日本共産党 9月議会報告 2013年秋季号
市民の切実な願いにこたえ いのち・くらし・営業をまもれ!と提案
■伊丹市会報告2013年秋季号はこちら(PDFファイル 4.98MB)
【1面】
■消費税増税・社会保障改悪ストップ!
第4回定例市議会は9月4日から10月10日までの37日間、2012年度決算、2013年度補正予算などを議題に開催され、白熱した議論が交わされました。
日本共産党議員団は市民のいのち・くらし・営業をまもる立場から市長、市当局の姿勢を厳しくチェック。
決算の認定を「同意せず」としたのを含め4件の議案に反対、補正予算他41件の議案に賛成しました。
■「来年4月からの消費税増税を中止」-市長として発信を
安倍首相は、来年4月からの消費税増税を予定通り実施すると表明しましたが、参院選後の世論調査でも、増税を「中止すべきだ」や「先送りすべきだ」という意見が7~8割と圧倒的です。それは、長引く不況により給料は上がらず物価は上がり、医療費や介護負担は増え、その上消費税が増税されれば暮らしや経営が成り立たないという、庶民の実態があるからです。
党議員団は、市長として「4月からの消費税増税は中止を」の声を内外に発信することを求めました。
■市立伊丹病院 消費税8%が経営を直撃 新たに1億円負担増
消費税が8%になれば、病院が国に支払う消費税分は約1億円増え、2億5千万円前後になることが決算委員会質疑の中で明らかになりました。市立伊丹病院はこの間医師確保などの取り組みの中で、3年連続の単年度黒字を計上してきましたが、消費税増税は病院経営を直撃することになります。
消費税増税により大半の病院が経営困難におちいるといわれており、公立病院や地域医療を守るためにも増税をストップさせなければなりません。
■国民健康保険事業の都道府県広域化 見直しを
現在国民健康保険事業は市町村ごとに運営されていますが、国の主導により数年後には広域的運営化が計画されています。
党議員団はその問題点について
① 各自治体一般会計からの繰り入れがなくなり、大幅な国保税の引き上げになる
② 地域の実情や住民・被保険者への対応が困難になる
と指摘し、広域化は、地域の実情や市民の生活実態を無視した国保税を県が決め、その徴収に各自治体が振り回されることになるのでやめるべきだ、と主張し
ました。
■介護保険大改悪やめよ
軽度の認定者への保険給付廃止、施設からの締め出しなど政府は次期介護保険計画策定に向けて、大幅なサービス縮小・切捨てや利用料負担増を計画しています。その中身は
①要支援1、2認定者への保険給付の廃止
②特別養護老人ホームなど施設入所は、要介護度4、5の重度者に限定
③サービス利用料について一定以上の所得があれば2割に引き上げる等です。
■党議員団、社会保障の拡充を求める意見書を提出
他の会派・議員の反対で否決
党議員団は「『社会保障制度改革推進法』を廃止し、社会保障の拡充を政府に求める意見書」を提出しました。具体的には、
① 特に医療・介護・子育て等の負担軽減を急ぐこと。
② 社会保障の公的責任を放棄する「社会保障制度改革推進法」は廃止すること。
③ 社会保障の財源は、消費税増税ではなく大企業や富裕層に応分の負担と責任を求める内容です。
本会議では他の会派・議員はまったく理由も述べずに反対し、意見書案は否決されました。
【2面】
■市民のくらし福祉まもって奮闘
■市発注の公共工事は適正な労務単価で
国土交通省は、今年度の設計労務単価を15.1%と大幅に引き上げました。その背景には、ダンピングの激化と下請けへのしわ寄せで、技能労働者の賃金の低下(グラフ参照)や、若年入職者の減少があります。
党議員団は、今後とも適正な設計労務単価による発注を行うとともに、その労務単価が賃金に反映されること、社会保険加入等福利厚生の充実が図られるために、兵庫県などと連携して検証を行うことを求めました。
■市税等の徴収に当たっては、納税者の権利を保障した対応を
伊丹市の市税等の収納率向上対策の強化から、納税者とのトラブルが発生しています。市民のくらしは、給料も年金も、営業実績も下がりっぱなし。従って、市税等の徴収に当たっては、「差し押さえありき」の対応が、善良な納税者を悪質滞納者扱いすることになりかねません。可能な限り避けるべきです。
党議員団は、納税者の実態に即してその困難に寄り添い、納税者の権利を尊重した納税相談を行うことを求めました。
