2012年12月議会:上原ひでき 高すぎる伊丹市国民健康保険税

2012年12月議会 一般質問

日本共産党伊丹市会議員団 上原秀樹

「2.中学校給食、公立幼稚園の今後のあり方」はこちら

「3.国の地方財政に対する認識について」はこちら

1. 高すぎる伊丹市国民健康保険税に対する認識を問う

 国民健康保険会計については、市長から国民健康保険事業の健全化対策について諮問がされ、国民健康保険運営協議会で審議がされています。その資料によりますと、伊丹市の国保会計は、2011年度決算で約4億円の赤字で、前年度対比で約6億3,600万円改善。2012年度決算見込みでは、3億1,100万円の赤字となる見通しです。その主な理由は、一般会計から2年間で別途繰り入れを行ったことによるもので、累積赤字を一定解消することができたものです。2011年度に一般医療分の国保税の引き上げを行いましたが、一般会計からの繰り入れ増に関しては、党議員団として評価をしてきました。

 ところが、今後の国保会計の見通しを試算したとき、一定の財政健全化策を講じたとしても、2017年度(平成29年度)には、一般医療分と後期高齢分の合計で約60億円の赤字となる見通しが出されました。これを、2012年度末の累積赤字を解消し、今後5年間、毎年単年度収支を解消する税改定を行えば、5年間の増税額合計で53億3,500万円、最終年度の2017年度の国保税は平均して現在の1.5倍にもなります。国保税は現在でも負担の限度額を超えており、こんな値上げなどとんでもありません。

 伊丹市の国保加入者の実態は、平均所得は約90万円、所得なし層が全体の23.6%を占め、所得200万円未満の層が73.3%を占めています。その所得200万円の3人世帯の場合の国保税が、現在でも年額約35万円です。1.5倍となると52万5,000円、所得の4分の1以上が国保税に消えてしまい、生活保護基準以下の可処分所得しか残りません。

 伊丹市の国保加入者の73.3%が所得200万円以下、それらの世帯を中心に、国保税が伊丹市民の貧困を拡大していると言えます。もちろんこの実態は、伊丹市だけのものではなく、全国的なものです。国民健康保険法第1条では、その目的を「社会保障および国民保健の向上に寄与する」と定めていますが、国はその本来の目的を放棄しています。もともと国保加入者は、伊丹市の実態の通り、所得なし世帯、低所得世帯が中心で、公的医療保険のセイフティネットとしての役割を担い、1961年から続く皆保険制度を下支えしているものです。したがって当然のことながら国庫負担がそれなりに投入されなければ維持することはできません。しかし、国庫負担は1980年代から減らされ続け、国保総収入に占める国庫支出金の割合は、50%から25%を割る状況になりました。このことが国保税を引き上げ、自治体負担を増やす結果となったものです。

 したがって、国保加入者のいのちと生活を守り、社会保障としての役割を果たすことができるように、国に対する国庫支出金の増額を求めるとともに、伊丹市として何ができるのか、考えてみる必要があります。

そこで、次の点を市長にお伺いします。

1) 現在の伊丹市の国保税が、被保険者に耐えがたい負担を強いることで「国保が貧困を拡大する」実態に対して、どのような認識を持っておられるのでしょうか。

2) 今後5年間の収支見通しから、毎年単年度赤字を解消するために値上げを行い、5年後には国保税が現在の1.5倍になるという試算に対して、どうお考えなのでしょうか。

3) 今後の国による国庫支出金の引き上げの見通しはあるのか、また、一般会計からの繰り入れについては、今まで、収入未済額の2分の1の繰り入れを4分の3に、あるいは全額に引き上げることや、国保財政安定化支援事業の中に組み入れている条例に基づく一般減免の金額を別立てとすること、同時に条例減免の制度を充実すること、また土地開発公社に対して措置したような決算剰余金の一定割合を繰り入れる仕組みをつくることなどを提案してきましたが、一般会計からの繰り入れに対してどうお考えなのかお伺いします。