2012年6月議会本会議:上原ひでき 県立こども病院のポートアイランドへの移転計画の中止を求める意見書案 賛成討論

意見書案第3号に対して賛成、意見書案第4号に対して反対の立場からの討論

2012年6月29日
日本共産党議員団 上原 秀樹

 日本共産党議員団を代表して、議題となりました意見書案のうち、意見書案第3号「県立こども病院のポートアイランドへの移転計画の中止を求める意見書」(案)に対して賛成、意見書案第4号「「緊急事態基本法」の早期制定を求める意見書」(案)に対して反対の立場からの意見を述べます。

 はじめに意見書案第3号についてです。本意見書案は、兵庫県が、神戸市須磨区にある県立こども病院を、神戸市中央区のポートアイランドに移転しようとしていることに対して、その計画を中止することを求めています。

 この移転計画に対して、多くの県民・医師・患者から、「なぜ、阪神・淡路大震災の時にアクセスが途絶え、液状化をおこした人口島に移すのか」「東日本大震災での大津波の教訓はどうなっているのか」という疑問の声が上がっています。

 県立こども病院移転する問題点の第1は、県当局は医師等関係者の声を聞かないまま移転先を決定したことです。パブリックコメントを行った基本構想には当該地への移転計画はでていません。また、移転先を決めた総合事業等審査会には医師は一人も入っていません。このような経過から、神戸市医師会や兵庫県医師会などは、明確にポートアイランドへの移転には反対と意見表明されています。

 第2は、医師会が反対の理由とされている移転候補地の災害リスクの問題です。ポートアイランドは、東南海・南海地震と津波により甚大な被害をこうむる危険があり、県が行った災害シミュレーションではポートアイランドは孤立するとされています。同様の機能を持つ病院であれば、分散配置するのがリスク管理の基本であります。また、ポートアイランドには先端医療センターを中心に、高度専門病院群、医療研究施設があり、災害時のバイオハザードの危険もあります。

 県立こども病院は、1970年に小児総合病院として開設されて以降、新施設を次々と開設し、いまや地域医療になくてはならない役割を果たしており、阪神北広域こども急病センターからも、08年から11年の4年間に、24人の子どもが3次救急として後送されています。このこども病院を、あえて災害リスクにさらすことは許されません。本館が築40年を越えることから老朽化対策が求められていますが、設計専門家による調査で、現地建て替えが可能であることが判明しているところでもあります。

 よって、本意見書案が、兵庫県に対し、移転計画を中止し、改めて医師等専門家の意見を聞き、計画の再考を求めていることは妥当であり、賛成とするものであります。

(意見書案第4号「「緊急事態基本法」の早期制定を求める意見書」(案)に対して反対の討論はこちら)