■高齢者の虐待防止対策の充実を
2025年には、高齢者人口3500万入、認知症350万人に達するといわれています。
厚労省は高齢者虐待防止法の制定を受け、高齢者への虐待防止に向けた全国調査を行い、対応状況の把握を行いました。その結果、擁護者による虐待、介護事業従事者からの虐待、相談・通報件数が増加していました。家庭での同居者からの虐待が86.2%とほとんどを占めます。虐待防止のために、伊丹市包括支援センターの充実や認知サポーターの増員、見守り協定事業者の拡充を求めました。
■ウメ輪紋病対策充実で生産農家への支援強化を
伊丹市は、ウメ輪紋病対策として、被害生産農家対策やウィルス防除ハウス経費の一部助成を行っています。党議員団は、貴重な地域の品種保存を生産農家が共同して行うことができる対策を検討するとともに、引き続き国に対して、生産農家の営業損失に対する適切な保障を強く求めることを要望しました。
■自民系・公明党 市職員給与引き下げ賛成 議員報酬削減には反対
伊丹市は、国による地方交付税削減による職員給与引き下げ強要に対して、職員の定昇を見送った上、課長級以上の給与3%~5%、市長等の特別職給与5%カットを提案。党議員団は職員給与引き下げには反対しましたが、賛成者多数でいずれも可決されました。
このことを踏まえて、党議員団3名を含む7名の議員が議員報酬5%削減の条例を提案。採択の結果は12対12の可否同数(蒼翠会2名は退席)、議長(公明党)裁定で否決されました。
■市職員の採用条件から「正社員の勤務経験」を削除せよ
厚生労働省は、採用選考は職務遂行上必要な適性・能力を持っているかどうかという基準で行うことを求め、現在の雇用状況が正社員になりたくてもなれない事態が続いていることから、このことを配慮した採用選考を行うこと、その際、職業経験について不問にすることも求めています。
以上のことから党議員団は、伊丹市の採用選考に当たって、現在の採用要件にある「正社員としての勤務経験」(3年・5年)を削除することを求めました。
■航空機騒音の軽減を求める
大阪国際空港における今年4月の航空機騒音調査で、滑走路側近の西桑津地域の騒音が上昇していることが明らかになりました。原因として、空港におけるプロペラ機枠の段階的なジェット機枠化の推進や側近の滑走路からの離陸便の割合が増加したことが考えられます。環境基準達成に向け不断の努力を行うという大前提がくずれており、党議員団は必要な対策を新会社に要請するよう当局に求めました。
【3面】
■子育て環境の充実を求めて
■保育所増設で待機児童の解消を
待機児童は本来ゼロであるべきところ、今年4月に33名。毎年3月には300名を超える待機児童数を出しています。
党議員団は繰り返し保育所の増設で待機児の解消を求めてきましたが、荻野保育所の「耐震補強事業」のための新築移転計画(荻野8丁目の北コミ広場・2015年完成)をうけ、移転場所の大気汚染・騒音等、保育環境の確保と合わせ定員増を求めました。
市長は「公的措置の枠は拡大しない」と、現状定員維持の態度に固執しました。
■中学卒業まで医療費無料化を 所得制限撤廃を
保護者の経済的理由により子どもが医療を受けられないことが無いよう、入院、通院とも中学校卒業まで医療費の無料化が広がっています。
しかし県は福祉医療の改悪を実施し、所得制限をきびしくし、子育て助成対象者のうち4%が対象から外れました。
党議員団は、伊丹では県の改悪に従わないこと、独自に中学校卒業まで入院費だけでなく通院も無料にすること、また国に対して医療費助成制度を国の制度として確立することを求めました。
■「きぼう園」における児童発達支援の充実を
医療型児童発達支援センター「きぼう園」を福祉型に移行する条例が提案されました。
国による財政措置の廃止により、使用料が、36人中11人は従来通り無料、25人は数百円から最高4400円程度の値上げとなります。一方、保護者からの要望で理学療法士と言語療法士が1人ずつ増員され、サービスの充実が図られるとともに、職員は従来通り5人で運営されます。党議員団は、さらなる発達支援の充実を求めました。
■教育環境の改善を求める
■市立定時制高校の移転から1年、生徒の教育を受ける権利の保障を
伊丹市は昨年、定時制高校を阪神昆陽高等学校校舎へ移転、道理のない統合負担金として3億6千万円も県に負担することを決めました。また、多くの反対の声や不安があるなかでの移転は、様々な矛盾を抱えることにもなりました。
