2012年12月議会:上原ひでき 中学校給食、公立幼稚園の今後のあり方

2012年12月議会 一般質問

日本共産党伊丹市会議員団 上原秀樹

「1.高すぎる伊丹市国民健康保険税」はこちら

「3.国の地方財政に対する認識について」はこちら

2.教育に関するいくつかの問題で新教育長にお伺いする

1) 中学校における完全給食を実現することについて

 学校給食法第4条では「義務教育諸学校の設置者は、当該義務教育諸学校において学校給食が実施されるように努めなければならない」、第5条で「国および地方公共団体は、学校給食の普及と健全な発達を図るように努めなければならない」とされているところです。ところが今までの給食を求める質問に、教育委員会の答弁は、「愛情弁当論」の立場から「中学校給食の導入は考えていない」「検討もしない」とのことでした。

 しかし、今年の9月議会で市長は、市民の要望が強いことや近隣の自治体の動向も鑑み、教育委員会と連携しながら、幅広い議論をしていきたいとし、今後は議会や市民からの意見を聞き、先行実施している自治体の課題も踏まえ、必要性や実現性について慎重に検討を進めていくという考えを示されました。

 そこで、新教育長として、中学校の完全給食に対してどう認識されているのか、また市長のこのような答弁をどう受け止めておられるのか、具体的な検討を始める意向についてもお伺いをいたします。

2) 公立幼稚園の今後のあり方について

 先の通常国会で、子ども・子育て関連法が消費税増税と社会保障の抑制を旨とする税と社会保障改革の一翼を担うものとして、民主・自民・公明三党による合意で、可決・成立しました。関連法の本格施行は、2015年の消費税率10%の時期に連動しています。日本共産党としては、本関連法は、保育に対する公的責任の後退、保育所建設の補助金廃止、保育認定制度など大きな問題があり、反対をしました。いずれにしても、地方自治体としては、教育・保育および地域子ども・子育て支援事業の供給体制の確保等に関する子ども・子育て支援計画を策定することとなり、そのための準備も始まることになります。

 そこで、今回は公立幼稚園のあり方について、教育長にお聞きをいたします。公立幼稚園に関しては、学校教育審議会で二度にわたって答申が出されました。しかし公立幼稚園の統廃合にも、私立による認定こども園にも保護者を始め地域住民の反対で断念せざるを得なくなったのが実情です。このことを踏まえて、次の点でお伺いします。

 ひとつは、一小学校区一公立幼稚園制についてです。統廃合の計画に対して、保護者・地域住民の反対運動で、改めて公立幼稚園に対する信頼は厚いと感じました。

 以前であれば家庭で担われていた幼児の育ちのプロセスの多くが、幼稚園や保育所で行われ、家庭で果たすべきであった部分を、幼稚園や保育所が補っています。各家庭の子育てを支援し地域の教育力を掘り起こしていくために、家庭・地域と幼児教育の場である幼稚園が一体となって「地域の子どもを地域で育てる」という共通の視点に立つ必要があり、子どもたちの生活の場として地域を捉えていくことが大切となっています。その立場から一校区一園制を守ることの意義があると考えるものです。

 二つには、3年保育と預かり保育についてです。神津認定こども園では例外的に3年保育を始めることになりますが、今まで公私間での役割分担として公立幼稚園は2年保育、預かり保育はしないことになっています。

 一方、保護者からのニーズが高い預かり保育については、幼稚園教育要領においても地域の実態や保護者の要請により、教育時間の終了後に行う預かり保育を含めた教育活動について留意事項が示されているところであり、今後、公立幼稚園がどう取り組むべきであるかについて検討すべき時期に来ているのではないかと思います。

 3歳児保育については、伊丹市における3歳児の子どもを在宅などで見ている家庭は、43%となっており、核家族化や少子化が一層進む中で、近隣での同年齢集団にも恵まれず、親子の孤立化が社会問題として取り上げられてきている中で、集団遊びや自然との触れ合いなどの、年齢に即した育ちの場を提供することが望ましいといえます。3歳児の発達段階を捉えても、自我の芽生えによる社会性の発達が著しく、この時期の環境が人格形成にも大きく影響を与えることに考慮する必要性があり、保護者のニーズや本市の財政状況を見極めながら、公立幼稚園における3歳児保育の検討もすべきであると考えるものです。

 この二つの問題は、今までの公私間の話し合いの経過もあり、伊丹市全体の幼児教育をどう展望するのかという議論も必要になってくるものであることはいうまでもありません。

 以上に対する見解をお伺いします。

(2回目)
2.教育長にお聞きした点

○中学校給食については、学校現場における「食の保障」に課題のある子どもたちに対する思いから、これまでの教育委員会としての見解を変え、中学校給食を検討課題とする立場に一歩前進させたと受け止めた。学校給食法の立場から、今後とも前向きに検討をし、実現させていただきたい。強く要望する。

○公立幼稚園のあり方については、特に預かり保育に対する保護者のニーズが高いこと、3年保育では3歳児から年齢に即した育ちの場を社会的に提供するという現代的な課題もあること等から、私立幼稚園の経験も踏まえ、検討をはじめることが必要と考える。保護者ニーズ、社会的課題に取り組まなければ、公立保育所の存在意義も消えてしまうのではないか。新たな公私の役割分担という観点も必要。

・これらのことを踏まえた上で、一校区一園制についても検討すべき。