2018年6月議会 加柴優美:生活保護、山田伊丹線

2018年6月議会 加柴優美:一般質問

2018年6月18日 日本共産党議員団 加柴優美

 ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して通告どおり質問を行います。

 一点目は、生活保護に関して「スティグマ」の解消と制度の周知徹底についてであります。

 収入から税、社会保険料などを差し引いて、生活保護基準以下の所得でくらす世帯が2016年度は全国で705万世帯あり、そのうち実際に生活保護を利用していた世帯は22.9%(161万世帯)しかいないことが厚生労働省の推計でわかりました。資料が今年5月29日参議院厚生労働委員会に提出されました。この22.9%という数値は、格差と貧困が広がるもと国民の生活を守る最後のセ-フティ-ネット(安全網)の周知徹底と利用しやすくするための制度改善が大きな課題であることを改めて裏付けるものになったと思います。

 現行の生活保護は、所得が保護基準(最低生活費)以下でも、預貯金が最低生活費の1ヶ月未満、あるいはほとんどない場合でないと利用できません。この預貯金額を考慮した推計でも、預貯金がほとんどない保護基準以下の所得世帯のうち実際の保護利用世帯は43.7%にとどまりました。こうした状況を踏まえて以下数点うかがいます。

 第一に、今紹介した22.9%との数字は生活保護の捕捉(ほそく)率が異常に低い実態を表していると考えますが、当局の見解をうかがいます。伊丹で独自に捕捉率の調査等はなされていないと思いますが、本市の実態についてはどのように推測されているのかもうかがいます。

 第二に、捕捉(ほそく)率が低い原因について専門の研究者は、第一に、「スティグマ」といわれる“生活保護は恥だ”という意識や、生活保護に対する「バッシング」から、生活保護を申請することをためらってしまうこと。第二に、年金があったらダメ、働いていたらダメ、持ち家があったらダメなど誤解している人が多いこと。つまり制度の周知不足と指摘しています。こうした指摘に対して当局の認識はどうでしょうか。

 第三に、制度の周知徹底についてですが、一つには生活保護のしおりや市のHPの改善 を求めたいと思います。

 市のHPに生活保護の制度紹介・目的が次のように記述されています。すなわち「私たちの一生の間には、病気やケガや高齢等のために働けなくなったり、働いても収入が少なかったりして生活に困ることがあります。生活保護はこのような状況にある世帯に対して経済的な援助を行いながら生活を保障し、ふたたび自分たちの力で生活ができるようになるまでの間手助けする制度です。」との内容です。この内容は決して間違いではないとは思いますが、しおりに記載されているように国民の権利として、「生活保護は憲法25条『すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』の理念にもとづき制定された生活保護法により、生活に困っている世帯を対象に、国の責任で最低限度の生活を保障し、生活の立て直しを支援する国の制度です。」と明記してほしいと考えますがいかがでしょうか。

 また最低生活費すなわち保護の支給額と収入との関係をわかりやすいものにすることです。先ほども触れましたが、年金があったらダメ、働いていたらダメと思っている人は結構おられます。保護費支給額と収入との関係をわかりやすいものにしていくために、世帯構成、世帯人数別に最低生活費=保護基準額を示すことが必要であり、そして収入が最低生活費より低い場合は生活保護の対象になること等記述をわかりやすい内容にしていくことが大事はないかと考えますがどうでしょうか。

 さらに「扶養義務者の扶養」に関する記述についてであります。生活保護の「しおり」には、「民法に定められている扶養義務者の扶養は生活保護に優先」「援助が受けられるか相談し、可能な限り援助を優先」とあります。市民の中にこの「兄弟・親族からの扶養」との記載があるから保護申請を躊躇するというケ-スが多くあります。たとえばこの部分について、「扶養義務者から援助を受けることができる場合は、援助を受けてください。」にすると受け取る側の気持ちも違ってくると思います。今後記述に工夫してほしいと考えますが、見解をうかがいます。

 二つには、生活保護のしおりを保護課内配備から広く市民の目の届く役所ロビ-や各支所分室等に配備をしてほしいとの要望です。市民生活等にかかわる制度は数多くありますが、しかしそれは市民が日常的に目に触れ、制度の内容について知ることがなければ生きたものにならないからです。当局の見解を求めるものです。

次に2点目、都市計画道路山田伊丹線についての質問です。

 2016年2月に策定された都市計画道路整備プログラムの見直しにより、今年度中の事業着手路線となった「山田伊丹線」について、当該地域及び地権者の中で賛否両論がある中、今年当初から予備設計、路線測量が実施されています。当局は極力早急に「事業着手」したいとの意向のようですが、今回山田伊丹線の事業の進捗と地元地域・地権者への対応について以下数点質問します。

 第一に、予備設計業務の進捗状況についてです。 

 「予備設計業務」の内容とは、新設道路の設計に必要な測量作業と道路法線の決定等に必要な設計を行うもので、現地測量にて地形図を作成し、都市計画決定されている道路計画線をふまえ、道路の中心線を決定し、断面測量や横断測量等の成果から道路構造令等の技術基準に照らし道路の法線を決定するものと説明を受けています。

 予備設計は昨年12月に補正計上となり、当初は2017年度末(今年の3月末)の完了を予定していましたが全額翌年度に繰り越しされています。実際の予備設計業務の進捗状況はどうなっているのかうかがいます。

第二に、昨年12月議会で予備設計や路線測量費として10,211千円を議決する際、都市計画道路山田・伊丹線整備事業に関して、

①拙速に事業を進めることなく、地元住民に対して十分な説明を行うこと。

②権利者には個々の状況に応じて丁寧に相談にのり、納得を得るよう努めることとの“付帯決議”を可決しました。

 今年度市は事前評価業務および詳細設計業務を実施するとしていますが、特に4月以降、地域住民や当該地権者との話し合いの状況について、またその内容は付帯決議にあるように納得のいくものになっているのかうかがいます。

 第三に、2018年度当初予算に3100万円の計上し、今年度は事前評価業務及び詳細設計業務を実施するとしていますが、具体的な今年度の事業テンポをどのように考えているのかうかがいます。

 第四に、一般的な都市計画道路整備のながれは、概略設計・事前調査を行った後に、事業認可を取得して事業着手となると聞いています。山田伊丹線について、事業認可の申請次期や必要な住民説明をどのように考えているのかうかがいます。

 第五に、行基町工区の経緯と教訓に関連してうかがいます。山田伊丹線行基町工区の経緯については、①残地の買収は行っていない。②移転のための代替地として、土地開発公社の所有地を代替え地として提供したのが1件のみ。(現在土地開発公社が解散しているため代替地はなし。)、③全部の移転が終了するまで約8年かかっている。(工事期間は2年、全体で10年=当初予定の2倍の期間を要している。)等であります。

 特に計画道路に直接関係する地権者からは、移転補償額、残地問題、移転先などにかかわってさまざまな疑問、批判が渦巻いています。よって行基町工区の経緯と教訓を今回の事業にどう生かそうとしているのかうかがって、第一回目の質問とします。