2012年6月市議会:上原ひでき  学校へのクレーム対策、特別支援学級「介助員」について

2012年6月18日
日本共産党伊丹市会議員団 上原ひでき

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  2. 保護者からの学校へのクレーム対策について(このページ)
  3. 特別支援学級における「介助員」について(このページ)

2.保護者等からのクレーム対策について

 小野田正利・大阪大学大学院教授が代表を務める「新・学校保護者研究会」が、昨年10月から12月にかけ、全国の教員・管理職約1800人を対象に、保護者クレームに関する調査を行い、その結果が新聞等で報道されていました。その内容は、保護者から学校にクレームなどが寄せられたときに、教員の多くは、丁寧な姿勢を心がけ、悩んだときは周囲に相談するようになった半面、保護者よりの管理者の対応に不満を抱き、今後も「理不尽な要求」は増え続け、「精神疾患・病欠になる同僚は他人事ではない」と感じているということです。小野田教授は、「マスコミで報道される機会が減り、沈静化しているように見えるが、依然として深刻。兵庫教育大学が卒業生を対象に行った調査でも、仕事上最も困難を感じたのは「保護者対応」であった」と述べておられます。

 伊丹市教育委員会の取り組みは、一昨年12月議会の本会議で、「兵庫県教育委員会が高等学校問題解決サポートチームを設置した」こと、伊丹市教育委員会としては「モンスターペアレント対応専用チームの設置、対応マニュアルの作成について県教育委員会の取り組みを参考に、研究を進めたい」「いずれにしても、保護者との信頼関係づくりが大切」などと答弁されています。

 「学校問題解決サポートチーム」のような専用チームに関しては、このアンケートでは学校側が教育委員会に求める支援内容として、「大いにそう思う」28%、「ややそう思う」50%と、約8割弱がその設置を求めています。しかし、2007年に尾木直樹氏が行ったアンケートの自由記述欄には、「専用チーム」に関して、「その場では解決するかもしれないが、親とのコミュニケーションが薄れ、かえって逆効果になる可能性がある」、「専門的な助言が、かえって混乱を生む可能性がある」など、外部の人間が学校に入ったとしても問題の実態を正確に把握できるとは思えないという否定的な意見が少なからず見られました。これらの人たちは、問題の解決は「教師の仕事」「学校の仕事という意識を持っている場合が強いと思われます。また、「チームをつくったら逆に教員の負担が増える」「丸投げできるわけではないから、調整のために忙殺されそう」との意見もあります。

 私は、これらのアンケート等を見る限り、「専用チーム」の設置は必ずしも有効な対応策ではないと考えます。答弁にもあったように「保護者との信頼関係づくりが大切」ということが大原則になるかと思います。しかし、小野田教授の調査の中で、職場の人や職場以外の人に相談できる人がいるかどうかを問う設問に大きなばらつきがあったとされ、全体的な対応力が強まる一方で、教師の孤立も進んでいるのではないかとの見解が示されており、学校園としての組織的対応のあり方も問われています。また専門的な相談に対応できる体制も必要です。

 教育委員会は一昨年の答弁以降、どのような取り組みをされ、研究されてきたのでしょうか。さらに専用チームに対する見解、今後の方向性について見解を伺います。

答弁趣旨

 小野田教授に寄れば、保護者への対応もさることながら、日常の教育活動における児童生徒との関係作り、それにもとづく保護者との関係づくりが大事。このような考えの下に、スクールソーシャルワーカー、学校教育指導員、学校問題支援チームによる学校支援を行っている。支援チームは、最終的に、学校と児童生徒、保護者の間で課題解決できるよう支援するもの。

3.特別支援学級における「介助員」について

 特別支援教育に関しては、特別支援教育コーディネーターを中心に、県費による学校生活支援教員や市費による特別支援教育支援員を中心に進められています。そして、特別支援学級においては、身辺処理、多動など、生活介助が必要な場合に、介助員を市内小中学校全体で26名配置されています。

 特別支援学級においては、近年その対象児童・生徒が増加するとともに、重度化する傾向にあり、介助員を増員してほしいという保護者や教員からの意見も上がっているところです。そこで、

  • 近年5年間、小・中学校における特別支援学級に在籍するこどもの推移は。
  • 近年5年間の小中学校の特別支援学級への介助員の配置数。
  • 児童・生徒の増加に伴い、増員を求めるが、その考え方。
  • 修学旅行等、宿泊を伴う学校行事の場合の配置も求める。

についてお伺いします。

答弁趣旨

            08年   09年   10年  11年  12年
小学校対象児童数(人) 200    218   227   239   250
中学校対象生徒数(人)  60     63    59    66    71
介助員(人)       24     25    26    26    26

 介助員については、特別支援学級在籍児童生徒の中で、担任を中心とした校内指導体制において、安全面で県費による教員を補助することが必要と認められる場合に配置しており、これまでも学校と十分協議をして一定増員している。今後も適正に対応したい。宿泊を伴う学校行事への介助員配置は、まずは校内で計画的、組織的に対応する体制が重要で、学校の実態も踏まえる必要がある。今後適正な配置の可能性について検討する。