2017年6月議会 加柴優美:請願第4号(核兵器禁止条約)、同5号(共謀罪反対)に対する賛成討論

請願第4号(核兵器禁止条約)、同5号(共謀罪反対)に対する賛成討論

2017年6月28日 本会議
日本共産党議員団 加柴優美

 議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して上程となりました請願第4号と第5号に賛成の立場から討論をおこないます。

 はじめに請願第4号「『核兵器禁止条約の早期実現に向けての意見書』提出のお願い」についてであります。

 広島、長崎の原爆投下から72年、人類は歴史の大きな転換点を迎えています。今年3月27日~31日、ニュ-ヨ-クの国連本部で「核兵器全面廃絶につながる、核兵器を禁止する法的拘束力のある協定について交渉する国連会議の第1会期が開かれました。

 人類史上、最も残虐で非人道的な兵器である核兵器の禁止に向けた話し合いは実は初めてであります。交渉会議には、115を超える国々と220人を超える市民社会の代表が参加し、核兵器禁止条約の内容など活発に議論が行われました。

 6月15日から7月7日まで開かれている第2会期には、条文案が審議され採択される予定です。結果は秋の国連総会に報告され、発効までの手順が決められます。この会議に核保有国やその同盟国、そして被爆国日本の政府も参加しませんでした。しかし、核保有国が入らないからといって条約に意味がないということはありません。「核兵器は違法」が国際ル-ルになれば、他の大量破壊兵器と同じように廃絶へのプロセスが始まることになるのです。また北朝鮮の核開発を中止させる最も効果的な手段となります。

 核兵器禁止条約の実現は、広島と長崎の被爆者のみなさんをはじめ、平和を願う多くの人々がねばり強く求めてきたことです。いま幅広い共同でとりくまれている「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名(ヒバクシャ署名)」が6月16日約300万筆国連会議議長に提出されました。

 交渉会議は国連加盟3分の2以上の国々の賛成で開かれたことに見られるように、もはや今の世界は核大国の思い通りになるものではありません。核兵器禁止条約の実現は、人類を核兵器による絶滅の危機から救うだけでなく、より良い暮らしや生活をすべての人にもたらす、平和で公正な世界への扉ともなるものです。

 よって、日本政府が「核兵器禁止条約」制定に賛成し、唯一の戦争被爆国として「核兵器廃絶」に向けた世界のリ-ダ-となることを求める請願に賛成するものです。

 次に請願第5号「組織的犯罪処罰法改正案反対意見書提出についての請願書」についてです。

 「内心」を処罰対象とする組織的犯罪処罰法改正案(以下共謀罪法と呼びます)は、夜を徹した与野党の攻防を経て15日朝の参議院本会議で自民・公明の与党と日本維新の会の賛成多数で可決・成立しました。国会前に駆け付けた多数の市民の抗議や国民世論を無視し、「数の力」で違憲立法を強行した安倍政権の暴挙は断じて許されません。同時に参院法務委員会採決を抜きにした「中間報告」という国会ル-ル無視の“禁じ手”を行使したことは、安倍政権が追い詰められた結果です。

 短い国会審議の中でも、請願者が指摘していたとおり共謀罪法のボロボロぶりが明確となりました。政府は「内心を処罰するものではない」と説明していました。政府は「実行準備行為があって初めて処罰する」と説明。では「実行準備行為かどうかどう判断するするのか」と聞くと、金田勝年法務大臣は「目的を調べる」といいました。結局目的=心の中(内心)を調べることになります。犯罪行為が行われていない、話し合いや計画段階で捜査し処罰する共謀罪は、内心の自由を侵(おか)す違憲立法そのものです。

 また政府は「テロ対策」ともいっていました。しかしもともとの法案には「テロ」の文言が一切ありませんでした。批判を受けてしぶしぶ書き込んだほどです。政府は「国際組織犯罪防止条約の批准に必要だ」といいますが、この条約の主眼はマフィアなどの経済犯罪です。日本政府自身が条約の起草段階で「テロを対象とすべきでない」と主張していました。

 また政府は「組織的犯罪集団に限定され、一般人は無関係」と説明していますが、捜査の実態からみてもとんでもない話です。岐阜県の大垣警察署は風力発電に反対する市民らを監視し、中部電力子会社の発電事業者に情報を提供していました。まぎれもなく住民運動つぶしです。判断するのは警察であり、一般の人がひとたび声をあげれば「組織的犯罪集団」に一変したとして、監視や威圧の対象になる具体例がこの事件であります。4月25日の国会参考人質疑でも法律の専門家3人全員が「一般人も共謀罪の対象になる」と断言しています。

  国会閉会後メディア各社の世論調査では軒並み内閣支持率が大幅下落との結果となっています。また読売新聞の調査でも共謀罪法の内容について、「国民に十分に説明したと思う」は12%、「そう思わない」が80%で圧倒的多数となっています。

 よって法律は可決・成立しましたが、伊丹市議会として主旨採択が適当であり、「組織的犯罪処罰法改正法」の廃止を求める意見書を国会・政府に提出することに賛成し討論とします。