億4300万円を取り崩し、市町拠出分3分の1の24億1400万円を各市町に保険料軽減交付金として交付するとし、伊丹市の場合、50円の軽減となるとされています。一方、県の拠出金は保険料の軽減に使わないと決めたそうです。しかし厚生労働省の見解では、その使途として保険料軽減のための市町村に対して交付すことは可能とされています。この点では、兵庫県下28市12町の民生主管局部課長・理事一同名で、兵庫県拠出分相当の取り崩し額について、第5期介護保険料の上昇に直接活用できるよう対応をお願いしたい、との緊急要望を、1月23日に提出されています。なぜ兵庫県はこの全市町の要望にこたえなかったのか。さらに、国拠出分に関しても、都道府県には保険料軽減に使えるといっておきながら、なぜ国は保険料軽減に使わなかったのか、伊丹市として、国に対する要望は行ったのか、その理由・その使途についてもお伺いします。

2)施設介護の遅れをどうするのか

 私は昨年の3月議会の代表質問で、介護施設の建設は常に後追いで、待機者は減少しないのではないか、家族の介護を軽減し、社会的介護の仕組みをつくるのが介護保険制度であることから、第5期介護保険計画は、この立場から安心できる計画をつくるべきとただしました。

 答弁では、第4期の計画期間に計画している施設の開設の見込みが立っており、待機期間の縮小を図ることができる、認知症グループホームや介護老人保健施設の待機者も一定の解消が図られること、さらに、24時間365日対応の定期巡回・随時対応サービス等新たな制度の検討がされていることから、在宅と施設サービスの割合等を検討して第5期の計画をつくる、とされました。

 しかし、現在特別養護老人ホーム等の待機者は、昨年6月現在で緊急性の高い待機者が184人。そうでない人を含めて400名を超えます。今後、第5次介護保険計画の中で、小規模特養と認知症グループホームをそれぞれ3ヶ所ずつつくろうとされていますが、毎年増え続ける待機者に対応できるでしょうか。もちろん、住み慣れたところで暮らし続けたいという高齢者の願いはありますから、居宅介護の充実を行いながら、せめて中規模程度の特別養護老人ホームは必要だと考えます。見解をお伺いします。

4.障がい者福祉について

1)国の総合福祉法制定状況における問題

 政府の障がい者制度改革推進会議・総合福祉部会が2月8日開かれ、厚生労働省は自立支援法に変わる法案の概要を示しました。しかし、その法案概要に、障がい者が怒りの声を上げています。「総合福祉部会」が取りまとめた「骨格提言」は、障害者権利条約と「基本合意」を踏まえ、障がいのない市民との平等と公平、すべての障がい者を対象にした施策の充実、OECD諸国並みの安定した障がい者福祉予算の確保などを柱にし、障がいに伴う必要な支援は原則無料を打ち出していました。しかし法案概要は、利用料の原則無償化を見送り、対象とする難病の拡大も一部にとどめました。「提言」が廃止を求めていた「障害程度区分」も盛り込んでいます。このような障がい者・家族の創意を無視した姿勢は許されるものではありません。

 伊丹市議会も昨年12月議会で、「総合福祉法」は「骨格提言」を尊重したものにすることを求める意見書を全会一致で採択し、意見書を国に送付しました。伊丹市当局の答弁でも、当然「骨格提言」が尊重されるべきものと考えている、本市としては障害者福祉制度改革の目標達成が、本市のまちづくりの基本目標達成と将来像へとつながっていくものと認識しているとされました。

