2015年3月議会:ひさ村真知子 2015年度一般会計予算に対する反対討論

2015年度一般会計 討論

2015年3月26日 日本共産党議員団 ひさ村真知子議員

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、議案第12号「平成27年度伊丹市一般会計予算」に反対の立場から討論を行ないます。

 はじめに、2015年度予算編成の背景となっている経済状況の特徴点についてみますと、

 その第一は、昨年4月の消費税率引き上げによって、深刻な景気の悪化が生じていることです。消費税増税の影響は、政府が見込んだ「反動減」だけにとどまるものではありません。消費税率が3%上がると一部の消費税非課税品目があることを考慮しても、消費者物価が全体として2%程度上昇することになります。それに、円安による輸入原材料価格の値上がりなどの影響も加わって、昨年4月以降の消費者物価指数は、対前年同月比で3.1%程度の上昇となり、これは個々の家計にとって購買力が3.1%低下したことを意味するものです。

 第二は、安倍内閣の経済政策、いわゆる「アベノミクス」が、大企業や一部の富裕層には大きな恩恵をもたらしたものの、国民には恩恵どころか、苦しみを強いるものであり、格差をますます広げるだけになっていることです。「アベノミクス」の「第一の矢」とされた金融政策によって、円安と株高が進行しました。これによって、大企業や富裕層には大きな利益がもたらされました。一方、労働者の賃金の増加はわずかで物価上昇に追いつきません。物価を差し引いた実質賃金は、一昨年7月以降19か月連続して前年同月比マイナスとなっています。

 経済状況の悪化で市民のくらしが脅かされている今、市政に求められているのは何よりも市民の暮らしを守ることを第一にすることであります。以下意見を述べます。

 伊丹市の2015年度予算における歳入歳出規模は、前年対比で32億円、率にして4.8%増の692億円となっています。うち歳入・一般財源では市税5億円、地方交付税7.3億円の減があるものの、地方消費税交付金が平年度化されたことによりプラスの9.3億円となっています。

 一方市税のうち個人市民税は、昨年度対比+4400万円率でいえば0.4%増にすぎません。その具体的中身では、給与所得で同+0.98%、事業所得で±0、年金所得で-1.33%と一部に「景気回復基調」といわれているものの、依然として市民全体では厳しい状況が続いています。

 こうした時、市長は市民のくらしを守り、福祉や教育の充実を目指すべきですが、一般会計予算には重大な問題を含んでいます。

 第一は、マイナンバ-制度の本格的導入についてであります。昨年前後からマイナンバ-に関連して、個々のシステム改修が行なわれてきています。そして予算には今年10月からの開始に向け、個人番号の付番など本格導入が予定されています。マイナンバ-制度とは、①全国民に重複しない番号(マイナンバ-)を付け、②複数の機関が管理している同一人の個人情報を紐(ひも)付けし相互に活用し、③そのマイナンバ-がその本人のものであることを照明するための仕組みであります。マイナンバ-が利用される範囲としては税や社会保障分野で、将来的には民間での活用拡大がめざされています。

 マイナンバ-制度の問題点の第一は、住基ネットよりはるかにプライバシ-侵害の危険性があること。第二に、必要性をほとんど検討せずに、多額の税金を使ってインフラ整備するという「ハコモノ行政」にほかならないことであります。同時に多くの国民・市民もよくわからないままの拙速なやり方をすべきではありません。

 第二は、生活保護についてであります。

 生活保護受給者は、今年1月現在昨年と比べてさらに増加しています。平均被保護世帯数は昨年対比で115増の2205世帯、人員は85人増の3101人で、人口に占める割合は1.57%、およそ60人に1人となっています。その他世帯の伸び率が鈍化する中、高齢世帯が今後大きく増えることが予想されます。

 生活保護制度は最後のセフティ-ネットと言われていますが、この間国により相次ぐ予算の削減が行なわれています。2013年度から3年間かけて生活扶助費を段階的に削減し、15年度はその最終年となっています。さらにそれに加えて、15年度新たに住宅扶助と、生活扶助の冬季加算の削減が実施されようとしています。予算委員会の中で、3年間の生活扶助費段階的削減の影響が、若年3人世帯では一か月12,000円の減額にもなることが明らかとなりましたが、扶助費の削減は大きな問題であります。

