2015年9月議会:上原ひでき 本会議 個人番号条例についての反対討論

2015年9月議会 本会議

2015年9月25日

日本共産党議員団 上原秀樹

「伊丹市個人番号の利用に関する条例の制定について」に対して、反対の立場から討論

 日本共産党議員団を代表して、上程となりました議案の内、議案第103号「伊丹市個人番号の利用に関する条例の制定について」に対して、反対の立場から討論を行います。

 本条例案は、行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、すなわちマイナンバー法、以下番号法と言いますが、その番号法施行に伴い、番号法第9条第2項の規定に基づき、伊丹市が条例を定めることによって、法で定められている事務以外に独自に個人番号を利用できるようにするとともに、番号法第9条第1項に規定されている事務で、伊丹市内部で特定個人情報の授受を行うため設置しようとするものです。

 番号法第9条第1項では、番号法別表第1の上欄に掲げている行政事務を処理するもの、すなわち地方公共団体等は、同表下欄にある事務の処理に関して、個人番号を利用することができると「できる」規定としています。このことは、番号の付番と個人番号カードの交付は法定受託事務ですが、それ以外は自治事務であり、自治体の責任で行われるものという規定になっていることを意味しています。このことに対して当局は、マイナンバー制度の趣旨や国の運用上の指針から、法に規定された事務については個人番号を利用して個人情報を管理する必要があるとされました。

 一方、マイナンバー制度に関しては、年金データの流出事件が発生したことで、改めて情報管理の脆弱性が明らかとなりました。伊丹市当局は、安全性確保について、システム面での対策でも特定個人情報保護評価対策においても十分安全性が確保されているとされました。

 しかし、すでに情報連携が予定されている個人情報は膨大であり、更なる利用拡大が進めば、不正利用や情報漏えいへの危険が高まることは避けられません。たとえば、カードの盗難・紛失による被害、発行時点でのなりすまし、ブラック企業による不正利用や倒産等に伴い適正な情報管理がなされなくなるなど、雇用先を通じた情報流出の危険も完全に否定することはできません。専門家が「セキュリティ対策は漏洩の危険性は軽減するけれど、絶対安全ではない」と指摘されているとおりです。一度漏れた情報は取り戻すことはできません。

 根本的な問題である情報漏えいや監視社会への国民の不安がなくならないなかでのマイナンバー制度のスタートには問題があるといわざるを得ません。伊丹市として、国に対して制度を根本から見直すため、スタートを遅らせることを求めるべきです。

 国においてそれができないのであれば、伊丹市の対応として、法に定められた事務すべてで個人番号の利用をすることや、条例制定によって独自に番号を利用することは避けるべきです。よって本条例の制定に反対とするものです。

 議員各位のご賛同よろしくお願いしまして、討論を終わります。