 市長は、今回の厚生労働省の法案概要についてどのような認識をもっておられるのでしょうか、お伺いします。

2)災害と障がい者支援について

 東日本大震災では、障がい者や難病患者の救命の困難さが改めて浮き彫りになりました。筋ジストロフィーを患い、人工呼吸器をつけて車椅子生活を送っていた35歳の「佐藤まさあき」さんは、ヘルパーの交代時間1時間半の空白時間に地震がおき、近所の親族が助け出そうとしているとき、「もう、あきらめましょう」とつぶやいたのが最後の言葉となってしまったそうです。一方、災害弱者の避難に関して、「被災地障がい者支援センターふくしま」のスタッフが避難所調査をしたところ、避難所にいったものの苛酷な環境に耐えられなかったり、病状を悪化させたりして自宅に戻った人らが目立ち、「思いのほか少なかった」と語っています。

 同「支援センター」代表の白石清治さんは、1月に開催された障がい者制度改革推進会議への提出資料で、東日本大震災における障がい者等「災害時要援護者」に対する取り組みについて教訓を述べておられます。その一つは、避難計画策定や訓練への障害者団体の参画と連携が行われていなかったことで、災害が起こったとき、どうしても障がい者が後回しにされてしまっている。逃げ遅れる障がい者などに重点を置いた避難計画策定委員会を組織してきめ細かく策定する必要があること。安否の確認と支援ニーズの把握に関しては、サービス利用者は事業者が責任を持って行うべきだが、サービスを利用していない障がい者は、行政と民間事業者、民生委員、町内会等の連携によって迅速に行える状況をつくっておく必要があること。また、災害直後における障がい者支援の仕組みのありかたについては、一般の避難所では、車椅子の障がい者は横になって寝ることができない状況があり、駐車場に車を止めて家族と共に避難生活をしているケースがあった。福祉避難所は存在したが、どこにあるのか判らない状況にあった。そのような時、緊急避難時の相談支援体制も、相談支援を行っている事業所が避難していることもあり、緊急に同センターが県の委託を受けて相談支援体制を築くことができたことなどとなっています。

 伊丹市における障がい者等の緊急時における避難体制と避難所はどうなっているのでしょうか。

 NPO法人兵庫県障害者センターが、昨年11月、兵庫県下全市町を対象に「障害者と防災に関するアンケート」を行っています。それによりますと、伊丹市としての問題の一つは、要援護者防災マニュアルを策定する予定なしとされたことです。41市町中回答のあった40市町のうち、伊丹市を含めて5自治体だけでした。今年度中に防災マニュアルを見直す予定とされています。先ほど東日本大震災の教訓を引用しましたが、このことに学び、障がい者等要援護者に対する防災マニュアルを関係者とともにきめ細かく策定する必要があると考えます。また、福祉避難所は指定されていますが、災害の規模にもよりますが、その対象者に対する定員割合は0.02%しかありません。また、障がい者が横になって寝る場所や様々な障害の程度を想定した福祉・医療関係の危惧・備品の確保等福祉避難所の運営マニュアルの作成も必要と考えます。

 以上に対する見解、今後の予定についてお伺いします。

5、国民健康保険事業

1)国保をめぐる国の動向について

 高すぎる国保税を何とかしてほしいという被保険者・国民の声、伊丹市等保険者にとっては一自治体では対応できないという声があります。このことを解決するためには、1984年に国庫負担金を医療費の45%から38.5%に引き下げ、2009年度には24.7%まで下げた改悪措置を元に戻すなど、国の負担割合を増やす以外にありません。

 しかし、民主党政権はこのことに背を向けて、「広域化」の推進を打ち出しました。開会中の国会に提出される国民健康保険等「改正」案では、2015年度から保険財政共同安定化事業の対象医療費を拡大して、国保財政の都道府県単位化を行うとしています。すなわち、現在30万円を超える医療費に関する共同を、すべての医療費に関する共同に変更するというものです。また、財政安定化支援事業については縮小、もしくはなくす方向で検討、伊丹市の場合、2010年度決算で、一般会計から約1億円が繰り入れされています。また、定率国庫負担を34%から32%に引き下げ、都道府県の調整交付金を7%から9%に引き上げて財政運営の都道府県単位化を進めるといっていますが、その財源は年少扶養控除の廃止に伴う地方税の増税分を財源として活用するとしています。このことは明らかに国の負担削減の方向です。

