2012年9月議会:かしば優美 障がい者制度改革、サ-ビス付き高齢者住宅制度

2012年9月21日
日本共産党議員団 かしば優美

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、日本共産党議員団を代表して通告どおり質問します。

 はじめに、障がい者制度改革のゆくえと障がい児通園施設に関して4点うかがいます。

 第1に、「改正」自立支援法と児童福祉法の改正により、きぼう園、つつじ学園、カルミア園に対する影響についてですが、自立支援法廃止が決まって以降、障害者制度改革についての議論がすすめられてきました。障害児支援の分野の施策は、当面2012年4月から施行された「改正」自立支援法とこれにともなう児童福祉法の改正によって大きく変えられます。

 この点については6月議会本会議で次のような答弁がありました。それは「児童福祉法の一部改正にともない県からの権限移譲により、きぼう園、つつじ学園の入園判定や施設利用の受給者証の発行等については市でおこなうことになり、相談から支援に至るまで一連の手続きについて身近な市において行われることとなり、手続きの簡素化がはかられました。また、通所施設の一元化もはかられ、児童ディサ-ビス事業所カルミア園は児童発達支援事業所に、つつじ学園、きぼう園につきましては、それぞれ福祉型、医療型の児童発達センタ-に移行しました。」との内容です。

 その中で市内の肢体不自由児通園施設・きぼう園、幼児通園施設・つつじ学園、カルミア園も大きな影響を受けるとしています。「福祉型」と「医療型」との区分けにより職員配置を大きな変えなければならないこと。さらにサ-ビス利用者は今回の「改定」により利用者負担が増加するとお聞きしました。

 「改正」自立支援法とこれにともなう児童福祉法の改正により、利用者や市内の障害児施設がどのような影響を受けるのか、それに対する対応と課題について当局にうかがいます。

 第2に、障がい児通所施設にかかる給付費激変緩和措置の動向についてです。

 今年6月議会一般会計補正予算として障害児通所施設給付費激変緩和補
助金13,608千円が計上されました。この激変緩和補助金というのは2006年から措置されてきました。それまで障害児通所施設に対する給付費が月額制であったものが児童の施設登所率によって変更する日額制になり、その結果減少する給付費の90%を補助してきたものです。この額は12年度きぼう園で12,220千円、つつじ学園で1,108千円となっています。

 ところが6月議会の質疑の中で、来年度からこの激変緩和補助金が廃止される動きであることが明らかにされました。きぼう園の場合はこの激変緩和補助金が事業・管理費全体の22.6%(2011年度決算)も占めており、仮に廃止ともなれば園の運営に重大な支障をきたします。現時点での国・県の動向について、また仮に廃止された場合には市単独でも給付費を助成する必要があると考えますが、当局の見解をうかがっておきます。

 第3に、つつじ学園の施設改善について

 つつじ学園はおおむね3歳から6歳の発達に遅れのある幼児が、家庭から学園バスで通園し、親子関係の安定や対人関係の基礎を育み、自立に必要な基本的生活習慣を身につけ、集団生活を通じて言語の獲得、コミュニケ-ションや遊びに対する意欲を育むよう発達を支援する施設です。ところがご承知のように相当古い建物であり、生徒に対して十分な対応ができる環境にはないと感じざるをえません。以下課題・問題点と思われる4点について当局の見解を求めておきます。

①現在32名の通園児童が、10月から4名増えて36人になると聞いています。緊急対応としてプレハブ室を増設されていますが、今後の対応について。

②プレハブの中にボ-ルプ-ルをおいていますが、夏はエアコンが設置されていてもまったくきかない状態であり、児童には酷な状態・環境であることについて。

③もともとの言語指導室を保育室に振り替えたために、しっかりと言語指導できる部屋がないことについて。

④建物全体は築47年経過(1965年に建設)し、雨漏りがひどい状態だとききました。早急に改修が必要であることについて。

第4に、(仮称)発達支援センタ-の整備についてであります。

 この点についても先の6月議会で質問があり、これに対して「当該施設の整備につきましては、公共施設再配置計画案をべ-スに、つつじ学園、きぼう園、カルミア園、たんぽぽ、保健センタ-の個々の施設のはたすべき機能とその集約化の可能性に関する検討のほか、設置場所、必要面積、概算事業費の算定などについて、現在関係部局の実務者レベルの協議を行っているところ」と答弁されています。今回のように児童福祉法の改正により、「保育所等訪問支援」が新設されるなど障害児施策が多岐にわたることになります。こうしたことを踏まえた検討を強く求めるものです。改めて(仮称)発達支援センタ-の検討内容・進捗状況をうかがっておきます。

 次にサ-ビス付き高齢者住宅制度についての質問です。

 昨年10月からスタ-トした、「サ-ビス付き高齢者向け住宅」制度は、従来の高齢者専用賃貸住宅などの高齢者向け賃貸住宅を廃止、一本化して新たに制度化したものです。

 一戸あたり面積25m2以上、バリアフリ-など一定の設備基準を満たし、さらに生活支援・安否確認などのサ-ビス要件を備えた施設の新設・改修工事費にたいし一戸あたり100万円を上限に補助金がでます。

