2012年12月議会:上原ひでき 国の地方財政に対する認識について

2012年12月議会 一般質問

日本共産党伊丹市会議員団 上原秀樹

「1.高すぎる伊丹市国民健康保険税」はこちら

「2.中学校給食、公立幼稚園の今後のあり方」

3.国の地方財政に対する認識について

 報道によりますと、財務大臣の諮問機関「財政制度審議会」の財政制度分科会が、11月1日開催され、来年度予算編成を前にして、地方財政の分野では、地方自治体に給与削減を促すとともに、地方交付税を圧縮すべきだとの認識で一致したとのことです。

 その財務省主計局の資料を見ますと、驚くべき内容があります。たとえば、地方財政に対する認識として、「国は借金をしながら地方交付税を増やしている中、地方公共団体は貯金が増加している」「地方交付税の不足分は国と地方が借金により折半しているが、このことは地方の自律的な歳出抑制努力を促すという考え方。それを飛び越えて政策的に交付税を増額することは、地方が取り組んでいる自主的な歳出削減努力を妨げる恐れがある」「地方財政計画は、全国規模の地方財政の標準的な姿であり、その標準的な歳出は地方交付税によって財源確保する範囲・水準を実質的に画するもの。そもそも、財源不足の補填など国による財源保障自体が、地方の自立を妨げるとの問題がある」と。また給与関係では、「地方計画上、国家公務員の給与引き下げは給与関係経費には反映されていない」として、地方財政計画の上で公務員給与の引き下げを行い、そのことで全国的に1.2兆円の削減ができるとしています。

 しかし、これらの考え方は、憲法92条に規定される「地方自治の本旨」、団体自治そのものをないがしろにし、地方財政計画の縮減によって、真綿で首を絞めるがごとく、地方の自主性を損なうもので、「地方主権」というならそれ自体を否定するものです。そもそも地方交付税法では、地方交付税の交付の基準を設定することを通じて、地方行政の計画的な運営を保障することによって地方自治の本旨の実現に資すること、地方団体の独立性を強化することとされているところです。財務省の考え方はこの法の趣旨にも反します。

 また、地方財政計画の根拠は地方交付税法第7条にあり、その地方財政計画は、地方交付税という財源保障制度を運用するための位置づけがなされています。財務省はその地方財源そのものを減らすといっています。この間若干なりとも地方交付税が増額されたのは、不況による地方税の減少と国庫補助金をなくして一般財源化したことによるものであり、地方財源そのものが増えたわけではありません。むしろ2004年の小泉構造改革による三位一体改革で大幅に地方交付税を減らし、予算が組めない事態に追い込んだ水準と大差はありません。

 そこでお伺いします。

 一つは、財務省の地方財政に対する考え方に対してどう認識されるのでしょうか。

 二つには、消費税10%増税によって地方消費税も1.54%増額することが、「国と地方の協議の場」における合意とされていますが、先に見ました地方財政への財務省の認識から見ると、地方財政を抑制することで地方交付税を削減し、地方消費税分が措置されたとしても、全体の地方財政が変わらなくなる可能性もあるのではないかと危惧するものですが、これに対する見解を伺います。