 国は国保財政の運営を「広域化」することだけに奔走し、財政負担を削減しようとしていますが、このことは国保会計に何の改善策にもならず、むしろ国の責任放棄、都道府県丸投げに繋がるもので、被保険者・国民にとってもメリットはありません。市長はこの動きをどう認識されておられるのでしょうか。国の責任放棄に反対すべきと考えますが見解をお伺いします。

2)国保財政の安定化と一般会計からの繰り入れ

 伊丹市の国保財政は、2009年度には約12億円あった赤字が、2011年度決算見込みで約5億6600万円、2012年度予算案で3億6700万円まで減少する見込みとなります。このことは、一般会計から2011年、12年の2年間で8億5000万円の繰り入れを行うことによって成し遂げられるものです。改めて評価をしたいと思います。

 しかし、この間被保険者への負担は低所得者と中間所得者への増税は行わず、限度額のみの引き上げで切り抜けてきましたが、依然として高い国保税には変わりはありません。しかも、来年度、国保会計における一般医療分の赤字は4億円以上の見込みで、後期高齢者支援金と介護2号保険分は単年度赤字が出る見込みとなっています。このまま推移すると、また赤字が膨らみ、国保税の増税へとつながらざるを得ません。

 国の動向は、国保の「広域化」へと進んでいますが、2015年度の国保財政都道府県単位化においても、国保税設定の権限は自治体に残され、一般会計からの法定外繰り入れによる保険税軽減策などは引き続き可能となっています。国に対する国庫負担増額を求めながら、一般会計からの法定外繰り入れルールの改善・増額を行うべきと考えます。その方法は、以前にも述べましたが、現年分の滞納額2分の1の繰り入れを全額繰り入れとする、財政安定化支援繰り入れを一般減免分繰り入れと切り離し別立てとして増額する、さらに一般減免の制度を充実させることも合わせて行うことも求められています。ご見解を伺うものです。

6.子育て支援について

1)「子ども・子育て新システム」の動向について

 民主党政権は、国と自治体が責任を持つ公的保育制度を解体し、保育を保護者と事業者の「契約」で購入するサービスにして、保育の「営利化」「市場化」を進める「子ども・子育て新システム」の関連法案を、今国会に提出する方針です。「社会保障と税の一体改革」のトップに据えられ、待機児童の解消と子育て支援の充実を行うことで、消費税増税の口実に使おうとしています。しかし「新システム」では、待機児童の解消の保障はありません。児童福祉法第24条の自治体の保育実施義務をなくし、保育の提供を事業者にゆだねてしまうためです。また、新設される施設である「総合こども園」(仮称)には、0歳から2歳児の受け入れは義務化されません。しかも、幼稚園と保育所の一体化の展望は示されませんでした。政府が待機児童解消に期待しているのは、これまで認可外施設も一定の基準を満たせば指定が受けられるようにすること、「地域型保育給付」に位置づける予定の定員5人以下の「保育まま」や、空き教室などを利用した「小規模保育サービス」、ベビーシッター型のサービスです。

 これらのことは、従来の保育制度が、認可保育所による保育を基本としてきたことに対して、その原則を覆し、認可保育所外の様々な施設や「多様なサービス」でよいとするものです。保育の密室化、低い保育条件の固定化につながり、子どもへの影響や事故等の増加も懸念されます。また、「新システム」の保育供給にかかわる基準は、こども園と地域型保育、さらには総合こども園のトリプルスタンダードになるのではないかと思います。どの子どもも、一定の基準に基づく施設、集団的で系統的な保育が保証されることが大切ではないでしょうか。一時期、緊急的な対策として、このような方法が活用されることがあっても、格差を固定化させる方向ではなく、国と自治体の責任で、希望する認可外保育所の認可化や保育条件の改善、底上げなどの支援策を進めることこそ必要と考えるものです。

