2012年9月議会:上原議員 損害賠償事件に係る和解について

議案第121号 損害賠償事件に係る和解について

 議案となっている傷害事件とは、2009年10月4日、北中学校の生徒が暴行を受けて死亡した事件。被害者の原告らが、伊丹市に対しては、暴行事件を未 然に防止するための適切な措置を講じてこなかったとして、損害賠償を求めたもので、その損害賠償事件にう関して、和解案が示されたものです。

 その和解案では、伊丹市に対する損害賠償を放棄すること、伊丹市は、原告に対し、哀悼の意を表すこと、このような事件が2度と起きないように、生徒の安全確保に最善を尽くすこと、心の教育や生徒指導体制の充実を図るとされています。

 質疑では、伊丹市、教育委員会の今後の対策について伺います。

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2012年9月11日
日本共産党議員団 上原ひでき

 

2.議案第121号 損害賠償請求事件に係る和解について

 本損害賠償請求事件は、2009年10月4日、北中学校の男子生徒が、生徒から暴行を受けて死亡した事件に関して、被害者の両親らが、伊丹市については、暴行事件の発生を未然に防止するための適切な措置を講じなかったとして、損害賠償を求めたもので、本議案においてその和解案が示されています。この事件は決して忘れることのできないものであり、改めて二度とこのようなことが起こらないよう対策をとることが求められています。そこで次の点をお聞きします。

 1)和解案(3)においては、このような事件が二度と起きないようするため、学校の教育活動における取り組みについて、生徒の安全確保に最善を尽くすとともに、心の教育の推進、生徒指導体制の充実を図るとされています。短い言葉で意を尽くしていない点もあるのではないか、と考え、具体的取り組みにについてお聞きしたいと思います。

①このような問題を考える場合、問題行動を起こす生徒の要因のもっと奥にある子供をめぐる状況を見ることが必要です。子供が問題行動起こしたり不登校になったりする背景には、社会のひずみによって抱え切れないほどのストレスと生きづらさがあるという問題です。この件については、2010年の代表質問で見解を伺い、答弁で、家庭においては核家族化や少子化、リストラや派遣切り、離婚やDVなどの家庭問題、学校においては、人とコミュニケーション不足などをあげ、子どもの姿はある意味において大人社会を反映しているとして、教育委員会と学校、家庭、地域がそれぞれの責任を果たしていくことが肝要であるとされました。

 それでは教育委員会と学校が責任を果たすとは何であると考え、これまでどのような取り組みを行い、今後何を改善、強化されようとしているのかお伺いします。

答弁

 教育委員会と学校が果たす役割は、未然防止と早期発見・早期対応と取り組みが重要。

 学校は問題を隠すことなく、教職員が一体となって対応し、教育委員会は、必要な指導・助言を行ないながら学校が適切に対応できるようサポートする体制を整備すること。

 事件10日後に「伊丹市少年非行防止対策プロジェクトチーム」を立ち上げ、問題点を整理、今後の課題を明確にして取り組んでいる。

②次に、和解案に書かれている、「生徒の安全確保に最善を尽くす」ために何が必要かという問題です。その一つが教員の多忙化を解消して子どもに向き合う時間を増やすことにあると考えます。生きづらさを抱える子供、困難な家庭がふえ、さまざまな子供の問題行動が出てくる中で、教員のやるべき仕事は一段とふえています。教員がゆとりを確保することこそが子供の健やかな発達・成長に必要であることは言うまでもありません。そのためには教員の増員、少人数学級の拡充が求められています。

 今回の大津市のいじめ自殺事件に関する国会での質問に対して、平野文部科学大臣は「教員が多忙であるのは否定できない」と認め、「子どもと向き合う時間を大きく取れるようにするため、定数の改善をしていかなければならない」と述べています。

 伊丹市行政において、生徒の安全確保に最善を尽くすための基盤整備対策として、国・県に対しても、さらには伊丹市独自にも、この立場が必要ではないかと考えますが、その認識を伺います。

 また、現状の中でも教員が子どもと向き合う時間を増やす取り組みをどのようにしようとされているのかについても伺うものです。

答弁

 教員の定数改善については、兵庫県都市教育長協議会において改善要望をしている。
 国に対しても少人数学級の推進を申し入れている。
 伊丹市としては、学力向上や特別支援教育、生徒指導等、それぞれの目的に応じて市費による加配教員を配置している(スクールカウンセラー、生徒指導ふれあい相談員、スクールソーシャルワーカーなど)。教職員の多忙化解消に向けて、ノー残業デイやノー部活デイの実施、公務のIT化、PTA等外部人材の活用などに取り組んでいる。

2回目の発言メモ

2.損害賠償請求事件に係る和解について

①教育委員会、学校にできること

・二度とあのような痛ましい事件によって命を落とすことがあってはならない、と様々な取り組みをやってこられている。

・2010年3月議会での教育長答弁…社会現象のひずみが形となって青少年の問題行動に現れている。そのため子どもたちは、心の悩みや不安、多くのストレスを抱え、ストレスのはけ口として安易な行動に走っている。社会のひずみを嘆いていても・・・

・「ならぬことは、ならぬものです」といってみても、子どもたちが抱えているストレスから逃れることはできず、かえってストレスを感じる社会状況にある。大人の毅然とした態度は、もちろん必要だが、このことばがこころに響くような、子どもと他者との関係づくりが、学校、家庭、地域でつくれるのかどうか、そのために教育委員会、学校に何ができるのか。
 子どもにとってもストレスの多い社会の中で、そのストレスを解消できる場をつくること。
②子どもと向き合う時間の確保
・市独自にでも、スクールソーシャルワーカーの配置や、加配教員を配置されていることには、評価したい。

・しかし、学級の人数を減らすこと、すなわち教員の定数改善がもっとも大事。

・教職員の多忙化解消、勤務時間の適正化には一定の努力はされていると思うが、実際には仕事があれば残らざるを得ないし、家に持って帰ってでもやらざるを得ないのが現状でしょう。やらなければならない仕事が減ったわけではなく、逆に授業時間が増えたためにその準備の時間が増えているのでは。

・答弁では、問題行動への対応では「未然防止と早期発見・早期対応」が重要と。それには教員が余裕を持て子どもに接すること。そのために教育委員会と伊丹市行政がその条件をつくること。