2018年12月議会 加柴優美:市役所庁舎の建て替え予算

2018年12月議会 補正予算案質疑

2018年12月11日
日本共産党伊丹市議団  加柴優美

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して、議案第146号「伊丹市一般会計補正予算(第8号)の内新庁舎整備事業に対する質疑を行います。

 今議会に市役所庁舎の建て替え予算が計上されました。早期の実現と、有利な財源を活用し市民負担を軽減するため、国の財政支援制度の期限である2022年春の新庁舎供用開始を目指すとしています。

 補正予算の内容は、現庁舎周辺インフラ改修と北側緑地樹木の移植等合わせて43,035千円、今年度から2024年度までの期間の債務負担行為13,893,273千円であります。市役所本庁舎の建て替えというのは50~60年に一度あるかないかの事業であり、かつ事業費用が巨額となります。よって当局の新庁舎整備事業費にかかる説明資料を中心に数点伺っていきます。

 第一に、設計・建設費のうち「積算の手順」に関してですが、一つは従来の設計・施工分離発注方式ではなく、設計・施工一括発注方式とした理由について、二つは一括発注方式における「類似施設の実績や統計デ-タ」を用いての積算となっているようですが、従来の方式との違いについて、三つには両方式を比較した時、建設費の積算に大きな違いが生じることがあるのかどうかについて、それぞれ伺っておきます。

 第二に、当局からの資料によると、新庁舎整備事業費が基本計画時の約128億円から基本設計後は約156億円と約28億円増加しています。保健センタ-が分離され6億円あまり減少していますが、大きな増要因として消費税10%、建設費の大幅アップ、また現庁舎の地下の改修工事費が示されています。

 そこでまず建設費の大幅アップについて、標準建設費が6%金額で6億3700万円も高騰すると推計されていますが、建設材料費、労務費それぞれどのような根拠をもとに予測されているのか伺います。また現庁舎地下の躯体改修費が基本計画段階に比べて約10億円増加するとしていますが、倉庫や地下駐車場を確保するために最も合理的な方法なのか、またどのように検討されたのか伺っておきます。

 第三に、財源対策と後年度市民負担について。今回国の庁舎建設にかかる「有利な財源」により市民負担を抑えるとの説明ですが、具体的な内容・詳細について。また約28億円の増嵩経費については「公共施設整備保全基金」を活用するとしていますがその内容についてそれぞれおききしておきます。

 次に今後必要と見込まれる経費についてですが、当局資料によると一つは窓口呼び出し設備・環境監視設備など設備関係や各業務システム(各部局業務に必要な設備)など付帯設備にかかる経費が未計上とのこと。概算でも推計できませんか?。さらに今後必要と見込まれる経費として「物価の変動にともなうスライド条項の適用」などがあるとしています。仮にこうした条項を使う事態になった場合、どのような影響がありますか。

 次に事業者選定にかかるスケジュ-ルについての当局資料によりますと、来年1月下旬に入札公告し5月下旬までが入札期間となっています。要求水準書、落札者決定基準、VE提案などの要領が公表され、当局は総合評価方式一般競争入札を実施する方向であると聞いていますが、これまでの一般的な入札とどのような違いがありますか。

 最後に現時点で約156億円とされる総事業費に対する市民の受けとめについてであります。一点目は、これまでのパブリックコメントや市民ワ-クショップ等では、「もう少し先だと聞いていたが、なぜ今の時期に建て替えなのか。」、「なぜこれほど建設費用がかかるのか」などの意見も市民からあがっています。当局はこれまでこうした市民の疑問に対してどのように答えてきたのか端的にうかがっておきます。二点目は、これだけの費用となる新庁舎整備事業に対して、今後市民から理解を得るために市・当局はどのような対応、対処を考えているのかおききしておきます。

【一問一答方式による質問】

1.現庁舎地下の改修方策の見直しにより、基本計画段階に比べて約10億円費用がアップすることに対して、当局から「地下一階部分を新耐震基準で再構築することで、地下躯体の耐用年数を新庁舎と同様の65年間とする計画を検討した」との説明でした。計画では現庁舎地下の上には建物ではなく「市民広場」を配置するもので、たしかに耐震強度はより大きいことにこしたことはありませんが、あえて10億円追加して改修しなければならない「必要性」についてお聞きします。

2.財源対策と市民負担について

(1)基金の活用については、公共施設等整備保全基金を最大限活用する。同基金の今年度末の残高は約47億円で、新庁舎整備事業完了までにはさらに積立てることで、約49億円を充当していくとの答弁でした。その分市民負担を抑えることができるわけですが、その結果公共施設等整備保全基金は枯渇する、ゼロとなります。これまで伊丹市公共施設等総合管理計画つまり公共施設マネジメント基本方針に従って、今後の更新費用が年平均で78億円かかるとの試算のもとに公共施設等整備保全基金を積み立てしてきました。今回の結果、今後新庁舎整備事業以外のさまざまな事業の財源手当てに影響しかねず、公共施設再配置計画の見直しについてはどのように考えていますか。

(2)先ほどの答弁で改めて有利な地方債を発行することで後年度の市民負担が
  約30億円軽減されるとありました。さらに後年度負担を減らすために一定の一般会計にかかる財政調整基金の活用は考えておられないのでしょうか。

(3)答弁でもあったように新庁舎整備事業において156億円以外にも今後必要と見込まれる経費がかなりあることが明らかになりました。今日の段階では額を示すことは困難とのことですが、いずれにしても整備ごとに予算措置をしなければならず財源はどのように考えているのですか。