 市長はこのような「新システム」の動向をどのように認識されているのでしょうか、

2)待機児童の解消について

 現在、伊丹における保育所待機児童は、2月1日現在で214人とお聞きしています。この数は、昨年同期とほぼ同じとなっています。この状況から、「育児休業からの復帰期限が迫っているのに入所できない」「働かなければ生活できないのに子供を預けられない」などの声があり、待機児童の問題は、子育て世代のくらしと子どもたちの育ちを脅かしています。年度明けには待機児童は解消するといわれますが、定員を超えた「詰め込み」保育が実態です。

 今まで、民間の認可保育所の誘致等によって一定の定員を増やされてきたことは評価をしていますが、民間任せでは限界があるのではないでしょうか。かといって公立保育所を作れといっても財政上の問題があります。2004年、小泉構造改革で公立保育所への補助金を廃止して一般財源化し、同時に地方交付税を大きく削減したからです。

 したがって、待機児童解消のためには、第1に、国の責任で保育所をつくるという政策を打ち出すこと、そのためには、廃止した公立保育所への国庫補助を復活し、用地取得費の助成制度をつくること、その要求を国に求めるべきですが、見解を伺います。

 第2には、国の第4次補正で「安心こども基金」が1234億円積み増しされたことを利用することです。保育所整備事業については、来年度中に着手し、2013年度に完了が見込まれる場合に助成対象とすることになっていることから、急ぐ必要があります。第3に、未認可保育所で認可を希望されるところへの助成をすることです。以上のことを踏まえて、待機児童解消のための方向についてお伺いします。

7、地域内経済循環に視点を置いた産業活性化の方策について

 伊丹市第5次総合計画では、「にぎわいと活力あふれるまち」の施策目標②「活力ある地域産業の振興と創出」で、「地域内経済循環に視点を置いた産業活性化の方策を検討します」と述べています。この視点から質問をします。

1)公共事業の減少と建設業者への支援策について

 来年度予算の説明の中で、歳出予算のポイントとして「公共事業を縮減する中で市民の安全・安心、子育て支援の予算を積極的に確保する」とされました。もちろん、不要不急の公共事業は必要ありません。しかも伊丹市の行政課題として公共施設に関しては、今後公共施設のマネジメントに基づく修繕等は出てきますが、施設を建設する対象そのものも減少しています。その中で建設業者にとっては、民間需要も減少する中で苦境に立たされているのが現状ではないかと思います。

 一方、伊丹市の産業政策では、商業の活性化や企業立地制度、農業振興策はありますが、建設業者に対する施策は取り立ててありません。このことから、党議員団として何度も住宅リフォーム助成制度創設を提案してきました。しかし当局は、個人財産への助成はできないこと、経済効果はないことを理由に創設しようとしません。いま全国で昨年4月現在330自治体において実施され、その自治体から経済効果は8倍から30倍という報告がなされています。

 そこで、伊丹市は、どの自治体の教訓から経済効果がないと判断されたのか、伊丹市の産業構造の独自性に理由があるのか、改めてお伺いします。また、個人財産への助成は従来から、政府も住宅建設への税制や融資での優遇措置を行い、自動車や電化製品にはエコの名目で補助を実施してきました。ではなぜ景気対策のための助成ができないのか、その理由をお伺いします。

 さらに、産業の振興と創出に関する建設業者への施策についてどのようにお考えなのかお伺いします。

2)TPP(環太平洋連携協定)参加で伊丹の経済はどうなるのか

 民主党野田内閣は、昨年11月の「アジア・太平洋経済協力会議」首脳会議で、TPP交渉に参加するため関係国と協議に入ると表明しました。TPPは、関税を原則完全撤廃し、農産物の輸入を完全に自由化するもので、農林漁業と国民の食料に大打撃となります。さらに、「非関税障壁」撤廃の名の下に、食の安全、医療、金融、保険、官公需、公共事業の発注、労働など、国民生活のあらゆる分野での「規制緩和」をねらうものです。

