2014年3月議会 本会議 平成26年度一般会計予算・老人等医療費の助成縮減に反対

議案第20号「平成26年度一般会計予算」、議案第51号「伊丹市老人等医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例の制定について」に対する反対討論

2014年3月27日

日本共産党伊丹市議会議員団

日本共産党議員団を代表して、議案第20号「平成26年度一般会計予算」並びに議案第51号「伊丹市老人等医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例の制定について」に対して反対の立場から討論します。

はじめに、議案第20号「平成26年度一般会計予算」についてです。

2014年度の市民をめぐる情勢は、働いている人の賃金が20ヶ月連続で前年同月比マイナスとなるとともに、アベノミクスの金融緩和で、レギュラーガソリンや灯油、ガス・電気代、生鮮野菜、マーガリンや乳製品など生活必需品の価格高騰が続き、2013年の消費者物価指数が前年比0.4%上昇するなど、生活がより悪化する中で迎えようとしています。

その上、国の予算で、70歳から74歳の医療費窓口負担を1割から2割に倍増し、生活保護の生活扶助費を2.5%削減、年金支給額も1%削減など、社会保障の負担増と給付減で国民負担は約2兆円、消費税増税と合わせて10兆円もの国民の負担が増えることになります。兵庫県も、老人医療費・母子家庭等医療費の助成を削減しようとしています。
このように市民の暮らしは深刻になっているとき、伊丹市は市民生活を守る防波堤としての役割を果たさなければなりません。

以下、意見を述べます。

はじめに歳入についてです。市税においては、法人市民税は若干の増とするものの、個人市民税は復興税と給与所得控除の上限設定による増税による増収を見込む一方、個人給与所得や年金所得等では減少するとし、アベノミクスによる市民への悪影響があらわとなっています。

地方交付税では、国は一般財源について、前年度水準を相当程度上回る額を確保したとしていますが、約6000億円の増に過ぎず、新たな社会保障関係費や給与削減分の復活等による1.3兆円の増額を満たさず、総額を抑制するための経費削減を行っており、引き続き「抑制基調」であることには変わりません。伊丹市として、小泉内閣によって大幅削減した地方交付税を以前の水準まで復元することを、引き続き要望していただきたいと思います。

次に問題点について述べます。

第1に、全国緊急防災・減災事業の財源確保の名目に、個人市民税の均等割を500円引き上げ、約9万人に対して4500万円の増税を行いました。国は、法人税に対してはいち早くこの復興税は廃止をする一方、消費税増税と物価の値上がり、所得減少に苦しむ市民だけへの増税は納得できません。

第2に、兵庫県の「第3次行財政改革プラン」に基づく老人・母子家庭等に対する福祉医療助成制度縮減により、伊丹市もこれに従い、それぞれの生活困窮者に対して、合計約17240万円の負担を押し付けようとすることです。丹波市では母子家庭等に対する医療助成は、全額自治体の負担で市民への負担を回避する措置をとりますが、伊丹市としてもそうするべきです。

第3に、中学校給食では、長年の市民の願いが実現することとなり、評価するものです。

しかし、自校調理方式ではなくセンター方式とすること、並びに調理部門等を民間に委託するという「基本計画」を策定されたことは問題といわざるをえません。今後の課題として、一つには、自校方式のメリットを取り入れたセンター方式とするといわれていますが、生徒と栄養士・調理員との交流ができ、給食をつくる人への感謝の心をはぐくむことができる体制を取られること、野菜等の食材の地産地消によって学校と地域をつなぎ、都市農業の発展に寄与できるようにすること、アレルギー対策等安全・安心で、バランスの取れた給食の提供と同時に、生徒の意見を聞いて残食を減らす努力をすることなどを求めるものです。また、調理業務の民間委託に関しては、偽装請負が常態化せざるをえないこと、民間業者の経費削減のために従業員の給料が抑制されることや入札によって事業者が変わることで、安定した調理業務に支障をきたすことから、直営で運営することを強く求めるものです。

