2012年9月議会:上原ひでき 伊丹市立伊丹高等学校普通科の通学区域のあり方について

2012年9月21日
日本共産党議員団 上原ひでき

1.1)産業活性化策、2)伊丹市産業振興ビジョンについて はこちら

1.3)伊丹市 農を活かしたまちづくり基本条例の制定について はこちら

2.伊丹市立伊丹高等学校普通科の通学区域のあり方について

 伊丹市学校教育審議会は、9 月12 日、「伊丹市立伊丹高等学校普通科の今後の通学区域のあり方について」答申書を提出されました。答申では、その通学区域は、県立高校普通科の通学区域に準じて設定することが望ましい、との結論を出しています。その理由は、県立高校と通学区域や選抜制度が異なれば、生徒の志望選択がより複雑化し、混乱を招くことが懸念されるとのことです。しかし、志望選択を複雑化させたのは、複数志願選抜制度を導入したことで、生徒の混乱を招き、さらに県立高校の通学区域を拡大させようとしていることが大きな原因ではないでしょうか。

 その答申書に主な意見が上げられています。「市校にいきたいという気持ちを持ってきている生徒が多くなったと感じる。学区の拡大は、それぞれ自分が行きたい学校に行く選択の幅が広がる」「伊丹の子どもたちが市校に行きにくくなるのではという不安があるが、県と一緒に選抜制度を実施してきた経緯は大切にしなければならない」などの意見が列挙されています。

 そこで、教育委員会はこの答申をどう受け止めておられるのかの視点でお伺いします。

①市立伊丹高校普通科の学区を現在のままにした場合、生徒にとって学校選択がどのように複雑になるとお考えでしょうか。

(答弁)

 現在の学区にした場合、市立伊丹高校だけが単独選抜になり、受験生にとって第2志望、「その他校」志望ができなくなり、志望校決定の際に迷い、混乱するとの意見が審議会の中で多数を占めた。教育委員会としても、単独選抜と複数志願選抜が並存することになり、より複雑化し、進路の選択の幅も狭まると考える。

②高校学区の拡大に関しては、様々な問題があることを指摘してきましたが、その中で、地域に根ざした学校という点で問題が生じるということも指摘してきました。市立伊丹高校は地域に根ざした学校を目指し、商店街の活性化等一定の役割を果たしています。伊丹の生徒が市校に行きにくくなるということと、県立高校の学区にあわせるということ、この二つを天秤にかけて、県といっしょに選抜制度を実施してきた経緯を大切にしたいとの結論になったことに対する見解をお伺いします。

(答弁)

 市立高校の在籍生徒が本市の住民であるかどうかにかかわらず、地域との交流を大切にする教育を展開していく。受験生の選択の幅を狭めることがないようにするため。

③商業科の学区が県内全域なのに伊丹の生徒の割合は変わらないことから、伊丹市内の生徒の入学する割合が減少することを心配する必要はない、との意見がありますが、それならなぜ、学区を拡大する必要性が出てくるのでしょうか、この件に関する見解もお伺いします。

(答弁)

 審議会で、学区が広がることによって市校で学びたいという生徒が市内外から多く集まれば、市校の活性化にもつながるという意見があった。市立伊丹高校が学び隊学校として、より多くの生徒が第1志望校に選択する学校になるよう、更なる特色化・活性化に取り組んでまいる。

(2回目の要望・意見)

 現在は答申の段階で、教育委員会で決定されたものではないことから、質問ではなく、意見を一言。

・もともと通学区域の拡大には反対の立場・・・学区拡大の目的は、拡大された学区における高等学校の序列化を進めることになり、そのことで学校選択の競争を激化させるとともに、通学困難・経済的負担の増大や他の県に見られるとおり統廃合の進行という問題が生じることになる。すなわち、よくできる子と経済的に余裕のある子どもは選択肢が広がるが、ほとんどの子どもの教育にとってメリットは見出せない。

・では市立伊丹高校はどうするのか。「複雑・混乱」というけど、県立伊丹北校が単独選抜になっていることで、混乱しているわけではない。第2志望、その他校の選択がなく、高校にとって定員割れの可能性と、子どもの選択に幅がなくなるというデメリットがあるということ。

・選択肢は、県の通学区域に合わせて、高校の序列化の進行に身を投じ、子どもと高校の競争を激化させるのか、それとも、市立西宮のように、わが町の子どもはわが町で育てるという立場に立って、思い切って単独選抜を選択し、市立伊丹高校の教育改革を行うのか。

・いずれにしても、教育委員会で十分議論をしていただきたい