 農林水産省は、TPP参加による日本経済への影響について試算をしています。そのれによると、農産物の生産減少額は4兆1千億円、食料自給率は40%から14%に、農業の多面的機能の喪失額は3兆7千億円、農業および関連産業への影響は、GDP減少額7兆9千億円、就業機会の減少数は340万人となっています。

 当然伊丹市の農業にも大きな影響があるとともに、関連産業、雇用、食料の安全性にも大きな影響を与えることになると考えます。市長はTPP参加の伊丹市に与える影響をどのように考えているのか、見解をお伺いします。

8.教育について

1)人権教育・啓発推進について

 伊丹市は2010年10月に「伊丹市人権教育・啓発に関する基本方針」を定め、これを推進しています。私は、この年の3月議会で、「基本方針」は必要ないとしながら、つくるとすればとして、次のことを問題としました。

 一つは、「市民は社会福祉基礎構造改革による福祉切り捨て、大企業の横暴とそれを野放しにしてきた政治によって不況、倒産、リストラなど深刻な貧困を押しつけられており、まさに耐えがたい人権侵害を受けているという事実であります。これらの問題解決に「教育・啓発」はどんな役割を果たすのでしょうか」と問題提起しました。

 答弁では、「雇用契約を打ち切られて仕事と住まいを失う労働者が相次ぐなど、格差社会や貧困の実相が浮き彫りになっている。このような状況の中でこそ、市民一人一人の人権意識の向上と、そのために行われる人権教育・啓発の重要性につきましては、どんなに強調しても強調し過ぎることはないものと考えております」とされました。

 では「基本方針」策定以降、格差社会や貧困問題に関して、国家・企業がもたらす人権侵害に対して、どのような人権啓発を行ってこられたのでしょうか。また、答弁では、賃金の未払い、解雇などは専門の相談員が相談に乗っている、とされましたが、相談は人権啓発ではありません。憲法と労働諸法に基づく正しい知識が必要ではないでしょうか。

 二つには、同和行政・教育は必要のない時代になったということを明記すべきであると求めました。答弁では「現在でも偏見や差別意識が解消されているとはいえない中で」必要とのことです。かつての部落差別問題に関して、正しい知識を得るための学習は必要なことでもあります。問題は、伊丹市の同和教育・啓発の出発点が「いまだに差別意識が根深い」という認識にあることです。具体的な差別・人権侵害には正しく対応しなければなりませんが、就職差別や結婚差別はほとんど発生していません。それなのに「差別意識は根深い」ことを強調することは、市民が正しい認識を持つことができなくなるとともに、旧関係住民の気持ちも逆なですることになります。このことは、人権教育指導員に、同和問題に関して、部落解放同盟のメンバーが4人入っていることにも起因します。啓発をするなら、同和問題は解決できること、いまその時代が来ているという展望を市民が認識できるようにすべきです。

 以上2点に対する見解を伺います。

2)学校図書館について

 教育長の提案説明で、学校園において、「ことばと読書を大切にする教育」を推進し、コミュニケーション能力の向上と「ことば」を通して深い思考をめぐらす心豊かな子どもを育むとされました。そのために学校図書館の果たす役割は大きいと思います。

 一つは、図書標準100%を達成することについてです。伊丹市教育委員会の計画では、平成28年度、2016年度にすべての学校で達成するとなっています。国でも、地方交付税措置として昨年度に引き続き200億円が計上され、2016年度をめどに図書標準100%を達成するとされています。「ことば文化都市」を標榜する伊丹市として、達成年度を早め、すべての子どもに平等に豊かな読書活動ができるようにすべきではないでしょうか。

