2015年6月議会:上原ひでき 国民的合意のないままに安保体制の見直しを行わないことを求める意見書提出を求める請願に賛成討論

2015年6月議会 本会議

「請願第2号 国に『国民的合意のないままに安全保障体制の見直しを行わないことを求める意見書』の提出を求める請願書」に対する賛成討論

2015年6月30日
日本共産党伊丹市会議員団 上原秀樹

 本請願書は、現在国会において議論されています安保法制の見直し、すなわち国際平和支援法案と平和安全法整備法案に関して、現在開会中の国会で拙速に決めるのではなく、十分議論することを求める立場から、国民的合意のないままに安全保障体制の見直しを行わないことを求めています。

 日本共産党はこの法案を「戦争法案」と称していますが、この法案の国会提出から1か月以上がたち、議論すればするほど答弁に矛盾が生じ、国民にまともな説明ができなくなっているのが特徴です。なぜこのような事態になっているのか。それは、戦争と武力行使を放棄した憲法9条の下で、米国のあらゆる戦争に参加を可能にするという法案がかかえる根本矛盾があらわになり、法案の憲法的根拠が土台から崩壊しているからです。

 衆議院の憲法審査会で、自民党推薦の憲法学者を含めた3人がそろって「憲法に違反する」と表明し、同法案の廃案を求める声明には、230名を超える憲法学者が賛同しています。この事態に政府が「合憲」の根拠として持ち出してきた1959年の最高裁砂川判決は、米軍駐留が憲法9条に違反するかどうかを問う判決であり、内閣法制局長官も、判決は「集団的自衛権について触れていない」と認めました。また、政府が集団的自衛権を「合憲」として理由にしているのが、「安全保障環境の根本的変容」ですが、「何を持って、いつごろから変容したのか」の問いに中谷防衛相は明確に答弁できませんでした。さらに政府は、「後方支援」は他国の武力行使と一体ではないから憲法に違反していないといっていますが、後方支援は国際的には平たん活動で、武力行使と一体不可分であり、軍事攻撃の格好の目標とみなされるものです。首相も「武力行使と一体でない後方支援」という議論は世界に通用しないということを否定できませんでした。

 政府は、1972年の「集団的自衛権は現憲法の下では行使できない」とする見解を一貫して貫いてきました。それを昨年の閣議決定で180度見解を変更し、「合憲」とする立場に変えました。もともと矛盾をかかえた変更であることから、政府の説明が国民にとって益々わかりにくくしています。

 このような事態から、この戦争法案について、山崎拓・元自民党幹事長や藤井裕久元財務大臣、武村正義元官房長官などの重鎮、さらに亀井静香元金融担当大臣や村上誠一郎自民党衆議院議員なども法案に反対を表明しています。各世論調査でも、「読売新聞」8日付で、法案の説明が不十分とする人が80%、「時事」5日から8日の調査では、今国会で廃案が12%、今国会にこだわらず慎重審議が68.3%で、あわせて今国会で成立することに反対が78.3%におよんでいます。

 日本共産党はこの「戦争法案」は、日本を海外で殺し殺される戦争する国にするものであり、明らかに憲法に違反するものであることから、廃案にすべきと考えます。しかし、少なくとも、国民の8割が説明不十分とし、今国会で成立に反対しているという現実を政府は真摯に受け止め、国民的合意のないままに安保法制の見直しは行うべきではありません。

 よって、本請願の願意は妥当と考え、賛成するものであります。