 第三は、人権同和教育に対する問題です。

 同和問題に関しては長年にわたる行政と市民の努力によって部落問題の解決に向けて大きく前進してきたこと、同和問題の解決した状態とはどのようなことなのかを市民に明らかにして、解決の展望を示し同和教育は終了すべきです。伊丹市人権・同和教育研究協議会への補助金の廃止、同和・人権推進課の名称から「同和」を削除し人権推進課と改めることを求めます。

 第四は、定時制の統廃合に関することです。

 2月28日に伊丹市定時制高校の最後の卒業式と閉校式が開催されました。もともと定時制の移転に関しては多くの反対の声や不安があり、党議員団はせめて今までの学びやで卒業できるようにと移転に反対してきました。くしくも式典の式辞の中で学校長が「移転に反対した」と述べるとともに、生徒のあいさつの中で「文化祭も演劇鑑賞だけになってしまった」との言葉にあったように、定時制の統廃合と移転によって学校生活がなおざりにされたといっても過言ではありません。4回に分けて支払う県への最後の「統合負担金」が予算計上されていますが、改めて必要のない負担金支出であると指摘しておきます。

 次に日本共産党議員団が以前から要望し、今回実現の運びとなった数点の施策について評価するものです。

 第一は、中学校給食施設整備事業です。汚染土壌対策が必要となり完成時期が少しずることになりますが、確実な推進を求めるものです。同時に給食調理部門は民間委託ではなく市直営での実施を重ねて要望するものです。

 第二は、保育所の耐震化事業について、荻野保育所に続いて新年度民間のあそか苑かおり保育所と伊丹ベビ-保育園の耐震化が実施されることです。

 第三に、消防局における救急体制を強化する点です。現在四台で運用している救急車を増台し、2016年度からの常時5台の運用によって救急体制を強めるもので、今後予想される救急需要に的確に対応していただくことを求めておきます。

 第四に、(仮称)児童発達支援センタ-整備事業であります。来年4月開設に向け着実にすすめていただくよう要望しておきます。

 次の4点にわたり要望しておきます。

 第一に、一般職の職員の給与に関して、行政職や消防職給料表等を一律4%引き下げるとしていますが、これは人事院勧告の「給与制度の総合見直し」に追随するもので、職員の生活、士気に大きな影響を与えるものであり問題です。今後3年間は減給保障する、地域手当の支給割合を引き上げるとしていますが、給料表の見直しを強く求めておきます。

 第二に、ルネサスの移転問題では、今年2月中にはほとんどの従業員が関東に移転されるとともに、社員や関連会社社員合わせて500人近くが職を失う事態となっています。今後改めて、労働局、県と連携して情報の掌握と再雇用対策に万全を期すこと、市長を先頭に三菱電機に対し雇用を要請すること、10人近くの障害をもつ人の現状をつかみ万全な対応を求めるものです。

 第三に、こどもの医療費助成の拡充については、今年兵庫県下では中学校を卒業するまで入院も通院も無料にする自治体は41のうち30自治体、75%まで広がります。子どもの医療費無料化の拡大は、子どもの命と健康を守るとともに、OECD報告書で、合計特殊出生率を引き上げるためには子どもの直接費用の減少が影響するとの指摘もあり、この面でも重要と考えるものです。国に対して制度創設を求めるとともに、伊丹市においても中学校卒業までの無料化に向け医療費助成の拡大を実施されるよう求めておきます。

 第四に、公立幼稚園のあり方について、来年度新しい子育て支援制度が施行されますが、幼稚園保育料は3年の経過措置をへて公立も私立も同じになります。このまま公立幼稚園を統廃合すると、徒歩による通園が困難となり、保護者は3年保育や預かり保育、送迎バスを運行する私立幼稚園を選択するのは必然であり、公立幼稚園に大きな影響となります。

 1校区1園制は子育て面で伊丹市を選ぶ大きなポイントとなります。統廃合はやめ、3年保育と預かり保育の実施を改めて求めておきます。

 第五に、保育所待機児童解消についてであります。新しい子育て支援制度が施行さける中、市は2016、17年度にかけて計210名の保育定員を拡充し、待機児童ゼロを目指すとしていますが、この4月には150名ほどの待機児童がうまれるとしています。整備中の民間保育所を早急に完成させるとともに、新年度計画の小規模保育事業はA型での実施を求めておきます。

 その他本会議や委員会で要望しました内容については、ぜひ検討・実現していただくことを求めまして討論とします。議員各位のご賛同をよろしくお願いします。