2014年6月議会一般質問:上原ひでき 生活困窮者自立支援法に伴う諸問題

2014年6月11日

日本共産党議員団 上原秀樹

1.生活困窮者自立支援法の施行に伴う諸問題について

 2013年12月臨時国会で、生活困窮者自立支援法が成立し、来年4月1日に施行されます。この法律によるとその目的は、「生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、生活困窮者に対し、自立相談支援事業の実施、住居確保給付金の支給その他の支援を行うため所要の措置を講ずる」とされ、その概要は、必須事業として、自立相談支援事業の実施並びに住居確保給付金の支給を行い、任意事業として、就労準備支援事業、一時生活支援事業、家計相談支援事業、学習支援事業等を実施するとされ、それぞれ国庫負担金並びに国庫補助金が措置されることになります。

 この法律の背景となったのは、現在、生活保護の受給者は200万人を越え、支給総額も3兆円以上になっており、そこでは高齢者世帯のほか病気や障害で働くことができない人や母子家庭だけではなく、失業や非正規雇用などの現役世代の受給者が増え、これらの人たちの生活を立て直し就職に結びつけることが求められていることにあります。しかし一方では、この法律によって、生活保護からの追い出し、新たな「水際作戦」につながるのではないかとの危惧もあります。

 そこで次の点に関して質問をいたします。

1) 自立相談支援事業について

 相談支援はこの事業の要であり、相談を受けて相談者の抱える多様な問題を理解し、支援計画を立てることになることから、相談員となる人は、行政組織や支援施策に精通した職員が担当しなければなりません。衆参厚生労働委員会の付帯決議でも、「訪問支援にも積極的に取り組む」「ケースワーカーや民生委員等、関係者間の連携と協力のもと、生活困窮者に対して漏れのない支援を行うこと」「そのために社会福祉士等の支援業務に精通する人員を十分に配置する」などとされているところです。

 さらに、この事業の実施主体は福祉事務所設置自治体ですが、民間団体への委託も可能とされている点についてです。しかし、市営住宅や上下水道、学校教育、国保・年金、保育、介護保険、税等のあらゆる部署からの情報収集とともに連携が必要なことから、相談事業は直営とし、法律の専門家を含めた民間等の他団体との連携を強化することで、これを機に生活困窮者を真に支援できる仕組みをつくることが必要と考えます。

 担当部署をどうするのか、他の部署との連携、職員の配置、相談事業を直営とすることに関しての見解を伺います。

2) 生活保護申請の「水際作戦」を助長することにならないように

 自立相談事業には、生活保護申請への助言や適用の義務は明記されていません。モデル事業の就労支援センターを開設したある市の市長が、「この事業によって安易に生活保護を受給する方を水際で止める」と記者会見で語っておられましたが、このような不適切な運用があってはなりません。

 そこで、この支援法の様々な事業は、生活保護法第4条の第1項で「要件」とされている「その他あらゆるもの」、また、第2項の「他の法律に定める扶助」に含まれるのかどうか、すなわちあらたな制度ができても、生活保護の要件を満たしている人については、この制度に基く支給を受けているかどうかにかかわらず、保護を受給できるのかどうかについて見解を伺います。

【2回目】

1.生活困窮者自立支援法の施行に伴う諸問題について

1) 自立相談支援事業について

○生活困窮者を真に支援できる仕組みをどうつくるのか。

・生活保護に陥る前の人をどのようにしてキャッチするか…伊丹市や社会福祉協議会、様々な民間福祉団体、民生委員等とのネットワークの構築

・相談窓口にどう行き着くか…新たに生活困窮者の相談窓口を広げること、「気軽に相談にのってもらえる」市民への広報の仕方→現在は生活支援管理課が所管されて準備をされているが、法施行後もここに総合相談窓口を設置するとなると、あまりにも生活保護の相談というイメージが強く、生活保護に至らない場合の新たな支援ができるという利点はあるものの、総合相談窓口として適切なのかどうかは市民相談課との関係も含めて検討していただきたい。

・庁内の連携の中で総合的に支援する仕組みをどうつくるのか…公共料金、税等の各種滞納問題等から

○法施行前のモデル事業を行っている滋賀県・野洲市

・相談支援事業の考え方

・社会福祉協議会、ハローワークとの連携はこの事業を所管する市民生活相談課に隣りあわせで机が置かれている。

・不動産管理業者、ガス会社との連携で家賃滞納から

・国民健康保険からの生活困窮者発見プロジェクト

2) 生活保護申請の「水際作戦」を助長することにならないように

「2.ルネサスエレクトロニクスのリストラから雇用と地域経済を守るために」はこちら
「3.公共施設の再配置計画-保健センターと職員会館機能について」はこちら