2014年6月議会代表質問:ひさむら真智子 関西電力大飯原発の再稼動差し止めの福井地裁の判決について

2014年6月13日 ひさむら真知子議員

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 次に3、関西電力大飯原発の再稼動差し止めの福井地裁の判決について市長の見解を問う。

 福井県内外の住民が関電大飯原発3号4号の再稼働差し止めを求めた訴訟で福井地裁は住民の訴えを認め原子炉を運転してはならないと判決を出しました。

 この判決に多くの賛同の声も見受けられます。樋口英明裁判長は「人の命・生存権を基礎とする人格権がすべての法分野において、最高の価値を持つ」という立場からこの訴訟においてのたつべき解釈上の指針といわれています。

 また、個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なもので当って、その総体が人格権であるということが出来る。人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)また人の命を基礎とするものであるがゆえに、わが国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことは出来ない。したがって、この人格権とりわけ命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害の恐れがあるときには、人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが、その侵害形態が多数の人格権を同時に侵害する性質を有するとき、その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。と、改めて命の大切を強調されています。このような人の命が何よりも大切であるという憲法にまた判決文に感動しました。

 このような原則に立ち原発再稼働ストップとしたこの判決は画期的なものであると歓迎しますが、この判決に対しての市長の考えをいくつかお聞きしたいと思います。今日まで私たち会派は、原発の危険性を何度か質問を行い市長の考えを伺ってきましたが、「安全性の確立が必要・伊丹市は二分の一が原子力発電に頼っている原子力発電によって支えられている。自然エネルギーへの転換はコストがかかる時間がかかる、そうなれば企業は海外へ生産基地を持っていく動きが加速すると思っている」と答弁されていますが、市民から見れば大きく不安をあおられているようにも感じます。しかし樋口裁判長は電力の安定供給やコストの問題を天秤にかけた関電側の議論を厳しく退けています。

① 関電にたいして大きな自然災害や戦争以外で、人格権が極めて広汎に奪われるという事態を招く可能性があるのは原子力発電の所の事故のほかは想定しがたい、このような危険を抽象的にでもはらむ経済活動は、その存在自体が憲法上容認できないというのが極論過ぎるとしても、少なくともこのような事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その差止めが認められるのは当然である。判決文には示されています。一般的には、経済活動優先の考えの方は多いかもしれません。歴代の政府も、経済活動優先の立場から、原発は安全、クリーンと宣伝してきたのではありませんか。国民もその宣伝文句を信用していた人も多かったでしょう。結果福島原発のようなことがおこってしまったのですから二度とこのようなことは起こしてはならないと思います。

 判決文には「一旦事故が起これば止められないのが今回の事故また世界各国での事故の状況を見れば明らかであり、多くの命が危険にさらされるのです。現状では安全性の確保の難しさが示されています。日本列島は太平洋プレートなど4つのプレートの境目に位置しており、全世界の1割が狭いわが国の国土で発生する。この地震大国日本において、基準地振動を超える地震が大飯に到来しないしないというのは根拠の無い楽観的見通しに過ぎない。また核燃料の処分保存に関しても使用済み燃料は1000本を越えるが使用済み核燃料プールから放射能物質が漏れたとき外部に放出されることを防御する原子炉格納容器のような堅固な設備は存在しない。安全性の確保はされていない。」と裁判ではまったく安全性の確保は出来ていないできないことを明らかにしています。

 このことからも関西電力に再稼働中止の声を市長も上げるべきではないかと思います。

② コスト面に関しても関電側は、再稼働が電力の安定供給、コストの低減につながると主張するがきわめて多数の人の生存そのものにかかわる権利と、電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったりすることは法的には許されない。このコストの問題に関連して国富の流失や喪失の議論があるが、たとえ本原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流失や喪失というべきでなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことが出来なくなることが国富の喪失であると考えているといわれています。

③ また原子力発電所の稼働がCO2排出減に資するもので環境面で優れている旨を主張するが、原子力発電所でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすざまじいものであって福島原発はわが国始まって以来最大の公害、環境汚染であることに照らすと環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである。と環境問題も厳しく示されていますが、これらの判決文からは安全性の確保は到底出来ないとはっきり述べられてもいると思います。

 この判決から市長はどのような見解をお持ちでしょうか御考えをお伺いいたします。

④ ぜひこの判決から市長も国や関電に対して再稼働中止の声をあげ、安全なエネルギー政策への転換の立場に立っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。