2012年6月市議会:上原ひでき「伊丹市地域防災計画」について

2012年6月18日
日本共産党伊丹市会議員団 上原ひでき

  1. 「伊丹市地域防災計画」について(このページ)
  2. 保護者からの学校へのクレーム対策について はこちら
  3. 特別支援学級における「介助員」について はこちら

1.「伊丹市地域防災計画」について

 3.11東日本大震災を契機に、大規模災害に対する「備え」のあり方について、市民の間に様々な不安があります。改めて避難場所を聞くと「知らない」と答える人が少なからずおられたり、障害児の保護者から、災害時の避難のあり方について不安がありその方法を聞きたいとの声も出されたりします。自治会の会議でも、「これだけ高齢者が多いといざというときに大変だ。防災訓練は応急手当訓練だけではなく、住民への連絡体制や避難訓練が必要」との声も出ています。改めて自主防災組織の活動を発展させなければならないと実感しました。

 一方、行政では、新たな防災拠点の整備や地域防災通信基盤整備などを行おうとされています。行政の基盤整備と地域の自主的な防災活動が一体となって安心・安全なまちづくりを進めていかなければならないと思います。

 そこで、「伊丹市地域防災計画」の中から、以下2点にわたって質問をしたいと思います。

1)第25節 自主防災体制の整備

 ここには、「自主防災組織は、地域の実情に応じた「安心・安全コミュニティ・ファイル」を作成するなど、平常時および災害発生時の効果的な防災活動が行えるよう努めるものとする」とされています。そこで、

①平常時から効果的な防災活動を行うとされ、その中で「安心・安全コミュニティ・ファイル」が位置づけられています。その「安心・安全コミュニティ・ファイル」とは、地域の避難場所や危険箇所、地域の人材、要援護者の状況等をファイルし、災害発生時に有効に機能するように平常時から防災活動に役立てるものと理解しています。それがどの程度自主防災活動の中で認識され、活用されているのでしょうか。また、今後の課題についてどう考えておられるのか、お伺いします。

答弁趣旨

 地域の内容がすべて書き込まれれば災害時に大きな力を発揮すると思うが、記載内容に個人情報が多く含まれていることから、様々な課題がある。このことから情報の提供にとどまっている。

②コミュニティ防災活動(防災まちづくり)のあり方についてです。

 現在の自主防災組織は、応急手当・対応に偏重している感があります。必要なのは、そのことも含めて住民が自治的に生活圏の安全管理を推進する取りくみであると思います。例えば、自主的に地域の危険箇所を把握して行政に改善を求める活動や、地域防災計画の「地震動の危険性」に書かれている伊丹市の土地の形状、活断層の状態等、行政からの危険箇所の情報提供による地域における安全管理計画を作成することです。

 もちろんそこには要援護者対策も含めなければなりません。それは地域社会の様々な災害危険への対応策は通り一辺倒ではなく、多様で、住民の合意と関与が欠かせないからです。当局は、そもそも自主防災活動のあり方をどうのように考えられているのか、自主防災組織への支援のあり方も含めて見解を伺います。

答弁趣旨

 小学校単位で5年間のローテーションを組み、災害図上訓練DIGを実施している。これは、地域住民が地図を囲み、地域の危険箇所や主要道路などの地域の特徴等を書き込み、災害発生時から予想される被害の範囲、避難場所、避難経路などを話し合いながら、保護路から備えるべき対策などについて考えるもので、コミュニケーションの工場、地域の実情や課題が共有できるもの。

2)第26節 災害時要援護者対策

 この計画では、「日頃から十分な災害時要援護者対策を講じておくことが必要」であること、「平常時から地域において災害時要援護者を支援する」とあり、「防災計画の策定」の項では「職員の任務分担、動員体制等防災組織の確立、保護者への緊急連絡、地域と連携等を網羅した綿密な災害時要援護者対応計画を作成しておく」とされています。

 そこで、地域から不安の声があった伊丹市特別支援学校の生徒・保護者を例にお伺いします。

 その内容は、子どもが自宅にいる場合、大規模災害が発生したとき、どうやって、どこに避難したらいいのか、自らもおんぶ紐を自分でもつくろうと思っている、とのことです。私たちにとっては、地域で協力できることは何があるのかという問題提起になり、可能な協力を考えることになります。

 しかし同様の子どもを持つ保護者が、すべて地域に問題を投げかけるわけではありません。地域でもすべてを把握できているわけでもありません。

 そこで、災害時に特別支援学校がどのような対応ができるか、必要ならば地域とのつながりはどうするのかという問題がでてきます。

 この点では、3.11大震災を契機に、宮城県特別支援教育センターが、「学校ができること」を観点に、教員たちの経験などを、資料集「障害のある子どもたちに寄り添う支援に向けて」にまとめられています。そこでは、学校の役割は、「子どもたちを支えるつながりをコーディネートすること」とされています。学校では、個別の教育支援計画やサポートブックなどを使いやすいものに整備し、保護者といっしょに関係機関・地域とのつながりについて見直しを続けることが大切だと訴えています。同時に、学校に、避難所の指定の有無を問わず、障害児に必要な医療機器を備蓄することや、避難所における発達障がいへの理解を得るための方策などもあります。

 「伊丹市地域防災計画」でも位置づけられていることであり、特別支援学校と教育委員会、行政が共同し、対応することが必要と考えるものですが、見解を伺います。

答弁趣旨

 学校では、休日・夜間の場合、緊急連絡システムを活用して在宅中の子どもたちの安否家訓と状況に応じた対応に努めるようにしている。地域のつながりについては、居住他校での交流・共同学習を積極的に推進しており、このことで子どもや保護者、地域のつながりが作られるものと期待できる。また、個別の支援計画を教員と保護者が連携して作成しているが、その中で、緊急時に対応してもらえる病院や地域の施設などの関係機関を確認できる。

 学校に、必要な医療機器の備蓄に関しては、在校生の医療的ケアに必要な医療機器は備えているが、これ以外の機器を備蓄する計画はない。