党議員団は、定時制ではさまざまな入学動機や学習歴のある生徒が学んでおり、その生徒の教育を受ける権利を保障する上で、残された期間引き続き全力で支援することを求めました。
■「全国学力テスト」依存はやめ、教員の教育力強化で確かな学力を
伊丹市教育委員会は、「全国テスト」の平均点を学力の指標においています。しかし、そこで測定できるのは学力の特定の一部分に過ぎません。高い得点をえることが最優先にされることで、かたよった学力観を子どもや保護者に持たせています。
党議員団は、一人ひとりの子どもの実態をよく知っている教員が、その子どもに応じて様々な教え方を工夫した教育活動を行うことで、全体とした学力を身につけることができると主張しました。
【4面】
■中学校給食実施へ・平和市長会議加盟 党議員団の奮闘で実現
■中学校給食導入検討委員会開催される
長年の市民の願いであった中学校完全給食が実現に向けて進み始めました。
教育委員会では「伊丹市中学校給食導入検討委員会」を立ち上げました。
委員会は毎月開催、自校調理方式、センター方式、デリバリー方式の比較検討が行われ、今年度中に基本方針を策定する計画です。
安全でおいしく温かい給食を提供するために「自校調理方式を」という父母・市民の多数の声の実現に党議員団は引き続き奮闘します。
■産婦人科医師確保に全力を
市立伊丹病院、来年4月から分娩受け入れを休止
市立伊丹病院は医師数の減少などにより、分娩の受け入れを来年4月から休止する方針です。ただし分娩以外の産婦人科の診察や出産前後の検診などは維持するとしています。伊丹市内の分娩できる病院は二ヶ所しかなく、党議員団は、今後市民に安心を保障するためにも、産婦人科医師確保に全力をつくすよう求めました。
■伊丹市が「平和市長会議」に加盟、市長が広島に
伊丹市は、昨年7月に「平和市長会議」に加盟、今年の8月には藤原市長が総会に出席するため広島を訪れ、平和記念式典にも参加しました。「平和市長会議」には、党議員団が加盟を求めていたものです。党議員団は、「被ばくクスノキ」の木)を世界に贈る事業も活用し、核兵器廃絶・平和事業をさらに充実することを求めました。
■公共施設マネジメント基本方針(案)策定、パブリックコメント実施
伊丹市は、市が保有する学校や保育所、庁舎などの施設について、人口動態や財政状況、市民ニーズ等に基づいて維持管理・更新のあり方に関する「基本方針」(案)を策定、11月18日から12月17日までパブリックコメントを実施します。基本方針(案)では、2030年には、少子高齢化、人口減少を見込み、公共施設の統合、複合化と新規整備の規制で、床面積を10%削減することを目標にしています。
■従軍慰安婦問題の解決を求める請願が僅差で否決、党議員団は採択に全力
新日本婦人の会伊丹支部から、「慰安婦」問題の速やかな解決を求める意見書を国に提出することを求める請願書が提出され、賛成11、反対15で否決されました。党議員団は、「河野談話」が、軍の関与により「慰安婦」が強制的で痛ましい生活を余儀なくされたことに反省とお詫びの意とともに、今後の対応の検討を表明したにもかかわらず、被害者への個人補償はなされていないこと等をあげ、賛成の立場から意見を述べました。
■黒田官兵衛に「あやかり」
来年のNHK大河ドラマは「黒田官兵衛」ですが9月議会では「有岡城にまつわる黒田官兵衛」で「伊丹のまちおこし」が議論されました。
ゆるキャラ「村重たみまる」や「官兵衛プロジェクト」もスタート。
伊丹市長が姫路市長と「和解の握手」、黒田官兵衛に大いにあやかりたい伊丹市です。
■「市民まもる防波堤」党議員団
37日間に及ぶ長い9月議会の大部分を傍聴しました。本会議では全議員が質問に立ち、活発な議論が展開されました。
各委員会では、市施策の細部にわたり予備日に食い込む審議が熱心に行われましたが、他会派の議論で欠けている点があります。それは「市民の暮らし(生活感)に根ざした立場」です。これがない「行財政の健全化」議論は結局「市財政危機=市民の暮らし・福祉予算の削減」という方向に向かわざるをえません。
伊丹市を「市民をまもる防波堤に」と奮闘したのは党議員団でした。
市議会を多くの方が傍聴し、日本共産党議員団の活躍を見て頂くことを願っています。(H)