2012年7月:上原ひでき 社会福祉協議会予算、特定疾患医療費助成廃止、生活習慣病予防事業

2012年7月6日
日本共産党伊丹市会議員団 上原 秀樹

文教福祉常任委員協議会の報告

 7月5日に開催された文教福祉常任委員協議会は、①社会福祉協議会・社会福祉事業団の予算、②特定疾患医療費助成制度を廃止することについて、③伊丹市とフィットネス事業者との連携による生活習慣病予防事業について、の3点について協議を行いました。

①社会福祉協議会・社会福祉事業団の予算

 社会福祉協議会については、歳末たすけあい募金の有効配分の実施に関する問題、アイ愛センターの災害時における対応について、伊丹市福祉権利擁護センターについて。

 社会福祉事業団については、今年度の介護報酬の改定の影響などについてただしました。

②特定疾患医療費助成制度を廃止することについて

 国の難病対策は、56疾患に限定、県は3疾患を上乗せして医療費助成をしている。伊丹市は、県の3疾患を含めて16疾患を上乗せし、難病患者に対して独自に医療費助成(入・通院費を月額上限3万9千円助成)を行ってきている。当局は、この助成制度は福祉の観点から意義ある制度であるとしながらも、16疾患以外の疾患患者との整合性がなく、公平性に欠けること、国が定める認定基準や専門的知識を有するものからなる審査機関がなく、設置することも困難であること、このことから財政負担を考慮して積極的に周知をしてこなかったことなどから、経過措置をとって廃止するとの報告。

③伊丹市とフィットネス事業者との連携による生活習慣病予防事業について

 当局の説明資料→伊丹市とフィットネス事業者との連携による生活習慣病予防事業について

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以下①②の詳報

1.社会福祉協議会・社会福祉事業団の予算について

【社会福祉協議会予算】

○歳末たすけあい募金の有効配分の実施に関して、昨年から「見舞金」を廃止して、申請方式による年末年始の地域福祉事業に配分することにしたが、地域組織に対する連絡が遅く、約1ヶ月間しか申請期間に猶予がなかった。このことから、早く組織に知らせるとともに、予算を話し合う段階から周知すべきではないかと質した。答弁では、今年は約2ヶ月の猶予を考えていること、募集する段階から地域に有効に配分されることを周知することで、地域の募金活動にも有意義となると考えるとのこと。

○障がい者デイサービスセンターのあるアイ愛センターの災害時における対応について、昨年の予算で福祉避難所としての設備を設置するとしていたが、どうされたのかと質したところ、予算がつかず整備されなかったとの答弁。福祉避難所自体が足らなくて、増やすことも求められている。せめて避難所に指定しているところは、きちんと整備することを強く要望した。また、デイサービスに通所している人たちの災害時対応として、職員の対応は当然のこととして、自宅にいる場合、地域や関係機関との連携を日常的にとっておく必要性についても強調した。

○「伊丹市福祉権利擁護センター」が8つの福祉法人と共同で設立がされ、社会福祉協議会が事務局を担当している。地域福祉を担当する社協が事務局を担当することから、高齢者の虐待や施設利用者の権利擁護等あらゆる権利擁護を受け持つのか、との質問に、この「権利擁護センター」は「市民後見人」制度を扱う協議の権利擁護としたとの答弁。「センター」として各地域で「何でも相談会」を行うとされているが、日常的なあらゆる権利擁護の相談に関しては、「センター」として扱わないとのこと。社会福祉協議会が事務局を担当する「センター」として適切なのか疑問が残るところ。もちろん、あらゆる権利用語に対応するためには、それなりのスタッフが必要で、現状のままでは対応できないというのが実情のようだ。

【社会福祉事業団】

○今年度の介護報酬改定は1.2%となったが、介護職員の処遇改善交付金を廃止し、介護報酬に組み込んだことから、実質的にはマイナス改定。このことがどう影響するのか質したところ、始まったところで具体的な影響は不明、積極的に事業展開(サービス拡大)することで、介護報酬をプラスにするという予算を組んだとの答弁。今回の改定で生活援助が縮小されている問題を挙げ、このことでサービスを低下させないこと、総合的な事業所として全体でカバーできるようにすることを要望。

○予算の「基本方針」の中で、組織体制の整備・強化について、組織活性化に向けた人事給与制度の見直しに着手するとしているが、その具体的内容について質問。答弁では具体的には決まっていないこと、これから考えをまとめるとのこと、給与を引き下げるという単純な考えではないとのこと。

2.特定疾患医療費助成事業について

○国の難病対策は、56疾患に限定、県は3疾患を上乗せして医療費助成をしている。伊丹市は、県の3疾患を含めて16疾患を上乗せし、難病患者に対して独自に医療費助成(入・通院費を月額上限3万9千円助成)を行ってきている。当局は、この助成制度は福祉の観点から意義ある制度であるとしながらも、16疾患以外の疾患患者との整合性がなく、公平性に欠けること、国が定める認定基準や専門的知識を有するものからなる審査機関がなく、設置することも困難であること、このことから財政負担を考慮して積極的に周知をしてこなかったことなどから、経過措置をとって廃止するとの報告。

○検討委員会でも、伊丹市の助成制度のうち76%を占めるリウマチ患者に関して、生物学的製剤の投与で費用は高額だが後遺症もなく非常によい状態に進んでいること、助成制度の廃止で治療を止めなければならなくなることが予測される、との意見が出されているとおり、助成制度を受けてきた患者にとっては死活問題。特に助成されている所得階層が200万以下とする人が67%を占めていることから、廃止は問題ありと指摘。答弁では、3年間の経過措置があり、その間に医療機関と相談していただくと。しかし、相談しても安価の生物学的製剤の投与はできる展望はない。

○不公正というなら、都道府県間でも独自の上乗せに違いがある(兵庫県では3疾患、東京都は22疾患)。本来は5千から7千あるとされるすべての難病患者が安心して医療を受けることができるようにするため、国の制度を拡充することが大事。伊丹市だけが独自助成を行ってきた経過から、兵庫県と国に対して制度拡充を強く求めることを要求(特に国が、「社会保障と税の一体改革」で、難病対策の充実を議論しながら、消費税増税だけ決めて、医療費助成は何も決めていないことを批判して)。答弁では、いままでも行ってきたが、これからも国に対しては制度充実を要望していくと。

○改めて、今回の特定疾患医療費助成制度廃止は納得いかない、と強調した。