 一方要介護や健康の不安を抱える高齢者が入居する施設や住宅の整備はきわめて貧弱です。65歳以上の高齢者の80%が持ち家居住ですが、健康状態が衰えたときに必要な質を備えている住宅はかぎられていることから、高齢者が安心して住める住宅の整備が急がれます。

 伊丹市の第5期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画では、「民間サ-ビス等の活用による豊かな住環境の整備の提供」と題して、「サ-ビス付き高齢者向け住宅を提供する民間事業者等と連携しながら、住み慣れた地域で高齢者が住み続けられるよう、入居者の見守りに努めるなど高齢者の安全・安心の確保に努めます」としています。

 本市では8月末現在、このサ-ビス付き高齢者向け住宅を県に登録しているのは6事業所で株式会社3、医療法人2、社会福祉法人1となっています。このうち登録申請しているが、まだ開設していない所もあると聞いています。

 最大の問題点は、新制度では低所得の高齢者の入居が困難だということです。新制度の費用負担は家賃6万円、サ-ビス費2万円、食費4万円、それに介護保険の自己負担分がプラスされると想定していることから、月額20万円ぐらいの所得がある高齢者しか入居できないということです。

 事実伊丹市の東部地域で3年前から開設している居室数50室の「高齢者向け住宅」の費用は、入居金40万円、家賃82,000円、食費37,800円、管理費25,200円合わせて月額145,000円となっています。加えて訪問介護による在宅サ-ビスや医師による在宅診療を受ければさらに別途料金が必要となりやはり20万円/月近くかかるようです。

 整備に当たっては①在宅生活を継続できるだけの十分な医療・介護の供給と小規模で同居人と顔なじみになれるような施設、②買い物、交通、防災の確保のほかにできるだけ、家族や友人などと交流できる生活条件を満たすこと、③サ-ビス付き高齢者向け住宅は介護保険施設ではないため、特定入所者介護(予防)サ-ビス費のような利用料の軽減が適用されません。費用負担も低額所得者が利用できるように、家賃補助制度と組み合わせるなど低額なものの供給が必要であります。この3点についての見解をうかがい、一回目の質問とします。

2回目質問

1、障がい児通園施設

○民主党政権の公約やぶりは国民の怒りを沸騰させていますが、この障害者施策も同様です。「障害者自立支援法」を「障害者総合支援法」に名称を改めたものの、サ-ビス利用に1割負担を残す、問題となっている「日額制」はそのままというひどい内容であります。

○今回の一連の「改正」の中で、現行の障害児通所施設・事業は、医療の提供の有無により「児童発達支援」または「医療型児童発達支援」のどちらかに移行・選択をするとなっています。答弁では現在「医療型児童発達支援センタ-」であるきぼう園を「福祉型児童発達支援センタ-」へ移行することを検討しているとありました。きぼう園は児童福祉法にもとづく「肢体不自由児通園施設」ですが、医療法による診療所を併設しており、「病院」というリハビリテ-ション機能を兼ね備え、診療所・保育・機能訓練・給食のサ-ビスを提供しています。このきぼう園が「福祉型」に移行すれば、医療法にもとづく診療所がどうなるか、必要な医療・リハビリなどの提供に重大な支障をきた療育サ-ビスの低下を懸念するものですが、こうした課題についての明確な答えがありませんでした。再度答弁を求めます。

○発達支援センタ-については残念ながら従前と同様の答弁でした。しかし今年度も折り返しを過ぎようとしている段階になっているのに、いまだに施設のはたすべき機能とその集約化について、設置場所、必要面積、概算事業費の算定などが議会に説明できないというのは、つつじ学園の老朽化への早急な対応など考えても遅れ過ぎであります。改めて公共施設再配置計画の突然の変更が発達支援センタ-整備に重大な支障をきたしていると指摘せざるをえません。 いずれにしても極力早く整備方針案をまとめていただくよう要望しておきます。

2、サ-ビス付き高齢者住宅制度について

 この問題について1回目の質問で「最大の問題点は、新制度では低所得の高齢者の入居が困難だということです。」と述べました。これまで私のような年代の市民の方からはたとえば「親がGHなどに入所しているが、親の年金が少なく毎月5万円とか10万円近く支払わなければならない」等の相談をしばしば受けます。

 日常的にケアが必要な1 人住まいの高齢者や高齢者のみの世帯が急増している中、特養ホ-ムなどは待機者が多くて入居できない。そういった中で株式会社などもサ-ビス付き高齢者住宅制度にのっかって参入してきていますが、冒頭にも述べたように一定の利益も上げなければならない背景の中で入居費用も異常に高くなっていると思います。

 「現在のところ考えていない」とおっしゃった高齢者世帯を対象とした家賃補助制度については今後検討していただきたいと思います。そこで要望・提案なのですが、現在市内に2カ所に整備されている軽費老人ホ-ムいわゆるケアハウスは比較的低料金で利用できる施設となっています。私が訪問したケアハウスの利用料は入居者の収入に応じて9万円~15万円というものでした。今後こうした比較的低料金の施設を一定整備する必要があるのではと考えますが見解をうかがっておきます。