2012年3月議会:かしば優美 後期高齢者医療事業について

2012年3月11日
日本共産党伊丹市会議員団 かしば優美

  1. 特定疾患医療費助成事業に関する検討会設置/子育て支援医療費助成について
  2. 公園緑化協会の解散に向けた課題について
  3. 後期高齢者医療事業について(このページ)

4. 後期高齢者医療について

 兵庫県後期高齢者医療広域連合は2012年度と2013年度の保険料率(案)について、被保険者一人当たりの保険料額は、現行70,717円から4,310円引き上げ75,027円になるとしています。伸び率では6.09%となります。年金が減らされる中、医療保険など社会保険料負担の増大が高齢者に大きな不安を与えていますが、後期高齢者医療について3点うかがいます。

 第1に、伊丹における保険料普通徴収の実態について、また短期保険証の交付数についてうかがいます。

 第2に、兵庫県広域連合は、保険料の大幅な上昇を抑える趣旨から、2011年度末の剰余金を活用し、また財政安定化基金を取り崩して、一人当たりの保険料額を6.09%の伸び率に抑えたとしています。しかし財政安定化基金については、約89億円のうち約68億円を取り崩しただけであり、なぜ全額取り崩して保険料の上昇をさらに抑えることをしないのか。2月28日には来年度から2ヵ年の保険料額等を審議する広域連合議会が開催されましたが、どのような議論がなされたのかお聞きしておきます。

 第3に、後期高齢者医療制度は、後期高齢者の医療給付費が増えれば後期高齢者の保険料の値上がりに直結する仕組みが露骨であります。今回の兵庫広域連合の場合も、2012年、13年度毎年医療費が7%前後の伸びが見込まれ、保険料はなんら上昇抑制措置を講じなければ14.42%ものびる試算となっています。今回の保険料率見直しにより、均等割、所得割の軽減措置をとらざるを得ない低所得者の高齢者にも容赦なく保険料負担が増加しています。市独自の減免措置等を講ずる必要があると考えますが見解を求めておきます。

かしば優美議員:総務政策常任委員会協議会報告

日本共産党伊丹市議団ニュース 第255号 2012年2月15日

 1月12日に市議会総務政策常任委員協議会が開催され、伊丹市から、制定が予定されている「(仮称)伊丹市暴力団排除条例」と「土地信託事業の今後のあり方」について報告がなされました。

1、(仮称)伊丹市暴力団排除条例

(1) 背景について

 暴力団が、暴力やこれを背景にした資金獲得活動によって、市民の生活や社会経済活動に深く介入し、多大な影響を与えていることから、全国の自治体において暴力団排除条例の制定や施行が進められています。

 兵庫県、神戸市においては、2011年4月1日に暴力団排除条例を施行、近隣の宝塚市、川西市、三田市、猪名川町も条例制定を準備しています。

(2) 暴力団等の実態について

 伊丹市が掌握している内容によると、市内では暴力団は1組織(荒牧南地区)あり、暴力団員は28名居住しています。また昨年も暴力団がらみの事件が起こっています。

(3) 条例に関する窓口は市役所・総務部

 (仮称)伊丹市暴力団排除条例は全体で11条からなり、目的、基本理念、市の責務、市民及び事業者の責務、市の契約事務からの暴力団の排除、青少年を守るための取り組み等をうたっています。特に市の契約事務からの暴力団の排除を大きな狙いとしていることから、契約・検査課を所管する総務部が担当するとしています。

2、土地信託事業の今後のあり方

(1) 土地信託の制度とは

 土地信託とは、伊丹市の土地について有効利用を促進する目的で、民間活力の活用と都市整備や社会資本の充実をはかるものとして、1986年(昭和61年)に地方自治法が改正され信託できるようになったものです。

(2) 伊丹市は「ネオ伊丹ビル」として信託活用

 市の土地信託は、1989年(平成元年)3月に三菱UFJ信託銀行(株)と30年の信託契約を締結。市の所有地(中央3丁目=シティホテルの向かい側、敷地1,834㎡)に、三菱UFJ信託銀行が企画立案・建設資金の調達を行い、「ネオ伊丹ビル」を建設し、その賃貸等の管理運営を行い、その成果を1990年から信託配当として伊丹市に交付してきました。

(3) リーマンショック以降経営状況が悪化

 「ネオ伊丹ビル」は7階建てのオフィスビルであり、テナントを誘致しその賃貸収入により経営を行っています。ところがリーマンショックの前後から主要会社が撤退。2009年(平成21年)8月以降未入居部分への募集が思うように進まず、現在ではビルの2階、4階の半分、5~7階が未入居となっています。その結果、2006年度(平成18年度)以降伊丹市への信託配当はゼロとなり、2011年度末で単年度約1,400万円の赤字となるとしています。さらに今年2月には内部留保金が底をつく状況であり、借入金残高9億3千万円の返済のメドがたたない事態となっています。

(4) 市は「信託契約を変更し、信託財産を売却して精算」を検討

 伊丹市は今後の土地信託(ネオ伊丹ビル)について、「現在の信託を続けた場合、信託契約終了時(2018年)に多額の負債を抱えることになる。将来への負の遺産を残さないためにも、財産価値のある現時点において、信託財産を売却して精算する手法を検討している。」と報告しました。