 二つに、国では、同じく地方交付税措置として、新たに学校図書館担当職員の配置に対して150億円が措置されます。伊丹市は、他市に先駆けて全校の学校図書館に読書指導員をすでに配置されています。しかし以前にも指摘しましたが、例えば小学校の場合、5時間の勤務時間が設定されていますが、実際には賃金が発生しない超過勤務時間が相当あるということから、実態を考慮した時間延長が必要ではないかということ、もう一つは、2010年に時間給を10%カットされたということに対して、その役割の重要性からせめて嘱託職員としての身分保障としかるべき報酬の保障をすべきであるということを求めました。この機に実現すべきではないでしょうか。

 地方交付税は補助金とは違うことは承知のうえで、国の政策として打ち出されていることから、二つのことの実現を求めるものですが、見解を伺います。

2012年1月臨時市議会 定時制高校統合負担金が可決、党議員団は反対

日本共産党伊丹市議団ニュース 第255号 2012年2月15日

 1月30日から2月2日の4日間、伊丹市臨時市議会が開催されました。議案は、「平成23年度伊丹市一般会計補正予算(6号)」で、「定時制高等学校統合負担金」3億6千万円を、平成24年から平成27年の4年間で、兵庫県に分割支払いするための「債務負担行為」を設定する補正予算です。

 市長は、「負担金」は「県立阪神昆陽高等学校に、伊丹市立高校(定時制)の学級数分を加えた規模を確保することにかかる負担金」であるとし、「これにより、本市の定時制教育が実質的に継承される」と提案説明しました。昨年12月議会で、3億6千万円を一括で支払う補正予算が、議会で法に抵触する恐れありと、修正により削除されたことから、分割払いとして再提案したものです。分割にすることで、建設費の負担ではないとしたいためです。また、昨年は、県の負担が増えることへの維持管理費という説明でしたが、今回は「学級数分を確保することにかかる負担金」と言いなおし、維持管理負担金ではないと説明。地方財政法と学校教育法で、建設費にも維持管理費にも使えないとされているからです。

 しかし、それでは何のための「負担金」なのかという疑問が出てきます。答弁で「県は何に使うか分からない」とされたとおり、伊丹の定時制教育の充実にも使えない、まったく意味のない「負担金」ということになります。

 党議員団は、以上の立場から、「負担金」の支出そのものが必要ないと、反対しました。結果、賛成22人、反対5人で可決しました(12月議会では7対20で修正案可決)。

(文責上原)

伊丹市議会 2012年1月臨時議会 定時制高校統合負担金可決決、党は反対

2002年2月7日
日本共産党伊丹市会議員団

 1月30日から2月2日の4日間、伊丹市臨時市議会が開催されました。その議案は、「平成23年度伊丹市一般会計補正予算(6号)」で、「定時制高等学校統合負担金」3億6千万円を、平成24年から平成27年の4年間で、兵庫県に分割支払いするための「債務負担行為」を設定する補正予算です。(「債務負担行為」とは pdfファイル)

 市長は提案説明で、「負担金」は、「県立阪神昆陽高等学校に、伊丹市立高校(定時制)の学級数分を加えた規模を確保することにかかる負担金」であるとし、「これにより、本市の定時制教育が実質的に継承され」るとしました。昨年12月議会で、3億6千万円を一括で支払う補正予算が、議会で修正により削除されたことから、再度県と調整し、分割払いを提案したものです。市長は「さらに的確な執行方法となるよう図るもの」と説明。すなわち、このことで、建設費の負担がなくなったということにするということです。また、昨年は、県の負担が増えることへの維持管理費という説明でしたが、今回はその言葉もなくなり、「学級数分を確保することにかかる負担金」と言いなおしています。このことで維持管理負担金ではないということのようです。(「地方財政法」「学校教育法」とは pdfファイル)

 党議員団は、本会議で上原議員が質疑、かしば議員が総務政策常任委員会で質疑・反対討論、本会議でも、かしば議員が反対討論をしました。

上原ひでき議員の議案質疑
かしば優美議員の本会議討論