2015年6月議会 一般質問
2015年6月8日
日本共産党伊丹市議会議員団 かしば優美
ただいま議長より発言の許可を得ましたので私は日本共産党議員団を代表して通告通り質問を行ないます。是非誠意ある答弁よろしくお願いします。
1.医療保険制度改革関連法成立に関して
いわゆる「医療保険制度改革関連法案」が5月27日国会で成立しました。審議時間は衆参あわせても37時間。参議院では当初賛成を表明していた議員も反対し、付帯決議の要望は19項目にのぼるなど問題だらけの法案であります。以下市民に大きな影響を与える諸点について質問します。
(1) 医療費適正化計画の見直しによる影響について
今回医療費適正化計画の見直しがうたわれ、目標設定等の見直しの中で、(1)都道府県が策定する「地域医療構想」と整合的な目標(医療費の水準、医療の効率的な提供の推進)を計画の中に設定し、国においてこの設定に必要な指標等を定めることとする。(2)上記の見直しにあわせて現行の特定検診・保健指導実施率について必要な見直しを行なうとともに、後発医薬品の使用割合等を追加した上で、あらたに2018年度から保険者支援制度による支援金を交付するとしていますが、国保財政への影響についてうかがいます。
(2) 都道府県による国保財政の管理についてです。
昨年9月議会本会議で都道府県化の進捗状況について質問した時の答弁は、「国の国保基盤協議会が発表した中間整理では、財政運営は都道府県が担い、保険税の賦課、徴収、保険事業などは引き続き市町村が担うことになっています。保険税の賦課、徴収の具体的な仕組みとしては、分賦金方式を採用する方向性が示されています。この分賦金方式とは、都道府県が国保の医療給付費等の見込みに応じた保険税収納必要額を算出し、各市町村が都道府県に納める額を分賦金として定め、各市町村が賄うために必要となる保険税を被保険者に賦課し、徴収し、都道府県に納付する仕組みです。」というものでした。
国保運営のあり方の見直しについて今回の関連法の中では、「都道府県は市町村ごとの標準保険料率を提示する。国保の運営方針を定め市町村の事務の効率化・広域化等を推進」等の内容となっています。しかし「標準保険料率の提示」は市町村を保険料引き上げに駆り立てにつながりかねず、「国保の運営方針を定め市町村の事務の効率化・広域化等の推進」は、一般会計から国保会計への法定外の繰り入れや市町村の保険料独自減免措置の中止など、市民・被保険者に大きなしわ寄せがくると思いますが当局の見解をうかがいます。
(3) 医療費適正化計画見直し、入院食費などの患者の負担増に関して市立伊丹病院におききします。
先ほど国保への影響について伺いましたが、医療費適正化計画見直しの中にうたわれている「平均在院日数の短縮」の市立病院への影響についてうかがいます。
また今回入院時食事療養費等の見直しが行なわれています。入院時の食事代について、入院と在宅療養の負担の公平等をはかる観点から、在宅療養でも負担する費用として、食材費相当額に加え、調理費相当額の負担を求めるとしています。低所得者は据え置くものの、一般所得の人は現行1食260円が2018年度から460円となり、高額療養費と合わせた1ヶ月の入院費用は12万円、平均給与の3割を超えるものになります。
しかし入院と在宅は違いがあり、「在宅との公平性」という論拠は成り立たたず、入院食費などの患者の負担増は受診抑制と重症化をもたらすのではないかと考えますが、市立病院の実態も含めて見解をうかがいます。
2.関西広域連合の「原子力災害に係る広域避難ガイドライン」について
原発再稼動問題について日本共産党議員団は、昨年6月議会で、関西電力大飯原発稼動差止めを求める福井地方裁判所判決に対する市長の見解を問うなど、一貫して「原発再稼動ストップ、原発ゼロ」の立場で議論してきたところです。一方その後安倍内閣は大飯原発をはじめ鹿児島川内原発や高浜原発の再稼動を強引に進めようとする中、過半数を超える国民が反対している状況となっています。
こうした中、大阪府、兵庫県を含む7府県で構成する関西広域連合は、昨年3月に、福井県に15基ある原子力施設で災害が起き、30キロ県内の住民が避難する場合、兵庫、大阪、徳島の3府県で約25万人の受け入れを決める「原子力災害に係る広域避難ガイドライン」を作成しました。そして平成26年度修正版・伊丹市地域防災計画には、原子力災害に係る広域避難対策については、「原子力災害に係る福井県及び京都府からの広域避難については、平成26年3月に関西広域連合において「原子力災害に係る広域避難ガイドライン」が策定され、福井県おおい町からの広域避難者を本市で受け入れることとなっているが、避難手段の確保やスクリ-ニング実施体制等の課題が残されているため、今後、対策の早期具体化を国、関西広域連合及び避難元府県等に対し要請し、本市における受け入れ体制を整備する。」と記載されています。
同ガイドラインによると、伊丹市はおおい町から4,500人あまりを4つの拠点避難所(伊丹スポ-ツセンタ-、スカイパ-ク、笹原公園、昆陽南公園)と24の小中学校などを具体的避難所として受け入れる計画となっています。以上の経過を踏まえて数点質問します。
(1) 原子力災害に係る広域避難ガイドライン受け入れを決めた根拠及び経過等について。
南海トラフ地震にかかる広域避難対策について伊丹市は、「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(2013年12月27日施行)」で「防災対策推進地域」の指定を受けています。ところが原子力災害に係る広域避難対策については「法的」根拠はなく関西広域連合のガイドラインによるものとなっています。伊丹市がこのガイドラインを受け入れた経過、根拠をうかがいます。