(5) 市有地の土地信託活用そのものに反対した日本共産党市議団

 1989年(平成元年)3月24日の市議会本会議で、日本共産党市議団は、「市有地の信託について」の議案に対して、「国・地方公共団体が信託を行うことを容認する法律改定は、政府・自民党の民間活力導入政策の一環として行われたものであり、公共財産は住民全体の公共的利益のために使われるべきものであり、民活の名目により民間企業の営利の具に供してはならないことは、原則的な問題である。また本案が、結局土地運用の収益を市と民間企業が折半するものとなっており、さらに提起されている地域活性化への波及効果に疑問があり、また将来の担保も不明確なものであることについても問題ありと指摘せざるをえない。」と指摘し、同意できないとしました。

 今回伊丹市が検討している中身は、市税を投入しない「代償」として、市民の財産である市有地を土地を含めて売却しようとするものであり、バブル経済にのめり込んでいった付けを市民に負わせる結果となるものです。

(文責・加柴)

2012年1月議会:かしば優美 伊丹市立高校(定時制)統合負担金に反対討論

2012年2月 日
日本共産党伊丹市会議員団 かしば優美

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は、日本共産党議員団を代表し、議題となりました議案第1号「平成23年度伊丹市一般会計補正予算(第6号)」に対して、反対の立場から意見を述べます。

 本補正予算案は、伊丹市立高等学校(定時制)の県立阪神昆陽高等学校への統合にともない、「定時制高等学校統合負担金」としての3億6千万円を、債務負担行為を設定し、2012年度から4年間分割で支払おうとするものです。本議案は、昨年の12月議会で同負担金3億6千万円を一括で支払おうとする補正予算が、議会で修正により削除されたことから、再度提案されたものです。

 反対理由の第1は、定時制高校の統合のために「負担金」を払う必要性はないということです。提案説明では、県立新設校の本来の学級数に、市立高校の学級数分を加えた規模を確保することに係る負担金であり、このことによって本市の定時制教育が実質的に継承されるとされました。

 しかし、もともと県教育委員会は、第1次実施計画の中で多部制単位制高校を2校新設しましたが、そのことによる募集停止は県立・市立あわせて7校であったこと、第2次実施計画でも、阪神間に新設する際、「近隣の定時制高校の募集停止を検討する」、その規模は6学級程度とされているとおり、もともと伊丹市立高校も含めた3校程度の統廃合を予定していたものであり、本来の学級数が3学級であったという根拠はまったくありません。仮にそうであったとしても、負担金を払って統合するという法的根拠もありません。

 さらに、負担金を払うことで、「本市の定時制教育が実質的に継承される」とされていますが、その保障はありません。すなわち、地方財政法第27条の3「県立高等学校の建設費を住民に負担を転嫁してはならない」こと、地方財政法第28条の2「法令の規定に基づく経費の負担区分を乱すようなことをしてはならない」こと、学校教育法第5条「学校の設置者は、その学校の経費を負担する」という法律の関係をクリアーするために、負担金の使途は維持管理費でもなく建設費でもないとしたため、兵庫県としては一般財源としての収入となり、本市の定時制高校の継承・発展に使われるわけではないからです。

 従って、負担金を払う意味も目的もありません。

 なお、伊丹市立高校が廃校となり、新たに多部制単位制高校が新設されますが、小・中学校時代に不登校経験のある生徒や中途退学者など、さまざまな入学動機や学習暦のある生徒の学びの場を保障することは、負担金を払う・払わないという問題ではなく、新設校において全国・全県・伊丹市立高校の教訓を汲み取り、充実させていくことは学ぶ権利を保障するという点で当然のことです。

 第2に、地方財政法第3条の「予算における経費算定の合理的基準」という点では、3億6千万円という金額に合理的な根拠はありません。

 まず、福利厚生施設等のCSR施設を県から市町に移管する計算方式に準じたとされていますが、高等学校施設とCSR施設とは基準財政需要額の算定が異なっており、県が市町に移管するに当たっての補助金の計算に準じることには無理があります。 さらに、3億6千万円の基礎となる一学級150万円という金額の根拠も不明確のままです。

 この点では、負担金の金額を算定する際に、基準財政需要額と実際の支出金額の差を求めており、本会議答弁で、「統合による負担に対し、協議を経て協定書に基づき支払うもの」とされたとおり、結局は維持管理費のための負担金とならざるをえず、地方財政法第28条の2に抵触する可能性を残したことになります。

 結局、この負担金は、市立高校(定時制)を県に引き取ってもらったお礼の3億6千万円。持参金付き統合。何に使われるかわからない不明金。従って伊丹の定時制教育が引き継がれるという担保はないお金。地方財政法第3条の「合理的基準」もない負担金ということになります。

 以上、意見を申し上げ、議案第1号に反対といたします。

 なお、委員会質疑の中で、負担金を払わない場合、兵庫県から教育上の制裁措置があるかのような認識が述べられました。法的義務のある負担金ではなく、市長と知事の約束からはじまった負担金の支払いができないからといって制裁を加えるなどもってのほかです。改めて兵庫県の認識に異議を申し述べておきます。