2015年6月議会:服部よしひろ (マイナンバー)伊丹市印鑑条例の一部を改正に反対討論

2015年6月議会 本会議

2015年6月30日
日本共産党伊丹市議会議員団 服部よしひろ

 ただいま、議長より発言の許可をいただきましたので、私は日本共産党議員団を代表して、議案第82号「伊丹市印鑑条例の一部を改正する条例」について反対の立場から討論を行います。

 そもそも、日本共産党伊丹市議団は、本年3月議会において、マイナンバー制度に対して反対を表明していますが、その後の国会論戦を通じましても、マイナンバー制度の持つ、国民の個人情報に対する脆弱性、情報の名寄せによるリスクの増大が重大な欠点として議論されているところです。

 日本年金機構による大量の年金情報の流出事件は、政府の情報管理体制が決して安全ではないことを浮き彫りにしました。問題なのは、厚生労働省が、傘下の日本年金機構の情報漏れという国民に対する重大な背信行為に対して、責任を自覚していないことです。

 私は長年民間企業で働いてきましたから、企業における情報、機密管理がどれほど厳しく徹底的になされているかを体験してきました。企業にとって信用失墜は企業の存立にかかわる重要問題であり、事故による情報流出が生じないように何重ものチェック体制が敷かれております。それに加え、第三者機関による定期的な査察が実施され、実際に規定どおりの運用がされているかが厳しくチェックされます。

 そもそも、「人間は間違いをする」という前提に立って、事故を防止する体制を構築しなければなりません。

 このように考えると、日本政府による「マイナンバー制度」導入は「時期尚早」などというレベルでなく、導入は不可能なレベルだと言わなければなりません。

 今回の「マイナンバーカードによる印鑑証明発行システム」導入は、この情報管理システムの危険性に加え、「コンビニ」というパブリックな店舗を使うことによる安全上のリスクを考えなければなりません。

 委員会審議では、現在市はイオンモールに住民票自動発行機を設置しており、特に問題にはなっていないとの答弁でした。しかし、今回の印鑑証明の自動発行は、全国のコンビニ約4万7千店舗で発行されることになり、利用者が危険にさらされる確率は非常に高くなると考えるべきです。

 印鑑証明は、個人の財産に係る多様な契約書類に必須であり、実印と組合せば多額の契約を実行できることから、自動発行機を利用する市民の身の安全と財産の安全にかかわる重大なリスクを抱えることになりかねないと危惧するものです。

 印鑑証明の取り扱いについては、関係するもろもろの契約に詳しい、弁護士、司法書士、行政書士のみなさんが、厳重な管理を求めております。

 安易な発行により、市民が不用意にリスクを抱える危険性を指摘したいと思います。

 本条例は、さきにあげた専門家や市民の意見を聴取する手続きが行われていないことも委員会審議で明らかになりました。

 このように、本条例案の制定によって発生が予想されるリスクと、メリットの評価が客観的に実施されていないことからも、本条例案に反対するものです。

 議員各位のご賛同をお願いいたします。