(2) 他の災害に比べて「原発災害」がきわめて異質であるとの認識について
地震、津波など大規模かつ広域に生じる自然災害の被災者にかかる避難受け入れは人道上からも最優先されなければなりません。しかし福島原発事故のその後を見ると、福島の避難者数は現在も12万人以上にのぼり、事故後9つの町村が役場機能を他の自治体に移転し、広い範囲で社会経済機能が麻痺しました。改めて原発事故がいかに深刻な被害をもたらすのか直視すべきです。当局は再稼動による過酷事故を想定したような「原子力災害に係る広域避難ガイドライン」の受け入れに関して充分な議論が必要だと思いますが、見解を求めておきます。
(3) 日本共産党は「原発再稼動ストップ、原発ゼロ」の立場ですが、今大飯原発や高浜原発の再稼動に向けた動きが大問題となっていることは先に述べた通りです。特に高浜原発についていえば、同原発から約30km圏内には、福井・京都・滋賀の25万人以上が暮らしています。京都北部の住民は、福井県の住民の2倍以上です。舞鶴市の一部は5km圏内でもあり、舞鶴市・宮津市は全市民が避難となります。
福井県知事と関西電力は、再稼動の判断は、福井県と高浜町だけで充分と言っています。しかし、事故の被害を受け避難を余儀なくされる30km圏内と伊丹市を含む関西一円の自治体・住民の意思が尊重されるべきだとする考えがありますが、当局の見解をうかがっておきます。
1、医療保険制度改革関連法成立に関して(2回目)
●国保財政運営の都道府県化について再質問します。
第一に「都道府県は納付金をまかなうために必要となる『標準保険料率』を市町村ごとに算定 し、市町村はそれを参考としてそれぞれの保険料率を定めることとされています。」と答弁がありました。問題は例えば兵庫県が保険税の収納率に関してどのような「標準」値を示すかであります。伊丹市国保会計今年度予算では保険税の収納率を88.5%と設定していますが、仮に県が示す「標準」値が90%を超えるようなことになれば、現在以上に徴収強化につながっていくと危惧するものですが、見解を求めておきます。
第二に、国による国保の財政支援の拡充に関して、「国は、平成29年度から毎年3,400億円の公費投入により国保の財政基盤を強化する方針です。これは全国規模で約3,500億円もの市町村一般会計からの法定外繰り入れを実施している状況に鑑み、国保の財政赤字の改善につなげるとともに、一般会計からの法定外繰り入れを解消するねらいがあります。」と答弁がありました。
財政支援の拡充により、一般会計からの法定外繰り入れがなくなる方向性であるとすれば、本市は現在の法定外ル-ル分と同等額を確保できるのかどうかうかがっておきます。
第三に、「都道府県が国保の運営方針を定め、市町村の事務の効率化・広域化等の推進」関して、「兵庫県内の市町村の任意給付や保険料の減免等に関する統一基準などは今後の検討課題になる。」との答弁でした。しかし例えば「平成の大合併」の内容を見ると、さまざまな行政水準は最終的には最も低いところに合わせるといいますか着地しています。国保においても独自給付や保険料の減免規定、短期証・資格証発行の基準など各市町村によってもかなりの違いがありますが、これを都道府県化つまり「広域化」に向かえば最大公約数による施策となり、被保険者にとってこれまでより厳しくなることについての。当局の見解をうかがいます。
●【病院関係(2回目)】
市立病院に「入院食費などの患者負担の増加が、受診抑制や重症化をもたらすことにならないのか」との質問に対し、「今回の医療制度改革が、一概に受診抑制や重症化につながるものとは考えていません。」との答弁でした。しかし国は今70歳から74歳の医療費自己負担割合を段階的に1割から2割に引き上げるなど、高齢者全体への負担を増やしているだけに大変危惧するところです。引き続き注視していきたいと思います。
●関西広域連合の「原子力災害に係る広域避難ガイドライン」について(2回目)
(1) 先ほどの答弁で広域避難ガイドラインの受け入れを決めた経過について説明がありました。
関西広域連合が同ガイドラインを策定したのが昨年3月で、これを受けた形で伊丹市は2014(平成26)年度本市地域防災計画の修正版に、広域避難にかかる協議・検討中の対策としとて「原子力災害に係る広域避難」を明記しました。
疑問となるのは、答弁でも「各地の原発再稼動について広域避難を含めさまざまな議論がなされている」ありました。このような重大な問題であるにもかかわらず、(1)伊丹市防災会議で「原子力災害に係る広域避難」に関して議論した形跡がほとんどないこと。(2)広域避難ガイドラインの受け入れを決めた経過やしかもガイドラインには本市の受け入れ避難所まで明記されていることなどが議会や市民に知らされていないとの点であります。
(2) 再稼動の判断は関西一円の自治体・住民の意思が尊重されるべき
「現在明確な判断基準はない」「国が責任をもって判断するべきもの」といわれました。しかし実際福島第一原発事故で明らかになったことは、様々な要素において被害を受けるのは原発立地自治体だけではないということ。2014年8月に兵庫県が公表した放射性物質拡散シュミレ-ション結果でも避難先の県下自治体も高い被ばく予測となっていること。など考慮すればこの立場で国・県に対し要望していくことが大事だと思います。