また、小学校給食に関して、2時間喫食、二重食缶、栄養士・調理員との交流による食育の推進等充実されることをもめるものです。

第4に、学校教育審議会で議論されている公立幼稚園のあり方に関して、教育委員会の見解をただしたところ、今後引き続き議論がなされるとしながらも、一つには、幼稚園の規模としてⅠ学級20人以上、並びに複数学級が望ましいとして、神津認定こども園を除いた16園を10園に統廃合されようとしていること、また3歳児保育を実施することは難しいとされていることです。幼稚園教育のあり方の問題が十分議論されておらず、10園に統廃合する根拠も3年保育が困難であるという理由も明らかではありません。今までの答申にこだわらず、改めて、今後伊丹市全体の3歳以上の幼稚園教育のあり方を十分議論をしていただき、3年保育を実現するとともに公立幼稚園の統廃合はしないことを、伊丹市子ども・子育て支援事業計画に反映していただきたいと思います。

第5に、国民健康保険事業に対する「法定外繰り出し」の見直しをされたことです。すなわち、従来通りの繰り出し基準による予算化をし、国保会計が黒字の場合、黒字分を一般会計に繰り戻して基金に積み立てる、赤字が生じたときに基金を取り崩して国保会計に繰り入れをするというものです。この場合、赤字になっても国保税は値上げをしないという側面があるものの、高すぎて払えないという国保税の引き下げはしないということにもなります。

2017年度の「都道府県単位化」に向けて国保会計の赤字は生じさせないということを目的としたものですが、たとえば、2013年度に関しては、当年度の値上げ分2億9千万円のうち、2億5,200万円は黒字となる見込みであり、一般会計に繰り戻すのではなく引き下げに使うべきでした。

次に、来年度予算で評価すべき点についてです。

第1に、国の補正予算等の有利な財源を活用して、学校施設大規模改修やプール整備、市営住宅管理工事等公共施設の保全・改修を実施することです。ただ、入札における不調が昨年多発しており、来年度の公正・公平な入札が実施できるのかどうか心配をするものであり、改善を求めるものです。

第2に、(仮称)児童発達支援センター整備事業を予算化されるとともに、荻野保育所の新築移転による耐震化、私立保育所等の施設整備によって275名の認可保育所定員増員をはかるなど、子育て支援策を充実されることです。認可保育所に関しては、2017年度から始まる「子ども・子育て支援新制度」に向け、保育所の待機児童は認可保育所で充足できるように、ニーズ調査の結果を踏まえて必要な増員をはかっていただくこと、小規模保育事業の基準は認可保育所と同基準とすること等、委員会で要求したことの実現を求めるものです。

第3に、自転車安全条例の制定と自転車等対策審議会の設置によって、自転車安全対策を市民と専門家の力を借りて行うこととされたことです。

次に、次年度に向けて主な要望をします。

一つは、安倍内閣による地方交付税の一方的な削減に対して、一般職の給与定昇停止と課長級以上の職員の給与削減を行っていますが、その復元を急ぐことです。

二つには、子ども医療費助成は、通院も含めて中学校卒業までの無料化を検討すること。

三つには、障害福祉に関しては、障害者権利条約の批准に伴い、条約を誠実に履行する立場からの障害福祉計画の策定を求めます。

四つには、農業振興基本条例に関しては、農業も含む産業振興基本条例の策定を求めます。

五つには、小中学校における就学援助では、新入学児童生徒学用品費等は入学前に支給できるように改善を求めます。

以上、主なものに限って問題点と評価すべき点、次年度への要望を述べました。そのほか、本会議・委員会で多くのことを要望しましたが、来年度に十分検討され、実施できる事業等から補正予算等に反映していただきますよう求めるものです。

次に議案第51号「伊丹市老人等医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例の制定について」です。

本議案は、兵庫県の「第3次行財政改革プラン」に基づき、老人・母子家庭等に対する福祉医療助成を縮減しようとするもので、この改正によって、アベノミクスによる生活必需品の高騰、年金と給与引き下げの中で、低所得者層に対する一層の困難をもたらすことになります。よって反対とするものです。

以上、議案第20号並びに第51号に対する反対討論とします。議員各位のご賛同よろしくお願いします。