かしば優美議員:総務政策常任委員会協議会報告

日本共産党伊丹市議団ニュース 第255号 2012年2月15日

 1月12日に市議会総務政策常任委員協議会が開催され、伊丹市から、制定が予定されている「(仮称)伊丹市暴力団排除条例」と「土地信託事業の今後のあり方」について報告がなされました。

1、(仮称)伊丹市暴力団排除条例

(1) 背景について

 暴力団が、暴力やこれを背景にした資金獲得活動によって、市民の生活や社会経済活動に深く介入し、多大な影響を与えていることから、全国の自治体において暴力団排除条例の制定や施行が進められています。

 兵庫県、神戸市においては、2011年4月1日に暴力団排除条例を施行、近隣の宝塚市、川西市、三田市、猪名川町も条例制定を準備しています。

(2) 暴力団等の実態について

 伊丹市が掌握している内容によると、市内では暴力団は1組織(荒牧南地区)あり、暴力団員は28名居住しています。また昨年も暴力団がらみの事件が起こっています。

(3) 条例に関する窓口は市役所・総務部

 (仮称)伊丹市暴力団排除条例は全体で11条からなり、目的、基本理念、市の責務、市民及び事業者の責務、市の契約事務からの暴力団の排除、青少年を守るための取り組み等をうたっています。特に市の契約事務からの暴力団の排除を大きな狙いとしていることから、契約・検査課を所管する総務部が担当するとしています。

2、土地信託事業の今後のあり方

(1) 土地信託の制度とは

 土地信託とは、伊丹市の土地について有効利用を促進する目的で、民間活力の活用と都市整備や社会資本の充実をはかるものとして、1986年(昭和61年)に地方自治法が改正され信託できるようになったものです。

(2) 伊丹市は「ネオ伊丹ビル」として信託活用

 市の土地信託は、1989年(平成元年)3月に三菱UFJ信託銀行(株)と30年の信託契約を締結。市の所有地(中央3丁目=シティホテルの向かい側、敷地1,834㎡)に、三菱UFJ信託銀行が企画立案・建設資金の調達を行い、「ネオ伊丹ビル」を建設し、その賃貸等の管理運営を行い、その成果を1990年から信託配当として伊丹市に交付してきました。

(3) リーマンショック以降経営状況が悪化

 「ネオ伊丹ビル」は7階建てのオフィスビルであり、テナントを誘致しその賃貸収入により経営を行っています。ところがリーマンショックの前後から主要会社が撤退。2009年(平成21年)8月以降未入居部分への募集が思うように進まず、現在ではビルの2階、4階の半分、5~7階が未入居となっています。その結果、2006年度(平成18年度)以降伊丹市への信託配当はゼロとなり、2011年度末で単年度約1,400万円の赤字となるとしています。さらに今年2月には内部留保金が底をつく状況であり、借入金残高9億3千万円の返済のメドがたたない事態となっています。

(4) 市は「信託契約を変更し、信託財産を売却して精算」を検討

 伊丹市は今後の土地信託(ネオ伊丹ビル)について、「現在の信託を続けた場合、信託契約終了時(2018年)に多額の負債を抱えることになる。将来への負の遺産を残さないためにも、財産価値のある現時点において、信託財産を売却して精算する手法を検討している。」と報告しました。

(5) 市有地の土地信託活用そのものに反対した日本共産党市議団

 1989年(平成元年)3月24日の市議会本会議で、日本共産党市議団は、「市有地の信託について」の議案に対して、「国・地方公共団体が信託を行うことを容認する法律改定は、政府・自民党の民間活力導入政策の一環として行われたものであり、公共財産は住民全体の公共的利益のために使われるべきものであり、民活の名目により民間企業の営利の具に供してはならないことは、原則的な問題である。また本案が、結局土地運用の収益を市と民間企業が折半するものとなっており、さらに提起されている地域活性化への波及効果に疑問があり、また将来の担保も不明確なものであることについても問題ありと指摘せざるをえない。」と指摘し、同意できないとしました。

 今回伊丹市が検討している中身は、市税を投入しない「代償」として、市民の財産である市有地を土地を含めて売却しようとするものであり、バブル経済にのめり込んでいった付けを市民に負わせる結果となるものです。

(文責・加柴)